一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第3期白玲戦第4局

2023-09-30 22:19:13 | 女流棋戦
きょう30日は、第3期白玲戦第4局が行われた(ヒューリック、日本将棋連盟主催)。ここまで里見香奈白玲の1勝、西山朋佳女流三冠の2勝。七番勝負は、2勝1敗後の第4局が重要対局ではなかろうか。
第4局は里見白玲の先手で、▲5六歩。3手目に中飛車に構えた。ところが、西山女流三冠が6手目に向かい飛車に振ると、里見白玲は11手目に、居飛車に戻してしまった。この展開、第2局をトレースしている。第2局の内容は置いといて、個人的には里見白玲のこの指し方は、好きでない。
これでは里見白玲の純粋な2手損で、それが西山女流三冠の「△2四歩、△2五歩」に換わっている。里見白玲に、それに見合うだけの見返りがあったとは思えない。どうせ西山女流三冠は振り飛車にするのだ。それなら里見白玲も最初から居飛車で臨めばよかったのではないか。
いずれにしれも、これは西山女流三冠が勝つと思った(結果を知っているからそう書いているのだが)。
ところで、白玲戦サイトで記譜を鑑賞しようとしたら、記譜が再生できず、往生した。「△」の部分を押しても、ウンともスンともいわないのである。
指し手の部分をクリックすればその盤面になるのだが、そうまでして見たくない。また、盤駒を出して盤に並べるのもめんどうである。私は短気なので、そっちがその気なら、こっちもそれに呼応するまでだ。つまり、以下の指し手には言及しない。
将棋は西山女流三冠の勝ち。西山女流三冠のほうが、より自分らしい将棋を指せたのではなかろうか。里見白玲は、居飛車に戻した時点で勝ち運が遠のいたと思う。
第5局は10月14日(土)、「鉄道の日」である。
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村田智弘七段と藤原直哉七段の、順位戦復帰の目を考える

2023-09-29 23:04:00 | 目を考える
先日、当ブログの読者から、村田智弘七段、藤原直哉七段にフリークラス脱出の目が出てきた、との情報をいただいた。
さっそく、詳細を調べてみよう。

まず、村田智弘七段である。「村田」といえば、今期王座戦で活躍した村田顕弘六段が浮かぶが、ここではもうひとりのほうだ。
村田七段は2001年10月、四段デビュー。その後竜王戦では着実に昇級し、第21期竜王戦(2008年)では3組まで上りつめた。
しかし順位戦のほうは、最終局で昇級の目があった年もあったが、C級2組どまり。それどころか、2010年度の第69期では、3勝7敗で降級点を取ってしまった。
3年後の第72期では8勝2敗の好成績を収めたが順位が悪く、昇級できなかった。そればかりか1回目の降級点も消えず。ここがC級2組におけるイレギュラーなルールで、かつて川上猛七段もこの「イレズミ」がたたり、フリークラスに降級してしまった。
そして村田七段も第77期に1勝9敗で2回目の降級点、第79期(2020年度)に2勝8敗で3回目の降級点を取り、39歳の若さでフリークラスに降級したのだった。
だが村田七段には、ほかのフリークラス棋士にはない、「順位戦に復帰しそうな雰囲気」がある。やはり竜王戦での昇級のイメージが大きい。
そして村田七段は、2022年度中途から、勝ち星を集め出した。その戦績を見てみよう。

2022年度 ……○○○○●○○○●●●○○●○○●○●(12勝7敗)
2023年度 ○●●○●○○●(4勝4敗)
合計 16勝11敗

このブログではおなじみの「いい所取り30局以上で勝率.650」に、「あと5勝0敗」となっている。
きょうは第9期叡王戦段位別予選で、安用寺孝功七段との対局があった。勝てば戸辺誠七段と。
ここで2連勝していれば、あと3連勝で順位戦復帰だ。5連勝だと道のりは長いが、3連勝となれば、一気である。
仮に負けていたとしても、村田七段にはまだ時間がたっぷりある。いつか順位戦復帰を果たしそうな気がする。

藤原直哉七段については、いつぞやも特集を組んだ。
藤原七段は1989年4月、四段デビュー。総合的な成績は悪くなかったが、順位戦では突出した活躍ができなかった。第75期(2016年度)C級2組順位戦で3回目の降級点となり、フリークラスに降級した。ただし、「28期連続C級2組」も、隠れた大記録?である。
しかし藤原七段は、降級直後に頑張った。2017年度は中途まで好調で、17勝9敗。順位戦復帰のもうひとつの柱「年度18勝以上で勝率6割」に、「あと1勝3敗」にこぎつけたのだ。
ところがそこから藤原七段は4連敗。その中には竜王戦でかつての弟子に敗れた局もあり、他人事ながらやりきれなかった。
その後の藤原七段はパッとしない成績だったが、上述のとおり、昇級の目が出てきたとのことだった。

2022年度 ……○○○●○○(5勝1敗)
2023年度 ●○●○○○○●○●●●○(7勝6敗)
合計 12勝7敗

いい所取りで、残り8勝3敗が一例。いまさらだが、直近4局を1勝3敗が痛かった。
そして藤原七段にはもうひとつの敵がある。「60歳定年」だ。フリークラスの現状では、60歳の誕生日を迎えた年度をもって定年となる。1965年5月27日生まれの藤原七段は、2026年3月31日がその日となる。
藤原七段は現在、竜王戦で5組昇級まであと2勝に迫っている。これだけでも結果を出しておきたい。
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最近見た夢(2023-09-15、17、20、28)

2023-09-28 22:30:16 | 
最近見た夢を記しておこう。
まず、9月15日に見た夢。この日もいろんな夢を見たのだが、大半は忘れてしまった。
武者野勝巳七段が機関車に乗っていて、線路の下に武者野七段の足が覗いている。武者野七段は機関車と同化していたのだ。

続いて17日に見た夢。
夢、というか映像にはなっていないのだが、「桃の実ができるまで10年かかる」というフレーズが頭の中を渦巻いていた。
これは、前夜にビデオで見た、いとうあさことかたせ梨乃の5万円旅で、桃農家の人が語っていた言葉である。
それが本当だとすると、私がこれから桃の苗木を買ったとしても、桃ができるまで10年近くかかる計算である。
10年後、私はもちろん、私の周りの生活もどうなっているか分からない。そう思うと、あらためて目の前が暗くなり、夢の中にまで出てきた次第。
もうひとつ、俳優の露口茂がドラマに出演する予告があった。
露口茂は「太陽にほえろ!」の山さん役で活躍した人で、現在94歳前後。現在は芸能界から距離を置いているが、久々の復帰となった。
もちろん夢で、私の願望が夢に出てきたものだろう。

続いて20日に見た夢。
私はビートたけしと、もうひとりの3人で、荒涼とした大地を歩いていた。ビートたけしはリヤカーのようなものを押していた(曳いていたのではない)。
現在は370年前後だったと思う。ビートたけしは、「西暦57年の世界に行こう」と言った。

続いて28日に見た夢。
私はアジア系の外国にいたようだ。荒涼としたところで青空俳句教室みたいなのをやっており、私はある俳句の添削(手直し)を指名された。それがことのほかうまくいったようで、講師の先生にたいそうホメられた。私の株がだいぶ上がったのである。
その後、別の生徒が別の俳句を手直ししたが、それもうまいものだった。
メガネの彼は、私に
「ボクもいい俳句を作って、あなたの実力に追いつきますよ」
みたいなことを言った。

どうも最近は、外国での夢が多いようである。私に旅行願望があるのだろう。
最近はどこにも行けない現実があり、それが夢に反映されているのだ。
このあたりで一回、アップしておこう。
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第71期王座戦第3局「逆転」

2023-09-27 22:04:13 | 男性棋戦
27日は、第71期王座戦第3局があった。第2局は12日だったから、ちょっと間隔が開いた。その間、永瀬拓矢王座は王位戦予選を指し、勝ち。藤井聡太竜王・名人は公式戦の対局はなし。しかしABEMAの非公式戦を指しており、実戦不足はないだろう。
第3局は藤井王座の先手で、お茶を3口飲んで、居飛車明示。永瀬王座は角道を止めたが飛車を振るはずもなく、雁木に落ち着いた。
藤井竜王・名人は右銀を三段目に上がって速攻を見せたが、永瀬王座も袖飛車に構え、藤井玉に狙いをつける。永瀬王座が飛車先の歩を突かず悠然と端歩を伸ばしていたのも、この手を見ていたのだ。
藤井竜王・名人は金を上げ玉の退路を確保したが、この展開は面白くなかっただろう。
数手後、永瀬王座は端攻めに出た。歩を突き捨てて歩を垂らす典型的な手筋で、私はよく大野八一雄七段にこれをやられて負かされること多数だったが、本局もこれが存外効いて、永瀬王座が指しやすくなった。
藤井竜王・名人は右銀をぶつける勝負手。しかし永瀬王座に自然に応接され、割り打ちの銀が厳しかった。
藤井竜王・名人は飛香交換の非常手段に出、一時的に小康を得たが。これでは先手つらい。
ABEMA AIの評価は徐々に開き、いまや「永瀬95:5藤井」となっていた。
藤井竜王・名人は一段目に飛車を打つ。これには△3一歩がピッタリで、▲6五角には△7七桂で一手勝ちだ。
ところが永瀬王座は飛車を合いした。途端に形勢バーが動き、「永瀬50:50藤井」となった。
藤井竜王・名人は予定通り、好点に角を打つ。永瀬王座はとりあえず5筋の歩を突いたが、藤井竜王・名人は飛車を交換したあと、5筋の金をボロッと取った。形勢バーは「永瀬23:77藤井」となり、逆転である。藤井竜王・名人、角を打つときは指先に自信がみなぎっており、おのが優位を自覚しただろう。永瀬王座は少しずつ少しずつ優位を重ねてきたのに、2手の疑問手で、あたら棒に振ってしまった。ここが将棋の恐ろしいところである。そして、堅実流の永瀬王座のコンピューターを壊すほど、藤井竜王・名人の圧力はすごかったのだ。
永瀬王座、桂の王手。しかし今度は上部が開けているので、藤井玉は悠々と上部に逃げられた。飛車の王手には、三段目に逃げ越す。永瀬王座は1分将棋で、ここから逆転の目を紡ぐことは難しい。ああ、藤井竜王・名人勝勢である。
以下、数手後に永瀬王座が投了した。
いやはや、藤井竜王・名人、この将棋を勝つ!? 全盛時の大山康晴十五世名人、羽生善治九段も大逆転がいくつもあったが、本局の藤井竜王・名人も、相当に僥倖な勝利だ。挑戦者決定トーナメント2回戦・村田顕弘六段との一戦もそうだったが、今期王座戦の藤井竜王・名人は、勝ち運に恵まれている。
さて、3局を終えて藤井竜王・名人の2勝1敗は、当人はその内容を考えれば、上出来だろう。
反対に永瀬王座は、敵陣に潜った玉を仕留められた第2局、好局を落とした第3局と、疲労の残る戦いとなった。
こうなってはもう、藤井竜王・名人の八冠王は決まったも同然である。第4局は10月11日(水)。私たちは、歴史の目撃者になる。
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「将棋ペン倶楽部」会報第80号 2023年秋

2023-09-26 23:21:04 | 将棋ペンクラブ
「将棋ペン倶楽部」会報第80号・2023年秋号が送られてきた。
今号の目玉はもちろん、「第35回将棋ペンクラブ大賞」の発表。最終選考委員は、川北亮司(作家)、西上心太(文芸評論家)、所司和晴(棋士)、森田正光(気象予報士)の4氏。
同大賞のウリはその透明性で、何人の影響も受けない。今年の選考過程も読みごたえがあり、これそのものがひとつの「作品」になっている。
「受賞のことば」も相変わらず面白い。とくに文芸部門大賞・橋本長道氏のそれは、その内容だけで一本の小説にできそうだ。
「推薦作ひとこと集」も、いろいろな意見が集まって、興味深い。これを書いちゃあ身もフタもないが、10人将棋ファンがいたら、10作の将棋大賞があってもおかしくない。

そのほかは、いつも通りレポート、エッセイ、オピニオンなど。
5月21日に行われた関東交流会は、「お手伝いレポート」として、山本氏が書いている。お手伝い側からの視点で書いた点が斬新だ。ひじょうに初々しいレポートで、好感が持てた。ただ、指導対局を受けた先生が誰だったか、記述がない。その先生の様子なども書いてくれれば、より臨場感が増したと思う。
今号からの新企画は「思い出の将棋本」。今後は4名が寄稿している。私だったら池田書店の大山名人本だが、6年前に十段戦・竜王戦の観戦記22年分と、ほとんどの棋書を捨ててしまったので、私には書く資格がない。将棋本を捨てるなんざ、本当の将棋ファンとは云えないのだ。
美馬和夫氏の連載「将棋狂の詩」は、「ねんりんピックのすすめ」。いつもながら展開が丁寧に記述されており、自分がその場にいるような錯覚に陥る。帰りのバスでの出来事は、あらゆる場面での「あるある」である。自慢話はほどほどにしたいものだ。
Nak氏は「令和のカンニング対策」。対策は極めて常識的だが、文書化された意義が大きい。
茂山氏は「棋で広がる交流」。今後は湯川博士・恵子夫妻の金婚寄席レポートだと思っていたから意外だったが、それは本編の後半に掲載されていた。当人は「あっさりと書きました」というテイで謙遜していたが、過不足なくまとめられており、面白く読めた。

大賞贈呈式は、10月6日(金)午後6時30分から、レストランアラスカ<築地店>で行われる。会費は8,000円。
ヒトの授賞式に大枚をはたいて出席するのもアレだからアレだったが、私はけっこうな犠牲を払って、出席できることになった。当日は渡部愛女流三段、上野裕和六段に会えるのを楽しみにしている。
あ、会場へは都営バスで行きます。
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