長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

“朗読三絃”ありて

2014年01月31日 15時15分15秒 | お知らせ
 なんの拍子か、特に差し迫ったこともないのに早起きして、うっかりテレビをつけてしまったりします。
 チャンネルを回しても、何ら見るべきことが無いので(本当に重要なニュースというのは見たいときにやっていなかったりしますね)放送大学で、まったく未知なる学問に通りすがったりします。
 この間は、懐かしや、昭和の一時期は国民的番組でした『奥さまは魔女』を放送していたので、何となく見入っておりましたら、ダーリンのお仕事は広告代理店だった、ということを想い出しました。
 当時、日本国内では広告代理店という職業は全く一般的ではなく、「へぇぇ、広告の仲介業なんて商売になるんだ…」というのが、昭和40年代初頭の日本人の通念だったりいたしました。

 さてさて、いつも昨今では絶滅種となってしまいました、長唄および日本人のDNAに優しい伝統芸能音楽を、お伝えしたいと思いつつ、いまひとつ実践が伴っていないことに気づきました。
 …そうです。演奏会のお知らせをするのを失念してしまうのです。

 これは、邦楽の演奏会シーズンというものがまとまってやってくることもあり(一つ過ぎても同じ週にもう一つあったりします)、演奏会の準備に追われておりますと、広告・広報という概念が頭からすっぽり抜け落ちてしまうのです。
 こりゃー、いかん。
 催しがあることをお伝えしなきゃ、皆さまに実際に触れていただく機会がなきゃ、どんなに魅力を叫ぼうが、百聞は一見に如かず、というものでございましょう。

 さて、明日のことではありますが、思い立ったが吉日。

 今週末、2月1、2日の両日、三鷹市公会堂(0422-45-1151)にて、
 第2回 全国邦楽合奏フェスティバル という演奏会&イベントがございます。
 (入場料は1000円、一枚で両日観覧できます。学生以下は無料。
  邦楽の楽器体験コーナーや、ワークショップもございます)

 当方も、武蔵野邦楽合奏団として出演、杵屋徳衛作品を演奏いたします。

 1日13時頃【朗読三絃・さるとかにのおはなし】
 杵屋徳衛が考案しました朗読と三味線の融合演奏形式“朗読三絃”で、日本の昔ばなし「猿蟹合戦」を原案といたしました、徳衛の作曲作品です。
 今までは徳衛が弾き唄いをし、幼稚園児に大好評だった作品なのですが、今回は、朗読を元演劇に携わっていらした箏曲演奏家の方が担当。十三弦と三味線二挺、計4名の編成で、面白楽しく演奏します。
 先日、とある地域のコミュセンで稽古しておりましたら、たまたまお隣の部屋で会議の為に待機していた全く無関係のかたに、物凄く面白いので聴きに行きます、という有難いお言葉&お切符のお買い上げをいただきました。ありがとうございます。

 2日16時【三絃三重奏曲ぎっちょんちょん変奏曲、三絃二重奏曲PaperDoll】
 日本の古典的俗曲「ぎっちょんちょん」と童謡「紙人形」をアレンジした杵屋徳衛作曲作品です。今回は三味線11挺で、迫力あるスイングな演奏をお楽しみくださいませ。

 …ほっ。とりあえず告知できました。
 ほんの少しでも前よりもよい演奏が出来ますように、再び稽古に戻ります。
 
 皆さまのご予定に加えていただけますれば、うれしゅうございます。


 

 
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宵は待ち

2014年01月24日 11時22分33秒 | お知らせ
 よく、三味線で弾き歌いをしたいのですが、どのくらいでできるようになりますか?…というお問合せをいただきます。
 ふふふふふ。

 数年前から上つ方面からのお達しにより、義務教育で長唄の“唄”が必修とされまして、洋楽のみが音楽教育であった戦後の教育で育った先生方はドッキリなさった。
 そこで、夏休みに先生がたへの講習会が持たれたりしまして、来たる21世紀東京オリンピックでの“和の文化によるおもてなし”、という喫緊の課題と相俟って、風雲急を告げつつあるのが、昨今の邦楽界を取り巻く状況なのであります。

 語り物(つまり浄瑠璃)ではない長唄は、洋楽とは全然違いまして、楽器part(つまり三味線ですね)と、うたpartのメロディラインが全く異なるところに特徴があります。
 三味線は唄の伴奏じゃないんです。
 
 そしてまた、歌詞が三味線の音と微妙にズレるところに入り込む。
 ほんのちょっと前だったり、後だったり、音と音との間に入れ子になってたり、一口では言えません。
 それは西洋の音楽理論とは別のところに立脚した音楽だからです。
 理論ではなく、経験則でしか習得できないもの。
 これは長唄に限らず、文楽の義太夫も、太棹の三味線もそうだと思います。

 “ずれを愉しむ”のが、長唄のみならず、日本の伝統文化の特色でもありますね。

 ですから、あぁ、唄ね、弾き歌いね…なんて簡単に思ってた方は、実際に体験すると頭を抱えることになってしまうのです。

 さて、今や、日本人でも聴いたことが無い長唄、というものになってしまった習い事に、もっと気軽に触れていただきたいという願いを込めまして、わが師匠・杵屋徳衛が企画いたしました、長唄のズバリ!唄の稽古プロジェクト。

 今期3回目を迎えます。
 月に1回ほど、土曜の宵の口に開催。4回ほどの講座で一曲マスターを目指します。
 講師は長唄杵徳会家元・杵屋徳衛。

 【初級:宵は待ち】
2014年1/25、2/22、3/8の3回 午後4時より下北沢稽古場
 【中級:都鳥】
2014年1/25、2/22、3/8、3/29の全4回 午後6時より下北沢稽古場 

費用は一回3千円前後です。
詳しいお問合せは
  • 長唄杵徳会
  • http://kinetoku.com へお願いいたします。


     さて、“宵は待ち”は、めりやす物のひとつで、長唄の手ほどきに習う曲です。
     歌舞伎のBGMでも独吟のめりやすが演奏されて、江戸の市井の生活感…すてきな情緒を醸し出します。
     
     日本人の独特の美意識・価値観が育んできた、世界に類を見ない日本の伝統文化。
     聴いて観て触れるだけの世界…としてではなく、ぜひ、実践習得なさってくださいませ。
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    雪ぞ、今宵も…

    2014年01月14日 01時14分14秒 | 折々の情景
     19年に一度のこと、なのだそうである。
     何が…というと、西暦年の元日が、旧暦の師走朔(十二月一日)と同じ日になるのが、なんである。
     なんでも、235ヵ月イコール19年という、太陽と月の廻り合わせによるものだそうなのだ。それがなんと、今年がその百年目…じゃなかった19年目なのである。
     であるからして、新年あけまして2014年の、今日は14日なのですが…ふふふ、なんと旧暦の平成廿五年十二月十四日なわけでして、これはもう、言わずと知れた赤穂浪士討入りの記念日なのだ。

     こう、19年に一度、なんぞといわれると、長唄「五郎時致(ごろうときむね)」の歌詞、
      ♪…いつか晴らさん父の仇 十八年の天津風…
     が、ついと浮かぶ。天上に吹く風も18年に一度、めぐりめぐって吹き返してくる、という意味らしいのだが、この年限は、月の暦と太陽の暦との関係性に、何か関わり合いがあるのかもしれない。

     もう20年前のことになるけれど…本所松坂町討入りの日はなんとなく、やっぱり蕎麦屋の二階に集まりたい、そして落語や講談の忠臣蔵噺を聴きたいですょ、ね!
     と、その当時懇意にして下さった落語家さんにほんの思いつきで申しましたら、本当に、その当時、四谷三丁目にあった四谷倶楽部という貸し席で、忠臣蔵大会の寄席を企画して下さったのである。感激した。
     昭和の終りから平成のひとケタ時代、四谷倶楽部は満留賀(まるが)というお蕎麦屋さんの二階にあった。
     (この貸し席で今でも印象に残っているのは、さん好時代の柳亭市馬の独演会で、児太郎時代の福助の物真似である。誰とは言わずともそっくりだった。何の噺だったかは忘れてしまった。七段目でもあったのかしら。市馬師匠は大成駒の真似もうまかったなぁ…)

     さてさて、では平成26年の日本国内は、というと…忠臣蔵も曾我兄弟も、源平合戦も知らない人々がほとんどとなってしまった。
     日本の文化は、砂浜に描かれた銭形平次の波銭のごとく風化してしまった。
     こういうことが社会通念だった時代が懐かしい。
     
     それはともかく、日付が一緒だと実に分かりやすい。
     昨日は、今日あたり大高源吾は笹竹を売っているかしら橋の上で…なんて、忘れずに思い致すことが出来て妙にうれしかった。
     人間、些細なことが身にしみて嬉しいうちが、幸せというものであろう。

     そして偶々、CS放送で豊田四郎監督「四谷怪談」(1965年作)を観るという偶然も重なった。
     鶴屋南北が名作「四谷怪談」は、忠臣蔵の外伝であることを知っている人も少なくなった。今年は子歳ではなく午歳ではあるのだが。
     
     さてさて、いよいよ…討入りの日に果たして、雪は積もっているのだろうか…ぁぁ久しぶりに忠臣蔵のことで胸が躍る、ワクワクてかてかの今宵。
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