長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

ファーロに灯ともる頃

2017年10月28日 12時00分55秒 | 折々の情景
 
 灯台に灯りが灯るころ…と書いても、不思議とくどく感じないのはなぜでしょう。
 (単に私が燈台好きなせい?)
 

♪夕日が浦に 秋寂びて 磯辺に寄する とどろ浪
 岩に砕けて 裂けて散る 水の行方の 悠々と…(by 坪内逍遥『新曲浦島』)






♪錦繡のとばり 暮れゆく中空に
 誰が釣り舟の 玻璃の燈し火 白々と




 ♪裾の紫 色褪せて また染め変わる 空模様
  あれ いつの間に一つ星
  雲の真袖の ほころび見せて 斑(むら)曇り 変わるは 秋の空の癖
  しづ心なき風雲や

 なんという、逍遥博士の名文でしょう…

 さてこちらは、灯がともるつい三十分前の、同景南総の秋の夕暮れ。


 黄昏の国でもあった十月には珍しく、週末に台風の襲来が続きました。
 荒天にもかかわらずご来場くださった皆様に厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございます。
  
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さるとかにのおはなし&others

2017年10月14日 12時34分55秒 | お知らせ

 ♪わが背子が 来べき宵なり ささがにの…

 大変です! この10月の土日は五つしかありません!!
 …という心境になるのが、この、文化の秋、という季節です。

 日本の文化は自分がたしなんでこそ面白い…というわけで、皆さま毎週末、たのしいご予定が目白押しではございましょう、が、お知らせがございますので、ちらりとご観覧くださいませ。

 まずは、今週末の世田谷区民文化祭・総合文化祭です。
 世田谷邦楽研究会でここ数年、古典長唄を出曲させていただいておりましたが、今年は、わが家元・杵屋徳衛が、自身の作曲作品である朗読三絃『さるとかにのおはなし』を演奏いたします。
 ピンポイントですが、15日14時半ごろ、成城学園・成城ホールにての無料公演ですのでどうぞお越しくださいませ。

 さるとかにのおはなし、は徳衛が二十歳の砌、初めて作曲した作品です。
 長唄の歌詞は古典の素養がないとなかなか深く理解できない部分がありますが、子どもたちにも分かりやすく親しみやすい童話をテーマに、三味線を弾きながら語りと唄を交えた構成になっています。
 分かりやすい歌詞の一方で、大人にも味わっていただける三味線の手附になっております。
 三味線音楽でしみじみほのぼのと笑っていただける、稀有な作品です。

 つづきまして、


 武蔵野邦楽連盟主催公演です。
 吉祥寺駅南口徒歩2分の丸井のお隣、武蔵野公会堂で開催しております。
 公園散策がてらお立ち寄りいただけましたらうれしゅうございます。
 今年は邦楽器をさらに身近に感じていただけますよう、番組中に、ミニ解説コーナーを設けました。
 尺八、筝曲、長唄について簡略なご説明と、皆さまには唄体験をちょっとだけ、していただきます。

 通常の番組では、杵徳社中は『鶴亀』『越後獅子』を演奏いたします。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
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