一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

連休前のジョナ研(後編)

2012-04-30 00:43:48 | ジョナ研
将棋は先番甲斐智美女流王位の力戦向かい飛車となった。中盤、甲斐女流王位が▲8五桂と跳んだが、これが敗着であろう。▲8五桂はよくある筋だが、本局についていえば無謀だった。
私たちは対局者に何のしがらみもないので、遠慮なく本音を述べながら局面を突っついた。
午後8時20分、Fuj氏が店を後にした。これから面白くなるのに、残念である。
将棋研究も一段落し、私たちはしばしマンガネタで盛り上がる。しかしそれも束の間、8時50分、ついにR氏とKaz氏が将棋を指し始めた。Kaz氏、まずは本日の1局目というところ。
将棋はR氏の求めで、Kaz氏の四間飛車になった。ふたりの棋力にはやや差があるが、Kaz氏は居飛車党だから、これでちょうどいいハンデになるのだ。
将棋はR氏が急戦を仕掛け、うまく捌く。しかし△8四香に▲7七金が受け過ぎ。△6九銀の鬼手を喰らって、先手が忙しくなった。
しかし後手も決め手を逸し、混戦模様。R氏の玉は入玉を果たす。△2一角と▲1二の玉に王手をしたが、そこで▲1三玉と引いた手が敗着。△1二香で即詰みとなってしまった。
▲1三玉で▲1一玉と入れば、優劣不明の戦いが続いていた。
Kaz氏は振り飛車もうまく指しこなすし、R氏も中・終盤が強くなった。将棋が強くなるコツは、将棋が好きになること――。これに尽きるのではないか。
まだ10時前である。今度はKun氏とKaz氏の対局になった。好取組だが、このふたりの対局はファミレスにもかかわらずピリピリオーラを放つので、端のほうでやってもらう。
ここでHon氏が退席。パラパラと人が来て、パラパラと帰るのがジョナ研流である。
私たちはバカ話に興じる。その合間にもKun-Kaz戦に目をやる。やっぱり気になってしまうのである。
Kun氏の振り飛車に、Kaz氏が居飛車穴熊に潜っていた。Kun氏が敵陣に銀を打ち、歩を成る。着実な攻めだが、穴熊の反対側を攻めているのが気になる。
けっきょくこの将棋は、Kaz氏の勝ちとなった。
「みんな将棋バカだよねえ」
「バカの前に『将棋』が付くからいいけど」
私たちは苦笑しながら呆れる。
「将棋バカもただのバカも、同じようなものだけど」
と、これはKun氏。
10時50分、そのKun氏が退席。残りは5人となった。もう腹はくちているが、私はツマミを頼む。長時間粘っているから、それなりに注文もしなければならないのである。
しかしKaz氏がまだ将棋を指し足りないようである。ご丁寧に盤面を初形に戻している。…どういうこと? 好きだなあKaz氏。ここでついに私が、Kaz氏の相手をすることになった。
後手になった私が四間飛車に構える。Kaz氏は居飛車穴熊の使い手である。たまたま前夜読んだ鈴木大介八段の本(古本屋で105円で買ったものである)に▲7八銀型からイビアナを撃破する順が載っており、きょうはその局面に誘導しようと試みた。
ところがKaz氏は舟囲いにしたのでアテが外れた。しかも▲3八飛~▲3五歩と速攻されたが、私の銀は△3二なので立ち遅れている。慌て気味に△4五歩~△4三銀としたが、Kaz氏に▲3三飛成から▲5四歩と角道を通されて、容易ならざる事態になった。
以下△2五桂▲5三歩成△同金▲3三角成△5二飛▲3七桂△同桂成▲同銀△3九飛と進んだが、△3九飛では予定通り△3五飛と馬銀両取りに打つべきだった。
局後Kaz氏は、それなら▲5五馬と引く、といったが、そこで△4四銀と立ってどうか。以下▲3六歩△2五飛▲2六歩△5五銀▲2五歩△5六歩の結果は、後手も指せそうである。
本譜、Kaz氏は銀を見捨てて▲6六桂。私は序盤で△7四歩を早めに突いていたから、それを咎められた形だ。私は△6二桂だが、▲5四歩△同桂(悪手)▲7四桂で先手優勢となった。
以下数手進んで私は△7七歩と手裏剣を放つ。▲同馬△6五桂。
ここで馬を見捨てて、竜筋を遮断する▲5九歩が好手だった。私は△7七桂成と馬を取るが、直後の▲5五桂が厳しく、投了のやむなきに至った。
私は力一杯指したが、及ばなかった。Kaz氏、充実しているようである。
ここでKaz氏が退席。3分後にIs氏も続いた。スマホを見ると「23:38」である。げええっ!! もうこんな時間なのか!? ジョナ研は本当に時間が経つのが早い。
この時間なら散会にしてもいいのだが、W、R、私の3人はまだ粘る。ジョナ研は最後の5分間が面白いのだ。私たちは最後のバカ話をした。
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連休前のジョナ研(前編)

2012-04-29 00:11:30 | ジョナ研
27日(金)は今月2回目のジョナ研があった。小雨の振る中、駒込に向かう。
午後6時50分、ジョナサン入り。先客はR氏、Hon氏のふたりだった。R氏は久しぶりである。私はキャンペーンメニューを頼んだ。
先日名人戦第2局が行われたが、R氏は「ニコニコ動画」を観て、山口恵梨子女流初段のハジケぶりに感心したという。一遍にファンになったらしい。
室谷由紀ちゃんが登場してから、私の中で恵梨子女流初段のファン度が若干落ちたが、そんな逸話を聞かされると、私もいま一度恵梨子女流初段を注目してみようかという気になる。
R氏はすでに食事済み。Hon氏も食事を摂り終わって、ウェイトレスさんが食器を下げた。と、早速Hon氏が「じゃあ横歩取りの将棋を並べますか」と、布盤と駒を拡げ始めた。
時刻はまだ7時を回ったばかりである。「エエッ!? もう!?」と、私は驚きを隠せない。きょうは将棋盤が出るのが早くないか?
ふたりとも最近、横歩取りの将棋を勉強しているらしい。題材はきのう指された棋聖戦挑戦者決定戦・深浦康市九段VS中村太地五段戦であった。中村五段が快勝してタイトル戦初登場を決めたのだがそれはともかく、ジョナ研のふたりの研究熱心さは尋常ではない。
「ふたりとも将棋バカだなあ…」とつぶやきつつ、気がつくと私も口を挟んでいる。もうどうしようもない。
7時10分、Is氏が現われた。さらに5分遅れてW氏も来た。
「愛ちゃんがいっぱい出てるねえ」
とHon氏がいったのはこのときだったか。LPSA芝浦サロンのことである。5月のスケジュールが発表されたが、渡部愛ツアー女子プロが4回も登場している。4月から東京在住となった愛ちゃん、LPSAでの活動が本格的になったようだ。LPSA所属唯一の10代として、愛ちゃんにかかる期待は大きい。私も機会があれば、お邪魔したい。
R氏とHon氏は実戦を始めた。戦形は当然、横歩取りである。研究の後は実戦を試みて自分のものにしようというわけだ。後手番のHon氏が△3三桂戦法から中住居に構えていた。
7時25分、Fuj氏が来た。Fuj氏は今夜の夜行バスで大阪に帰る。それまでに小1時間ほどあるので、顔を出したという。
Fuj氏は6月に行われる「大野教室&ジョナ研イベント」への参加を決めた。今回はそのイベントの行程を聞きに来た、というのが表向きの理由だが、そんなものはまだ先の話である。けっきょくFuj氏は、ジョナ研の雰囲気を味わいたくての参加だった。
そのFuj氏、先日発表された女流王座戦一次予選の対戦表をメモにしてきた。それを片手に勝敗予想を述べている。Fuj氏、ホントに将棋の話しかしない。おもな話相手は対面にいるW氏だが、W氏はそれほど将棋が好きではないので、いささか持て余し気味だ。
私が22日に大野教室に訪れたことを、Fuj氏がいたく感心している。22日は某所で、女優・比嘉愛未の写真集発売&握手会があったのだが、私が当ブログで彼女のファンと公言していたものだから、私はてっきりそちらに行くと思っていたらしい。
ところが当日、私が大野教室に顔を出したものだから、「大沢さんは女優より将棋を取るとはさすがだ!」と感心した?というわけだった。
ちょっと待ってくれ。比嘉愛未は今世紀を代表する女優で、私も大ファンであるが、スケジュールを調べて握手会に行くほど、コアではない。ましてや握手会の件など、全然知らなかった。
Fuj氏は頭の回転がよすぎるのか、早合点して独善の読みをすることがある。その矯正が今後の課題であろう。
7時50分、Kaz氏が来た。きょうはもう将棋が並べられているので、Kaz氏も満足だ。席には座らず、ふたりの実戦を眺めている。もうホントに、どいつもこいつも将棋バカばっかりだ。
すぐあとにKun氏も来た。これできょうの参加予定8人全員が揃った。連休前だというのに、なんでこんなに出席者が多いのだろう。では席の配置を記そう。

Kaz W Hon Kun Is
              壁
   Fuj R 一公
     壁

真ん中で将棋を指されているから、話が分断される。将棋は端っこでお指しください、といいたいところだが、ふたりが先着だったから、抗議はできない。
将棋はHon氏の勝ちとなった。△3三桂戦法はKun氏の裏芸だが、Kun氏のそれは玉を右に囲い、相振り飛車風の指し方になる。Kun氏も熱心に感想戦に参加していた。
ところできょうはObataさんの姿がない。見慣れぬウエイターが2人、店内をマメに歩いている。彼らには私たちが奇異に見えているだろうが、店内で将棋を指しているところは、大目に見てもらいたいと思う。
ジュースをくんで戻ってくると、W氏が将棋の本を見ている。久保利明九段の新刊で、実戦集だそう。Kun氏が購入したらしい。振り飛車党、しかも軽い捌きを得意とするKun氏とW氏には、バイブルになるだろう。W氏も購入するらしい。
ちなみに私は、将棋の単行本は買わない主義である。
今度は女流王位戦第1局、甲斐智美女流王位と里見香奈女流名人・女流王将・倉敷藤花の将棋が並べられた。
(つづく)
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二十七たび大野教室に行く(後編)

2012-04-28 13:53:58 | 大野教室
△6二銀▲7六歩△6四歩▲5六歩△6三銀。前日と同じ出だしだ。前局は変則振り飛車だったが、きょうは▲2六歩と突いて居飛車に構えた。
私は▲6九玉から銀交換を挟んで▲4七金~▲5八飛。しかし上手にもう一枚銀を持たれると、△4九銀▲2八飛△5八銀打▲同飛△同銀不成▲同玉△7八飛成でゲームセット。この「見えない攻め」が、のちの私の大局観を狂わせる。
△7一飛、8一桂、9一香の局面で私は筋悪く▲8二銀。植山悦行七段は△7四飛だが、ここで▲9一銀成が誤った。すかさず△7三桂と跳ばれ、この成銀が遊んで面白くなかった。のちの食事会で植山七段が「アッ!!」と叫んだのだが、ここは▲8一銀成が正着。桂、香を拾えば下手が十分だった。
植山七段は△7六歩と垂らす。どうも7七の地点が心許ないので私は▲7九香だが、これはいくらなんでも受け過ぎた。
△5四に金がおり、私は▲7五歩△同飛▲8六銀△7四飛▲7五歩△6四飛▲5五歩。金が6四に寄れず、詰んだ。対局中はしてやったりと思ったのだが、△4三金▲5四歩△同歩と落ち着かれてみると、下手、それほどでかしていない。▲8六銀と働きのない駒を打っているからで、こんなことなら2度目の▲7五歩では先に▲5五歩と突き、△6四金▲7五歩△同金▲同銀△同飛▲5四歩と、飛車の捌きを優先させるべきだった。
私は▲4五歩と突くが、これも焦った。ここは▲5七銀と活用すべきだった。
▲4六歩の金取りに、植山七段は△5五桂。この局面、金銀と桂の交換で下手が圧倒的駒得なのに、駒の働きが悪過ぎて、下手ハッキリ悪い。
▲4五歩は△4七桂成で下手負け。▲4八金打はまったく考えなかった。さりとてほかに指す手もない。盤上に目を落とすと、▲7九香がココセ級の悪手で、見るもおぞましい形になっている。ここからは上手が楽しいばかりになる。それは堪えられないので、いまはこれまでと、私は投了した。
大笑いする植山七段。
「大沢さん、ふざけてるでしょ」
私に角落ちで勝てるチカラがあるのに、ふざけて指してるでしょ、といっているのだ。しかし私は真剣である。その結果が、こんな前代未聞の投了図になってしまった。恥を忍んで、ここにそれを公開する。

上手(角落ち)・植山七段:1七成香、2一桂、2四歩、3三歩、4三玉、4五金、5四歩、5五桂、6四飛、6五歩、7三桂、7六歩、8四歩 持駒:銀、香、歩6
下手・一公:3六歩、4六歩、4七金、5八飛、6七歩、6八銀、6九玉、7五歩、7八金、7九香、8六銀、8七歩、8八角、8九桂、9三成銀、9七歩、9九香 持駒:金

7七の地点に6枚も利かしたのに、上手に無視されたため、無残な形になってしまった。まったく、春の悪夢だった。
5局目は新顔のShi氏と。Shi氏は年配だが礼儀正しく、二枚落ちで大野八一雄七段に惜敗、植山七段に快勝と、実力のあるところを見せていた。私とは、私の飛車落ち。大駒落ちの上手は私も自信があるので、ここは軽くひとひねり、のつもりで対局に臨んだ。
Shi氏は右四間飛車定跡から▲6五歩! ▲6八飛から山口瞳流で来られた。これはShi氏、よく勉強していると思った。
私は下手の陣形のイヤミ、イヤミを衝くが、Shi氏は冷静に対処する。ここはこう指してはこないだろう、と高をくくっていたが、Shi氏の指し手は的確で厳しい。これは強い下手だと思った。
最後は鮮やかに詰まされて負け。これは痛い敗戦だった。しかし次に対局する機会があれば、こちらも工夫する。ぜひ再戦したいところである。
もう6時は過ぎているが、大野七段の指導対局が続いているので、私はHon氏と一般対局。先番Hon氏の変態三間穴熊になった。私は玉頭位取りに出るが、相手が穴熊では効果が薄かった。
数手進んで△4四角が疑問。将来▲2四桂や香のキズができたからで、ここは△3三角とひとつ上がるにとどめておくべきだった。
以下はHon氏の指し手が冴え、私の玉は中段に吊りだされ、風前の灯。△4八角成▲同金△同竜にHon氏は▲3九角。後手玉は受けなしの二手スキ、先手玉に一手スキがかからず、ここで私は投了した。Hon氏の穴熊は固くはないが、妙に耐久性がある。Hon氏の持ち味がよく出た一局だった。
私は泣きの再戦を申し込むがHon氏に逃げられ、これできょうの対局は終了。6局指して1勝5敗はひどい成績だった。
先日行われた、中倉宏美女流二段-小野ゆかりアマの一戦を鑑賞する。小野アマの四間飛車に、宏美女流二段の▲5七銀左急戦。激戦の末、宏美女流二段が敗れたが、いい将棋だった。
いよいよ食事会である。外へ出ると本格的な雨になっていた。大野七段に傘を借りた。参加は大野七段、植山七段、W氏、Hon氏、Fuj氏、M君、私の7人。
きょうは近所のトンカツ屋に行った。いつも行く中華料理屋の並びにあり、初めて入る店である。肉はもちろん美味かったが、ご飯の量が多かった。
M君が帰宅して、私たちはガストへ向かう。ここでいつものおしゃべりである。
きょうは「大野教室のマドンナ」こと、Yさんが来る予定だった。私も大いに楽しみにしていたのだが、叶わず。私は女性の言葉は信じないことにしているのでショックはないが、いささか脱力した。
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二十七たび大野教室に行く(前編)

2012-04-27 00:23:19 | 大野教室
22日(日)は、かなり迷ったが、「大野教室」に行った。大野教室は第1、第3の土、日開講で月4回あるが、私は今月4回目、つまり皆勤である。私が大野教室に通い始めて1年余りだがこれは初めてで、せっかくの休みなのに、ほかにやることはないのかと、自問自答してしまう。
教室には午後2時に入った。大野八一雄七段は4面指し(だったと思う)、奥の植山悦行七段は3面指しを行っていた。また大野七段の弟子のM君も、Sat氏と指していた。
W氏の指示は植山七段との指導対局だったが、植山七段の面数をこれ以上増やすのは味がわるいので、大野七段に教えていただくことにした。
角落ち戦。相居飛車の出だしから、私は▲3五歩を早めに突く。大野七段は△6五歩と突き越した。やはりそう指されたか。角落ちを戦うコツは、下手が位負けしないことである。それは分かっているのだが、馴れてくると、ついほかの手を指したくなってしまう。
しかし上手はその緩手を見逃さず、すかさず位を取って咎めてくる。本局もそれで下手の角の活用がむずかしくなり、苦労することになった。
大野七段は△6四金から△7五歩。以下8六の地点で金銀交換になった。これに▲8七歩では△7六飛と横歩を取られるので私は▲8七金打だが、一方的に駒を使わされて、早くも劣勢になった。ただこの辺り、上手もそれほどでかしてなかったらしく、大野七段も意外だったという。
大野七段は5筋に飛車を転戦する。私は▲3六の銀を4七に戻し、玉を6八に上がり防戦一方。△5六歩に私は▲5五角と敵銀と指し違えたが、それには△5七歩成がソツのない利かし。以下▲同金に△5五飛と角を取った手が、△3九角と△3五飛の両狙いで、上手勝勢となった。
以下は大野七段の疾風の寄せを見るばかり。無念の投了となった。
植山七段とは割といい勝負になるのだが、大野七段には惨敗することが多い。今後の課題である。
と、Sai氏が久しぶりに現れた。Sai氏はとある会社の社長で、大勢の部下がいる。週末も忙しく、家も逆方向なのに、時間をやりくりして大野教室に訪れている。きのうは茨城県から生徒も来ていたし、これは講師冥利につきるというものだろう。
きょうの生徒はこれですべて。大人9人に子供3人だ。きのうは合わせて14人だったから、またも月50人ペースに戻ったことになる。
2局目はHa氏と。Ha氏はときどき大野教室に顔を見せる。無口だが熱心な愛棋家である。振り駒で私の後手。△8五歩を決める前に▲7七角と上がったので、こちらも△6四歩と変化してみた。以下腰掛け銀から右四間飛車に構える。
▲6七銀型で、私は△6五歩。しかしこれが疑問。当然△8五桂と指すべきだった。
本譜は△6五歩▲同歩△7七角成▲同桂△6五桂▲同桂△同銀に、▲5五角が好点。私は△2二角だが、▲9一角成△6六歩▲7八銀△7六銀に▲6四香が痛打で、いくばくもなく私の負けとなった。
ここで3時休みという名の詰将棋タイム。私も問題図だけ眺めておく。
3時半に対局が再開されたが、私の相手がいない。大野七段の前が何人か空いていたので、再び教えてもらう手はあるが、それは少し味が悪い。
それほどがっつくことはない、と少し待っていると、20分後、対局相手がついた。
Sa君である。振り駒で私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩に、Sa君は△7四歩。前回の対局でもSa君はこの作戦を用いたが、これは王道の手ではない。ここは△8四歩か△3四歩が本手である。
将棋は相掛かり模様から、私が▲5五角と据える。これに△2二角ならむずかしかったが、他の手だったので、私は▲7三飛成(と銀を取る)△同桂▲同角成△6二飛▲9一馬と進めた。
これで三枚換えだから先手優勢と思いきや、△7一飛と馬金(▲7八金)両取りに打たれ飛び上がった。しかし▲7七香△9一飛▲7三歩と進んでみると、後手の二枚飛車も働きがいまひとつで、いい勝負になっていたようだ。
これは最後までむずかしい戦いだったが、私の一手勝ちとなった。
4局目は植山七段と角落ち戦。これが前代未聞の将棋になった。
(つづく)
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二十六たび大野教室に行く(後編)

2012-04-26 00:06:18 | 大野教室
話が前後するが、先ほどはHi氏とHon氏、Fuj氏に私が手空きだった。この4人で一般対局をすることになったのだが、4人はもう何回も顔を合わせているので新鮮味もなく、組み合わせはどうでもいい。そこでW氏の提案で、「グーパー」で対局相手を決めることになった。
その結果、Fuj-一公、Hi-Hon戦となった。そしてこの2局がほぼ同時に終了し、4人そろって植山悦行七段に教えを乞うことになったというわけであった。
私とFuj氏は角落ち、一服して遅れてきたHi氏は角落ち、Hon氏は飛車落ちの手合いである。
私との将棋は、△6二銀▲7六歩△6四歩▲5六歩△6三銀と進んだ。角落ちの上手に確たる定跡はないが、ふつうは5筋の歩を突くところ。
しかし植山七段は△6四歩~△6三銀を愛用する。いかにも手練れの指し方で、植山七段は飛車落ちでも二枚落ちでも、金銀の配置を微妙に変えて、下手を幻惑する。ここが駒落ち名人とされる所以だ。
私は5筋に位を張り、▲4八飛。次に▲4五歩があるので植山七段は△4二飛だが、その後私は▲8六歩と突き、こちらからの逆襲を目指した。これは機敏な動きだったようである。
△8二飛と戻れなくなった上手は、△7三金、△4一飛~△8一飛とギリギリで受ける。私は慎重に手を進め、まずまずの将棋になった。その後、△8七桂を警戒して▲9八香と先逃げしたが、これはいかにも渋すぎた。
上手は5五で銀交換に出て、△8七銀。この局面が下である。

上手(角落ち)・植山七段:1一香、1四歩、2四歩、3三桂、3四歩、4三金、6三銀、6四歩、7二玉、7三桂、7四歩、8一飛、8六歩、8七銀、9一香、9四歩 持駒:桂
下手・一公:1六歩、1九香、2七歩、2八玉、2九桂、3六歩、3八金、4六歩、4七銀、5五角、6七歩、7六歩、7七桂、7八金、8九飛、9六歩、9八香 持駒:銀、歩4

以下の指し手。
▲5九飛△7八銀成▲3三角成△同金▲5三飛成△4四角▲8二歩△同玉▲8三歩△同玉▲8四歩△7二玉▲8三銀△6一玉▲4二竜△5二金▲3一竜△5一歩▲8五桂△8三金▲同歩成△同飛▲5三歩△6二金…。

こんな露骨な攻めはしてこないだろうとタカをくくっていたが、△8七銀はいざ打たれてみると厳しかった。
私は▲5九飛と転戦する。と、植山七段が
「うわー、(将棋に)明るいですねー」
と叫んだ。「この銀は相手にしない、ということですか」。
この言葉だけを聞けば、私がうまく立ち回ったようだが、数手進んで見ると、実際は暴発である。金を丸損した上に角まで切り、その代償が飛車成りだけとは哀しすぎる。
△4四角に、私は苦し紛れの▲8二歩。しかし数手進んで▲8五桂と跳んだところでは、不思議なことに、いい勝負になっていた。上手は△8三金と、銀を取る。
ここで私の読みは、▲7三桂打△6二玉▲8一桂成で下手よし。以下△8四金には▲8二飛だ。
しかし▲7三桂打には一回、△同金と取る手がある。これには▲同桂不成がまた王手飛車取りだからこれで一向に構わないのだが、一瞬銀を食い逃げされるのが気に入らず、私はつい、▲8三同歩成と取ってしまった。
△同飛に▲8四歩△同飛▲7三桂成が読み筋で、これも何となく筋っぽくはある。しかし、玉に5三から逃げられそうに思い、私は▲8四歩の前に一本▲5三歩と叩いた。△同金なら利かしだし、△同角なら▲3三竜と金を取れる。
ところが植山七段に△6二金と寄られ、愕然とした。何と、手順に7三の地点を補強させてしまったのだ。
やり直しとばかり▲5二歩成は△同銀で無効。窮した私は▲1一竜から▲5二香と迫ったが、これはいかにもダサイ攻めだ。先ほどのツナギ桂の簡明さには遠く及ばない。
最後は上手の入玉が確定し、指導対局としては、ここまで。潔く投了した。
序盤はうまく指し、中盤も指し切り模様からうまく手を繋げたのに、誰でも指す桂馬のふんどし(王手飛車取り)を指さず、そのあとも好手風の疑問手を指したのが悔やまれた。
なお、Fuj氏とHon氏は見事勝利を収めた。Hi氏の勝敗は不明。
きょうは大人10人、子供4人の参加だった。あれほどいた生徒が、いまはほとんど帰っている。Ii君が植山七段に、早指しで教えを乞うことになった。
これがすぐ終わると思いきや、なかなか終わらない。時は7時20分。しびれを切らした私は、Fuj氏に再戦を申し込んだ。もちろんFuj氏も応じる。お互い将棋バカである。
後手の私が、今度は四間に振った。Fuj氏は▲5七銀左から急戦に来る。彼の狙いは▲4五歩~▲2四歩だが、その間に▲3五歩を入れるのがFuj流。昨年秋の将棋合宿もその順で来られ、私が完敗している。今度もそう来ると思った。
それなのに私はのんびり構え過ぎていた。これといった対策を講じないまま、▲4五歩~▲3五歩~▲2四歩から▲2二角~▲3一角成とされ、後手敗勢。
私は△4四飛と浮くが、▲5三桂成とされ飛び上がった。こんな手をウッカリしているとは…。しかし気付いていても、対処のしようがなかった。私は自分に嫌気がさし、ここで投了した。
感想戦には大野八一雄七段が付き合ってくださったが、△1二香が緩手とされた。
「それよりも、なんで△5四銀と上がらないの?」
と疑問を呈された。なるほど▲4六歩に△5四銀か。▲4五歩なら構わず△6五銀と出るのだろう。
▲4六歩に△5四銀は定跡書にも出ている。この手を指せないとは、勉強不足というしかない。本当に私は、有段者なのだろうか。
ともあれこれできょうの将棋は終わり。きょうは大野七段に教えてもらわなかったが、これは初めてのケースである。しかし植山七段に教えてもらったので、構わない。
食事会は駅前のガストで。参加者は大野七段、植山七段、W氏、Fuj氏、私の5人。最近私は太り気味で、カロリーの高い食事は摂りたくないのだが、きょうもハンバーグにライスは大盛り、それに鶏の唐揚げまで付けている。もうどうしようもない。
食後はまたバカ話で盛り上がる。しかし今夜はちょっと趣を変え、大野教室の生徒が肴になった。もっとも、いちばん肴にされていたのは私だろう。今夜も大いに笑い、とても楽しい時間だった。
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