夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

俺たち、ほにゃらら。

2009年03月31日 | 映画(番外編:映画と邦題・字幕・台詞)
邦題を考える人の長期に渡るブームなのか、
頻出しているのが『俺たち○○』というタイトル。
ほぼまちがいなく、超B級。

今週観たのはレンタル新作『俺たちダンクシューター』(2008)。
バスケットボールの独立リーグABAがNBAに吸収されることに。
ABA傘下チームのうち、NBAに昇格できるのは上位4チームのみで、あとは解散。
1曲だけ大ヒットした過去を持つ歌手ジャッキーが
オーナー兼監督兼選手を務める“フリント・トロピックス”は、
すちゃらかチームの名を返上し、NBA昇格を目指す。
……という、一応、スポ根ではありますが、
NBAで優勝経験のある選手を獲得するため、
トレードに出したのは自チームの洗濯機。

主演のウィル・フェレルは、序盤はその暑苦しさだけが目立ち、
これなら同じウィル・フェレルでも、
『俺たちフィギュアスケーター』(2007)のほうが涼しい競技の分、
マシだったかもと思っていました。
だけど、最後はきっちりホロリ。
こんな映画で涙ぐんでる自分がアホみたいですが。

もういっちょ、『俺たちステップ・ブラザース 義兄弟』(2008)。
やはり主演はウィル・フェレルで、日本では未公開。
39歳のブレナンと40歳のデイルは、
どちらも独身、親のスネをかじり続けて無職。
母親と父親が電撃結婚したせいで、彼らは義理の兄弟に。
これもヒドイんですけど、絶対嫌いにはなれません。
スーパーハッピーエンディングが待ってます。

『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007)は、
バカバカしくも意外ときっちり仕上げられたアクションもの。
優秀すぎるがゆえに反感を買い、田舎町に左遷された巡査ニコラスが、
町ぐるみの陰謀に気づいて孤軍奮闘。
やる気のなかった同僚たちもやがてニコラスに刺激を受け……。
ニコラス役は『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)のサイモン・ペッグ。
真面目な顔をすればするほど可笑しい。

そのほか、『俺たちニュースキャスター』(2004)。
去年から借りるに至れない『俺たちプロボウラー』(2007)。
最近予告編で観た、デニス・ロッドマン主演の『俺たち庶民派シューター』(2008)。
このタイトルではどうしても観る勇気が出ない、
『俺たちブラボー・ブラザース ホラ吹いて行こう!』(1996)。
とどめに『俺たちラップが子守歌』(1993)って、どうよ、これ。
寝られへんっちゅうの。

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『イントゥ・ザ・ワイルド』

2009年03月27日 | 映画(あ行)
『イントゥ・ザ・ワイルド』(原題:Into the Wild)
監督:ショーン・ペン
出演:エミール・ハーシュ,マーシャ・ゲイ・ハーデン,ウィリアム・ハート,
   ジェナ・マローン,キャサリン・キーナー,ヴィンス・ヴォーン他

観終わったときには「ふーん」ってな感じ。
なのにずっと心を離れず、ジワジワと効いてきて、
ひと月経った今、どうしてもまた観たくなっています。

ジョン・クラカワーのベストセラー『荒野へ』が原作。
アラスカの荒野へたったひとりで足を踏み入れた青年が、
その4カ月後に死体となって発見されます。
裕福な家庭に育ち、大学を優秀な成績で卒業し、
ハーバードのロースクールへの進学も決まっていた青年の謎の死は、
全米に波紋を呼びました。
登山家でもあるクラカワー氏が、残された日記や関係者の証言を基に、
彼の軌跡を辿ったノンフィクションです。

1990年の夏、ジョージア州。
クリストファー・マッカンドレスは、家族に何も告げずに旅立つ。
預金はすべて引き出して慈善団体に寄付。
オンボロのダットサンは途中でぶっ壊れてヒッチハイク。

彼が出会うさまざまな人たち。
ヒッピーのカップル、ジャンとレイニー。
サウスダコタの大農場主で大人の悪ガキ、ウェイン。
はみ出し者の集う場所の危うげな少女、トレイシー。
カリフォルニア州の独居老人、ロン。
その誰もから愛されたクリストファーは、
やがてすべての人間関係を断ち切り、アラスカの荒野へと向かう。
打ち捨てられたバスの中で始めるひとりきりの生活。

先日のアカデミー賞で主演男優賞を受賞したショーン・ペンの監督作。
役者が本業の人がメガホンを取る場合、自ら主演したり、
主演ではなくても、どこかにちらりと顔を出したりなんて人が多いですが、
ショーン・ペンは一切出ません。そういう主義のようです。

クリント・イーストウッドのように、
監督・主演を兼ねても素晴らしい人だっていますから、
その主義がいいかどうかは言い切れませんが、
作り手に徹するショーン・ペンの姿は、なんとなくカッコイイ。
しかも、悪ガキのイメージとはかけ離れた、
荘厳でありながら温かい眼差しが感じられる本作を撮るんだから、脱帽です。

エミール・ハーシュ演じるクリストファーは終始笑顔。
もしも、あんな笑顔を浮かべる人が身近にいたら、
私はまちがいなく惚れますが、それと同時に、
いつ離れて行ってしまうんだろうと切なくなることでしょう。

俳優としてのショーン・ペンは、来月公開の『ミルク』で。

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『真木栗ノ穴』

2009年03月22日 | 映画(ま行)
『真木栗ノ穴』
監督:深川栄洋
出演:西島秀俊,粟田麗,木下あゆ美,キムラ緑子,北村有起哉他

怖さを我慢してでも観たいと思える何かがないと
わざわざホラーを観るには至りません。
しかし、これはホラーだと知らずに借りてしまった1本。
観ずに返そうかと思いましたが、意を決して観ました。
結果、こんなホラーなら大歓迎。
原作は角川ホラー文庫から発刊されている山本亜紀子の『穴』です。

鎌倉の古びたアパートに暮らす作家の真木栗(まきぐり)。
執筆中の連載が最終回を迎え、次の依頼は来そうにもない。
懐具合を気にしつつ、行きつけの食堂で晩飯。
銭湯に行くつもりで店を出ると、
中年の店員シズエが後を追いかけてくる。
すぐ近くに住んでいるのだというシズエは、
うちのお風呂に入って行けばいいと真木栗を誘う。

シズエと数時間を過ごして帰宅すると、
真木栗の部屋は泥棒に荒らされた様子。
盗られるものなど何もないが、
めちゃくちゃになった部屋で呆然とする真木栗。

後日、食堂を訪れると、シズエの姿が見えず、
女将から意外な事実を聞かされる。
付近で起きていた空き巣はシズエとその夫の犯行で、
シズエが独身男性に色仕掛けしている間に、
夫が相手の男性宅を物色していたというのだ。

「あんな年増に引っかかる男がいるなんて」と笑う女将に、
真木栗は自分も被害者だと言えずにいると、
出版社の編集長が来店する。
シズエは逮捕時に真木栗の名前を挙げたらしく、
すぐに真木栗に気づいた編集長は取材させてくれと言う。
その見返りとして、官能連載小説を書かないかと。

引き受けたものの、官能小説など書いた経験がない。
悩む真木栗は、左右の部屋から光が漏れていることに気づく。
片方には若い男。片方は空き部屋だったが、
ある日、女性が引っ越してきたことをきっかけに、
隣部屋を覗く主人公という設定で官能小説を書き始める。

幽霊話ではありますが、
『リング』の貞子のような幽霊が出てくるわけではなく、幻想的。
ただ、徐々に狂って行く真木栗の顔には凄みがあり、
判読できない文字を書くシーンは
『シャイニング』(1980)ばりの恐ろしさ。
皮肉なオチは『絶対の愛』(2006)と同じく、
「そして振り出しに戻る」。

めぐり逢えたのは夢じゃない。
切なさが混じったエンディング曲を聴いていると、
狂っていたとしても、こんな夢の中にいられるならいい。
そう思えました。

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『いぬのえいが』

2009年03月17日 | 映画(あ行)
『いぬのえいが』
監督:犬童一心,黒田昌郎,祢津哲久,黒田秀樹,佐藤信介,永井聡,真田敦
出演:中村獅童,佐野史郎,渡辺えり子,田中要次,木村多江,利重剛他

一度観た映画は忘れないはずでした。
以前に観たものをまた借りてしまうなんてことは
絶対なかったのにぃ。

しかし。ついにやってもたがな。(;_;)
泣きもって観たくせに、なんで忘れるかな、私。
悔しいので今日書くことにします。

2004年の作品。あらためて観ると、
その後にブレイクした宮崎あおいや佐藤隆太なども出ていて、
またちがった楽しさが。ほとんど負け惜しみですけど。

7人の監督による11のエピソード。
オムニバス形式ではありますが、軸になる話があって、
その合間に1話完結型の話が混じるという構成です。

軸の話の主人公はCMプランナー、賢太郎(中村獅童)。
ドッグフードのCMを手がけているが、
クライアントは無理難題を押し付け、
イメージガールに起用した女優(伊東美咲)の所属事務所は
犬よりうちの女優だと、好き勝手なこと言い放題。
ほとほと疲れ果てた賢太郎が思い出したのは、
小学生の頃、病弱な自分が療養していた町で一緒に遊んだ犬、ポチのこと。
空き地で倒れた賢太郎が救急車で病院に運び込まれると、
取り残されたポチはボールをくわえて後を追いかけ……。

ポチが賢太郎を探して走り続ける間に会った、
喧嘩中のカップル(天海祐希と川平慈英)の話や、
軸の話とはまったく関係ない、バウリンガルの話、
また、ご主人様(佐藤隆太)とのお散歩ルートで、
しっぽだけ見える犬に恋したコロ(声を荒川良々)の話など、
ユーモアにあふれた話が並びます。

軸の話ではホロリ。
賢太郎の退院後に病院にたどり着き、
病院の玄関でひたすら待ち続けたポチ。
そうとは知らないまま大人になり、
昔、暮らしていた町を再訪した賢太郎は、
ポチとつるむ姿を見守り続けてくれた香織(小西真奈美)と再会。
パン屋を継いだ香織の焼くワンコパンが可愛い。

最後はほとんど反則技のボロ泣き必至のエピソード。
ペットが死んでしまったとき、誰でも思うであろうこと。
こんなに悲しいのに、どうして飼いたいなんて言ったんだろう。
人間の勝手な解釈かもしれません。
でも、こう答えてくれたとしたら。

「愛してくれて、ありがとう」。

うちの猫を思い出しました。
そういえば、「うちの猫」を書いたのは、
ちょうど本作の公開年だったのですね。

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『僕らのミライへ逆回転』

2009年03月13日 | 映画(は行)
『僕らのミライへ逆回転』(原題:Be Kind Rewind)
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジャック・ブラック,モス・デフ,ダニー・グローヴァー,
   ミア・ファロー,メロニー・ディアス他

アンマリな邦題が付いていますが、原題は“Be Kind Rewind”。
世の中に「レンタルビデオ店」という言い方は残っているものの、
もはやVHSは一掃されつつある昨今では死にかけの一文。
「巻き戻してご返却ください」の意です。
それを店名にしてしまったレンタルビデオ店が舞台。

郊外の寂れたレンタルビデオ店。
オーナーである老人フレッチャーは、
生涯この店で過ごしたいと思っている。
しかし、付近は再開発地区に指定され、
店を改装しないなら立ち退くようにと役所から勧告を受ける。

改装する資金など、手元にはない。
店が繁盛しているところをお役人にアピールすれば、
なんとかなるかもしれないと考えたフレッチャーは、
近所の大型店をこっそりリサーチすることに。
事情は伏せたまま、店番をプータローのマイクに任せる。

ある日、フレッチャーから入店禁止を言い渡されている、
マイクの悪友ジェリーがやってくる。
ジェリーは発電所を襲撃したさいに体に磁気を帯びたらしく、
彼から発せられる磁気で店内の商品がすべてパーに。
画像が乱れているとの客からのクレームで
その事実を知ったマイクとジェリーは大慌て。

店の様子をたまに窺ってほしいと
フレッチャーから頼まれていた常連客のファレヴィチ夫人が、
『ゴーストバスターズ』のビデオを借りに来店。
困ったマイクとジェリーは、明日には入荷するからと言いつくろい、
ふたりで『ゴーストバスターズもどき』の撮影を開始する。

サイコーです。
『ゴーストバスターズもどき』が意外にも夫人の不良の甥にウケ、
面白かったからほかにも貸せと言い出します。
マイクとジェリーは『ラッシュアワー』、『ロボコップ』、
『2001年宇宙の旅』と、次々リメイク。
それが話題になって行列のできるお店に。
しかし、著作権の侵害で訴えられて……という展開です。

登場する映画をまったく知らないと笑えないかもしれません。
最初のうちはテンポも悪くてもたついた感じ。
だけど、映画を愛する人にはぜひお薦めしたい一作。
リメイクを始めるあたりからグイグイ引き込まれ、笑いっぱなし。
そのうえ最後に泣かされるなんて、想像もしていませんでした。

邦題は酷いけど、キャッチコピーは私のお気に入り。
「はっぴいえんどにリメイク中」。

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