夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈わ行〉

2017年12月31日 | 映画(わ行)
《わ》
『わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた』
2016年の日本作品。
というのか、2016年のクリスマスドラマスペシャルで放映された作品だそうで、
映画に含めていいのかどうか疑問ですが、テレビ映画ということで。
恋愛シミュレーションゲームプランナーの白野莉子(多部未華子)は、
アプリ会社の新恋愛ゲームの制作企画会議に参加。
桃瀬はるか(大政絢)をはじめとする女性社員と和気藹々、話を進めていたが、
社長の黒川壮一郎(高橋一生)の「恋愛ゲームをやる女なんてバカかブス」という発言にぶちきれ、
「現実の男がふがいないからだろうが」と言い返して険悪なムードに。
若くして自分で会社を立ち上げ、すべてにおいてハイスペックな壮一郎だが、
実は女心というものがまったくわからない。
ひそかにはるかに想いを寄せるもどうしてよいかわからずにいたところ、
即座にそれを見抜いた莉子のアドバイスどおりに行動すると上手く行きそうな気配。
そこで壮一郎は恥を忍んで莉子に恋愛を指南してほしいと頼むのだが……。
高橋一生って不思議な人ですよね。すごいイケメンとかではないのに、
なんだか引き寄せられてしまいます。そして多部ちゃん、カワイイ。
隠れ家カフェの店主役、田中要次もよかった。
展開も見え見えだけどニヤニヤしてしまう、ラブコメの王道作品でした。

《を》《ん》
なし。

総計何本観たか、まだ今日が残っているので計算していませんが、
家でじっとDVDを観る精神力と体力がなくなったことをひしと感じ、激減しているはず。
それでもTSUTAYA DISCASでは定額16本レンタルを維持したままだったから、
本数を消化するために借りたドラマのなかには、
『バイプレイヤーズ もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら』もありました。
全巻レンタルして観た後に、トランプ付きのDVDまで買ってしまい。(^^;

今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。

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今年観た映画50音順〈ら行〉

2017年12月30日 | 映画(ら行)
《ら》
『ラビング 愛という名前のふたり』(原題:Loving)
2016年のアメリカ作品。
異人種間の結婚を禁じた法律をなくすきっかけとなった夫妻の話。
この話に深い感銘を受けたというコリン・ファースが映画化を熱望、
プロデューサーに名乗り出たことにより映画化が実現。
1958年のヴァージニア州
幼い頃から白人も黒人も混在する環境で育った白人男性リチャード・ラビングは、
自然な流れで幼なじみの黒人女性ミルドレッドとの結婚を決意。
しかしヴァージニア州では異人種間の結婚が禁じられているため、
それが禁じられていないワシントンDCまで出向き、結婚の手続きを済ませる。
地元に新居を構え、じきに生まれる赤ん坊を心待ちに幸せな新婚生活を開始するが、
保安官がやってきて、ふたりとも逮捕されてしまう。
離婚するか、25年間の州外退去を飲むかを迫られ、夫妻はやむを得ず州外へ。
子ども3人に恵まれたものの、せせこましい街では伸び伸びと育てられない。
そんな折り、ケネディ司法長官に手紙を書いてみればと親戚から勧められ……。
法律を変えたいわけじゃない、生まれ育った土地で穏やかに暮らしたいだけ。
家族を懸命に守ろうとするリチャードと、自分たちが先駆者になれればと、
積極的にメディアの取材を受けて闘おうとするミルドレッド。
見事勝訴したわずか7年後にリチャードが交通事故死したという後日談が悲しい。

《り》
『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』(原題:Little Boy)
2016年のメキシコ/アメリカ作品。
第二次世界大戦下のカリフォルニア州、小さな漁村。
8歳の少年ペッパーは、チビゆえにいじめられることもしばしば。
そんな彼を「相棒」と呼んでくれる優しい父親のことが大好き。
ところが、戦争に行くはずだったペッパーの兄ロンドンが
扁平足のせいで徴兵検査に不合格となり、代わりに父親が徴兵されてしまう。
父親を呼び戻すためになら何でもしようと考えるペッパーに、
教会の司祭が「願いを叶えるためにやるべきことのリスト」を手渡す。
その中に、町のはずれに一人で住む日系人男性ハシモトに親切にすることとあった。
一応、米国への忠誠が認められて収容所から釈放された人ではあるが、
日本人に敵意を剥き出しの住民たちはハシモトを徹底的に差別している。
周囲から冷たい視線を浴びている彼に親切にするなんて。
葛藤しつつも父親のため。ペッパーはハシモトのもとを訪れるのだが……。
司祭役のトム・ウィルキンソンがすごくよかった。
そして、ペッパー役のおチビちゃんは今年いちばん可愛かった子役かも。
広島への原爆投下に町中が湧くシーンなどもあるので、
日本人としては心穏やかでいられない部分もありますが、
ペッパーとハシモトの心のふれあいに胸が熱くなりました。

《る》
『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』
2017年の日本のアニメーション作品。
DVDは前後編2本に分かれて発売され、1本が25分程度。
『ルパン三世』の原点に回帰するという触れ込みの、いわばスピンオフ。
鉄竜会に用心棒として雇われていた若き石川五ェ門。
ある日、航行中の賭博船で組長が襲われ、五ェ門がなんとか救出。
ところがその直後に“バミューダの亡霊”と恐れられる大男ホークがやってきて大暴れ。
組長が命を落とした責任を押しつけられた五ェ門は、懸命にホークを追う。
一方、ホークの次なるターゲットはルパン、次元、不二子で……。
五ェ門の両肩の肉が削ぎ落とされるなど、かなり残酷な描写。
フィルムノワール的な雰囲気も漂います。

《れ》
『レッド・ダイヤモンド』(原題:Precious Cargo)
2016年のアメリカ作品。
凄腕の泥棒ジャックは、その正体を隠して獣医ジェナと交際中。
ところが音信不通だった元相棒で恋人のカレンが戻ってきて、
マフィアのボスであるエディを欺いたために追われていると助けを求められる。
同時にエディが狙うレッド・ダイヤモンドをくすねようと誘われて……。
アクション映画を専門に制作する会社の作品で、
ブルース・ウィリスとのコラボは『16ブロック』(2006)以来8本目だとか。
彼は本作で主役を演じているのではなく、悪役のエディのほう。
クレア・フォーラニってこんなに顔が細長くてエラが張っていたっけとビックリ。
ジャックの仲間で女狙撃手ローガン役のジェナ・ケリーが可愛い。
エンドロールのNG集も楽しいけれど、まぁB級ですな。

《ろ》
『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』(原題:A Royal Night Out)
2015年のイギリス作品。
エリザベス女王が王女時代にお忍びで外出したという逸話に着想を得たとのこと。
ヨーロッパ戦勝記念日となった1945年5月8日。イギリスでは国中がお祝いムード。
19歳のエリザベス王女とその妹マーガレットは、
国民と一緒に祝いたいと、母親のエリザベス王妃に外出を願い出る。
王妃からはたしなめられるが、父親の国王ジョージ6世の計らいで姉妹は外出を許可され、
生まれて初めてバッキンガム宮殿を後にする。とはいえ、しっかり護衛つき。
ところが、おてんばなマーガレットは速攻で護衛をまき、バスで喧噪の中へ。
エリザベスは慌てて妹を追うが、バス代すら所持していない。
途方に暮れる彼女に手を貸したのが空軍兵士のジャックで……。
監督は名作『キンキーブーツ』(2005)のジュリアン・ジャロルド。
女性ならば誰しも気に入りそうなロマンティックストーリー。素敵です。

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今年観た映画50音順〈や行〉

2017年12月29日 | 映画(や行)
《や》
『野生のなまはげ』
2015年の日本作品。
秋田県の天照山には野生のなまはげが今も生存している。その数は激減し、希少。
ある日、山中に仕掛けられた罠にかかり、負傷して動けずにいたまはげが捕獲される。
傷が癒えたら動物園に送り込まれるはずだったが、搬送車から脱走。
悪い子を求めてさまよっていたなまはげは、少年・守を発見。
両親が離婚してつまらない日々を過ごしていた守は、最初はなまはげに怯えるが、
お腹をすかせたなまはげに食べ物を与えるうち、離れがたくなる。
一方、悪徳ペット業者が、顧客に高額でなまはげを売りつけようと、
脱走したなまはげの噂を聞きつけて探しまわる。
逃げるなまはげと守に、なまはげに詳しい教授が協力して……。
野生のなまはげと少年の心の交流といえば聞こえはいいけれど、
出来のよろしくないコントを見せられているような感じ。そこがなんともいじらしい(笑)。
秋田県、秋田美人、きりたんぽ、比内地鶏の鍋など秋田名物が出てきて、
秋田出身の人はより楽しいだろうなぁと思います。
そういう私も、結婚前の本籍地は秋田県。父が秋田出身でした。
だから贔屓目もいくぶん入るけど、憎めない作品です。

《ゆ》
『ゆずり葉の頃』
2014年の日本作品。
76歳にして初監督に挑戦したという中みね子監督は、なんとあの岡本喜八監督の奥様。
小品ながら大ベテラン俳優が勢揃いというのも道理で。
海外赴任中の進(風間トオル)が6日間の予定で帰国するが、
一人暮らしの母親・市子(八千草薫)は不在。
隣人の話では、市子は軽井沢へ旅行中で、日程も宿も決めない気ままな旅とのこと。
どうやら市子は世界的に有名な日本画家の個展を軽井沢まで見に行ったらしく……。
戦時中、軽井沢に疎開していた市子が、淡い初恋の記憶を胸にめぐる思い出の地。
画家に仲代達矢、珈琲店のマスターに岸部一徳
着物を上品に着こなし、いつまで経っても美しく可愛らしい八千草薫。
こんなふうに歳を取りたいものだといつ見ても思います。ほっとできる1本。

《よ》
『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』
全国各地の酒場を訪ね歩く“酒場詩人”こと吉田類の映画初出演作。
3話構成のオムニバスで、彼が登場するのはチラッと。ほとんど酒場の案内人として。
第1話「居酒屋チャンス」は、逃走中の人気アイドルと常連客の交流。
第2話「どつぼ酒場」は、疲れたサラリーマンがたまたま入った酒場でドツボ状態。
第3話「ふるさと酒場土佐っ子」は、横領で警察に追われる会社社長が、
出頭前に懐かしい郷里の酒を置く店へふらりと立ち寄る。
子ども時代の回想シーンで綴られる第3話がとても良かった。
第2話の伊藤淳史津田寛治もいい味を出しています。
たまにはドツボにハマるのも悪くないかも。

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今年観た映画50音順〈ま行〉

2017年12月28日 | 映画(ま行)
《ま》
『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』(原題:Miss You Already)
2015年のアメリカ作品。
ニューヨークの大学に勤務する三十路のマギーは、男性と長く続いた試しがない。
結婚はもうできなくてもいいけれど子どもはどうしてもほしいと、
学生時代に数学の天才ともてはやされたガイに精子提供を依頼。
排卵日にそれを自分で注入して妊娠するはずだった。
ちょうどそのとき、作家を目指す文化人類学者ジョンと出会い、意気投合。
ジョンには大学教授の妻ジョーゼットがいたが、マギーは彼と略奪婚。
可愛い娘リリーも授かり、幸せな毎日が送れるかと思いきや、
結婚後のジョンは小説を書くだけで家事も育児もマギーに丸投げ。
リリーだけでなく、ジョンとジョーゼットとの間の子ども2人の面倒まで見るはめに。
たまりかねたマギーがジョーゼットに会いに行ってみると、
鬼嫁との噂を聞いていたジョーゼットは思いの外すばらしい女性で……。
監督は『50歳の恋愛白書』(2009)のレベッカ・ミラー、
主演は『フランシス・ハ』(2012)のグレタ・ガーウィグ
ジョン役にイーサン・ホーク、ジョーゼット役にジュリアン・ムーア
純粋なんだか抜けてるんだかわからないマギーが○。
ジョンのどこがいいんだ、とっとと別れろと応援。そのとおりになります。
印象に残るスケートリンクのラストシーン。好きでした。

《み》
『未来を花束にして』(原題:Suffragette)
2015年のイギリス作品。
100年前の英国で、女性の参政権を求めて立ち上がった女性たちの話。
24歳の女性モードは、幼い愛息を抱え、夫と同じ洗濯工場で働いている。
洗濯工場では女性の勤務時間のほうが長く、過酷。
男性は配達などの外回りを担当し、自由も利くのに、
男女の給料は言うまでもなく男性のほうが上。
その事実について深く考えたことすらなかったが、
街で女性の参政権を求める抗議活動に遭遇。
この女性社会政治同盟のメンバー“サフラジェット”(=原題)との出会いにより運命が変わる。
男女共に参政権があることなど当たり前だと思っていました。
エンドロールで各国の女性参政権の実態を知り、驚愕。
参政権を求める活動のために子どもとの仲を引き裂かれる様子が悲しい。
こんな女性たちがいたからこそ、私たちの参政権があるのですね。

《む》
『むこうぶち13 高れーと裏麻雀列伝 壺』
劇場では「む」で始まる作品をいろいろ観たのですが―これとかこれとか―、
レンタルにはまったくと言っていいほどなくて、
「む」を書くためだけにひねり出して観た作品(笑)。
1999年から麻雀雑誌に連載されている人気漫画で、47巻まで刊行中。
実写版映画は2007年から撮られてこうして今なお継続中。すごっ。
「むこうぶち」とは一匹狼のギャンブラー。その主人公・傀を演じるのは(袴田吉彦)。
諸般の事情から荒稼ぎを目論むいろんなギャンブラーが現れて、
傀にやられて目論見砕け散るというのが毎度のパターンらしい。
雀卓を囲んで麻雀を打っているだけなのですが、駆け引きがなかなか面白くて。
「む」のために借りたDVDだったけど、ちょっとハマリそうな気配です。

《め》
『牝猫たち』
2016年の日本作品。
気鋭の映画監督5人を起用して“日活ロマンポルノ”を現代に甦らせるという、
“ロマンポルノ・リブート・プロジェクト”。
シネ・リーブル梅田で上映されていたときにどうしても時間が合わず、DVDにて。
これはその中で私がもっとも観たかった白石和彌監督による1本で、
田中登監督のロマンポルノ『牝猫たちの夜』(1972)へのオマージュ作品。
池袋の風俗店で働くデリヘル嬢3人、雅子、結依、里枝。
ビルを所有する金持ちでイケメン、でもひきこもりの青年からよく指名が入る雅子。
シングルマザーの結依は、イライラを募らせて幼い息子を虐待している。
妻に先立たれた老人は里枝を頻繁に呼ぶが、会っても何もしない。
それぞれの孤独が突き刺さるようで辛いけれど目が離せません。好き。
これからも注目していきたい監督です。

《も》
『持たざるものが全てを奪う/HACKER』(原題:Hacker)
2015年のアメリカ作品。“未体験ゾーンの映画たち 2017”にて上映。
ルーマニアからカナダの田舎町へ移住したアレックス一家。
どうしても家を手に入れたかった両親は無謀な住宅ローンを組む。
母親は銀行に仕事の口を見つけるが、父親はぐうたらで、家計は常に火の車。
両親の喧嘩が絶えないなか、アレックスはPCで小銭を稼ぐ方法を覚える。
大学入学の資金が貯まった頃、母親が銀行をクビに。
ローンを払えないと悲嘆する母に、アレックスは貯金を差し出し、
もっと稼ぐために都会のトロントへと向かう。
ヤバイ仕事に詳しいサイという男と知り合い、ハッカー集団“ダークウェブ”に接触。
そのリーダー“ゼット”に心酔するアレックスは、
母親を苦しめた銀行に復讐しようとあれこれ仕掛けるのだが……。
実話が基らしく、面白そうな話ではあるのですが、なんとも描写が浅い。
ハッカーの手腕を見るには物足りないし、
途中から仲間になる女性キーラとの青春恋愛ものとも言えません。
登場人物の誰にも共感できないから、「ふーん」でおしまい。
それよりも、本作のあらすじが「アメリカに移住」と紹介されているのはどうなのよ。
カナダだってば。

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今年観た映画50音順〈は行〉

2017年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』(原題:Hollywood Banker)
2014年のオランダ作品。
ご存じでしたか、オランダ人の銀行員フランズ・アフマン。
彼は1970年代半ば以降、新興の映画会社への融資を積極的におこないました。
『ターミネーター』(1984)や『プラトーン』(1986)が製作されるに至ったのは、
本国アメリカで資金を提供しようという人が皆無のなか、
オランダ人のこの人がなんとか映画が撮れるようにと融資したから。
一介の銀行員でありながら、こんなことができるなんて。
『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990)は3時間超の長編で字幕あり、
しかもハリウッドが敬遠する、ケヴィン・コスナーの「初監督作」。
誰もお金を貸してくれなかったのに、アフマン氏が奔走して大ヒット。
監督はアフマン氏の愛娘ローゼマイン。
映画ファンなら、こんな人がいたことを記憶に留めておきたい。

《ひ》
『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』(英題:The Himalayas)
2015年の韓国作品。
実話が基の山岳ドラマ
1992年、登山家ホンギルは、遭難しかけた大学生一行を助けるが、
イマイチ重大性をわかっていない大学生らに、
人に迷惑をかけるような奴は二度と山に登るなと告げる。
1997年、ヒマラヤの8,000メートル峰14座の完全制覇を目指すホンギルが
信頼できる仲間たちと次なる登山の計画を立てていたところ、
仲間の推薦で新メンバーとして現れたのがあのときの学生ムテクとジョンボク。
ホンギルは強く反対し、厳しい試験を課してみると、なんとかクリア。
以降、ホンギルを慕って何が何でもついてこようとするムテクを可愛がる。
やがて14座を制覇し、16座をも狙うホンギルだったが、脚の怪我がたたって引退。
ホンギルと代わって隊長に任命されたムテクは、ジョンボクとともにエベレストへ。
見事登頂を果たすが、下山中に遭難死してしまう。
悪天候の中、遺体は置き去りにされたままで、遺体なき葬儀が営まれる。
家族の泣き崩れる姿を見たホンギルは、ムテクの亡骸を回収することを決意。
以前の仲間たちに声をかけ、登頂の栄誉はもちろん、記録すら残らない登山に挑む。
序盤はおちゃらけすぎの感がありましたが、それも実際のムテクの人柄だったのかも。
命を落としては登山の価値などないと言いつつ、登山家はみんな命がけ。
とにかく『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016)と大違い。

《ふ》
『淵に立つ』
2016年の日本作品。
第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作。
町工場を営む鈴岡(古舘寛治)は敬虔なクリスチャンの妻・章江(筒井真理子)と
オルガンに夢中な10歳の娘・蛍(篠川桃音)と三人暮らし。
ある日、旧友で刑務所帰りの八坂(浅野忠信)が鈴岡を訪ねてくる。
訳あって拒めない鈴岡は、八坂をしばらく住み込みで雇うことに。
夫の勝手な決定に不機嫌になる章江だったが、次第に八坂に心を許し、
オルガンの上手い彼に蛍もすっかりなつくのだが……。
むかし何があったのか、いま何が起きたのか、これからどうなっていくのか、
説明のない部分を想像してとてつもない重苦しさを感じます。
浅野忠信からは八坂の不気味さがよく出ています。
いったい誰が悪いのか。ひとつも悪くないのに娘が受けるとばっちり。

《へ》
『ヘッド・ショット』(原題:Headshot)
2016年のインドネシア/日本/シンガポール作品。
ぶっ飛びの面白さだった『ザ・レイド』(2011)のイコ・ウワイスが主演。
極悪な囚人リーが刑務所で暴動を起こし、用意周到に脱獄
一方、重傷を負った青年が海辺に倒れているのを村人が発見。
病院に搬送され、2カ月の昏睡の末に目覚めるが、記憶喪失状態。
女医アイリンは彼にイシュマエルと名づけ、献身的に治療する。
ところが、リーとイシュマエルには深い繋がりがあることがわかる。
リーは身寄りのいない幼い子どもを集めて生きる術を叩き込み、
成長した彼らを使って悪の組織を築き上げていた。
イシュマエルがその組織から抜けようとしたところ、撃たれて海へ落ちたというのが真相。
彼の本当の名はアブディで、リーはアブディが生きていることを知る。
リーはアブディの居所を突き止めるためにアイリンを拉致するのだが……。
凄惨なバイオレンスアクションだけど、めっちゃ面白い。
こんな作品を撮れるなんて、インドネシアをナメてました。すみません。

《ほ》
『ホームレス ニューヨークと寝た男』(原題:Homme Less)
2014年のオーストリア/アメリカ作品。
雑居ビルの屋上に忍び込んで寝起きする生活を続けるマーク・レイ、52歳。
元モデルで188cmの長身、めちゃセクシー、正当な二枚目というべき彼は、
そんな生活をしていることはおくびにも出さず、
朝から深夜までマンハッタンへ出向いては、
ファッションフォトグラファーとしての仕事をこなす。
時には役者のオーディションを受け、『メン・イン・ブラック3』(2012)の端役もゲット。
決して好んでホームレス生活を送っているわけではありません。
親孝行できないと話す彼の目には涙が浮かび、見ていて切ない。
非常に面白く、身にこたえる異色のドキュメンタリーでした。

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