暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

積み重ねて

2021年08月26日 | 古民家
 淡くはかない色でも・・・自然に生まれた色は力強く、時間が過ぎると共に・・・
見違えるほど魅力的な姿に成長します・・・。
藍は色は・・・淡い色から、力強く濃い色まで・・・
染めの工夫で、模様が描かれ・・・落ち着きある柄から、迫力ある模様まで・・・
今ではあまり多くは見かけなく・・本当の藍染を使いこなす場面も少ないけれど・・・
藍の葉の収穫から発酵させ、藍玉(すくも)造りまで・・・
その先の藍を建てる作業も、大変な労力と時間が必要なのは・・・
一生使い続けられるモノ造りには必要で・・・大切な工程なんだと思います・・・。

簡単に手に入るモノ・・・すぐに出来上がるモノ・・・
それだけ長く使い続ける時間を持てず・・・力なく朽ちてしまう・・・。
感情的な言い方になってしまうけれど・・・愛着も育たなくなってしまいます・・・。

60年以上育て・・・1年近く乾燥させ・・・ようやく住まい造りの準備が整い・・・
その間にも、関わる職方も準備を整えて・・・自分の手仕事が次の世代に残り、恥かしくない仕事の技を残していく・・・
日本の伝統的な技には・・・どの世界にも通用する、確かな考え方がり・・・
積み重ねて来た時間には・・・いつの時代にも残る魅力があると思います。

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平等

2021年08月25日 | 古民家
 ズルズルと・・・重い扉を開ける・・・
薄い板の張られた雨戸を開けるのは一手間で・・・毎日の開けたては、心地よい広縁ほど大変な作業になり・・・
軽いアルミの雨戸や・・・シルシルと電動で登るシャッターの便利さと比べ・・・
すり減った敷居の溝を、けなげに滑る戸板の雨戸達・・・
右から左へ走らせるお母さんは、とても働き者だったと思います・・・。

女性ほど働き者だった時代は長く・・・
ライオンは・・・狩りをするもの、子育てもお母さんで・・・
お父さんがいなくては、家計のやりくりが大変だと解ってはいても・・・
朝から晩・・・夜遅くまで、コロコロと回っているのはお母さんでした・・・。

多くの輪の中で、平等が叫ばれて・・・住まい方にも敷居が低くなればと思っていましたが・・・
古民家の廻りは・・・意識が持たれながらも、狭くなる一方で・・・
威厳に風格のある佇まいでも・・・狭く、心細くても、快適で手間いらずの住まいが当たり前のように建ち続けます・・・。
50年後・・・100年後、環境に負荷のない快適な住まいはどちらか・・・?
少しづつ変えないといけない考え方が・・・対等に扱ってもらえる考え方が・・・
お母さんや古民家の暮らしにも、近づいてきてくれたら良いと・・・思います。


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採れたて

2021年08月24日 | 古民家
 ミカンの酸っぱさに・・・梨のゴリゴリした触感・・・
バナナを高級品だと思えるほど年齢は重ねていないけれど・・・
パイナップルや桃が・・・食卓に並ぶ機会は少なくて・・・
デラウェアの甘みと酸っぱさから・・・巨峰の食べ応えと甘さに感動を覚えた時から考えても・・・
自然の柿やイチジクを、おいしそうに食べていた子供のころから比べて・・・
暮らしの豊かさに幸せを感じながら・・・とても贅沢な後ろめたさも感じてしまう・・・。

小さな花を見つけては・・・口にくわえて、小さく些細な甘さを感じて・・・
得体のしれない茎を、アニアニ噛みながら・・・ほのかな酸っぱさで遊んで・・・
子供の遊びの中に・・・自然の恵みを頂くとは言いすぎでも・・・
たくさんの頂き物で・・・毎日があふれていました・・・。

地元の野菜やお米で暮らしていた頃・・・季節ごとのおいしさは頂けても・・・
一風変わった食べ物は、特別な時にだけお目見えして・・・同じ時期には同じように育つ作物を・・・
毎日回飽きもせず食卓に並べてしまう・・・
日本全国の食べ物が手に入る今を・・・幸せに思うのかもしれないけど・・・
地元でしか口に入らない食べ物を・・・贅沢だと思えるのは・・・
飽食の時代を経験したからなのかも知れません・・・。
大して甘い柿でなくても、採れたてを口にする幸せを感じていたいと思います。


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まね

2021年08月23日 | 古民家
 隣の芝は青々と風に吹かれて、ひときわ美しく見えて来る・・・
同じカタチのミニカーを貰っても・・・遊び方ひとつで、何故だかお兄ちゃんのミニカーが良く見えて・・・
同じお菓子を買って貰っても・・・いつの間にか、お兄ちゃんのほうが多く残って、横目でいじけてしまい・・・
いつまでたっても母親に甘えてしまう・・・。
反対にお兄ちゃんから、うらやましく思ってもらえる様になるにはどうしたら良いのか・・・
弟の悩みはいつの時代も尽きないのかも・・・。

真似出来ない手仕事は・・・毎日繰り返す積み重ねと経験があって、初めて伝統の技になり・・・
誰もがパチリと大きな目で、その技を認めてくれます・・・。
人に見せる訳でも無い・・・かたくなに造り続けていたモノが、伝統文化として認められる事もあって・・・
芸術と伝統が入り混じる・・・不思議な感覚です・・・。

弟がお兄ちゃんの真似をしたくなるように・・・
魅力的なモノは真似され・・・広く暮らしに残されても・・・
伝統的な技術が真似されるには・・・長い時間も、事を成す力も必要です・・・。
細かな細工の建具も・・・いぶし瓦の不揃いで美しい仕上がりも・・・
経験と勘の、誰にも真似出来ない・・・唯一・一生の出来事が生み出されます・・・。
誰もがうらやましがる・・・大切な暮らしが、伝統の中にはあると思います。

追伸
(画像は、指物の技と、土壁・竹小舞の技で仕上げられた行燈です。ここまで美しく仕上げるのは難しいですが、加工部分を仕上げて組み立てと左官部分の体験が出来るワークショップを開催する方がいらっしゃいます。ご興味ある方はお声掛け下さい。失礼ながら、初めて宣伝協力させて頂きました。)



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1/f

2021年08月22日 | 古民家
 頭の上に気配を感じて見上げてみれば・・・
飛び交うトンボの群れが、夕焼け雲と並んで秋の気配・・・。
ひと夏を過ごせば・・・実りの秋がやって来て・・・
苦労も報われる喜びを感じながら・・・
これから始まる一仕事に向かい、準備に憂う人もいる・・・。

季節感のない暮らしは快適な毎日となって・・・
快適な暮らしが・・・伝統の文化を変えていきました・・・。
一握りの手中で、暮らしは足りていたのに・・・
両手でも足りなくて・・・持ちきれない暮らしの豊かさを求めて・・・
時間を追いかけて、走り続ける社会に・・・
追いつけない人の暮らしは、少しづつ増えていったような気がします・・・。

1年も時間をかけて土を発酵させて、住まいの壁に塗る・・・
60年も森のお手入れをして・・・住まいの柱に使う・・・
自然の力は、人が作れないモノを育て造ってくれます・・・。
でも、たくさんの時間が必要で・・・思い通りにはいかなくて・・・。
向き合う時間に速さは似合わず・・・一生向き合う心が必要です・・・。
古民家の住まいを見ていると・・・いくつもの流れが重なり、1/fの時間が漂っているような気がします。


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