町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

汎用通勤車として大活躍を見せる京急600形(1〜3次車)

2021年08月21日 | 京浜急行電鉄

京急では1994年に日本初の地下鉄乗り入れ対応オールクロスシート車両として600形を導入しました。登場直前までは1500形が8両編成・VVVFインバーター制御で増備されていましたが、13次車はそれに倣い台車以外は同一の機器とされ、過渡期の車両であることを印象付ける構成になりました。登場時は2人掛けと1人掛けを転換する事が可能なツイングルシートと呼ばれる可変座席が搭載され注目されましたが、経年劣化や機能維持の困難さで2004年度よりロングシートへの改造が施工され、現在は京急各線を始め成田スカイアクセス線にも充当される汎用性の高い通勤車として幅広い活躍が見られます。

アクセス特急に充当中の602編成。新100010次車以降と共に、スカイアクセス線開通時から対応車両として運用されています。13次車では菱形パンタを採用していますが、扉部の特徴的なドアステッカーと共に本形式が最後の装備品となりました。4次車からはシングルアームパンタに変更され、機器構成も見直されています。

606編成は2005年施工のロングシート化改造と共に車体を青塗装に改め、「KEIKYU BLUE  SKY TRAIN」として広告貸切編成になりました。赤い車体に白の帯が主体の京急の中では一際目立ち、文字通り異色の存在です。行先表示をなるべく切れないように撮影したつもりでしたが、シャッタースピードが足りなかったのでちょいブレ気味ですね

2100形と品川での並び。正面ワイパーカバーが当初グレーだったものの、視認性向上の為にアイボリーに変更され新しい正面スタイルが確立し、2100形や新1000形アルミ車にも引き継がれ新たな京急の顔となりました。形式の切り文字は更新工事の際に設けられています。

更新工事が施され、新1000形に近い設備を持ちドア上液晶画面の設置などが施工されている車内。乗務員室直後の座席は進行方向向きで、この設備は快特用2100形にも踏襲し良好な眺望から好評を博しています。床は1500形VVVF車同様に駆動装置点検蓋のみ設置されました。

1500形の置き換え計画で注目が集まる京急の車両ですが、実は600形も初期車登場から30年目が近付いており、菱形パンタグラフやGTOサイリスタによるVVVFインバーター制御装置など、時代を感じさせる部分が目立って来ました。置き換えの車齢まではまだまだ先なので今後も変わらず他形式と共に主力車両としての活躍が予想されますが、再び何らかの更新などが行われるのか注目したいですね。

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普通列車で活躍が続く京成3500形

2021年08月19日 | 京成電鉄

京成では成田スカイアクセス線向け3100形の導入により34003600形の廃車を進めていますが、1972年に登場し、現在の京成通勤車の中では最古参になった3500形は未だに更新改造を受けた52両が在籍し、運用削減に伴う余剰廃車は出たものの普通列車を中心に活躍を続けています。特に現存する同形式の内35013516は車齢50年が目前に迫って来ました。

ステンレス車体に冷房装置を新製時から搭載して京成ではエポックメーキングな車両となった3500形。構体を普通鋼製とした所謂セミステンレス車ですが、登場当時は珍しい存在だった為一際目を引き、京成通勤車のイメージを一新しました。これにより、1952年から登場した「青電」と呼ばれる緑の濃淡塗装を纏っていた旧型車グループが置き換えられています。

現在は1996年〜2001年に施工された更新工事で、正面の改造や京急線直通に伴う先頭車の電動車化、側窓の交換、車内設備の一新などから登場時とは印象を大幅に変えました。都営浅草線・京急線直通運用は2015年で終了しましたが、唯一の4両編成を組んでいることから6両編成が入線出来ない写真の金町線など、車両運用上は欠かせない存在となっています。

426両編成で普通列車運用に就く姿。3500形は中間で22に分割することも可能な為、本線・千葉線普通列車など6両編成主体の運用ではこのような組成で運用されています。車齢は高いながらも、まとまった数が残っているのはこの柔軟性が大きいようですね。

更新改造で大幅に登場時とは設備が変わった車内ですが、首を振る扇風機がこの形式が登場した年代を物語ります。座席は当初オレンジ系のモケットで1人分が独立したタイプでしたが、2002年から現在のラベンダー系バケットシートに交換されました。戸閉装置も3600・3700形と同一品に換装され、未更新車とは動作が異なっています。

現役最古参でありながら柔軟に編成組み替えに対応するおかげで置き換えが先延ばしにされてる3500形ですが、更新工事は全車に及ばず初期車から施工され2001年に終了した為、車齢の若いグループが先に廃車にされ経年の高い初期車が多く残ることになり来年には50年目を迎えようとしています。仮に置き換えが本格的に開始されたら、3100形を普通列車用に4両と6両で製造するのか、はたまた他形式の電気系統を改造して金町線用に4両を組成するのか、興味深い点です。

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残り2編成…終焉が近づく小田急1000形ワイドドア車

2021年08月17日 | 小田急電鉄

5000形の導入と入れ替わるように続々と廃車が進んでいる小田急1000形の未更新車ですが、休車扱いになっていたワイドドア車の1755Fが廃車になってしまい、この記事を書いている時点では主要な機器の撤去作業を行っています。これで現在も残るワイドドア車は1754F1756F62編成となりましたが、今年度は更にもう1編成の5000形の増備が予定されている為、更にまた廃車が出る事が予想され遂に消滅までのカウントダウンに入ったと言えます。

雨模様の空の下、ホームグラウンドとなった感がある江ノ島線の各停運用に就く1754F。登戸駅にもホームドアを設置した為、向ヶ丘遊園より先の区間での営業運転は不可能になってしまいました。

2019年に撮影した多摩線でも頻繁に運用されていた頃の1756F、離合しているのは標準ドアの1254Fです。前述のホームドア設置の影響で多摩線運用は激減し、相模大野よりも東の区間で姿を見る機会は殆ど無くなっています。

クヤ31牽引対応ながら1751Fと共に早々に廃車になってしまった1752Fの在りし日の姿。現在の江ノ島線では未更新の標準ドア車も運用に入る機会が多く、このような並びを今でも見る事が出来ます。かつてはありふれた並びのシーンですが今や珍しい光景になってしまいました。

(※この写真のみ再掲載)改造に改造を繰り返し、結果車内と車外でドア幅が異なって見える不思議な内装もいよいよ見納めです。ラッシュの切り札として設計された広いドアが仇になってしまった形ですが、こうした車両は二度と現れる事は無いでしょう…。全廃まで残り少なくなりましたが、最後までその活躍を見守りたいと思います。

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葛飾区・新宿交通公園に佇む都営バス

2021年08月15日 | 都営バス

2008年より他社譲渡が再開され、地方都市の路線バスのバリアフリー化に貢献している都営バスの車両ですが、それ以前は人道支援で海外譲渡されるケースを除き原則として廃車後は解体処分が殆どでした。そんな中でも公園の遊具として譲渡され、現在も姿を見ることができる車両が存在します。

それがこの葛飾区の新宿交通公園に設置されている日産ディーゼル・U-UA440HSN(1993年式)で、現役時代はL-Z281号車を名乗り江東自動車営業所に在籍していました。この地へやって来たのは2006年の事で、かつては公園の近くにある青戸支所に在籍していた三菱ふそうK-MP107K(Z-L593)が置かれていましたがその代替として選ばれたものです。

リア部から。乗降中の表示がLED化されたのはこの年式からでした。2000年代後半までは都内各所で見られた富士重工17Eボディーを組み合わせた車両ですが富士重工業は2003年にバス車体製造事業から、日産ディーゼルもUDトラックスに商号を変更した2011年度でバス事業から撤退しており、今となっては大変貴重な生き残りとなっています。

中ドアは4枚折戸で、通勤利用者が多い都内で威力を発揮しましたが低床化に伴って引戸に先祖返りし、見られなくなった設備です。この画像では分かりませんが、左側下部にヒビが入っていました…。

イチョウ柄の座席モケットが懐かしい車内(車外から撮影)。地方に移籍した車両にも残っていた設備ですが、移籍車もツーステップ車は現在では引退が進み、殆ど見られなくなりました。

公園の路線バスは老朽化すると新車に置き換えられる事が多いのは以前の記事でも触れましたが、新宿交通公園でもやはり何十年か毎に入れ替わってしまうようです。既にこの地へ来て15年の歳月が経過していますが、貴重になった車両だけに何とか整備を願いたいですね。

 

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引退が迫り来る都営浅草線5300形

2021年08月13日 | 首都圏の地下鉄

2018年より浅草線リニューアル・プロジェクトの一環で導入されている5500形と入れ替わりで廃車が進行している都営5300形ですが、残存数が遂に53195320編成の82本のみとなりました。1991年から1997年に掛けて8両編成27本の合計216両が製造された同形式は、いずれも車齢30年を超えない内の廃車が進められ通勤電車としては早期の引退を迎えることになってしまいました。

本形式の車体は都会的センスあふれる斬新なイメージをコンセプトに掲げ、日立製作所デザイン研究所がデザインを手掛けており、146次車は日立製作所製ですが、2次車は川崎重工業、35次車は日本車輌製造、57次車を近畿車輛と4社で分担して製造されています。同時期に12号線(現在の大江戸線)用の12-000形で初採用したVVVFインバーター制御・LED式行先表示などの新機軸をふんだんに盛り込み、非冷房・抵抗制御の5000形が主力だった1991年当時は大幅なサービス向上になりました。現在も運用中の53195320編成は5次車で、1994年度に近畿車輛で落成しています。

エアポート急行で京急本線を走行する5324編成。土日の41T運用は都営車を充当しながら、ほぼ終日に渡り羽田空港〜逗子・葉山間の京急線内のみで完結する珍しい運用です。写真の編成は1995年度の落成ですが、20201213日に運用を終了し、同月16日に廃車となりました。

5500形が初お披露目された都営フェスタ2017での場面。正面スカートの短い初期車と寸法を長くした後期車の2本と並べられ展示されました。初期車の形態は2021年5月に廃車となった5314編成を最後に消滅しています。

車内設備は路線名の由来でもある浅草のイメージし、隅田川沿いに咲く桜の並木道を表現しています。2000年度から開始されたC修繕工事(登場10年程度の車両に施工する簡易な工事)で座席やカーテンが交換されイメージが変化しました。2010年からはバリアフリー対応工事が追加で実施されドア付近の床の黄色化や警戒テープ貼り付け、座席へのスタンションポール設置、車椅子スペース増設などが施工されています。2010年に入ってから新形式導入の計画が浮上したため、走行機器更新を伴う大規模修繕工事(B修繕)は見送られました。

アルミ合金車体の18メートル車両ということで、地方私鉄への譲渡も期待されましたが、標準軌で短編成化には機器の移設が必要になる点が敬遠されたのか、今日に至るまでついに発生することは無く、廃車後は全ての車両が解体処分になってしまいました。現在の2編成も運用終了後は同じように解体される事と思いますが、比較的経年は新しい部類に入るので活用の道が見つからなかったのが残念なところです…。

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