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猿田佐世 地域外交を切り拓く沖縄 苦難の歴史から希望を紡ぐ

2024年02月29日 | 社会・経済

(新外交イニシアティブ代表)

Imidas連載コラム 2024/02/27

 2024年1月10日、石材を積んだ船が美しい海にそれらを投入する映像に、沖縄では悲痛な声が広がった。沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地を名護市辺野古へ移設する計画で、日本政府が、長らく止まっていた大浦湾側の埋め立て工事に着手したのである。

 この基地建設工事について、沖縄の人々は、移設計画が持ち上がった1996年から今日まで、28年にわたって反対の声を上げ続けてきた。多くの選挙で建設反対の候補者を当選させ、県民投票を実施してその意思を表明し、建設現場では工事を1分、1時間でも遅らせようと、1日も休むことなく座り込みによる抗議行動を20年続けてきた。

 大浦湾側は、「マヨネーズ並み」ともいわれる軟弱地盤が水面下に広がっていることが18年に情報公開請求で明らかになった。国は埋め立て工事の設計変更承認を沖縄県に求めたが、沖縄県はそれを認めなかった。今回、大浦湾側の工事が再開されたのは、複数の訴訟を経て、国が県の権限を奪って沖縄県知事の代わりに埋め立て工事を許可したことによる。

 知事の権限を奪うこの「代執行」は、憲法の保障する「地方自治の本旨」に反するのではないか。国民の権利利益の救済を目的とする行政不服審査制度を防衛局が利用して不服申し立てをしたのは適法なのか。地方自治法は国と地方の関係を「対等・協力」とし地方自治体の裁量を広く認めているにもかかわらず、国は県知事の権限を奪って許可できるのか。こうした多くの疑問が呈されながら、「何が何でも埋め立てを行うのだ」という国の姿勢に、沖縄では強い反発が起きている。

 また、貴重な海洋生物が生息する美しい海を埋め立てること、国の予定を大きく上回る工期12年、事業費9300億円がかかるとされること、何よりも、長年にわたって強く反対し続ける沖縄県民の声を踏みにじって工事が開始されたことから、沖縄に留まらず、全国でも多くの批判の声が上がっている。

もう一つの苦難

 埋め立て開始を受け、玉城デニー沖縄県知事は「沖縄の苦難の歴史に一層の苦難」とのコメントを発表した。

 なぜ「沖縄の苦難の歴史に一層の苦難」なのか。

 沖縄の強い反対を押し切って新基地建設が進められており、それは沖縄の人たちにとって苦難である。また、沖縄本島の面積の実に15%を米軍基地が占めており、米軍基地に起因する米兵の犯罪・事故や環境破壊、経済発展の阻害などの過剰な負担を強いられている。

 そして、その基地が作られる原因ともなった、人口の4人に1人を失った悲惨な沖縄戦の歴史は苦難以外の何物でもない。その後、1972年まで続いた米国占領時代の圧政でも人々は苦しめられた。

 さらに遡れば、500年にわたる独立国であった琉球王国を屈服させ、日本政府が「琉球処分」を行って沖縄県として日本に組み入れた明治維新以後の歴史も沖縄にとって現在につながる苦難の始まりであった。

 加えて、現在はもう一つの苦難が沖縄を襲っている。

「沖縄が再び戦場になるかもしれない」という事実である。

 米中対立が激しくなり、台湾有事の可能性が大きく取り上げられるようになった。故安倍元首相は「台湾有事は日本有事」と言い、その後もメディアなどによって台湾有事の際の日本関与がまことしやかに語られている。幾つもの台湾有事を想定したシミュレーションが日米等の研究機関から発表されているが、そのほぼすべてで、在日米軍基地からの米軍の出撃が予定されている。台湾と目と鼻の先の距離にある沖縄では、既に抱える膨大な米軍基地に加え、近年、幾つもの自衛隊の基地が新設され、米軍との合同軍事演習も強化されてきた。

 台湾有事の際には、沖縄からは米軍、あるいは自衛隊もが出撃することになりかねない。そうなれば、反撃にあって沖縄は戦場と化す可能性が高い。その恐怖が、今、沖縄を覆っている。世論調査では、有事の際に沖縄の基地が攻撃対象になると考える人は沖縄において8割を超えている。沖縄の言葉「命(ぬち)どぅ宝(命こそ宝だ)」が再び人々に用いられるようになり、絶対に戦争は避けなければならないという想いが沖縄に広がっている。

沖縄における新たなうねり

 台湾有事になれば、戦場になる可能性が高い。戦火に見舞われなくとも緊張関係が続けば、米軍や自衛隊の基地が強化され、沖縄の軍事による負担は増す。

 そうした中で、沖縄は米中対立の緩和を強く求めている。

 その結果、今の沖縄では新基地反対に加え、平和で安全な生活の実現に向けた新たな取り組みのうねりが起きている。

 2023年3月、沖縄県議会は「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取組を求める意見書」を採択した。

 また、玉城デニー知事の諮問機関「万国津梁(しんりょう)会議」に急遽設置された地域外交に関する会議からは、2024年1月18日、「沖縄県の地域外交に関する提言書」が発表された。(1)国際平和創造拠点となる、(2)強くしなやかな自立型経済、(3)国際協力活動と国際的課題に貢献する地域となる、等の提言がなされた。提言を受けた沖縄県は、23年度内には、地域外交の基本方針を発表する。

 デニー知事の下、県庁には地域外交室が設置され、これを4月には平和・地域外交推進課に昇格させて外交に取り組む。既に進められている知事の諸外国訪問に留まらず、海外の県事務所の強化、県内各自治体・大学や経済界のつながりの促進、島嶼国(とうしょこく)支援など、様々な県の外交の可能性が提言には含まれている。

 日本本土には、沖縄を、「基地に反対ばかりして政治を硬直させ続ける頑固者」と思っている人がいたりはしないだろうか。

 しかし、それは大きな間違いである。

 基地は日本の防衛のためにあり、日本への脅威が増しているから基地の強化が必要だ、とされている。

「そうか、であれば、基地負担を減らすには、地域の緊張緩和に努め、脅威を低減させていく努力が必要だ」

 硬直化させるどころか、前を向き、クリエイティブに、自ら問題解決に向けた流れを作り出そうと一歩も二歩も踏み出しているのが沖縄なのである。

 軍事予算の倍増や敵基地攻撃能力を含む防衛装備品の増強ばかりが進められるこのご時世において、沖縄ほど真剣に外交を実践しようとしている存在は、日本国内を見渡してもまず見つけることができない。沖縄が目指す地域外交の姿勢は、日本本土の他の自治体はもちろんのこと、日本政府を含めた日本全体の外交の指針となりうるものだ。

希望

 さらに特筆すべきは、沖縄では多くの若者が声を上げ、社会の中で存在感を増しているということである。沖縄戦を直接語れる世代が減っていく中、平和学習の取り組みを引き継ぎ、本土から修学旅行に来た高校生に戦争体験を語り継ぐ団体が立ち上がり、また、台湾や中国との対話を定期的に行うプロジェクトが若い世代も多く参加して始まった。

 日本本土では平和の問題に限らず、社会問題に声を上げる若い世代の姿が年々限られてきているが、それとはきわめて対照的である。

 幾つもの苦難が加わった歴史にあっても、少しでも良い未来のために工夫を重ねながらしなやかに活動する沖縄のその様は、閉塞的な本土社会に比べ、むしろ希望すら感じさせる。

 埋め立て開始の翌日に私は玉城知事とのシンポジウムに登壇した。その後、知事から聞いた言葉が頭から離れない。

「長い長い戦いがまた新たに始まったという気持ちを持っています。そのためには、気を張ってばかりではなく、飲みながら意見を交換し、笑いながら、歌を歌いながら、ガッとかかる時にはガッとかかる。この連帯感が私たちの気持ちのつながりをキープできる」

 沖縄の戦いはまだまだ終わらない。


これこそ「積極的平和主義」だろう。
わたしも応援する。


国民生活に影響及ぼす重大法案 閣議決定

2024年02月28日 | 生活

食料・農業・農村基本法改定案

「しんぶん赤旗」2024年2月28日

 

自給率向上放棄 農家急減も防がず

 岸田内閣は27日、食料・農業・農村基本法改定案および関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。農業政策の大きな方向性を定める法律として、農業・農村の危機的状況を打開する改定となっているかが問われます。

 近時の気候変動による生産の不安定化や、国際的な需給の変動など、食料供給への懸念の高まりを受け、2020年秋から政府の「基本法検証部会」がスタート。1年かけて生産者をはじめ多くの関係者・有識者による検討が進められてきました。

政策課題から除外

 しかし、これらの議論を経て昨年出てきた政府の「改正の方向性について」(12月27日)は、危機を招いたこれまでの農政を大きく転換するものではありませんでした。

 その内容を、政府側の意図を補足しつつ要約すると、▽「食料自給率の向上」には一切触れず、政策課題から除外する▽国内農業にダメージを与えてきた累次の輸入自由化は問題にしない▽離農・廃業による農家の急減は、「防ぐ」のではなく「前提にする」▽農家が再生産できるだけの所得を保障する政策は採用しない―というものでした。

 このため取れる対策は、▽経営の大規模化によって離農した農地を吸収する▽経費の販売価格への転嫁を周知・お願いする▽スマート農業の普及▽輸出の促進▽輸出に必要な範囲の農林水産業のグリーン化―しかなくなりました。

 法案は、この方針通りの改定が行われたものです。

 現行法で国が「基本計画」に掲げることになっている「食料自給率の目標」(15条2項2号)は、「食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標」という表現に改められ、唯一最大の目標ではなくなりました。

 また同条3項には「食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨とし」とありましたが、農林水産省が最初に与党へ提出した法案には、この部分が削除されていました。

 その後、「食料自給率の向上その他の食料安全保障の確保に関する事項の改善」という表現が足されましたが、もはや大きな目標でなくなったことに変わりはありません。

 このほか、検証部会の議論で、現行法の「食料については、(中略)合理的な価格で安定的に供給されなければならない」という条文(2条1項)について、「再生産可能な価格」にしてほしいとの意見が出されていましたが、全く無視されました。

 併せて、農家に米や芋などの作付けを強制し、従わなければ刑事罰を科すという、戦前さながらの「戦時食糧法」まで提出されています。

国産の安定供給を

 岸田内閣の支持率は10~20%台と下落し、不支持率は7~8割に達しています。今後の農政の大きな方向を決める改定案を拙速に成立させるわけにはいきません。農業・農村の危機を改善し、国産の農産物の安定供給を確保する政策は何か、国民的な議論を広げることが求められています。

 

経済秘密保護法案

秘密保護法制を経済・技術分野にも

 岸田文雄政権は27日、「重要経済安保情報保護法案」(経済秘密保護法案)を閣議決定し、国会に提出しました。この法案は、国家機密の漏えいに罰則を科す秘密保護法制(2014年施行)を経済・技術分野に広げる危険な内容です。

 法案では「セキュリティークリアランス(適性評価)」制度を拡大しようとしています。この制度は政府が機密情報を指定し、その情報にアクセスできる資格者を認定し、現在、適性評価を規定した法律に秘密保護法があります。

 現行の秘密保護法は「防衛」「外交」「テロ」「有害活動」の4分野が対象で、現在の適性評価の資格者は自衛隊と防衛省を中心に13万4000人です。

評価の対象を拡大

 今回の法案は、機密情報の範囲を「経済安全保障」に関連する分野に広げ、適性評価の対象を同分野の労働者や研究者に広げることが柱。「国際ビジネス展開」「同盟国と連携強化」などのために新たに「重要経済安保情報」を策定し、重要物資のサプライチェーン(供給網)や重要インフラ、サイバー攻撃・対策、先端技術などの情報を秘密の対象にします。情報漏えいには最大5年以下の拘禁刑か500万円の罰金を科します。

 「本人同意を得る」としつつも、適性評価の調査では、対象者の兄弟姉妹の配偶者を含めた家族の生年月日や国籍も対象になり、飲酒の節度、借金などの経済状態などが調べられます。

 また、「外国の利益を図る目的」「政治上その他の主義主張」に基づいて「重要経済基盤」に害する活動に関わる恐れがないかも調査されます。基本的人権を侵害する身体調査、思想調査になりかねません。労働者や研究者が拒否した場合の不利益取り扱いの懸念もあります。

軍事産業強化へ道

 「重要経済安保情報」の指定期間は5年ですが、通算30年まで延長でき、内閣の承認があればさらに延長も可能としています。政府の恣意(しい)的な運用で経済秘密が肥大化し、国民の知る権利が侵される危険があります。

 経済安保分野への適性評価制度の拡大は、兵器の国際共同研究・開発や軍事産業の強化に本格的に道を開くことになります。

 政府は「極超音速誘導弾」対応兵器の日米共同開発を開始し、武器輸出の規制緩和を推進しています。先端技術を有する大学や企業の研究者、従業員を米国主導の兵器開発に動員することにつながりかねません。

 さらに秘密保護法の対象に「経済安保」の分野を運用の拡大で入れ込むことを狙っています。


支持率わずか十数パーセント、不支持が圧倒的になっても重大な「悪法」を通そうとしている。裏金問題が決着するまで少しは静かにしていてもらいたいものだ。

 

ブルーインパルス断固反対!!!

ブルーインパルス 能登上空で避難生活者を「元気づける」?!

アホな・・・
わずか数分で膨大な金を食い、CO2を垂れ流す。
そんなことより温泉にでも連れて行ってくれた方がなんぼいいか?
今は経済支援が急務だろう。

新型コロナウイルス感染が拡大した2020年5月にも、医療関係者への「感謝」を示すため東京都心上空を飛行したが、医療現場からは「感謝というなら医療従事者に経済支援を」と強い批判の声が上がっていた。

 21年7月の東京五輪での展示飛行では、埼玉県内で大量の染料を家屋や自動車に付着させる事故も起きていた。


「納税は個人の自由だろ!」燃え盛る「#確定申告ボイコット」の声

2024年02月27日 | 生活

税務署ではクレーム続出 涙目で「なぜ生活が苦しい私たちから…」という女性も

NEWSポストセブン2/27(火)

 国民の怒りが渦巻いている。SNSでは「#確定申告ボイコット」というハッシュタグ付きの投稿が10万件以上にのぼり、国会の衆議院予算委員会でも立憲民主党の城井崇代議士が「確定申告ボイコットという言葉が飛び交っている。この言葉をご存じですか」と質問。岸田文雄首相は「そのハッシュタグがつけられた投稿が多く見られることは、私も承知している」「あらためて、国民の皆さんの厳しい目を強く感じている」と答弁した。

 自民党の政治資金パーティー裏金問題をめぐっては、裏金を受け取った議員は脱税にあたるのではないかという指摘が相次いでいる。鈴木俊一財務相はこれに関連して「使い残しがある雑所得で、控除で引き切れない部分があるという判断のなかで納税をするという方が可能性としてはあると思う」という回りくどい言い方で、“最終的には議員がそれぞれ判断して納税すべき”という見解を示していた。

 議員は納税するかどうかを自分で判断できるという主張に、先週からSNS上では「#納税拒否」「#納税は任意」といったハッシュタグがトレンドになっていた。それに重なる形で自民党が「政治倫理審査会は非公開としたい」という方針を示したことで、納税者の怒りは頂点に達している。

 折しも、確定申告シーズン。各地の税務署には納税者が申告や相談のために、行列を作っている。東京都内のある税務署では、2月26日は3連休明けの平日とあって寒風吹きすさぶなか、外まで行列ができていた。

「納税は個人の自由だろ! 議員センセイは裏金納めてないんですよね?」──税務署の職員によると、そうしたクレームをぶつけられたという。窓口で相談業務にあたる職員の一人がこう語る。

「国会議員は納めてないじゃないか、国民はなぜ1円単位まで搾り取られているのに、といったクレームは数限りなく聞いています。正直、業務に支障があります。現場では腰を低くして『納税は国民の義務でして』と説明するしかないのですが、『じゃあなんで政治家は義務を果たさないんですか』といったやりとりになってしまい……」

 別の税務署で働く職員も嘆息する。

「確定申告シーズンは会場の案内係や事務作業の手伝いとして非常勤職員、いわばアルバイトさんを入れています。そうした人たちはクレーム慣れしていないから、納税者の方から強く言われてしまうと疲弊してしまっています。

 あまりに高圧的なクレームはこちらも毅然とした対応を取れるのですが、今年は納税者の方が冷静に『なぜ政治家は裏金を納税していないのか』と問い詰められることが多い。静かに怒りを表明している人がたくさんいます。女性の方から『政治家の方たちは脱税しても見逃されるんですね。自営で生活が苦しくてギリギリの暮らしをしている私たちから税金をしぼりとっているのに…』と涙目で言われた時は苦しかったです」

 確定申告は3月15日が期限。裏金議員たちは納税するのだろうか。


このような状況の下で「政倫審 非公開」とはどういうことか?
国民は許さない!
わたしは今日「確定申告」提出してきた。

風が強く冷たい。
雪は朝まで2㎝くらい、午前中は日差しもなく強い風で道路のところどころに吹き溜まりができハンドルをとられる。
明日は晴れマークだが最高でも-4℃の予報。


過酷!宗谷本線 全線走破!今夏の猛暑対策に!

2024年02月26日 | 自然・農業・環境問題

過酷!宗谷本線 全線走破!【特急禁止の旅】普通列車x日帰り往復=518.8km【廃駅だらけの秘境鉄道】

いかがでしょうか?
今夏猛暑の中いい旅になりそうです。
体験してみたいと思うのですが、まだ現役農民なので難しい。

 

地方ローカル線、全国90区間で存続危機 最も崖っぷちにある鉄路は「輸送密度」20人

災害とローカル線

AERA 2024/02/25/

野村昌二

 ローカル線を取り巻く環境は、厳しさを増している。存続が危ぶまれる区間はどこか。鉄路が寸断されるとどうなるか。AERA 2024年2月26日号より。

【図表】崖っぷち!乗客が少ない鉄道ワースト50はこちら(全5枚)

*  *  *

 千葉県の房総半島のまん中を走るJR久留里線(木更津-上総亀山)。2月上旬の平日の午後、終着の上総亀山駅(同県君津市)で2両編成の列車を降りた乗客は、5人しかいなかった。駅近くに住む70代の女性は、千葉市内の病院に行くのに、週に1度は列車を利用している。

「久留里線は大事な足。なくなったら、困っちゃうわよ」

 昨年3月、里山を走るこの鉄道に衝撃が走った。

 運営するJR東日本が、久留里線32.2キロのうち、末端部の久留里(同)-上総亀山間9.6キロについて、バス路線への転換も視野に存廃協議に入ると、千葉県と君津市に申し入れをしたと発表したのだ。JR東が事実上の存廃協議を申し入れたのは、災害で長期不通となった路線を除き初めて。JR東は、「鉄道の特性である大量輸送のメリットを発揮できていない状況にある」と説明した。

揺れる地方の鉄路

 JR東に限った話ではない。地方の鉄路が存廃に揺れている。

 国土交通省は昨年8月、赤字が続くローカル線の経営改善や存続などを議論する「再構築協議会」を設置する際の基準を示す基本方針を決定。1キロ当たりの1日平均利用者数を表す「輸送密度」が「1千人未満」の線区を優先すると記した。

 1千人未満の線区は、いったいどれくらいあるのか。非公表のJR東海を除く、JRグループ5社がホームページなどで公表しているデータなどで調べると、全国に90区間。そこから災害で運休している路線を除いたワースト50を一覧にした。

 最も崖っぷちにあるのは、広島・岡山両県を走るJR西日本・芸備線の東城(広島県庄原市)-備後落合(同)の25.8キロ区間で、輸送密度は20人(2022年度)。冒頭の久留里線の久留里-上総亀山間は、輸送密度は54人(同)とワーストスリー。21年度の運賃収入はわずか100万円で、3億円近い赤字。営業費用に対する運輸収入を示す収支率は0.5%で、JR東全体でも最低水準にある。

「鉄道の存続を真剣に議論する時にきている」

 鉄道と街づくりに詳しい国学院大学の大門創(はじめ)准教授(交通計画)はそう指摘する。

 日本の鉄道は、鉄道事業者が全てを独立採算で賄うのが原則で、山手線など都市部で稼いだ利益を地方の赤字路線に充てる「内部補助構造」によってネットワークを維持してきた。しかし、そもそも人口減少で鉄道利用者は減少傾向だったのが、コロナ禍で加速した。稼ぐ力が細る中、今までの枠組みでは通用しなくなっている、という。

「例えば収支率0.5%ということは、99.5%は赤字補填(ほてん)していることになります。そうした路線まで内部補助構造によって支えるのは、限界にきています」(大門准教授)

鉄道網途切れると

 日本は、全国に鉄道が網の目のように張り巡らされている。現在JR、私鉄を合わせた鉄道の総延長は約2万7千キロと、地球を3分の2周するまでになっている。そのネットワークが途切れると、何をもたらすのか。

 大門准教授は、「広域的視点と地域の視点の両方でインパクトが生じる」と言う。

「広域的視点としては、ネットワークが寸断されることによって、利用者は今までは目的地に鉄道だけで行くことができたのができなくなり、車やバスなど別の代替交通手段を使うことになります。その結果、既存の鉄道の収支が下がり、運賃の値上げになることも考えられます。利用者にとっても、移動の選択肢が狭まります」

 地域的なインパクトは、高齢者や学生など「交通弱者」に及ぼす影響だ。

「特に地方は、学生が鉄道を使えなくなると通える学校の選択肢が減ります。また学校や塾などの送り迎えを保護者が行うことになり、そうなると保護者の時間が制約され活動が停滞するので、地域の活性化にマイナスの影響を与えることにもなります」(大門准教授)

 18年4月、島根と広島を結ぶJR西日本の三江線(さんこうせん、三次-江津(ごうつ)、全長約108キロ)が、利用者の減少が止まらず廃線となり、バスに代替された。廃線から6年近く経ち、沿線に住む40代の女性は、「街も寂しくなった」と嘆く。

「観光にも生かせる鉄道だったので、廃線になる前に何とかできなかったのかな、と思います」

 ただ、「鉄道がなくなると地方が衰退する」というだけで、苦境を乗り越えられるわけではない。交通手段としてだけなら、バスで十分という面もある。

「オプション価値」

 島根県立大学准教授で、ローカルジャーナリストとして『ローカル鉄道という希望』の著書もある田中輝美さんは、「大切なのは、一地域の問題に矮小化しないこと」だと強調する。一地域の問題と捉えると本質を見失いがちになる、と。

「鉄道の価値の一つはネットワークです。地域と地域、人と人が繋がれば、新しい出会いや交流の可能性が広がります。繋がりの可能性を狭める社会が本当に幸せなのか、そうした視点から見ていくことも必要です」

 そのためにも、社会を支えるインフラとして鉄道を位置づけることが重要と田中さん。

「例えばインフラと認識されている道路について、赤字だからなくしてもいいという議論はあまり聞かれません。鉄道も同じです。ただ、日本は主に都市の鉄道事業者の成功体験があるために、鉄道に採算性を求める風潮が強すぎると感じます」

 鉄道の価値は採算面だけでは測れない。いつでも誰でも乗れ、高齢になった時も使える。こうした選択肢がある状態を「オプション価値」と言い、鉄道の場合は特に強い。しかも脱炭素社会に向け、CO2(二酸化炭素)の排出量が少ない鉄道が果たすべき役割は大きい。

(編集部・野村昌二)


元国税調査官が激怒!政治家の脱税を見逃す国税庁の不正腐敗ぶり #確定申告ボイコット 前代未聞のトレンド入りは当然か

2024年02月25日 | 生活

MAG2ニュース 2024.02.19

by 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』

 今年の確定申告シーズンは、国会議員の脱税犯罪を見逃し続ける国税庁に国民の怒りが爆発。「#確定申告ボイコット」や「#納税拒否」のハッシュタグがSNSでトレンド入りする異常事態となっています。「勝手に脱税して追徴されとけ」「自分は払いすぎた税金を取り戻すサラリーマンなんでパス」などと“火消し”を試みる冷笑系の投稿も散見されますが、元国税調査官の大村氏は「国税庁は国会議員の裏金や脱税を徹底的に調査すべき」「それをしない限りほかのどんな税務調査もする資格がない」「国税庁も裏金を受け取った政治家と同罪」とバッサリ。さて、あなたはどちらの意見に正当性があると思いますか?(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より)

 

国税庁は国会議員の「裏金」を徹底追及せよ

今回は、自民党議員たちの裏金問題の話です。

野党から「収入を帳簿に載せず支出も不明であれば脱税ではないか」という指摘がされ、国民の間でもそういう声が日増しに大きくなっています。

自民党の方も、その声を無視できなくなったようで「裏金を受け取った議員で支出先が明らかではない者は税金を払う」ということを検討しています。

が、そもそも論として、国税庁が政治家の税務調査をしていれば、こんな問題は起きなかったのです。

このメルマガでも触れましたが、国税庁は政治家に忖度し、まともな税務調査は行ってきませんでした。

政治家のお金を管理する「政治団体」には法人税がかかりません(収益事業を行っていない限り)。だから、国税庁は調査をしてこなかったという言い逃れをしています。

が、政治家や政治団体の職員は、収入に対して所得税が課せられているのですから、所得税の調査は行うべきだったのです。

政治家が、政治団体のお金を使うとき、それが政治活動費であれば、税金はかかりません。しかし、政治家の個人的な支出であれば、税金がかかります。

だから、国税庁は政治団体の支出に関して、「本当に政治活動に必要な支出なのか、政治家個人の支出なのか」ということは、厳重に調査していなければならなかったはずなのです。

「税の公平性」を国税庁自ら否定、税務調査の酷い実態

が、国税庁は政治家に対してそういう調査は、ほぼ行なっていません。

こういう調査を行っていないのは、政治家だけです。

今回の裏金問題も、日頃から国税庁が政治家をアンタッチャブルな存在にしてきたために、起こったものとも言えます。

つまり、政治家は「どうせ税務調査は来ないんだから」という意識があったので、「収入を帳簿に載せない」などという、国民をなめた行為をしたのです。

普通の事業者や団体に対しては、定期的に広範囲に税務調査が行われています。

寺社など法人税がかからない団体に対しても、住職が寺のお金を個人的に費消していないかどうかを徹底的に調査します。

寺社の場合、宗教活動費には税金はかからないけれど、住職の個人的な費消には税金がかかるからです。

「法の下の平等」をガン無視、国税庁の憲法違反

政治活動費も宗教活動費も、本来の使われ方をされていれば非課税だけれど、本来の使われ方をされていなければ課税されるのです。

そして、寺社などは、支出だけではなく、収入も徹底的に調べられます。寺社の収入を誤魔化して住職が自分のものにしていないかどうかを調べるためです。

つまり、寺社などは法人税はかかってないけれど、収入も支出も徹底的に調べられるのです。

寺社のみならず、学校法人、福祉団体など、法人税がかからない団体にも、「所得税の調査」は定期的に行われています。定期的な調査が行われていないのは、政治団体だけなのです。

これは憲法の「法の下の平等」に反するものです。

だから、国税庁は、政治団体にどんな収入があるのか、政治活動費が何に使われたのか、本当に政治活動に使われたかどうかを徹底的に調べるべきです。

それをしなければ、ほかのどんな税務調査もする資格がないと言えます。

裏金であろうとなかろうと、政治家が使ったお金は、「政治活動費なのか、そうでないのか」ということは常日頃から徹底的に調べられなくてはならなかったのです。

しかも、今回は収入として帳簿には載っていない「裏金」なのです。

一般人なら「重罪」の脱税を見逃し続ける国税庁

一般の事業者が、「収入を帳簿に載せていない、何に使ったかもわからない」となると、重大なペナルティーが課されます。

1万円の裏金であっても、です。

額が大きければ、脱税として起訴されるレベルの「重罪」です。

ほかの納税者に対しては厳しく調査するのに、数千万円にも上る政治家の裏金をスルーするなどというのは、憲法違反も甚だしいのです。

国税庁も、裏金を受け取った政治家と同罪だといえるのです。


良い天気になりましたが気温が上がりません。
それでも道路脇の雪は半分くらいになっています。

沼の中に来ました。


インバウンドもいない?ガラガラの夕張スキー場!大きすぎた攻めの廃線の代償•••

2024年02月24日 | 生活

インバウンドもいない?ガラガラの夕張スキー場!大きすぎた攻めの廃線の代償•••

 

夕張市のリゾートを失い、中国系企業を儲けさせただけ!? 強まる鈴木直道・北海道知事への不信感

2.4億円で売却したリゾートが15億円で転売され、その後破産

 
 
菅官房長官(当時)の全面支援で2019年4月に当選した、鈴木直道・北海道知事

菅官房長官(当時)の全面支援で2019年4月に当選した、鈴木直道・北海道知事

 2019年の北海道知事選で、同じ法政大学卒の菅首相の全面支援を受けて初当選した“菅チルドレン”、鈴木直道・北海道知事への不信感が強まっている。 「夕張再建をした若手市長」を旗印に道民の期待を受けて就任した鈴木知事だが、夕張市長時代に中国系企業に2億4000万円で売却した夕張リゾート(マウントレースイスキー場、ホテル)が、香港系ファンドに15億円で転売された後、2020年12月に営業停止・廃業・破産申し立てを行うことが発表されたのだ。  地元・夕張市で鈴木市政(2011年4月~2019年2月)を問題視してきた熊谷桂子市議(共産党)はこう話す。 「30年以上の歴史のあるスキー場やホテルを抱える『夕張リゾート』は、地元観光振興の中核的施設で、市内最大の雇用の受け皿。だから2017年に中国系企業『元大グループ』に売却する際、鈴木市長(当時)は『長年の営業継続が前提の話』と市議会で説明、固定資産税免除も決めていました。その約束が破られたのだから、中国系企業や香港系ファンドに抗議し、営業再開や買い戻しを求めて直談判するなどの行動に出るべきです。しかし、鈴木知事は何もしていないのです」
 

約束を破った中国系企業に対して、鈴木知事は何の行動にも出ず

 
熊谷桂子・夕張市議

鈴木知事が市長時代に説明していた「長年にわたって営業継続という約束が破られた」と話す、熊谷桂子・夕張市議

 中国系企業「元大グループ」(呉之平=ご・しへい=社長)が得た転売益は、推定で10億円以上。2020年12月25日の『財界さっぽろ』のオンライン記事には、地域と密着した経営戦略を語っていた呉社長の、買収当時のインタビュー記事(2017年6月号)が再掲載されている。  しかしその2年後の2019年3月にスキー場とホテルは香港系ファンドに転売され、鈴木知事が市長時代に交わした約束は反故にされてしまったのだ。  しかし鈴木知事はこの時、呉社長に「話が違う」「騙したのか」などと抗議することも、転売先の香港系ファンドに「長年の営業継続」を求める直談判をすることもしなかった。すでに選挙戦に突入していた北海道知事選で「夕張再建」の成果をアピールしていたというのに、自らが招いた“地元の危機”からは目を背けていたのだ。

結局、夕張市はリゾート施設を失い、転売した中国系企業を儲けさせただけ

2020年12月に破産・休業することを発表した「夕張リゾート」のホテル「マウントレースイ」

中国系企業から香港ファンドに転売された後、2020年12月に破産・休業することを発表した「夕張リゾート」のホテル「マウントレースイ」

『財界さっぽろ』2月号(1月15日発売)が「19年春の知事選では、インターネットニュースを中心に『売却時の条項に5年間の転売禁止などを盛り込まなかった』『外資にもうけさせただけ』などと、鈴木氏に対する批判の声があがっていた」と指摘したのはこのためだ(2019年5月2日の筆者記事「北海道版“モリカケ事件”!? 自民推薦の鈴木知事に中国系企業への利益供与疑惑  夕張市観光施設を格安で中国系企業に売却、その企業は転売で巨額利益!?」参照)。  鈴木知事の市長時代の決定で、結果的に中国系企業に10億円を貢ぐ形になったとしても、「長年の営業継続」の約束が香港系ファンドにも引き継がれていれば、地元に大打撃を与えることはなかっただろう。  しかし、突然のスキー場の営業停止で、雪質のいい歴史あるスキー場に常連客が通い続けることも、全国的に有名なインストラクターが指導する合宿・スキー留学などを継続することもできなくなってしまったのだ。  都庁職員として夕張に派遣された縁で市長選に出馬して初当選、そして2期8年の実績をアピールして知事となった鈴木氏にとって、夕張市は“第二の故郷”のような存在のはずだ。自らを政治家として育て上げてくれた地域がピンチに陥っても、自らの失敗を挽回すべく奔走しないというのは不可解だ。

「やっている感」演出でお茶を濁す鈴木知事

 
JR北海道石勝線(夕張支線)の夕張駅。現在は廃駅となっている

JR北海道石勝線(夕張支線)の夕張駅。2019年4月1日の夕張支線廃止とともに廃駅となった

その後ようやく、鈴木知事がこの問題について言及した。2020年12月28日の会見で、夕張リゾート経営破綻について「驚きとともにたいへん残念と思っている」と語り、次のように続けたのだ。 「年明け早々に夕張市と国と道と連携した中で、プロジェクトといったものを立ち上げられるように、いま準備をしているところです」  そこで年明けの1月21日に道庁を訪ねて、年明け早々に立ち上がっているはずのプロジェクトについて聞いてみると、「プログラムの間違いではないか」との回答。「夕張リゾート再生プロジェクトチーム」といった看板が掲げられた部屋で、夕張市と国と道の職員が活動を開始しているという私の予測は外れた。  結局、すでにある「雇用危機対策推進事業(緊急雇用対策プログラム)」を道庁がスタートさせたのは1月22日。その中身は、経営破綻で仕事を失った「離職者等の再就職の促進に向けた活動を支援」する弥縫策にすぎない。  夕張市内最大の雇用の受け皿だった「夕張リゾート(スキー場やホテル)」営業再開に向けた抜本的解決策ではまったくなかった。「『やっている感』演出でお茶を濁した」「自らの失敗への結果責任を取っていない」と批判されても当然だ。

鈴木知事は“第二の故郷”の危機を見て見ぬふりか、外資から取り戻すのか

 
スキー場とホテルの休業を伝える看板

スキー場とホテルの休業を伝える看板

 さらに鈴木知事は、1月22日に厚谷司・夕張市長から「地域の雇用と経済を守るための要望書」を受け取った。その場では「北海道としても、また私としても何ができるのかを考え、支えていきたい」と話したという。  鈴木知事がやるべきことは、市長時代の決定が招いた“最悪の事態”を元に戻すことだ。「長年の営業継続」の約束を破った中国系企業から転売益10億円を違約金として吐き出させ、将来の退職金や年収を担保にするなどして計15億円を何とか調達すれば、香港系ファンドから夕張リゾートを買い戻し、スキー場やホテルを再開させることができる。  地元の中核的な観光拠点であり、市内最大の雇用の受け皿でもある夕張リゾートを復活させることこそ鈴木知事の責務なのではないか。“第二の故郷”を踏み台にしただけで知らんぷりを続けるのか、それとも夕張の“宝”を外資から取り戻す先頭に立つのか。鈴木知事の真価が問われるのはこれからだ。 <文・写真/横田一>
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数、現デモクラシータイムス・横田一の現場直撃で活躍中。

古い記事であるが問題は何も解決していない。
鈴木知事は夕張を再起不能にした張本人だ。

夕張市のホームページより

アクセス良好!上質なパウダースノーが自慢の本格派スキー場

札幌から60キロメートル、新千歳空港から55キロメートルと日本各地や世界各国からのアクセス抜群なスキー場です。
最長滑走距離3,200メートル、最大斜度43度。オールニーズに特化した全17コースで、大人から子供まで楽しむことができます。
マウントレースイならではの上質なパウダースノーは、スキーヤーやスノーボーダーから根強い人気があり、夕張の冬を思う存分満喫できます。

初心者から上級者まで満足の全17コース

道内でも屈指の最大斜度43度を誇る超上級者向けコースや、初めてのスキーでも安心の初級者向けコースなど、あらゆるニーズに対応した全17コースです。


「パレスチナの現状に何も言わないなんてありえない」フェミニストでクィアの私が声を上げる理由

2024年02月23日 | 事件

「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」の皆本夏樹さんは、「小さな一つひとつの行動やあなたの声には力があります」と呼びかけた。

(クィアー性的マイノリティや、既存の性のカテゴリに当てはまらない人々の総称。LGBTQの「Q」にあたる。)

  Maya Nakata

2024年02月23日

ガザ地区南部ラファのアルナジャール病院で、イスラエル軍の砲撃で死亡した愛する人を悼む女性たち=MOHAMMED ABED / AFP(2月12日)

ガザ地区南部ラファのアルナジャール病院で、イスラエル軍の砲撃で死亡した愛する人を悼む女性たち=MOHAMMED ABED / AFP(2月12日)

関連記事>>「虐殺やめろ」「ラファに手を出すな」イスラエルのパレスチナ侵攻に抗議のデモ、全国で一斉開催

パレスチナの少女や女性に対して処刑やレイプなど深刻な人権侵害が報告されているとして、国連の専門家が警鐘を鳴らしている。

パレスチナ・ガザ地区では、必要不可欠な医療が受けられず、妊婦は麻酔なしで帝王切開しなければならない状況で、流産は300%増加したと報告されている。

「フェミニストとして、この状況に対して何も言わないとかありえない、という思いが根幹にあります」

そう話すのは、皆本夏樹さん。現在、「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」の一員として、イスラエルに停戦を求めるための活動を行っている。

「停戦だけでなく、パレスチナが解放されるまで行動し続ける」と話す皆本さんだが、攻撃が始まった2023年10月7日以前は、パレスチナのために何か活動したことはなかったという。

なぜ皆本さんは立ち上がり、市民の力を信じて行動し続けられるのか。

「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」の皆本夏樹さん

「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」の皆本夏樹さん

Maya Nakata/ハフポスト日本版

「知らせなきゃ」一人で始めた翻訳動画

皆本さんは大学でアラビア語を学んでいたこともあり、パレスチナのことはある程度知っていたが、具体的に自分で何か行動したことはなかったそうだ。

しかし2023年10月以降、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区の侵攻が一気に加速していく光景を画面を通して目の当たりにし、このままではダメだと思ったという。

当初は「ハマスが先に攻撃した」というナラティブが主流だった中、皆本さんは「違うでしょ。75年間、パレスチナはイスラエルによって占領されて、ずっと同じようなことが繰り返されてきたじゃん」と憤った。

「実際にパレスチナで何が起きているのかを、とにかく知らせなきゃと思って。毎日のようにインスタグラムで、パレスチナ人が英語で現状を話す動画に日本語字幕をつけて発信をしていました」

すると、周りでも翻訳動画を上げる人がだんだんと増えていき、パレスチナの人たちがこれまでに受け続けてきた抑圧について理解する人が増えていったという。

「私はフェミニストでクィアです。フェミニストでクィアであるということは、あらゆる女性、あらゆるクィアの人の解放を求めるということなんです」

イスラエルは「LGBTQフレンドリー」を謳っている。11月には「ガザに掲げられた最初のレインボーフラッグ」というコメントとともに、戦車の前でレインボーフラッグを掲げるイスラエル兵士の写真がX上に投稿された。日本のLGBTQ関連のイベントでも、イスラエル大使館は過去に後援ブース出展をしている。

 

 

「戦場に堂々と掲げられるレインボーフラッグなんて、ピンクウォッシュ以外の何物でもありません。このグロテスクさに対して、日本のクィアも声を上げる必然性はあると思っています」

皆本さんはパレスチナについて学ぶ講習会などを通して「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」と出会い、主体的にデモや抗議活動をするようになっていった。

市民の力を感じた瞬間

日本からパレスチナに連帯するために、何ができるだろう。皆本さんは、「プラスで何か手助けする前に、まず戦争に加担すること自体を止めないといけない」と考えた。

「日本にいるパレスチナ人の人たちにやらせるんじゃなくて、日本の市民として止める責任があると思ったんです」

そこで12月21日から、伊藤忠商事の子会社の伊藤忠アビエーションと日本エヤークラフトサプライがイスラエル軍事大手「エルビット・システムズ」と結んでいる協力覚書を破棄するよう、署名活動を始めた。

署名は1カ月も経たないうちに2万筆以上集まった。署名を両社に届けるとともに、2024年1月からは就活生に人気の高い伊藤忠商事に向けて就活イベントで抗議活動を行ったり、日本エヤークラフトサプライ社の前で協力覚書の破棄を訴えたりするなど、できる限りの抗議活動を行った。

日本エヤークラフトサプライ東京本社前で抗議活動をする皆本さん(左)

日本エヤークラフトサプライ東京本社前で抗議活動をする皆本さん(左)

Maya Nakata/ハフポスト日本版

その後、伊藤忠は2月5日、日本エヤークラフトサプライは2月9日に、エルビット・システムズとの協力覚書を2月中に終了すると発表した。

「とても大きい市民の勝利で、私たち市民にはちゃんと力があると思えました」

伊藤忠商事はハフポスト日本版の取材に、協力覚書を終了する理由として「国際司法裁判所(ICJ)による1月26日の暫定措置命令によるもの」と回答。皆本さんは、「それもまた、非常に意味があることだと思っています。ICJの判断を理由に企業が加担を止める前例を作ったことになりますから」と指摘した。

一方、「日本企業を日本の市民が止めるのは当たり前で、マイナス状態を少し0に近づけただけ」だと皆本さん。

「イスラエルによる虐殺はまだ全然止まっていません。イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ人約150万人が密集するラファへの地上侵攻を宣言しています。本当に、全力で止めないといけません」

ビジネスと人権の専門家の髙橋宗瑠大阪女学院大大学院教授は、「日本企業と提携しうるような大きなイスラエル企業との取引は、イスラエルのジェノサイドや植民地化に加担してしまう可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。

「日本政府は戦争犯罪をしている」

イスラエルによるパレスチナの占領や侵攻を止めるために、「BDS(ボイコット・ダイベストメント/投資引き上げ・サンクション/制裁)」運動が世界的に行われてきた。伊藤忠と日本エヤークラフトサプライのMOU破棄は市民と企業の動きであるボイコットと投資引き上げに当たるが、今後は日本政府に「制裁」を行うよう強く求めると皆本さん。

日本政府はUNRWA(ウンルワ)への資金拠出を停止しましたが、それが一体どういうことなのかわかっているのでしょうか。ガザ地区のパレスチナ人200万人の生活を支えている組織への資金提供を止めることは、戦争犯罪にあたり『集団的懲罰』だと批判されています」

UNRWAへの資金拠出の停止は「パレスチナの人々への集団懲罰だ」と訴えるノルウェーのエスペン・バルト・エイデ外相

UNRWAへの資金拠出の停止は「パレスチナの人々への集団懲罰だ」と訴えるノルウェーのエスペン・バルト・エイデ外相

10月7日以降にネタニヤフ首相がガザの電気、水、食料、衣料品を止めたこともまた、戦争犯罪の「集団的懲罰」にあたると人権団体や国連などが批判した。皆本さんは、「日本政府がやっていることは、イスラエル政府がしていることと同じだ」と指摘した。

「国際法を無視しても誰も処罰されないイスラエルと処罰しない国際社会は本当におかしいと思います。市民でなんとかするしかないんだったら、やるしかない。停戦だけでなく、パレスチナが解放されるまでBDSを続けます」

髙橋教授もまた、「イスラエル企業と取引をすれば儲かるという、そのシステムを変えなければいけません」と指摘した上で、「システムを変えるのは政府です。政府が政府間ボイコットや経済制裁に向けて動くべきです」と政府に行動を求めた。

「あなたの声には力がある」

最後に「みなさん、とにかく行動してください」と訴えた皆本さん。イスラエル産の農産物や、イスラエル企業や虐殺に加担している企業が作っている製品を買わないことや、デモや署名への参加を呼びかけた。

「そうした小さな一つひとつの行動やあなたの声には力があります」

2月26日午後2時からは、衆議院第二議員会館で国会議員にアクションを求める場が設けられるという。詳細はこちら

2月18日に全国で行われた「ラファに手を出すな!全国連帯デモ」

2月18日に全国で行われた「ラファに手を出すな!全国連帯デモ」

Maya Nakata/ハフポスト日本版


載せたい記事が次々と出てきて困ります。
取りあえず「人命」にかかわる問題を優先します。

次のような記事もありました。
もうアウトでしょう。

岸田首相と統一教会の「隠された関係」が発覚! 証拠写真も…「教祖夫妻が写った冊子を手に笑顔で記念撮影」  デイリー新潮

YAHOOニュース2/23(金) 

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb00f89bb87798017cdfdf9fb704857325ffaf39

午前中は良い天気でしたが・・・

西の空から怪しい雲。

やっぱり雪になってしまいました。


岸田首相「子育て増税」で年間1万円超の負担増!

2024年02月22日 | 生活

“森林税”“防衛増税”も国民に重たい負担

2024/02/22

『女性自身』編集部

「公的保険の加入者1人あたりの拠出額は、粗い試算で月平均500円弱になる。ただし、賃上げと歳出改革によって負担軽減を行うため、実質的な負担は生じない」

少子化対策の財源となる「子ども・子育て支援金」(以下、支援金)の負担額について、2月6日の衆議院予算委員会でそう述べた岸田文雄首相(66)。支援金とは、岸田首相が昨年ぶち上げた“異次元の少子化対策”に必要な財源のことだ。

年間3.6兆円のうち、約1兆円を個人や企業が支払う公的医療保険料に上乗せして徴収する。負担は2026年度から始まるという。岸田首相は「賃上げするから実質の負担は生じない」と繰り返すが、〈実質的な増税〉と今国会でも批判が高まっているのだ。

「負担額が500円と言いますが、加入している保険や年収によっては、もっと高くなることを隠して“ワンコイン”の少額ですと国民を欺くやり方です。そもそも、〈賃上げするから増税ではない〉という岸田首相の考えそのものがおかしいのです」

そう指摘するのは、元経済産業省の官僚で政治経済評論家の古賀茂明さん。

実際に、日本総合研究所の西沢和彦理事の試算によると、給料から天引きされる支援金の負担額(被保険者1人あたり)は、中小企業の社員などが加入する「協会けんぽ」で月1025円、大企業が加入する健保組合で月1472円、公務員などが加入する共済組合で月1637円程度となり、月額500円を大きく超える。年間では、1万2000~1万9000円もの負担増になる計算だ。

岸田首相が豪語するように、果たして賃上げや歳出改革で負担が抑えられるのか。

「賃上げされるか否かは、企業によっても個人によっても異なります。そもそも、現在、賃金が上がっている欧米諸国は、30年かけて企業の生産性を上げ、賃上げを実現してきました。日本は、この30年、人件費を削ることで国際競争力を維持しようとしてきた。1~2年の短期間なら賃上げできたとしても生産性や競争力を上げない限り、賃上げは続きません」(古賀さん)

むしろ、岸田首相が短期間での賃上げを声高に叫ぶことで、中小企業は倒産のラッシュになりかねないという。さらに歳出改革についても、「社会保障が、より一層削減されるだけ」と、古賀さん。

税と社会保障が専門の鹿児島大学教授の伊藤周平さんも、支援金制度は、「弱者にツケを回す“隠れ増税”だ」と、こう批判する。

保険制度は、保険料を納めた人が給付を受ける権利を有します。しかし支援金制度は、恩恵にあずからない人まで支払わなければならないので、事実上の増税です」

■所得が低い人ほど負担は重たく……

国民の負担増は「支援金」だけにとどまらない。

「2024年度から、市区町村や都道府県が森林を整備するための財源となる“森林環境税”が年額1千円徴収されます」(古賀さん)

さらに気がかりなのが、岸田首相が決定した“防衛費増額”の財源だ。2027年度までの5年間で、少なくとも総額43兆円が必要になる。岸田首相は14日の衆院予算委員会でも、「1兆円程度を国民の負担でお願いする」と、“増税”を示唆。

この財源は、どうなるのか。

「1兆円の財源については、いずれ消費増税などで賄われる可能性があります。しかし、昨年末に“裏金問題”が発覚したこともあって増税の議論が先延ばしされています」(伊藤さん)

現時点で決まっているのは、東日本大震災後に導入された“復興特別所得税”2.1%のうち1%を防衛費に充て、その分、徴収期間を最大13年間延長することだ。これにより年収500万円の世帯の場合、年間約1千円の負担増に。

そのうえ、改定されるごとに上がり続ける介護保険料も重くのしかかる。

「介護保険が始まった2000年当初、40~64歳の人が納める介護保険料は約2000円でしたが、毎年改定されて上がり続け、2024年度は1人あたりの平均が月6276円になる見込みです。65歳以上の方が納める保険料も、当初の2900円から現在は6000円超に。今後、高齢化が続くかぎり負担は増えていきます」(伊藤さん)

結果、2024年度からの40~64歳が納める保険料も前年度より年間2704円の負担増に。前述した支援金や、森林環境税、復興特別所得税などを合わせ、今後も介護保険料が同様のペースで上がっていった場合、2026年度以降の1人あたりの負担は、2023年度と比べて2万7776円も増えることになる。

伊藤さんは、「保険料の負担増ばかり目立つが、医療費の窓口負担や、介護サービスの利用料のアップも見逃せない」とこう続ける。

「後期高齢者の医療費の窓口負担は2022年度から年収200万円以上の単身世帯で2割に引き上げられました。介護サービスの利用料も、2027年度には同じ負担率になると予想されます」(伊藤さん)

さらに今年6月から、医療費の初診料が27円、再診料は12円(3割負担の場合)引き上げられる。

「ますます低所得者ほど医療や介護サービスが受けにくくなります。本来であれば、低所得者ほど比重が大きくなる保険料への上乗せや消費税ではなく、所得税や法人税などで賄うべきです」(伊藤さん)

一部の自民党議員たちに裏金を政治活動以外に使用していた“脱税疑惑”が出ているが、自民党はお手盛りの党内調査で幕引きをはかろうとしている。そんななかでの“増税”に、国民の怒りは爆発寸前だ。


もう爆発していますよ!
賃上げは物価高にかき消され、年金も上がると喜べば、それを上回る介護保険料の天引き。
「復興特別所得税”2.1%のうち1%を防衛費に」廻すペテンぶり。
裏金発覚で少しおとなしくしていればいいものを、「悪法」を次々と・・・
キシダ内閣打倒!!!

今日の天気予報は曇りだったのだが、一日中雪が降り続いた。
朝落としたホームタンクの雪が昼過ぎにはこのように積もっている。


防衛省の有識者会議、防衛費43兆円ではやっぱり足りない?

2024年02月21日 | 社会・経済

初会合でいきなり増額論「タブー視するな」

「東京新聞」2024年2月20日

   こちら特報部

 防衛省は19日、防衛力の抜本的な強化に関する有識者会議を設置し、初会合を開いた。座長に就任した榊原定征経団連名誉会長は、2023年度から5年間の防衛費を総額43兆円程度に増額する政府方針を巡り、円安や物価高などを踏まえてさらなる増額の可能性に言及した。林芳正官房長官は同日の記者会見で防衛費の見直しを否定した。(川田篤志)

◆物価や人件費高騰、為替変動を念頭

 榊原氏は会合で「昨今の物価や人件費の高騰、為替変動を考えると43兆円の枠の中で本当にできるのか見直す必要がある」と主張。その上で「見直しをタブー視せず、実効的な水準のあり方などを議論するべきでは」と提案した。ほかの委員からも増額の検討を求める意見が相次いだという。

 林氏は19日の記者会見で、榊原氏の発言に対し「あくまで有識者としての立場からの意見だと理解している」と説明。23年度から5年間の防衛費に関し「43兆円程度の規模を超えることなく防衛力の抜本的強化を実現する。見直しは考えていない」と述べた。岸田文雄首相は国会で、「必要な防衛力を用意するために積み上げた。この範囲内で強化する方針は変わらない」と答弁していた。

◆会合は一部除き非公開…後日に議事概要を公表

 有識者会議は、22年12月に閣議決定した国家防衛戦略で「戦略的・機動的な防衛政策の企画立案機能の強化」を目的に設立が明記されていた。今後は年数回ほど開き、識者の意見を政策に反映させる。この日の会合は終盤の榊原氏らのあいさつを除き非公開。後日、議事概要を公表するという。

⁂     ⁂     ⁂

 

強まる財界色 「読売」社長も

大軍拡推進の防衛省有識者会議

「しんぶん赤旗」2024年2月20日

 防衛省は19日、大軍拡推進のための有識者会議の初会合を開きました。安保3文書の一つである「国家防衛戦略」に、「宇宙・サイバー・電磁波の領域を含め、戦略的・機動的な防衛政策の企画立案が必要とされており、その機能を抜本的に強化」するために「有識者から政策的な助言を得るための会議体を設置する」と明記。その具体化です。

 安保3文書をめぐっては、政府は閣議決定前の2022年秋にも有識者会議を開催しています。メンバーを比較すると、前回は座長の佐々江賢一郎元駐米大使をはじめ、外交官やシンクタンク関係者、メディア幹部が目立ちましたが、今回は財界色が強まっています。

 座長には榊原定征・日本経団連名誉会長が就任。榊原氏は会長当時の2015年、安倍政権が推進していた安保法制の「今国会中の成立を期待」すると表明しています。また、メンバーには日本の軍需企業最大手・三菱重工や通信最大手・NTTの会長も加わっています。三菱重工は昨年11月の事業説明会で、長射程ミサイルや次期戦闘機、宇宙関連など、安保3文書に基づく大軍拡を請け負うことで、軍需部門の売上高が23年の年間5000億円から、29年度までに1兆円超の規模に拡大する計画を示しています。

 また、「読売」の山口寿一社長は前回に続いて、今回の有識者会議にも名を連ねました。山口氏は前回の会議で、憲法違反の敵基地攻撃能力配備を当然視。さらに「メディアにも防衛力強化の必要性について理解が広がるようにする責任がある」と発言し、軍拡容認の世論づくりを進める決意を示していました。


よくもこんなことをヌクヌクと・・・・

 さて、わたしは農業を始めたころから『資本論』の研究にも本格的に取り組んできた。課題は『「ゴータ綱領」批判』の有名な個所、社会主義社会を「労働におうじての社会」、高度な共産主義社会を「必要におうじての社会」と位置づけられたことへの「違和感」からであった。そして『資本論』においては資本主義を分析したものであり、どのように「社会主義」「共産主義」へと進むのかという課題には触れていないというのが「研究者」達の一般的な理解であった。わたしはこの見解にも納得できなかった。この膨大な著書の中で資本主義を分析した中には必ず「社会主義」「共産主義」への道が述べられているはずだ。そんな思いからの出発であった。

 すでに研究は終えており、確かな手ごたえを得ている。
そんなわけでこのブログでも披露させていただくことにした。
専門的な問題であり、興味を持つ人はあまりいないだろうと思う。
そこで、過去記事に上乗せすることで読みたい人だけが読めるようにした。
今年元旦から1月8日まで、要約する形で短く載せたのでわかりやすいと思う。
ぜひ読んでいただきたい。
ブログ内検索で「わたしの資本論研究」で出てきます。


神村和美 多喜二 没後91年に

2024年02月20日 | 生活

真実を語り よみがえらせる

「しんぶん赤旗」2024年2月20日【文化】

 虐げられている者の立場からペンを執り、日本の侵略戦争を食い止めるために闘った小林多喜二が虐殺されてから91年となる。「人が幸福になるにはどうすればいいんだろう」という「世界意識」の下に共産主義を信奉し、あるべき社会の到来のために邁進(まいしん)した多喜二だが、現在の世界は、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ戦争など、第3次世界大戦の始まりともおぼしき局面に突入し、彼の理想とは程遠い現実が展開されている。

 また、国内では、今年の元日から能登半島が大地震に見舞われ、SNSでは多くのデマ情報が飛び、現場の混乱を招いた。101年前の関東大震災の際も流言蜚語(ひご)が発生し、数々の虐殺事件が起きたことが即座に想起されよう。

 なお、現日本政府は当時の虐殺の記録は見当たらないとし、ネット上では虐殺をねつ造だとする匿名の主張さえみられる。そして今年1月、群馬では朝鮮人労働者追悼碑が破壊・撤去された。このように負の歴史を無視する動きが表面化している今、思い出されるのは、関東大震災の際に虐殺された平沢計七の追悼会を主催した山崎今朝彌(けさや)らに謝意を書き送った、弱冠20歳の多喜二の真摯(しんし)な姿である。

 20歳という年代は、現代でいう「Z世代」に該当する。多喜二の時代とは異なり、現代の「Z世代」の主な情報源はSNSやネット記事だということだが、これらが玉石混淆(こんこう)であることはいうまでもない。

 筆者も、ネット上で、多喜二の拷問死をねつ造だとする匿名投稿を見かけ、驚きと憤りをおぼえると同時に、若い世代へ多喜二を語り継ぐには、先立って偽情報を修正してゆく作業が必要であることを痛感した。晩年の多喜二もまた、運動に対する政府のデマに苦しめられ、虐殺後から敗戦までに至っては存在自体を抹殺されてきたことを顧みると、彼の真実を語り伝えることは、彼を語り誇ることのできる現代に生きている私たちの当然の使命のようにも思われてくる。

同じ轍踏まない

 ところで、多喜二を語ることが解禁された戦後の空気を鮮やかに描いた文学作品に、宮本百合子の「風知草」(1946)がある。主人公〈ひろ子〉は、ニュース映画「君たちは話すことが出来る」に映し出された多喜二の遺影に、遺体と対面した彼の母の姿を思い出し涙する。なお、このニュース映画についての叙述は、浅野辰雄監督「君たちは喋ることができる」(1946)を想定したものと思われる(奇遇であるが、浅野監督は筆者の母校―函館中部高校の先輩にあたる)。時代の良心として闘った人々を踏みにじり戦争へと突き進んだ国家の軌跡に、戦時下を生き抜いた党員たちの姿を重ねてゆく〈ひろ子〉の心象風景が印象深い作品である。最近の日本では、戦争の語られ方に変化が見られ始めたという。過去と同じ轍(てつ)を踏まないためにも、今こそ私たちは、侵略戦争反対に奔走した先人たちの犠牲を語らなくてはならない。

原点に立ち戻り

 また、ネット空間とは異なり、文学や演劇の世界では、多喜二は権力に屈しない眩(まぶ)しい存在として描出されることが多い。ちなみに昨年は、柳広司の小説「アンブレイカブル」(2021)が舞台化されている。このような表象は喜ばしいことであるが、やはり多喜二を正しく継承するために最も必要なのは、彼が命を賭して遺(のこ)した彼自身の文学作品を各々が読みこむことであろう。

 新たな戦争の時代への扉が開き、真偽の明らかでない情報が錯綜(さくそう)する混沌(こんとん)の世界で、人々に「――もう一度!」立ち上がる勇気を与え続けてくれる小林多喜二を甦(よみがえ)らせるためにも、このシンプルな原点に立ち戻り、彼が遺してくれたメッセージを多くの人と共有できるような道を模索していけたら、と考えている。

 (かみむら・かずみ 城西大学語学教育センター准教授)

 小林多喜二 作家。1903年、秋田県大館市で生まれ、07年、北海道・小樽に移住。小説「一九二八年三月十五日」「蟹工船」「党生活者」ほか。31年、日本プロレタリア作家同盟書記長就任。33年2月20日、官憲に虐殺される


わたしも横たわる多喜二の死後写真を見たが、太ももはキリで刺され真っ黒であった。こんな卑劣な拷問をかけても志を曲げず、仲間たちを守ったのだ。

宮本百合子の短文に「今日の命」というのがある。この最後の言葉が良い。わたしの座右の銘である。短いので全文紹介しておこう。

今日の生命

宮本百合子

 小林多喜二は、一九三三年二月二十日、築地警察で拷問された結果、内出血のために死んだ。
 小林多喜二の文学者としての活動が、どんなに当時の人々から高く評価され、愛されていたかということは、殺された小林多喜二の遺骸が杉並にあった住居へ運ばれてからの通夜の晩、集った人たちの種類から見ても分った。彼の作品を熱心によんでいた労働者、学生、文学上の同志たちに交って、思いもかけないような若い婦人たちも少なからず来た。これらの人々がその夜の通夜に来たという事実は全く独特な、日本らしい道を通って私に分ったのであった。
 警察は、殺した小林多喜二の猶生きつづける生命の力を畏れて、通夜に来る人々を片端から杉並警察署へ検束した。供えの花をもって行った私も検束された。「小林多喜二を何だと思って来た!」そう詰問された。「小林は日本に類の少い立派な作家だと思うから来ました」「何、作家だ?」背広を着た特高は、私をつかまえて引こんだ小林の家の前通りの空家の薄暗い裡で大きい声で云った。
「小林は共産党員じゃないか、人を馬鹿にするな!」
「そうかもしれないが、それより前に、小林多喜二は、立派な文学者ですよ」
「理屈なんかきいちゃいられない。サア、行くんだ」
 そして、杉並署へついて、留置場へ入れられかけた。留置場の女のところは一杯で、もう入れられないと、看守がことわった。「何だって、今夜はァあとからあとからつっちェくるんだ」と看守が不満そうに抗議した。留置場は一杯になっていた。小林多喜二のところへ来た人たちで、少くとも女の室は満員となっていた。私は、それで「帰れ、仕様がない」と帰されたのであった。
 一九三三年は前年に治安維持法が改悪されて、そのために進歩的な文化全面に、激しい動揺が生じていた。内心の恐怖を、文化・文学理論への批判という形にすりかえて、卑劣な内部崩壊が企てられていた。小林多喜二は、前年春から、不自由な生活を余儀なくされて暮しながら、文学者として可能な限り当時のこの腐敗的潮流と闘った。その間に「党生活者」その他の、日本民主文学の歴史的所産たる作品を生み出したのであった。
 当時、一部の文化人と云われる人々は、小林多喜二の貴重な生命が失われたことについて、一語も日本の警察の野蛮さ、無恥さについて憤らず、却って共産党が、あたら小林の才能を挫折させた、という風に批評した。小ざかしげなその種の文章が新聞にいくつも載った。
 執筆した人々は、今日生存しつづけている。どんな慙愧ざんきの念をもって、昨年十月初旬、治維法の撤廃された事実を見、初めて公表された日本支配権力の兇暴に面をうたれたことだろう。
 民主的な社会生活の根本には、人権の尊重という基底が横わっている。人権尊重ということは、正当な思想を抑圧して小林多喜二のような卓抜な一個の社会人・作家を撲殺するようなことが決して在ってはならないという通念を意味する。同時に、それを主体的に云えば、一個の社会人・芸術家は、自分の理性がさし示す歴史の前進の方向、情熱がさし示す純潔なる芸術生活への献身を、ひるむことなくわが身をもって実現する当然の自由をもっているのだということを自覚すべき責任があることをも示している。人間一個の価値を、最大に、最高に、最も多彩に美しく歴史のうちに発揮せよ。小林多喜二の文学者としての生涯は、日本の最悪の条件のなかにあって猶且つ、そのように生き貫いた典型の一つである。

〔一九四六年三月〕

「虐殺やめろ」「ラファに手を出すな」

2024年02月19日 | 事件

イスラエルのパレスチナ侵攻に抗議のデモ、全国で一斉開催

新宿駅前に集った参加者たちはデモの冒頭で、イスラエル軍の攻撃によって殺害されたパレスチナの人たちを悼み、黙祷を捧げた。
 
 

新宿駅前の抗議デモで「今すぐ停戦」と訴える参加者ら Maya Nakata

「誰も殺すな」「Free Palestine(パレスチナを解放せよ)」━。

イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ南部・ラファへの侵攻に抗議し、日本政府にイスラエルに対する経済制裁や停戦を求める「ラファに手を出すな!全国連帯デモ」が2月18日、札幌や東京、新潟、大阪、福岡など全国の20カ所以上で開催された。

ガザの人口約230万人のうち、140万人ほどが避難しているラファに対しイスラエル軍が空爆を行い、子どもを含む多数の市民が殺害されている

この日、東京・新宿駅前で行われたデモには約2000人(呼びかけ団体発表)が集まり、「今すぐ停戦」「虐殺やめろ」などと声を上げた。デモの冒頭で、参加者たちはイスラエルの攻撃で命を奪われたパレスチナの人たちを悼み、黙祷を捧げた。

「これは戦争ではなくジェノサイド」

ガザ侵攻を巡っては、イスラエルの軍事企業と提携する日本企業への抗議活動が広がっていた。

伊藤忠商事は2月5日、子会社の伊藤忠アビエーションとイスラエル軍事大手エルビット・システムズと締結していた協力覚書(MOU)を2月中に終了すると発表。さらに、日本エヤークラフトサプライも9日、エルビット・システムズとの協力覚書を2月末をめどに終えることを表明している

新宿であったデモの呼びかけ団体の一つで、伊藤忠商事や日本エヤークラフトサプライに対して契約破棄を求める署名キャンペーンに取り組んだ「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」の皆本夏樹さんは、2社がMOU終了を決定したことについて「私たちは市民の力で企業を動かしました。これは大きな勝利です」と語った。

一方で、皆本さんは「しかしガザの現実は刻一刻と悪くなっています」と続け、「日本政府は(イスラエルによるラファへの軍事行動について)懸念を示すだけで、停戦要求も経済制裁もしていません」と指摘した。

日本政府が、パレスチナ人の救済や人道支援にあたる「国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)」への資金拠出を停止したことに触れ、「これはイスラエルによる飢えを使った虐殺への加担であり、パレスチナ人に対する集団的懲罰、戦争犯罪です」と強調した。

別の参加者はスピーチで、「これは戦争ではありません。これはジェノサイドであり、民族浄化です」と訴えた。

 ラファへの軍事作戦に対し、国際社会で懸念の声が広がっているが、イスラエルのネタニヤフ首相は17日、ラファ侵攻を改めて宣言した

新宿駅前であったデモ。参加者たちは「Free Free Palestine」「今すぐ停戦」と声を張り上げた(2024年2月18日)

新宿駅前であったデモ。参加者たちは「Free Free Palestine」「今すぐ停戦」と声を張り上げた(2024年2月18日)HuffPost Japan

国連のマーティン・グリフィス事務次長(人道問題担当)は2月13日の声明で、「ガザの人口の半分以上(100万人を優に超える人)がラファに詰め込まれ、死を目の前にしている。食べるものもほとんどなく、医療的ケアもほぼ受けられず、寝る場所も安全な場所もない」と訴えた。

グリフィス氏は、ラファでの軍事作戦は虐殺につながる可能性があり、「ただでさえ脆弱な人道支援活動を死の扉へと追いやることにもなりかねない」と警鐘を鳴らした。

イスラエルによるガザ攻撃に抗議し、停戦を求める運動はイタリア、アメリカなど世界各地に広がっている。

茨城であったデモ。参加者たちは停戦を求め声を上げた

茨城であったデモ。参加者たちは停戦を求め声を上げた 参加者提供

愛媛県内で行われた抗議デモの参加者たち

愛媛県内で行われた抗議デモの参加者たち デモ参加者提供

イスラエルによるガザへの攻撃に抗議するデモ(イタリア・ローマ、2024年2月17日)

イスラエルによるガザへの攻撃に抗議するデモ(イタリア・ローマ、2024年2月17日)Anadolu via Getty Images

アメリカ・ワシントンDCで行われた「ラファのためのグローバル・マーチ」。即時停戦とアメリカによるイスラエル支援の停止を求め、国会議事堂に向かってデモ参加者が行進した(2024年2月17日)

アメリカ・ワシントンDCで行われた「ラファのためのグローバル・マーチ」。即時停戦とアメリカによるイスラエル支援の停止を求め、国会議事堂に向かってデモ参加者が行進した(2024年2月17日)Anadolu via Getty Images


このような重大局面でニッポンは裏金問題だ。いや、追及するなというのではない。徹底的にやって二度と政治家になれないようにしなければならない。自民党も潰さねばならない。

今日は10℃くらいまで気温が上がった。
今晩は雨になるという。
2月といえば一番寒いはずの月である。
明日も+気温のようだが、21日からはまた真冬日が続くようだ。

 


訪問介護 異例の報酬削減 小規模事業者、撤退の危機

2024年02月18日 | 生活

「東京新聞」2024年2月16日 

 「想定外で怒り心頭」「厚生労働省は現場を知らない」-。新年度からの介護報酬改定=表(上)=で、訪問介護の基本報酬が身体介護でも生活援助でも引き下げられ、介護現場から怒りや驚きの声が広がっている。同省はヘルパーの待遇を向上させるための高い加算を設けたと理解を求めるが、危機的な人手不足を緩和することはできるのか。 (五十住和樹)

◆ヘルパーが激減

 「物価高に追い打ちをかける報酬減は小規模事業者の息の根を止める。廃業が加速し、勤めていた高齢ヘルパーは他に移らず、引退する。独居高齢者は施設を探すしかなくなる」。介護事業者「NPOわかば」(東京都世田谷区)の辻本きく夫理事長(73)はこう見通す。約10年前は訪問介護が事業の8割を占めていたが、ヘルパーが激減し今は約2割に。障害福祉サービスで経営を支える。
 辻本さんによると、事業所数が多い同区でも従業員数20人以下が約7割を占め、廃業の危機は色濃い。サービス時間の短縮化で、利用者と向き合う時間がなく、やりがいを削られ、低賃金の業界に愛想を尽かすヘルパーも。今でさえ依頼があっても受けられない状態で、「訪問介護の崩壊は既に始まっている」。
 東京商工リサーチによると、昨年の訪問介護事業者の倒産は過去最多で60件、従業員数10人未満の小規模事業者が8割超を占めた。
 今月初め、介護事業者など363団体、介護職ら2千人以上の賛同を得て、関係団体などが基本報酬減額への抗議声明を公表。会見では「国はヘルパーは不要と言っている。現場は動揺している」などと訴えた。
 厚労省によると、基本報酬の削減は2015年以来。「介護事業経営実態調査」で、訪問介護の利益率が22年度決算で7・8%と、全サービス平均の2・4%を大きく上回ったことを根拠としている。

◆高利益率実態は

 だが、高い利益率には、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など同一建物内の利用者を効率よく訪問する事業者の収益が含まれる。訪問先への移動距離が長いなど大手事業者が避ける“もうからない”利用者は、小規模事業者が支えている場合が多く、両者を分けて調べないと実態がつかめないとの声は強い。報酬改定を議論した社会保障審議会介護給付費分科会でも問題になったが、同省は調査方法は変えないとしている。
 今回、介護報酬全体では1・59%のプラス改定で、うち0・98%を介護職員の賃上げに充てる。残りの0・61%の配分では、経営実態調査で利益率がマイナスだった特別養護老人ホームなど施設サービスに手厚かった。訪問介護について、同省は「人材確保に向け、処遇改善を最重要視した。加算も含めると全体ではプラス改定」と説明する。
 ただ、加算には職場環境改善などの条件があり、どの事業者も取れるわけではない。厚労省によると、全体の約1割に当たる約3千事業所が加算をまったく取っておらず、「事務作業が煩雑」などの理由を挙げている=同(下)。同省は研修会や相談員の派遣など伴走型の支援をして、加算取得を後押しする方針だ。
 社保審の分科会では、ほぼ2割の委員が訪問介護の基本報酬減額に異議や懸念を示した。委員の一人で「認知症の人と家族の会」代表理事の鎌田松代さん(66)は「小規模事業者を減らす改定に思える。訪問介護があってこそ軽度の認知症の人も1人暮らしが続けられ、介護離職を防ぐこともできる」と訴えた。
 

他人の懐には厳しいお偉方。
「賃上げ」をどのように考えておられるのか?


ガザ戦闘4カ月で、問われる日本の人道感覚

2024年02月17日 | 社会・経済

イスラエル軍需企業との協力終了 政府は難民機関への資金打ち切り

「東京新聞」2024年2月9日

     こちら特報部

 パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスとイスラエル軍の軍事衝突が始まってから7日で4カ月が過ぎた。ガザ保健当局によるとガザ側の死者は2万7000人を超えたが、停戦の見通しは立っていない。深刻な人道危機に対し、日本の政府や企業はどう向き合うのか。人道感覚が問われている。(木原育子、山田祐一郎)

◆伊藤忠「防衛省の依頼で自衛隊装備品」 防衛省は発注否定

 伊藤忠商事の鉢村剛(つよし)副社長は5日、決算記者会見で、イスラエルの軍事企業最大手「エルビット・システムズ」と結ぶ協力関係の覚書(MOU)について、2月中をめどに終了すると発表した。

 国際司法裁判所(ICJ)が1月下旬、ガザへの攻撃を続けるイスラエルに対し、ジェノサイド(民族大量虐殺)を防ぐ「全ての手段」を取るように暫定措置命令を出したことを踏まえたのだ、という。

  エルビット・システムズはイスラエル軍にドローンや武器を供給している。防衛装備品を取り扱う伊藤忠の子会社と日本エヤークラフトサプライ(NAS)は昨年3月、エルビット社とMOUを結んでいた。

 鉢村副社長は会見で、MOUについて、防衛省の依頼に基づき日本の安全保障に必要な自衛隊の防衛装備品の輸入が目的だと指摘。「イスラエルとパレスチナの紛争に一切関与するものではない」と強調した。

 どんな依頼だったか防衛省に尋ねると「こちら特報部」の取材に、「防衛省から依頼した事実はない」と回答。国として距離を取りたい姿勢が見え隠れした。

◆不買運動恐れた?「判断材料ではない」

 ガザ攻撃後、MOUに対して、市民団体が抗議活動を実施した。「『パレスチナ』を生きる人々を想(おも)う学生若者有志の会」は、約2万5000筆のオンライン署名を伊藤忠やNASに提出した。イスラム教徒が多いマレーシアでも、伊藤忠の子会社であるファミリマートの不買運動が起きた。

 これらの動きも影響を与えたのか。伊藤忠の広報部は「あくまでICJの判断と(それに対する)政府の談話を鑑みた結果だ」とし、「抗議活動があったことは承知しているが、判断材料になったということではない」と突き放した。NASの担当者は「取材等は受けていない」と答えた。

◆「市民にも世界を変える力がある」

 抗議活動をしてきた市民はどう思っているのか。

 作家の松下新土(しんど)さん(27)は「市民的不服従の歴史に残るほど大きな一歩」と力を込め、「ガザで起きていることは全員が加担者。絶対に止めないといけないと思ってやってきた」と振り返り、「抵抗に共感した人たちは社会的に非常に抑圧された、それぞれの痛みを抱えて生きる人たちだった。パレスチナの痛みに共鳴し、連帯した結果」と続けた。

 「有志の会」でオンライン署名を担当し、講演会を企画してきた皆本夏樹さん(25)も「私たち市民には世界を変える力があるって気づけた」と喜ぶ。

  「武器取引反対ネットワーク」代表の杉原浩司さん(58)は「不買運動などによる大きな成果だ。欧米の軍需企業が大軍拡に群がる中で、この日本でバリアーを築くことができた。NASへの圧力にもなる」と話す。

 ただ、昨年11月の伊藤忠本社前での抗議活動中、杉原さんが担当者に「虐殺に加担して恥ずかしくないのか」と問うと「恥ずかしくなんかないよ」という答えが返ってきたという。「あの言葉を忘れたことはない。伊藤忠はSDGsを掲げ、就職人気企業でも常に上位だが、今は理念と全くかけ離れている」と憤った。

◆国連職員がハマスの攻撃に関与?

 ICJが、イスラエルに対してジェノサイド防止を求める暫定措置命令を出した1月26日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の複数の職員が昨年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃に関与した疑いが浮上した。

    UNRWAはイスラエル政府からの情報提供に基づいて職員を解雇し、調査を始めたと明らかにした。米国がUNRWAへの資金拠出の停止を発表すると、英国やドイツ、カナダ、オーストラリアなども追随した。日本政府も28日、資金拠出の一時停止を表明した。

 UNRWAは1949年の設立以降、パレスチナ難民に食料や教育、医療などを提供してきた。慶応大の錦田愛子教授(中東政治・難民研究)は「イスラエル建国の際に生じたパレスチナ難民に特化した組織で、現在はパレスチナ自治区とヨルダン、レバノン、シリアで約590万人の難民を支援している」と説明する。「現在、ガザに対して多くのNGOが支援しているが、避難する場所の提供や人数の把握などUNRWAが中核となっている」

◆「今、ガザへの支援止まれば人命が失われる」

 UNRWAの運営費に占める国連の予算は全体の3%。大半を各国の拠出金でまかなう。2022年の予算で国別最多は米国の約3億ドル(約450億円)で運営費総額の3割に近い。日本は6番目の約3000万ドル。これらの国の拠出停止で活動が停滞する懸念が強まっている。「UNRWAの職員のリストは常に公開されてきた。なぜ疑惑がこのタイミングでイスラエルから情報提供されたのか」と錦田氏はいぶかしむ。

 「今、ガザで支援が止まれば、確実に人命が失われる。ICJがジェノサイド防止と人道支援の確保を求めたのと真逆の動きだ」と指摘するのは、同志社大の三牧聖子准教授(米国政治外交)。「ハマスが起こしたテロについて既にガザ市民に対し集団懲罰が与えられている。今回の資金拠出停止は、一部のUNRWA職員への疑惑で新たな集団懲罰を与えることになる」

  UNRWAの活動が止まれば影響はガザだけにとどまらないという。日本女子大の臼杵陽教授(中東研究)は「ヨルダンやレバノン、シリアの難民支援にも大きな支障を来す。米国からの圧力もあったのだろうが、ガザの問題を取り上げて全体への資金拠出停止を判断したのは釈然としない」と日本政府の判断に疑問を呈する。その上で「アラブ諸国の一般民衆には、米国の親イスラエル路線に対する不信感は強い。パレスチナ難民への支援が滞ることは、周辺地域の政治的体制が不安定となる恐れがある」と危ぶむ。

◆分断の世に「欧米同調」でいいのか?

 UNRWA職員がハマスの攻撃に直接参加するなどしていたら大きな問題だ。だが、事実関係が未確定の段階なのに、米国などは組織全体をテロ組織と見なすような対応をしている。

 東京外国語大の篠田英朗教授(国際関係論)は「親イスラエル諸国と反イスラエル諸国が同じ現実を見ながら、全く違う理解、反応をしている。分断が広がっており、深刻だ」とし、日本が取るべき立場をこう強調する。「日本は安全保障を米国に、石油輸入を中東に依存し、双方の間でバランスを取ってきた。だが今のような荒れた状況では、最低限の一貫性を保たなければ、双方の信用を失う。『国際社会の法の支配』を重視し、原則論に立って事実を分析した上で資金提供再開を見極める必要がある」

 前出の三牧氏は、欧州でもノルウェーなどには拠出金を追加する動きがあるとし、こう訴える。「人道的危機に加担する事態を日本政府はどう考えるのか。親イスラエルの米国やホロコーストの問題を抱えるドイツに追随するのが正しいのか。むしろ、これらの国が拠出をやめた分を埋めるような人道支援を考える局面ではないか」

◆デスクメモ

 伊藤忠はイスラエル軍の攻撃で多数のガザ市民が死亡している事実への評価はしていない。日本政府のUNRWAへの資金拠出停止も、影響を受ける人々の痛みへの配慮が不足している。平和、人権、法の支配。日本が本来よって立つべき基盤を自らないがしろにしていないか。(北)


世論の大きさを無視できなくなってきた。
声を上げることだ。

薄っすらまた雪


下水汚泥肥料には注意

2024年02月16日 | 自然・農業・環境問題

印鑰智哉ブログより2024/01/20

このままでは日本は汚染列島に。

 ウクライナへの戦争以降、化学肥料原料の不足・高騰が大問題となった。農水省は国交省と組んで、下水汚泥の肥料への活用を進め、全国の下水処理場でその施設の建設・増強が進み、安い下水汚泥肥料の利用が増えている。家庭菜園用に売られている肥料でも使われている可能性がある。

 でも、この下水汚泥肥料(コンポスト肥料)を使うと何が起きるか、すでにわかっていることがある。その土壌中にカドミウムや作物中のカドミウムが増える、そしていったん入ったカドミウムは簡単に消えていかなくなるとする報告がある⁽¹⁾。

  また地域のよっては放射性物質が下水汚泥に紛れ込む。政府は原発事故の後、下水汚泥の原料に許容される基準値をなんと400ベクレル/kgに緩和した。肥料の中には200ベクレルまで許される⁽²⁾。以前は100ベクレル越えたら放射性物質として隔離管理が必要なのではなかったか? この基準は原発事故後の2011年に設けられた。それから10年以上、変えられていない。

 そして、地域によっては高濃度のPFASが含まれている。いったんPFASに汚染された土壌を除染する技術は確立されていない。だからこそ、米国メイン州は下水汚泥の利用を禁止した⁽³⁾。それなのに日本ではまだ土壌のPFASの測定方法も確定しておらず、基準すら設けられていない。

 これらの汚染を取り除く技術がない以上、汚染させないことを至上命題に掲げなければならないのに、それもせず、基準も設けず、測定方法も確定していない段階で下水汚泥肥料を促進するのは間違っているのではないかと農水省に問うと、問題が出たら、考えますという対応だった。でも問題が出た時にはすでに遅いのだ。

 農水省からしたら、カドミウムを吸わないコメができたから、カドミウム汚染は大丈夫、他も同様にできるだろう、ということなのか? 重イオンビームや「ゲノム編集」を使って、そうした品種を開発するつもりだろうか? 私たちの食はみなそんな遺伝子が損傷した食ばかりとなるのか?

 しかし、そのようなテクノフィックス一本足打法はきわめて危うい。「コシヒカリ環1号」も交雑によって、カドミウムをほとんど吸収しない形質が失われる可能性があるからだ⁽⁴⁾。「カドミウムは吸収しないに違いない」と思っていたら汚染米になっている可能性がある。だからこそ、汚染させない政策と地域のカドミウム汚染を着実に減らしていく総合的な施策が不可欠になる。でも、汚染させない政策は麻痺し、汚染をなくすための総合的な施策はむしろ後退している。

 このままでは日本は汚染列島になってしまう。この政治を変える必要がある。


「献金」してくれる方しか向かない政権である。
国民の健康より「献行」。

さて、コンポスト、検査済みといって市販されているが果してどのような「検査」がなされているのか不明である。そもそも薬まみれの「糞尿」であることは容易に想像がつく。今は一般的ではなくなったが水銀入りの体温計など、壊れたら流しに流した人も。つまり、何が入っているのかわからないものが「コンポスト」なのだ。

 昨日は皮膚科へ行ってきたがたいへん混んでいた。友人とランチする予定が2時を過ぎてしまった。「玉藤」でとんかつ。ここの店ではないが札幌でサラリーマンをしていたころから暖簾をくぐったチェーン店だ。今は暖簾などないが。

夜は子、孫と回転ずしへ。
また体重が増えそうだ。


「佐藤優クロ現問題」でNHKに批判相次ぐ―世論分断工作に加担?

2024年02月14日 | 社会・経済

ウクライナ取材のジャーナリストが解説

志葉玲

NHKが、元外交官で作家の佐藤優氏のインタビューを報道番組『クローズアップ現代』やウェブニュースで大きく取り上げたことが、物議を醸しています(関連情報1 /関連情報2 )。極めて「ロシア寄り」とも受け取れる佐藤氏の主張を、そのまま取り上げてよいものなのか。公共放送であるNHKがプーチン大統領のウクライナ侵攻におけるプロパガンダを助長しているのではないか。ウクライナを取材した筆者の経験や識者達の懸念の声から、この問題を考察します。

〇クローズアップ現代での佐藤氏発言要約

『クローズアップ現代』(初回放送日: 2024年1月23日)やNHKニュースサイトでの佐藤氏の、ロシア及びウクライナ関連の発言は、要約すると以下のようなものでした。

・ロシアを一方的に“悪魔化”するのではなく、その内在的論理(相手が物事を判断するにあたって何を重要視しているかという、価値観や信念の体系)を把握すべき。

・ウクライナをめぐる問題は、同国東部に住む、ロシア語を話し「アイデンティティーとしてロシア人の要素が強い」という人々の処遇をめぐるものであり、最初は地域紛争だった。

・停戦はロシアが占領している地域を認めることにはならない。とにかく銃を置いて、そのあと、外交交渉で問題を解決していくべき。

こうした佐藤氏の主張を肯定的に受け止める方々もいるかもしれませんし、NHK側にもそう受け止めたスタッフがいたのでしょう。しかし、佐藤氏の主張は、プーチン大統領のプロパガンダに加担するものであり、後述するように、今回のNHKのスタンスについては、専門家やメディア関係者からも危惧する声が上がっているのです。

〇内在的論理を客観的事実とすり替えるな

佐藤氏の主張の最大の問題は、ウクライナ侵攻における客観的事実を、ロシアの内在的論理にすり替えて、論理展開していることです。具体的には、「ウクライナ東部のロシア人としての要素が強い人々の扱い」「ウクライナにおける問題は、最初は地域紛争だった」との部分が、その最たるものでしょう。これは、ウクライナにおける客観的事実というより、ロシアの内在的論理です。

「ウクライナ東部のロシア人としてのアイデンティティーが強い人々」については、ウクライナ国営通信「ウクルインフォルム」の日本語版編集者の平野高志氏は、「ロシアが用いる侵略正当化ナラティブ*(*筆者注:ナラティブとは物語のこと。この文脈では、プロパガンダに近い意味合い。)。実態はそんな単純ではない」と指摘しています。

この平野氏の指摘に筆者も同意します。よく「ウクライナ東部の人々のロシア人としてのアイデンティティー」云々が語られる際、現地でロシア語を話す人々が多いことが強調されます。しかし、実際にはほとんどのウクライナ人がウクライナ語とロシア語を話せますし、ロシア語を話すからといってウクライナよりロシアに帰属意識が強いかというと、そうではないことは、ウクライナ侵攻後の世論調査でロシアへの抵抗を支持する回答が圧倒的多数であることからも明らかです(関連情報)。こうした世論調査は、筆者の現地での取材での実感とも重なり、信頼できるものだと思われます。

〇ロシアの侵攻は2014年に既に始まっていた

佐藤氏の主張の「ウクライナにおける問題は、最初は地域紛争だった」という部分についても、平野氏は否定。「最初から露は侵略している」と指摘しており、こちらも筆者として平野氏に同意します。

佐藤氏の言う、「最初は地域紛争だった」という部分は2014年にウクライナで当時の親ロ政権が倒れたことを契機に同国東部で勃発したドンバス戦争を指しています。このドンバス戦争については、日本の報道でも「ウクライナ政府VS親ロシア派武装勢力の内戦」という文脈で語られることが少なくありませんが、親ロシア派武装勢力に兵器を供与し指揮したのはロシア側であり、またドンバス戦争の初期からロシア軍が越境してきてウクライナ側を攻撃しています。こうした経緯から、ウクライナの人々の多くは「ロシアの侵攻は2022年ではなく、2014年に既に始まっていた」と言います。

〇ウクライナ東部の人々を苦しめているのはプーチン大統領自身

ウクライナ侵攻においても、その動機の一つとして、プーチン大統領は「キエフ政権(=ウクライナ政府)に弾圧されている(ウクライナ東部の)ロシア人を救うため」と侵攻開始の演説の中で語っていますが、そもそも、ドンバス戦争によって、我が家を追われた人々の大半はウクライナ内で国内避難民となっており、その数は約150万人にものぼることを鑑みれば、ウクライナ東部の人々を苦境に追いやったのは、むしろロシア側、つまりプーチン大統領自身だと言うべきでしょう。昨年2月の現地取材で筆者がウクライナ首都キーウで会った避難民の女性は「ドンバス戦争で避難して、今回の侵攻でも、また避難。プーチンには、もうウンザリ」と話していました。

〇ジャーナリズムとプロパガンダには超えてはいけない一線がある

このように、佐藤氏がウクライナについてNHKに語ったことは「客観的事実」ではなく、「ロシアの内在的論理」です。NHKのニュースサイトでは、「佐藤氏は内在的論理を把握することで、外交交渉を的確に進められると考えている」と書いていますが、内在的論理を把握することと、内在的論理と客観的事実を混同すること(或いはすり替えること)は、全く意味が異なります。外交交渉を的確に進められるどころか、外交の方向性を根本から誤ることになりかねません。本件について、細谷雄一・慶應義塾大学教授(国際政治学)は、

「ジャーナリズムとプロパガンダの間には超えてはいけない一線があります(中略)色々な立場、色々な見解を伝えることは必要。プーチン大統領や金正恩委員長の演説を伝えることも必要。問題はそれをどう報じるか」

と旧ツイッター(X)に投稿していますが、筆者としても全く同感です。そして、今回のNHKのそれは、報道として超えてはいけない一線を超えてしまったのではないでしょうか。

〇「停戦」は一見、良い主張のように思えるが…

今回の佐藤氏の主張及びNHKの番組と記事の厄介なところは、一見、良いことを言っているようで、「ひっかかる」人々(NHKスタッフ含め)が、それなりにいるだろうということです。佐藤氏が自身の母親の沖縄戦での経験を語り、“命は何よりも大切”と訴えます。また、「ウクライナがロシアを打ち負かして東部地域やクリミアを取り戻すことは不可能。だから、ロシアとの付き合い方を考えていくべき」「とにかく停戦し、そのあとに外交交渉を」と主張します。ただ、ソフトな語り口ではありますが、要は佐藤氏は、ウクライナの抵抗を否定し、妥協を強いるものです。

こうしたものは、そうした層にも佐藤氏の主張は受け入れられる素地があります。日本のリベラル/左派の一部にも見られる主張です。確かに、ウクライナが反転攻勢でロシアから占領された地域を取り戻すことは、大変な困難と犠牲を伴うことは事実でしょう。しかし、佐藤氏や、日本の一部の左派/リベラルが主張する「即時停戦論」は、そもそも日本はロシアの戦争に加担しているという視点を決定的に欠いています。

〇まずはロシアへの戦費提供をやめろ

ロシアの最大の産業は石油や天然ガス、石炭といった化石燃料関連。これらが国家歳入の4割以上を占めています。そして、日本はほぼ100%の天然ガスを輸入に頼っていますが、その内、約1割がロシア産です。つまり、日本がロシア産の天然ガスを輸入することで、結果として、ウクライナ侵攻の戦費の一部も担ってしまっているという問題があります。

不幸中の幸い、あくまでロシア産天然ガスは、日本での需要全体からすればわずか。実際に欧州の国々がそうした取り組みを続けているように、日本としても、ロシア産天然ガスによるエネルギー消費を太陽光や風力などの再生可能エネルギーに置き換えていくべきです。

同様に、欧州が経済の「脱ロシア化」を進める中、ロシアにとって重要な貿易相手となっている中国やインド、トルコ等の国々に対しても、国連憲章違反の侵略戦争、民間人を攻撃する戦争犯罪に加担しないよう、対ロシア経済制裁に加わることを求めていく外交が重要です。そうして、ロシアが戦争を継続する力を断つ、プーチン大統領が戦争を続けたくてもできない状況にもっていくことが重要です。

こうした、非軍事でやれることもせず、ただただウクライナに妥協を強いることを「平和主義」だと考えているのであれば、それは大きな間違いです。また、ウクライナに妥協を求めるのならば、日本もまたロシアとの北方領土の返還を未だ実現できていないことを考慮すべきでしょう。

〇プーチン大統領は戦争をやめる気がない

そもそも、仮にウクライナ側が停戦しようとしても、プーチン大統領の目的は侵攻当初から現在も変わっていません。朝日新聞国際報道部の根本晃記者も

"露が当初キーウに攻め込み、未だに「非ナチ化」*(*筆者注:プーチン大統領の「非ナチ化」とは、ロシアと距離を置く政権をウクライナから排除することを意味する。)を掲げていることからも、民主的に選ばれた他国の政権を転覆させようとしているのは明らかかと。その状況で本当に「折り合い」がつけられるか"

と、旧ツイッター(X)上で疑問を呈しています。

そもそも、佐藤氏が「命を大事に」と語ること自体に筆者としては違和感を感じます。というのも、佐藤氏は別の媒体でロシア軍によるウクライナ中北部の都市ブチャでの虐殺について、

「ブチャに関しては、私は確信をもったことは言えない。というか、関心がない。要するに、戦時中における虐殺事件とか、強姦事件に関する報道は心理戦の一部」

「だから私は、そうした残虐行動に関しては、全部カッコのなかに入れることにしているのです。つまり、残虐行動というのは両方がやっている」

「私は、ブチャの死者は3通りいると思います。大多数は空爆の犠牲者。ウクライナ軍に協力し、民兵をやっていたか、情報を流していた人間。彼らはロシアに殺された。それから3番目は、アゾフ*(ウクライナ側の民兵組織。)に殺された人たち 」

等と語っています(関連記事)。ブチャでの虐殺は侵攻開始から間もない2022年3月、ロシア軍がブチャを占拠していた一か月弱の間に起きました。その翌月、筆者はウクライナ政府側のプレスツアーに参加することなく、独力で取材を行いましたが、被害者遺族の証言などを鑑みると、やはりロシア軍によって人々は非戦闘時に無意味に殺されたと観るべきでしょう。

〇NHKは日本の世論を分断する工作に加担?

筆者がこれまで見聞きしてきた範囲で言えば、陰謀論やフェイク情報は、知的探求心や感情、反骨精神に働きかける手法が多いような気がします。つまり、欧米諸国が過去にやってきたこと、現在のパレスチナ自治区ガザへの惨状に対する反発は多くの人々が抱えるものでしょう。そうした中、ウクライナを支えようという主流的な動きに対し疑問を呈し、あるいは異論を唱えることは、むしろ知的レベルが高い層(或いは、そのように自身を評価している層)にとってこそ、ひきつけられるものがあるのかもしれません。佐藤氏は非常に饒舌で、その独特の経歴からの吸引力があります。だから、今回のクローズアップ現代のように、佐藤氏をもてはやすメディア人が少なからずいるのでしょう。

確かに、何事に対しても疑問を持つこと、反骨精神を忘れないこと、それ自体は大切です。しかし、特に報道においては、あくまで事実こそが重要です。そして、加害者の側、普遍的な人権や法の支配を蔑ろにする側のナラティブに沿った発信は、それ自体が加害への加担だと断じられるべきです。

何より、筆者が紛争地取材で重要であると思うのは、攻撃されたり、抑圧されたりしている人々の側に立ち、現地の市民の声に真摯に耳を傾けることです。だからこそ、平和を語りつつも自分達が何をできるかは全く考えることすらなく、ただただウクライナの人々に妥協を強いるような主張は、非常にグロテスクに感じます。このような、欺瞞に満ちた「平和主義」は改められるどころか、ウクライナ侵攻から2年が経とうとする今、欧米の「ウクライナ支援疲れ」やロシアがあくまで強硬姿勢を貫く中で、むしろ、日本のメディアを浸食する恐れがあります。そして、それこそがプーチン大統領の思う壺なのです。

日本において、非常に影響力のある公共放送であるNHKの中でも、看板番組の一つとも言える「クローズアップ現代」が、今回、欺瞞に満ちた「平和主義」でプーチン大統領のプロパガンダを垂れ流したことは、極めて大きな問題でしょう。こうしたプーチン大領領側のプロパガンダに迎合するメディアを厳しく批判していくこと、そして、本当の意味での平和をいかに実現するかを模索することは、ジャーナリズムの重要な役割かと筆者は考えますし、今後も追及、発言していきます。


JTの子会社がロシアに戦闘機100機分の貢献? たばこ事業で多額の納税 ウクライナ「戦争支援企業だ」

「東京新聞」2024年2月11日 

より、一部抜粋

「JTIの(2020年度の)収益のうち36億ドル(当時の為替レートで約4000億円)が直接ロシアの国家予算に入った。これは、ほぼ毎日ウクライナの都市を恐怖に陥れているミサイルを搭載したロシア戦闘機100機の費用に相当する」

 昨年8月、ウクライナ国家汚職防止庁は、ロシアで事業を続けているJTの海外会社JTインターナショナル(JTI)を「戦争支援企業」のリストに加え、声明で強く非難した。

日系企業では、JTIが初めてリスト入りした。9月には工作機械メーカーのDMG森精機の子会社も指定された。

日本政府がJTの株式の3分の1を所有する特殊会社である

日本企業をみると、178社のうち、完全に撤退したのは9社で、撤退表明した14社を合わせても全体の1割強で、米国やドイツ、英国の3割程度と比べ、その比率は小さい。

ロシアの成長率は侵攻前の水準に戻り、経済は堅調だ。

確かに戦争が長引けば、早い「停戦」が求められる。
しかし、本質的な問題をスルーするわけにはいかない。

今日は日差しもあり、7℃まで上がった。
昨日はまだ路面にアイスバーンが残っていたが今日は無くなった。

明日は札幌に行ってきますので、たぶん更新はできないと思います。
またブレビユーが出ません。
記事がなくなる前に投稿します。