夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『劇場版 ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』

2024年06月06日 | 映画(あ行)
『劇場版 ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』
監督:山本健
声の出演:藤本侑里,上坂すみれ,小倉唯,福嶋晴菜,徳井青空,松井恵理子,中村カンナ,
     和多田美咲,緒方賢一,櫻井みゆき,伊駒ゆりえ,仁見紗綾,本泉莉奈他
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
何もこれまで観に行かなくてもええやんと自分にツッコミを入れましたが、
いただいた株主優待券の有効期限が迫ってきていたこともあり、モノは試しだ。
 
元はスマホ向けの育成型ゲーム“ウマ娘 プリティーダービー”。
それがTVアニメ化されて人気シリーズとなる。本作はシリーズ初の映画化なのだそうです。
当然観たことはありませんし、予備知識もまったくなし。
劇場でチラシを見かけ、艦艇を女性キャラクターに擬人化した“艦これ”をイメージしていました。
 
しかし、予習も復習もしないままでは、設定がよく理解できないのですよね。
どうやら舞台となっている世界では普通に人間が生活している。
そんな普通の世界に競走馬になるべくして生を受けたのがウマ娘たち。
姿態は普通の女性ですが、馬と同じ耳と尻尾がある。こんな認識で合ってます?
 
主人公のウマ娘、ジャングルポケットは、もともとはフリースタイル選手だったとか。
フリースタイルだったということがもうわかりませんが。(^^;
とにかくそれがフジキセキの走りを見て魅了され、転向することに。
引退したフジキセキの名トレーナー・タナベのもと、トレセン学園で練習に励みます。
 
ファンの人には申し訳ないですが、観に行ったことを後悔しました。
まずジャングルポケットの人柄がどうしても好きになれなくて、
彼女がアグネスタキオンにライバル心むき出しでわめき立てるところなど、観ているのが苦痛。
アグネスタキオンもなかなか上からで良い性格とは言えないけれど、
どちらかといえば断然アグネスタキオンのほうを応援しちゃいます。
 
そして絵も好きにはなれず。走るときのウマ娘たちの顔が怖いんです(笑)。
少女に耳と尻尾つけて走らせて、それに狂喜している観衆の姿もなんか怖い。
ま、ゲームならば面白かろうと思いますが、私はドン引きでした。ごめんなさい。
 
あ、そうだ!ひとつだけ嬉しかったことがあった!
解説者役で元中日ドラゴンズの山本昌が声の出演をしていること。ビックリしました。

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『おいしい給食 Road to イカメシ』

2024年05月27日 | 映画(あ行)
『おいしい給食 Road to イカメシ』
監督:綾部真弥,田口桂
出演:市原隼人,大原優乃,田澤泰粋,栄信,六平直政,いとうまい子,高畑淳子,小堺一機,モーリー・ロバートソン他
 
封切り日にイオンシネマ茨木にて。
 
ひそかに楽しみにしている作品であると同時に、弟のことを思い出してちょっぴり悲しくなる作品でもあります。
本作は劇場版の第3弾。
どうでもいいことだけど、前作まではタイトルの前に「劇場版」と付いていたのに今回はそうじゃないのは何故だ。
 
北海道・函館の地に降り立った中学教師・甘利田幸男(市原隼人)。
忍川中学校で彼が待ちわびているのは、名物イカメシが給食の献立に登場する日。
 
給食をこよなく愛する甘利田のライバルは、給食マニアの生徒・粒来ケン(田澤泰粋)。
甘利田は自分こそが最高の給食の食べ方をしていると思っているのに、
粒来の食べ方のアイデアを見れば、いつも敗北感を味わう。くそっ。
 
街頭では地元出身の町長・等々力宗太(石黒賢)が食育を謳う日々。
等々力はフードロスを嘆き、給食の完食を目指すことを公約にする。
美味しくなくても食べ物を残すなと演説する等々力。
その場を通りかかった粒来が反対の叫び声を挙げ、周囲は一時騒然。
居合わせた甘利田が粒来を連れて立ち去る。
 
この後、等々力は甘利田と話す機会を持ちたいと言い出す。
給食完食のモデル校に認定された忍川中学校では、
給食は楽しく食べるものではないという等々力の意見に沿い、
机をくっつけることはなく授業のときのように前を向いてひとりで。
何よりも楽しかった給食の時間が会話も許されない暗いものとなるのだが……。
 
食べ物を残すのはもったいない、わかります。
等々力は、世の中には食べたくても食べられない人もいると言って、
テレビ取材の入る日にわざわざ不味いものばかり出す。
パサパサのコッペパン、かちかちなうえに辛すぎる塩鮭、脱脂粉乳。
それを前を向いて無言で食べろと言われてもできるわけがない。
 
給食がつらいのではなくて、給食の時間がつらい生徒だっている。
甘利田に匹敵する給食愛を持つ粒来のアイデアは本当に素晴らしい。
美味しくないものを美味しく、そして楽しく食べる工夫。
 
自分は別に給食なんてどうでもいい風を装う甘利田のバレバレなところにはいつも笑わされます。
市原隼人のこういう演技はやりすぎかなと思う半面、とても楽しい。
 
「豊かであること」とは何か。
ずっと続いてほしいシリーズです。1980年代後半が舞台だから、髪型なんかも懐かしくて。
シンプルに生きることの大切さ。
 
ひとつだけ苦言を呈するならば、忍川中学校の校歌の日本語に誤りがある。
「押しも押されぬ」は間違いよ。「押しも押されもせぬ」だから。
校歌には正しい日本語を使ってほしいと思うのでした。

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『鬼平犯科帳 血闘』

2024年05月20日 | 映画(あ行)
『鬼平犯科帳 血闘』
監督:山下智彦
出演:松本幸四郎,市川染五郎,仙道敦子,中村ゆり,火野正平,本宮泰風,浅利陽介,山田純大,
   久保田悠来,柄本時生,松元ヒロ,中島多羅,志田未来,松本穂香,北村有起哉,中井貴一,柄本明他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
池波正太郎の生誕100年を記念して製作、まず公開されたのが2部作“仕掛人・藤枝梅安”でした。
同時期に製作が発表されていたのがこの“鬼平犯科帳”で、このたび劇場公開。
同じキャストで今年初めから時代劇専門チャンネルにて放映中のようです。
TV版は未見ゆえ、話がどう繋がっているのかわかりませんが、これのみでじゅうぶん面白い。
監督はTV版と同じく山下智彦が務めています。
 
火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の頭、長谷川平蔵(松本幸四郎)は、
盗賊たちから「鬼平」と呼ばれて恐れられているが、
このところそんな平蔵に挑むかのように、躊躇せずに人まで殺す盗みが頻発している。
 
いったいどこのどいつがこのような悪事を働く集団を率いているのか。
どう見当をつければよいのか悩んでいた平蔵のもとへ、
20年前によく立ち寄っていた居酒屋の娘おまさ(中村ゆり)がやってくる。
 
平蔵の役に立ちたいと願うおまさは、盗賊を捕まえるために密偵となることを希望。
そんな危ないまねはさせられないと退ける平蔵。
あきらめきれないおまさは、平蔵が鷺原の九平(柄本明)を探していると知るや、
昔の知り合いをたどって九平のもとへと行き着いてみせる。
 
九平も盗賊ではあったが、決して人殺しはしない。
たまたま盗みに入った屋敷で件の一味を見かけ、その残虐さを目の当たりにしていたのだ。
おまさは引き込み女を装うと、九平と協力して一味を挙げようとして……。
 
芸達者がそろうとここまで面白くなるものなのですね。
というのか、そもそも“鬼平犯科帳”が、そして池波正太郎が面白いのか。
 
たぶん私と同世代の人ならばうなずいてくれるでしょうけれど、
松本幸四郎と聞くと、九代目(現・二代目松本白鸚)のほうの顔が即座に浮かびます。
主演ドラマ『王様のレストラン』(1995)なんて超懐かしい。
そして本作の主演である十代目は、私たちにとってはどこまでも市川染五郎
今井美樹主演のTVドラマ『ブランド』(2000)の役がめちゃよかったのですよねぇ。
その染五郎の名前は今はもうさらに息子が襲名し、若かりし頃の平蔵役で出演しています。
 
九平役の柄本明が良いし、敵役を演じる北村有起哉が迫力満点の酷い奴。
彼の情婦で一味を手引きする引き込み女、志田未来があわれ。
また、かつて平蔵が惚れ込んでいたという遊女おろく役の松本穂香、平蔵の妻を演じる仙道敦子も○。
平蔵の同心、木村忠吾役の浅利陽介とのやりとりには笑わされて楽しい。
 
テンポよく、殺陣も見応えあり、飽きずに観られます。
時代劇が苦手だという人にもオススメしたい。
 
ところでこれは何部作ですか。続きバリバリにおわせてます。早く観たい。

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『あまろっく』

2024年05月07日 | 映画(あ行)
『あまろっく』
監督:中村和宏
出演:江口のりこ,中条あやみ,松尾諭,中村ゆり,中林大樹,駿河太郎,紅壱子,
   久保田磨希,浜村淳,後野夏陽,朝田淳弥,高畑淳子,佐川満男,笑福亭鶴瓶他
 
久々に仕事帰りになんばパークスシネマまで行ってみました。
 
聞くだけで「えーっ」とゲンナリしませんか。
だって、笑福亭鶴瓶(72歳)の再婚相手が中条あやみ(27歳)という設定ですよ。
私のいちばん苦手な、大嫌いな、オッサンの妄想でしょ。
それでも江口のりこ主演で尼崎が舞台ならスルーするわけにはいかず。
 
タイトルの「あまろっく」とは「尼ロック」、尼崎閘門(こうもん)のことで、
尼崎市の海抜ゼロメートル地帯に海水が流れ込むのを防いでいるそうです。
 
尼崎で小さな鉄工場を営む家に生まれた近松優子(江口のりこ)。
いたって能天気な父親・竜太郎(笑福亭鶴瓶)のようにはなるまいと、
幼少時から勉強にもスポーツにも勤しみ、見事京都大学に入学。
ボート部では優れた成績を残し、東京の一流企業に就職。
会社でもトップの営業成績をあげていたが、人格が災いしてリストラされる。
 
致し方なく尼崎の実家に戻り、無職のまま8年が経過した頃、竜太郎が突然再婚すると宣言。
しかも相手の女性・早希(中条あやみ)は20歳の美人。
アラフォーの優子の継母が年齢およそ半分の早希とは唖然呆然。
 
戸惑う優子の気も知らず、一家団欒に強い憧れを抱く早希のペースで毎日が進むが、
ある日のジョギング中に竜太郎が急逝。家には優子と早希が残されて……。
 
ネイティブばかりをそろえた関西弁映画の気持ちのよいことよ(笑)。
江口のりこにあまり関西弁のイメージはなかったのですけれども、
さすが播磨国出身、ガラが悪すぎてドン引き、笑いました。
 
駿河太郎は優子の幼なじみで今は屋台おでんの店主の役。鶴瓶の息子だから関西弁は当たり前。
優子の見合い相手役を演じる中林大樹のことを私は本作で初めて知りましたが、
そうでしたか、彼が竹内結子の再婚相手だったのですね。ちょっと宅間孝行似のイケメン。
 
竜太郎の会社の社員役の久保田磨希、ベテラン職人役の佐川満男、
若手職人役の朝田淳弥(彼もイケメン)などなど、み~んな関西人で、
竜太郎と死別した先妻役の中村ゆりまで大阪出身だったとは。
 
何でもよく出来るけれど、常に人を見下した態度で接してきた優子。
自分とは真逆のタイプの早希に嫌悪感を抱いて悪態をつくけれど、
早希はまったく動じないどころか、家族で喧嘩できることを幸せにすら感じています。
こうして振り回されているうちに絆ってできあがっていくものなのですねぇ。
 
オッサンの妄想的設定が嫌だったとはいえ、
早希のほうが竜太郎を押し倒したというくだりはあっけらかんとしていてOK。
生々しい話にならなくてよかった。そんなだったらゾッとする(笑)。
 
阪神・淡路大震災の映像も出てくるので、つらい人にはつらいかもしれません。
それでも、関西人ならばぜひ。

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『異人たち』

2024年05月02日 | 映画(あ行)
『異人たち』(原題:All of Us Strangers)
監督:アンドリュー・ヘイ
出演:アンドリュー・スコット,ポール・メスカル,ジェイミー・ベル,クレア・フォイ他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
1987年に出版された山田太一の小説『異人たちとの夏』を読んだのはいつのことだったでしょうか。
おそらく30年以上前でしょう。
内容はよく覚えていないのですが、当時まだ若かった私はラストシーンにビビり、
少し怖い思いをしたように思います。
 
1988年には大林宣彦監督によって映画化されましたが、これは観たかどうかさえ記憶なし。
だって私は大林監督がちょっと(だいぶ)苦手なんです。(^^;
ただ、本作はなんとなく大林監督にピッタリな気がしますから、良い映画化だったのかな。
 
さて、本作はイギリス出身のアンドリュー・ヘイ監督によるリメイクで、イギリス/アメリカ作品。
原作の「ちょっと怖いラスト」だけを覚えている状態で鑑賞しました。
 
映画の脚本家である彼は、12歳のときに交通事故で両親を亡くした。
今は両親との思い出を基に脚本を執筆中。
 
ある日、両親と過ごした郊外の家を訪ねたアダムは、実家が残っているばかりではなく、
30年前に他界したはずの両親が歳を取ることなくそのままの姿で暮らしていることに驚愕。
成長したアダムを見た両親は感激し、家の中にアダムを招き、さまざまな話をする。
以降、実家に足繁くかよっては、満たされる心を感じるアダム。
 
一方、タワマンの住人で話したこともなかったハリー(ポール・メスカル)が突然訪ねてくる。
酒を飲もうと言うハリーを一度は拒絶したアダムだったが、
ハリーのことがなんとなく気になり、語り合うように。
クィアかと問われて即座に返答できずにいたが、それを認め、肉体関係を結ぶ。
たちまち情熱的な恋に落ちたふたりは、それからずっと一緒にいるようになり……。
 
暗いです。でも、繊細で美しい。すごく良かった。
なにしろこのタワマン、相当な戸数があると思われるのに、入居者はたったふたり。
都会のタワマンを外から見たときの、たった2軒に明かりが灯る様子がすでに怪奇的なのに、
幻想的でもあって魅入られます。
 
幼い頃から自分はゲイだと認識していて、学校ではいじめられていたのに、親には言えなかったアダム。
母親(クレア・フォイ)はそのことに気づいていなかったけれど、
父親(ジェイミー・ベル)は気づいていたし、アダムが自室でひとり泣いていることも知っていた。
なのに決してアダムの部屋に入ろうとしなかった理由をいま父親に尋ねると、
父親もなぜ話さなかったのかとアダムに問い返します。このやりとりに興味を引かれる。
 
大人になった自分と、あの頃のままの両親と話せる幸せ。
だけどいつまでもこんなことは続かない。
アダムが実家にハリーを連れて行き、両親に紹介しようとしたときに状況が変化します。
 
原作も大林監督の映画版もこんなゲイの作品ではなかったかと思いますが、
主人公をゲイとすることで新しい作品になったと思います。
アダムとハリーにはかなりの年齢差があって(ハリーのほうがずいぶん若い)、
“クィア”と“ゲイ”という言葉選びも違えば、ゲイに対する認識も環境も違う。
それを実に上手く物語の要素として取り入れています。
 
昔は少し怖く感じたラストは、切なさでいっぱい。
悲しすぎて、胸がキューッと絞られるよう。
 
あんなにもよく聴いたペット・ショップ・ボーイズの曲の歌詞がこんな意味だったなんて知らなかった。
たぶん、ずっと心に残る作品。

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