夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

「サマー」な映画

2010年07月30日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
タイトルに「サマー」と付く映画を2本。

まずは、来週金曜日に地上波初登場となる『サマーウォーズ』(2009)。
春先にレンタルDVDで観てツボにハマったアニメです。

数学(だけ)が得意な高校2年生、健二は、
学校のアイドル的存在で憧れの先輩、夏希から、
夏休みの謎のアルバイトを頼まれる。
夏希の田舎を訪れると、彼女の本家は武家の血筋を引く旧家で、
曾祖母の90歳の誕生祝いが盛大に進行中。
なんと健二の仕事とは、夏希の婚約者のふりをすることだった。

と書けば、青春恋愛ドラマのようですが、舞台は近未来。
人びとの日常生活はすべて、仮想都市“OZ”と密接に関係しています。
そのOZの乗っ取りを企む人物が現れて……というお話。

でも、SFはようわからんという人も敬遠しないでください。
夏希の田舎である長野県上田市には緑が溢れ、
近未来の話なのに、懐かしさいっぱい。
お屋敷に集う親戚一同はどこかにいそうな人ばかり。
バーチャルという言葉に疎い私でものめり込みました。

「つながり」こそが、ボクらの武器。
人を殺すゲームが氾濫するなか、健二たちが取る方法に注目。
最後はうるうる、そして、爽快感に包まれます。
同監督の『時をかける少女』(2006)が好きだった人には特にオススメ。

もう1本は、レンタル新作の『(500)日のサマー』(2009)。
ミュージックビデオを手がけてきた監督の長編映画デビュー作。

建築家になる夢を果たせないまま、
グリーティングカードの制作会社に勤めるトムは、
事務員として入社してきたサマーに一目惚れ。
この出会いにトムは運命を感じるが、
サマーは誰かの所有物になるなんてまっぴらごめん、
恋人なんていらないと断言するような女性。

好みの音楽が同じだったことをきっかけに
ふたりはつきあうようになるものの、
サマーはその状態を恋人同士だとは認めません。
キスしても、寝ても、サマーにとっては単なる「気軽な関係」。
悶々とするトムの様子が可笑しくほろ苦く描かれます。

テンポの良い曲がふんだんに使われ、
トムとサマーの500日は順序がばらばらで登場する、凝った構成。
ふたりにハッピーエンドが訪れるかどうかは内緒。
だけど、センス抜群のオチにしてやられて、ニヤリ。
ここまで男性側の視点から描かれた恋愛映画は新鮮です。

偶然を装って無理に機会を作り出す必要なし。
運命の恋なんて、あるに決まってる。

どちらも夏にピッタリです。

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サンドラ・ブロック、2本。ついでに、伊坂幸太郎。

2010年07月27日 | 映画(番外編:映画とこの人)
全米の映画館オーナーやバイヤーの投票によって決められる、
興行収入に貢献した俳優のランキング「マネーメイキングスター・トップ10」。
2009年の1位に輝いたサンドラ・ブロック。
彼女の主演作2本。どちらもレンタル新作です。

1本目は、『ウルトラI LOVE YOU!』(2009)。
原題は往年の名作“All About Eve(イヴの総て)”をもじった“All About Steve”。
新聞のクロスワードパズル作家で、四十路のメアリー。
両親が用意した見合い相手に、気乗りはしないが会うことに。
ところが、現れたTVカメラマンのスティーヴを見て、メアリーの体に電撃が走る。
以来、メアリーの頭の中はスティーヴ一色になり過ぎて、新聞社をクビに。
しかし、ヒマになったのも神のお告げとばかりに、
ロケ先までスティーヴを追いかけることに。大迷惑のスティーヴは……。

マネーメイキングスター1位でありながら、本作は散散な言われよう。
最低映画を選ぶゴールデンラズベリー賞で、最低主演女優賞を受賞。
この不名誉な授賞式には、受賞者は出席しないのが普通ですが、
彼女はしっかり出席して本作のDVDを配ると、ちゃんと見てねとスピーチ。
この辺りも愛される理由なのでしょうね。私も彼女が大好きです。

で、酷い作品を想像していたところ、
確かに彼女のぶっ飛び具合には引くものの、
いつもどおり、彼女から元気を貰えました。

2本目は、『しあわせの隠れ場所』(2009)。
夫、娘、息子に囲まれて裕福な家庭に暮らすリー・アン。
真冬の凍てつくような寒さの日、家族と出かけていた彼女は、
Tシャツ姿でとぼとぼと歩く巨漢の黒人少年が気になり、声をかける。
リー・アンは、ホームレス同然だったその少年を連れ帰り、
やがて、自分たちの家族として受け入れる決意をするのだが……。

この家族との出会いによって人生が変わり、
のちにNFLデビューを飾ったマイケル・オアー選手の実話に基づいています。
サンドラ・ブロックは、本作にてアカデミー賞の主演女優賞を受賞。
同じ年にゴールデンラズベリー賞とアカデミー賞を受賞した俳優は
彼女が初めてだそうです。

白人の優越感を満たすに過ぎない作品であるとの評もありましたが、
私は本作を観て、伊坂幸太郎の『砂漠』を思い出しました。
「目の前で困っている人がいたら、助ければいい」。
伊坂幸太郎の著作で、『砂漠』がいちばん好きです。

映画と本が心の中でリンクすることの多い今日この頃。

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『あの夏の子供たち』

2010年07月23日 | 映画(あ行)
『あの夏の子供たち』(原題:Le Père de mes Enfants)
監督:ミア・ハンセン=ラヴ
出演:キアラ・カゼッリ,ルイ=ド・ドゥ・ランクザン,アリス・ドゥ・ランクザン,
   アリス・ゴーティエ,エリック・エルモスニーノ,マネル・ドリス他

フランスの作品。
現在上映中なのは全国で4館。
それもおそらく本日、終映。

映画製作会社『ムーン・フィルム』を経営するグレゴワールは、
携帯を片時も離さない仕事人間でありながら、
良き家庭人として、妻と3人の娘から愛されている。

しかし、彼の会社はいまや火の車。
現像所の負債は100万ユーロに膨れあがっているというのに、
新しく起用した監督は、お金が降ってくるとでも思うのか使い放題。
銀行からは融資を断られ、もう手は尽くしてしまった。

そして、グレゴワールは、自ら命を絶つ。

妻のシルヴィアは、夫の死を無駄にはしまいと、
製作中の映画をなんとか完成させるため、奔走するのだが……。

本作の予備知識としては、映画プロデューサーの男が自殺し、
彼を失った妻と娘たちが悲劇を乗り越えてゆく物語、そう思っていました。

ところがどっこい、映画が始まると、男が自殺しそうな雰囲気は皆無。
前半の約1時間は、資金繰りに頭を悩ませつつも、
家族と穏やかな時間を過ごす様子が淡々と描かれています。
そう、もう眠くなるほど。

自ら命を絶つシーンはかなり唐突で、
どちらかと言えばちゃらんぽらん風(見た目のせいか?)の彼が
いきなり頭を撃ち抜きます。

そこから後半の1時間は、思いっきりネタバレになりますが、
奥さんが走りまわるも、借金をチャラにしてくれるところなんてないし、
夫が惚れ込んでいた監督もなんだか適当だし、そう上手くは行かんのよ。
でも、まぁ、明日があるさ!みたいな感じで、チャンチャン。
ケ・セラ・セラ~♪で締めくくり。う~ん。

あちこちのレビューを見るとほぼ一様に評価が高いです。
それで期待が高すぎたということもありますが、個人的にはちと退屈。
娘3人は本当に愛らしく、それだけでも十分良かったですけれど。

映画製作に関わる人の想いはひしひしと伝わってきました。
奥田英朗著『空中ブランコ』に収録されている、
「女流作家」という短編を思い出してしんみり。

前述の『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』とハシゴしたのですが、
もしも本作を後に観ていたら、『ハングオーバー!』をもう一度観て、
気分を持ち直したくなったかもしれません。
映画は、観る順番にもこだわりたいもの。

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『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』

2010年07月18日 | 映画(は行)
『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(原題:The Hangover)
監督:トッド・フィリップス
出演:ブラッドリー・クーパー,エド・ヘルムズ,ザック・ガリフィナーキス,
   ヘザー・グレアム,ジャスティン・バーサ,マイク・タイソン他

アメリカでは口コミで評判になり、空前の大ヒット。
ゴールデングローブ賞の作品賞まで受賞したのに、
スター級の役者は出演していないうえ、
日本では、コメディはヒットしないからと、DVDスルー確定。

ところが、「劇場公開を絶対に求める会」が発足し、
目標の5倍以上の署名が集まって、見事公開にこぎつけた作品です。
現在、ミニシアター系で上映中。

結婚式を2日後に控えたダグは、独身最後の夜を楽しむ予定。
富裕でユーモアも理解もある花嫁の父は、
ダグに「行って来い」と目配せをしながら、愛車のベンツの鍵を寄越す。
そのベンツで、悪友のフィルとステュ、義弟になるアランと共にラスベガスへ。

高級ホテルのスイートにチェックイン。
まずは景気づけに屋上で酒を1杯。期待していた夜が始まる。

翌朝、スイートで目覚めたアランがトイレへ入ると、
なぜかそこに本物の虎が。
慌ててステュを起こすと、ステュの前歯が1本抜けていて大騒ぎ。
フィルも起きてトイレを確認。虎を見て絶句。
クローゼットから泣き声が聞こえ、開けてみると赤ん坊が。
そして、ダグがどこにもいない。

落ち着いて前夜のことを思い出そうとするが、
3人共、まったく覚えていない。
ダグの結婚式は明日。花婿が行方不明というのはヤバイ。
わずかな手掛かりを頼りに捜索を開始すると、
前夜の唖然とするような失態が次々に判明して……。

とにかく、本人たちも信じがたいようなことをやらかしていて、
彼らの「嘘やろ?マジで俺がそんなことを?」みたいな、
呆気にとられる顔がいちいち可笑しい。

下ネタ満載です。だけど、文句なくおもしろい。
非常によくできた脚本で、ニタニタ笑いながら最後まで引っ張られます。
そして、これは単なるドタバタコメディではありません。
ダグがなぜいなくなったのか、ちゃんとした理由があり、
謎解きの楽しみまで味わわせてくれます。

最近、私は「映画を観ればブラッドリー・クーパーに当たる」ような状態。
二枚目にして、軟派も硬派も何でもこなしていますが、
本作のフィル役がいちばん気に入ったかも。
エンドロールまで笑える、イチ押し作品です。

二日酔いにはご用心。

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『プレデターズ』

2010年07月15日 | 映画(は行)
『プレデターズ』(原題:Predators)
監督:ニムロッド・アーントル
出演:エイドリアン・ブロディ,トファー・グレイス,アリシー・ブラガ,
   オレッグ・タクタロフ,ローレンス・フィッシュバーン他

タイトルを聞けば、思い出すのはシュワちゃんの『プレデター』(1987)。
まさかそのリメイクではあるまいなと思ったけれど、
CMで見かけるのは、もろリメイクっぽい。へ~、リメイクだぁ。

舞台を妙な惑星のジャングルへと移し、
ロバート・ロドリゲスが製作に関わっていると知ったら、見逃せません。
彼の監督作『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996)が駄目だった人は、
本作も駄目だと思います。しばきたくなるかも。(^^;

何が起きているのか見当も付かないオープニングにワクワク。

空から落下中に目を覚ました傭兵のロイス。
焦ってパラシュートを開け、着地したのは見知らぬ森。
付近を歩いてみると、同じように放り出された者が数名。
各国から選出された「殺しのエキスパート」と言うべき面々で、
メキシコの麻薬組織の用心棒、ロシアの特殊部隊の隊員、アフリカの兵士、
日本のヤクザ、殺人罪で死刑間近の囚人。紅一点はCIAのスナイパー。
唯一の例外は医師だという頼りなげな男。

やがて、彼らは、ここが地球ではないことに気づく。
謎の生命体が狩猟を楽しむために、
「最高に手強い標的」となり得る彼らを
獲物としてここへ放り込んだのだと。

背景と同化して見えない敵をかわし、なんとか脱出しなくては。
ロイスは一同のリーダーとなり、立ち向かおうとするのだが……。

今月は劇場で映画を観る機会に恵まれているのですが、いんや~、
アクション映画って、劇場で観るとホントに迫力があって楽しいですねぇ。
ビビッて椅子の上で跳ねそうになったこと数回。怖いがな。
プレデターの外見はあまりにグロすぎて、笑ってしまうほどです。
もうちょっと、こう、「シュッ」としたヤツでもええんちゃうの。

魂が打ち震えた作品、『戦場のピアニスト』(2002)で
主人公を務めたエイドリアン・ブロディがロイス役。
ひょろひょろのイメージがありましたが、本作では鍛え抜かれた体を披露。

ヤクザ役のルーイ・オザワ・チャンチェンが、
日本刀でプレデターと差しで戦うシーンなど、
大真面目でこういうことができるのって、笑えるけどイイなぁと思います。

どんでん返しもしっかり用意され、なかなか楽しめました。
っちゅうのか、ストライクゾーンが広すぎるのか?私。

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