折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

能登はやさしや... By空倶楽部

2020-09-29 | がんばれ能登

9月の4連休、久しぶりに奥能登へ出かけた。

日本海に「馬の頭」のように大きく突き出ている半島が能登で

「馬」の喉元からうなじにかけてを口能登と呼び、

喉から口にあたるところが中能登、

そして、頭から鼻先にかけてが奥能登にあたる。

中能登までは仕事で頻繁に出かけている。

片道100キロの道のりだが、

最近無料化された自動車専用道路を使えば1時間程度の移動で済む。

ところが奥能登となるとそうはいかない。

複雑な海岸線に沿った道は曲がりくねって長い。

また、一見ショートカットのように思える列島を横切る道は

狭くてアップダウンも激しい。

極端な話。関西へ向かうほど距離があるし

また、また行先によっては関西以上に

移動時間もかかったりするのだ。

それでも、奥能登にはその移動の苦労を差し引いても余りある魅力がある。

「能登はやさしや土までも」

能登を紹介する際によく使われる言葉だ。

いろいろと解釈はあるのだろうが

能登の風土、そして人のこころを表すにぴったりの言葉と思う。

話が長くなったが能登で出会った風景。

能登 見附島 2020.09.21  14:29 Sony α7R3  FE2.8 16-35 GM (20㎜ ,f/8,1/200sec,ISO100) 

 

能登は空も海もやさしかった。

 


「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで

 

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躍動する花

2020-09-27 | 花歳時記

花をアップで撮ることのなんと難しいことか。

 

石川県加賀市 狐山古墳 2020.09.27  09:53  Sony α7S2  Distagon  F2/24mm (F/2 , 1/400sec , ISO100) 

 

二日がかりで撮った成果がこの写真だが

どこをどう撮ったのか...実は、当の本人もよく覚えていない。

一日目。

もともと撮影意図もなく、なんとなく花に向かったが

案の定、しっくりとこない。

それで...

花そのものを「日の丸」で撮るのはよそう。

色飽和が起きないよう、どちらかというと暗め、

偏光フィルターを使って、さらにコントラストを控えめに...

などと思案した翌日のこと。

夜来の雨も上がって、絶好の花日和だ。

勇んで出かけ、いろいろと試しながら花と格闘すること30分。

期待を胸に自宅に戻るとすぐに

撮影データをパソコンに取り込んだのだが...

やはり、しっくりとこない。

「花は向いていない」と、

データをすべてお蔵入りにしようとしたところ

「はて?!」とこの写真に目が止まった。

撮った覚えがないのだ。

おそらくは露出を確かめるために

テストで撮ったものだと思う。

そもそも弾みで撮ったものだから、

表現したかった被写界などあろうはずもない。

したがってピントもあいまい。

けれども、他の写真にない躍動感を感じたのがこの一枚だったのだ。

(もともと躍動感も意図していなかったのだが...)

 

そうそう!

原型をとどめていないがれっきとした彼岸花です。

 

 

 

 

 

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星はすばる

2020-09-22 | 星空の誘惑

「星がきれい...」

かのんの散歩から戻った家内が言う。

住宅街の中では家の明かりや街灯で

満足に星空は見えない。

それでも、その夜はよほど空が澄んでいるのか、

家内の言葉が気になって外に出てみることにした。

日付が変わるころ、なるべく光が少ない場所から

東の空を窺うと、暗い空にかすかに密集した星が見える。

「すばる」だ。

「すばる」...なんとも不思議な語感だがれっきとした日本語、いや「やまとことば」だ。

清少納言が枕草子で

星は、すばる。彦星。夕づつ。「星と言えばすばる。彦星(アルタイル:わし座のα星)、宵の明星(金星)もいい。」

と綴っていることは有名。

語源は「統ばる(すばる)」でまとまっていること、

すなわち小さな星が集団をなしていることから

そう名付けられたようだ。

 

また、「すばる」はカタカナ名では「プレアデス星団」といい、

ギリシア神話に由来する。

月の女神アルテミスに使えたプレアデス7人姉妹のことで

肉眼で見える主要な星には7人の名前がそれぞれ付けられている。

神話では7人の姉妹はオリオンに追いかけられる役回り。

それで、冬になると

「すばる」の後を追いかけてオリオン座も東の空に現れる。

 

さらにもうひとつ、「すばる」には名前がある。

名前というか「M45」という記号がそれだ。

18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエによるもので

メシエは星雲や星団、銀河を分類して(『メシエカタログ』という)

それぞれに自身の頭文字「M」で始まる記号をつけた。

その45番目が「すばる」というわけだ。

ちなみに「M1」は「すばる」同様、おうし座にある「カニ星雲」と呼ばれる天体だ。

天体といっても星ではない。

千年前に超新星爆発により生まれた星の残骸、それが星雲状に見える。

実はこの話は有名で、当時の中国や日本でもいくつかの文献に

突如、金星のように明るい星が現れたと記されてあるようだ。

残念ながら今ではその輝きを失い、肉眼で「M1」を探すことは難しい。

次いで...を続けると、

誰もが知っている銀河の代表格アンドロメダ星雲は「M31」。

さらに、ウルトラマンの生まれ故郷は「M78」星雲である。

話が怪しくなってきたが、「M78」は実在する。

ウルトラマンの話はともかくオリオン座の三ツ星の近くにあるのだ。

 

さて、ひさしぶりに(...というか何十年ぶりに)

「すばる」を間近に眺めた感動から

昔覚えたウンチクを思いつくままに書き連ねた。

けれども、その感動とは裏腹に自分が持つカメラ機材では

くだんの写真が限界とも思い知らされた。

いよいよ空が澄み渡り、役者揃いの冬の星座が天にかかる。

それを前にカメラ散財の悩ましさは募るばかりだ。

 

 

 

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The Doc Of The Bay

2020-09-20 | 抒情的金沢

 

引き続き金沢港の話。

 

金沢港は外海から深い入江となっており

そこに二つのふ頭が設けられている。

金沢港クルーズターミナルのある無量寺(むりょうじ)埠頭、

そして、主に貨物コンテナの積み下ろしを行う戸水(とみず)埠頭だ。

人工的に陸地を掘り進めたもので

開港以来今年でちょうど50年となる。

昭和38年の豪雪、いわゆる三八(さんぱち)豪雪で

燃料や生活必需品の陸上輸送が寸断され

県民の生活がパニック状態に陥った。

その教訓から海上輸送整備が喫緊の課題となり、

当時、無量寺地区などの外海に近い水田を掘って

港とする計画が推進されたとある。

開港は昭和45年。

三八豪雪からわずか7年、

計画が持ち上がってのことだから驚異的な速さと言える。

 

さて...

     金沢市大野 2020.09.12  05.50pm   Sony α7R3  FE2.8 16-35 GM (35㎜ ,f/5.6,1/100sec,ISO100) 

 

ここは外海からふ頭へと続く水路。

石油基地のある対岸が間近に見えるが

それでも、3万トン級の大型クルーズ船が

悠々と航行できるほどの水路幅と水深が確保されている。

 

金沢市民にとっては身近なところで

いつも散歩や釣りを楽しむ人で賑わっている。

けれども、かつてここが陸地で

水田が広がっていたことを知る人は少ない。

私にしてもそう。

おそらくは県を挙げての一大プロジェクト。

それこそ鳴り物入りの開港だったと思うが

その記憶はほとんどない。

 

人から聞いた「歴史」をあらためて調べてみようと思いつつ

穏やかに暮れる金沢港の空を眺めていたのだが

その時、この曲の淡々とした曲調と歌詞を思い浮かべてもいた。

 

”Sitting On The Dock Of The Bay”   Otis Redding 


Sittin' in the mornin' sun             朝日の中で佇み

I'll be sittin' when the evenin' come       日が暮れるまで

Watching the ships roll in           船の往来を眺めているだろう

And then I watch 'em roll away again, yeah   そして、船が遠ざかるまで佇み続けることだろう
 
I'm sittin' on the dock of the bay        埠頭に佇み

Watching the tide roll away          潮の流れを眺めている

Ooo, I'm just sittin' on the dock of the bay    そうさ、埠頭に佇むのさ

Wastin' time                 時の過ぎゆくままに
 

 
 

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金沢港クルーズターミナル

2020-09-13 | 抒情的金沢

金沢には三つの「玄関口」がある。

ひとつは鉄道の玄関口であるJR金沢駅。

ふたつ目は小松空港。

そして海の玄関口としての金沢港だ。

その金沢港に「顔」とも言える施設がオープンした。

『金沢港クルーズターミナル』である。

 

 石川県金沢港無量寺ふ頭 2020.09.12  07:05pm  SONY α7S2  F2.8G/70-200㎜ (135mm  f/8,1.3sec , ISO1000)

 

北陸新幹線の開業以来、観光地としての金沢が脚光を浴び

国内だけではなく海外からの観光客も増えた。

その動きに呼応するように増加したのが豪華クルーズ船の来航で

昨年は50隻を超える船が金沢港に着岸、

中には乗客定員が3000人を超える大型船も含まれていたそうだ。

そうなると、増える外国人観光客の税関手続きや入出国検査、

検疫などを円滑に進めることが重要になってくる。

さらに、玄関口の「賑わい創出」も合わせた役割として

鳴り物入りで計画されたのが「金沢港クルーズターミナル」だった。

 

しかし、残念なことに...

今年はコロナ禍でクルーズ船寄港のほとんどが中止されていて、

本来の機能は満足に発揮されていない。

充分に確保された駐車場も閑散とした状態で

痛ましさすら感じていたが

数日前、日没後に前を通り過ぎようとしたところ

ライトアップにより暗がりの中に浮き上がった

建物の存在感が強い印象として残った。

その時に海越しに建物を捉えられる場所に目星をつけ

週末を待って、やって来たという次第だ。

 

クルーズターミナル前には二隻のクルーズ船が着岸できるそうだ。

その賑やかな風景をファインダー越しに想像しつつ

この光景に見入っていたのだが

その時、デッキを行き交う人影の多さに

こんなことを思ったりもしていた。

金沢港の風景設計はまだ始まったばかり。

この建物が金沢の観光名所のひとつとして広く紹介されることで

さらに周辺も巻き込んだ風景整備に波及し

横浜や神戸とまでは言わないまでも

日本海側を代表する美しい港になって欲しいものだ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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日常の中の秋  By空倶楽部

2020-09-09 | 日常の中に

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


毎朝30分ほど自宅付近を散歩する。

健康の為、と春先から始めたことだが

三日坊主の自分には珍しく

よほどの雨でも降らない限り続いている。

いくつかコースがあって

梅雨が明けたころからは

川沿いの道を歩くことが多くなった。

熱帯夜が続く中、

川面を渡る心地よい風と

耳にやさしい水音が

多少とは言え涼を感じさせてくれるからだ。

 

そんなある朝。

川沿いに植えられた桜並木の変化に気づいた。

葉先の色が変わり始めているのだ。

 

 

相次いだ台風が持ちこんだ南風のせいで

35℃を超える日々が続いていたのだが

そんな猛暑の中でも秋は確実に深まっていたようだ。

その秋を見逃すものか、と待ちに待った週末、

カメラを持って散歩に出ることにした。

 

さて、川沿いを歩いた後、

さらに好んで歩く道がある。

金沢工業大学の構内を抜ける道だ。

そこは大学構内の一部が共用道路として整備されている。

緑をふんだんに取り入れたプライベート・スペースと

パブリック・スペースが巧みに交差する風景設計は

都会的で瀟洒な街並みを感じさせてくれる。

 

さらに特徴的な建造物や随所に施されたインスタレーションなど

文化的な刺激が寝起きではっきりしない意識を覚醒させてもくれる。

 

そして、ここにも...

まだ夏の緑が色濃く残る植栽の中にも

秋の気配が忍び寄っているようだ。

 

ところで空倶楽部。

今月のお題は『映り込みの空』

せき止められた川面が鏡のように朝の空を映しこんでいた。

極々、日常の風景でしかないが

それでも、その色になにがしか秋の気配を

感じていただけたなら幸いだ。

 


秋と言えばこの人。

 
  Art Garfunkel - Miss You Nights

夏バテぎみの体、そして心を

やさしい歌声が包んでくれる。

 

 

 

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出航 秋空に向けて

2020-09-06 | 日常の中に

 

秋空が広がる早朝の港。

 

 2020.09.05  福井県三国港 07:10am  Sony α7s2  FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/5.6,1/500sec,ISO100) 

 

明らかに変わった空気の中、港の風景を楽しんでいると

どこからか、ガラガラと大きな音がする。

その方向を見ると・・・

桟橋に横づけにされた漁船の頭上に渡されたレールの上を

一辺が1mもあるような巨大な氷が登って行く。

その氷がレールの先の砕氷機で一瞬にして砕かれ

ホースで船の中へと吸い込まれていく。

そうか、氷が砕かれる音だったか。

やがて、静けさが戻った港から次々と船が出ていく。

どこまでも青く澄んだ秋空の中、その光景が印象に残った。


 
 Steve Winwood.  While you see a chance 

 空に届けとばかりに突き抜けるハイトーン・ボイス。

 秋空を眺めると思い出す一曲だ。

 

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星空の誘惑

2020-09-01 | 星空の誘惑

越前岬からの話題が続く。

 

10日前にここで会ったカメラマンから聞いた話だが...

越前岬の灯台の明かりはぐるっと岬の斜面も照らすそうだ。

灯台が立つ場所は標高にして120mほど。

一方で私とそのカメラマンが立っていた場所は150mを超える。

その高低差ゆえに灯台の明かりは足元の斜面を回りながら照らし

遊歩道や草むらが「走馬灯」のように浮かぶのだ、と。

ところがその時は興味を持ちながらも

帰りを急ぐあまりそのまま立ち去ってしまった。

その後、時間がたつほどにその幻想的な光景が気になってしようがない。

さらにもうひとつ。

これだけ開けた空ならきっと夜空も期待できるはずだから

灯台の明かりと夜空はどんな風景を作り出すのだろうか...と

興味が尽きないのだ。

それで、待ちに待った一週間後。

現地の好天を確かめた上で

迷うことなくロケハンに出かけたという次第だ。

 

   福井県越前岬 2020.08.29  07:24pm  Sony α7S2  FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/2.8,0.6sec,ISO3200) 

 

陽が落ちて一時間後。

灯台が岬の斜面を照らし始めると

薄明かりの空にはひとつふたつと星がきらめきだす。

方位はほぼ西。

知っている星座は...と目を凝らすと

今にも水がこぼれそうな大きなひしゃくが見えた。

北斗七星だ。

 

子供の頃、星を眺めるのが好きだった。

父に買ってもらった天体望遠鏡とペンタックスで

夜空を撮り、そのネガは父が現像してくれた。

それが高じてカメラ、写真好きとなったのだが

思えばその頃以来の星空撮影だった。

当時覚えた星座や星の名前はほとんど忘れてしまっているが

図鑑を頼りにその日の写真に備忘として星座を書き込んでみた。

 

  福井県越前岬 2020.08.29  07:48pm  Sony α7S2  FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/5.6,8sec,ISO3200) 

 

暗い星座が多い中、

目立つ星と言えば北斗七星と

「うしかい座」のアルクトゥルスくらいだったが

偶然写りこんだ流れ星が地味な星空に

少しばかりの花を添えてくれた。

後で調べてみたのだが...。

秋が深まった深夜、銀河が西の空にかかり

「白鳥座」や「わし座」といったよく知られた星座が現れるようだ。

 

家から100キロ、二時間半の道のりは遠いが、

子供の頃、夢中になった夜空を

もう一度に眺めてみたいという気持ちは

その道のりを何とも思わないほど強くなっている。

「この年になって」と、自分ながらおかしくもあるが

それほど星空の誘惑は断ち切り難いのだ。

 

 

 

 

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