夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』主役はこんな人(2)

2006年07月29日 | 映画(番外編:映画とこの人)
『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』の主役、
ジョニー・デップの実生活のパートナーで、
前歯の隙間が印象的なヴァネッサの話をもう少し。

キーラ・ナイトレイにも劣らないペッタンコな胸で、
小悪魔的とはたぶん、まさにこんな人のこと。
巨匠パトリス・ルコント監督の『ハーフ・ア・チャンス』(1998)は
その魅力を存分に発揮したアクション・コメディ。
アラン・ドロン、ジャン=ポール・ベルモンドという
超大御所のどちらかが父親だという娘の役です。
その存在すら知らなかった娘の登場に驚きつつも
父親になりたいふたりのあたふたする様子が軽妙。

最近の作品なら『エイリアンVSヴァネッサ・パラディ』(2004)。
邦題のとおり、ヴァネッサの住む町がエイリアンの襲撃に遭う話で、
原題が“Atomic Circus”なのになんでまたこんな邦題をと訝っていました。
しかし、今となってはジョニー人気で
その相方ってどんな人?と思う人も多いでしょうから、
それを見越した邦題ならスゴイ。

ジョニーの出演作中、あまり話題に上らないけど
私がひそかに気に入っているのは『GO! GO! L.A.』(1998)。
英国の田舎町で葬儀屋を営む男性が、
女優志望のアメリカ人女性を追ってロサンゼルスへ。
他愛ないラブコメディですが(とはいうものの、フィンランド出身、
ミカ・カウリスマキ監督の作品なのでハリウッド映画とは趣が異なりますが)、
ジョニーの登場の仕方がスバラシイ。
主人公の部屋のポスターがジョニーなのです。
舞台がハリウッドに移ってからは看板も。
主人公に向かってポスターや看板の中から目配せするジョニー、最高。

そのポスターの元ネタもご覧ください。
ジム・ジャームッシュ監督の『デッドマン』(1995)。
19世紀後半のアメリカ西部を舞台にしたモノクロ作品。
「デッドマン」とは「半分死んだ男」の意で、
銃撃戦の末に胸に弾丸を撃ち込まれた男が森へ逃げ込みます。
彼を助ける無口なインディアンとのロード・ムービー。

以前、この作品を観たことのある数名と話していて、
とても興味深いことがありました。
「ジョニーの着てた格子柄のシャツって何色やったっけ?」と聞くと、
「青」「赤」「緑」と意見が分かれます。モノクロ作品なのに。
観る人によっていろんな色に映る不思議。

ジョニーの主演映画はもちろんお薦めですが、
上記の『GO!GO!L.A.』をはじめ、茶目っ気たっぷりな彼が
CDショップに居合わせる客として登場するフランス映画、
『フレンチなしあわせのみつけ方』(2004) など、
ちょい役で出演している作品もお見逃しなく。

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『パイレーツ・オブ・カリビアン』主役はこんな人(1)

2006年07月28日 | 映画(番外編:映画とこの人)
後回しになりましたが、
『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』の主役、
ジョニー・デップについて。
彼のことは紹介するまでもないでしょうが、
本作でジョニーに目覚めてしまった方々へ。

ティム・バートン監督作の常連であるジョニーが
日本でその名を知らしめたのは『シザーハンズ』(1990)でした。
博士によって発明された、両手が鋏の人造人間が
連れ帰られた家庭の娘に恋をするお話。
当時のジョニーは娘役のウィノナ・ライダーにぞっこんで、
腕に“Winona Forever”と刺青を彫っていたことで有名。
彼女との破局後、刺青の始末に困ったジョニーは
“Wino Forever”(‘Wino’は「飲んだくれ」の意)に変更。
苦肉の策もめちゃめちゃお茶目。

ついでながら、当時は将来有望株だったウィノナ。
心の病にかかった少女たちを描いた『17歳のカルテ』(1999)では
製作・主演を買って出て話題に。
この作品ではブラピの現妻アンジェリーナ・ジョリーもブレイク。
ところが、その後のウィノナはパッとしません。

数珠つなぎ的に話を進めると、運命の分かれ目かと思われるのが
『恋におちたシェイクスピア』(1998)にまつわる噂話。
この作品はブラピの元妻グウィネス・パルトロウ主演でしたが、
実はもともとはウィノナへオファーがあった模様。
なのになぜグウィネスに渡ったかと言いますと、
ウィノナに送られてきた脚本を、彼女の親友だったグウィネスが盗み見。
ウィノナの知らぬ間に「この役は私に」と猛烈に売り込み、
その座をゲット。挙げ句、オスカー主演女優賞もその手に。
後からその事実を知ったウィノナは人間不信に陥り、
万引き騒動を起こしたとの噂です。
最初は同情的だったマスコミも、先日、再び万引きで捕まった彼女に冷ややかな目。

だもんで、彼女とは別れて正解と言われているジョニー。
現在のパートナーであるヴァネッサ・パラディとは事実婚。
入籍しないのには何か特別な理由があるのかと思ったら、
「ヴァネッサ・パラディ」という名前の響きがキレイだから。
確かに「ヴァネッサ・デップ」はイケてない?

素(す)のジョニーとヴァネッサを観たければ、
『ロスト・イン・ラ・マンチャ』(2001)を。
巨額を注ぎ込みながらなぜか頓挫してしまった映画、
そのなぜを追ったドキュメンタリーです。
これがまた前述のテリー・ギリアム監督につながりまして。
数々の不運に見舞われる撮影現場、非常におもしろいです。

とても書ききれないので続く。

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『パイレーツ・オブ・カリビアン』脇役はこんな人(2)

2006年07月26日 | 映画(番外編:映画とこの人)
『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』のウィルの父親で、
幽霊船に囚われの身となった、“ブーツストラップ”・ビル・ターナーを演じるのは
スウェーデン出身のステラン・スカルスガルド。
彼は『奇跡の海』(1996)や『ドッグヴィル』(2003)など、
ラース・フォン・トリアー監督作の常連です。

余談ながら、トリアー監督と言えば偏屈で有名。
米国に渡ったことがないのにアメリカ三部作なるものを企画。
その第一部『ドッグヴィル』の主演女優でトム・クルーズの前妻、
ニコール・キッドマンが三部作すべてに出演するはずでしたが、
トリアー監督の撮影手法にほとほと疲れ果てて辞退。
第二部『マンダレイ』(2005)ではキッドマンに代わり、
ブライス・ダラス・ハワードが主演しました。
彼女は『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)の監督、ロン・ハワードの娘です。

関係ない話が長くなりましたが、
こんな偏屈監督の映画の常連であるスカルスガルドは
やはり変人にちがいないという気がします。

さて、あんなメイクじゃ、誰がやっているのか
エンドロールを観るまでわからなかった、
幽霊船の船長、デイヴィ・ジョーンズ。
英国出身のオッサン俳優、ビル・ナイが演じています。
彼を見るなら『ラブ・アクチュアリー』(2003)。
すっかり老いぼれてしまったかつての人気ロック歌手、
ビリー役で登場し、私は彼に大泣きさせられました。
友人には「なんであのシーンで泣けるん?」と笑われましたけど、
あれで泣かずしてどうする。大好きな作品です。
エリザベス役のキーラ・ナイトレイも出演していますから、
ふたりまとめてご覧ください。

そのほかの出演作でもビル・ナイはいいオッサンの味。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)では主人公の義父を演じ、
途中でゾンビに囓られて、家族と逃げつつも最後は自分が犠牲になろうとします。
これはゾンビ映画のパロディで、元ネタは『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』の主演女優、サラ・ポーリーは
前述のテリー・ギリアム監督作『バロン』(1989)で有名になり、
その『バロン』にはやはり前述のジョナサン・プライスも出演しています。
あ、またもや余談でした。

こうして書き始めると数珠つなぎ的に
なんぼでも話が湧き出てきて止まりませぬ。

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『パイレーツ・オブ・カリビアン』脇役はこんな人(1)

2006年07月25日 | 映画(番外編:映画とこの人)
『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』(2003)の続編、
『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』をはりきって観にいきました。
ひとことで言うなら、これはタコの映画どすえ。
邦題を『巨大タコの逆襲』か『フジツボ軍団in幽霊船』にすれば
予告編だけで十分な感も否めません。
「ジェリー・ブラッカイマー製作」と冠された映画って
怒濤の勢いで最後まで魅せるのはさすがですけど。

主役級のジョニー、オーリー(オーランドの愛称)、キーラ以外の
気になる脇役陣を集めてみました。
オーリー、キーラをはじめ、英国出身俳優が多いのが特徴です。

エリザベス(キーラ)を人質に取って、
ジャック(ジョニー)のコンパスを手に入れてくるよう、
ウィル(オーリー)に取り引きを持ちかける嫌みなオッサン、
ベケット卿を演じるトム・ホランダー。
彼は『プライドと偏見』(2005)でもキーラと共演。
キーラの従兄役で、自分に相続権があるのをいいことに、
姉妹のうちのひとりを選んで嫁にしようとします。
拒絶されると好意の裏返しだと取る勘違い男で、ちょっと哀れでもありました。
どこか哀れで痛い役の多い、必要悪的役者さん。

エリザベスの父親、スワン総督を演じるジョナサン・プライス。
舞台出身の彼が一躍有名になったのは『未来世紀ブラジル』(1985)。
学生時代、これを観て衝撃を受けました。
国民がコンピュータ管理された仮想国ブラジルで
1匹の蝿のせいでシステムが故障します。
その結果、壊れたコンピュータによって
善良な人間までもがテロリストと認識されるというお話。
脇役顔のプライスですが、主役の情報局員として出演。
テロリスト役でロバート・デ・ニーロが登場しています。

この作品と同じくテリー・ギリアム監督の『ブラザーズ・グリム』(2005)。
数々のグリム童話を盛り込んだダーク・ファンタジー。
19世紀のドイツで民間伝承を調査する兄弟が、
魔物退治と偽って芝居を打ち、行く先々で村人たちから多額の報酬を巻きあげます。
兄弟のペテンを見破る冷酷なフランス将軍役がプライスでした。

ロバート・デ・ニーロと再共演した『RONIN』(1998)は
各地から集結させられた元スパイたちが
謎の任務に就いて繰り広げる追走劇。
キーとなる悪役を演じたのがプライスで、
元スパイの一員を演じたのは『デッドマンズ・チェスト』のビル・ターナー、
ステラン・スカルスガルドです。この人は次に

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『赤ちゃんの逆襲』

2006年07月21日 | 映画(あ行)
『赤ちゃんの逆襲』(原題:Mauvais Esprit)
監督:パトリック・アレサンドラン
出演:ティエリー・レルミット,オフェリエ・ウィンテル,
   レオノール・ワトリング,ミシェル・ミューラー他

フランス映画というと小難しいイメージがあるのか、
はなから苦手だという人がまわりに多いですが、
フランスのコメディ映画は奇抜でお薦めです。

建築家を夢見るシモンは、資格試験に落ちて、
いまはしがない似顔絵描き。
同居中の恋人はシモンの友人と長らく浮気しているが
シモンはまったく知らずにいる。

ある日、シモンはかつて自分が描いたデザインに
うりふたつの建物を見かける。
その建設会社の社長ヴァンサンの盗作だと確信したシモンは
自らのデザイン画を証拠品として携え、
ヴァンサンのもとへ出向く。
しかしヴァンサンはシモンのことなど相手にしない。
警備員によって叩き出されたシモンは
偶然にもヴァンサンの車にはねられて死亡する。

時を同じくしてヴァンサンの妻が産気づく。
昇天の瞬間、不思議な感覚に襲われたシモンは
社長夫妻の息子として生まれ変わったのだ。
待望の息子誕生に大喜びするヴァンサン。
一方、憎むべき男の息子として再び生を受けたシモンは
復讐に燃える赤ちゃんとなる。

本国で大ヒットを飛ばした作品で、かなり過激です。
大会社の社長で大金持ち、洗練された身のこなしで
仕事中は一切甘い顔を見せないヴァンサンが
赤ちゃんにはメロメロ。いい父親になろうと一生懸命。
ところが赤ちゃんはヴァンサンにだけミルクを吐きかける。
ヴァンサンの就寝時には豪快に夜泣き、朝まで寝かさない。
最初はヴァンサン=嫌な奴だと思っていたのに、
母性のかけらもない妻や、あまりにいい加減な母、
長電話に明け暮れて盗みをくり返すメイド、
ヴァンサンを脅迫するシモンの恋人や友人を知るにつれ、
もしやヴァンサンがいちばんマトモかもと思えてきます。
どんなに嫌われても息子に愛情を注ぐヴァンサンは
男親のみなさんの涙さえ誘うかもしれません。

こんなに愛されている赤ちゃんが、
ヴァンサンの最大の不幸はすなわち自分の死だと気づき、
試みる数々の自殺未遂は不謹慎ながら笑いの渦。
アイロンを引っ張ったり、お風呂で溺れようとしたり、
たんすの上から落ちようとしたり。
また、こうした行動に出るには体力が必要と
QUEENの“We Will Rock You”の曲をバックに
体を鍛える赤ちゃんの姿は抱腹絶倒。

こんなフランス映画ならいかがです?

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