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非難轟轟の新型コロナ休校措置 家計負担1兆円増のデタラメ

2020年02月29日 | 社会・経済

  日刊ゲンダイDIGITAL 2020/02/29


    新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、安倍政権がいきなり打ち出した小中高の臨時休校に非難ゴウゴウだ。突然の要請に自治体は「場当たり的だ」と怒り心頭で、小学生を抱える共働き家庭では「子どもを放っておけないし、いきなり仕事も休めない」と右往左往。パートタイマーで家計を支える子育て家庭にとっては、休みは収入減に直結する。政府の後手後手対応で感染に怯え、食いぶちまで奪われたらやってられない。

 猛反発を食らった安倍首相は、28日の衆院予算委員会で「パートで働く皆さんは休むことになれば、その時の収入が減少する。政府で対応を検討する」とか言っていたが、口先だけだ。対策として浮上しているのが、従業員向けの休業手当などの一部を補助する雇用調整助成金の要件緩和案。この助成制度は、業績が悪化した企業が従業員を休業させた場合に賃金や休業手当の一部を補助するため支給する仕組み。新型コロナ禍で経営が苦しくなった企業にも支給する特例措置を1月から実施していて、要件をさらに緩和するという。
「加藤大臣から速やかに実施できるよう指示をいただいており、準備を進めています。ただ、対象は雇用保険加入者です」(厚労省職業安定局雇用開発企画課)

■雇用保険非加入者は泣き寝入り

 正社員は雇用保険に原則加入しているが、パートなどの非正規労働者の場合は一部だ。「加入者の就業形態は『一般』『高齢』『特例』でのみ調査している」(厚労省職業安定局雇用保険課)というが、2007年の厚労省調査によると、雇用保険に加入するパートは48・1%。非正規労働者全体でも60・0%に過ぎない。18年の非正規労働者は2120万人(労働力調査)で、平均年収は179万円(民間給与実態調査)。月給換算で14万9166円となり、3週間分は11万1874円だ。家計に入るはずだった1兆円がパーになる計算だ。
 そもそも、弱肉強食の新自由主義に傾倒する安倍政権は、転職しやすい労働市場の構築を成長戦略に掲げ、雇用調整助成金を大幅縮小。転職支援の助成金を拡充する原資に回してきた。内閣支持率急落に焦った揚げ句の弥縫策もスカスカ。国民をナメきっている。


安倍を逮捕せよ!
「コロナ恐慌」ではなく「アベノミクス恐慌」と呼びたい。

昨夜からの冷え込みが-20℃近かったが、今朝は-22.7℃まで下がった。天気予報は当たらず、晴れの天気だったが、日中の気温もさほど上がらず。

コロナもだんだんと近づいてきている感じがします。


75年前の失敗のツケを我々の手で清算しなければ

2020年02月28日 | 社会・経済

白井聡(政治学者)
日刊ゲンダイDIGITAL 公開日:2020/02/28


 どんな鈍い頭の持ち主にも、いまや点と線がつながったことがわかるだろう。安倍政権の本質は、「私物化」である。私物化はモリカケ問題だけのキーワードではない。モリカケ問題それ自体はつまらない事件だ。だが、それはこの本質が氷山の一角としてこの上なく明瞭に可視化された案件なのだ。より重大な、アベノミクス(GDPの改竄を含む)、北方領土問題、対米従属問題(沖縄米軍基地問題やトランプ大統領への媚態等々)、朝鮮半島危機への対応など、すべてはこの一語で説明できる。ここにあるのは、世襲によって譲り受けた権力を手段を選ばず維持するという原理だ。

 私物化は未来の日本人にも及ぶ。ピント外れの大学入試改革は、自らの学力と学歴に対する安倍の劣等感によって後押しされてきた。結果、入試制度そのものが、ベネッセを代表とする教育業界の政商の食い物にされ、台無しにされようとしている。
 総仕上げは検察の私物化であり、国家権力の究極的私物化だ。ここまでくれば明らかだ。安倍が私物化しているのは、権力や利権の一部分ではない。国家そのもの、つまり国土と国民を好きなように処分できる私物として取り扱っている。ゆえに、新型コロナウイルス問題への悲惨な対応も全く驚くべきものではない。国民の生命や健康を守ることになど、そもそも何の関心もないのである。

 国民の課題ははっきりしている。安倍を退陣させるだけでは不十分であり、しかるべき場所(牢獄)へと送り込まなければならない。そしてこの間この腐りきった権力を支えてきた政官法財学メディアの面々をリストアップし、処断せねばならない。75年前の失敗の根源は、国を破滅させた者どもを日本人が自らの手で罰しなかったことにある。その中に、あの「僕のおじいちゃん」(岸信介)もいた。そのツケをいまわれわれの手で清算しなければならないのである。


雨宮処凛がゆく! 第512回:相模原障害者施設殺傷事件、結審。2月17日、19日傍聴記〜植松被告は、最後に何を述べたのか〜

2020年02月28日 | 事件

  マガジン9 2020年2月26日

2月19日、相模原障害者施設殺傷事件の裁判が結審した。
 公判回数は、殺された19人の数より少なくわずか16回だった。うち8回を、私は傍聴した。
 これまでの裁判について、初公判はコラム第509回、1月20日、24日の傍聴記は第510回、2月5日、6日の傍聴記についてはイミダスへの緊急寄稿、また1月30日の植松被告との面会については、Buzz Feed Japanで書いたので読んでほしい。
 ということで今回は、2月17日と結審の19日の傍聴記をお届けしたい。
 2月17日、午前10時30分。横浜地裁101号法廷に入った途端、面食らった。証言台を囲うようにして、青みがかったグレーの遮蔽板が法廷の大部分を覆っていたからだ。遺族や被害者家族の姿が見えないよう、傍聴席の右半分が白い遮蔽板で覆われているだけでも圧迫感があるのに、今日は法廷までもが高い壁で覆われている。証言者が植松被告に姿を見られないようにと作られたその壁が、この事件の異様さを物語っている気がした。
    この日の法廷は、あの日、植松被告に一番最初に刺され、命を落とした19歳の美帆さんの母親の意見陳述で始まった。
 「私は美帆の母親です。美帆は12月の冬晴れの日に誕生しました。ひとつ上に兄がいて、待ちに待った女の子でした」
 母親は、はっきりとした声で陳述書を読み上げていく。3歳半で自閉症と診断されたこと。そのあとは本を読んだり講演会に行ったり、とにかく娘のことを理解しようと勉強したこと。いい先生や友人、ガイドヘルパー、ボランティアに恵まれて、人懐っこい子に育ったこと。音楽が好きで、特に「いきものがかり」が好きだったこと。9歳から大きなてんかん発作があったこと。家庭の事情で中学2年生から児童寮で生活するようになったこと。毎月会いに行くのが楽しみで、娘のためと思うと仕事も頑張れたこと。多い時には4つの仕事をかけもちしていたこと。美帆さんに言葉はないけれど、その笑顔はひまわりのようだったこと。
 そこまで読んで、母親は声に怒りを滲ませた。
 「(法廷で被告に)お母さんのことを思うといたたまれません、と言われて、むかつきました」
    6日の法廷で、被害者側の弁護士から「(美帆さんが)赤ん坊から骨になるまでの写真12枚を見ましたか」と問われ、植松被告は「長年育ててこられたお母様のことを思うと、いたたまれない気持ちになりました」と答えたのだ。が、そのように答える一方で、意思疎通のとれない障害者は安楽死させるべきという主張を法廷でも繰り返してきた。それはどれほど遺族の傷を深めるものだっただろう。母親は怒りで声を震わせるようにして、続けた。
 「考えも変えず、一ミリも謝罪された気がしません。痛みのない方法で殺せばよかったということなんでしょうか。冗談じゃないです。ふざけないでください。美帆にはもう、どんな方法でも会えないんです」
 そこから事件後、めちゃくちゃになった美帆さんの家族の状況が語られた。社交的だった祖母から消えた笑顔。体調を崩して入院した兄。母親自身も9キロも痩せたという。
 「私たち家族、美帆を愛してくれた周りの人たちは皆、あなたに殺されたのです。未来をすべて奪われたのです。美帆を返してください」
 悲痛な声が法廷に響く。
 「私は娘がいて、とても幸せでした。決して不幸ではなかったです。『不幸を作る』とか勝手に言わないでほしいです。私の娘はたまたま障害を持って生まれてきただけです。何も悪くありません。
 あなたの言葉を借りれば、あなたが不幸を作る人で、生産性のない生きている価値のない人間です。あなたこそが税金を無駄に使っています。あなたはいらない人間なのだから。あなたがいなくなれば、あなたに使っている税金を本当に困っている人にまわせます。
あなたが今、なぜ生きているのかわかりません。私の娘はいないのに、こんなひどいことをした人がなぜ生きているのかわかりません。なんであなたは1日3食ご飯を食べているのですか。具合が悪くなれば治療も受けられる。私の娘はもうこの世にいなくて何もできないのに。
 あなたが憎くて、憎くて、たまらない。八つ裂きにしてやりたい。極刑でも軽いと思う。どんな刑があなたに与えられても私は、あなたを絶対に許さない。許しません」
 「あなたに未来はいらないです。私は、あなたに極刑を望みます。一生、外に出ることなく人生を終えてください」
 美帆さんの母は、時に泣き叫ぶようにしながら必死に言葉を続けていた。陳述が終わると、法廷には一層激しい泣き声が響いた。吐き出すような、今まで聞いたどんな嗚咽よりも苦しげな嗚咽だった。植松被告はそれをどんな思いで聞いていたのだろう。メモをとっていた視線を植松被告に移したが、表情に特に変化は見られなかった。
 そうして、証言台を覆っていた壁が外された。
 そこから80分、検察からの論告が始まった。
 「社会を震撼させ、障害者や家族、施設職員に大きな不安を与えた」「このような犯罪が決して許されないことを社会に毅然と示す必要がある」とし、また法廷で「意思疎通がとれない障害者は殺したほうがいい」という主張を繰り返したことについて「遺族や被害者家族の感情を踏みにじっており、更生可能性も皆無」として、死刑が求刑された。
 その日の午後の法廷では、被害者側の弁護士からも死刑を求める遺族の声が伝えられた。
 以下、法廷で伝えられた遺族らの言葉だ。
 「死刑が選択されるべき。しかし簡単に死刑にしても償いにならない」
 「1ヶ月半の裁判で、『考えが間違っていた』と最後まで聞けなかった。重度障害者はいらないと言われ、何度も傷ついている。三年以上経っても、いまだに苦しんでいる。被告にも苦しんでほしい」
 「反省がない以上、社会に出れば重度障害者を狙う。更生の可能性はない。終身刑を課して、一生苦しんでほしい。しかし、日本には終身刑はない。無期懲役で仮出所が認められれば出られる。だから無期懲役ではなく、死刑を求めます」
 「(被告がやったことは)ただの虐殺。自分の命が奪われる時、わかる。死刑しか考えられない。すみやかな執行を」
14時、閉廷。
 2月19日、結審の日。
 午前10時30分から弁護側の最終弁論が延々と続き、被告は大麻精神病により心神喪失か心神耗弱状態だった、と無罪か減刑を改めて主張。
 そうして最後、植松に最終意見陳述の機会が与えられた。
 17日、美帆さん母親の陳述が終わってからはやたらと傍聴席を見渡すなどキョロキョロしていた植松被告だが、結審であるこの日はさすがにそのような態度はなく、真面目な顔で弁護側の最終弁論を聞いていた。そうして発言を許可された植松被告は証言台に立った。
 これが法廷で意見を述べる最後のチャンスだ。これまで自分の事件を正当化することばかり言ってきた植松被告だが、ここで心からの謝罪があるのかもしれない。
 法廷中の人間が固唾を飲んで植松被告の言葉を待った。
「恐縮ですが、3つあります」
 植松被告は、はっきりと言うと、続けた。
 「ひとつは、ヤクザは、お祭り、ラブホテル、タピオカ、芸能界など様々な仕事をしています」
 思わず傍聴席の椅子からずり落ちそうになった。タピオカ? しかし、植松被告は堂々とした様子で話し続けている。
 「ヤクザは気合いが入った実業家なので、罪を重くすれば犯罪がなくなります。しかし、つかまるのは下っ端なので、司法取引で終身刑にすればいいと思います。刑務所の中で幸せを追求することはできます。その方が生産性が上がります」
 「ふたつめ、どんな判決でも、控訴しません。
 一審でも長いと思いました。文句ではなく、とても疲れるので、負の感情が生まれます。
貴重なお時間、申し訳ありません」
 「三つめ 重度障害者の親は、すぐ死ぬと気づきました。寝たきりだと楽ですが、手に負えない障害者もいます。病は気からなので、人生に疲れて死んでしまう」
 間髪入れず、続けた。
 「日本は世界から吸血国家と言われています。借金が1110兆円になったと2月11日に報道されました。知らなかったでは済まされません。
 文句を言わずおつきあい頂いた33人(刺された人数43人の間違い?)の家族と被害者を尊敬します。
 最後になりますが、この裁判の争点は、自分が意思疎通がとれなくなることを考えることだと思います。
 ご静聴、まことにありがとうございました」
 そうして16日目に及ぶ「植松劇場」は終わった。
結局、彼の考えが変わることはなかった。遺族の涙の訴えにも、動揺を見せることはなかった。
 最後の発言は、「意思疎通がとれなくなったらどうするか、俺の事件を問題提起としてみんな考えろ」ということだろうか。
 裁判が結審した今、非常に残念なのは、「施設のあり方」「やまゆり園での支援のあり方」について、法廷ではほとんど触れられなかったことだ。
 やまゆり園で働き始めた頃、植松被告は障害者を「かわいい」と言い、やりがいがある、今の仕事は天職だ、と友人や後輩に語っていた。が、ある時期から「かわいそう」「食事もドロドロ」「車椅子に縛り付けられていてかわいそう」と言い始め、そこから突然「殺す」に飛躍している。この間に、一体何があったのか。
 例えば第9回の公判で、植松被告は差別的な考えを持つようになった経緯について、他の職員の言動を挙げている。入所者に命令口調で話す職員。また、暴力をふるっている者もいると耳にしたという。それだけではない。「入浴の時、大の大人が裸で走っていた。口調は命令口調で、食事は流動食を流し込んでいた」と話している。職員の暴力については良くないと思ったが、「2、3年やればわかるよ」と言われたと述べている。2、3年経てば、暴力を振るう気持ちがお前にも理解できるよ、ということだろう。それを受け、植松被告は食事を食べない入所者の鼻先を小突いたりするようになったという。
 ここは、事件につながる大きなポイントだと思う。しかし、裁判では、施設の問題にはこの部分くらいしか触れられていない。
裁判が結審した翌日の2月20日、知的障害者の当事者団体「ピープルファーストジャパン」は、神奈川県の黒岩祐治知事に要望書を提出。ピープルファースト横浜の小西勉会長は、「なぜ事件が起きたか裁判で明らかになっていない。今も不安や恐怖が消えない」と訴えた。要望書は「やまゆり園の支援実態を検証する」「当事者抜きに生活の場を決めない」「障害者は人間であり、幸せをつくることができる」などの四項目からなるという(神奈川新聞2月21日より)。
 判決は、3月16日に出る。


【本日2本目記事】もはや税金製造機と化した日本国民

2020年02月27日 | 社会・経済

過去最高の負担率に怒りの声
  MAG2NEWS2020.02.27


 財務省は26日、令和2年度の国民所得に占める税と社会保障負担比率を示す「国民負担率」が過去最高の44.6%になる見通しだとNHK、日本経済新聞などが報じた。 

 昭和45年度には24.3%だったが、社会保険料の増加や消費税率の引き上げなどが原因で上昇を続けている。潜在的な国民負担率は49.9%にものぼり、それ相応の社会保障が受けられていない日本国民にとっては絶望的な数字となっている。ネット上では、この発表に怒りの声が多くあがっているようだ。
@nhk_seikatsu


「国民負担率」新年度は44.6%と過去最高の見通し|NHKニュース

国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合を示す「国民負担率」は、消費税率が引き上げられた影響などで新年度には44.6%となり、過去最高となる見通しです。 
https://www3.nhk.or.jp/news/html/2020
国民負担率とは?
国民負担率」は、国民の所得に占める税金や社会保険料の割合のことで、負担の重さを国際比較する際の指標のひとつ。フランスやスウェーデンは日本よりも負担率が高いが、それだけ社会保障のサービスも充実している。たとえばフランスでは、2人以上の子どもを扶養する全世帯に向けた「家族手当」や勤続2年以上の従業員が出産を理由に退職または時短勤務をする場合の「就業自由選択補足手当」、収入が少ない者への「積極的連帯所得」もある。スウェーデンでは、なんと18歳以下の医療費が無料、小学校から大学までの授業料も無料で、さらに保育園にかかる費用の大半も負担してくれるという。国民負担率は「高い」「低い」で良し悪しを判断するのではなく、負担額に見合ったサービスが受けられるかどうかで判断する必要がある。

我が日本の「大失敗」
 前年度から0.7ポイントも上昇した原因として、消費増税による税金負担の増加や「給与所得控除」などの金額が見直されることが挙げられる。国民負担率は1970年に24.3%、1980年に30.5%、1990年に38.4%、2000年に36.0%、2010年に37.2%、第二次安倍政権がスタートした2012年に39.8%、2014年に42.1%。国民負担率が40%を超えるのは7年連続のことだ。国民負担率が上昇を続けるなか、先日介護保険料の値上げと高齢者の負担額増加が発表されている。つまり「相応の社会保障」というものからは、どんどんと遠ざかっているのが日本の現状だ。
 社会保障の負担が増えるのも、少子高齢化が進む日本では仕方がないことなのかもしれない。しかし、こんな国になってしまったのは、子どもを産みにくい・育てにくいルール(制度)を政治家や官僚たちによって推し進められたことが原因であることは明白だ。彼らは今後も、国民の負担を増やし続け、目先のカネを補充するだろう。それだけでは景気は悪化の一途をたどるだけだと、なぜ国際社会から学ばないのだろうか。既得権益層への優遇ばかりに全力を注ぎ、将来を見越した判断ができるトップを立てることが出来なかったことは、我々国民の「失敗」といえるのではないだろうか。悔いるばかりではなく、まずは毎回「選挙」へ行くことから始めたい。


「世界同時株安」コロナ恐慌 直ちに必要なのは大型減税

2020年02月27日 | 社会・経済

   日刊ゲンダイDIGITAL 2020/02/26


    遅きに失した感は否めない。新型コロナウイルスの感染者拡大を受け、政府は25日、首相官邸で「新型コロナウイルス感染症対策本部」(本部長・安倍首相)の会議を開き、感染拡大防止策と医療提供体制の整備を柱とする総合的な基本方針を取りまとめた。

 24日の専門家会議で検討した内容が主な柱。今後、患者が大幅に増える地域が出た場合、一般の医療機関でも診療時間や通り道を区別するなどの対策を取った上で、感染が疑われる人を受け入れることや、重症者を優先的に診る医療機関などの整備を構築するよう自治体などに求めるとした。

 新型コロナ感染拡大を防ぐためには、今が「重要な局面」と強調していた安倍。対策本部の会議でも「対策チームを編成し、集団感染が発生している自治体を支援する」「患者の増加スピードを可能な限り抑制し、国内での流行を抑えることが重要だ。患者クラスターへの対策を抜本的に強化する」「今がまさに感染の流行を早期に収束させるために極めて重要な時期だ」などと発言していたが、正直言って今まで何をしていたのか。
    今のように全国あちこちで感染者を出さないために政府は何度も対策会議を開いてきたのではないのか。先手先手と国民にPRしていた対応とは一体、何だったのか。今ごろ、ようやく「基本方針」が決まるなんて、後手後手だったと認めているようなものだ。

■場当たり的な対応が事態を深刻化させた

    「保険適用になる。報酬単価を決める作業を進め、いつでもスタートできるようにしたい」

 25日の衆院予算委の分科会で、加藤厚労相は新型コロナウイルス感染の有無を調べるための検査(リアルタイムPCR法)について、現在の「行政検査」から、公的医療保険の適用対象にする考えを表明。これによって、一般の医療機関でも診断や治療のためのPCR検査が容易にできるようになるわけだが、この判断だって遅過ぎると言わざるを得ない。
    PCR検査の体制がもっと早い段階で構築できていれば、横浜港に停泊した大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に隔離された乗客乗員だって、もっと早く大人数の検査ができていた。そうすれば船内での感染爆発のような最悪の状況は避けられたに違いない。政府側は対応の遅れについて「未知のウイルスだから」などと言い訳しているが、中国・湖北省武漢市で新型コロナウイルスの流行が確認されてから、すでに2カ月以上も経っているのだ。

 日本国内での感染拡大を防ぐために打つべき手だてはいくらでもあったのに、安倍は対策本部会議にアリバイ程度に顔を出すだけ。他の閣僚も新年会などを優先して欠席していたのだから、まるで危機意識ゼロ。安倍は「悪夢の民主党政権」などと批判していたが、今の新型コロナウイルスに対する政府対応を見ていると、安倍政権は「悪夢」どころか、「悪政」そのものだ。元東京都衛生局職員で、医事ジャーナリストの志村岳氏がこう言う。 
「官邸、厚労省、医療現場……の各セクションがバラバラで意思統一がされていない。そのため、臨機応変に機動的に動けない。今ごろ、専門家を交えて会議して方針なんて世界が笑っていますよ。方針を作らないより作るほうがいいに決まっていますが、内容を見ると『とりあえず』という感じ。おそらく、どこから何から手を付けていいのか分からないのでしょう。本来は医療知識に乏しい政治家が前に出るのではなく、早い段階で専門家に任せればよかった。後手後手の場当たり的な対応が事態を深刻化させたのです」

連鎖が連鎖を生む世界同時株安で最も影響を受けるのは日本経済だ
 新型コロナウイルスに対する、これ以上の後手後手の対応はもはや許されないが、経済対策も同じだ。連休明けとなった、25日の東京株式市場は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大への警戒感から全面安の展開。日経平均株価(225種)は前週末終値からの下げ幅が一時1000円超となり、取引時間中としては2019年10月以来、約4カ月ぶりの安値を付けた。

 下落の引き金となった米国市場では、昨年12月中旬以降の株価上昇が1日で消し飛んだ。先週まで2万9000ドル前後の高値圏を維持していた米ダウ工業株30種平均は24日、前週末比で1031・61ドル(3・6%)安となり、下げ幅としては過去3番目を記録。欧州市場でも、イタリアやドイツ、英国などで軒並み下落し、新型肺炎による死者数が2600人を超えた中国の上海市場も“コロナ恐慌”が直撃した。

 まさに連鎖が連鎖を生む世界同時株安の展開だが、とりわけダメージが大きいのは日本だろう。東京商工リサーチによると、25日、愛知県蒲郡市の旅館「冨士見荘」が中国人訪日客の激減を理由に経営破綻したことが明らかになったが、民間シンクタンクの試算だと、訪日中国人客が100万人減っただけで日本国内の消費は2000億円も減るという。
    さらに今や、ミクロネシアやトンガ、イスラエル、韓国、タイ……など、中国以外の国々も日本への渡航抑制を呼び掛けているから、苦境に追い込まれるホテル・旅館が全国で相次ぐ可能性も出てくる。

 2月1~14日の山陽新幹線の利用者数が、前年同期比12%減った「JR西日本」や、中国路線の運休・減便が続く「日本航空」や「ANAホールディングス」などの鉄道、航空業界も影響は避けられない。

■マレーシアは政権交代で消費税を廃止した

 それでなくても日本は今、昨年10月の消費増税を機に個人消費の低迷が続いているのだ。昨年10~12月期のGDP(国内総生産)は速報値で年率6・3%減の大幅マイナス。落ち込み幅は14年4月の消費税率が8%に引き上げられた直後(年率7・4%減)に次ぐ。
   そして厚労省は今回、新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として、不要不急の外出を控えることや、多くの人が集まる大規模イベント開催の自粛を呼び掛けている。同省は「政府として一律の自粛要請を行うものではない」と説明しているが、実際に全国各地でイベントの中止や延期の動きが広がっているから、インバウンド業界だけではなく、観光地や飲食業、繁華街などにも消費不況の波は広がるだろう。

 WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)に備える必要があるとの見解を示したが、このままだと、同時並行で“破綻”が進行している日本経済もまた奈落の底にまっしぐらだ。

    「有権者は(昨年10月の)消費税率10%の引き上げで大きく影響を受けている。対案として消費税は減税、もしくは廃止を大きく主張していきたい」
れいわ新選組の山本太郎代表は、景気浮揚のための手段として消費税の減税や廃止――を訴えているが、もはや、日本がコロナ恐慌を免れるためには大型減税が必要なのではないか。立正大客員教授の浦野広明氏(税法)がこう言う。

   「消費税率10%の引き上げ以降、倒産の危機に瀕している中小企業は少なくない。私は緊急の経済対策が必要であり、消費税率引き下げや廃止をするべきだと考えています。政権交代で消費税を廃止したマレーシアと同様、法律で消費税法の規定を適用しないと決めればいいだけ。早くしないと連鎖倒産のような状況に陥るかもしれません」

 直ちに必要なのは減税と安倍政権の退陣だ。


作家・中村文則氏 国民の命にまで…安倍政権はもう限界だ

2020年02月26日 | 社会・経済

日刊ゲンダイ 2020/02/26 
   中村文則氏(作家


 以前のモリカケ問題の時、政権に好意的な人たちも、首相たちの言い訳が全て本当と思った人は少なかったのではないか。政権を表面的には擁護しながらも、首相たちもまあ反省するからよくなると思った人もいたのではないか。だが反省も何もなく、むしろ悪化し現在の桜問題につながった。

 モリカケの時、こんな言い訳をする首相を各国首脳は信用できないし、拉致問題も北方領土も解決するわけがないと思ったがやはりそうだった。忠犬と見間違うほどみっともない一部マスコミを使い盛り上げ期待させ、現実は何も進んでないばかりか後退した。「外交の安倍」と持ち上げていた記者たちは今どんな顔でご飯を食べているのだろう。

 そして今回の新型肺炎の杜撰な対応。クルーズ船での現場のスタッフたちは懸命に働いたはずで頭が下がるが、初めに全員検査をしなかった国の方針が完全に間違っていたため悲惨な結果になった。海外メディアも船周辺に集結し、世界に恥をさらした。世界中の専門家たちが間違っていると指摘する中で、適切だったとモリカケや桜問題と同じように政権は言い、結果船内から死者を出し下りた乗客の方に陽性反応が出た。そしてモリカケと同じように反省もせず改善も成長もせず、適切適切と言いながらまた次の惨劇を生むだろう。
 拉致問題と同じようにやってるイメージだけまき散らし、メディアや応援団を巧妙に使いクルーズ船をはじめとした新型肺炎の対応の不備も誤魔化し続け嘘もつき続けるのではないか。税金をドブに捨てるほどの無駄遣い、国家の私物化の領域を越え、とうとう国民の生命の危機の領域まで現政権の弊害が入り込んできた。保健所で新型肺炎の検査が拒否されているという各地の訴えは何を意味するのか。一体何をやっているのか。

 もうマスコミは忖度するな。実体よりイメージを優先するこの政権はもう限界だし、そもそも誕生するべきではなかった。


湧き水汲み
水量が少ない。いっぱいになるまでここの階段を上がり降りし、足腰の鍛錬。


新型コロナウイルスの経済危機に備える

2020年02月25日 | 社会・経済

ー宿泊・飲食サービス業従事者の危機を乗り越えるためにー
   藤田孝典  | NPO法人ほっとプラス理事 聖学院大学心理福祉学部客員准教授 

    YAHOO!ニュース 2/23(日) 

アメリカ国務省が日本への渡航の自粛要請や注意喚起
    衝撃的なニュース報道がなされている。アメリカ国務省が訪日について注意喚起を行なっている。 
これによって訪日観光客は激減することが予想される。他にも台湾がすでに注意を喚起しており、他国も順次、日本への渡航の延期や自粛を促していくと見られている。 
アメリカ 日本への渡航レベルを1段階引き上げ 
    アメリカ国務省は、日本国内で新型コロナウイルスの感染経路が分からないケースが相次いでいるとして、日本への渡航情報を4段階のうちいちばん低いレベルから1段階引き上げ、高齢者や持病のある人は不要不急の場合、渡航の延期を検討するよう呼びかけています。 
    アメリカ国務省は22日、日本を対象にした渡航情報を4段階あるうちで最も低い一般的な注意を呼びかける「レベル1」から、より注意を要する「レベル2」に1段階引き上げました。 
国務省はホームページ上で、「日本ではどこでどうやって感染したか分からないまま感染拡大が続いている」としています。 
そのうえで、高齢者や持病のある人は重症化するリスクが高いため、日本に渡航する場合は医師などと相談し、不要不急の場合、渡航の延期を検討するよう呼びかけています。 
    また、アメリカ国務省は22日、韓国についても感染経路の分からない感染拡大が続いているとして、渡航情報を日本と同じ「レベル2」に引き上げました。 
「レベル2」は渡航の中止や退避まで呼びかけるものではなく、日本とアメリカの間の渡航に直接の影響はないとみられていますが、アメリカは20日にも東アジアでのクルーズ船の利用について再検討を求める勧告を出していて、新型コロナウイルスの感染拡大に警戒を強めています。 
米CDCも渡航を注意 
    アメリカCDC=疾病対策センターは22日、各国への渡航情報を更新し、日本国内で新型コロナウイルスの感染経路が特定できていないケースが継続的に起きているとして、3段階ある注意情報を2番目の「レベル2」に引き上げました。 
    CDCは、日本への旅行中は病気の人に接することを避け、手洗いやアルコール消毒をこまめに行うよう注意を呼びかけているほか、高齢者や持病のある人は不要不急の旅行の延期や中止を検討するよう求めています。 
(出典:NHK アメリカ 日本への渡航レベルを1段階引き上げ 2020年2月23日)
訪日外国人旅行者数の増加から一転急激な減少へ
    2019年に日本を訪れた外国人観光客は、約3188万人に及んだ。 
リーマンショック、東日本大震災などの危機から観光業は立ち直りを見せ、インバウンド効果も含めて、多くの雇用を生み出している。 
それらの従業員の努力により、中国、韓国、台湾、香港などのアジア各国だけでなく、欧米からも旅行客を広く受け入れてきた。 

    しかし、これらの国々で新型コロナウイルス対策として、外出や渡航の自粛が始まっている。 
当然、各観光地で人が溢れかえっていた状況は一転し、静けさを増していくことだろう。 
観光庁では毎月、訪日外国人旅行者数を発表しているので、こちらを継続的に注視して欲しい。 
宿泊・飲食サービス業への打撃と失業者の増加への懸念
    ここで危惧されるのは、観光関連産業の経済的な落ち込みである。 
そして、その産業における事業縮小や倒産に伴うリストラや賃金の下落である。 
実は観光業のうち、宿泊・飲食サービス業は従来より、非正規労働者の割合が高く、賃金がもともと高くない産業としても有名である。 
    地域の最低賃金に張り付く形の時給で働いている労働者も多く存在するのが実態だ。 
また、女性従業員も多く、アルバイトやパートで働くシングルマザーや単身者も多い。 
景気が良ければ雇用を増やし、悪ければ雇用を減らす「調整弁」の一つとしても機能してきている。 
例えば、観光で有名な沖縄県では、「沖縄県内の観光産業を支える宿泊・飲食サービス業に携わる女性従業員約2万9千人のうち、非正規雇用は約2万4千人で、82・8%を占めることが4日、分かった。また、男性従業員1万8千人のうち非正規雇用は約7500人で、42・1%だった。宿泊・飲食サービス業で、特に女性の非正規雇用の多さが明らかになった。」と沖縄タイムズ紙が報じている。 
もちろん、非正規労働者の多くは日々の生活を送ることに精一杯であり、十分な貯蓄や資産を保有していない。 
    訪日観光客が減ることによって、まず雇用が失われることになれば、大きな打撃を受ける層である。 
予想以上の「経済危機」が訪れるのではないか、と危機感を有している。 
生活困窮者相談窓口の早期活用を
    今のうちから、観光客の動向を探りつつ、倒産や事業縮小を見越して、失業や収入減に対処する必要がある。 
    政府は2015年から生活困窮者自立支援法を施行し、各自治体に生活困窮相談窓口を設置した。 
    離職などにより住居を失った場合や失う恐れの高い場合には、家賃相当額を支給する住居確保給付金も整備している。 
また、各市区町村の社会福祉協議会でも、生活福祉資金貸付を実施しており、生活困窮に対応している。 
当然、貯金が底をついてしまう、という場合には生活保護制度も活用することができる。 
    各種福祉制度はこのような危機の際に力を発揮するように作られてきた。ぜひ遠慮なく利用してほしい。 
いずれにしても、経済危機は自分たちでどうにか出来るようなものではない。 
お住まいの生活困窮相談窓口に早期に相談し、必要な支援を受けてほしい。 
政府や自治体も新型コロナウイルス発の経済危機の動向を注視し、追加で福祉政策の実施が出来るように検討を行いながら備えてほしい。


 今、安倍の不正を追及する時間も経費ももったいない状態だ。一刻も早く安倍内閣を倒し、新しい嘘のない政治に切り替えなければ、とんでもない状況に陥ることは明白だ。自民党の「良識」ある人を含めた超党派により、アベを倒し「国難」に立ち向かわなければなるまい。

安倍内閣打倒、コロナウイルスから国民の命と経済を守る暫定内閣を!


【新型コロナ対策】体温が1度低下すると免疫力30%ダウン

2020年02月24日 | 健康・病気

【新型コロナ対策】体温が1度低下すると免疫力30%ダウン
      2020年02月24日  日刊ゲンダイヘルスケア 


    新型コロナウイルスの感染拡大で、免疫力の注目度がアップしている。いまさら多くの説明は必要あるまいが、免疫力とは、体内に発生したがん細胞や、外から侵入してきたウイルスなどを攻撃する自己防衛システムのことだ。

 免疫力が低下すると、インフルエンザなどの感染症にかかりやすい、アレルギーが出る、疲れやすくなる――ともいわれている。

 一般的に、免疫力をアップするには――

①腸内の善玉菌を優位にして腸を元気にする
②カラダの代謝を上げ、体を冷やさない
③ストレスをためずに自律神経にメリハリをつける

 これらが大事だとか。たとえば、①では、乳酸菌を含むヨーグルトや、オクラなどのヌルヌル食品、食物繊維たっぷりのコンニャクなどを食べるのが効果的。

 ②には、体温を上げるような運動や入浴がいい。免疫力を正常に保つには、体温は36・5度が最適とされ、体温が1度下がると免疫力は30%低下し、1度上がると免疫力は一時的に最大5~6倍アップするそうだ。

    参考までに、カラダを芯から温めるには、“38~40度のお湯に20~30分つかる”といい。家庭の風呂でもできないことはないが、週に1度は銭湯や日帰り温泉に出かけて、頭のてっぺんからつま先まで温めるのもアリか。

 入浴してリラックスすることは、③にもつながる。我々の自律神経は、昼間は交感神経が優位に働き、夜間は副交感神経が優位に働くが、この緊張状態とリラックス状態のバランスが崩れると、免疫力が下がってしまう。

 自律神経の切り替えの意味では、睡眠前の入浴はタイミングのよい転換点。免疫力アップに影響することを覚えておくべきだろう。


「最大の罪は国の文化と社会を破壊したこと」

2020年02月23日 | 社会・経済

怯むなANAホテル!ウソと詭弁を終わらせろ 

   日刊ゲンダイDIGITAl 2020/02/23

  小田嶋隆(コラムニスト)

「最大の罪は国の文化と社会を破壊したこと」

 安倍政権には言いたいことがいっぱいある。まず、対米追従&対露弱腰外交は「売国」という古い言葉を召喚してこないと形容しきれないと思っている。経済では、消費増税によって、アベノミクスの3本の矢を焚き付けの薪として炎上させてしまった。これだけでも退陣の理由としては十分だ。とはいえ、外交は相手あってのことだ。経済もまた、運不運の要素を含んでいる。なので、失策のすべてを安倍さんのせいにするつもりはない。ここは見逃してさしあげてもよい。

  政権の罪は、むしろ、彼らの日常動作の中にある。たとえば、行政文書を前例通りに記録・保存するという行政の担当者としてのあたりまえの習慣を、安倍晋三氏とその追随者たちは、政権を担当したこの8年の間に完膚なきまでに破壊した。それだけではない。彼らは、自分たちの政治資金の出納をまっとうに報告するという、政治家としての最も基本的な義務すら果たしていない。

    かてて加えて、安倍政権の中枢に連なるメンバーは、正確な日本語を使い、公の場でウソをつかないという、日本の大人として守るべき規範さえ、きれいにかなぐり捨ててしまっている。おかげで、わたくしどものこの日本の社会では、日本語が意味を喪失し、行政文書が紙ゴミに変貌してしまっている。でもって、血統と人脈とおべっかと忖度ばかりがものを言う、寒々とした前近代がよみがえりつつある。

 結論を述べる。安倍政権は外交と経済をしくじり、政治的に失敗しただけではない。より重要なのは、彼らがこの国の文化と社会を破壊したことだ。私はそう思っている。一刻も早くこの国から消えてもらいたいと思っている。


 昨夜からの荒れ模様、時々ホワイトアウト状態だ。気温は高く、湿った雪なので始末が悪い。今日はまだ散歩にも出られない。めずらしく、今日2回目の除雪車が来た。夕食後、また雪かきをせねばならない。


トランプに握られた日本人の胃袋(最終回)

2020年02月22日 | 食・レシピ

山田元農相に遺伝子組み換えの総本山敗訴の理由を聞いた
  公開日:2020/02/06

 除草剤の「ラウンドアップ」を製造するモンサントは、世界の遺伝子組み換え(GM)種子の90%を握る巨大なグローバル企業である。ベトナム戦争で、それまで製造していた農薬に別の有毒物質を組み合わせて「枯れ葉剤」を作ったことはよく知られるが、ラウンドアップはこれをもとに開発されたといわれている。

 ラウンドアップの除草効果は抜群だった。ただ雑草だけでなく農作物まで無差別に枯らしてしまうため、米国のような大量栽培には使い勝手が悪い。当時、モンサントは遺伝子組み換え種子の研究をしていて、たまたまラウンドアップに耐性を持つバクテリアを発見して、この遺伝子を大豆などの種子に組み込んだ。こうすると、ラウンドアップをまけば、雑草だけが枯れて、農作物だけが生き残る。このGM種子とラウンドアップをセットで売るという戦略は大成功し、今やアメリカの大豆やトウモロコシのほぼ9割が遺伝子組み換えになっている。
 この“遺伝子組み換えの総本山”と呼ばれるモンサントが2018年、ドイツの製薬大手バイエルに約7兆円で買収されたのである。

 その頃、末期の悪性リンパ腫と診断されたカリフォルニア州のD・ジョンソン氏が、がんの原因はラウンドアップにあるとしてモンサントを訴えていた。男性は仕事でラウンドアップを散布していたが、突然皮膚に激しい痛みが出るようになり、モンサントに問い合わせたが音沙汰がなく、やがて悪性リンパ腫と診断されたという。買収から3カ月後、モンサントは敗訴し、裁判所はモンサントを買収したバイエルに約320億円の賠償金を支払うように命じた。バイエルは上訴して約87億円に減額されたものの、昨年の5月には、さらに別の裁判で約2200億円の支払い命令が下されている。

■「機密文書の存在が大きい」と山田正彦元農相
なぜモンサントが裁判に負けたのか?

 私たちは元農水大臣の山田正彦氏に話をうかがった。この裁判に関心が高く、近著の「売り渡される食の安全」にも、1章を割いているほどである。
「この前、ジョンソンさんの弁護士の1人、ロバート・ケネディJrに会ったら、裁判所から秘密保持命令が出ていない資料は全部提供すると言われました。ラウンドアップはがんを引き起こす可能性があることを、モンサントが十数年にわたって認識していたという内部機密文書を証拠として提示したそうです。すでに米国で5万件近い訴訟が起こされています。この機密文書がある限り、モンサントのピンチは続くでしょうね」

 機密文書に何が書かれていたのだろうか?

海外で問題の除草剤が野放し状態…山田元農相が鳴らす警鐘
  公開日:2020/02/07

 2018年以降、モンサントは米国内の裁判でたて続けに3件も莫大な賠償金の支払いを命じられている。どういうことなのか。

 「モンサントが除草剤のラウンドアップを売り始めた時、この農薬はコーヒーやピクルスみたいに安全ですと言ったんだ。それに対してニューヨークでは裁判で、モンサントは不当表示だとして罰金の支払いを命じられています」と山田正彦元農相は過去を振り返る。
 それでもその後、除草剤ラウンドアップの危険性が指摘されることはなかった。山田氏によれば、流れが変わったのは15年、WHO(世界保健機関)の外部研究機関である国際がん研究機関(IARC)が、ラウンドアップの主成分であるグリホサートは「ヒトに対しておそらく発がん性がある」としたことだという。これは発がん性リスクを5段階に分類した中で、2番目に高い危険度を示したものだ。
 さらに17年、カリフォルニア州はグリホサートを発がん性物質のリストに加えた。これは、多くの米国人が、リスト掲載に向けて住民運動を起こしたからだ。もちろんモンサントは差し止めを申し立てたが、却下。320億円の巨額賠償金を認めた裁判は、この流れの中で起きたのだ。

 この裁判が世界中から注目されたのは、モンサントの内部機密文書が出てきたことだろう。誰かのリークではなく、裁判所命令によって開示された文書だと山田氏は言う。そこには、ラウンドアップの危険性だけでなく、さまざまな隠蔽工作も記されていたという。

 「モンサントの社員が、同社の製品の正当性を証明する論文を代筆し、外部の学者に金を払って、論文をその学者の名前で発表させていたこともそうです。内部資料では、すでに十数年前から、グリホサートでがんになることを認識しておったようだ。除草剤のラウンドアップには主成分のグリホサート以外に、界面活性剤などいろいろ含まれているが、これが結合すると相乗効果で発がん性を帯びるようです。ジョンソンさんの裁判では、それらをひた隠しに隠し、詐欺まがいの悪質な隠蔽工作をしたと断定され、それに対する“加罰的”な賠償金が320億円でした」(山田氏)
敗訴は、発がん性そのものよりも、モンサントの企業体質が招いたようだ。

■フランスなど各国で禁止なのに…

 すでに多くの国でラウンドアップは使用禁止になっているが、フランスはこの裁判の後、個人への販売を全面的に禁止した。ところが、今も野放し状態なのが日本だと、山田氏は言う。

 「学校の校庭をはじめ、子供が遊ぶ公園などの公共施設、家庭菜園や庭の雑草駆除に便利ということで、何の疑いもなく使われています。今でも『安心して使える安全な除草剤です』なんて売られている。こんなことをしていると日本だけが取り残されていきますよ」
 日本の行政はどうするつもりなのか。次回からは、こうした不気味な輸入食品に対し、どうやって身を守ったらいいのか書いていく。


食の安全を徹底「生活クラブ」が米国産食品を扱わない理由
  公開日:2020/02/11

 これまで連載で、日本の食卓がトランプの米国に、いかに不気味な食べ物を押しつけられているかを書いてきた。今後もその状況は変わるわけではないが、少しでもリスクを避けるには、どうすればいいのか。そのヒントになるのが生協の「生活クラブ」の姿勢だ。発足以来、50年にわたり、「食の安全」にこだわり、その徹底ぶりは全国に数ある生協の中でも際立っている。

 毎年、組合員自身が生産地や工場に直接出向き、どのような肥料・飼料・原料を使って、どのように生産されているのか、さらに、どのように運ばれているのかまで徹底的にチェックしている。

「私たちは、米国産の食品を基本的に扱っていません」
 その「生活クラブ」連合会企画部の前田和記部長はいきなり、こう言った。

■食の安全にこだわり“疑わしきは使わず”
 「国産自給率の関係で、一部できないものを除いては、米国産の原料は使いません。組合員がチェックし、安全を確かめられる国産原料を基本にしています。外国産を使う場合は現地視察し、情報開示することにしています。“疑わしきは使わず”という予防原則に基づき、健康をおびやかし、環境を破壊するおそれのある原料や化学物質の使用は減らすようにしているのです」

 実際、生活クラブが取り扱う加工食品1419品目のうち、国産原材料を7割以上使用しているものが1048品目に及ぶ。使用を許容している添加物は、国が許可した828品目中、86品目だけだ(2019年6月現在)。

 そんな生活クラブは、問題の遺伝子組み換え作物を原料や飼料から極力排除している。理由は3つある。
「1つは、食の安全について害があると確定的には言えないにせよ、不要なリスクを減らすためです。また、日本は栽培国ではないとはいえ、遺伝子組み換え作物が生態系など環境へ意図せざる影響を与える懸念がある。これが理由の2つ目です。3つ目は遺伝子組み換え作物の種子は特許で守られているため、結果的に種子が寡占状態になる可能性があるからです」(前田部長)
こうした明確な姿勢が支持され、ここ数年、組合員数は毎年1万人増え続けているという。

 生活クラブの宅配エリアは北海道から兵庫県までのうち21都道府県。食材・食品の宅配や店舗利用が可能かどうかを知りたければ、WEBで「生活クラブ」を検索してみるといい。

 では、生活クラブが近くにない人は、どのように食の安全を図ったらいいのだろうか。

(つづく)


なぜ日本の消費者は「食の安全」に関して無頓着なのか?
  公開日:2020/02/13

 アメリカ産の食材・食品を扱わない「生活クラブ」。その連合会企画部・前田和記部長の話を続ける。地域的な問題で生活クラブから安全な食品を買えない人は、どうしたらいいのか。

前田部長はとにかく食品の包材の表示欄をチェックしてみることだという。

「加工食品の原材料は重量順に記載されており、その第1位の原材料には原料原産地を書くことが義務化されましたから、その表示を見て国産ものを選ぶことです。また、原材料と添加物を区別するスラッシュルールが始まっていて、スラッシュ(斜線)が入った後はすべて添加物という表示に変わりましたから、スラッシュの後ろに見慣れない名前の添加物が多い商品は避けることで、リスクは下げられます」
 添加物の毒性評価については、国が安全性を認めた828種類が使用OKとなっているが、複数の添加物を同時に摂取したときの毒性評価はほとんどなされていない。スラッシュ以下はできるだけ少ない方がリスクを下げられるという。

■SNSで目覚め始めた米国人

 次に、アメリカの消費者の「食の安全」に関する意識を聞いてみた。日本人同様、成長ホルモン肉や遺伝子組み換え食品を食べ続けているのか、それとも変化が出てきているのか気になるところだが、リスクのある食品から距離を置く米国人が増え、オーガニック(有機栽培)が人気だという。

 「米国のオーガニック市場は30年前とは比べものにならないほど拡大し、約6兆円とされます。それを支えているのは30代以下の世代です。彼らは、生き方ばかりか食の安全についても、飽食世代とは違う価値観を持ち、それがSNSでシェアされて広がり、オーガニックブームの原動力になっていったのです」(前田部長)
 かつての米国の消費者は、いまの日本人と同じくらい食の安全に無頓着だったというが、それはマスメディアの責任が大きい。食品会社や農薬会社からの訴訟リスク、ロビー活動、広告減少などを気にして、警鐘を鳴らす記事を自主規制してきた。それがSNSの広まりで、食の安全に関する情報が拡散され、大きなうねりになってきているという。

 「結局、日本の消費者は情報がないのではないでしょうか。なぜ長い時間かけて運ばれてきた米国産の穀物や果物が腐らず、大きな利益を得ているのか。どのようなエサを食べてどのように育てられているのか。何も知らされずに、ただ、安い、うまい、珍しいだけを基準に食材を選んでいる人も多いのではないでしょうか」(前田部長)

 無知に慣らされた日本の消費者。トランプと米国の生産者のカモにされている、と指摘されても仕方ないだろう。

安ければいいの落とし穴 食卓が米国産で埋め尽くされる日
  公開日:2020/02/14

 トランプと安倍政権の間で妥結した日米貿易協定。それによって今年1月から、米国産の安い牛肉や豚肉が大量に入ってきている。日本のスーパーマーケットでは、安い米国産肉が大人気のようだが、そんなものをバクバクありがたがって食べていると大変なことになると、この連載では繰り返し指摘してきた。

 さすがにアメリカの消費者も、危ない食料を食べ続けてきたことに気づき始めたようで、健康リスクを考える人たちが増え、割高でも成長ホルモンを使わない牛肉や、農薬や化学肥料を使わない有機野菜を求めて、ファーマーズマーケットなどが人気になっている。

 健康に良いとされる食材を使ったレストランやハンバーガーショップも売り上げが右肩上がりで、2000年に屋台から始まった「シェイクシャック」は2019年には世界で230店舗以上を展開。ウリは抗生物質や成長ホルモンを使用せず、100%米国産のアンガスビーフを使ったハンバーガー。トランス脂肪酸を排除したフライドポテトなどの品質の良さも人気の秘密のようだ。
ただ米国では、中流階級以上で食の安全への意識が高い人たちは有機食材を食べ、下流の人は安くて健康リスクがあるものを食べるという二極化が進んでいる。それでも有機食材への需要は毎年2桁の割合で増えているという。

 一方の日本では、ホルモン漬けの米国産牛が増えるだけではない。日米貿易交渉で飼料用の遺伝子組み換えトウモロコシ3カ月分約275万トンを追加購入すると伝えられた。山田正彦元農相によれば、3年間1000万トンを約束しているという。米国で見向きもされずに余ったものが、日本に流れてくるのだろう。

 アメリカの食料事情に詳しい「生活クラブ」連合会企画部の前田和記部長がこう言う。

 「米国の穀物生産者は穀物市場の動向を自分でリサーチして、作付ける品目と栽培規模や方法、そして出荷のタイミングや規模を計っています。オーガニックブームの今後の動向は常に気にして農場を経営しているのです。その点、日本からは安ければいいというシグナルしか届いていない。ここが問題だと思います」

これは重要な指摘だ。

 子どもたちに安全なものを食べさせたいと願う消費者が増えれば変わるが、「安ければ、米国産であろうと何でも構わない」と思っている限り、状況は変わらない。いや、悪化していくだろう。トランプとその支持基盤である大農場が輸出する不気味な米国産食料で日本の食卓が埋め尽くされ、身動きがとれなくなる日は、すぐそこに迫っているのだ。(おわり)

奥野修司ノンフィクション作家
▽おくの・しゅうじ 1948年、大阪府生まれ。「ナツコ 沖縄密貿易の女王」で講談社ノンフィクション賞(05年)、大宅壮一ノンフィクション賞(06年)を受賞。食べ物と健康に関しても精力的に取材を続け、近著に「怖い中国食品、不気味なアメリカ食品」(講談社文庫)がある。


 長い連載でしたが今日で終わらせます。日本国民の命と財産をたやすくアメリカに渡す自民党政治を終わらせましょう。アベさん、もう十分に詰まれています。もうおやめになったらいかがでしょう!

今日のお散歩

自宅周りです。

小川の姿がだんだん見えてきました。


羽田新ルートと試される自治

2020年02月20日 | 社会・経済

 立憲政治の道しるべ 第152回:羽田新ルートと試される自治、国の新たな苦情救済制度の検討を(南部義典)

  マガジン9 2020年2月19日 
   https://maga9.jp/200219-2/

さいたま市から見える、羽田新ルートの到着機
 まず、3枚の写真をご覧いただきます。
 〔写真1〕は、荒川左岸・治水橋付近の堤防(さいたま市西区)から、南東方面を撮影したものです。左下の建物は、大宮南高校の校舎です。上にカラスのような物体が写っていますが、これは羽田空港へと向かう旅客機です。写真の左側から右側に向けて、ゆるやかに左旋回しているところです。高度は約1,500メートルです。

〔写真1〕
 〔写真2〕は、〔写真1〕の撮影場所から南東に約5キロメートル、秋ヶ瀬公園付近の堤防(桜区)から、南東方面を撮影したものです。奥には浦和の高層ビル群が見えます。手前にそびえ立つのはNHK新開(しびらき)ラジオ放送所のアンテナ塔で、高さは130メートルあります。ここでも旅客機の高度は約1,500メートルで、NHKアンテナ塔の10倍以上の高度を飛行していますが、地上にいる人間にはこのような画角と遠近感で視界に入ってきます。

〔写真2〕
 〔写真3〕は、〔写真2〕と同じ場所から、南方向を撮影したものです。下に見えるのは、鴨川の昭和水門です。さらに奥には、池袋の高層ビル群が霞んで見えます。このポイントを過ぎた辺りで左旋回が終わり、高度を下げながら、羽田空港のA滑走路へと直進していきます。
 距離的に遠いので写真には収めていませんが、A滑走路への着陸進入のさらに内側を、左旋回をしてC滑走路への着陸進入を行う機体も確認することができます。

〔写真3〕
 写真のように、私が住むさいたま市では最近、羽田空港に着陸する旅客機が確認できました。3月29日から運用開始となる新ルートの試験飛行(実機飛行確認)が2月2日から12日まで行われ、その南風ルートの一部がさいたま市にかかっていたためです。(国土交通省「羽田空港の新飛行経路の実機飛行による確認が終了しました」)
 携帯無線機で受信周波数を118.1MHz(AM)に合わせると、A滑走路着陸予定の空港管制に対する最初のコンタクト(着陸後の駐機番号等を確認する)からはっきりと聞こえてきました。今までになかったことです。
 写真の場所から見える旅客機は比較的高い高度で、周辺の交通騒音、工場騒音が相当大きいことから、意識して空を見上げていないと、通過に気付かないこともあります。しかし、さいたま市以南の着陸進入ルート上にある地域(埼玉県/戸田市、和光市、東京都/練馬区、豊島区、中野区、新宿区、杉並区、渋谷区、目黒区、港区、品川区)では、試験飛行が始まって以降、騒音に対する怒りや不満、到着機の頻度に対する驚き、地上から見える機体の大きさや落下物のおそれに対する不安の声が、一気に高まりをみせています。誰もが初めて危険を意識しながら目にした現実であり、動揺の広がりは当然と言えば当然です。とくに、羽田空港に近い品川区では、最大値80デシベルの騒音が測定されており、深刻な状況です。(国土交通省「実機飛行確認騒音測定結果(2月11日分速報値)」)
 80デシベルというと、間近で聞く救急車のサイレンやパチンコ店内の騒音に等しいレベルです。SNS上では「早晩、引っ越しを検討したい」との、品川区民の書き込みも見られました。
 さらに、新ルートは到着だけでなく出発の分も含まれていますが、B滑走路(横風用)西南方向に位置する神奈川県川崎市、A滑走路等を離陸した旅客機についてのルートが新設された東京都北区でも同様、地元住民の怒りの声が上がっています。川崎市では何と、最大94デシベルに達しました(羽田新ルート 離陸の川崎 最大94デシベル 住民「こんなに大きいとは…」2020.2.13東京新聞)。
 新ルートの直下、周辺の住民は、3月以降の運用開始の件をまったく知らされていなかったわけではなく、実際に2月に試験飛行が行われ、当初の想定、想像を超えた問題の大きさを否応にも感じざるを得なくなっています。かなり前から本件を問題視し、計画(運用)反対の意思表示を重ねてきた方も少なからずいらっしゃいますが、試験飛行の実施を以て、住民一人ひとりに降りかかる「公共問題」として意識され、リアリティを以てその重大さが受け止められるようになったのです。恥ずかしながら私もそのうちの一人で、事前情報のかき集めではなく、自分の目と耳で確かめて初めて実感が湧きました。メディアが仔細を報じるようになったのも、ごく最近のことです。
 新ルートは、国が航空法施行規則(国土交通省令)第189条の規定に基づいて定めたものです。その決定責任をどうやって追及すべきか、その是非論、方法論とともに議論を始めるタイミングです。
「国民に我慢を強いたりしない」のが憲法の立場
 試験飛行が始まった後から、SNS上では伊丹、福岡などの拠点空港、その他航空基地、米軍基地の周辺で生じている騒音問題を比較対象に持ち出して、「羽田新ルートは大した問題ではない」「そのうち慣れる。都民は騒ぎ過ぎだ」などというコメントが散見されました。
 しかし、このような立論自体が間違っています。例えれば、歯科医院の待合室で、「俺の虫歯は我慢ならない」「いや、俺の歯周病の方が凄くて、昨日は寝られないくらいだった」などと言い始めて、相手を罵るようなものです。各々、痛みを治そうと歯医者にかかっているのに、その目的を横に置いて、他人の痛みと比較したり、自慢に転じたり、殊更それを強調したところで、何の解決にもなりません(単なる冷やかし、見下しです)。まして「痛い者どうし連帯して、頑張って耐えよう」という苦痛・犠牲の連帯関係は生じ得ません。誰もが、痛みを治すことを考え、当然の行動に移せばいいだけなのです。
 憲法は13条後段で幸福追求権を、16条で請願権を、32条で裁判を受ける権利を保障しています。ごく簡潔に要約しますが、行政の非違不正、不当な処分などについて、決して国民に我慢を強いたりしないのが憲法の立場であり、「法の支配」の真髄です。この憲法の下で、様々な救済制度が法令上設けられているので、苦情案件が生じた場合には国民の判断と選択で適切かつ合理的な解決方法を探って、着実に実践していけばいいのです。「伊丹や福岡の空港がこうだから」「千葉県民が今までこうだったから」という議論を押し出すだけでは、社会の不 公正を固定化するばかりです。苦痛に耐えることに価値を見出そうとする限り、前近代的な因習崇拝、集団(敗北)主義から抜け出せません。
(個人の尊重と公共の福祉)
13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
(請願権)
16条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
(裁判を受ける権利)
32条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。 
住民投票実施の動きに注目
 苦情に対する救済を得るための実践として、私が現在注目しているのが、品川区で羽田新ルートの賛否を問う区民投票を実施しようという動きです。
 品川区ではこれまで、種々の国政・地方選挙において、羽田新ルート問題が一応「争点化」されてきました。しかし、公職候補者のマニフェストに幅がみられ、有権者自身も羽田新ルート問題の一点に絞って投票選択をしたわけでもないので、区民の意思が正確かつシャープに反映されてきたとはいえない、ある種悶々とした政治・行政の状況が続いてきました(政策の方向性が決着しているようで、実は「暖簾に腕押し」状態だったのです)。そのような状況を打破するため、区民投票を実施し、「賛成」「反対」の二択で直接、政治的な多数意思を明確に確定することには大きな意義が認められます。
 また、区民投票の実施は、地方自治の未来を切り開くというテーマを背負った、一つの試金石でもあります。何より「国から特定の地域、自治体に対して不利益、負担を一方的に押し付けられない」ことが、地方自治が健全に成り立つ最低条件です。原発、米軍基地などの例が典型ですが、一方的に不利益、負担を押し付けられてしまうと、地方自治が不健全になるか、いずれ地方自治そのものが成り立たなくなってしまいます。仮に重大な事故が発生したとすれば、被害を受けるのはその地域、自治体の住民だけで、それ以外の地域には関係がないという話になりがちです(現在の福島第一原発の状況を見ていただければ、容易に想像していただけるでしょう)。
 羽田新ルート問題も同様、品川区は国の一方的な犠牲者であってはならず、「緊張関係」を高めていく必要があります。似たような構図として、1年前の沖縄県民投票が思い出されます。
 もっとも、区民投票を実施したいといっても、残念ながら品川区にはその手続きを定めたルール(条例)がありません。何歳から投票できるのか、投票日はいつか、投票の方法はどのようなものか、といったルールが定められていなければ、掛け声だけに終わってしまうのです。
 そこで、地方自治法の規定に基づき、区内有権者の一定以上の署名を以て、区民投票の実施条例を制定するよう、区長に請求するための運動を始めようと、多くの区民が街頭でPRを始めています(署名運動は正式に3月20日から始まります)。1か月間の署名運動期間において区内有権者の50分の1以上の署名が集まれば、区長に対して直接、条例制定の請求を行うことができ、請求の後、区議会で条例案の審査が行われ、可決されれば、区民投票が実施されるという運びです。条例制定は、区議会議員を通した陳情、請願によっても不可能ではありませんが、議員に一切の成り行きを任せてしまうのではなく、区民自らが主体的に実践し、実効的な救済を得るための「道筋」を付けることが、民主政治にとってこの上ないボトムアップにつながります。
 沖縄県民投票と同様、区民投票で得られた結果に法的拘束力を認めることはできませんが、それ自体が「スタートポイント」となり、羽田新ルートをめぐるその後の政治・行政の方向性を固める効果が得られます。仮に、投票結果を尊重しない公職者は批判の対象となり、議員・長は次回選挙での厳しい審判に晒されることになります。
国会オンブズマンの設置を
 最後に提言です。本連載でも何度か指摘したことがありますが、日本の国会にも、スウェーデン、デンマーク国会と同様、独立した数名の「オンブズマン」を置いて、国民の苦情救済に当たらせるべきと考えます。
 現状、衆議院決算行政監視委員会、参議院行政監視委員会がそれぞれ国の行政に関する苦情の窓口を置いていますが、単に受け付けているだけで、具体的な調査が行われないのが最大の欠点です(制度そのものが十分認知されていないという根本的な問題もあります)。そうではなく、国会が任命したオンブズマンがその権限を以て、国民から寄せられた苦情の一つひとつを調査し、必要な範囲で行政機関等に対して意見表明や勧告等を行うことにより、苦情を救済する(権利侵害を防止する)システムがあれば、行政訴訟の提起等の手間やコストを要せず、より迅速な解決を図ることを可能にします。また、特定の行政機関に附属するのではなく「国民代表機関」である国会にこそ、そのようなオンブズマンが存在することが理想的といえます。国会オンブズマンは憲法改正を要せず、国会法等の法令レベルで設置することができます。
 この点、立憲ほか野党会派が2019年6月17日に衆議院に提出した「行政監視院法案」(継続審議の扱い)は形式的に見れば、私の提言する国会オンブズマンに近似性が認められます。もっとも、その制度の主目的はまさに「行政監視」であり、現職議員のための独立した監視機能を果たすことで「モリ・カケ」「桜を見る会」問題などの追及に一定の効果を発揮するにすぎず、必ずしも国民の苦情救済に結実しません(そもそも、行政監視院には苦情受付窓口の機能が付与されません)。ぜひ、目線を変えて、制度設計を再検討していただきたいものです。
 いずれにせよ、羽田新ルート問題は、この国の統治システムのあり方を変える契機になり得ます。問題の解決に向けた動きが、多元的に広がることを願うばかりです。


 北海道は遠く離れているので関係ない、とはいかないのです。北海道でも「矢臼別演習場」問題などがあるのですが、人口が少ない。牛のほうが多いのですから。「原発」立地でも、同じことなのです。でも、今回の「羽田新ルート」問題は首都圏の人口密集地です。なんとか、新しい方向性ができればいいのですが・・・

 


雨宮処凛 小林多喜二没後87年に寄せて

2020年02月19日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2020年2月18日


「蟹工船ブーム」から12年 搾取は、より巧妙に
 蟹工船が書かれて80年がたった2008年、「蟹工船ブーム」なるものが訪れた。航海法や工場法の適用も受けず、脱法的にやりたい放題できるその構図が、当時問題になっていた日雇い派遣のシステムや、派遣法が適用されない「偽装請負」に似ていると話題になったからだ。


トランクルーム
 また、寮費だけでなく布団や日用品のレンタル代などを差っ引かれる製造業派遣との類似性を指摘する声もあった。もっとも共通するのは、労働者がホームレスになろうが餓死しようが、「丸ビルにいる重役には、どうでもいい事だった」という点だろう。
 そんなブームから今年で12年。「貧困」が当たり前のものとなったこの国では、「搾取」はより巧妙となっている。「好きな時間に働ける」がウリのウーバーイーツでは配達中に交通事故でけがをしても、個人事業主なので労災の対象外。08年には「ネットカフェ難民」の存在が衝撃をもって受け止められたが、18年の東京都の調査によると、住居がなくネットカフェに寝泊まりする層は都内だけで1日あたり4000人に上る。また、今やネットカフェより安い月2、3万のトランクルームで寝泊まりする者もいる。冷暖房がないのでネットカフェより過酷だ。


財政破綻の脅し
 働く人々の実質賃金は下がり続け、氷河期に社会に出たロスジェネ(失われた世代)は40代となり、消費税は上がって生活は苦しくなり、貯蓄ゼロ世帯は増え続けている。「老後に2000万円必要」と言われ、高齢化が日本の財政を悪化させていると報じられ、「このままでは財政破綻」と日々脅される。
 そんな中、16年には障害者19人が殺害される事件が起きた。1月に始まった裁判を私はこれまで6回傍聴してきたが、元施設職員の植松被告は、介護殺人や無理心中、高齢化問題を解決するためには障害者を殺すしかない、障害者に使う金を他に使えば戦争をなくせる、障害者はお金と時間を奪っているなどと述べ、「なぜ自分の姉を殺したのか」と問うた遺族に「殺した方が社会の役に立つと思ったからです」と答えた。
 驚くべき主張だが、そのような言い分は私たちの日常に潜んでいるものでもある。


多喜二が見たら
 日本は借金だらけで社会保障はこのままでは破綻するから「命の選別」が必要ではないか。誰でも生かすような悠長なことは言ってられないから生産性で決めるべきではないのか、等々。手を替え品を替え、これまで「財政危機」とセットで語られてきた。10年前だったら、口にするのもはばかられた言葉だろう。しかし今、「命は大切」という正論を口にする者が嘲笑されるような空気は確実に、ある。
 蟹工船がブームになる前から、私たちは「障害や病気があれば公的に守られるけど、障害者でもなく病名もないなら自己責任で競争に勝ち続けてください。負けたら野垂れ死で」という無理ゲー(攻略が無理なゲーム)を強いられ続けている。月収20万前後で働く植松被告は、公的に「守られる」障害者がうらやましかったのではないだろうか。
 末期だと思う。こんな状況を多喜二が見たら、どんな小説を書くだろう。没後87年、そんなことを思っている。


 小林多喜二 1903年生まれ。小説「一九二八年三月十五日」「蟹工船」「党生活者」など。33年2月20日に特高に捕らわれ拷問のため死去


 あまみや・かりん 作家、活動家。1975年生まれ。著書『生きさせろ! 難民化する若者たち』(JCJ賞)、『非正規・単身・アラフォー女性』『ロスジェネのすべて』ほか


きょうの潮流
2020年2月17日
 歴史の片隅に埋められた人物を掘り起こす。ゆるぎない信念と情熱をかたむけた発掘は、今を生きる人びとや社会に新たな光を差し込みます▼もうすぐ、小林多喜二の命日がめぐってきます。しかしその9日前、権力によって同じように命を奪われた活動家がいたことは彼ほどに知られていません。北海道・新十津川出身の西田信春(のぶはる)です▼北の大地に育まれ、物静かでやさしく、周りから好かれていた少年時代。ボート部の活動に熱中し、熱烈な恋を夢想しながら、社会科学にめざめていった東大時代。戦前の嵐のなかで社会運動にとびこみ、共産党員として活動した時代▼やがて九州の党を立て直すために赴きますが、1933年2月11日、特高によって福岡署で虐殺されました。30歳の若さで。「消息不明」で隠された死の真相が判明したのは戦後になってからでした。多喜二らと同じ時代を駆け抜けたその青年の骨格が浮かび上がる評伝が今月刊行されました▼『西田信春―甦(よみがえ)る死』(学習の友社)。同郷の元高校教諭で著者の上杉朋史(ともし)さんは自身の祖先探しのなかで存在を知ります。闘病生活の執筆で書き上げた直後に亡くなりました。「今の政治状況が西田の時代ときわめて相似的に映ることへの危機意識」。それが原動力でした▼「まじめに生きてゆくには、この道を歩むより以外に道はなかった…」。獄中にいたこともある西田は母への手紙にそう記しています。社会を変えるために命をかけた人間の、よみがえる生がそこにあります。


首相の反共デマ 野党抗議
衆院議運委理 答弁の撤回・謝罪要求
  2020年2月18日
 衆院議院運営委員会の理事会が17日に開かれました。13日の衆院本会議で安倍晋三首相が日本共産党について「暴力革命の方針」をとっているなどと事実無根のデマ答弁をした問題で、野党側は首相の答弁に抗議し、謝罪・撤回、議事録からの削除を一致して求めました。
 日本共産党の塩川鉄也議員は、安倍首相の答弁は事実に基づかない答弁だと抗議。「わが党が暴力主義的破壊活動の方針を持ったことは一度もない」と述べ、公党への誹謗(ひぼう)中傷は許されないと厳しく抗議しました。
 立憲民主党の手塚仁雄議員は「安倍首相の答弁の謝罪・撤回、議事録の削除」は野党が一致して求めていることだと述べ、政府側にきちんと伝えるよう求めました。
 自民党の理事は、安倍首相の答弁は過去の質問主意書への答弁と同じと述べつつ、野党から抗議があったことは持ち帰りたいと述べました。


 今日は「しんぶん赤旗」から、関連する3つの記事を紹介しました。
20日は多喜二が殺された日です。「暴力革命」などと言ったこともない、議会で多数を握ることを目標にして活動している公党に対しナンセンスな攻撃である。国会においても、共産党議員でない野党議員の質問に対しても「共産党・共産党」とヤジを入れる不届きもの。
「治安維持法」という悪法のもとに、裁判にもかけられず、即刻拷問されて死んだ小林多喜二ら。犠牲になったのは共産党員だけではなかった。拷問による死者は膨大な数になる。
いまだ「治安維持法」国家賠償請求は認められていない。
こんな政権がいまだ使う「反共攻撃」の常とう手段。
窮地に追い込まれると必ず出てくる。分断するために。


「アメリカ人の牛肉離れ」

2020年02月18日 | 食・レシピ

約40年で消費量半分に 「アメリカ人の牛肉離れ」の背景に何が 

  msnニュース2020/02/17

 関税率の引き下げに伴い、米国産牛肉の輸入が増加している。消費者にとっては価格が安くなって有難いかもしれないが、その一方で米国産牛肉の多くは「肥育ホルモン剤」としてエストロゲンなどの女性ホルモンを投与されて育てられているという現実がある。
 家畜における合成肥育ホルモンの継続的な使用が安全であるかどうかについて、因果関係の立証は難しいが、EU諸国では肥育ホルモンを使用して育てた牛肉の輸入を一切認めていない。ボストン在住の内科医・大西睦子さんはこう語る。
「1970年代半ばから1980年代初めにかけて、プエルトリコなどで幼い女の子の乳房がふくらんだり、月経が起きるなど、性的に異常な発育が続出しました。その原因がアメリカ産の牛肉に残留した合成肥育ホルモン剤『ジエチルスチルペストロール』だとされたのです。そこで、アメリカでは1979年に、EC(現在のEUの前身)では1981年に使用が禁止されました。
 ただし、同種の合成女性ホルモンは使用され続けてきました。そこでヨーロッパでは家畜へのホルモン投与反対運動が起こった。1988年に使用の全面禁止、1989年には合成女性ホルモン剤を使用したアメリカ産の牛肉などが輸入禁止になりました。最近では、女性ホルモンを多く利用・服用すると乳がんが増えるという研究データもあり、ホルモン剤の使用はさらに疑問視されています」
 一方で、「アメリカ人も食べているわけだから大丈夫でしょう?」という素朴な疑問も浮かぶ。米国メディア日本特派員が話す。 
「実は、アメリカ人も肥育ホルモン剤を使った牛肉を食べることを嫌って、どんどん“牛肉離れ”が進んでいるんです」
 アメリカの食事といえば、ワイルドなステーキなど牛肉なくして成り立たないイメージがあるが、それは古い感覚のようだ。 
「たしかに、かつては牛肉はアメリカで最も多く消費されていた肉類でしたが、それは過去の話。1976年に牛肉が肉全体の年間消費量のおよそ半分を占め、1人あたり年間40kgほど食べていた。しかし、2018年になるとそれが肉全体に占める割合は2割を切り、1人あたり20kgほどしか食べなくなっているんです」(前出・特派員) 
 たとえ牛肉を食べるにしても、選別が進んでいるようだ。 
「アメリカでは牛肉に『オーガニック』とか『ホルモンフリー』と表示したものが売られていて、経済的に余裕のある人たちはそれを選んで買うのがもはや常識になっています。自分や家族が病気になっては大変ですからね。健康志向の人の中には、大豆など植物由来の『ダミービーフ』を使う人もいます」(ニューヨークで暮らす日本人商社マン)
 ホルモンフリーの商品は通常の牛肉より4割ほど高価になるのだが、これを扱う高級スーパーや飲食店が5年前くらいから急増しているそうだ。健康志向を持つ人や富裕層といわれるハイクラスのアメリカ人は、とっくに肥育ホルモンの使われた牛肉など口にしないのだ。 
 ホルモンフリーの牛肉は高いが、体にいい肉を食べたいのは中産階級も同じ。昨年夏、日本にもある人気ファストフード店のバーガーキングが「インポッシブル・ワッパー」というメニューを発売し、全米で話題になったという。 
 「100%大豆由来の“ダミー肉”を使ったハンバーガーですが、値段は通常の牛肉のハンバーガーより1ドル高いだけ。味もよくて、知らずに食べたら気づかないレベルです。しかも、かじるとまるで血がしたたるようにジューシー。それでいて脂肪15%減、コレステロール90%減、というのがアメリカ人の胸に響いたようで、人気を集めています」(在米留学生)
 このような「植物由来のダミー肉」はアメリカ国内の3万店舗以上のスーパーマーケットで売られている。バーガーキングのように通常の肉と比べて値段は少ししか変わらないとあって、若者や中産階級にも充分手が届く価格なのが魅力だ。市場規模は急速に拡大を続け、今年中に52億ドルに達するといわれている。 
 「大学のクラスメートと話していても、オーガニックミートの話はよく出ます。私はベジタリアンではないし、乳製品も摂らないヴィーガンとも違うけれど、やっぱりこちらの生活では意識しないと肉食が多くなる。がんも怖いし、積極的に取り入れています。“安い牛肉を食べるのはダサい”みたいな風潮すらあります」(別の在米留学生) 
 では、アメリカで大量に育てられているはずの肥育ホルモン入り牛肉はどこへ行くのだろうか――そう、ホルモン剤入り牛肉を食べさせられているのは日本人だ。耳を澄ませば、トランプ大統領の高笑いが聞こえてこないだろうか。まさに何も知らないのは、日本人だけなのだ。
「安くなった」と小躍りして子供たちにアメリカ産牛肉のステーキを食べさせている場合ではない。
※女性セブン2020年2月20日号


トランプに握られた日本人の胃袋(5)

2020年02月17日 | 食・レシピ

発がん性ある過酢酸までも「食品添加物」にスリ替え輸入
  公開日:2020/02/04

 過酢酸製剤というのをご存じだろうか。食品に関係している人でなければ、まず耳にすることはないが、鼻をつくような臭いがする過酢酸と過酸化水素、酢酸を混合したもので、食品の殺菌剤として使われる。過酢酸は酢酸に変わるときに活性酸素を放出し、細菌がこれに触れると死んでしまう。米国では、チーズなどの殺菌剤として広範囲に使われてきた。ところが、日本では動物実験で過酢酸の発がん性が分かって禁止された。
 遺伝子を傷つける活性酸素は、細胞ががん化していく大本だといわれている。この活性酸素は過酸化水素も出す。

 昔、薬局で消毒薬のオキシドール(過酸化水素水)が売られていたが、最近は見かけなくなった。発がん性が分かったからだろう。

■発がん問題よりも米国の要求が優先
 食品に過酢酸が含まれていたら、食品衛生法10条違反ということで国内では使われなかった。ところがある日、過酢酸を食品添加物として申請した企業があった。国は実態を知るために輸入食品を調べてみたら、次々に検出された。特に多かったのは米国産のくず肉。これは牛丼の材料や、ソーセージなどの加工品に使われるが、腐りやすいために過酢酸を大量に使っていた。本来なら輸入禁止になるはずが、そんなことをしたら市場に大きな影響を与えるという理由で、見て見ぬふりをしたのである。

 ところが、米国からO―157やサルモネラ菌などに有効だから、くず肉に過酢酸の使用を認めろと要求されたのだ。

 ここまで書けば、その後がどういう展開になるか分かるだろう。そう、すでに米国やカナダなどで野菜、果実、食肉などの殺菌洗浄に使用が認められていて、残留性もないとして2016年に食品添加物として認めたのだ。ただし、加工肉への添加は認めず、肉や野菜の表面の除菌に限った。
 もはや米国産の食品は、食べ物というより、成長ホルモンや農薬を使って大量に生産する工業製品だ。こんなものを押し付けられても、日本は文句ひとつ言えない。

 かつて、フランス大統領ドゴールは、「食料が自給できない国は、真の独立国ではない」と言った。食料を自ら自給することが最大の安全保障であることを身に染みているからだろう。日本と同じ自給率だった英国が、30年かけて80%にしたのも同じ理由だ。胃袋を米国につかまれ、米国なしに生きていけない日本は、とても独立国とは思えない。


米国でも急増中 成長ホルモンや遺伝子組み換えを嫌う動き
 公開日:2020/02/05

 米国産の危険な食品についてこれまでいろいろ書いてきた。では米国の国民は、こうした危険な食品を平気で口にしているのだろうかという素朴な疑問を抱くと思うが、最近は米国でも事情は変わってきたようだ。

 成長ホルモンを使わず、オーガニックの牧草で育てた乳牛のミルク。また果糖ぶどう糖液糖や増粘剤などの化学調味料を使わないアイスクリームがよく売れているし、日本にも進出した米ハンバーガーチェーンの「シェイクシャック」は、成長ホルモンを一切使わないビーフバーガーやベーコンといった安心・安全を売る店として急成長している。
 本来、牛は草を食べる反すう動物だ。牛が本来は食わないトウモロコシを飼料にしたのは、太らせるためである。こういった濃縮した飼料を使わずに、自然環境の中で牧草のみで飼育された牛のことを「グラスフェッドビーフ」というが、これが米国でトレンドになっている。
■マックもケンタッキーも

 こうした健康志向は、大企業にも影響を与えていて、米マクドナルドは、牛成長ホルモンを投与した牛のミルクのほか、抗生物質を投与した鶏肉など、今後は売らないと発表した。ケンタッキーフライドチキンもそうだ。

 アメリカでは2016年に遺伝子組み換え(GM)食品の表示法が制定された(2022年から義務化)が、抜け穴だらけと批判されている。しかし、すでに民間の非営利団体が認定した「NON GM」のマークを表示したり、成長ホルモンを使っていないビーフには「ホルモンフリー」のマークを、ホールフーズマーケットなど大手スーパーマーケットも独自にオーガニックを認定している。

 注目すべきは、8年前に全米で1万軒を超えたファーマーズマーケットが急増していることだ。ファーマーズマーケットとは、日本の「道の駅」のようなものだが、日本と違って有機食材が主流である。もちろん有機は日本と同じで値段が高い。生活に余裕のある人はこれらの健康食材を購入し、貧しい人はホルモンで太らせたビーフやGM食品を買うという、貧富の差が食にも及んでいるようだ。
 さらに、その遺伝子組み換えについても、大きな変化が起きている。GMの世界的企業であるモンサント(現在はバイエル)が製造した除草剤の「ラウンドアップ」でがんを発症したとして裁判が相次いでいる。すでに3件に評決が下り、いずれもモンサントが負けた。最新の賠償額は、なんと約2200億円。

 5日からはこの裁判について、元農水大臣の山田正彦氏に語っていただく。


 カット野菜が便利なものとして日常の食卓に並んでいる。またコンビニなどのサンドイッチに使われている野菜も同じだ。当ブログでも幾度か「カット野菜」について書いているので見ていただきたい。


雨宮処凛がゆく! 第510回:『ロスジェネのすべて 格差、貧困、「戦争論」』出版!!

2020年02月16日 | 本と雑誌

マガジン9 2020年2月12日 

  https://maga9.jp/200212-1/

 『ロスジェネのすべて 格差、貧困、「戦争論」』というタイトルの本を完成させた。
 私が4人のロスジェネと対談した本で、2月20日、あけび書房から出版される。
 対談した4人とは、倉橋耕平さん(1982年生まれ)、貴戸理恵さん(78年生まれ)、木下光生さん(73年生まれ)、松本哉さん(74年生まれ)。見事に全員ロスジェネだ。
 我らロスジェネの苦境については散々書いてきたのでこちらを読んでほしいが、1章の倉橋耕平さんとの対談では、「ロスジェネと『戦争論』」という問題に踏み込んだ。
 言わずと知れた小林よしのり氏の漫画『戦争論』だ。98年にこの漫画が出版された時、私は23歳。すでに右翼団体に入っていた。そんな『戦争論』はロスジェネ世代に多く読まれ、また多くの同世代にとっては「初めての政治体験」ですらあり、「バイブル」と崇める者も出た。あれから、20年以上。
 今、歴史修正主義が猛威を振るう中、20代で『戦争論』を読んだ同世代の少なくない層は、『戦争論』的歴史観を修正する機会をまったく持たないまま、40代になっている。これがこの社会に与えるインパクトってものすごく大きいのでは……。そんなことを考えていた2年ほど前に読んだのが、倉橋耕平さんの『歴史修正主義とサブカルチャー 90年代保守言説のメディア文化』だった。
 私はこれを読んで、一言で言うとブッたまげた。読みながら、何度も「え!」「うそ!」「そうだった!」と大声を出すほどに。私が90年代後半に右翼団体に入っていたのは多くの人が知るところだが、なぜ、あの時、よりにもよって右翼団体に入ったのか、その理由がこの本を読んでものすごくよくわかったのだ。この本を読むまで、自分自身、熟考の果てに入ったと思っていた。が、その背景には「仕組まれた右傾化」ともいうべき大きな時代状況と、それとがっしり手を組んだメディアの存在があったのだ。で、私はそういうものを、もう全身に、無批判に浴びまくっていた。
 ということで、対談では、「新しい歴史教科書をつくる会」や「日本会議」の誕生のみならず、歴史修正主義という言葉の登場、はたまた村山談話や河野談話が出た背景の状況を、冷戦構造の崩壊まで遡っておさらいしてもらっている。
 とにかくこれがやりたかった。頭のいい人は「なんでそんなことを今さら」と思うかもしれない。が、当時の世界情勢や東アジア情勢などをうっすらとでも理解することが、歴史修正主義にひっかからない唯一の方法だと今、切実に思うのだ。この国にはびこる、あまりにもトンチンカンな言説に対抗するにはできるだけわかりやすい言葉でそれらを語ってもらうことが必要だと考えた。それは倉橋さんの膨大な知識と、それを噛み砕いて説明してもらったことで成功していると思う。今一度、「なぜ今のような状況が作られたのか」を確認したい人にもぜひ読んでもらいたい。
 2章では、貴戸理恵さんと「ロスジェネ女性、私たちの身に起きたこと」というテーマで語っている。彼女と対談したいと思ったのは、貴戸さんが書いた以下の文章を読んだからだ。
 「いちばん働きたかったとき、働くことから遠ざけられた。いちばん結婚したかったとき、異性とつがうことに向けて一歩を踏み出すにはあまりにも傷つき疲れていた。いちばん子どもを産むことに適していたとき、妊娠したら生活が破綻すると怯えた」
 「現代思想」19年2月号に彼女が寄せた「生きづらい女性と非モテ男性をつなぐ」の一部だ。
 20代の頃、私の周りでは望まない妊娠をして中絶した、という話はいくらでもあった。貴戸さんの周りでもそんな話はあったそうだ。その同じ人が今、40代になって不妊治療をしているという現実が私たちの周りにはある。お金もかかるし身体にも大きな負担がある不妊治療。だけど、20代でフリーター同士のカップルが「妊娠したから結婚したい」なんて言ったら、親はどれだけ激怒しただろう。世間はどれほど呆れ果て、ひどい言葉を浴びせただろう。
 好きで不安定雇用なわけじゃないのに、不景気と就職氷河期はロスジェネのせいじゃないのに、私たちは怒られすぎてきた。「結婚」「妊娠」という、祝ってもらえそうな出来事でさえ、怒られて責められて再起不能なほどに傷つけられることだと思い込んでいた。「結婚したい」なんて言ったら、「バカなこと言ってるんじゃない!」と怒鳴られると思ってたし、妊娠なんかしたら立ち直れないほどひどいことを言われるんだと思い込んでいた。だからこそ、絶対に妊娠なんかしちゃいけないと、「妊娠したら人生アウト」と思っていた。とにかく自立して自分が生きる金を稼ぎ続けないと、親も世間も「穀潰し」「お前に生きる価値などない」というメッセージを送ってくる。
 そして「失われた20年」の中、なんとか仕事にしがみついて生きてきて、40代になった今、結婚も出産もしていないと言うと、時に「義務を果たしていない」というような視線を向けられ、政治家のそんな発言に傷つけられる。
 いろんなことに、納得いかない。「私たちの頃は、貧乏だって子どもを産んだ」と親世代に言われても、親世代の話を聞いていると「貧乏だったり職が不安定だったりしたのに結婚し、子どもを産むこと」について上の世代や世間から「人格否定」まではされていない気がする。だけどロスジェネは同じことを望むと「人間失格」くらいのレッテルを貼られてきたし、親や世間はそういうレッテルをさんざん貼ってきたではないか。それなのに「少子化」の責任まで負わせるなんて、あんまりじゃないのか。
 そんな遣る瀬無さについて、存分に語った。また、「ロスジェネ子なし」の私と「ロスジェネ既婚子あり」の貴戸さんそれぞれの生きづらさについても語っている。
 3章では、この連載の「『自己責任』とか言う人に、これからは『江戸時代の村人と同じだね☆』と言い返そうと思います。の巻」で書いた木下光生さんと対談した。『貧困と自己責任の近世日本史』著者であり、江戸時代の自己責任論について研究している人である。今でいう生活保護を受けた江戸時代の村人が、「羽織、雪踏」などの正装を禁じられたり、「物見遊山をするな」「大酒を飲むな」などの行動規制を課せられたり、髪結床の前にわざわざ「この家族が施しを受けてます」みたいな貼り紙を貼られたりという底意地の悪さ全開エピソードは、完全に21世紀の生活保護バッシングと重なる。人類は、200年前からちっとも成長していないようである。そんな興味深い研究をしている木下さんに、江戸時代のひどいエピソードについてたくさん聞いたのだから面白くないわけがない。
 そうして4章でラストを飾るのは、おなじみ高円寺でリサイクルショップをしている貧乏の達人「素人の乱」の松本哉さんだ。「貧乏だけど世界中に友達がいるロスジェネ」という章タイトル通り、松本さんの「世界中の貧乏人とつながってバカなことばっかりやってる日々」について存分に語ってもらった。これを読むと、確実に「真面目に働こう」「ちゃんと生きよう」という気が一瞬にして失せる。それだけではない。松本さんは、なんとかしようとあがくロスジェネに「もう手遅れ」と開き直りを呼びかける。
 「20代後半とか30代に差し掛かる頃に、将来について悩むのはいいんですけどね。30過ぎて将来を悩んでも、もう手遅れなんですよ」
 年収200万円の「貧乏の達人」に言われると説得力があるではないか。この対談を読むと、貯金ゼロでも友だちがいたりゆるいコミュニティがあったりすれば生きられるという実践の数々に、悩むことがバカバカしくなってくる。
 ということで、歴史修正主義から女の生きづらさと江戸時代を経由し、最終的には高円寺に辿り着く一冊。むっちゃ力作なので、ぜひ読んでほしい。


今日のお仕事

今日は寒さも戻ってきたので、沼の上へ。
不調だったチエンソーも、プラグを変えて順調。
今日のお散歩は、曇って風が冷たい。
それで昨日の写真をアップ。


昼を過ぎても、獣の足跡しかない道。