「9」のつく日は空倶楽部の日。
金沢での写真ではないが、撮影会でのひとコマ。
この日、混みあう金沢を早々に切り上げ、撮影メンバーと加賀に向かった。
ふだん、私が四季折々に訪れる場所で、特に名の知れた撮影地があるわけでもないが
そこはコンテスト入選の猛者たちのこと。
それぞれの工夫で個性的な写真を仕上げてくれるだろう、と思ったのだ。
そして最後の撮影地。
日本海といえば夕陽とばかりに加佐の岬へ案内したのだが...
天気が良すぎた。そして日没の位置がシンボルとなる灯台から遠すぎた。
本来なら灯台近くに落ちる夕陽を望遠で引き寄せて景色を圧縮し、
灯台の背景として夕陽を大きく表現したいところだ。
だが、この状況では両方の被写体を収めるには標準レンズを使うしかなく
構図的にも色彩的にも平凡なシーンにしかならなかった。
メンバー方々には申し訳なく、「想い出」としてとらえていただきたいと
ご容赦いただいた次第だ。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
三国港(福井県坂井市) Sony α7R3 FE24-70㎜/f2.8 GM2
この冬は記録的な暖冬だったそうだ。
平均気温や降った雪の量など気象条件に照らせば
たしかにそうだったのだろう。
けれども、肌で感じる季節はそれとは裏腹。
いまだに春の訪れがぐずぐずとしているようで
何度となくやってくる寒の戻りに飽き飽きしている。
つまりはちっとも暖冬だったというイメージがないのだ。
この冬は12月早々にまとまった雪が降った。
それも雪かきをしければならないほどの降雪量だったことで
のっけから暖冬という予想が裏切られた。
さらにその感覚を決定づけたのは能登半島地震だった。
発災以来、被災地の悪天候を見るにつけ一日も早い春を待ち望んだ。
それが、むしろ例年よりも春が遅いと感じさせているのかもしれない。
明日からはまた雪の予報。
三寒四温とは言うものの、これで最後にしてほしいものだ。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
空倶楽部。10月のお題は「鉄塔と空」。
悩ましい難題のひとつだが、
ふと、「あそこなら!」と思いついたところがあった。
それがこの場所。福井県坂井市三国町の高台からの風景だ。
Sony α7S2 FE24-70㎜/f2.8 GM2
ここでは過去にも何度か、このお題のクリアに取り組んだことがある。
だが、それはあくまでもひとつひとつの鉄塔と空でしかなかった。
ここには福井県有数の火力発電所があって、
生まれたばかりの電気を各地へ送り出している。
その送電を担う無数の鉄塔があることを思い出し、
それらをまとめて高台から眺めて見たくなったのだ。
そして、数々の鉄塔の源ともいえる、言わば一丁目一番地がここ。
Sony α7R3 FE2.8 16-35 GM
三国港越しに眺める火力発電所の煙突。
昨年の冬に撮ったものだが、
「どうだ!」とばかりに快晴の空を従える姿に心ひかれた次第だ。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
旧盆の頃、土用波が高くなると北陸の浜茶屋は短い営業を終える。
三国海岸(福井県坂井市) 2023.08.13 17:46 Sony α7R3 FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/18,1/160sec,ISO100)
この日の気温は夕方にして33℃。
まとわりつく暑い空気は真夏そのものだが
傾いた日差しのなかで人気のない浜茶屋を眺めると
その景色の中にしのび寄る秋の気配を感じてもいた。
ところで。
浜茶屋と表現したが、一般的には海の家。
そう呼ぶのは北陸など日本海側の一部の地域らしい。
学生時代に友人と出かけた神奈川の海水浴場で
うっかり「浜茶屋」と口にして、「何それ?」と笑われたことを思い出した。
けれども、子供の頃の記憶につながるこの夕景の主題は
「浜茶屋」にほかならないのである。
Seals & Crofts - Summer Breeze
邦題は「想い出のサマーブリーズ」。
夏に吹くそよ風ということだが、
今回の写真同様、どこか秋を思わせる曲だと思う。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
梅雨前線に置いてけぼりにされた雲と出番を伺う夏本番の青い空。
この時期特有の空が黄昏てゆく。
三国港(福井県坂井市) 2023.07.15 18:36 Sony α7S3 FE24-70㎜/f2.8 GM2 (30㎜ f/8,1/250sec,ISO100)
ところで、黄昏の語源は「誰そ彼(だれそかれ)」
現代語なら「誰だ。彼は?」で、人の識別がつかなくなることが転じて夕方をさす。
もっともこの写真を撮ったのは日没30分前だから
肉眼は釣り人の表情はしっかりと捉えているのだが
明暗差に弱いカメラから「誰そ彼?」というつぶやきが聞こえてきたのだ(嘘です!)
ここ近年の梅雨というと豪雨による災害報道が相次ぐ。
温暖化による地球規模の異変が大きくかかわっているのだろう。
災害を引き起こさないまでも、梅雨というとじめじめとしたネガティブな印象が定説だ。
しかし一方で、長雨の季節も四季の移り変わりのひとつ。
「そこには情緒もあるはずだ」と、「お蔵」の中から探し出したのがこの写真。
市振駅(新潟県糸魚川市)2016.07.09 15:16 Sony α99 Vario-Sonnar 24-70㎜/f2.8 (24mm f/8,1/800sec,ISO100)
もう7年も前のことになるが、この空のことはよく覚えている。
梅雨空をおして遠出の撮影に出かけた帰り道で
天候の回復とともに雲の合間から青空がのぞき始めた。
見る見るうちに雨雲を蹴散らすように広がり始める青空。
その澄んだ空に目を奪われたのである。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
空倶楽部、今月のお題は「カーブミラーと空」
越前海岸(福井市) 2023.05.05 07.17am Sony α7S2 FE24-70㎜/f2.8 GM2 (34㎜ f/2.8,1/1000sec,ISO100)
越前海岸を走る国道305号線でこのカーブミラーを見つけたのは4年前。
海岸線に沿った50キロの道は関西や中京などでもよく知られているらしい。
走り去る車の大半が県外ナンバーで、
季節を問わず、ドライバーたちはそれぞれの景色を楽しみながらこの道を走る。
そして、このカーブミラーの前を行き交う車を眺めながら、
ふと思いついたのが俵万智さんのこの短歌だった。
この曲と決めて海岸沿いの道とばす君なり「ホテルカリフォルニア」
実は4年前の6月9日にも同じことを書いている(苦笑)
Eagles - Hotel California (Live in Washington 1977)