町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

廃車が進行する新常磐交通の元小田急7Eボディー車

2023年02月07日 | 東北地方の地下鉄・路線バス

2006(平成18)年より導入されるようになった新常磐交通の元小田急車両ですが、当初は富士重工17E(通称7E)ボディー+いすゞ自動車製シャーシのU-LV324Lと高出力エンジン搭載のU-LV318Lが移籍し非冷房モノコック車を置き換え大幅なサービス向上に貢献しました。その後は大型ノンステップバスのいすゞエルガとその中型車であるエルガミオ、更に導入例が無かった三菱ふそうノンステップ車も加わり全国でも類を見ない程に小田急車が勢力を誇っていました。しかし、小田急バスの方針転換で置き換えサイクルが17年程度に伸びた為、廃車のペースが緩くなり現在は都営バスからの移籍車も幅を利かせるようになり、元小田急バスの7Eボディー車の廃車が進められています。今回は、福島県いわき市に鎮座する金刀比羅神社の例大祭に伴い運行される湯本駅〜21世紀の森公園間シャトルバス運用に就く元小田急7Eの姿を捉えました。

新常磐交通の中でも異彩を放つニューステップ仕様のいわき200243。こちらも元は武蔵境に在籍していたC8168です。1995年式で、前扉〜中扉付近までをワンステップ仕様とし、中扉はグライドスライド方式で可動式ステップ(現在は機能停止)を搭載するなど、小田急バスの低床化・バリアフリー化の先駆車とも言える存在でした。

元小田急バス7Eの中では唯一福島ナンバーとなっている福島200914。小田急時代はC8162(元武蔵境車)でした。北営業所原町車庫に在籍していましたが東日本大震災の影響で原町車庫が閉鎖された関係で、いわき中央営業所に転属し、いわき市内の路線に充当されるようになりました。

湯本駅から戻って来たいわき200243を非公式側から。反対側から見ると通常のツーステップ仕様車と特に変わりはありません。駐停車中に自動でエンジンを停止させるアイドリングストップ機構も本車が最初で、小田急時代はリア窓に「環境に優しいアイドリングストップバス」の文言が表記されていました。特殊な機構が嫌われたのか、このタイプは移籍が少数に留まり、西日本に偏っており(高出力仕様車の旧生田・町田車が九州産交バス・松江市交通局への移籍例があるのみ)東日本で現存する唯一の事例です。本来は定期路線バスが走らない区間で撮影出来たのは大きな収穫になりました。

中扉までをワンステップエリアとした独特な車内設備。小田急在籍時は中扉の窓と正面にハートマークと家族のシルエットのイラストに「乗り降りが楽なニューステップバス・環境に優しいアイドリングストップバス」と表記した円形ステッカーが貼られ、乗客にもアピールしていました。

登場から28年目に入り、既にメーカーによるアフターケアが打ち切られた現在も、こうした特殊な車両が稼働しているのは奇跡的なことですが、いよいよその活躍も最終ステージに入ろうとしています。恐らく自社発注車とは違い保存されることは無いと思いますが、乗ることも見ることも出来なくなる前に記録・乗車を楽しんでおきたいですね。

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消滅が近づく福島交通のエアロスターM

2019年01月12日 | 東北地方の地下鉄・路線バス

東日本の路線バス事業者で、三菱車の一大ユーザーと云えば真っ先に神奈川中央交通を思い浮かべる向きが多いと思われますが、東北地方の福島県全域に渡って路線を展開する福島交通も大株主が三菱自動車工業である関係で、長年に渡り三菱の純正車両を導入していることで有名でした。地方都市の民営バスとしては珍しく、1997年まで中古の移籍車両が存在せず自社発注車のみで統一されていたのも特筆されますが、1998年よりJRバス関東より高速路線向けのエアロバスが、一般路線では東京都交通局よりMP218系列の導入が開始され、福島交通では初めてとなる前中扉仕様車が登場すると共に、新呉羽自動車工業のボディーを架装する通称エアロスターK(現在は全車廃車済み)も加わりました。それでも中古で導入される車両も全て三菱車に限られる状態が続きましたが、2009年には東急バス・関東バス・都自動車からの車両を導入するようになり、この時点で一気に日野自動車・いすゞ自動車・日産ディーゼル車が初めて登場したことから長年続いた三菱車統一の時代に終止符を打ちました。今回記事にするのは三菱車が栄華を誇っていたころに導入された福島交通のエアロスターMです。

福島駅ロータリーで待機中の福島22か・22-56(U-MP218K、1993年式)。大量導入されたU-規制のエアロスターの内の1台で、福島営業所に所属しています。今年で26年目に突入しますが、移籍車導入で続々仲間の置き換えが進む中で未だに活躍し健在振りをアピールしています。

郡山営業所に所属する福島22か23-26(1993年式)。かつてはこのスタイルが福島交通のスタンダードでしたが、首都圏からの移籍車攻勢で続々数を減らしています。ちなみに裏被りしている三菱車といすゞ車は、前者が京王バス東で後者が川崎鶴見臨港バスからの移籍車で、今や首都圏からの車両のほうが多数を占めるようになってしまったことに時代の変化を感じずにはいられません・・・。

上の車両より1年新しい1994年式の福島22か・23-34です。首都圏でも見慣れた角ばったフォルムに、ラッチ式二段窓を持つ側面も今や珍しい存在になってしまいました。

奇しくも新旧の自社発注者同士が並んでくれました。隣のノンステップは三菱ふそう・エアロミディのTKG-MK27FHF(2016年式)です。これ以前に日野・いすゞの中型路線バスが新車で断続的に導入されていますが、2016年度の導入車は数少ない三菱ふそう車の導入となりました。

 

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秋田中央交通の元小田急・神奈中車

2018年12月25日 | 東北地方の地下鉄・路線バス

列車の乗り継ぎの際、秋田駅前に降り立ったところ秋田中央交通に在籍している譲渡車が確認できたので軽く撮影してみました。

同社は夜行高速バスのフローラ号を小田急と共同運行していることが縁で積極的に元小田急バスの車両を導入しており、いすゞ自動車製の大型車と中型車が多数在籍する新常磐交通などと共に小田急バスの代表的な移籍先として知られています。

秋田駅の駅舎を背景に待機中のエルガミオKK-LR233J改と富士重工16型Eボディを架装するU-LR332J。何れも元小田急バスの車両で、エルガミオは吉祥寺、6Eは狛江に所属していました。

上と同形式の6E。この車両も元は狛江に所属していました。暖房を強化し、中扉に照明を増設した以外はほぼそのままの状態で使用されており、車内放送のアナウンサーも小田急バスと同じく直井芳枝さんが担当していることから、より小田急バスの雰囲気を濃くしています。

移籍車両は小田急車両が大半の秋田中央交通ですが、少数ながら神奈中からの移籍車も存在します。写真の三菱ふそうU-MK218Jは元神奈中の車両で、神奈中(→後に子会社の湘南神奈交バス)時代は車内でお菓子などの販売を行っていることで有名でした。そのため、タイヤハウス上の座席が無く、売店として使用されていた棚がそのまま残存しています。

こちらも元神奈中ジャーニー、U-LR332J。自社発注車も在籍していますが、元神奈中車は出っ張った弁当箱の如き運賃支払い方法表示窓が特徴的なので、出自が一目で判別出来ます。


かつては元吉祥寺の7Eボディー車や、多数の6Eが見られましたが小田急からのノンステップバスの移籍で順次廃車が進行しており、現在は大幅に数を減らしています。

今後も移籍は続き、ツーステップ車自体が希少な存在になるのは間違いない為、一昔前の小田急バスの雰囲気を味わいたい向きは今が旬でしょうか。


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新常磐交通の元小田急7E

2018年09月03日 | 東北地方の地下鉄・路線バス

青春18きっぷで東北へ出かけた際に、いわき駅に立ち寄り新常磐交通の元小田急バスを見てきました。同社は福島県いわき市に本社を置き、市内の一般路線と東京都内を結ぶ高速バスを運営している事業者で、常磐交通自動車が前身とする企業でした。経営状態の悪化に伴い新旧分離方式による経営再建を図るため、2006年2月より新たに現在の社名で再スタートを切り現在は東京都内では御馴染みのタクシー会社グリーンキャブの出資を受け、系列会社となっています。

その新常磐交通に小田急バスからの譲渡が発生したのは、同年7月のことで生田・町田に在籍していた高出力車のU-LV318Lと武蔵境に在籍していた都内向け標準出力車のU-LV324Lが移籍し、自社発注の非冷房車の置き換えに充当されています。その後も譲渡は大量に続き、現在はノンステップのエルガやキュービックの他、これまで導入例が無かった三菱ふそう・エアロスターも加わり、全国屈指の小田急車天国となりました。写真の車両はU-LV324Lながら、新製配置は狛江営業所でD8148として配属後に生田へ転属しE8148として活躍した経歴を持ちます。

上と同型式。よく見ると、前扉の下部に設置されている特徴的な手すりや乗客巻き込み防止のチェーンが外されています。車内の設備は基本的に小田急時代のままですが、移籍してから一部部品の交換や撤去で差異も生じているようですね。

いわき駅でリア部を見せ待機中の7E。こちらは元武蔵境車です。いずれの車両も小田急所属時から数えて23年近い歳月が経過していますが、良好なコンディションで毎日活躍しているのは実に嬉しい限りです。

車内設備は中乗り前降り化の為に中ドア上部の注意書きと、4枚折戸に設置されていた片側の巻き込み防止安全ベルトが撤去された以外はほぼそのままです。折角のワイドドアが無用の長物と化しているのは少々残念ですね・・・。

 

現在は地方都市の路線バスも世代交代が進み、U-規制どころかKC-規制車にもまとまった数の廃車が出る中で、これほど良好な状態の7Eボディー車が現在も活躍するのは奇跡的かもしれません。いつまで走ってくれるかは全く未知数ですが、一日でも長く元気な姿で活躍して欲しいものです。

 

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弘南バスの元横浜市営車

2017年12月28日 | 東北地方の地下鉄・路線バス

青春18きっぷでの東北旅行中に弘南バスの乗り場に降り立つと、見覚えのある車両が佇んでいました。側面幕の位置や、一番前の座席の特徴的な手すりなどから首都圏出身であることが一目で分かります。

横浜市交通局からの移籍の日野ブルーリボンP-HT233BA(1989年式)。中型車が主力になっている弘南バスでは貴重な大型車です。中ドアは閉鎖されており、トップドア車として扱われるようになりました。

後部の方向幕は移籍時に撤去されてしまいました。この他にも大型車は在籍していますが、何れもP-規制、U-規制が中心と古参車両揃いで稼働率は低いようです。

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