一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

きょう2月29日は、A級順位戦最終戦!!

2024-02-29 00:44:59 | 将棋雑記
日付変わってきょう2月29日は、第82期A級順位戦最終戦が行われる。うるう日は4年に1回だが、最終戦を前に、挑戦も降級も決まっていないのは8年ぶりだという。昨年末まで6連勝と波に乗っていた豊島九段が年明けに連敗、降級濃厚と思われた広瀬九段と中村八段が年明けに連勝して、この大混戦を演出した。
まず、10名の現在の星を記しておこう。

③豊島将之九段 6勝2敗
④永瀬拓矢九段 5勝3敗
⑥菅井竜也八段 5勝3敗
①渡辺明九段 4勝4敗
⑧佐藤天彦九段 4勝4敗
⑩中村太地八段 4勝4敗
②広瀬章人九段 3勝5敗
⑤斎藤慎太郎八段 3勝5敗
⑦稲葉陽八段 3勝5敗
⑨佐々木勇気八段 3勝5敗

挑戦権を狙えるのは3敗の菅井八段まで。最終戦、豊島九段が勝てばスンナリ挑戦が決まる。反対に菅井八段が勝てばプレーオフ。永瀬九段も勝っていれば、3者プレーオフとなる。そうなった場合、菅井八段、永瀬九段もあと2勝が必要なので、プレーオフを1勝で済む豊島九段がどこまでいっても有利だ。
渡辺九段は挑戦にも降級にも関係なし。純粋な「順位戦」となる。
佐藤九段から稲葉八段までは、勝てば残留。佐々木八段のみ、勝っても降級の可能性がある。
では、対戦カードと双方の対戦成績を掲げよう。

▲広瀬九段(15勝)VS△渡辺九段(21勝)
▲菅井八段(11勝)VS△豊島九段(10勝)
▲中村八段(3勝)VS△永瀬九段(4勝)
▲佐々木八段(2勝)VS△斎藤八段(3勝)
▲佐藤九段(11勝)VS△稲葉八段(7勝)

どのカードもいい勝負で、勝敗は時の運という感じがする。
次に、それぞれが勝った場合の最高順位と、負けた場合の最低順位を記しておこう。

豊島九段…挑戦~2位
菅井八段…挑戦~4位
永瀬九段…挑戦~4位
渡辺九段…2位~6位
佐藤九段…4位~9位
中村八段…4位~10位
広瀬九段…5位~9位
斎藤八段…5位~10位
稲葉八段…5位~10位
佐々木八段…6位~10位

勝つと負けるとでは大違い。これぞ順位戦である。A級順位戦の最終戦を戦えることこそ、棋士冥利に尽きると思う。きょうは大熱戦を期待している。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「グレイトギフト」が面白い

2024-02-28 00:21:25 | プライベート
テレビ朝日で木曜夜9時から放送中の「グレイトギフト」が面白い。
大学附属病院に務める病理医・藤巻達臣(反町隆史)は、元総理大臣の急死を受け、病理解剖を行った。藤巻は遺体の首筋にホクロ大のシミを見つけ、子細に調べると、「殺人球菌」であることが判明した。
藤巻は理事長に相談すると、「すぐに犯人を見つけろ」と高圧的に指示された。
ところがその理事長も、教授会の席で急死してしまう。死因はやはり、殺人球菌「ギフト」によるものだった。
この存在は白鳥教授(佐々木蔵之介)も知るところとなり、藤巻は白鳥に脅され、ギフトを培養することになってしまう。藤巻の妻は拡張型心筋症を患っており、この病院が頼りだった。よって藤巻は白鳥の要請に従うよりないのだった。
白鳥はさらに行動をエスカレートさせ、ギフトでビジネスを始める。そのために、邪魔になった者を容赦なく殺していった。
ここまで不審死は11人に上っていた。藤巻は友人の警察官・神林(尾上松也)に相談するが、土壇場で裏切られてしまう。神林の娘も難病で入院しており、白鳥の手術を必要としていたからだった。
そんな中、ギフトの創造者から、藤巻に電話が入る。どうする藤巻、白鳥!? というところで29日放送の第7話となる。
本作、主演の反町隆史はこれまでの颯爽としたキャラを封印し、小心者の講師を巧みに演じている。そして白鳥教授役・佐々木蔵之介の怪演も光る。佐々木蔵之介は刑事役もいいが、どこか違和感があった。今回は適役で、こうした影の黒幕をやらせたら、佐々木蔵之介の右に出る者はいない。
さらに、正月の松本清張ミステリー「ガラスの城」のヒロインと似たキャラの波瑠、小悪魔的な倉科カナ、腰巾着キャラの筒井道隆など、脇役もしっかりしている。
今回の設定によく似た小説に、赤川次郎の連作短編集「毒」がある。どこから出てきたか分からない「毒」がさまざまな人の手に渡り、さまざまな人間模様が活写されたいた。さすがに赤川次郎、読ませる、と思ったものである。
また、物語の中盤で「真犯人」が出るあたりは、日本テレビ「CODE-願いの代償ー」にも構造が似ている。
が、本作の脚本は黒岩勉で、オリジナルである。黒岩勉は「謎解きはディナーのあとで」「グランメゾン東京」「TOKYO MER~走る救急救命室~」「マイファミリー」「ラストマン 全盲の捜査官」など、名作が多い。いま、ノッテいる脚本家のひとりであろう。今回もハチャメチャな設定ながら、力づくで視聴者を引き込んでいる。
最終回は、私たちの考察を越えた収束を期待したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名人経験者がA級から降級したら

2024-02-27 00:27:16 | 将棋雑記
26日に第65期王位戦挑戦者決定リーグ・羽生善治九段VS森内俊之九段戦が行われた。両者の対戦は実に141局目。藤井聡太竜王・名人の対局もいいが、羽生VS森内の永世名人戦も、オールドファンには堪えられないゴールデン・カードだ。なんといっても、どちらが勝つか分からないのがいい。
さて、歴代の実力名人は、木村義雄十四世名人から藤井名人まで16名。名人はほかのタイトルとは違う重みがあり、それを手放したときの進退はそれぞれである。
ちょっと、一覧にしてみた。

木村義雄十四世名人…1952年に失冠、そのまま引退
大山康晴十五世名人…1972年失冠→1992年、A級在位のまま逝去
中原誠十六世名人…1993年失冠→2003年、B級1組よりフリークラスに転出→2009年引退
谷川浩司十七世名人…1998年失冠→現在B級2組
森内俊之九段(十八世名人)…2015年失冠→2017年にA級陥落後、フリークラスに転出
羽生善治九段(十九世名人)…2016年失冠→現在B級1組

塚田正夫名誉十段(永世九段)…1949年失冠→1977年、B級1組在位のまま逝去。
升田幸三実力制第四代名人…1959年失冠→1969年A級在位のまま引退
加藤一二三九段…1983年失冠→2017年、C級2組陥落につき、引退
米長邦雄永世棋聖…1994年失冠→1998年にA級陥落後、フリークラスに転出
佐藤康光九段(永世棋聖)…2000年失冠→現在B級1組
丸山忠久九段…2002年失冠→現在B級2組
佐藤天彦九段…2019年失冠→現在A級
豊島将之九段…2020年失冠→現在A級
渡辺明九段(永世竜王、永世棋王)…2023年失冠→現在A級

木村十四世名人が1952年に失冠後、「よき後継者を得た」の名言を残し、そのまま現役を引退したのは有名だ。47歳での現役引退は早すぎるが、当時は将棋界も試行錯誤の最中で、至当な引退年齢だったのかもしれない。
そしてこの引退が、名人位の重みを決定的にしたのは皮肉だった。
大山十五世名人は名人失冠後も復位を目指し、A級で戦い続けた。A級を降級したら引退のつもりだったというが、本当のところは分からない。ただ、つねにその覚悟で臨んでいたからA級に踏み留まれた、ともいえる。
米長永世棋棋聖は1998年にA級を引退後、フリークラス入りを宣言した。名人1期にしては随分潔い決断で、当時は大きな話題になった。
個人的にはB級1組で指し、A級復帰および名人挑戦を目指してほしかったが、本人は「名人経験者がB級1組で指せない」というよりも、「いまさら若手に交じって指す気はしない」が本音だった気もする。
中原十六世名人は2001年にA級から降級。進退が注目されたが、そのままB級1組で指すことになった。永世名人のB級1組は初だが、私はそれでよいと思っている。棋士だって生活が懸かっているし、対局を止める権利は誰にもない。
その2年後、中原十六世名人はフリークラスに転出。B級2組への降級を懸念したのかもしれない。
加藤九段は2006年にB級2組に降級したが、そのまま現役を続行。初の例となった。
谷川十七世名人は2020年にB級2組に降級。そのまま現役を続行し、永世名人初のB級2組となった。この決断は当然で、谷川ファンがいる限り、順位戦で指すのは礼儀だと思う。
驚いたのが森内九段で、2017年にA級から降級したあと、そのままフリークラス宣言をしてしまった。まさか、木村・大山イズムを継承している永世名人がいるとは思わなんだ。
確かに森内名人は永世名人の有資格者で、ほかの名人とはちょっと違う。だけど時代はすでに、永世名人のB級1組以下を許容している。現役寿命の延命や将棋の普及が理由ならまだしも、永世名人のケジメとしての宣言などクソ食らえで、私は本当にがっかりした。
その意味で、羽生九段にはA級に復帰してもらいたい。そして、名人に挑戦してもらいたい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第50期女流名人戦第2局、第3局、第4局

2024-02-26 17:41:43 | 女流棋戦
岡田美術館杯第50期女流名人戦第4局(主催・報知新聞社、日本将棋連盟)が25日に行われ、福間香奈女流四冠が西山朋佳女流名人に勝ち、2年ぶり13期目の女流名人に輝いた。では、第2局から振り返ってみよう。
第2局は島根県出雲市で、福間女流四冠の地元で行われた。女流名人保持の西山女流名人としては面白くないだろうが、出雲開催は長年の慣習ゆえ、やむを得ない。
将棋は福間女流四冠の中飛車でスタートした。西山女流名人は向かい飛車に振ると、福間女流四冠は袖飛車に戻した。
私はこのやり取りが嫌いで、福間女流四冠がすぐ中飛車を回避するなら、最初から居飛車で指せばいいのにと思う。手損にもなると思うのだが、本譜は西山女流名人も3筋で対抗したので、ほとんど手損はない。福間女流四冠は3筋から仕掛け、十分。福間女流四冠が飛車先の歩を突いていないので、そのぶん西山女流名人が美濃囲いに組めず、立ち遅れているのだ。
以下は福間女流四冠が手厚く指し、快勝した。
第3局は千葉県野田市の「関根名人記念館」。ここも定番の対局場である。
第3局は先手番の西山女流名人が初手に▲7八飛と振った。西山女流名人の初手といえばこれである。
対して福間女流四冠は2筋の歩を2つ突き、相振り飛車を匂わせる。しかし結局居飛車で指す。この作戦分裂がどうかと思うが、福間女流四冠はうまく指す。銀損はしたがと金を作り、角を取り返せる形だ。
私ならよろこんで角を取るが、福間女流四冠は飛車を走る。駒得より飛車の働きを重視したのだ。
実際これが正解だったようで、プロの将棋は難しい。福間女流四冠、竜を三段目に引いて飛車取り。ここも、私ならとりあえず桂の王手を利かすところ。しかしこの場合は、王手をしたほうがよかったようだ。以下どの変化になっても、福間女流四冠が面白い。
のちに桂の王手は実現したが、今度は証文の出し遅れで、西山女流名人が十分になった。以下、着実な寄せで反撃の1勝を挙げた。
第2局を終えた時点では福間女流四冠がこのまま押し切るかと思ったが、ここで踏ん張るのが西山女流名人の実力である。
そして運命の第4局である。対局場は広島県廿日市市の宮島弥山。宮島といえば厳島神社が有名だが、その先にある弥山は意外に知られていない。ロープウェイに乗り1時間ほど散策すると山頂に着く。ここからの展望が素晴らしく、瀬戸内海が一望できる。
将棋は福間女流四冠の中飛車に、西山女流名人の向かい飛車。すると福間女流四冠は居飛車に戻す。もはや2人の定跡だ。福間女流四冠は9筋の端を詰め、西山女流名人は穴熊の明示。
そこで福間女流四冠が急戦に出たのがいい構想だった。以下飛車を捌き、竜を作る。西山女流名人も竜を作ったが、そこで福間女流四冠が底歩を連打したのが妙手順で、以下も難しい戦いが続いたが、福間女流四冠が勝ち切ったのだった。
西山女流三冠が女流棋士に転向したとき、これからは西山女流三冠がタイトルの過半数を保持し続けると思った。ところが現状では、福間女流名人が女流五冠。新婚パワーは強かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第49期棋王戦第2局

2024-02-25 23:28:35 | 男性棋戦
24日、第49期棋王戦コナミグループ杯第2局が行われた(主催:共同通信社、河北新報、下野新聞、千葉日報、山梨日日新聞、新潟日報、信濃毎日新聞、静岡新聞、北日本新聞、北國新聞、京都新聞、山陽新聞、中国新聞、日本海新聞、山陰中央新報、愛媛新聞、高知新聞、長崎新聞、佐賀新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムス、日本将棋連盟)。第1局が4日だったから、相当に久しぶりだ。
第2局の開催は石川県金沢市。金沢は兼六園、ひがし茶屋街、金沢城石川門、近江町市場、21世紀美術館などいろいろ見所が多いが、北陸鉄道を利用したローカル駅巡りの旅もよい。
本局の先手は伊藤匠七段。前局は持将棋だったので実質第1局だ。伊藤七段は苦労して先手番を手に入れたが、本局に勝たねば意味がない。
将棋は角換わり相腰掛け銀となった。藤井聡太棋王はおとなしく追随したが、途中右金を斜めに上がったのがちょっとした工夫だ。
と、伊藤七段はいきなり仕掛ける。藤井棋王は素直に応じるよりなく、以下、伊藤七段の攻め、藤井棋王の受けとなる。しかし藤井棋王が一方的に銀、角を受けに手放す展開になり、アマ同士の対局なら、相当に先手が勝ちそうだ。
伊藤七段は銀を犠牲に飛車を入手し、敵陣に打ち込む。これも、アマ同士なら銀損などものの数ではなく、やはり先手が勝つ。
藤井棋王は角を2枚手放し、竜になったそれの働きを抑えにかかる。しかしその間、金桂交換の駒損にもなり、やはり後手がつらそうに見える。とはいえ、さっきまで裸同然だった藤井玉の周りには角角銀がくっつき、固いことは固い。この囲い再生術も、いままで何度か見てきたものだ。
果たして、いままでさんざん受け一方だった藤井棋王が飛車を入手し、角をひょいと覗いてみると、後手の景色がよくなっているのに驚いた。
この辺りが藤井棋王のすごいところで、藤井棋王はひと働きした駒に活を入れ、新たな活躍場所を与えることがある。前期王座戦・村田顕弘六段戦の「△6四銀」などがそうである。
伊藤七段はこの角を除去しようと試みたが、藤井棋王はそれに目もくれず、教科書に出てくるような寄せの手筋を連発。たちまち伊藤玉を受けなし+投了に追い込んだ。
いやはや、藤井棋王の指し手は魔法のようで、これで勝っちゃうのかと思う。
大山康晴十五世名人の円熟期は。相手の攻めをさんざん受けた後、ひょいと1手攻めの手を指して勝ち、という展開がいくつもあった。本局はそれを彷彿とさせる勝ち方で、私はその強さにため息をつくばかりだった。
いっぽうの伊藤七段は、痛い敗戦。局後は「午前中に攻め過ぎた。形勢を悲観していた」とコメントを述べた。これで対藤井戦は0勝8敗1持将棋で、この戦績では形勢を悲観するのも無理はない。
かくしてこれでまた、藤井棋王の防衛が濃厚となった。伊藤七段はもうタイトル奪取を考えず、対藤井戦の初勝利を目標にしよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする