夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『グレイテスト・ショーマン』

2018年02月27日 | 映画(か行)
『グレイテスト・ショーマン』(原題:The Greatest Showman)
監督:マイケル・グレイシー
出演:ヒュー・ジャックマン,ザック・エフロン,ミシェル・ウィリアムズ,レベッカ・ファーガソン,
   ゼンデイヤ,キアラ・セトル,ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世,エリス・ルービン他

どこで観ようか迷っていた本作。
どうせだったら綺麗な劇場の大きなスクリーンで観たくて、
「ポイント会員感謝の日」だった19日に休みを取り、
109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXシアターにて。
通常2,400円のところ、19日は1,700円です。

マイケル・グレイシー監督はVFXアーティストだそうで、これが長編映画デビュー作。
デビュー作からこんな人気俳優を起用して撮れるなんて、
さぞかしVFXアーティストとして人脈を掴んできたのでしょう。

19世紀半ばのアメリカが舞台。

貧しい仕立屋の息子に生まれたP・T・バーナムは、
父の助手としてしばしば顧客のお邸を訪れていた。
邸の令嬢チャリティに想いを寄せる彼は、父が亡くなってそこを離れてからも、
チャリティに手紙を送りつづけ、ついに身分違いの恋を成就させる。

チャリティの父親の反対にもめげず、バーナムとチャリティは結婚。
ふたりの娘に恵まれて、貧しいながらも幸せな生活を送っていたが、
勤務先の船舶会社が倒産し、失業してしまう。

解雇された折りに船舶会社が所有する船の登録証を持ち出していたバーナムは、
それを担保にまんまと融資を受けると、古びた博物館を購入。
思うように客が入らずに悩んでいたところ、娘たちの言葉にハッとする。
剥製は嫌、生きているものじゃないと。

バーナムは「ユニークな人」を募集。前代未聞のショーを始めるのだが……。

あれだけ予告編を観ていたのに、実在の人物だとはつゆ知らず。
P・T・バーナムって、サーカスの設立者だったのですね。へ~っ。

『スリー・ビルボード』にも出演していたピーター・ディンクレイジを見るたびに、
小人症の星だなぁと思っていました。
障害を逆手に取ってと言ってはなんですが、まさにユニーク。
しかし小人症の恋愛がテーマだった『タイニー・ラブ』には嫌悪感を抱いてしまい、
そんなふうに感じる自分のことも嫌でした。
どう扱かおうが、万人の理解は望めないであろう、難しい問題。

本作では、親にさえその存在を否定され、隠されてきた人たちが
バーナムに見いだされて光り輝く。
しかしバーナムにも彼らを恥じているかのように行動するときがあり、
傷ついた彼らが歌うシーンが圧巻です。

尺も104分と短め、『レ・ミゼラブル』のような重みはないので、
豪華なショーとしてシンプルに楽しむのがよさそうです。

ヒュー・ジャックマンは見た目だけでいえば『レ・ミゼラブル』より格好いいし、
あれだけイケメンだったのに劣化が酷いと噂されるザック・エフロンも、私は劣化してからのほうが好き(笑)。
亡きヒース・レジャーとの間の子どもは何歳になったのかなぁと思いながらミシェル・ウィリアムズを見て、
オペラ歌手役のレベッカ・ファーガソンの歌声にしびれる。

劇場で観るに限ります。

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『SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2015-2016 旅するソングライター “Journey of a Songwriter”』

2018年02月25日 | 映画(さ行)
『SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2015-2016 旅するソングライター “Journey of a Songwriter”』
監督:板屋宏幸

高校の後輩はハマショーの大ファン。職場の同僚はハマショーが大嫌い。
別に板挟みというわけじゃないけれど、観に行くかどうか悩む(笑)。

ところで、私はどうかというと、普通にファン。
浜田省吾ご本人は「ハマショー」と呼ばれることを嫌がっていた時期もあったそうな。
そういうことも知っているのがファンならば当たり前でしょうに、
チケット購入時にも「ハマショーの」と言った私をお許しください。

私がどの程度のファンかと言いますと、『Sand Castle』収録曲なら全部歌えます程度。
学生時代、コンサートに行くべしとチケットを購入したのに、当日高熱が出て断念。
以来、縁がなく今まで来てしまったような感じです。

本作をすでに3度鑑賞している後輩によれば、「古い曲もやりますよ」。
ならばちょっとぐらいはついていけるかなぁと興味半分で。
興味半分のわりには高い、特別料金2,500円かよ。
昔はナマのコンサートが3,000円とかじゃなかったでしたっけ。

ファンの方には申し訳ないような、そんなテキトーな気持ちで、
眠くなったら眠ればいいさと、レッドブルを飲むこともなく臨みました。

浜田省吾が2015年に行ったホールツアー“ON THE ROAD 2015”と、
2016年のアリーナツアー“ON THE ROAD 2016”のライブ映像、
さらにはイメージ映像が織り交ぜられた作品です。

出だしでワクワクしたものの、最初の数曲は知らない。思わず寝そうに。
しかし、『丘の上の愛』以降はお目目パッチリ。むしろ興奮。
テキトーなファンではありますが、ラジオとかで『ラストショー』がかかればテンション上がるヒトです。
「長調だけど切ない曲」って大好きなんですよ。
『ラストショー』は長調のうえにアップテンポの曲なのに切ない。めっちゃ好き。

『I am a father』は会場に親子で来ているお客さんがスクリーンに映し出されます。
お父さんお母さんがずっと愛し続けている歌手の曲を
まだ小学生ぐらいの子どもたちが一緒に口ずさんでいる。
阪神タイガースファンの刷り込みと同じと言ったらまた怒られそうだけど、
すげぇ楽しそうで幸せそうで、心が躍りました。

バンドのメンバーがまた凄くいいんです。
ドラムの人なんて、どこぞの企業の部長さんが仕事帰りに練習に来ました、みたいな格好。
趣味で演奏しているオッサンだと思ったらめちゃ上手いやんと驚かされる、そんな感じ。
向かって左側のギターの人は、小ぶりのミッキー吉野、あるいは、
雨上がり決死隊のホトちゃんを茶髪で薄くした(髪の色じゃなくて量)みたい。
右側の人は古田新太の髪もじゃっとさせて唇を分厚くしたみたいな容貌。
いくぶん腕フェチの傾向がある私は、このタラコ唇の人の二の腕に惚れました(笑)。
管楽器の面々がまたカッコイイ。サックスの人なんかは船越英一郎っぽい。衣装も奇抜。
こんなオッサンばかりなのに、やたらめったらカッコイイ。

さらに興奮したのは『J. BOY』。
バンドのメンバーって替わっていないのですか。
古い映像のなかの若いハマショーに思わず「若っ!」と声が出そうになりましたが、
ほかのメンバーらしき人たちにも面影がある。
強い絆で結ばれているメンバーたちなんだと思うと涙腺が刺激され。

そんなこんなで2,500円はちっとも高くない、大満足の作品でした。
地鳴りがする、隣のシアターって4DX上映中やったっけと思ったら、
観客がみんなリズムを取るからだったのでした。
そら体も動く。じっとして観てろというほうが無理というもので。

こんな夜は、I miss you♪

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『エターナル』

2018年02月24日 | 映画(あ行)
『エターナル』(英題:A Single Rider)
監督:イ・ジュヨン
出演:イ・ビョンホン,コン・ヒョジン,アン・ソヒ他

このところ、日曜日に映画を観るのは伊丹かエキスポシティでしたが、
気力を振り絞って久しぶりにTOHOシネマズ西宮へ。

なんとなく何年も前の作品なのかと思っていたら、2017年の韓国作品だそうで。
イ・ビョンホンがその才能を高く評価する新人監督の作品に望んで主演した模様です。

大手証券会社に勤務するカン・ジェフンはトップの営業成績を維持、
出世街道をまっしぐらに突き進み、支店長の座に。
良い暮らしと教育を与えようと、数年前に妻子をオーストラリアへと移住させた。
妻の不安など推し量ろうともしないで。

ある日、会社が不良債権を抱えて破綻。
顧客から罵倒され、殴打され、ろくに睡眠もとれない。
そんな折り、シドニーから届いたバースデーカードに癒やされはしたものの、
妻からの電話を取ってみると、帰国を先延ばしにしてもいいかと尋ねられる。
妻の中では決定事項だろうに、なぜ聞くのかと怒って電話を切るジェフン。

異国で暮らす妻スジンと息子ジヌの画像を眺めていたジェフンは、
突然思い立ってシドニーへと向かう。
妻子がいるはずの家の前まで行くが、中に入るのは躊躇われる。
どうやらスジンとジヌは隣家の父子と家族同然のつきあいをしているようだ。

何もできないまま街へと戻ったジェフンは、
バックパッカーの韓国人女性ジナがトラブルに巻き込まれるのに遭遇し……。

韓国からオーストラリアまで来たというのにどうしてこんなに軽装備なのか。
突然思いついてと言ったって、着替えぐらい持ってくるだろう。
毎日おなじスーツを着て、しかも汚れているようには見えないし。

そんな違和感を持ちつづけて観ていました。そういうオチでしたか。
そのオチ自体、あまり目新しくもありませんが、しっかり騙されました。
ま、面白かったのですけれど、なんとも暗い作品。
笑えるシーンはひとつもなくて、だいぶ凹みます。

それにしてもイ・ビョンホンってやっぱり上手いと思います。
こんな無口で陰鬱な面持ちの役でも映える。
でも、殺人鬼に復讐を誓う冷静な男とか、切ない表情を湛えた王とか、
柄の悪い詐欺師とか、その他もろもろの役のほうが惹かれるかな。

彼に惚れ込まれた監督が今後どうなるのか楽しみです。

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『ダークタワー』

2018年02月22日 | 映画(た行)
『ダークタワー』
監督:ニコライ・アーセル
出演:イドリス・エルバ,マシュー・マコノヒー,トム・テイラー,クローディア・キム,
   フラン・クランツ,アビー・リー,ジャッキー・アール・ヘイリー他

109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴの2本目。

前述の『今夜、ロマンス劇場で』が某レビューサイトで高評価なのに対し、
もうじき上映終了しそうな本作はあんまり評価が高くない。
どうしようかなと思ったけれど、なにせ私はアマノジャク。
一般的には低評価でも私の心の琴線には触れるかもしれません。
それに、観に行った人に尋ねたら、「わりと面白かった」との感想。
なんだか申し訳なさそうにそうおっしゃっていたのは、
私に薦めてもつまらないと思われそうとお考えになったのかも(笑)。

で、結果。面白いやんかっ。
『今夜、ロマンス劇場で』より私はずーっと好きでした。

原作はスティーヴン・キングの同名長編小説。
全7部構成だそうで、『IT』の原作ですらつまずいた私は、
そんな大長編にはとても手を出せそうにありません。

ニューヨークに暮らす少年ジェイクが毎夜見る同じ夢。
夢の中に出てくるのは、荒野にそびえる暗黒の塔。
それを守るガンスリンガー(=拳銃使い)と、
それを破壊しようとする黒衣の男が戦いを繰り広げている。

夢の中の塔が破壊されれば現実世界も荒廃すると考えるジェイクは、
母親に懸命に訴えるが信じてくれない。
そればかりか、父親を失ったせいで心を病んでいるのだと思われる。
母親と継父から施設に預けられそうになり、ジェイクは逃げる。

逃走中、ジェイクは夢の中で見た「中間世界」を発見。
そこへ飛び込んだジェイクは最後のガンスリンガー、ローランドと出会うのだが……。

たぶん私はもともとダークファンタジーが好きなんでしょうね。
この世界観、たまりません。

ローランドにはイドリス・エルバ
いろんな作品で見ているはずなのですが、あまり記憶になく。これでしっかり覚えました。
黒衣の男には、役作りのための激痩せからやっと元に戻ってきたマシュー・マコノヒー
何より良いのは、ジェイク役の子役、トム・テイラー。
『ルイの9番目の人生』の子役の彼と並び、美形でめっちゃ知的。

もっと長いこと観ていたかったと思えるぐらいがちょうどいい。
心で撃つっていいじゃあないか。

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『今夜、ロマンス劇場で』

2018年02月21日 | 映画(か行)
『今夜、ロマンス劇場で』
監督:武内英樹
出演:綾瀬はるか,坂口健太郎,本田翼,北村一輝,中尾明慶,
   石橋杏奈,西岡徳馬,柄本明,加藤剛他

日曜日の朝の109シネマズ大阪エキスポシティでの2本ハシゴ。
2本分の駐車サービスが受けられると知ってからクセになっています。

武内英樹監督はTVドラマを多く手がける演出家でもあります。
古くは岸谷五朗主演の『みにくいアヒルの子』、あの大ヒット作『ひとつ屋根の下2』、
深キョンHIV感染者の少女を演じた『神様、もう少しだけ』、
こういった作品はこの人の演出によるもの。もう20年前の話なのですね。
映画監督としては『テルマエ・ロマエ』が大ヒット。
そんな監督が綾瀬はるか坂口健太郎をW主演に起用。

映画会社で助監督として働く青年・牧野健司(坂口健太郎)。
彼の夜な夜なの楽しみは、馴染みの映画館“ロマンス劇場”にかよって、
劇場の経営者・本多正(柄本明)に頼み込み、
古いモノクロ映画『お転婆姫と三獣士』を鑑賞すること。
その映画のお姫様役のヒロイン・美雪(綾瀬はるか)にすっかり魅せられている。

ところがある日、フィルムを売ることになったと本多が言う。
これはこの世に1本しかない珍品で、蒐集家が買い取りを希望しているとか。
もうスクリーンの美雪と会えないのかと思うと悲しくて、
健司は映写室から客席に下り、スクリーンに見入る。

すると突然停電、そして明るくなった客席に、
なんとモノクロの美雪が倒れているではないか。
驚きつつも手を貸そうとすると、気安く触るなと叩かれ、罵倒される。

健司は自分が暮らすおんぼろアパートで美雪と同居生活をするはめに。
わがまま言い放題の美雪に突き合わされて、てんやわんや。
美雪が仕事場までついてくるものだから、ちょっとした騒ぎになり……。

最初は失敗したと思いました。
まず石橋杏奈演じる看護師にイライラ、その後は美雪のわがままにイライラ。
いったいいつまで続くのか、耐えがたいイライラ状態に。
途中退出しようかと思うほどだったのですけれど、ま、耐えました(笑)。

そうしたら、最後はきっちり涙ぐむことに。
あれだけイライラしていたのに、涙目の自分が可笑しくて。

牧野という名前は、「日本映画の父」と言われた牧野省三氏へのオマージュでしょう。
モノクロとカラーの融合は『カラー・オブ・ハート』(1998)を思い出す。
映画の登場人物がスクリーンの中から現れるのは、『カイロの紫のバラ』(1985)。
『カイロの紫のバラ』のような皮肉なラストにはなりません。

と、いろんな要素や作品のオイシイところを混ぜたみたいで、
涙は出たものの、個人的には良かったとは言えません。
だけどこれを書いている時点での某レビューサイトではすごい高評価。
そうか、こういうのがウケるんだと思ったりして。
うん、確かに、私みたいなアマノジャクでなければそうなんだわ、
と、妙に納得できた作品なのでした。

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