夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ラブソングができるまで』

2007年09月28日 | 映画(ら行)
『ラブソングができるまで』(原題:Music and Lyrics)
監督:マーク・ローレンス
出演:ヒュー・グラント,ドリュー・バリモア,ブラッド・ギャレット,
   クリステン・ジョンストン,キャンベル・スコット,ヘイリー・ベネット他

前述の『デート・ウィズ・ドリュー』
さらに好感度をアップしたと思われるドリュー・バリモア。
『E.T.』(1982)を観た人がイチコロになるのもわかるほど、
めちゃくちゃ可愛かった子役時代。あれから25年経った今、
確かにそのまま大人になってはいるものの、
どことなくドスコイおばちゃん的な要素のある顔です。
いつぞやも書きましたが、スティーヴン・フライ(♂)に似てるし。
それでもいつも自然体で、愛敬があって、
彼女の出演するラブコメにハズレなし。

アレックスは80年代に一世を風靡したポップバンドのボーカル。
同バンドのもうひとりのボーカルだったコリンは、
その後ソロ・アーティストとして活躍、今も稼ぎまくっている。
それに対し、アレックスは落ち目もいいとこ。
仕事といえば、当時を懐かしむ世代の同窓会や、
地方の遊園地でのイベントで歌うこと。
最近では「あの人は今」的番組からお誘いがかかるほど。

ある日、復活の大チャンスだと言って、マネージャーが飛び込んでくる。
ブリトニー・スピアーズをも凌ぐほどの人気女性歌手、コーラが、
アレックスの曲に勇気づけられた経験があり、
恋人と別れた今、自分の心情を表した曲を
アレックスに作ってほしいと連絡があったらしい。

早速、曲作りに取りかかるが、実はアレックスは作詞が苦手。
コーラに指定された曲のタイトルは
“Way Back into Love(=愛を取り戻す方法)”。
売れっ子の作詞家に詞を頼むも、どうも自分のイメージとかけ離れすぎている。
期限は刻々と迫り、焦るアレックス。

そこへたまたま現れたのがソフィー。
鉢植えの水やりのアルバイトにやってきた彼女が、
何気なく口ずさんだフレーズに、アレックスはセンスを感じて……。

80年代の洋楽に思い入れのある人なら、
懐かしい歌手やバンドの名前がいろいろ登場してさらに楽しめます。
フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの“リラックス”は、
風邪をひいて高熱にうなされている私の部屋の隣で、
弟が大音量で延々聴いていた曲。
余計にうなされたあの頃が懐かしい。

ドリュー・バリモアもさることながら、
47歳になってもラブコメの帝王であり続けるヒュー・グラントはエライ。
こんな恋、ずっとしたいと思いませんか。

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『デート・ウィズ・ドリュー』

2007年09月25日 | 映画(た行)
『デート・ウィズ・ドリュー』(原題:My Date with Drew)
監督:ブライアン・ハーズリンガー,ジョン・ガン,プレット・ウィン
出演:ブライアン・ハーズリンガー,ドリュー・バリモア他

他人から見ればどんなにアホらしくて無謀な夢も、
あきらめなければなんとかなる。
そう信じさせてくれる、後味爽快ドキュメンタリー。

ブライアンは失業中の27歳。
とあるクイズ番組に出演し、賞金1,100ドルを獲得する。
この賞金をどう使うか。
1,100ドルあれば、1ヵ月生活できる。
しかし、それでは何も残らない。
ならば、何か突飛なことを。
予算1,100ドル、1ヵ月以内の限定で。

ブライアンは6歳のときに『E.T.』を観て以来、
ドリュー・バリモアに首ったけ。10歳でファンクラブに。
クイズ番組の最後の答えは奇遇にも「ドリュー・バリモア」。
よし、1ヵ月の間に憧れのドリューとデートしよう。
早速、ビデオカメラをレンタルした彼は、
この冒険の一部始終を撮影することに。

世の中、知り合いの知り合いは知り合いで、
間に6人挟めば誰とでも知り合いになれると言われていますが、
ブライアンのコネ探しが楽しい。
ドリューの利用するリムジンの運転手の知り合いとか、
ドリューの通うエステサロンの担当者の知り合いとか、
ドリューの従姉(しかし、ドリューと面識なし)の知り合いとか。
そして、ドリューへの距離を度数で表します。
そしたら本当に6度、つまり6人挟めば、
なんとかドリューと繋がっちゃったりするんです。

“チャーリーズ・エンジェル”シリーズの脚本家が
可能性をアドバイスしてくれたり、
ハリウッド映画の予告編でお馴染みの声の人が
ノーギャラでナレーションを引き受けてくれたり、
コネって、探せばその辺に。

映画監督志望のブライアンの売名企画という見方もあります。
だけど、本作を観れば、彼は正真正銘のドリュー・ファン。
自分のことなど知る由もないハリウッド女優に
幼い頃から一方的に寄せてきた想いは、いわば初恋。
交際を申し込むわけではない、ただ一度きりのデートがしたい。
“Yes”でも“No”でも構わない、
ただ、彼女から直接返事が欲しい。そう願う彼が、
得る情報に一喜一憂する姿にエールを送りたくなります。

“If you don't take risks, You'll have a wasted soul.”
「危険を冒さないのは、人生の浪費だ」とはドリューの言葉。
結末はぜひその目でお確かめください。

君は、僕が憧れていたとおりの人。

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『パフューム ある人殺しの物語』

2007年09月20日 | 映画(は行)
『パフューム ある人殺しの物語』(原題:Perfume: The Story of a Murderer)
監督:トム・ティクヴァ
出演:ベン・ウィショー,ダスティン・ホフマン,
   アラン・リックマン,レイチェル・ハード=ウッド他

ドイツの作家、パトリック・ジュースキントによる
大ベストセラー小説『香水 ある人殺しの物語』の映画化。
ラスト間際の数百人による大乱交シーンが
公開当時、テレビCMで流されて物議を醸しました。

18世紀のフランス、パリの下町は、
現代の「花の都」からは想像できないほど、
不衛生なこと極まりなく、貧困に喘いでいる。
特に耐えがたい悪臭の漂う魚市場の片隅で、
グルヌイユは産声をあげる。

孤児院に引き取られたグルヌイユは、
類まれなる才能を持っていた。
どんな匂いも嗅ぎ分けることのできる嗅覚。
周囲の子どもたちは彼に異質なものを感じて疎む。

働き手として見込める年齢になり、
グルヌイユは皮なめしの職人のもとに売り払われる。
何年もの間、過酷な仕事を黙々とこなすが、
ある日、配達に出向いた街の匂いに魅了される。

そこは自分の暮らす下町とは別世界。
すべての匂いを吸収しようとするグルヌイユは、
ある女性の身体から放たれる香りに引き寄せられる。
ただ、その香りに着いて行っただけだったが、
怯えた女性が悲鳴をあげかけたため、
口を塞いだ拍子に死に至らしめてしまう。

以来、その女性の香りを再現することが
彼の生きがいとなる。
香水調合師のバルディーニに弟子入りを志願し、
驚異の嗅覚を用いて新しい香りを創りだす。
おかげでバルディーニの店は大繁盛。
ほくほく顔のバルディーニの推薦状を得て、
香りを保存するさらに高度な技術を学ぼうと、
香水職人の町グラースへ。

世界で唯一香りを創りたいと願うグルヌイユは
香りの基となる13の香りを手に入れるため、
次々と美しい女性を殺すのだが……。

変態映画とも言えましょう。
だけど、グルヌイユを演じるベン・ウィショーの目には
寂しさと切なさがたたえられ、人を惹きつけて離しません。

彼が本当に欲しかったのは、
おそらくその香りではありません。
最初に誤って殺してしまった女性に、
彼はまちがいなく恋していました。
恋する相手の香りが残っていても、
その人が存在しなければ、香りは切ない感情を呼び起こすもの。
恋する相手が存在するからこそ、
その人の匂いに包まれる幸せがそこに。

問題の大乱交シーンには、法王まで混じってます。
ええんかいな、そんなん。(^^;

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『あなたになら言える秘密のこと』

2007年09月15日 | 映画(あ行)
『あなたになら言える秘密のこと』(原題:La Vida Secreta de las Palabras)
監督:イザベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー,ティム・ロビンス,ハビエル・カマラ他

『死ぬまでにしたい10のこと』(2003)の監督が、
やはりサラ・ポーリー主演で。

工場で働くハンナ。
過去の出来事で心に傷を負い、誰とも関わろうとしない。
昼食には必ずライスとチキンと半分に切ったリンゴを持参し、
食堂の片隅でひとりで食べる。

ある日、ハンナは上司に呼び出される。
真面目すぎて長年休暇を1日も取っていないハンナを
ちゃんと休ませるようにと組合から苦情が出たらしい。
上司は彼女に1ヵ月の休暇を言い渡す。

あてもなく旅に出た彼女は、偶然入ったレストランで、
僻地で看護師を緊急に要しているという話を小耳に挟む。
聞けば、海の真ん中に浮かぶ油田掘削所で爆発事故があり、
その患者を看護できる者を探しているとのこと。
看護師の資格を有しているハンナは、早速現地へ。

患者はジョゼフ。
全身に火傷を負い、一時的に視力を失っている彼は
事務的に仕事をこなすハンナに
ユーモアにあふれた質問を浴びせかける。
必要以外に口をきかなかったハンナだが、
やがてジョゼフとは言葉を交わすようになり……。

その人を信頼できるかどうかに時間は関係なし。
心を閉ざしていた女性が、ある男性と出会って徐々に心を開いてゆく。
ありがちな設定ですが、ハンナが心を閉ざしていた理由というのが、
「秘密」なんて言葉では片付けられないほど、想像を絶する超重量級。
なんぼしょっちゅうここでネタをバラしていると言っても、
この理由だけは本作の肝なので書けません。

一方、明るく振る舞うジョゼフも、本当はズタボロ。
事故として扱われたものの、事実は異なり、
ジョゼフの親友が、妻とジョゼフとの不倫を知り、
自ら死を選んだのが真相でした。

ハンナの「超重量級の理由」について、
映像で表されることは一切ありません。
ハンナの語る言葉のみ。なのに、まるでそのシーンが
目前で生々しく再現されているかのようです。

閉鎖的な油田掘削所で生活する面々も個性豊か。
特に、陽気に各国の料理を作り続けるシェフがいい。
旨い料理を食べることを通じて、
ハンナが人間的な感情を取り戻すシーンが◎。

ハンナの心の傷を丸ごと引き取ることはできなくても、
丸ごと感じ取ったジョゼフ。
触れる指先の優しさ、抱きしめる腕の力強さ。伝わります。

生きていてくれてありがとう。

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『ナイン・シガレッツ』

2007年09月12日 | 映画(な行)
『ナイン・シガレッツ』(原題:Nicottina)
監督:ウーゴ・ロドリゲス
出演:ディエゴ・ルナ,ルカス・クレスピ,ヘスス・オチョア,
   マルタ・ベラウステギ,マルタ・テノリオ他

メキシコ・スペイン合作。
大好きなスペイン語圏の映画ですが、
残念ながら日本では未公開。

ロロはコンピュータのハッカー。
隣人である美貌の音楽家アンドレアから
コンピュータの修理を頼まれることも多い。
彼女に恋をしているロロは、
部屋に入れてもらった隙に隠しカメラを設置。
ロロのパソコンでは、常に彼女を覗き見することができる。

ある日、ロロはロシアンマフィアの依頼で、
某銀行の口座に侵入するためのパスワードを解析し、CDに保存する。
仲間のネネとトムスンがそのCDを受け取りにやって来て、
ロシアンマフィアと会う予定のモーテルへ。

CDを渡し、相手が中身を確認したら、
報酬のダイヤモンド20個を受け取って取引終了……のはずだった。
ところが、CDに映っていたのはアンドレアの姿。
騙されたと憤るロシアンマフィア。
ネネとトムスンはCDの中身が何だったかも知らず、
ロシアンマフィアの言いがかりだと考える。

瞬時にロロ以外の全員が銃を抜く。
ロロは懸命に自分のミスだと言おうとするが、
誰も聞いてはくれない。
オタオタするロロを放って、生き残った敵同士が
追いつ追われつの展開に。

負傷したネネとトムスンは近所の薬局へ。
同じく負傷したロシアンマフィアは床屋へと逃げ込む。

ドミノ倒し的に訪れる不幸が、
絶妙の間合いで笑わせてくれます。

ネタバレですが、薬局では経営者夫婦が喧嘩中。
ネネが逃げ込んだとき、夫はシャワー中。
横暴な夫にムカついている妻は密かにネネを介抱し、
夫の気づかぬ間にネネを送り出すはずが、
夫の友人が現れて、またもや銃撃戦に。

一方の床屋では、変装すべく散髪を頼むマフィア。
しかし、腹に喰らった銃弾のせいで、やがて息を引き取ります。
昇天前に、「腹の中にダイヤを隠した」と
マフィアが電話するのを聞いてしまったものだから、
床屋夫婦はさぁ大変。
すぐに警察へ通報しようとする夫に、
腹を割いてダイヤを取り出すと言って聞かない妻。

思わぬ災難に遭遇したときの人間の行動って、
滑稽なものなのかもしれません。
次はこうなると思っていたらその通りに。
先が読めるからこそ笑ってしまう、
グッとオシャレな吉本新喜劇を見ているかのよう。

タバコを吸うと、こんなことに。

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