一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

8月19日の4時から男(後編)

2017-08-31 11:18:15 | 新・大野教室

第3図以下の指し手。△8九角成▲同玉△7八歩(投了図)
まで、一公の勝ち。

表は大変な土砂降りになっていた。私は傘を持ってこなかったので、帰りは誰かの傘に入れてもらわねばならぬ。
私は△8九角成とバッサリいった。対穴熊戦で、大駒を切って金を剥がすのは気持ちがいい。
▲8九同玉に△7八歩がトドメだ。これに▲同玉は△6八金以下詰み。先手は攻防ともに見込みがなく、ここでSato氏が投げた。

「必勝の将棋を落とした…」
とSato氏がつぶやく。
私も同じ経験は何度もしているので、Sato氏の気持ちはよく分かる。私は僥倖の勝利だったが、たまにはこんな椿事があってもバチは当たらないだろう。

洋間では、Fuj氏が四枚落ち戦を指していた。見ると下手(新人)が勝勢で、どんな手合いでもいい勝負に持ち込むFuj氏にしては珍しい展開だ。
男性は質駒を取って、最後は綺麗に詰ました。ちょっと手合いが違うようで、上手から見ると、また厄介な下手が登場した形だ。
その男性と私が、四枚落ちを指すことになった。
こういう場合、ふつうに指していては負ける。二枚落ちなら定跡通り指すが、四枚落ちは相手も男性だし、ちょっと変化してもいいのではないか。
対局が始まったが、私は右銀を左辺に持ってくる変化球をほうってみた。
男性は銀交換を果たしたが、たぶん勉強しているであろう形と若干形が違うので、混乱したようだ。そうこうするうち私が徐々に厚みを築き、指しやすくなってきた。
右ではTaga-Kobaの平手戦が行われていたが、これはさすがにTaga氏が優位か。だがよく見るとKoba氏が指せる感じで、予断を許さない。
私のほうは中央でゴチャゴチャした戦いになり、ここで下手氏が▲4六角と飛びだせばまだまだだったが、それを逃してからはやや一方的になった。
私は左右の桂が相手の金銀と交換になり、大きな戦果を得た。最後は下手玉を即詰みに討ち取って私の勝ち。

検討には大野八一雄七段が加わってくれ、上手陣の攻略法を検討した。これが下手はもちろん、上手も勉強になるのである。なぜなら、下手の正解手順は2~3だが、そのほかはすべて上手の紛れの手になるからである。
男性には、大野七段が改めて四枚落ちの講義を行った。たぶん、これが最も勉強になると思う。
表が雨なので、今日は帰る人が少ないようだ。
私は4局目にU君と指す雰囲気もあったが、最終的にTaga氏と指す。U君は大野七段に教えてもらうことになった。
「大沢さんすげえよなあ」
とTaga氏が言う。「女流棋士との指導対局の記譜を、全部覚えてるんだもんなあ」
私のブログを見てのことらしい。
「ああそれ、指導対局の時は、記譜を付けてるから」
女流棋士との指導対局は記念になるので、正確な記譜を残すようにしている。
平手で私の後手。Taga氏は四間飛車に振り、私が緊張感なく進めていたら作戦負けに陥り、劣勢になった。せっかく今日は星が集まっているのに、ここで落とすのか…と落胆した。
が中盤、私の△4六歩にTaga氏が手抜きしたのが、つまずきのはじまり。
私は△4四香と据える。▲6六角の利きにはそれを防ぎつつ△5五桂と打ち、気が付いたら先手は4七の地点が受けづらくなっていた。
以下は攻め合って私の勝ち。将棋は与しやすい相手でも油断してはならない、と教えられた。

右はOk氏とKoba氏の一戦。このふたりは棋力的に同じで、いい勝負と思う。将棋はKoba氏が勝勢になり、最後は▲2六金・△2四玉△2五桂の形から、▲2五金△同玉▲2六金△2四玉▲3六桂、という詰み筋があったが、Koba氏は迂回ルートで詰ました。このあたりをスムーズに詰ませられれば、初段はもうすぐだ。

というところで、そろそろお開きである。今日は4局指して4勝0敗。2局目は敗勢、4局目も劣勢だったから、この数字は望外だ。
だが私は、星を引き換えにしてでも、早く職を見つけたい。こんなところで運を使いたくない。
食事は駅近くのインドカレー屋へ行く。まだ雨が降っていたので、私はW氏に傘を借りた。
こんな私生活だと、ヒトの親切が身に沁みるのである。
店での席の配置はこんな感じ。

   壁
 W Fuj Koba
              壁
Taga 大野 Ok 一公

この夜も話が弾み、私はいくぶん気力を回復できた。
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8月19日の4時から男(前編)

2017-08-30 12:55:04 | 新・大野教室
暦は8月になって、私はもはや将棋どころではないのだが、19日(土)は埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。今回も「4時から男」である。
途中、川口駅の立ち食いそば屋が魅力的だったが、今回はやめておく。少しでも節約である。教室には4時キッカリに入った。
洋間では大野八一雄七段が指導対局の真っ最中。和室では生徒同士の対局が行われていた。Ok氏やE氏など、最近では懐かしい顔があった。
「じゃあ大沢さん早速だけど」と、手合い係のW氏がKoba氏との対局をつけてくれた。私の二枚落ちである。
Koba氏は筋がよいので、私の二枚落ちはかなり苦しいが、まだどこかで誤魔化せそうな気がした。
将棋はKoba氏の二歩突っ切り。私は例によって▲3五歩に△2二銀を受けない。以下▲3四歩△2二銀▲3三歩成△同銀▲3四歩△2二銀となったが、私はここで得た1歩を8筋方面で使うつもりだ。
数手進んで私は△8六歩▲同歩△8五歩。ここでKoba氏が応接しなかったので、私は△8六歩と取り込んだ。これは大きい。
上手にどんな狙いがあろうとも、△8五歩には断乎▲同歩としたい。

部分第1図から△8七歩成▲同金△8六歩▲7七金△7六歩▲7八金△8七歩成▲同金△8六歩▲9七金△8五桂(部分第2図)と進んだ。

2度目の△8七歩成の時、Koba氏が「ダンスの歩か…」とつぶやいたが、この手筋を知っているとは、Koba氏はやはり並の級位者ではない。
だがKoba氏も失敗した。第2図で別の場所に手をやったのが失着で、ここでは▲9八金ともう一手辛抱すべきだった。仮に私が△8七歩成▲同金としても、△8六歩と打つ最後の一歩がない。
戻って▲7七金の時、私は△8五桂と跳ねるべきだった。これに▲7八金なら△8七歩成▲同金△8六歩でよい。最初は歩で金を取る狙いだったが、金桂交換でも上手は満足しなければいけなかった。
幸い本譜も△9七桂成と駒得し、これは上手が優勢になった。

進んで第3図。ここで▲4五飛と逃げた手が▲6五飛を見て一石二鳥。私はお手伝いをしたかと焦ったが、よく見ると下手玉が詰んでいる。
すなわち△6八金▲同金△同桂成▲同玉△7六桂▲7九玉△8八金(投了図)までである。Koba氏は一瞬詰みと分からなかったが、角の利きが素晴らしく通っている。

2局目はSato氏と。Sato氏とは毎回激戦が多いが、たいてい私が劣勢になり、そこから惨敗するか逆転勝ちするかのパターンになる。
振駒でSato氏の先手になり、▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角。早々に飛車先の歩を決めてきた。これはSato氏に用意の作戦があるか、私の戦法を狭めるかの意味がある。そのどちらも外す意味で、私はその後中飛車に振った。
数手後Sato氏は▲9八香と穴熊の明示。しかし▲5八金を上がっているのがどうなるか。
私は向かい飛車に振り直した。それでSato氏の▲6八角が必要となり、右金の活用が難しくなった。
Sato氏は角の利きを活かして▲2四歩と伸ばす。私も△5三角の利きを活かして△2六歩と伸ばしたが、緩着。ここは△6四角と飛車取りに覗くべきだった。
というのは、Sato氏の▲4八金が形に捉われない好手で、次に▲3七金~▲2六金が実現すると、後手は完封負けしてしまう。
私は角銀交換の駒損で攻めたてたが、Sato氏に正しく応接されて、敗勢。
それ以降も美濃囲いのコビンを執拗に攻められ、私は投了寸前になった。
指導対局なら投げていたが、30秒将棋では心の整理がつかないから、なんとなく指し継いでしまう。
そのうちSato氏にも疑問手が出て、気が付けばこちらにもずいぶん楽しみのある将棋になっていた。

第1図以下の指し手。▲9二竜△5一玉▲6二歩△同金直▲7四桂△6一金引(第2図)

△4六馬と引いて竜銀両取り。Sato氏は▲9二竜と引いて王手。ここで△7三玉もあったが、金銀の多い△5一に引いた。
Sato氏は▲6二歩から▲7四桂と打ち、△6一金引に攻めるか受けるか。

第2図以下の指し手。▲8八銀打△7七歩成▲同桂△6九飛▲8九金△5九飛成▲6八香△5六角▲6六香(第3図)

双方秒読みの時は、分かりやすい手を指せるほうが有利だ。私は相手の手に乗って指せばいいからラクだ。第2図は攻める手もあって迷うところだが、Sato氏は▲8八銀打と守った。だが△7七歩成が利いてしまった。
これを▲同銀と取って△7九馬に▲7三桂もありそうだったが、本譜は▲同桂。ここで△6九飛が狙いすました一手だ。
次に△7九馬があるのでSato氏は▲8九金と埋めたが、私は△5九飛成と角を取って、本局ではじめて有利になったと思った。
戻って▲8八銀打では、▲8八銀と躱す手もあったかもしれない。
▲6八香は攻防の手だが、私は△5六角。Sato氏はいきおい銀を取ったが、ここで後手に決め手がある。

(つづく)
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1勝3敗からの逆転劇はあるか

2017-08-29 12:54:42 | データ
第58期王位戦七番勝負・羽生善治王位VS菅井竜也七段は、第4局に菅井七段が勝ち3勝1敗とし、羽生王位をカド番に追い込んだ。
羽生王位は絶体絶命だが、将棋界では1勝3敗からの逆転劇はあるのか、調べてみた。
まず、1勝2敗のほうが第4局に負けて1勝3敗になったケースは過去96回(名人戦20、九段戦1、十段戦11、竜王戦9、王将戦33、王位戦22)あるが、その後3連勝して逆転した例は4つしかない。すなわち、

第15期王将戦 大山康晴王将VS山田道美八段(大山●○●●○○○山田)
第31期王将戦 大山康晴王将VS中原誠名人(大山●○●●○千○○中原)
第40期王将戦 南芳一王将VS米長邦雄九段(南●○○○●●●米長)
第50期名人戦 中原誠名人VS高橋道雄九段(中原●●○●○○○高橋)

である。五番勝負では2連敗3連勝はけっこうあるが、長期戦の七番勝負では負けている側の精神力がもたないのか、かなり少ない。

次に、七番勝負でいきなり3連敗し、第4局に1勝を返して1勝3敗になった場合。これは29回(名人戦10=第4局の持将棋は一局に数えない、十段戦3、竜王戦5、王将戦4=3連勝指し込み後の第4局は数えない、王位戦7)あるが、その後3連勝して逆転勝利したケースは2回のみである。

第21期竜王戦 渡辺明竜王VS羽生善治名人(渡辺●●●○○○○羽生)
第50期王位戦 深浦康市王位VS木村一基八段(深浦●●●○○○○木村)

ちなみに羽生三冠が七番勝負で1勝3敗になったケースは16回(竜王戦3、名人戦6、王位戦4、王将戦3)あるが、上記のように、逆転勝利したケースはない。
つまりさすがの羽生三冠といえども、今回は旗色がわるい。
今日は王位戦第5局が指されているが、羽生王位の戦いが注目される。
コメント (2)
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就職活動

2017-08-28 12:43:30 | プライベート
我が会社の業務はとっくに終了しているが、まだウチには得意先に納品する在庫が残っていて、明日も納品がある。
ただその合間に就職活動はできるわけで、私は遅ればせながら7月中旬に、A区の職業安定所を訪れた。

ちなみに今まで私が職安を利用したのは何回かあって、一度目は20代前半、新卒で就職した会社にリストラに遭った時だ。
この時は会社都合の離職だったので、給料の6割が最大6か月間支給されることになり、それを貰いにいった。
ほどなくして私は叔父の会社に就職したので、職安との付き合いはそれで終わった。
しかし叔父の会社も経営があぶなくなり、私は再び離職。またも職安を利用した。28歳の時である。
このころの職安はインターネット出現前だったので、求人はその職安のエリア内が主だった。求人票がファイルの束になって置かれており、そこからピックアップしたファイルを窓口に持って行き、連絡を取ってもらうのだ。
この時不思議だったのは、最初の会社をいっしょに辞めたSという男性と、いっしょに就職活動を行っていたことである。
このSがどうしようもないクズで、私は彼に都合18万円を貸したが、1円も返ってこなかった。
それで私は、友人に金を貸す時は、金は戻ってこないもの、と学習した。
ただ、一人より二人での求職は心強かった。
この職安で私は、その後6年半勤務することになる四ッ谷の広告代理店を見つけるのだが、そこでの顛末は以前触れたので割愛する。
参考までにSにはその後一度会ったが、容姿がまるっきり変貌していて、見る影もなかった。

話を現在に戻す。現在日本は空前の人手不足だというが、それは3Kとか4Kの話であって、50オーバーの男がいざ就職しようと思えば大変なのは覚悟していた。
職安に行くと、現在はずいぶん先進的になっていて、ネットでの検索が当たり前になっていた。地域の壁が取っ払われたので、日本全国の求人票が見られることになったわけだ。
私が今回狙うべき職種は文章に携われるものだが、それ系は絶対数が少ない。私が若かったら営業系だろうが、自分が売りたくもない品物を営業するのはイヤだった。
次に職安に訪れた時、ピックアップして受付に持って行くと、係の人が、この会社は○人の応募があって、現在○人が選考中です、の返事があった。今はこんなことまで教えてくれるらしい。
そして紹介状を発行してくれた。それに履歴書と職務経歴書を添付して、郵送するのである。つまり面接はその後、というわけだ。
昔の職安は、会社を紹介されたらすぐ面接、という手順だった。もちろん、職安からの紹介状も必要なかった。今は慎重に選考をしているということだろう。
さらに帰り際、「応募書類の作り方」「職務経歴書の作り方」の冊子をくれた。まさに至れり尽くせりで、私たちの税金で作られているとはいえ、今は随分国のサポートが手厚い。
ちなみにこの時応募した会社は、書類選考で不採用にされた。面接まで行かないとは、ショックだった。返事がメール、というのも今風だ。
しかし考えてみれば、私は学歴も大したことはなく、資格も持っておらず、ほかの求職者に比べて劣るのは明らかだ。会社だって同じ能力なら、年齢の若いほうを採る。

最近テレビで「Indeed」なる求職サイトのCMをやっているので、そのサイトも見てみた。
たしかに求人の会社はいっぱいあるが、玉石混交で、ポイントが絞れない。これはという求人があっても、年齢制限で引っ掛かってしまう。
アダルトビデオの商品タイトルを月に60個考えていただきます、という仕事には食指が動いたが、将棋仲間はともかく、身内に胸を張っていえない業務なので、応募はできなかった。

職安は全国どこでも同じモノが見られるので、私はT区に行った。ここなら徒歩でも35分で行ける。
その職安の壁やモニターの前に「就職にはタイミングが大切です」の貼り紙があった。
まさに至言だと思う。企業の求職はいつも更新しているので、つねに目を光らせていなければならない。
新たな求人を見たので、窓口を通じて応募してみる。しかしここも、面接前にハジかれた。
この企業など、私にはピッタリだと思うのだが、面接の土俵に立てなければ勝負ができない。
企業の求人票はプリントアウトできるので、これはと思う企業は片っ端からプリントする。それらを細かく見ると、不可解な記述も多い。
残業が月10時間と謳っていながら、「月給には月40時間分の固定残業手当が含まれています」とある。これは、残業が月40時間以上あるってことじゃないのか?
またある企業は、「必要な経験等」に「不問」としながら、「PC操作は必須」の一文があった。それなら「不問」じゃないのではないか?
資格もハードルが高いものがある。高給でもないのに、「英語堪能な方」「中国語ができる方」などとある。
外国語が堪能な人が、職安で職探ししてますかね。
改めて職安に行った時は、ある出版社が編集者を求めていた。これを申し込んだら、窓口で「企業からは、アダルト系、の文言が付け加えられております」と言われ、迷ったが応募を取りやめた。
かように就職活動は難しい。

ウチが会社を畳むことになった時、地元の工業会の担当者が、医療保健の手続きで親身になってくれた。
その時私は「8月までにはさすがに就職を決めているでしょう。ガハハハ」と高笑いしたが、いまはその時の自分を笑ってやりたい気分だ。
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8月12日の女流棋士指導対局会・中村真梨花女流三段編(後編)

2017-08-27 22:50:19 | 女流棋士の指導対局会

第7図以下の指し手。▲5九桂△8九桂成▲5二成香△5九竜▲同金△同馬▲6一成香(第8図)

この局面で左の四枚落ちの将棋が終わり、下手の快勝。感想戦が始まったので、私は現局面をじっくり考えることができた。
まず、下手のこの囲いを何というか知らないが、唯一の弱点は「7七」で、竜が一段目に利いている時は、△7七歩と一本打たれるだけでもシビれてしまう。今回は頭の丸い△7七桂だったが、それでも手になっているのに驚いた。
△7七桂に、捨て置けば△8九竜があるので挨拶をしなければならない。まず▲7七同玉は△8九竜で生きた心地がしないので、却下。
次に▲7七同金は△6九銀▲8八玉△5八銀成で、金一枚をボロッと取られるのは痛い。
最後に▲7七同桂だが、これにA△9九竜なら、▲8九金△9六竜▲5二成香で下手勝ち。
だがB△8九銀▲8八玉△7九銀の追撃が嫌味だ。
私は一息入れるべく手洗いに立つ。戻る間際Kaz氏が手空きだったので聞いてみると、1~2コマで2局を終えたという。戦績は、中村女流三段に平手で勝ち、和田女流初段とは時間切れ引き分けになったという。
それを聞いたら、私もこの将棋は負けるわけにはいかない。
まだ時間があるので、四枚落ちの男性は、二枚落ちで再戦。「でも作戦がなくなっちゃいました」と謙虚だ。
Hon氏も佐藤氏との検討を終え、2局目は平手で行うことになった。
私はいろいろ考えた末、▲5九桂と受けた。しかしいかにも味の悪い手で、負けたらこれが敗着になると思った。
△8九桂成に▲同玉は結着が長引くと見て私は▲5二成香だが、中村女流三段は△5九竜と、こちらを切ってきた。もっとも△5九馬から入ると▲7一角からの詰み筋が生じるので、当然ではあった。
▲5九同金△同馬に、私は下手玉が不詰みと見て▲6一成香と金を取ったが…。

第8図以下の指し手。△7七銀(投了図)
まで、98手で中村女流三段の勝ち。

第8図で△6一同銀は▲7二飛以下詰み。よって上手は下手玉を詰ますしかないが、中村女流三段に△7七銀と打たれてビックリした。何と、これで詰んでいる。私は呆れて投了。
中村女流三段は、「最後は私が負けていたような…」とつぶやいた。「でも(第6図からの)▲3五歩がいい手でしたね」。
上手は下手の手を何かしら褒めなければならないが、いくら下手がいい手を指しても、負けてしまったら意味がない。
大野八一雄七段が感想戦に加わってくれたが、「え? あの将棋を負けたの? ちょ、ちょっと戻してよ」と遠慮なくくる。
私は第7図に戻したが、△7七桂には▲7七同桂でよかったようだ。以下Bの△8九銀▲8八玉△7九銀なら、▲9七玉(参考図)で、以下△6八銀成▲同銀は下手に▲7一銀が生ずるから下手の一手勝ち。

「このくらい(▲9七玉まで)は私でも読めたんだが…」
と私はつぶやく。しかしその後の攻防が読み切れず、却下してしまった。
感想戦を終え、時計を見ると4時50分である。当然中村女流三段は2局目を申し出てくれたが、私は自分の脆弱な終盤に呆れ、2局目は固辞した。

というわけで、本日の女流棋士指導対局会は0勝2敗。1局ぐらい入れたかったが、連敗。これも実力なので仕方ない。
中村女流三段も和田あき女流初段も早見え早指しで、指していて気持ちよかった。
次に教わる機会があることを楽しみにしています。
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