町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

登場10周年を迎えたE233系6000番台・横浜線

2024年05月01日 | JR線

長きに渡り国鉄時代は首都圏に新型車を投入し、捻出される経年の浅い車両を周辺線区や地方電化路線に転用する手法が採られて来ました。横浜線もその一つで、かつては山手線などで活躍した73形や103系が回されており、車両のカラーも不揃いなまま運用されている姿が日常的に見られました。転機が訪れたのは分割民営化から1年が過ぎた1988年で、転用車から直接新型車を導入する方針に転換した為、ドア窓の寸法を拡大した独自の205系電車が導入され大幅なサービス改善が行われました。

その205系も、近年のJR東日本の施策で新車に更新されることとなり、2014年2月から写真のE233系6000番台によって僅か半年で置き換えられました。車体の幅を拡大したことから定員が1割増加し、輸送力増強も同時に実現しています。今年で登場から早くも10年目を迎え、現在はATO関連機器や非常用梯子の設置などワンマン運転への準備工事が進んでいます。

横浜線の特徴として、正面と帯に「YOKOHAMA LINE」のロゴと葉のマークを掲出していますが、JR東日本の通勤電車でオリジナルロゴが配されるのは初のケースでした。葉のマークは沿線の神奈川県横浜市・相模原市・東京都町田市の市の木に指定されている欅の葉をモチーフにしているそうです。

車内の座席はラインカラーと同じ緑系ですが、これは東神奈川駅で同一ホームに発着し、直通運転を行う京浜東北・根岸線の同系列との識別も兼ねています。座席以外はほぼ他路線向けと同一ですね。

車内案内表示は首都圏で御馴染みの17インチワイド液晶画面ですが、製造メーカーは日立でドアチャイムの音程が京浜東北線・根岸線用とは異なる他、戸閉装置もリニアモータ式を採用しました。分類としては通勤型で尚且つ同一線区を走行しながら、何故このような違いがあるのか謎です・・・。

2020年7月には横浜線と京浜東北・根岸線向けにワンマン運転対応のE235系を導入し捻出したE233系を他路線に転用する計画が報道されていましたが、前述のようにワンマン改造工事が2022年から施工されるようになった為、中止は確定しE233系の継続使用の方針になったようです。さすがにコロナ禍と半導体不足の影響下で1000両以上の新造車を導入するのは無理があったようですね。

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古都から空の玄関口を結んで30周年、JR西日本281系「はるか」

2024年04月15日 | JR線

1994年9月4日、大阪湾内に完全人工島からなる世界初の海上空港である関西空港が開港しました。東京(千葉県)の成田空港と共に国際線の発着回数が国内線を上回り、西日本に於ける国際拠点空港とされています。空港までの鉄道によるアクセスは、JR西日本と南海電気鉄道が乗り入れを行なっており、JR西日本は281系電車を登場させ京都・新大阪より関西空港に至る特急列車「はるか」を運転しています。開港と同日に運用を開始し、本年で30周年を迎えることになりました。

9両編成(後部3両は271系)で運転される京都行き「はるか」の281系。S字型の独特な曲線を描く前頭部が特徴で、空に輝く雲をイメージしたシャイニングホワイトの車体に、肩部には無限に広がる宇宙のコスモグレー、裾部は成層圏のストラトブルーを配し、柔らかい印象を与えるデザインで、1994年度グッドデザイン賞とブルネル賞を受賞しました。登場直後は5両編成でしたが、乗車率の高さから1年経たずにサハ281を新造し6両化されています。制御装置は同時期に登場した223系0番台・207系1000番台同様のVVVFインバーター制御を採用し、機器更新も実施されていない為登場以来のGTOサイリスタによる大きな磁励音を耳にすることが出来る数少ない形式になりました。

2019年からはサンリオとのコラボレーションでハローキティのラッピングが施されるようになり、基本6両編成は「Butterfly」「Ori-Tsuru」「Kanzashi」、増結用3両編成と271系は「Ougi」のデザインが施されました。車内や座席の枕カバーにも装飾が施されています。海外でも知名度が高いキャラクターのラッピングは好評を博していますが、ライセンス契約の終了の為か本年より順次元の姿に復元されることが明言されています。

ツートンベージュの座席が並ぶ普通車の車内。通常編成では無地の黄色の枕カバーですがハローキティラッピング編成は、ベージュに近い色のイラストがプリントされたものに交換されている為、オリジナルのカバーより統一感があります。乗車時間が特急列車にしては短いので、リクライニング角度は若干浅めに設定されています。

2列+1列配置のグリーン車車内。大型化され枕が設置されたオーソドックスな座席で、テーブルは普通車同様に肘掛け部分に収納されフットレストは欧米からの利用者を意識したのかバータイプのものが設置されています。

2020年度の新型コロナウイルス感染拡大により271系と共に3両編成は全て運用を離脱する憂き目に遭いましたが、2023年からは水際対策緩和による利用者増加で再び9両編成に戻され、全車両が安定して現在も活躍していますが、2018年には2024年〜2027年に新型車を投入し置き換える計画についても存在していたことがあり増結用の271系についても将来的には281系の置き換えの為に6両編成の組成も視野に入れられていることから、なにわ筋線開通時期と合わせていつまで活躍できるかが気になるところです。

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体質改善工事で更なる安全性・快適性向上、充実装備に生まれ変わったJR西日本207系0番台

2024年04月13日 | JR線

JR西日本では、分割民営化後初めての新型車両として221系を登場させ、新快速に大量投入し大幅なサービス改善を実施しました。一方でJR京都線・神戸線の各駅停車とJR宝塚線(福知山線)、JR学研都市線(片町線)では相変わらず国鉄から引き継いだ103系が主力を占めており、周辺の私鉄に比べサービス面で格差が生じていました。これらの置き換えと共に、1989年より着工された片福連絡線(現在のJR東西線)に対応可能な通勤型電車として1991年より登場したのが207系です。同年4月30日から学研都市線(片町線)片町〜松井山手間で量産先行車の7両編成が運用を開始し、以降は量産体制に移り走行機器や車内に改良を加えながら約12年間に渡り増備され総勢484両が登場、2005年度に0番台4両と1000番台3両が尼崎脱線事故により廃車、2022年には量産先行車が老朽化により更新を受けずに廃車されましたが、初めて製造された1991年から30年以上経過した現在でも京阪神都市圏輸送の第一線で活躍を続けています。

量産先行車の使用実績を基に1991年度内から増備が始まった0番台。7両固定編成を4両+3両の組成に変更し、JR学研都市線の分割併合にも対応できるようにした最初の編成でした。車両番号は量産先行車が-1から付与されているため、続きの-2からとなっています。0・1000番台は登場から20年以上経過した2014年から体質改善工事が施行されるようになり、Z22編成が最初の編成として同年11月17日より営業運転に復帰しています。

H編成は当初3両編成でしたが、電動車をユニット方式から1両単位に改める設計変更を行った1000番台が登場した後、JR東西線開通直前に組み込み4両化し電動車の車番を-500(元0番台)・-1500(1000番台)とし、異なる半導体素子を用いた制御装置を搭載する車両が混結される特徴ある編成になりました。この写真でも1500番台(女性専用車に指定されている前から3両目)は屋根上の冷房装置が異なっています。

体質改善工事はZ編成と並行して1000番台にも及び、2016年初頭にS22編成が施行されました。機器更新も実施されており、Z・H編成と組んだ7両で使用されています。1000番台T・S編成については特徴的な部分が多く、また改めて別に記事にしたいと思います。

体質改善工事施行後の車内。化粧板や床材、座席は全て新品に更新され、大型化された袖仕切りや増設されたオレンジの手すりが目立ち、大幅に印象を変えました。天井の照明も蛍光灯からLED化されカバーが撤去されています。車内案内表示はLEDスクロール表示のまま存置されましたが、号車表示が追加されました。

 

本年で早くも33年目に入る207系0番台ですが、Z編成は体質改善工事を終えたもののH編成はまだ全編成に及んでいないことから、完了までは相当時間が掛かると思われ、これからも長期間主力車両としての運用が続きそうな予感です。

 

 

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京阪神圏を駆けるJR西日本のイメージリーダー・223系2000番台

2024年04月11日 | JR線

京阪神間を結ぶ新快速として1995年から運用を開始した223系は、当時併用されていた221系と主に快速・普通列車で残存していた117・113系の置き換えと新快速列車の130キロ化を目的に1999年から増備が再開されますが、1000番台の実績を基にコスト低減を図り新たに2000番台として製造されることになりました。改良に改良を重ねながら長期に渡り増備され、性能を221系と同一にした6000番台も合わせて8両編成30本・6両編成14本・4両編成81本の総勢648両が製造され、時期により様々な形態差を有しています。

V48編成を先頭に12両の新快速で運用中の223系2000番台。写真は2004年〜2005年に増備されたグループでスカートが拡大されパンタグラフ台座の形状が変更されています。225系の登場後も新快速・快速の主力車両で併結運転も頻繁に行われています。

快速運用で見られる4+4両の8両。先頭に立つV13編成は1999年〜2000年に増備された2000番台1次車に当たり、2000年3月11日のダイヤ改正で新快速運用から221系が撤退し、223系グループに統一されました。また2008年からV20〜V28の9編成が221系との併結用に性能を固定化され、車番に4000を+した6000番台化されていましたが、2021年9月までに原番に戻され元の2000番台に復帰しています。

221系同様に転換クロスシートが並ぶ車内。座席モケット更新は2011年から始まり、225系同様のブラウン系に交換されるようになりました。製造時期の長さから、蛍光灯カバーや床材の素材変更、非常通報装置や消化器を示す表記など乗客には見えない部分も細かく見直されています。

ドア上には小型のLED表示器が設置されていましたが、2020年3月から20.7インチの大型画面に換装されるようになりました。321系・323系で実績のあるWESTビジョンと称する案内表示ですが、既存車両に改造で設置されるのは初めての事例です。

登場から25年を数える2000番台ですが、1000番台に施工されている体質改善工事が完了すれば2000番台にも及ぶことになり、まだまだ京阪神圏の鉄道の顔として長期間活躍するでしょう。

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浪速の街を巡る新鋭、JR西日本323系・大阪環状線

2024年04月09日 | JR線

大阪環状線では国鉄時代の1969年からオレンジ色の103系が運用され、長らくの間同線のシンボル的な存在となっていました。JR西日本発足後は207系登場に伴い、老朽化と陳腐化が目立つようになった103系に対し1995年から40N体質改善工事(2002年以降は内容を簡素化した30N工事に移行)と称する車内設備を207系並みの水準に引き上げる工事が実施され、2005年には京阪神緩行線から321系により置き換えられた201系が転入しますが、103系は本格的置き換えとはならず依然として主力車両のままでした。しかし2013年12月24日に大阪環状線改良プロジェクトがスタートすることになり、計画の中には駅設備改良、地域や他交通機関との連携に車両新製が盛り込まれ103系と201系の置き換え構想が明らかになりました。この時点では形式名は明らかにされませんでしたが、2014年12月8日に323系となることが発表され、約2年後の2016年12月24日から運転を開始しました。

103・201系とは異なり3ドアとされ、通勤型ではありますが近郊型の225系に類似したデザインの車体になった323系。これは、環状線内には3ドアの近郊型である221が大和路快速として223・225系が関空・紀州路快速として直通して来る為、ホームドア計画も併せてドア数を揃え整列乗車を促進するとされています。写真のLS21編成は大阪ディスティネーションキャンペーンのマークを貼り付けて運転されています。

2016年〜2018年の間に段階的に増備され、103系は2017年10月3日、201系は2019年6月7日で定期運用を終了し、大阪環状線は3ドア車で統一されることになります。沿線人口の違いもありますが、利用者が多く4ドア車が主体だった路線が3ドアになるのは都市部の通勤路線としては比較的珍しいケースになりました。なお、103・201系が担当していた大和路線直通の区間快速運用は奈良の221系に置き換えられ、本形式が充当されることはありませんでした。

車内設備は中仕切りを設けた10人掛けロングシートを中心に車端部を3人掛けとしています。各車両とも車椅子・ベビーカースペースを1箇所設けている他、大阪駅で階段に近い8号車は混雑するためドア周りの座席を短くして立席スペースを確保しています。各駅停車運用以外には入らないものの自動放送装置も設置しており、関空・紀州路快速や特急電車と同様に日本語を関東私鉄でお馴染みの西村文江氏、英語放送を北海道・東日本管内の新幹線・在来線特急を担当するJean Wilson氏の両名の音声で案内を行っており、他路線はタブレット端末で区間を限定していたり、乗務員による放送が基本となっているので特別感がある部分です。

液晶画面による車内案内表示は225系に続くもので、17インチ画面で統一され設置場所が増加している為、大幅に旅客への案内を充実させました。関東とは異なり、路線図と動画広告の表示画面が逆の配置になっているのが面白い点です。

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