一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第8回・世田谷花みず木女流オープン戦(1)

2015-04-30 00:04:19 | 将棋イベント
4月29日(水・祝)は、世田谷区の「玉川高島屋S・C」にて、恒例の「世田谷花みず木女流オープン戦」および「花みず木子供竜王戦・決勝戦」があった。
「女流オープン戦」は2007年に東京都世田谷区で「将棋の日」が行われるにあたり創設された。以後、東日本大震災のあった2011年を除き、二子玉川花みず木フェスティバルのあるこの時期に毎年開催され、今年で8回目となる。
今年の参戦女流棋士は、中村真梨花女流二段、室谷由紀女流初段、飯野愛女流1級、北村桂香女流1級の4名。中村女流二段以下3名は本棋戦でおなじみだが、関西在住・北村女流1級の参戦は新鮮だ。
解説者は、プロデューサーの島朗九段と、中村修九段、森下卓九段。聞き手は鈴木環那女流二段と藤田綾女流初段で、これもいつものメンバーだ。今年はさらに中井広恵女流六段が名を連ねる。これはどう考えても、観戦に行く一手である。
29日は、8時45分ごろ起きた。手早く朝食を摂って、渋谷に向かう。渋谷は、昨年6月に「女流棋士発足40周年記念パーティー」にお邪魔して以来だ。すなわち渋谷は、私の生活には無縁だ。
東急田園都市線に乗り換えて、二子玉川で下車。「玉川高島屋S・C」6階に着いたのは、10時20分ちょうどだった。
開会は10時30分からだが、席はあらかた埋まっていて、私は後方にあるベンチ席に座った。定員は50人とあったが、椅子席は34前後しかなかった。
前の席にはミスター中飛車氏がいるが、ジョナ研メンバーはいない。ジョナ研メンバーは、それほど将棋が好きでないのかもしれない。
という私はこの棋戦の観戦は3回目だが、今年は一眼レフカメラを持参した。もちろん室谷女流初段を撮るためで、それゆえ今年は少しでも彼女に近づきたい。しかし出遅れた。
本当に室谷女流初段を撮影したいなら、開店時間前に建物の前で並ぶくらいでないとダメなのだろう。つまり私には、そこまでの執念がなかった。
まずは準決勝の2局である。司会進行はおなじみ、中村アナウンサー。早速対局者の4名が登場した。向かって右から、室谷女流初段、飯野女流1級、中村女流二段、北村女流1級。4名とも、春らしく明るい装いである。
中でも室谷女流初段は、相変わらず綺麗だ。朝だからか、顔がはれぼったくも見えるが、それでもほかの女流棋士とは大駒1枚違う。
昨年、彼女は聞き手で起用されていたが、体調不良で欠席となった。あのときの絶望から1年、同じ地でついに願いが叶い、私は感慨深いものがあった。
4人が順番に紹介され、ここで待望の撮影タイムとなった。い、いよいよである。持ち時間は1分、ターゲットは室谷女流初段のみ。
カシャカシャッ!! 横位置で撮影したが、うまくいかない。撮れてはいるが、写っているだけではダメなのだ。
それで縦位置に直して1枚撮ったら、もう撮影タイムが終わってしまった…。ま、まあよい、私は室谷女流初段のきもの姿が撮りたいのだ。もっともそれには、最初の1局に勝ってもらわねばならないが…。
解説者等も紹介されたが、島九段と鈴木女流二段はいなかった。現在近くの小学校で子供竜王戦の予選が行われており、そちらに行っているのかもしれない。
さて準決勝第1局は、室谷女流初段と飯野女流1級の対戦である。対局前のインタビュー。
室谷女流初段「ここでは久々の対局なので、緊張しています」
飯野女流1級「本棋戦ではいい思い出があまりありません。室谷女流初段は強敵なので、相手の顔を見ないように頑張りたい」
解説は森下九段、聞き手は藤田女流初段。今年は大盤が向かって右に設置されていた。
と金が3枚出て、飯野女流1級の先手。定刻を5分遅れの10時45分、ついに対局が開始された。

▲女流1級 飯野 愛
△女流初段 室谷由紀

▲7六歩△3二飛▲7八飛△5二金左▲6八銀△3四歩▲4八玉△6二玉▲5八金左△3五歩▲2八銀△7二玉▲7五歩△8二銀▲6六歩△3六歩▲3八金△3七歩成▲同銀△4二銀
▲6七銀△3六歩▲4六銀△4四歩▲5六銀△4三銀▲7四歩△同歩▲同飛△7三歩▲7五飛△3三角▲3七歩△同歩成▲同銀△6二金直▲3九玉△5四歩▲4六歩△3六歩
▲2八銀△4二角▲7六飛△3四銀▲6五歩△3五銀▲1六歩(第1図)

飯野女流1級の▲7六歩に、室谷女流初段はいきなり△3二飛と振る。
「今泉流ですね。最初にこれを見た時は、ナメてんのかと思いました」
森下九段の実直解説が始まった。「相振り飛車は、昔はベテランの戦法だったんですね。戦法を研究しない人が、それをカバーするために指したこともありました」
いきなり森下節の炸裂である。ただ現在の相振り飛車はシステム化が行き届き、そんなことはない。
出だしを見るとどうなることかと思ったが、よくある相振り飛車に落ち着いた。
まだ戦いが始まってないので、解説は雑談が交じる。藤田女流初段は前週に天童で行われた「人間将棋」に出場した。
「武将になった気分でした」
私も生で見たかったが、天童までは遠い。
森下九段の解説が続くが、惜しむらくは、黒山が邪魔をして、大盤の下半分が見えない。対局者もそうで、私の座っている位置からでは、ふたりが見えない。当棋戦も8回目になれば、観客や関係者からの要望も集まっているはずだが、ソフト部分が一向に改善されないのは解せないところである。
▲6七銀に△3六歩。後に取られるかもしれなから、決断の一手(森下九段)だ。「室谷さんは、読みが深いです」。
本局の棋譜読み上げは一般人だが、「先手」と「後手」を言い間違える。棋譜読み上げにも、技術がいるのだ。
飯野女流1級は▲3七歩とし、目障りな△3六歩を取り除きにいく。人頭の隙間から対局者を覗くと、ふたりとも盤に覆いかぶさるようにして考えていた。
室谷女流初段は再び△3六歩と打つ。これを▲同銀なら、△4二角と引いた手が飛車銀両取りとなる。
飯野女流1級は▲2八銀と引くが、これは辛い辛抱だ。
室谷女流初段は△3四銀~△3五銀と繰り出し、好調。飯野女流1級は▲1六歩とし、銀の可動領域を拡げる。
ここから室谷女流初段は秒読み。△3四飛ぐらいと見ていたのだが、女・室谷由紀の指し手は違った。

(つづく)
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LPSA芝浦サロン・船戸陽子女流二段18

2015-04-29 01:55:26 | LPSA芝浦サロン
2011年7月13日のLPSA芝浦サロンで、私は指導の船戸陽子女流二段に痛い黒星を喫し、ワイン勝負は2勝7敗となった。つまりあと1つ負けると、船戸女流二段へのワイン進呈が決まる。
そこで船戸女流二段は
「もう1局行っちゃいますか」
と言った。
まだ時間があったということもあるが、こんな勝負、早く終わらしちゃいましょう、というニュアンスがあった。
以前も記したが、ワイン勝負の途中から船戸女流二段は、この勝負を嫌悪しているフシがあった。しかし私は気付かないフリをしていた。もちろん私は2局目を受け、お代わり代1,000円を払い、再び対局開始となった。
私の居飛車明示に、船戸女流二段は中飛車穴熊。これは船戸女流二段の裏芸で、中飛車と穴熊はセットにするのが陽子流だった。
私は左美濃に組み、船戸女流二段の攻めをいなす。ちょっと金銀がバラバラだが、戦っているうちに歩得し、指しやすい形勢と思った。
中盤、▲2八飛と回って△2六の角取り。船戸女流二段は△2五歩と受けた(第1図)。

第1図以下の指し手。
▲2二歩△3九銀▲8八飛△4八角成▲2一歩成△5七馬▲7八金△4六馬▲1一と△4八銀不成▲7五香△同金▲同歩△同飛▲5三成銀△5七銀成(第2図)

ここで私は▲2二歩と打った。着実な攻めだが、飛車の侵入を邪魔する可能性もあり、一長一短である。
船戸女流二段は△3九銀。指された瞬間の正直な気持ちを記せば、
「こんなイモ手を指すなんて…」
と悲しくなったものだった。
私は▲8八飛と横っ飛びしたが、いまなら▲2七飛とひとつ浮くと思う。これで上手にこれといった手がない。
私は得した香で金と交換し、好調。ただし飛車の動きを自由にしたキライもある。
船戸女流二段も巧妙に銀を働かせ、食いついてくる。ここで私が間違えた。

第2図以下の指し手。
▲6五金△7七飛成▲同桂△6七成銀▲同金△7六歩▲7四桂△7七歩成▲同金△7六歩▲同金△6七銀▲7七金打△6九角▲7八歩△7六銀不成▲同金△6七金▲8二桂成△同金
▲4二飛△7八金▲同飛△同角成▲同玉△7九飛▲8七玉△7一香▲7四歩△8四桂(投了図)
まで、132手で船戸女流二段の勝ち。

▲6五金がつまらなかった。△4五飛と回られる手を防いだものだが、船戸女流二段によろこんで△7七飛成とされ、▲6五金がスカタンになってしまった。
動揺した私は▲7七同桂と取ったがこれも疑問で、まだ▲同金と取るところだった。
本譜は△7六歩以下快調に攻められ、ここでは負けた気分になっていた。最後は△8四桂と打たれて、投了。その場の空気が、どんよりした。
すかさず船戸女流二段が、
「私は1回断ったんだからね」
と困惑気味に言った。
私はうなだれて、言葉も出ない。とりあえず、感想戦らしきものをする。△2五歩(第1図)の局面、私は
「勝ったと思ったんだが…」
と言うと、船戸女流二段は
「たしかに大沢さんのほうが優勢かもしれないけど、まだまだ勝負は先でしょう」
と返した。
まあ感想戦をやったところで勝敗がひっくり返るわけでなし、私もそれ以上は食い下がらなかった。
これでワイン勝負は終わったが、その星を書けば、「●○○●●●●●●●」である。連勝後の7連敗とはヒドく、まさかこんな星取りになるとは思わなかった。
別に言い訳をするつもりはないけれど、勝負の後半は、気持ちがこもっていなかった。とにかく、ここ何か月かのふたりの雰囲気が悪すぎた。何でこうなってしまったのか分からぬが、これは修復不可能だと思った。そして何となく、船戸女流二段とはもう指導対局を指さない予感がした。
賞品のワインは、船戸女流二段の所望のものを、翌週の「木曜ワインサロン」のときに進呈した。
しかしこのワインも、ソムリエの目から見ると、あまりコンディションがよくなかったようである。素人にワイン選びは難しかった。
その翌月、船戸女流二段は結婚を発表。私は同年9月1日の「木曜ワインサロン」に参加し、これが船戸女流二段との最後の対局となった。

いま、当時の将棋を並べ返してみて、投了の局面は、何か受けがあるように思える。その前の▲7四歩でも、もう少し気の利いた手があるように思える。
また、私が優勢と思った△2五歩(第1図)の局面は、次に▲6五歩△同金▲1一角成があるようだ。
もっとも△2五歩の局面で当時考えたのは、▲3七金(参考図)と打つ手である。これに△6二角なら、▲2五飛とさわやかに走り、飛車で桂を取る手を見る。「▲3七金」だったら、船戸女流二段はどういう見解を述べるだろうか。
もし船戸女流二段にどこかで偶然お目にかかったら、聞いてみたいと思っている。
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植山悦行七段は、ラーメン好きの小池さんに似ている。

2015-04-28 01:02:31 | 似ている
日付変わってきょう4月28日は、植山悦行七段の誕生日。おめでとうございます。

さて、大野八一雄七段の誕生日に「似ているシリーズ」を書いたので、植山七段のそれも書かなければ不公平であろう。
植山七段は、マンガ「オバケのQ太郎」に出てくる、ラーメン好きの小池さんに似ていると思う。正確には、植山七段の少年時代の姿が、小池さんにそっくりだと思う。
小池さんは、「オバQ」をはじめ、藤子不二雄作品全般に登場する、全国的に有名な脇役キャラである。そして小池さんは大抵、インスタントラーメン(チキンラーメンと思われる)を食べている。
小池さんのモデルはアニメーターの鈴木伸一氏で、当人もラーメンがお好きらしい。また小池さんも実は、「鈴木」が本名であるらしい。これはほとんど知られていないトリビアである。
植山七段と小池さんは、顔のパーツはことごとく似ているが、髪型が違う。しかし植山七段は少年時代の一時期パーマをかけていて、これで小池さんそっくりになってしまうのである。なおこの写真は、中井広恵女流六段のブログに掲載されたことがあるので、現在も確認できるかもしれない。
現役生活30余年のベテラン棋士に「小池さん」は相当失礼な話で、今回の記事はかなり抵抗を覚える。「親しき仲にも礼儀あり」の言葉が浮かぶのだが、アップはしてしまうのである。
植山先生にはこの場を借りて、深くお詫び申し上げます。

これでしばらくは、大野・植山教室に行けないな…。
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LPSA Minerva交流将棋大会(5)

2015-04-27 01:13:47 | LPSAイベント
ヒトの将棋を見てもしょうがないが、O―男性戦は、男性氏が優勢だ。最強のO氏を向こうに回して堂々の戦いぶりで、男性氏は強い。そういえば彼はどこかで見たことがあるが、名のある強豪かもしれない。
勝負は結局、男性氏が勝った。O氏はふつうに感想戦を行うが、その真摯な態度が素晴らしい。私などは負けた場合、不貞腐れながらやるからダメだ。
数分後、決勝戦がスタートした。私と1回戦で戦った男性氏が記録係を務め、どうもこの3人は将棋仲間のようだった。
私はO氏と3位決定戦を戦う。お互い「3位決定戦を指してもねえ…」と苦笑いだが、指さざるを得ない。
O氏との対戦成績は、私の4勝11敗。丸勝ちの将棋を負けたことがあるので、ホントは5勝10敗だ…などと強がってみるが、それでもダブルスコアである。少しでも借金を返したいところだった。
O氏の先手で、▲7六歩△8四歩▲2六歩△3四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金。
私は2手目から少考を続け、ここまでで2分以上使っていた。ここでO氏が少考のお返し。そして▲9六歩と突いた。
後手番で1筋を突く手があるが、それを先手番で応用しようの意か。数手後▲9五歩としたところで、私は△3三桂と跳ねる。将来の▲5六角~▲9四歩~▲9二歩を阻止したもので、これは手応えがあった。
しかし、この後がマズかった。

図以下の指し手。
△4五桂▲4六歩△7七角成▲同桂△2五角▲4五歩△3五歩▲2六歩△3六歩▲2五歩△3七歩成▲同銀△3四飛▲3六歩△2七飛▲3八角△2五飛成▲1六角打(投了図)
まで、O氏の勝ち。

私は△4五桂と跳んだ。先手の中央が薄いと見たものだが、これは無謀だった。▲4六歩を誘って、△2五角。いわゆる準王手飛車で、実はこれが読み筋だったのだが、もし▲4五歩と桂を取られたら、飛車角交換でも後手がつらいのではないか…と考え始めたら、O氏がふつうに▲4五歩と桂を払ったので、クサッタ。
数手後の△2七飛に▲3八角でシビれた。私は△2五飛成としたが、▲1六角打で投了。以下△同竜▲同角△8四飛は▲4四桂があり、もう後手勝てない。

冷静に考えれば、△同竜とせず△4五竜でその筋は消えるが、それも▲3四角△同竜▲9四歩△同歩▲9二歩で、先手圧勝であろう。
感想戦。△4五桂と跳ねた時点で全然ダメなのだが、O氏は「けっこう難しい」と慮ってくれた。
まあ△4五桂では、△1三角ぐらいだったか。以下△3五歩~△3四飛と、ひねり飛車を目指す。こんな感じで、息の長い戦いにすべきだった。感想戦では、これで一局、だった。
私は入賞を逃し、もうここにいる理由もないのだが、藤森奈津子女流四段に聞くと、「表彰式があるから(見て行ったら?)」の答え。それで、決勝戦を遠巻きに眺めた。
決勝戦は、相矢倉になっていた。さすがの熱戦で、両者が相当な手練れであることが分かった。結果は、O氏に勝った男性氏が勝ち、優勝となった。
表彰式はなごやかに行われた。A、Bそれぞれの3位までと、セカンドトーナメント優勝、準優勝者がいるので総勢10名。けっこうな人数だ。とはいえ入賞は、自信になるだろう。
今回交流大会に初めて参加して、実に楽しかった。ただ後半、スタミナが切れた。大野・植山教室の5局と、大会の4局+1局は、体力の消耗度が段違いだった。成績は2勝2敗+1敗も、実感は1勝4敗。やはり私は、楽しんで指すのが性に合っているようだ。
それはともかく、LPSAも土・日は時間があるだろうから、またこうした大会を開いてもいいと思う。ただそういうわけで、私が参加するかどうかは未定だ。

帰宅して、ポーチを開けると、渡部愛女流初段の書が見えた。記念写真の台紙裏に揮毫されたものだ。そこには「不撓 女流初段 渡部愛」とあった。
肝に銘じたい。
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LPSA Minerva交流将棋大会(4)

2015-04-26 00:05:57 | LPSAイベント

第2図以下の指し手。
▲3四角△4三歩▲5三歩△4二玉▲3六銀△3八と▲同玉△3六歩▲5六角△3七金
まで、一公の勝ち。

Sak氏は▲3四角と打ったが、失着。ふつうに△4三歩と受けられて、二の矢がない。とはいえここは、▲3四角と打ってくると思った。これは対局者のみが分かる心理である。
Sak氏は遅ればせながら▲5三歩と打ったが、今度は△4二玉と寄られて、寄りがない。
Sak氏は慌て気味に▲3六銀だが、私は△3八とから△3六歩とし、これは私の勝ちになった。▲3六銀では▲5六角があり、まだ先手に分があったのではないか。
△3七金まで、Sak氏の投了。感想戦に入るが、第2図で▲5三歩は、△同金▲同金△同玉以下、後手玉が端に逃げる変化があったりして、意外に難しい。それで、▲5三歩△同金のとき▲4一角が発見された。以下△4二玉▲3四桂△3一玉▲2三角成で先手勝ち。
となるならば、▲5三歩△同金の交換もいらない理屈だ。整理すると、第2図からふつうに▲4一角で、先手が勝ちだった。この詰みが見えていたら、私は受けにならない受けを指して、負けていただろう。
だが…。私が十分のはずだったのに、なぜ非勢になったのか。第1図から△8六歩▲同歩△4五歩▲6六歩に△4六歩の取り込みがまずかった。途中から感想戦に加わったO氏によれば、ここで△5五歩(参考図)があったらしい。

これで、どの変化になっても後手指せる。本譜、△4五歩と一歩を損して攻めを呼び込んでからは、後手に勝ちがなかったようである。
それにしても、先日のShin氏との将棋もヒドかったが、本局も即詰みの将棋を拾うとは、それ以上である。まるで投了しないのが最善手のようで、私のポリシーに反する。
「悪くなっても投了しないFuj流を貫けば、勝率は上がります」
というFuj氏の高笑いが聞こえてきそうで、自己嫌悪に陥るばかりだ。これでベスト4に残ったが、ちっともうれしくなかった。

さて、とにもかくにも準決勝である。相手は30代前半の男性氏で、1回戦の彼とは将棋仲間のようだ。私の将棋を見られていたが、それがどう出るか。
私の先手で相居飛車となり、▲3四飛と横歩を取る。対して男性氏は△3三桂と跳ねた。
そうきましたか! これはKun氏が得意にしている手で、私も苦杯をなめた経験がある。これはイヤな将棋になったと思った。
私は▲7五歩~▲7六飛とするが、後手は△5四歩~△5三銀~△3一角。こうやって7五歩を取りにくるのが後手の狙いで、Kun氏にもやられた。
本局は▲7四歩~▲7三歩成△同銀上となったが、先手は歩損を避けられたものの、後手の玉頭が厚くなった利のほうが大きい。私の飛車は▲9六に蟄居しており、作戦負けである。勝敗はともかく、後手の思惑通りに進んでいるのは、面白くなかった。
右では、O氏と男性氏が、もうひとつの準決勝戦を行っている。戦型は横歩取り。勝敗はともかく、最新型を指すO氏の若さが素晴らしい。
私の将棋は、3筋で戦いが起こったが…。

図以下の指し手。
▲3六銀△3四金▲3五歩△4四金▲4六歩△1三角▲4七金△6五銀▲7七桂△7四銀引▲3七桂△3五金▲同銀△同角▲4五歩△5六歩▲同歩△7六歩▲6五桂△同銀▲3三角成
△5六銀▲同金△同飛▲5七歩△4六飛▲4八金△3六桂(投了図)
まで、男性氏の勝ち。

会場の端では、島井咲緒里女流二段、渡部愛女流初段らが指導対局を行っている。今大会は本戦とセカンドトーナメントがあるので、最低でも2局指せる。私は連敗するだろうから、そのときはまた女流棋士としっぽり…などと考えていたのだが、予想に反して私は勝ち残り、今も厳しい戦いを演じている。いったいどちらが幸せなのだろう。
向こう側では、ミスター中飛車氏とSak氏が指している。これは練習対局だろうか。
▲3六銀と立って、持ち直したと思った。が、△3四金に▲3五歩と打ったのはつまらなかったかもしれない。この位を確保するため、苦労してしまったからだ。
続く▲7七桂も、桂頭にキズを作って、悪かった。とはいえ代えて▲9七角も、△6四銀くらいで先手がパッとしない。とすると、ここではすでに先手が悪いのかもしれない。
数手後の△3五同角に、▲4五歩がかなりの悪手。飛車の横利きを通したものだが、相手の角道を通した罪のほうがはるかに大きかった。
以下は後手にいいように攻められ、▲4八金(最後の悪手。まだ▲5九金だった)に△3六桂まで、私の投了となった。
感想戦。△6五銀に▲7七桂が悪手、は双方が認めるところだったが、▲9七角も先手がパッとしなかった。ではこの局面ですでに先手が指しにくいか…となったが男性氏も否定せず、「実はここでは私がいいと思っていました」の感想であった。
じゃあもっと前、△2五歩に▲7六飛と寄ったのが疑問、▲2八飛だったか…と思うが、飛車を引くくらいならこの戦型を指すな、ということになる。
結局私に実力がなかったということだろう。ただ、初対面の相手と指すときは、対抗形が無難だと思った。
真剣勝負を立て続けに指して、ちょっと疲れた。右は熱戦が続いているが、O氏の分が悪いように見えた。
(つづく)
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