一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三十二たび大野教室に行く(前編)

2012-08-31 00:03:54 | 大野教室
社団戦3日目、LPSAの成績は、3部星組が0勝4敗、5部月組が2勝2敗だった。星組は通算3勝9敗、月組は通算7勝5敗となった。星組は最終日に残留を懸ける。月組は昇級の可能性が消えた。月組は可もなく不可もない成績で、今期を終えそうだ。

18日(土)は、久しぶりに大野教室に行った。午後2時、教室に入る。生徒はパラパラッといる感じ。その中に、大野教室のマドンナ・Minamiちゃんがいた。きょうは相方のFuj氏が休みなので、手持ち無沙汰のようだ。奥の部屋では植山悦行七段が指導対局を行っていた。
さっそく大野八一雄七段に指導を受ける(角落ち)。私はいつものように居飛車のでだし。中盤の入口で私が▲3七桂と跳んだのが軽率だった。大野七段にすかさず△3五歩と突かれ、▲2六飛に△3四金と圧迫されては、もう指しにくくなってしまった。この辺り、私に旅行ボケが残っていたというしかない。
大野七段はさらに△2四歩。しかしこれが疑問手だったというから将棋はむずかしい。
私は飛車を4六に転戦し、▲4五桂と跳ねて△5三銀取り。大野七段は4四歩を取りつつ△4四銀だが、私は▲同角△同金▲5三銀と、△4二金・4四金取りに打った。上手陣は△3二玉・△6一飛なので、この俗攻めは手ごたえがあった。
その後も私のおもしろい形勢で進むが、例によって寄せをグズり、上手に入玉模様にされてしまう。しかし▲4八桂が落ち着いた手だった。以下▲4六歩△3四玉と追い返し、▲4三馬まで、私の勝ちとなった。
指導対局で下手の逆転勝ちは珍しいが、たまにはこんなことがあってもいい。
途中、Kun氏とHon氏が見えて、メンツが揃った形になった。
3時休みに入る。大野七段が私を見て、「沖縄いいなア。今年は行けそうにないなア」とうらめしそうに言う。私はニヤニヤ笑うしかない。
私はみんなが取っているお盆休みを沖縄旅行に充てたにすぎない。その点、棋士は休暇取得の自由度は高いはずで、「沖縄に行けなかった」に同情する気はさらさらないのである。
詰将棋は夏らしく、5手詰4問。サラサラと解いて清涼感を味わっていたら、奨励会合宿で出題された超難解詰将棋(4問)を出されてしまった。これは問題を見ただけでギブアップ。しかし奨励会員は全問解いたというから、やはりさすがである。
3時半に対局再開。私は植山七段に指導を仰ぐ予定だったが、4面が埋まっていたので、再び大野七段に教えていただくことになった。
当ブログでは何回も書いてきたことだが、これで追加料金は取られない。我々生徒から見れば、涙が出るようなシステムである。
本局は振り飛車を考えたが、大野七段が早めに△3二金と上がったので、居飛車にスイッチ。しかし▲6七銀型からの変化だったので、囲いが堅くならなかった。
右桂を交換して、ここまではまずまずだったが、続く▲8三桂が筋悪の一手。もちろん△9一香取りに打ったものだが、△7三桂と跳ばれて△6一飛の利きを通されてみると、存外効果がなかった。私は続く▲7二歩に期待したが、△8一飛▲9一桂成△同飛の結果は、下手でかしていない。
以下、△3八銀から△2九銀成と飛車を取られたところで、投了した。
男性棋士に指導を請うことは、なかなかないことである。一局の将棋を大事にしていれば、▲8三桂のような手は指さないはずだ。せっかくプロ棋士の教室で勉強しているのに、大野七段に申し訳ない気持ちだった。
続いて植山七段に教えていただく。相居飛車のでだしから、私は矢倉に組む。植山七段は四枚で玉を固め、△6五歩▲同歩△同飛。
この局面を以下に記す。

上手(角落ち)・植山七段:1一香、1三歩、2一桂、2三歩、3二玉、3三銀、3四歩、4二金、4三金、4四歩、5三銀、5四歩、6五飛、7四歩、8一桂、8五歩、9一香、9三歩 持駒:歩
下手・一公:1七歩、1九香、2八飛、2九桂、3六歩、4六歩、4七銀、5六歩、6七金、6九玉、7六歩、7七銀、7八金、7九角、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩2

結果から書けばこの将棋、ここから39手後に私が勝った。しかし私の駒は敵陣に一度も侵入しないという、珍局となった。
(つづく)
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8月17日のジョナ研(後編)

2012-08-30 00:03:44 | ジョナ研
続いてR-Hon戦。最近居飛車を勉強しているというHon氏は、きょうも居飛車。横歩取りの将棋となった。
序盤はKun氏の講義とともに進む。Kun氏はなかなか解説上手だ。
きょうはHis、Kun、Honと3人も飲んべえがいるので、生ビールのお代わりがどんどん出る。私たちはジョナサンに長時間粘るが、それに見合った注文はしているつもりである。
見応えのある攻防が続いたが、Hon氏に形勢の針が動いて終盤戦に突入した。▲2一竜▲7六歩▲7七桂▲8七歩▲9七歩・持駒金2銀、△6二銀△7二玉△8一桂△9一香△9三歩。ここから▲6一銀△8二玉▲7二金△8三玉と進んだので驚いた。こんなイモ手を指すとはHon氏、信じられない。
▲6一銀では▲8三金△同玉▲8一竜が形で、以下どう応じても先手勝ち。続く▲7二金でも▲7二銀成△同玉▲8三金のやり直しが利いたが、もっともそれが指せれば最初から▲8三金と打っている。
九死に一生を得たR氏は寸隙をついて反撃に出る。これが厳しく、Hon氏の投了となった。Hon氏は私との将棋でも、いつも中盤までは優勢なのだが、終盤でズッコケる。終盤が強くなれば、すぐに四段だ。もっとも終盤の課題は、私もだが…。
ここでHon氏は退席。続いてHis-Kun戦となった。これは重量級の一戦である。
将棋はHis氏の筋違い角。いまやHis氏の十八番になった感がある。Kun氏は居飛車に構えた。私はつまみをつまんで、ドリンクを飲みながら観戦。至福の時間である。
Kun氏の模様がよかったが、終盤で逆転したようだ。His氏の勝ち。感想戦では、いつも冷静なKun氏がアツクなっていたように見えた。
両者、熱戦の余韻が残っていたのか、ジョナ研では珍しい連戦となった。その2局目もHis氏の筋違い角。対して先手Kun氏が手厚く指し、勝勢を築く。しかしそこからHis氏が妖しく粘り、形勢は混沌としてきた。
最後は先手玉が詰むや詰まざるやのおもしろい局面になったが、His氏がKun玉を鮮やかに詰まし、熱闘が終わった。
感想戦に移るが、Kun玉の詰む、詰まないの前に、His玉に詰みはなかったか? 私は疑問を呈した。
先手・Kun:2一竜、3三馬、6二成銀、7六歩、8七歩、9六歩 持駒:金、桂
後手・His:6三歩、7二銀、7三歩、8一桂、8三歩、9一香、9二玉、9四歩
本譜は▲7二成銀だったが、ここで▲8二金△同玉▲7一竜△9二玉)▲7二竜と迫る手はなかったか? 調べてみると、以下△8二銀(最善)▲8四桂△9三玉▲8二竜△同玉▲7二成銀△9三玉▲8二銀…で、後手玉が詰んでいた。途中、▲7二成銀で1枚節約できるのがミソだ(注:読者の指摘により、ここは▲7一竜△9二玉では、△9三玉で不詰めと分かった。お詫びいたします)。
きょうのKun氏は、少し精彩を欠いていたようだ。
感想戦のあとは、対筋違い角の研究になった。将棋ばなし、実戦、研究。なんでもアリがジョナ研である。さて筋違い角には腰掛け銀にするのがKaz流で、4筋の位を取れば居飛車指せる、が持論らしい。
その順でしばらく突っついてみたが、これはこれで難しい。しかしKun氏に筋違い角で連勝したHis氏は、この戦法にさらに自信を深めてしまった。
「私は筋違い角を認めません」
と、私とKun氏。しかしHis氏は納得がいかないようだ。私たちも、持論を強固なものにするためには、His流筋違い角を打倒しなければならない。
11時は過ぎているが、ここでKun氏は退席。いつもよりちょっと遅めで、あるいはKun氏、「詰んでしまった(終電がなくなることの意)」かもしれない。
残る3人でしばし雑談。私が沖縄でAyakoさんを探さなかったことが、His氏には意外だったようだ。しかし沖縄は広い。勤めている店が分かるならともかく、何の手がかりもない現状では、手の打ちようがない。
時刻は11時半近くになり、きょうはここで散会となった。
食事の伝票は恐ろしい長さになっていた。きょう私が出した飲食代は2,000円。夕食を摂って、デザートを食べて、ドリンク飲み放題で、つまみをつまんで、かわいいウエイトレスさんがついて、将棋を指して、研究して、5時間近く粘って、この金額。これだからジョナ研はやめられない。
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8月17日のジョナ研(前編)

2012-08-29 00:41:08 | ジョナ研
沖縄から帰って来た2日後の17日(金)、ジョナ研があった。
最寄駅で駒込までの回数券を購入し、午後7時、駒込ジョナサンに入った。
先客はHon氏。簡単な挨拶のあと、植山悦行七段の話になった。棋友が植山七段に、「先生がLPSA代表理事の座を狙っていたという話になってますよ」と言うと、植山七段は「はあ?」とあんぐりしたという。それを聞いて、私は大笑い。
きょうはパスタセットを頼む。15分くらい経つと、Kun氏、R氏が相次いで現われた。R氏は仕事の最中に抜けだしてきたもの。何もそこまでしてジョナ研に参加しなくてもと思うが、しかしありがたいことではある。
私は沖縄の土産話を用意していたが、彼らは無関心のようだ。「いずれブログにアップされるでしょ」と、聞こうとしない。そうだった、彼らは将棋バカだった。沖縄の話より、将棋の話なのだ。
R氏より、中井広恵女流六段誕生日パーティーの参加費をいただく。プラス・プレゼントの協賛金も頂戴した。これで精算はすべて終了。来年も中井女流六段をお祝いできればうれしい。
引き続き将棋のバカ話に興じる。帰京後も私の心は沖縄にあったが、このジョナ研を境に、元の生活に戻るという感じだった。
8時15分、His氏が来店。ほかにW氏とKaz氏が来店予定だったが、ドタキャンになった。きょうはこの5人で進行する。
His氏はLPSA芝浦サロンに寄って来たそう。きょうの講師は渡部愛女流3級で、各回とも満員だったという。予約を入れなかったHis氏は5時に入ったが、1時間以上も待たされたという。愛人気はスゴイことになっている。
His氏、愛ちゃんには惜敗したという。私もまた、愛ちゃんに教えてもらいたくなった。
His氏を除いてひととおり食事が済んで、8時半、ついに将棋盤が登場した。俎上に乗ったのはKun氏の将棋。Kun氏は12日(日)に行われた「LPSAサマートーナメント」で、女性強豪のTさんと対戦。模様はよかったが、逆転負けを喫したという。
その将棋を見せてもらう。Tさんの先手で▲7六歩△3四歩▲7五歩△1四歩、という興味深いでだし。以下Kun氏が居飛車を採用し、抑え込みの方針を採った。
しかし1点読み抜けがあった。▲7八飛▲8八角、△6六歩△7四金△7五銀…の局面で、▲6六角が強手。△同銀は▲7四飛で網が破れる。以下もむずかしい戦いが続いたが、Kun氏が競い負けた。後手はどこかで△8七歩を入れるべきだったという。
Tさんとは「将棋ペンクラブ・関東交流会」の席で対局したことがあるが、石田流に組まれて完敗した。まあ私の将棋はどうでもいいが、Kun氏まで負けたとは信じられない。しかしKun氏の本領はキレのある振り飛車にあり、ふたりの戦いはまだ始まったばかりといえる。
続けて待望の実戦。まずはKun氏と私。私の先手で、相居飛車から▲3四飛。▲2八飛も考えたが、あとで何を言われるか分からない。
Kun氏は△3三桂と跳ねた。これがKun流である。私は中住まいから▲7六飛と回ったが、これがあまりよくなかった。Kun氏に△5四歩~△5三銀~△6四銀~△3一角とされ、左辺が息苦しくなってきた。
Kun氏とは以前もこんな展開で負かされたことがあるのだが、全然学習していない。
私は飛車の退路を開けるべく▲6五桂と跳ねたが、こんな手しかないようではダメである。
しかしKun氏の△8三玉が少し大胆すぎたようだ。私は▲7三桂成△同金▲7四銀と切りこんでゆく。これで何とか勝負形になったようだ。
以下、珍しく私の攻め、Kun氏の受け、という将棋になった。
▲7四歩▲7五角▲7六飛・持駒金銀歩…、△6四歩△8一桂△8三玉△8五歩△9一香△9四歩・持駒銀2桂…の局面で、後手の△6五銀に、私の▲6三銀が好手だった。もし△7六銀なら、▲8四歩以下詰み。
本譜は以下△8四桂だが、▲同角△同玉(△7六銀は▲7三歩成△同桂▲7五桂以下詰み)▲7五金△8三玉▲8四歩△9三玉▲7三歩成△同桂▲6五金まで、私が勝った。しかし感想戦では、こちらの負けの変化が続出して、参った。中盤、どこかで△7五銀と決戦されるとこちらが悪かったし、▲7三桂成△同金のところでも、△同玉と取って6筋方面に逃げ越されたら、こちらが容易ではなかった。
しかし私はこのところ沖縄旅行など遊びに興じ、将棋どころではなかったので、内容はどうあれ、将棋がサビついてないことが確認できて、ホッとした。
また言うまでもないが、Kun氏に勝つと、大きな自信になるのだ。
(つづく)
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浴衣姿での盆踊りが似合う女流棋士トップ10

2012-08-28 00:26:53 | ランキング
25日、26日は地元の夏祭りがあった。駅前で行われている盆踊りを鑑賞したが、やはり盆踊りはいい。楽しく踊って、すべてのウサを洗い流す感じ。3歩進んで2歩下がる。ほとんど進まないもどかしさもいい。
きょうは「浴衣姿での盆踊りが似合う女流棋士トップ10」を発表する。

第1位 岩根 忍女流二段
岩根女流二段は和服が似合うと思う。とくに浴衣は涼しげでよい。子供もおります。盆踊りもやります。という雰囲気がいい。うなじを強調して、優雅に、ぜひ。

第2位 室谷由紀女流初段
もはや何も言うまい。室谷由紀の前に室谷由紀なし。室谷由紀の後に室谷由紀なし。

第3位 島井咲緒里女流二段
帯の結び目にうちわを挿して、かわいらしく踊ってほしい。ちょっとぐらい間違えても、プニスマイルでごまかそう。

第4位 鈴木環那女流二段
鈴木女流二段が浴衣姿で踊ったら、どんな踊りになるのだろう。男性ファンの視線を意識した踊りになるのは間違いないが、浴衣の絵柄も含め、想像がつかない。

第5位 安食総子女流初段
手足の動きは小さいが、基本に忠実に踊る感じ。あの静かな微笑みは、盆踊り向きである。

第6位 山口恵梨子女流初段
山口女流初段には、どんな浴衣が似会うだろう。紺地に朝顔のデザインはどうだろうか。白地のミニ、も似合いそうだ。まあ彼女なら、何を着ても似合いそうである。

第7位 中倉彰子女流初段
3児の母、彰子女流初段は、テキトーに腕を振って踊る感じ。しかし彰子スマイルで、何でも許せてしまう。

第8位 高橋 和女流三段
高橋女流三段は20年以上前、株式会社セタ「初段 森田将棋」の広告に、浴衣姿で出たことがある。よって私には、高橋女流三段は浴衣のイメージが強い。

第9位 関根紀代子女流六段
関根女流六段には、踊りの名取りのイメージがある。どんな盆踊りでも、優雅に踊りそうだ。

第10位 宇治正子女流三段
どこの盆踊りでも、宇治女流三段のような感じの、どんな盆踊りでもひととおり踊れます、というエキスパートがいるものだ。ちょっと枯れた、味わいのある踊りをすると思う。

以上、人妻が多くなった。やっぱり浴衣は若いコより、ある程度歳を重ねた女性のほうが、より魅力が増す感じだ。いや本音は、若いコの方がいいのだが。
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沖縄旅行0

2012-08-27 21:07:54 | 旅行記・沖縄編
「稲葉六段」とそそくさと別れ、私はTシャツ専門店「海人工房」に入る。アクビちゃんTシャツの代わりを探すためだが、ここにも気に入ったデザインはなかった。今回は、めいとおいへのお土産はなし。
もう時間がない。石垣バスターミナルに向かい、空港行き18時00分発のバスに乗った。空港までは15分だから、18時40分のANA1782便那覇行きには何とか間に合う。
しかし乗客は私ひとりだった。お盆のこの時期、バスターミナルから石垣空港に向かう客がこんなに少ないとは…。バスは本当に需要がない。
…そのとき、異変に気付いた。このバスは、いやにノロノロ運転ではないか? 東バスの運行速度は速い方ではないが、これは明らかに遅い。私の体感速度がそう告げている。
ホテル日航八重山に着いた。ときに18時11分。予定到着時刻は18時07分だから、すでに4分の遅れである。ここでカップルが乗った。と、運転手が私に
「ここで降りないんですか?」
と妙なことを聞く。空港まで行くに決まってんだろうが。
私はこの運転手に不審感を抱き、その運転ぶりを注視してみた。すると、この運転手は明らかにおかしかった。空港までの道路は、空いてはいないが混んでもいない。そしてバスの前に数台分の空きがあるのに、それを詰めようとしない。まるでマイペースなのだ。この運転手は、バカなのか?
カップルはショッピングプラザ前で降り、乗客はまた私だけになった。
あとは次の道を左折…するはずが、バスは黄色で止まってしまった。いまのは行けただろういまのは!! この運転手には、遅れを取り戻そうという気持ちがないのか?
時刻は18時20分を過ぎた。搭乗手続き〆切の時間である。数分遅れたところで搭乗は拒否されないだろうが、ミソをつけたのは確かである。
信号が青になって、やっと左折。少し走れば空港構内である。いくらなんでも、ここは飛ばしてくれるだろうと期待?したが、それは虚しかった。バスは相変わらずのペースだった。
私はさすがに呆れた。私も長年東バスを利用して、運転手の不手際を2度ほど目の当たりにしたことがあるが、自分に直接被害が及んだという点では、今回が初めてのケースだった。
結局、石垣空港に到着するまで、バスはノロノロ運転だった。ときに18時23分。この短い区間で、実に8分の遅れだった。
私は旅先では、時間にシビアである。1分の遅れが命取りになることを、身をもって体感しているからだ。だから公共の乗り物にも、それを求める。ゆえに8分の遅れ、しかも怠慢による今回のケースにおいて、私はこの運転手を許さない。早くクビにしてほしい。

ANAのカウンターに駆け込み、搭乗手続きを済ませる。すぐさま手荷物検査場を抜けたら、ほどなく搭乗が始まった。これが最後の石垣空港だったのに、慌ただしい別れとなった。
那覇行きの飛行機は、定刻に出発した。スッチーのうちのひとりが、女優の渡辺えりに顔も体型もそっくりで、妙に感心してしまった。従来のスッチーのイメージとは違うが、この飛行機は絶対堕ちないという安心感があった。
19時33分、那覇空港着。去年はここから東京・羽田行きのチケットが取れず、翌1日をまるまる那覇空港で費やし、やっとの思いでキャンセル待ちのチケットを入手、ヘロヘロになって帰京したのだった。
今年はもちろん、羽田への予約は取ってある。20時50分発のANA138便で、これに乗れば東京に帰れるのである。
私はいったん空港を出て、コンビニで弁当とお茶を買った。これが沖縄最後の晩餐である。なお「空弁」は高いから、買ったことがない。
再び手荷物検査場を通り、すいている搭乗口でさびしい夕食。これであとは羽田行きの飛行機に乗るだけ…というところで、いやな放送が入った。
私が乗るべき138便が、機材の遅れに伴い40分遅れ、21時30分出発、到着は23時50分になるというのだ。
飛行機が定時に出発しないのは織り込み済みだが、これは微妙な時間である。到着時間にモノレールは走っているが、23時50分に飛行機を降りるわけではないから、乗り換えは急がねばならない。
しかしその前に那覇空港だ。搭乗の時間になっても、一向に案内がない。もう少し遅れるらしい。私はモノレールの時間を調べてみる。0時05分というのがある。これはけっこう厳しいことになっていないか?
ANAは羽田に着いてから、品川-東京行きと、横浜行きの無料臨時バスを出すことを決定した。これは、モノレールと京浜急行の便がなくなることを覚悟せよ、と言っているに等しい。なんだか大変なことになってきた。
ようやく機内への搭乗が始まった。と、スタッフ嬢が、何かの案内をくれる。
封筒の中には、羽田空港に着いてから、公共の交通の便がなくなった場合の対処が書かれてあった。要するに、羽田からタクシーを使って自宅に帰るもよし、ホテルに泊まるもよし、そしてそこにかかった経費は、15,000円までANAが負担する、というものだった。
これはANA、ずいぶん太っ腹ではないか。あれはJALだったか、数年前、東京から沖縄へ向かう便が2時間遅れたことがあったが、飛行機会社の「お詫び」は、羽田空港内で使える食事券(1,000円)の配布だけだった。
現在は低価格の航空会社が参入し、大手航空会社も乗客を逃すまいと必死である。
21時41分、出発。機内には4人のスッチーがいた。それぞれ羽田恵梨香、坂上香織、市川由衣、真矢みき、というところ。「羽田恵梨香」が私の席付近の担当だったので、最も鑑賞する時間が長かったが、とにかく飛行機が遅れているので、私はどうも落ち着かない。スッチーもそれは同じようであった。
機長のアナウンスが入り、飛行機は最高速度で飛ばしているというが、それでどのくらいタイムを縮められるのか。ほんの数秒ではなかろうか。
しかし、その努力自体は買う。石垣島のバカ運転手に聞かせてやりたかった。
ハーゲンダッツアイスクリームを食べ損ね、飛行機は着陸態勢に入った。静かに着陸。しかしここからゲートまで数分かかるそうで、これで万事休した。
飛行機が停止し、ポーン、と音が鳴ったのが0時03分。全速力で飛ばした割には、全然遅れを取り戻せていなかった。
私は出口を抜け、モノレール改札口に急ぐ。しかし、あたりが静かだ。駅員さんに聞くと、もう最終便は出たとのこと。現在0時11分。最終は、やはり0時05分だった。
私はバス乗り場にとって返す。品川経由東京行きのバスに乗せてもらうためだ。
那覇空港での事前申し込みには申し出なかったが、問題あるまい。ANAのスタッフ嬢に、沖縄からの旅行者です、といって褐色の肌を強調すると、乗せてくれた。
5割ほどの乗車率で、バスは0時30分に発車した。品川でポツポツ降り、あとは東京駅前までノンストップである。
田町駅西口前を通る。懐かしい。私がかつてLPSA芝浦サロンに通っていたころ、帰りに西口のガストを利用していたので、この近くはいつも通っていた。もうあのメンバーで田町を訪れることはあるまい。
富士そば、TSUTAYA、ローソン…。この時間だというのに、みんな営業中だ。東京は眠らない街。これでは星空を拝むことなどできない。
東京駅前、1時13分着。ここからはタクシーの利用である。私の場合、この区間分だけ、ANAが負担してくれることになる。駅にして数駅分だし、少額のほうだと思う。
自分がおカネを払うわけではないが、容赦なくハネ上がるメーターは心臓によくない。私は自宅最寄駅のだいぶ前で、タクシーから下りた。
自宅までは距離があるが、那覇空港で1日待ちぼうけを食わされた去年に比べれば、何てことはない。
こんなトラブルもまたよし、だ。今年も楽しい沖縄だった。来年も沖縄に行くぞ。私は意気揚々と歩きだした。
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