夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『嘘を愛する女』

2018年01月31日 | 映画(あ行)
『嘘を愛する女』
監督:中江和仁
出演:長澤まさみ,高橋一生,DAIGO,川栄李奈,野波麻帆,初音映莉子,
   嶋田久作,奥貫薫,津嘉山正種,黒木瞳,吉田鋼太郎他

TOHOシネマズ梅田にて。

新たな才能の発掘を目指して企画された“TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM”。
その記念すべき2015年度の第1回でグランプリを受賞したのが本作。
趣旨が趣旨ですから、脚本も当然オリジナル。
よって原作はありませんが、ノベライズの小説版は既読。そのときのレビューはこちら
文庫の帯に「もうひとつのラストに涙する」とあったので、
映画版とどう違うんだろうと想像していましたが、大ざっぱには同じ。
細かい設定がいろいろと異なります。

食品メーカーに勤める川原由加利(長澤まさみ)は、
東日本大震災の日、騒然とする駅で気分が悪くなってうずくまっていたところを
通りすがりの医者だという小出桔平(高橋一生)に助けられる。
彼のおかげで落ち着き、会社まで歩いて戻るというハイヒール姿の由加利に、
彼は自分のスニーカーを差し出して立ち去る。
街で偶然再会、ふたりは由加利の部屋で一緒に暮らしはじめる。

ある日の仕事帰り、待ち合わせに来なかった桔平。
翌朝、刑事(嶋田久作)がやってきて、桔平がくも膜下出血で倒れたと聞かされる。
所持品の中にあった運転免許証も医師免許証もすべて偽造されたものとのこと。
名前すら嘘だったことがわかり、愕然とする由加利。

依然意識不明で眠りつづける桔平を前にどうしていいのかわからず、
同僚(野波麻帆)の親戚で私立探偵の海原匠(吉田鋼太郎)に調査を依頼。
やがて、彼が仕事に行くふりをしてかよっていた喫茶店の店員(川栄李奈)から、
桔平が毎日何かを執筆していたと知らされて、
それが保存されているであろうパソコンを見つける。

海原の事務所で働く木村(DAIGO)がパソコンを開くパスワードを解明。
由加利にはまるで覚えのない日付を用いたパスワードで開くと、
そこに綴られていたのは未完の小説で……。

総じて面白く観ましたが、小説版よりお涙頂戴度が高い。
そのせいで、アマノジャクな私は泣けず。
しかし周囲の客は鼻をすすっていましたし、
「めっちゃ感動した」という会話が聞こえました。

小説版では真相が明らかになるときに胸を絞られるようでしたから、
それに比べると物足りない。
だけど、由加利と海原のロードムービーとして見るのもアリで、
ふたりの掛け合いに笑ってしまうというのは小説版にはなかったこと。
ロン毛のオタクっぽいDAIGOも意外で、すごくよかったです。

『未成年だけどコドモじゃない』中島健人『リベンジgirl』桐谷美玲を見て、
笑う演技って難しいんだなぁと思ったばかりでしたから、
長澤まさみは笑うのが上手いことに気づいてびっくり。
やっぱり今の長澤まさみは好きだ。

帰りのエレベーター内で、若い女の子ふたりがこんなことを言っていました。
「高橋一生って別にカッコよくないよね。
ていうか、全然カッコよくないのに、なんでええ気がするんやろ」。
はい、私も同感です。

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『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』

2018年01月30日 | 映画(か行)
『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』(原題:Mein Blind Date mit dem Leben)
監督:マルク・ローテムント
出演:コスティア・ウルマン,ヤコブ・マッチェンツ,アンナ・マリア・ミューエ,
   ヨハン・フォン・ビューロー,アレクサンダー・ヘルト他

大阪ステーションシティシネマにて、3本ハシゴの3本目。
3本とも観たかった作品ではありますが、
本命だった本作を上映していたのが梅田ではココだけでした。
もしもこれがなかったら、普通にTOHOシネマズ梅田へ行って、
『伊藤くん A to E』と『ジオストーム』を観ていたかも。
『ペーパー・ムーン』も見送っていたでしょうし、
本作のおかげで選択したステーションシティで凄くいいハシゴができました。

ドイツの一流ホテルで実際にあった話が基。ビックリします。

スリランカ人の父とドイツ人の母を持つ真面目な高校生サリヤ。
一流ホテルでの職業体験に参加したところ、成績優秀。
卒業したら本当に来い、君なら喜んで採用すると言われる。

ところが、彼の眼に異変が生じる。
焦点がぼやけ、黒板の字どころか友だちの顔も見えなくなり、
病院で診察を受けると、先天性の病気に冒されていた。
手術を受けて失明は免れたものの、95%の視力を失う

息子の将来を有望視していた父親は意気消沈。
このまま普通科に通いたいという息子に暴言を吐くが、母親と姉は良き理解者。
日常生活や試験勉強に手を貸し、サリヤは見事卒業する。

眼が見えずとも夢をあきらめたくない。
障害のことを正直に話していくつかのホテルに応募するものの、どこも不採用。
卒業したら来いと言ってくれたホテルからも門前払いを喰らう。

そこでサリヤは障害を隠して応募、面接に臨む。
姉の指導で模擬面接を繰り返し、ホテル内外の通路も覚えた結果、
極度の弱視だとはバレずに採用される。

晴れてミュンヘンの5つ星ホテルの研修生となったサリヤは、
ホテルマンの見習いとしてあらゆる業務に携わるのだが……。

ポジティブです。
まず手術後のサリヤの言葉が、「5%の視力が残ったのだからよかった」。
たびたび映る彼の視界。普通の人の5%の視界ってこんなふうなのですね。
歩くことさえままならぬ、何も見えないのと同じです。

そんな視力でありながら、客室の清掃作業に始まり、ベッドメイキング、
フロント業務、レストランの厨房およびフロア業務まで。
もちろんひとりではどうにもならず、同じ研修生でお調子者のマックスが
あれやこれやと助けてくれます。

いい話だけで終わるのかと思いきや、悲惨な状況に陥りもして、
どうしようもなく暗い気持ちになるシーンも。
それでも立ち直り、再び夢を追いかけるサリヤと彼を見守る周囲の人々に感激。
鬼教官だって根っから悪い人じゃない。
しかしスゲェな、5つ星ホテル。ホテルマンって、全業務こなせるんだ。

「5%しか残らなかった」ではなく、「5%も残った」と言える人になれたなら。

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『ジオストーム』

2018年01月29日 | 映画(さ行)
『ジオストーム』(原題:Geostorm)
監督:ディーン・デヴリン
出演:ジェラルド・バトラー,ジム・スタージェス,アビー・コーニッシュ,アレクサンドラ・マリア・ララ,
   ダニエル・ウー,エウヘニオ・デルベス,エド・ハリス,アンディ・ガルシア他

大阪ステーションシティシネマにて、3本ハシゴの2本目。

予告編以上のことは何も起こりそうにないに決まっている。
だけど観たくなってしまうのがディザスタームービー
絶対ハッピーエンドで、嫌な気分になるはずもない、安心の1本(笑)。

ジェイクは気象コントロール衛星“ダッチボーイ”の開発者。
全世界の天気を管理できるダッチボーイが完成したことによって、
度重なる自然災害に苦しめられてきた人類は安全を確保。
一躍有名人となったジェイクは、街行けば賞賛の声をかけられる。

しかし、たとえどんなに立場の強い相手にもヘイコラしない彼は、
政府のお役人たちにとっては扱いにくいことこの上ない。
ダッチボーイが完成するや、ジェイクの責任者としての資質を問うて解雇。
代わりの責任者としてジェイクの弟マックスを抜擢する。

月日が経ち、怠惰な生活を送っていたジェイクのもとをマックスが訪ねる。
ダッチボーイに不具合が生じたため、原因を解明する必要がある。
ついては国際気象宇宙ステーションに誰かを送り込まねばならなくなったので、
ダッチボーイについて誰よりも詳しいジェイクに行ってほしいとの依頼。

やむをえず引き受けたジェイクは、マックスと協力しながら作業を進めるうち、
単なる不具合などではなく、黒幕が仕掛けたことだと知る。
このままでは人類滅亡をも引き起こす自然災害“ジオストーム”が発生する。
それを食い止めようとジェイクは奔走するのだが……。

ネタバレせずには書けません(笑)。
以下、黒幕は伏せますが、これを読んだらわかるも同然。
完全ネタバレですので、知りたくない人はご注意を。

先に申し上げておくと、兄弟間での陰謀は何もありません。
少々仲違いはしていたけれど、ジェイクとマックスは実に良い兄弟。
ちょっと中年太りしすぎのジェイク役のジェラルド・バトラー
相変わらず可愛い顔のマックス役のジム・スタージェス、どちらも○。

アンディ・ガルシア演じる大統領が黒幕かという話になり、
これはトランプ大統領へのシャレ(嫌がらせ?)かと思いましたね(笑)。
マックスの恋人でシークレットサービスのサラ役、アビー・コーニッシュがカッコイイ。
吹替版で彼女の声を担当しているのはブルゾンちえみだそうで、へ~っ。
大統領とマックスとサラの爆走中の会話がとても面白いです。

『アルマゲドン』(1998)となんら変わりない話なわけで、
同じように最後は犠牲になったかと思いきや生還。
ほ~ら、超ハッピーエンド♪

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『ペーパー・ムーン』

2018年01月28日 | 映画(は行)
『ペーパー・ムーン』(原題:Paper Moon)
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
出演:ライアン・オニール,テイタム・オニール,マデリーン・カーン,
   ジョン・ヒラーマン,P・J・ジョンソン,ランディ・クエイド他

年度末が近づいてきました。有休消化月間です。
次年度に繰り越せない分だけは何が何でも使わなくては。

先々週の金曜日、夜は千里中央で職場の新年会。
ほぼ全員が職場から新年会へ向かうであろうなか、私は休みを取って映画三昧。
新年会をする店の入っている建物の駐車場は高いと聞いていたけれど、
調べてみたらフロアによって料金がちがい、7階ならば最大料金1,200円。
帰りは車のほうが断然楽だから、新年会でアルコール摂取をするのはあきらめて、
朝から千里中央に車を駐めっぱなしにして梅田へ。

前日まではTOHOシネマズ梅田で3本観るつもりでした。
1本目に観るつもりだったのは『伊藤くん A to E』。
でもこれ、廣木隆一監督なんです。ここ数年「もうええわ」と思う監督。
どうせそう思うのに観てしまう。今回こそ本当にやめとこ。

で、別の作品のハシゴに方向転換。
まずは“午前十時の映画祭”で本作を観ることにしました。
大阪ステーションシティシネマにて。

1973年の大ヒット作品で、その年トップの興行収入を獲得。
同年の第46回アカデミー賞では、テイタム・オニールが史上最年少で助演女優賞を受賞。
そんな縁もあり、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の『マイ・ファニー・レディ』(2014)に
彼女はカメオ出演しています。

1935年のアメリカ中西部。
聖書の訪問販売で小銭を稼ぐ詐欺師モーゼは、知人女性の葬儀に駆けつけたさい、
その女性の娘で9歳のアディと出会う。
なりゆきでミズーリ州の伯母の家までアディを送り届けることに。

そんな幼い娘の扱いかたもわからずに困惑するが、
アディはモーゼの一枚も二枚も上手(うわて)。
子連れでは詐欺仕事に支障が出るだろうと思いきや、
それどころか健気(けなげ)な素振りでモーゼを窮地から救う。
ふたりのときはまるで可愛げのない娘だが、組めば荒稼ぎできることは確実。

こうして絶妙のコンビとなったふたりは、
お互いに悪態をつきながらも旅を続けるのだが……。

ずいぶん昔に一度は観ているはずですが、ほとんど忘れていて新鮮でした。
そして“午前十時の映画祭”の上映作品はまちがいなくイイ。

いつも口を「へ」の字にしているテイタム・オニールが
ニッコリするときのなんと可愛いこと。
実父のライアン・オニールとの共演だなんて、
親としてこんなにも嬉しいことってそうそうないだろうなぁと思ったり。

しかし本作以降の実生活がどうだったかを考えるとなかなかシビア。
テイタムは本作と『がんばれ!ベアーズ』(1976)以外にはヒット作なく、ヤク中に。
話題になったのはジョン・マッケンローとの結婚ぐらいか。
女癖の悪いライアンはその後もあれやこれやとよくない噂ばかり。
本作の監督も、同棲していたプレイメイトが殺されたり(そしてそのプレイメイトの妹と結婚)と、
とにかくゴシップに事欠かないメンバーだらけの作品だったのですねぇ。

ゴシップのことは考えずに観るに限る。
でないと、ラストシーンでほろりとできませんから(笑)。

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『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』

2018年01月26日 | 映画(な行)
『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』(原題:Renegades)
監督:スティーヴン・クエイル
出演:サリヴァン・ステイプルトン,チャーリー・ビューリー,シルヴィア・フークス,
   ジョシュア・ヘンリー,ディアミッド・マルタ,J・K・シモンズ他

前述の『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』とハシゴ。
同じくTOHOシネマズ伊丹にて。

予告編がとても面白そうだったので狙っていました。
フランス/ドイツ作品で、製作と脚本はリュック・ベッソン
しかしキャストを見れば日本ではほとんどなじみのない俳優ばかり。
知名度が高いといえるのはJ・K・シモンズでしたけれど、
面白い脚本があれば俳優の知名度って関係ないんだなぁと思った1本。
めっちゃ面白かった。
ただし、ナチスものとして捉えると、ふざけすぎと憤ることになりそうな。

1944年、第二次世界大戦下のユーゴスラビア
ヒトラー率いるナチスドイツが美術品をかき集めて隠した村があった。
ところが抵抗勢力によってこの村は爆破され、湖底に沈められる。

1995年、紛争末期のサラエボ
ネイビーシールズの精鋭チームのリーダー、マットは、
スタントン、ベン、カート、ディミトリーを率い、
どんな困難な任務も成功させてのけるが、毎度規則を逸脱。
上官のレヴィン少将からまたしても怒られる。
レヴィン少将が尻ぬぐいに奔走するであろう3日間、
マットらは休暇を取るように命じられる。

そんな休暇中のこと。
村内の店の美人ウェイトレス、ララとつきあっているスタントンは、
総額3億ドルの金塊が湖底に眠っているという情報を入手。
すでに故人のララの祖父がたまたま現場に居合わせ、
ことあるごとに話していたが、誰も信じなかったらしい。
ただひとり信じたララは、それが嘘ではない証拠まで持っている。
なんとか金塊を引き上げて、この地を再建したいのだとララは言う。

ララが信じるに足る人物であるという保証は何もない。
しかしマットたちは考える。俺たちが避難民を救えるかもしれないのだと。
こうして、敵陣の真っ只中にある湖に潜入、
金塊を引き上げる策を練りはじめるのだが……。

思いのほかシリアスなシーンではじまったので不安に。
けれど続きは予想どおり、いえ、予想以上の痛快アクション。
コメディの要素も十分にあり、会話が面白いのなんのって。

J・K・シモンズが演じるのはレヴィン少将。
鬼の形相(もともと顔怖いし)で部下を叱り飛ばすけど、理想の上司でしょう。
謹慎を言い渡すときには酒瓶も一緒に渡す。
部下の無謀なふるまいを一応は叱るけど、情にも厚い人。
最後はきっちり泣かされます。

最高のチームメイトたち。もう1回観たいぐらい楽しかった。

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