折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

あめりか楓通りから  金沢広坂

2017-10-31 | 抒情的金沢

金沢の中心部、広坂のアメリカ楓が色づいている。

旧県庁のしいのき迎賓館と四校記念館 の間を抜ける小路の街路樹で、

毎年この時期になると、秋の深まりを告げてくれる。

それでいつからか、この通りも「アメリカ楓通り」と呼ばれるようになったが、

実は「アメリカ楓」そのものも通称らしく、学名としては「モミジバフウ」というらしい。

「モミジ」はともかく「バフウ」とはなんだ?

情緒のカケラも感じない語感になってしまっているが、

「紅葉葉楓」をカタカナ読みしたものと知れば頷けないこともない。

 

さて、そんな広坂界隈で見かけた光景を点描。

すこしでも深まりゆく金沢の秋を感じていただけたなら幸いだ。

 

ところで...先のカタカナ表示と情緒のこと。

国名だから「アメリカ楓」が正しく、それにならって「アメリカ楓通り」としたのだろうが、

兼六園や金沢城に近い広坂の地にあってはどうもカタカナ語感はしっくりこない。

それでタイトルでは「あめりか楓通り」としたのだが...いかがだろう。

ひらがなにするだけで、より金沢らしい情緒を醸しだすと勝手に名づけたのだが、

ぜひ関係部署のご意見も伺ってみたいものだ。


なんとなく深まった秋を思わせる曲。

ラヴァーズ・コンチェルト  サラ・ボーン

sarah vaughan - A Lover's concerto  

 

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黄昏の帰り道  By空倶楽部

2017-10-29 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


子供の頃から道くさ癖があり、時には度が過ぎて親を困らせてもいたようだ。

その癖は今なお続いていて、最近のもっぱらの興味は「空」。

ことさら印象的な夕空に出会うとついつい足をとめて見入ってしまう。

こんなことを書いては何だが...仕事先からの帰り道のこと。

この秋にしてはめずらしく朝から快晴で、しかも青空は夕刻まで広がっっていた。

そしてその時間、

紗のような雲が沈もうとする夕陽にかかり、

透けた光が大きな青空を染めはじめたところだった。

ここは北陸自動車道、徳光パーキングエリア。

上り下りそれぞれの施設をつなぐ跨線橋からながめたそのときの夕空。

実は、自分にとっての空撮りベースのひとつでもある。

ただし、この道草、もちろん会社には内緒。


秋の夜長に、しみじみと聴いていたい ベス・ハートのスローな楽曲。

Beth & Joe - I'd Rather Go Blind - Live in Amsterdam

おそらくは、コンサートの終盤か、

あるいは激しい曲が続いたあとに歌われるバラードだと思うが、

ベスの説得力のあるボーカルもさることながら、

この曲を盛り上げているジョー・ボナマッサのギターソロに圧倒された。

 

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彼岸 大和路 空点描 By空倶楽部

2017-10-19 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


彼岸の大和路、最後の記事は斑鳩。

すっかり秋めいた空を聖徳太子ゆかりの寺とともに点描。

 

法輪寺

 

法起寺


この時期の空を眺めていると北山修の歌詞が胸に沁みる。

「青空が変わった... 」

花のように - ベッツィ&クリス

 

 

 

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そば切り百夜月 「奈良は蕎麦もうまかった」という話

2017-10-17 | 大和路点描

奈良は蕎麦もうまかった。

...ということでもう少し奈良の話が続く。

その店は近鉄奈良駅前、通り向かいの路地をすこし入ったところにあり、

「そば切り 百夜月」という。

大きなガラス張り、オープンな雰囲気で一見カフェと見間違うかのような外観。(撮り忘れた...(._.))

以前昼時に来た時は混みあっていたが、

今回は夕方早い時間ということで幸いに空いていた。

4人掛けのテーブル席もいくつかあって、「どこでも」とすすめられたが、

店の真ん中にどっかと置かれ、ひときわ存在感のある合席用の大きな木のテーブルに座った。

すると...

すぐに目に入ったのがさりげなく置かれたほおずき。

なんと、あいそらしい (「あいそらしい」は金沢弁か・・・(._.) 要するにかわいらしくてやさしい心遣いということ)

さらに...

花の名前は知らないが、この季節の色どり。

蕎麦の味だけではなく、もてなしの心も大切にしているのだろう。

店主のそんな気持ちがじゅうぶんに伝わってくる。

ところで。

美味しい蕎麦にめぐり会ったとき、自分の中に「決まり」があって、

それは、蕎麦とともに清酒を注文すること。

つまり美味しい蕎麦は極上の「あて」と信じて疑わないからである。

いくつかある品書きから、この日注文したのは奈良の地酒「やたがらす」。

それが、一合はゆうに超えるほど、かたくちになみなみと注がれて出てきた。

石川県のさらっとした辛口に舌がなれているので、

コクとほんのりとした甘味を感じる味は新鮮で、

蕎麦との相性も抜群だった。(おまけされたので言うわけではないが... (._.) )

蕎麦は十割と二八があるそうだが、「あて」にするなら二八がちょうどよい。

つゆにくぐらせた蕎麦を口に運び、その味を忘れないうちに、

コクのある「やたがらす」をのどに流し込む。

そして、しばらく箸をとめて、店内に流れるスムージーなジャズに耳を傾ける。

薄明かりが残る黄昏時、そんな極上の時間をここ「百夜月」は過ごさせてくれた。


百夜月と奈良の夜を思い出しながら勝手に選曲。

「Quetion & Answer」

もともとはジャズギタリストのパット・メセニーの名曲だが、

そこにビブラフォン:ゲイリー・バートン、ピアノ:チック・コリアなどが加わった

豪華プレーヤーによる「クエスチョン&アンサー」。

 

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明日香 甘樫の丘から

2017-10-14 | 大和路点描

ふたたび明日香の話題。

その日は、刈入間近で金色に輝く一面の稲穂に、

ところどころ畔道に咲く彼岸花の赤色が映えて、

しかもどこからか金木犀の甘い香りが漂ってくるという、

自分にとってこれ以上望むべきものがない明日香の秋だった。

そして、明日香に来る前から決めていたことだったが、

さらにその秋を楽しみたくて、明日香を一望できる甘樫の丘に登ってみることにした。

丘といっても周囲数キロ、小山のような台地、

かつて、そこには蘇我一族の邸宅があったと伝えられているが、

今はこんもりとした木立で丘全体が覆われてしまっている。

整備された遊歩道を登っていくと、一部木立を切りひらいたところに展望台が設けられており、

そこからは明日香の北方を中心に東から西にかけての光景をぐるっと見渡すことができる。

 

その東にあたる眺望がこの写真。

集落の中心からやや右に寄ったところに飛鳥寺の本堂や鐘楼を眺めることができる。

何度も同じことを言うようだが...

このあたりがかつての日本の政治の中心だったとは思えないほど長閑な風景が広がっていた。

 

そして、この丘からどうしても眺めてみたかったのがこの風景。

明日香の北に位置する香具山(右)と耳成山(左)、

さらに西方(左)へと目を移すと畝傍山が目に入る。

いわゆる大和三山で、この眺望が万葉集の有名な歌を思い出させてくれた。

 

香具山は 畝傍ををしと 耳梨(耳成)と 相あらそひき 

神世より かくにあるらし 古昔も 然(しか)にあれこそ うつせみも 嬬(つま)を あらそふらしき

                                                          中大兄皇子

 

香具山と耳成山を男性に、そして畝傍山を女性に見たてて、

男同士があらそう様をユーモラスに歌ったものだが、

一方で、この歌を詠んだ中大兄皇子と弟の大海人皇子、そして額田王の三角関係を暗示した歌とも伝えられる。

この男女の見たて、単なるたとえ話と今まで思っていたが、

あらためて大和三山の配置を眺めていると、

近く寄った香具山と耳成山があたかもにらみ合っているように見えるし、

すこし距離を置いた畝傍山がそれを冷ややかに眺めているようにも見えてくる。

そんななにげない風景の中に古代人の想像力のたくましさとユーモアを微笑ましく感じた次第である。

 

さて今回の明日香の旅の最後に...。

中大兄皇子(天智天皇)の恋敵(?)大海人皇子は天智天皇の死後、

壬申の乱を経て天武天皇として即位し、妃で後の持統天皇となる鸕野讚良(うののさらら)ともに

天皇強権の国家を造っていくが、そのわりに二人が葬られている陵は人気もなくひっそりとしていた。

そんな陵の脇で見つけた、これまたなにげない大和の秋の風景。


「三角関係」で思いついたのが...。

アメリカン・ニュー・シネマの傑作「明日に向かって撃て」の主題歌。

B.J.Thomas - Raindrops Keep Fallin' On My Head

実在した二人のギャングと女教師の三角関係と逃避行を描いたもので、

アメリカン・ニュー・シネマにありがちな「出口のない」エンディングだったが、

ふさぎ込みそうになった気持ちを救ってくれたのがポール・ニューマンのユーモラスな演技であり、

サウンドトラックを担当したバート・バカラックの爽やかな音楽だったと思う。

 

 

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「海の駅」と越乃shu*kura  鉄写同好会

2017-10-11 | 鉄道写真

毎月11日は「鉄写同好会」の日。

詳しくは発起人てくっぺさんのブログ「高橋さんの写真記念館」をご覧ください。


 

久しぶりの信越本線青海川駅。

通称「日本でいちばん海に近い駅」である。

 

ここに停車する列車は上下とも一時間に一本ずつといったところ。

そして時折、思い出したかのように数本の特急列車が通過する。

それがこの長閑な無人駅のすべての存在理由...

と思っていたのだが。

週末のみ、ある特別列車が20分近くもこの駅に停車する。

乗降が目的ではない。

その目的は「日本でいちばん海に近い駅」そのものにある。

その列車は、「越乃shu*kura」。

JR東日本の企画列車である。 

                   越乃shu*kura

上越妙高駅と新潟駅、越後湯沢駅、十日町駅のそれぞれを結ぶ三系統のshu*kura。

車内では越後の食材とともに地酒が供され、それが列車命名の由縁である。

わずか三両ばかりの編成ながら、ミニコンサートスペースを持ち、

乗客は美酒に酔いしれながら旅と音楽を楽しむ。

そして、旅の車窓を演出するのが日本海の風景であり、

そのクライマックスが「日本でいちばん海に近い駅」のホームに立ち、

海の風景を間近に眺めるという趣向だ。

しかしながら、かくいう私。

実はただの傍観者でしかない。

この駅に降り立って、ほろ酔い気分で海風に浸る...

そんな乗客方々の「至福のひととき」のおすそ分けを楽しませていただいた次第である。


なんとなくの選曲。

1970年代ウェストコーストで活躍したタワー・オブ・パワーのバラード。

Tower Of Power   Just Another Day

複雑にうねるリズムに乗せた重厚なホーン・セクションを持ち味とした

ファンク・バンドだったが、一方でこうした美しいバラード曲にも定評があった。

 

 

 

 

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昼下がりの港 風の秋 By空倶楽部

2017-10-09 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで

 


 

福井県三国港。

竹田川と九頭竜川。

それぞれの河口が合流し日本海に注ぎ込もうとするあたりに、

この北陸有数の漁港が開けている。

港を往来するのは漁船だけではない。

ここは越前加賀海岸国定公園の一画であり、

近くには東尋坊や雄島といった絶景が広がることから、

観光船が発着する場所として賑わってもいる。


さて、今回の空倶楽部、お題は「鉄塔のある空」。

そんな三国港に秋の陽が傾きはじめたころ、

ひろく開けた景色の中にふと鉄塔が目にはいった。

こうして眺めてみると、それなりに存在感があるのだが、

どういうわけか、これまで目に入ってこなかった。

薄曇りの空に赤と白に塗り分けられた鉄塔が妙に映えて、

さらにその鉄塔が見おろす先には、案内を終えて次々と帰ってくる観光船。

そんななんでもない風景の中に秋の風を感じた次第である。


 

アメリカのシンガーソングライター、エリック・アンダーソンの名アルバム「ブルーリバー」。

しみじみと語るように歌われる数々の楽曲。

すでに40年以上も経っているが、

自分の中ではいまだに色褪せない名盤である。

そのタイトル曲を秋の日の川の流れに重ねてみた。

Eric Andersen - Blue River

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秋の飛鳥寺

2017-10-01 | 大和路点描

春に訪れて以来、2度目の明日香。

今回の起点はこの場所から。

飛鳥寺。

蘇我馬子の発願により、596年に推古天皇が創建したと伝えられる。

仏教が伝来した年と学校で教わったのが538年だから、-ゴサンパイと憶えた(笑)

それから60年余り、日本で一番最初にできた「寺」がこの飛鳥寺だそうだ。

発掘調査によると、もともとは塔や金堂などを配した壮大な伽藍だっというが、

度重なる火災で焼失し、一時は荒廃してしまったそうだが、江戸時代に再建され今日に至っているという。

 

このあたりは飛鳥寺や橘寺など観光資源が近在している。

それでトレッキング姿で散策する人や自転車で移動する人を多く見かけるが、

外国人の姿はほとんどない。

したがって、奈良公園付近のような喧騒はないわけだが、

交通の便がさほどよくないことに加えて、

外国人にとって、観光資源としての明日香の魅力がわかりづらいのかもしれないと感じた。

明日香本来の魅力は古代ロマンであり、

それが日本の原風景に重なって倍加されるものと思っている。

この地の歴史を詳しくは知らなくても、日本人であれば明日香の風景に心が反応すると思うのだが、

それが外国人の目には単なる田舎風景程度にしか映らないのかもしれない。

妹のダンナがイギリス人で日本の観光地にはほとんど出かけていて、

訪れた先はおそらく私よりも多い。

ところが、奈良や京都などの歴史遺産へは出かけるのに、明日香へ行ったという話は聞いたことがないし

おそらくは知らないのではないかとも思う。

極めて身近で断片的な話かもしれないが、

そんなことからも外国人には「明日香の魅力がわかりづらい」のではと感じた次第だ。

ただし、あくまでも想像でしかないが...。

 

さて、そんな飛鳥寺と周辺の風景を写真で点描。

境内に咲く芙蓉、道端の彼岸花、朝露にぬれる稲穂、秋風にのって漂う金木犀の香り...

どこにでもある秋の風景だが、それでも「明日香」にしかない風景を感じたのである。

 

そうそう、これは書いておかないと。

飛鳥大仏。

日本最古の寺の本尊...ということは当然ながら日本最古の仏像である。

その小さな本堂に入った瞬間、目を疑った。

あろうことか、参拝客の全員がバシャバシャと写真を撮っているのだ。

心ない誰かが先陣を切って、それに皆が倣ったのかと一瞬思ったのだが、

寺の関係者に訪ねてみると、この大仏様は撮っても良いそうなのだ。

なんと、おおらかな...そして、これも「明日香」と感じた次第である。


明日香の秋風を感じるような曲を...と思いついたのが。

ライ・クーダーのヒットアルバム「BOP TILL YOU DROP」に収められている「I CAN’T WIN」

倒れるまで踊れ...というタイトルが示す楽しいアルバムの中にあって、

地味であるが、しっとりと聴かせるゴスペル調の名曲。

Ry Cooder - I can't win

 

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