一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

社団戦第4日目

2019-09-30 09:39:15 | 社団戦
きのう29日(日)は社団戦第4日、団体個人戦だった。
でも私は欠席した。私へ平気で休むのである。
でもちょっと申し訳ないと思ったのは、今回は将棋ペンクラブが設営の当番に当たっていたこと。これはいつもより1時間早く入場しなきゃいけないから大変なのだ。
一公は設営をしたくなくてバックレたんじゃないかと思われそうだが、それはない。参加の皆様は、本当にお疲れ様でした。
そして対局のほうでも、勝ち点が0.1でも付いたことを祈っている。
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高貴な筋

2019-09-29 01:07:10 | 将棋雑記
先日の王位戦第7局で、オッと思う局面があった。A図、豊島将之王位が93手目▲4二金と打った手に対し、木村一基九段が△同金と取ったのだ。控室の予想ももちろん、△4二同金だった。

だが、守りは金を残せという。それなら△4二同金では△同銀とし、金を残すのがベターに思える。
だがこうはならない。すなわち△4二同銀には▲4一飛△2二玉▲4二とで攻めが続くのだ。
この、空白のマスに駒を放り込んで後で回収する筋は、詰将棋などでよく見られる。例えば「将棋世界」2015年7月号別冊付録・伊藤果八段作などがそうである。

むろん実戦でもあり、例えば1958年2月16日に指された第12期順位戦B級2組・▲北村秀治郎七段対△山田道美六段戦がそうだ。

投了図の一手前、▲5二金と打っては全然詰まないが、▲4二歩△同角を入れることで綺麗に詰む。
最近では、谷川浩司九段が通算勝利単独3位とした将棋が印象深い。

松尾歩八段との順位戦B級1組で、第1図から▲5二金△同銀▲5四香△6三玉▲5二成桂(第2図)、と進んだ。
▲5二金と空白マスに捨てて、後で回収している。

そして第2図から△6八歩▲5三香成△7二玉▲7四歩△8三金(第3図)となり、また例の筋が出る。

すなわち▲7三銀△同金▲6二成桂△8三玉▲7三歩成(第4図)である。

この将棋は中盤の入口でも、谷川九段が単に▲3二歩成と金を取らず、▲3四桂△5二玉と手掛かりを残してから▲3二歩成、とした順があった。いずれも谷川九段らしい、高貴な順ではないか。
だが私はこの筋を、ほとんど指したことがない。こういうシャレた筋は、私には縁がないようだ。

今回もプロの図面を多く出したので、ちょっとビビっている。
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歴代タイトルホルダー一覧

2019-09-28 00:06:52 | データ
17日の棋聖戦観戦記は、文中にタイトルの獲得者数が記されており、興味深かった。それによると、43名だそうである。そして木村一基九段が戴冠したので、44名になった。
そこで今日は、タイトルホルダー一覧を記してみる。戴冠順である。

木村義雄十四世名人 8期(名人8)
塚田正夫名誉十段 6期(名人2、九段4)
大山康晴十五世名人 80期(名人18、九段・十段14、王位12、王将20、棋聖16)
升田幸三実力制第四代名人 7期(名人2、九段2、王将3)
二上達也九段 5期(王将1、棋聖4)
山田道美九段 2期(棋聖2)
中原誠十六世名人 64期(名人15、十段11、王位8、王座6、棋王1、王将7、棋聖16)
加藤一二三九段 8期(名人1、十段3、王位1、棋王2、王将1)
内藤國雄九段 4期(王位2、棋聖2)
有吉道夫九段 1期(棋聖1)
米長邦雄永世棋聖 19期(名人1、十段2、王位1、棋王5、王将3、棋聖7)
大内延介九段 1期(棋王1)
森雞二九段 2期(王位1、棋聖1)
谷川浩司九段 27期(竜王4、名人5、王位6、王座1、棋王3、王将4、棋聖4)
森安秀光九段 1期(棋聖1)
高橋道雄九段 5期(十段1、王位3、棋王1)
桐山清澄九段 4期(棋聖3、棋王1)
中村修九段 2期(王将2)
福崎文吾九段 2期(十段1、王座1)
塚田泰明九段 1期(王座1)
南芳一九段 7期(棋王2、王将3、棋聖2)
田中寅彦九段 1期(棋聖1)
島朗九段 1期(竜王1)
羽生善治九段 99期(竜王7、名人9、王位18、王座24、棋王13、王将12、棋聖16)
屋敷伸之九段 3期(棋聖3)
郷田真隆九段 6期(王位1、期王1、王将2、棋聖2)
佐藤康光九段 13期(竜王1、名人2、棋王2、王将2、棋聖6)
三浦弘行九段 1期(棋聖1)
藤井猛九段 3期(竜王3)
丸山忠久九段 3期(名人2、棋王1)
森内俊之九段 12期(竜王2、名人8、棋王1、王将1)
渡辺明三冠 23期(竜王11、王座1、棋王7、王将3、棋聖1)
深浦康市九段 3期(王位3)
久保利明九段 7期(棋王3、王将4)
広瀬章人竜王 2期(竜王1、王位1)
糸谷哲郎八段 1期(竜王1)
佐藤天彦九段 3期(名人3)
菅井竜也七段 1期(王位1)
中村太地七段 1期(王座1)
高見泰地七段 1期(叡王1)
豊島将之名人 3期(名人1、王位1、棋聖1)
斎藤慎太郎王座 1期(王座1)
永瀬拓矢叡王 1期(叡王1)
木村一基王位 1期(王位1)

戦後70余年で44名は少ないのだろう。それだけタイトル獲得は難しいということだ。
ただしこの2、3年では、初戴冠が頻発している。観戦記では、防衛の難しさにも言及していた。かつて大山十五世名人は、「タイトルは防衛してはじめて一人前」と言ったが、至言である。
藤井聡太七段の初タイトルはいつになるだろう。
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木村一基九段がタイトルを取れた理由

2019-09-27 12:34:54 | 男性棋士
豊島将之王位に木村一基九段が挑戦する第60期王位戦第7局は、26日、110手まで木村九段の勝ち。木村九段はタイトル挑戦7回目にして、初のタイトルを獲得した。
第7局も豊島王位が攻め、木村九段が受けるという展開だった。中盤、豊島王位の▲7三銀に△5一飛が意表の手で、これはのちの▲7三角成が飛車に当たるから損とされていた。
指しかけの局面も、後手の形は私から見たら不安だらけで、すぐにも攻め潰されそうだ。
しかし攻めるは守るなりで、80手目△7七銀が好手だったようだ。以下▲5八玉△7八銀不成となると金の丸儲けも大きく、プロは均衡を保つものだと感心した。
そして84手目△6九角が強手(第1図)。

この手は最後の最後まで読めないと指せない手らしく、それが打てたということは、木村九段の勝利を意味する。とはいえ以下▲4九玉△3六角成の局面も素人から見たら優劣不明で、ここで後手勝ちと断ずるプロの見解が凄まじい。私はこういう時、プロとアマの実力差を痛切に感じるのである。
数手進んで、102手目△4五桂(第2図)が会心の跳躍である。

これは62手目▲6五銀取りに打ったものだが、すぐに銀交換となり、盤面から消えていた。すなわち△5三桂は、半分スカタンになったのだ。
だが勝ち将棋鬼のごとしで、勝つ時はこういう遊び駒が働くものなのだ。
最後は▲2一飛成の王手に△2二飛合で豊島王位投了。どうであろう、いかにも木村九段らしい終了図ではないか。

第1、2局の連敗からの逆転奪取である。繰り返すが、46歳3ヶ月での初戴冠は見事。これは有吉道夫九段が1973年に達成した「37歳6ヶ月」を大幅に更新するものである。
このところの木村九段は、順位戦はA級復帰、竜王戦は挑戦者決定戦進出、そして王位戦は、羽生善治九段と時の名人を降しての戴冠と、凄まじい勢いである。まさに神懸かりで、この歳で棋士人生の絶頂とは、説明がつかない。いったい木村九段に何が起こったのだろう。
木村九段がタイトルを取れた理由。それは一にも二にも努力の賜物なのだろう。人間、努力すれば必ず報われる。それを体現してくれた木村九段の快挙だった。
木村先生、おめでとうございます。
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王位戦最終局、ついに始まる

2019-09-26 00:09:18 | 男性棋戦
25日から、ついに第60期王位戦第7局が始まった。対局者は若き名人・豊島将之王位と、悲願の初タイトルを狙う木村一基九段。今年度最も注目される一番である。
ここまで両者3勝3敗なのは当然だが、通算成績も豊島王位9勝、木村九段8勝と拮抗している。しかし最近の豊島王位の充実ぶりを見るに、一番勝負なら豊島王位が厚い、と見る向きが多かろう。
ただし不安材料もある。第6局に豊島王位が敗れたとき、豊島王位は「▲7七金(第1図)がいい手で、端の突き捨てを咎められた形になった」と語った。

たしかに▲7七金はいい手だったらしいが、実は豊島王位は、第3局でも木村九段に△5三金(第2図)と力強く指されて敗れているのだ。

この苦い経験が脳裏にあれば、第6局の▲7七金も浮かびそうに思うがどうなのだろう。
それを軽視していたということは、豊島王位はまだ、木村九段の棋風を掴みかねているのではないか。
最終局は豊島王位の先手番で、角換わりになった。
刺し掛けの局面では豊島王位が攻めているが、これは両者の棋風通りだ。日付変わった今日26日に結着がつくが、私は履歴書を書きながら戦況を見守ることになる。
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