折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

風を見た日 By空倶楽部

2018-10-29 | 風の風景 光の風景

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


風が見える...など、あるはずもない話だが。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/5.6 , 1/200sec , ISO100) 

 

台風が北陸を駆け抜けた日。

夕方の海に出てみたところ、

強風に煽られた波が次々と渚に押し寄せていた。

その激しさのあまりだろうか、

打ち砕かれた波の飛沫が霧のように舞い上がり、

あたり一面に漂っている。

そして、その飛沫をまた、強風が煽る。

風が見えた...

その風景を眺めながら、ふと、そう感じたのだ。



Crosby, Stills & Nash - Helplessly Hoping  

 

Comments (18)

Monte Bianco

2018-10-26 | 舌づつみ

和食、そして和菓子ばかりが金沢の食文化でもないぞ...という話。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/1.7 , 1/60sec , ISO320)

 

金沢の、とあるイタリア料理店で食事の後に供されたのがこのデザート。

そこは店名に「Taverna(タヴェルナ)」という「業態」(?)をつけているが、

それは、日本でいうところの「大衆食堂」を指すのだとか。

ついでの話だが、イタリアの飲食店を大きく分類すると、

高級な順に、レストランを意味する「リストランテ」、

続いて「トラットリア」、そして「バール」と「タヴェルナ」となるらしい。

ある食通に言わせると、この店のオーナー兼シェフの料理に対するこだわりは相当なもので、

その腕前は「リストランテ」のシェフと比べても遜色がないのだという。

そう聞けば、アラカルトで注文した料理はどれもリーズナブルの上にこよなく美味しかった。

それで、「なるほど、さすが!」とうなづいた次第でもある。(取ってつけたようであるが・・・)

 

話を戻すが...。

このデザート、フランス語で言うならモンブラン。

ご存知、ヨーロッパを代表する高峰の名を冠した洋菓子。

そして、この山をイタリアから眺めると「モンテ・ビアンコ」となる。

秋はこのデザートの旬、ゴロゴロとした甘い栗を頬張りながら

食後酒の「グラッパ」をチビリと...。

これを飲んだら、「明日が無くなる」との教訓もむなしく、甘く快楽の夜は更けていった。


 

さて、ちょうどその頃、店内に流れていたのが「帰れ、ソレントへ」。

さすがはイタリア民謡を代表する曲、

youtubedeで検索すると数々の楽曲がヒットする。

その中で、パバロッティやボチェッリなど名うてのテノールを聴き比べてみたのだが...。 


Enrico Caruso - Torna a Surriento 

このときの雰囲気にもっとも近いのがこの楽曲ではないかと思った。

これまで、名前だけは知っていたが、

伝説のテノール歌手、カルーソーによる「帰れ、ソレントへ」を。

モンテ・ビアンコの風格とグラッパの「妖しい誘惑」を感じていただけたなら幸い。

 

Comments (7)

沸騰する海

2018-10-20 | 日常の中に


Sony α99  Planar 50㎜ (f/3.2 , 1/1600sec , ISO100)

 

台風が過ぎた後、空は異様なほどドラマチックな表情を見せることがあって、

台風が足早に日本海を駆け抜けた日の午後、その空を期待していつもの渚へ出てみることにした。

ところが、その日は急速に天候が回復したせいか、

空は一面に晴れわたり、ドラマチック表情とはならなかった。

しかし、空が穏やかさを取り戻したその一方で、

台風が運んできたうねりが激しい波となって渚に押し寄せている。

砕けた波が霧のようにあたり一面に漂って、

近寄ることさえためらうような荒々しさは、まるで、海が沸騰しているよう。

穏やかな青空とは対照的なそんな光景に目を奪われた次第だ。


「沸騰」しているといえば、このひとの音楽を思い出す。 

ボスこと、ブルース・スプリングスティーンの代表作。

「明日なき暴走」 


Bruce Springsteen - Born to Run

Comments (16)

Brothers & Sisters 

2018-10-15 | 愛犬生活

兄弟、姉妹みんなが...というわけでもなかったが、ともあれ大集合。

 

とある休日の早朝。

「オフ会があるから...」と、家内にたたき起こされ、向かった先が琵琶湖のほとりにあるドッグラン。

「かのん」が生まれたのは岩手県にあるミディアム・プードル専門の犬舎だったが、

その犬舎から全国に巣立った犬たちの里親同士がSNSで繋がっていて、

その日は、関西と中京から、かのんの兄弟姉妹が集まるのだという。

それで、運転手兼カメラマンとして駆り出されて、冒頭の記念写真を担当することになった、という次第である。

 

以下、家内による家族紹介。

かのんと長兄。 

この長兄、SNS上では頼りになる凛々しい存在だったが、案外、甘えん坊でマザコンだったとのこと。

 

その長兄、かのん、かのんのすぐ下の妹。

妹はかのんよりひとまわり小さく、京都で育っただけあって「はんなり」しているのだとか。

 

腹違いの弟たち...とのことだったが。

確かに、父親が同じだから「弟」ではあるが、

ペット市場においては単に「繁殖」の結果、つまりは「同じ血統」というだけのことではないか。

(家内の興奮に水を注すようであるが...)

 

ということで初対面にもかかわらず、里親たちは大いに盛り上がっていて、

「かのんも楽しそうだ!」と喜ぶ家内だったが...。

当のかのん。

兄や妹、そして弟たちと感激(?)の出会いを果たしたことにはなるが、

ほんとうのところは、いったい、どう思っていたのだろう。

  「こんな遠くまでどうしてやってきたのだろう?」

  「それにしても、似たようなやつがたくさんいるな・・・」

私には、せいぜいでその程度の「感想」だったようにしか思えないのだが。

(これまた、水を注すようだが...)

 

 

さて、距離を置いた目で、意地の悪いことばかり綴ったが...。

ほんとうのところでは、私自身もこの休日を存分に楽しんだ。

駆け回る犬たちを目を細めて見つめる里親たち。

さらには、ランチを挟んでの犬談義。

初対面の人たちが、会った瞬間から、

まるで旧知の仲のように、打ち解けることができたのは、

「SNS」による交流があったからこそだろう。

けれども、無邪気とも言える時間を共に過ごしながら、ふと思ったことがある。

SNSの力も確かにあるが、それよりも...。

それぞれの里親たちが犬たちを家族の一員として大切にしていること、

そのことのほうがもっと大きいのだろう、と。


 

その帰り道。

秋晴れの中、少し傾いた陽が照らす琵琶湖を眺めながらのドライブ。

車の中では、こんな音楽が軽快に流れていた。


The Allman Brothers Band - Ramblin' Man

 

 

 

 

 

Comments (10)

明日香、秋日和

2018-10-13 | 大和路点描

彼岸を挟んだ秋晴れの日、のんびりと飛鳥寺周辺の散策を楽しむことにした。

秋の明日香は昨年以来、二度目となる。

昨年は、いわゆる観光スポットを中心に、広範囲に動いたが、

多少、勝手もわかって来たので、

今回は、何かを見てやろうということではなく、

明日香らしい時間と情景に浸ってみたいと思ったのだ。


 Sony α99  Planar 50㎜ (f/8 , 1/320sec , ISO100) 


いたるころに刈り入れ間近の稲穂が実り、また、畦道には彼岸花が咲き誇っている。

青い空を背景に、目の前には一面緑の稲田、さらに赤い彼岸花のリズミカルなアクセント。

「その中に身を置いてみたい」、誰もが、そう羨む明日香の秋の風景が広がっていた。

 

                                         
                                             Sony α99  Planar 50㎜ (f/1.7 , 1/3200sec , ISO100) 

                                    
                      9月終盤とは言え、まだまだ汗ばむような陽気。

                      また、その週は気ぜわしいことが多く、多少の疲れも残っていたのだが、

                      目にやさしい風景は、その陽気を和らげてくれて、

                      さらに、充分に爽快な気分にもさせてくれた。

 

 

                さて...。

                明日香を訪れたことがある人なら誰もが知っている風景だと思うが...。

                
                         Sony α99  Planar 50㎜ (f/3.2 , 1/1250sec , ISO100) 

          
                秋の草花越しに、なにげなく佇む石碑。

                蘇我入鹿の首塚で、さらに背後に広がるのは甘樫の丘である。  

         

                つまりここは、日本古代史にある「大化の改新」の舞台。

                中大兄皇子(後の天智天皇)、藤原鎌足(中臣鎌子)らによって

                蘇我入鹿が誅殺された、いわゆるクーデターと習ったが、

                最近では、「大化の改新」はクーデター後の治世を指し、

                事件そのものは「乙巳(いっし)の変」と教えているらしい。

                その惨劇があった飛鳥板蓋宮(いたぶきのみや)と伝えられる史跡も

                ここからは目と鼻の先。

                さらに、甘樫の丘は蘇我氏の邸宅があった場所で、

                事件の翌日、入鹿の父の蝦夷は邸宅に火を放ち、自決したと伝えられる。

                その後、天智天皇による専制政治が始まり、

                その子と弟、大友皇子と大海人皇子(後の天武天皇)による権力闘争、

                いわゆる壬申の乱を経て、日本は天皇による中央集権国家へと変遷する。

                いわば、この場所から歴史の激しい動きが始まっていくのだが、

                この長閑な風景を眺めていると、感覚と記憶のギャップというか、

                どこか不思議な思いが行き来するのだ。                         

 

             最後に、飛鳥寺の裏手で出会った華やかな秋の風景を。

             ただし、花オンチ。花の名前は知らない。

                        
                           Sony α99  Planar 50㎜ (f/2.8 , 1/3200sec , ISO100) 

             

             


 

ジョン・デンバーの伸びやかな歌声。

邦題は「緑の風のアニー」。

秋の明日香の風に吹かれながら、この曲を思い出していた。 


 John Denver - Annie's Song  

 

Comments (8)

仏塔のある空 By空倶楽部

2018-10-09 | 大和路点描

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


奈良からの空倶楽部が続く。

 

再建された中金堂の落慶法要と一般公開を間近に控えた興福寺。

「あいかわらず間が悪い」と完成したばかりの中金堂をうらめしく眺めた後、

振り向いて見上げると、さわやかな秋空に五重塔が映えていた。 

 

その姿、個人的にはどの寺の仏塔よりも勇壮との印象をもっている。

さらに今回、その隅々まで目を凝らして眺めてみたところ、

各階の木組み、やわらかく湾曲した屋根、整然と積み重ねられた瓦、

そして、九輪や水煙の精巧なつくりなど、

その勇壮さの中に、しなやかで洗練された美しさがあることに気づいた。

圧倒的な存在感はもちろんのことだが、

この繊細な造形美こそ、国宝の国宝たる由縁と、あらためて感動した次第だ。

 

ところで。

空倶楽部の今月のお題は「鉄塔と空」。

鉄塔ならぬ仏塔でお題クリアとはならなかった。

鉄塔写真を撮らなかったわけではなかったが、

何せ難題、いずれの出来も秋空に映える五重塔の印象には及ばなかった次第だ。

 



土岐麻子 - Another Star

スティービー・ワンダーのオリジナルは

叩きつけるようなラテンのリズムが体を揺さぶるノリの良い曲。

一方で、こちらのアレンジは土岐麻子の愛らしい声をフィーチャーしたしっとりとしたジャズバージョン。

さわやかな秋空を眺めていたら、ふとこのバージョンが持つ浮遊感を思い出した。

Comments (16)

コスモス寺から

2018-10-04 | 大和路点描

前回に引き続き、奈良の般若寺から。

もう何度も奈良を訪れていて、

折々の様子を、当ブログでも「大和路点描」と題したカテゴリーで紹介している。

それにもかかわらず、実は般若寺を訪れるのは初めて。

「まずはコスモスの時期に...」との思いが強かったせいか、

その時期にタイミングが合わず、通りの案内標識が気になりながらも、

これまでは素通りとなっていた。

そして今回ようやく、折しも秋晴れの朝という絶好の機会に訪れることができた。

そこには満開のコスモスが咲き誇って...

いたはずだったが。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/5.6 , 1/500sec , ISO100) 

実は、前回の記事でも、その間抜けな所業に触れていたのだけれども...、

訪れた時期が早すぎた。

さらには長雨の影響もあって、まだちらほら咲きの状態。

 

残念といえば残念なのだが。

それでも...。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/2 , 1/2500sec , ISO100)

境内一面、腰の高さほどに生茂るコスモスの葉の鮮やかな緑を背景や前ボケに使えば、

それはそれで、建造物や石仏などの被写体がなんとなく引き立つのでは...。

そう気を摂りなおして、境内のあちこちを歩いてみることにした。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/2 , 1/3200sec , ISO100)

 

しかし、そう自分に言い聞かせたものの、

般若寺の別名は「コスモス寺」、それに、花がまったく咲いていないわけでもない。

せめて、多少の花でも、この時期に訪れたという痕跡を残せないものか。

そう、足掻いた結果が...。

       
              Sony α99  Planar 50㎜ (f/3.5 , 1/1600sec , ISO100)

       やっぱり、わざとらしい出来である(苦笑)

 

そんなこんなで悪戦苦闘(?)した般若寺顛末、やはり国宝の楼門は外せない。

ところが...。

鎌倉時代に建てられただけあって、楼門そのものは格調高いものだったが、

周囲に現代風の住宅が立て込んでいて、どこから眺めても楼門と街並みがうまく調和してくれない。

それで、苦肉の策。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/4.5 , 1/800sec , ISO100)


コスモス主題のカットとなった次第だが、これもやっぱり「わざとらしい」感が否めない。

それどころか、せっかくの国宝をぼかして背景にしたこと、

般若寺縁の方にすればヒンシュクだったかもしれない。

 

ふと...。

楼門近く、足元を見ると、ほんの小さな石塔が立っていて、平重衡の供養塔と記されていた。

平重衡といえば南都焼き討ちの大罪人。

その重衡の供養塔がなぜここに?

供養塔の謂れによると。

京から進軍した重衡方の兵が、ここ般若寺で放った火が瞬く間に広がり、南都のほぼ全域を焼き尽くしたとある。

東大寺や興福寺も焼け落ちているが、般若寺からは3,4キロもあるはずだから、

その業火のすさまじさを窺い知ることができるというもの。

一の谷の合戦後、源氏に捕縛された重衡は木津川の河原で斬首され、首は般若寺の門前に晒されたとある。

それ以上のことは記されていないが、

重衡による「穢れ」 や「たたり」を恐れた誰かがこの供養塔を建てたのかもしれない。

 

さて、「コスモス寺から」などとずいぶんと思わせぶりなタイトルをつけながら、 

その実、なんとも中途半端な見聞録となったが、 

般若寺のホームページで拝見するに、コスモスが咲き誇る境内の華やかさは圧巻。

興味を持たれた方はぜひご来訪の上、ご堪能あれ。


澄んだ秋空にどこからともなく吹いてくる心地よい風。

可憐なコスモスの花がその風に飛ばされまいとふんばっている。

そんな風景を眺めながら、ふと聴きたくなったのが、

ダイアナ・ロスのやさしくも力強い歌声。

 

 「恋のプレリュード」  Diana Ross - When You Tell Me That You Love Me

Comments (6)