暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

所作

2020年03月26日 | 古民家

 猫の額と言われた日本の住宅事情・・・

山が険しく平らな土地が少なければ・・・おのずと立地条件は悪く・・・

傾斜地に住まいを築き・・・段々畑に棚田、決して効率の良い作業は出来なくても・・・

石垣を整備して・・・畔を造り、今では景勝地になるほどですが・・・

長い年月、大変な苦労をして育てて来た暮らしを・・・次の世代にその苦労を残す考えの人はいないように思えます・・・。

窓から眺める景色に・・・はかなげでも、緑が見えると心落ち着くものです・・・。

大きな庭も無い窮屈な住まいの中に・・・無機質な飾り物だけでなく・・・

植物や生き物・・・生を感じるモノと暮らす・・・それだけで穏やかな時間が過ごせると思います・・・。

少し盛り上がりのある盆栽・・・手ごろな値段で手のひらサイズの盆栽がお店に並ぶ・・・

日本の技術を取り入れ、コンパクトまとめられた庭には・・・

小さな空間でも心豊かな時間を過ごせる、おもてなしの心が日本の侘び寂びに表れています・・・。

子供の頃に・・・茶道の作法など全く理解できず、知りもしないのに、たかがお茶を飲むのに面倒な・・・

と・・・思いもしましたが・・・受け答えや所作、相手に対する心遣いの表れで・・・

それを突き詰めて来たのが作法で・・・おもてなしの心なんだ思います・・・。

一輪挿しが床の間に鎮座する・・・広縁の柱に飾られている・・・

箒がかけられ・・・こざっぱりとした玄関の土間、小さな下駄箱の上に一輪の花・・・

それだけで・・・住み手の丁寧な暮らしが見て取れます・・・。

派手な意匠や他には無い造り・・・個性を主張したいばかりの想いだけでは無く・・・

地域に調和して・・・日々の暮しと寄り添い、継がれて来た事の大切さに気付く暮らしであってほしいと思います。

 

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手数

2020年03月25日 | 古民家

 手間を掛ける・・・自分がどれだけ手数を多く掛け、丁寧に作り込むかで・・・

相手にも満足して頂ける・・・そんな意味でとらえています・・・。

多くの時間を掛ければ手間暇掛かっている訳でもありません・・・

お金が沢山必要だったので・・・手間暇掛かっている訳でもありません・・・。

基本を守り・・・最小限の負担で、許された時間の中でより良い品物を生み出せるか・・・

現状を把握して・・・最善と思える、正しい判断をして・・・その中で自分が持つ技術を生かし・・・

相手も満足して頂ける仕事を残せるか・・・

貴重な樹種で・・・大きな木材はなかなか手に入らない・・・そんなお話しもして来ましたが・・・

高級な木材だから価格が上がるだけではありません・・・。

同じ木材でも、自然に乾燥された木材と、人工的に乾燥された木材・・・・

柱や梁・・・板材として加工する時間は・・・自然乾燥材がの方が早く綺麗に仕上がります・・・。

それは、無理なく乾燥した木材の繊維が適度な水分を持っていて・・・綺麗な素材だから・・・

短時間で乾燥され、荒れた木肌は・・・どんなに美しく研いである鉋でも、水を弾く木肌に仕上がる事はありません・・・。

必然・・・そこそこ仕上げるまでに手時間が必要な人工乾燥材の方が・・・高いモノについてしまいます・・・。

良い材料を使う場面はあります・・・。

でも・・・その下準備を怠れば、その素材は本来の力を発揮してくれません・・・。

育った環境に合わせ・・・素材を見極め、丁寧な下ごしらえで仕上げる・・・

それが・・・手間暇を掛ける本当の意味なのかな・・・?と思います・・・。

バラックのような小屋や納屋を解体して・・・母屋の小屋束に使う・・・

母屋を解体して出た廃材を利用して、納屋を建てる・・・

柱の根元が腐ったので・・・新しい木材で根元の1mほどを伝統の継ぎ手加工でつなぐ・・・

家を持ち上げて、傷んだ土台を交換する・・・柱の一部を取り換える・・・

今ではあまり見られない光景です・・・。

古いモノを生かし再生し・・・歴史・文化を繋ぐ・・・

それには・・・手間暇を惜しまない心が、大切だと思います。

 

 

 

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無限

2020年03月24日 | 古民家

 1300年もそこに佇む法隆寺五重塔・・・。(火災にあいましたが、金堂もそうですね。)

国外へ向けた、日本の技術や文化の高さを表す意味や・・・

国内の安定や平和を思う願いなど・・・多くの想いで建設されました・・・。

今、同じような建物を建てようとしても・・・技術的にも難しく、携われる職人も限られ・・・

・・・材料を用意打出来ない・・・森が豊かな日本で・・・同じような木材が手に入らないそうです・・・。

クレーンなどの重機も無い時代・・・人力で組み上げる技術・・・

人に出来ない事は無い・・・そんな力強さを感じます・・・。

人の手間がまだまだ安かった頃・・・多くの人を雇い入れ、事業を成したり・・・

商売の助けとしたり・・・人の手が、時代を造って来ました・・・。

助け合う心は・・・何度も書いた・・・結・・・の心で、それが無ければ成り立たない・・・

地域で守られる伝統や・・・文化がまだまだ残っています・・・。

その心を残すには、その場所で育った感覚や人との繋がり・・・子供の頃に受ける刺激がとても大切です・・・。

誰かが守らなければ失われる伝統や技術でも・・・生活出来なければ無くなってしまう文化・・・

自然とうまく付き合い・・・人の手が造り上げて来た暮らしは・・・

どうしても自然に逆らう部分もあります・・・。

幾度となく森を亡くし・・・再生させて来た歴史があり・・大切さが良く解っていても・・・

大きな一歩を踏み出せずにいます・・・。

古民家の暮らしをお手本に・・・暮らしを変えてみる、少しづつ広がっても・・・

便利な生活を手放す訳にも行かず・・・ついつい留まってしまいます・・・。

1人の力は小さくても・・・多くの人が集まると、信じられない力が生まれて来ました・・・。

人の想い・・・無限の可能性を感じます。

 

 

 

 

 

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消えゆく

2020年03月23日 | 古民家

 高速道路に計画道路・・・数十年も昔に計画された工事がにわかに始まり・・・

住民説明会・・・地権者への個別相談・・・今までの暮らしが一変する事態です・・・。

新規路線もあちらこちで工事が進む一方・・・地方の廃線が進んで、最後の日に多くのファンが集まる・・・。

便利な暮らしの場所が益々便利になって・・・不便な田舎暮らしは益々不便になる・・・

何やら滑稽で納得の行かないような感じがします・・・。

道路拡張で引越しをするか・・・住まいを移動して、同じくその場所で暮らすか・・・・?

ダムなどの建設で町が無くなる悲しさと・・・道路で地域が分断される寂しさ・・・

政令指定都市として町の名前が変わる・・・大合併で失われる地名・・・・

名前と同じように・・・なにかしら意味を持って名付けられた地名や名前が変われば・・・

そこで暮らす人の歴史が無かった事になってしまうようで・・・

(変わった地名は多く・・・解りやすい場所で言えば、鬼怒川・足摺岬・首切峠・・・

その場所であった出来事をあらわす解りやすい地名です・・・。)

歴史を感じる・・・その場所でどんな事があったのか・・・それを知る手掛かりにもなりますが・・・

一番大切な地域とのつながりが無くなってしまい・・・助け合い暮らす・・・

そんな感情が薄くなる・・・そんな町作りを見ているようです・・・。

豊かな暮らしと思った行動が・・・地域を疲弊させてしまっているように思えて・・・

古くから残る景色やしきたり・・・みんなで守って来た暮らし・・・

里山や・・・結いの心で、・・・穏やかで、ゆっくり流れる時間の田舎暮らし・・・

次の世代に伝えると言う想いが・・・少しづつ薄れてしまっているような気がします。

 

 

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無味無臭

2020年03月22日 | 古民家

 匂いに敏感?・・・な社会・・・

無臭が良いとされるのか・・・?良い香りが好まれるのか・・・?

芳香剤や柔軟剤・・・消臭剤に除菌剤の種類が半端なく・・・

限られた空間では・・・加齢種や体臭に気を遣う社会になってしまいました・・・。

茅葺の古民家の中・・・囲炉裏で炊かれた煙が、茅に住み着く虫たちを追い払い・・・

・・・煤けた竹や梁、時間と共に変化するその味わいは・・・多くの人に好まれ・・・

古材としても再利用されています・・・。

防虫の効果であったとしても・・・その煤けた匂いは洋服や髪にしみついて・・・

何時までも鼻に残り・・・燻された匂いは、好き嫌いが分かれると思います・・・。

雰囲気が良く・・・落ち着いた空間と安堵を覚える囲炉裏端でのひと時ですが・・・

それで生活するとなれば・・・誰もが少し考えてしまうと思います・・・。

季節感の無い四季の変化・・・変わり行く景色や季節で感じる香りの変化が解りづらくなり・・・

その境もあいまいな環境になって来ました・・・。

乾燥した埃っぽい空気から・・・春の花が運ぶ爽やかな風・・・少しすると、湿った空気が流れ・・・

・・・入道雲がわき立つ青い空の上、ギラリと刺すような太陽と・・・焼けたアスファルトの匂い・・・

朝焼け夕焼け・・・同じ太陽でも、その雰囲気は全く違い・・・

夏と冬でも、その感覚は違います・・・。

寂しすぎる無味無臭の暮らしでは無く・・・いろんな感覚を当たり前のように思いながらも・・・

変化を感じられて、暮らしを豊かに思える・・・そんなところに敏感な自分でありたいと思います。

 

 

 

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