今宵はこちらも終盤にさしかかった『ヒョシム家の各自図生』からこのセリフにしました。このセリフは…
スクヒャンは甥のテホが全ての不正を明らかにしようとしていることを恐れヨム専務に、金を払うから罪を被って服役してくれるよう依頼しました。ヨム専務は、自分の娘だと思っているスクヒャンの娘テヒが食べることに困らないようにして欲しい、と依頼して警察に出頭します。
驚いたテホはヨム専務と話をして事情を聞きますが、ヨム専務は頑なに、自分が一人でやったことだ、と言い張りました。呆れたテホは、一体何がヨム専務をそこまでさせるのかと思い、専務が欲しいものは、名誉なのか金なのかと訊ねました。その際、ヨム専務が答えた言葉がこのセリフになります。
こういう話になりますと、必ず思い出されるのが、西行と猫の銀杯の話です。こちらでもその都度おはなししてきましたが、西行は頼朝に頼まれて、弓馬に関するレクチャーを夜通し行いました。そこで頼朝はその礼として、翌日西行に銀製の猫の像を贈りましたが、西行はその猫の像を受け取りはしたものの屋敷を出ると、門の外で遊んでいた子どもに譲ってしまったのです。時の権力者、頼朝から贈られた銀製の猫も西行からすれば価値がなかったのでしょうね(笑)
このように人によって、というより、その人の生きざまによって価値観というものは違います。だからそこら中でいつでもトラブルが起こるわけですね笑