折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

一瞬の夏 By空倶楽部

2023-07-29 | 折にふれて

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで

 

2014年8月 新潟県鯨波海岸を走るトワイライトエクスプレス。


 2014.08.30  18:34  Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (35mm  f/2.8,1/250sec,ISO12800)    

 

来春、北陸新幹線が敦賀まで延伸される。

それによって金沢から敦賀までの所要時間は30分短縮されて46分。

また、敦賀を経由した大阪までの所要時間も同様に30分短縮され2時間となる。

一方で鉄道輸送の高速化と引き換えに失われるものもある。

「サンダーバード」や「しらさぎ」など在来特急が北陸の鉄路から消えるのだ。

それと同じことが今から8年前にも起こっている。

北陸新幹線の開業とともに廃止されたいくつかの特別急行のことで、

その一つが大阪と札幌を結ぶトワイライトエクスプレスだった。

年のせいか滅びゆくものに共感し、廃止までの一年間、トワイライトエクスプレスを各地で追いかけた。

その中で最も印象に残っているのがここ夕暮れの鯨波だったわけで、

この場所こそがトワイライトと名づけられた列車を撮るに相応しい場所に違いないと

トワイライトエクスプレスの最後の夏を待ち構えたのだ。

 

 

実はこの写真を引っ張り出してきたのには訳がある。

その日、日没時間を過ぎてやって来たトワイライトエクスプレス。

徐々にあたりが暗くなるなる中でカメラのISO感度はすでに12800。

当時、常用していたカメラでは限界の感度で、残された写真はノイズがざらつくひどいものだった。

ところがである。最近になって、現像ソフトとして使用しているlightroomにAIによるノイズリダクションが搭載された。

それを試したところ、記憶の風景は鮮明に蘇った。

そして、トワイライトエクスプレスとともに通り過ぎた一瞬の夏を

なつかしく思い出し、この稿に残そうと思ったのである。

 

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梅雨空の黄昏  By空俱楽部

2023-07-19 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


梅雨前線に置いてけぼりにされた雲と出番を伺う夏本番の青い空。

この時期特有の空が黄昏てゆく。


     三国港(福井県坂井市) 2023.07.15 18:36    Sony α7S3   FE24-70㎜/f2.8 GM2 (30㎜  f/8,1/250sec,ISO100)    

 

ところで、黄昏の語源は「誰そ彼(だれそかれ)」

現代語なら「誰だ。彼は?」で、人の識別がつかなくなることが転じて夕方をさす。

もっともこの写真を撮ったのは日没30分前だから

肉眼は釣り人の表情はしっかりと捉えているのだが

明暗差に弱いカメラから「誰そ彼?」というつぶやきが聞こえてきたのだ(嘘です!)

 

 

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エッセル堤という風景 2

2023-07-17 | オトナの遠足

エッセル堤の突端で歩いてきた道を振り返ってみた。

渚からここまでは500m。遠く三国の街並みがまるで海に浮かんでいるようだ。

   

前項でも触れたが。

渚からながめるエッセル堤は海に張り出すアーチ状の構造物だが、

間近にするとその整然とした印象とは裏腹に

ごつごつとした岩が積み上げられていることがわかる。

堤が築かれた明治時代の頃はコンクリートの調達も困難だったはずだから、

おそらくは人力で岩を積み上げたのだろう。その難工事ぶりが窺えるのである。

美しさと無骨さ、そして人々の苦労が産業遺産として評価につながったのかもしれない。

   

あらためて突端から風景を。

   

エッセル堤としては突端だが、実はその先にも突堤が伸びている。

昭和23年。直前の福井地震による被災を修復するとともに新たな突堤が増築されたのだ。

その長さは400mを超えるというから、堤として海にせり出す部分の

総延長は1Kmにも及ぶことになる。

そして、日没が近いにも関わらず、新堤の上ではたくさんの人が釣りを楽しんでいる。

エッセル堤と新堤は、景観としてだけでなく、人気の釣りスポットとしても人々に愛されているのだ。

 

さて、その海の道を歩き終えようという頃、いよいよ陽が傾き始めた。

   

 

残念ながら、水平線上の雲が厚めだったので、

空が真っ赤に焼けることはなかった。

けれども、雲の合間から一瞬漏れた光はあたり一帯の雲を輝かせ

思わず声が漏れるほど印象的な空を演出してくれたのである。

 

 

余談だが...。

知人、友人との連絡手段としてlineを使ってもいるが

自分から発信することは少ない。

ところが、この日に限っては劇的な空の移り変わりを

感動のあまり連続投稿した。

受け取った人たちにとっては

着信音がうるさかっのでは...と所業の大人げなさに赤面した次第だ。

 

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エッセル堤という風景

2023-07-16 | オトナの遠足

一週間居座った梅雨前線が北上し、ようやく晴れ間が現れた週末の午後。

それでもまだ雲は多かったが、撮影に出かけることにした。

劇的な空を撮るならかえって好都合と思ったのだ。

目指したのは三国港。海と空が広く開けた夕陽の名所だ。

金沢からだと車で二時間近くかかるのだが、そんな距離など苦にはならない。

むしろ、今日はどんな夕空が現れるかと、ワクワクしながら車を走らせるのだ。

石川県にも夕陽が美しい海岸はいくつもあるのだが

隣県の海を訪れるのには理由がある。

三国港から大きく張り出す突堤。エッセル堤に魅せられているからだ。

いくら夕陽が美しくても海と空だけでは単調な風景でしかない。

そこに圧倒的な存在感で風景を特別なものとしてくれるのがエッセル堤で

海に伸びるアーチ状の突堤は他にはない海岸線の美しさを形作っているのだ。

さて、いつもなら渚からエッセル堤を主題にした風景を撮るのだが

日没まで少し間があったので堤を歩いてみることにした。

   

エッセル堤は三国港内の土砂堆積を防ぐため

明治18年(1882年)にオランダ人技師エッセルの設計により完成している。

渚からながめる堤は幾何学的な美しさを感じさせてくれるが

間近だと遠目の美しさとは裏腹な無骨さ、荒々しさを実感する。

けれども、そんな堅牢さが150年の長きにわたって三国港を守ってきたのだろう。

   

あらためてエッセル堤の全容。

その姿「天橋立の飛龍」のよう、などと表現すると少し度が過ぎるようだが

人が造ったものでこれほど美しいものはそう類を見ないのではと思っている。

現に土木技術史上の価値が認められ経済産業省の近代産業遺産に指定され

また文化的価値という点では国の重要文化財ともなっている。

 

この稿続く。

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花の名前は知らないが

2023-07-12 | 日常の中に

三国港の夕刻。

何気なく眺めた先に自生する花が気になった。

ふだんなら誰も気にとめないような花だが

暮れてゆく大きな景色を従えるような存在をその花に感じたからだ。


 三国港(福井県坂井市)   2023.06.24  18:58  Sony α7S2   FE24-70㎜/f2.8 GM2 (49㎜  f/.8,1/200sec,ISO100)    

 

「なんという花だろう」と思いつつ、

ふと、花の仕事をしている長男から聞いた話を思い出してもいた。

やたらと花の名前を知りたがる日本人観光客の話だ。

 

パリのとある花屋の店先。

色とりどりの花が歩道にまでこぼれ

街の一角を美しく飾っていた。

たまたま通りかかった日本人の男がその光景に目を奪われ

「この花は何という名前だ。あの花は?」

と矢継ぎ早に店の主人に尋ね始めた。

その刹那、店の主人が男に浴びせた言葉が

「美しいと思ったなら、花の名前などなんだっていいだろう」だった。

 

長男が言うには、花の名前を知りたがる人ほど花の名前を覚えないそうだ。

「そう。花の名前などどうでもいい。」と頬を緩ませながら

日暮れまでのわずかな時間、目の前の光景を楽しむことにしたのである。

 

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風の風景 光の風景 By空倶楽部

2023-07-09 | 風の風景 光の風景

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


空倶楽部、今月のお題は「曇り空」。

それで、日没間近の水平線を厚く覆う雲を撮ろうと目論んだのだが...


  三国港(福井県坂井市)2023.06.24 18:56  Sony α7S3   FE24-70㎜/f2.8 GM2 (45㎜  f/16,1/60sec,ISO250)    

 

一瞬、雲の切れ間から射す光が強烈で、「曇り空」どころではない。

慌てて2枚のハーフフィルターを仕込んだものの

それも役には立たず、空は白トビ。

この写真、お蔵入りの運命だったはずだが、

しげしげと眺めて見ると光に照らされた草がそよいでいる。

目を細めるほどの光の中に風を感じ、

このまましまい込むのも忍びないと思ったのだ。

 

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梅雨空の記憶

2023-07-07 | 空倶楽部

ここ近年の梅雨というと豪雨による災害報道が相次ぐ。

温暖化による地球規模の異変が大きくかかわっているのだろう。

災害を引き起こさないまでも、梅雨というとじめじめとしたネガティブな印象が定説だ。

しかし一方で、長雨の季節も四季の移り変わりのひとつ。

「そこには情緒もあるはずだ」と、「お蔵」の中から探し出したのがこの写真。


   市振駅(新潟県糸魚川市)2016.07.09 15:16 Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (24mm f/8,1/800sec,ISO100)    

 

もう7年も前のことになるが、この空のことはよく覚えている。

梅雨空をおして遠出の撮影に出かけた帰り道で

天候の回復とともに雲の合間から青空がのぞき始めた。

見る見るうちに雨雲を蹴散らすように広がり始める青空。

その澄んだ空に目を奪われたのである。

 

 

 

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