一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第4回ペア将棋選手権①・開会

2011-01-31 01:43:01 | LPSAイベント
1月30日(日)、LPSA恒例の「ペア将棋選手権」が、今年も行われた。このときの模様をきょうから数日間に亘って記す。
第4回となる今回の対局会場はLPSA芝浦サロン。サロンは2階だが、今回は7階の特設会場だった。
午前10時開場、10時30分開会式である。私は10時30分ちょうどに会場入りした。私は対局者でも何でもないので、遅刻しても一向に構わないのだが、開会式には間に合った。この辺りが、時間に厳しい鉄道マニアの習性と言えようか。
受付を済ませて室内を見渡すと、出場女流棋士と出場アマ強豪がそこここにいる。中倉宏美女流二段と目が合ったので、目礼する。松尾香織女流初段には、
「マッカランありがとうございますぅ」
と、あらためて御礼を言われた。もう口をつけたのだろうか。しかしあの結果は、私にとって屈辱だった。
「今度(の芋焼酎勝負)は負けませんから」
と返しておく。
30日は女流名人位戦第2局が行われるからか、それともまだ朝早いからか、観戦者はまばらだ。しかしその中に、早咲誠和アマ竜王の姿があったので驚いた。
早咲アマは九州在住だが、28日に東京・将棋会館で、武者野勝巳七段と竜王戦を戦っている。金曜日対局だったので、週末まで滞在を延ばしたのだろう。
代表理事・石橋幸緒天河を先頭に、今回出場の各選手・計16名が前方に勢揃いした。
パッと目についたのは島井咲緒里女流初段のピンクのスーツで、スカートがミニのうえ、タイト気味だった。今回はベストドレッサー賞の類はないが、もしあれば、早くも入賞確定である。船戸陽子女流二段は青系の服だったが、イメージカラーを交換したかのようだった。むろん船戸女流二段も、見事なファッションだったのは言うまでもない。
出場選手の自己紹介は端折って、女流棋士からアマ選手へ、恒例の直筆扇子の贈呈式が行われた。私がイラッとくる瞬間である。
私は第2回のペア選手権から拝見しているが、正直言って、女流棋士とアマ強豪が仲睦まじく将棋を指す姿は正視できない。
それなら行かなければいいのだが、後で「ケツの穴の小さい男だ」と嗤われるのもシャクなので、将棋の勉強のためだと自分に言い聞かせて、観戦に来ているわけだ。
もっとも私がペア将棋選手権に参加できるくらいの強豪だったら、最初からLPSAサロンには通っていないわけで、となれば船戸女流二段や中倉宏美女流二段らとも知り合いにはなっていなかった。弱かったから、LPSA女流棋士とお近づきになれたのだ。皮肉なことではある。
さて今回のシステムだが、8ペアで優勝を争い、まず予選を2局指す。1回戦の勝利ペアは、2回戦で同じく勝利ペアと戦う。1回戦で負けたペアも、やはり2回戦では負けたペアと指す。
すると「○○」「○○」「○●」「○●」「●○」「●○」「●●」「●●」という星が出来上がる。2勝ペア2組は決勝トーナメント進出とともに、1回戦が免除される。1勝ペア4組は決勝トーナメント1回戦からの出場となり、計6ペアであらためて栄冠を争うことになる。
ここで出場選手と対戦カードを記しておこう。
中井広恵女流六段・嘉野満ペア(ジュポン化粧品)-中倉彰子女流初段・牧野正紀ペア(リコー)ペア、船戸陽子女流二段・渡辺徳之(ジュポン化粧品)ペア-中倉宏美女流二段・太田博朗(富士通)ペア、松尾香織女流初段・野島崇宏(日本レストランシステム)ペア-大庭美樹女流初段・中治一郎(富士通)ペア、島井咲緒里女流初段・城間春樹(日本レストランシステム)ペア-渡部愛ツアー女子プロ・菊田裕司(リコー)ペア
以上16名が所定の場所につき、10時43分、戦いの火蓋が切って落とされた。
(つづく)
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「船戸陽子カレンダー2011」

2011-01-30 00:36:14 | 女流棋士
「船戸陽子カレンダー2011」はB2版のポスターカレンダーで、W氏の意見も取り入れ、「表紙+各月12枚」の豪華13枚体裁とした。当初は「表紙+1・2月+……+11月・12月+1年」の計8枚だったが、船戸陽子女流二段は何を着ても似合うので、枚数を増やしたものである。
では以下に、各月のテーマとイメージを記してみる。なおテーマはすべて、船戸女流二段の承認を得ている。


船戸陽子女流二段監修「船戸陽子カレンダー2011」

表紙:ブレザー
表紙のいでたちは最後に決めたが、ここは船戸女流二段お気に入りブランドのブレザー姿とした。私は船戸女流二段の将棋を指している姿がいちばん好きなのだが、今回は本人の意向で「将棋」は入れていない。船戸女流二段は女流棋士という職業が嫌いなのだろうか。いやこのカレンダーでは、素の自分を見せたかったのだと解したい。(ロケ地:東京・LPSA芝浦サロン)

1月:きもの
正月はきものがいい。船戸女流二段はかなりの数のきものを所有しているらしい。実際着る機会も多いそうだ。髪をアップにした艶やかな姿を、明治神宮で撮ろう。(ロケ地:東京・明治神宮)

2月:スキー
船戸女流二段は10年近くスキーをやっていないが、スキーは好きだそうである。もしやる機会があったら、スキーウェアはレンタルではなく、買いたいと語っていた。白系にピンクのラインが入ったウェアが似合いそうである。白銀の中、ゴーグルを上げてにっこりしているところをパチリ。(ロケ地:北海道・キロロリゾート)

3月:お花見
船戸女流二段は華道もたしなむと聞いたことがある。花を愛でるのが好きなのだ。ピンクのワンピースを着て、満開の桜の下、そぞろ歩きしているところを一枚。(ロケ地:東京・上野公園)

4月:お誕生日会
4月23日は船戸女流二段のお誕生日。イチゴがいっぱい載ったホールケーキにワインを添えて、薄暗い部屋の中、ろうそくの炎を吹き消しているところを一枚。バックには芝浦サロン会員有志に友情出演していただく。(ロケ地:東京・芝浦サロン)

5月:鎧武者
船戸女流二段はコスプレ好きらしい。天童の「人間将棋」にも2回出場している船戸女流二段、端午の節句の5月は、本人の強い希望で甲冑姿とした。兜の額部分には、直江兼続を彷彿とさせる「愛」をくくりつけている。(ロケ地:福島県・会津若松城)

6月:紫陽花を愛でる
雨上がりの昼、ブルーのノースリーブのワンピースで、庭に咲く紫陽花に触れているところを一枚。雨の中、青や紫の紫陽花をバックに傘をさしている姿も絵になると思うが、雨は気分が暗くなるので、今年は採用しなかった。(ロケ地:神奈川県鎌倉市)

7月:夏山登山
アクティブな船戸女流二段は、山にも登りたいらしい。本格的な登山なら、やはり重装備になるだろう。何も真夏に厚着をしなくてもと思うが、本人の意向なので、それを尊重する。青空の下で一枚。(ロケ地:長野県・八ヶ岳)

8月:ビキニ
夏とくれば水着である。船戸女流二段は沖縄が好き。青い空、青い海をバックにした、船戸水着姿は魅力的だ。水着はもちろんビキニ。本人選択のデザインは、白地にハイビスカスがあしらわれたもの。白い砂浜で、大きく伸びをしたポーズを一枚。(ロケ地:沖縄県久米島・イーフビーチ)

9月:ゆかた
やや時期外れだが、ゆかた姿も外せない。紫系の色がいいと思う。花火大会会場で、うちわを片手に微笑んでいるところを一枚。(ロケ地:花火大会会場)

10月:下着
女性下着カタログ誌「pj(ピーチ・ジョン)」の愛読者でもある船戸女流二段。禁断の下着姿も載せてしまおう。高層ホテルの一室でベージュのそれを身につけ、椅子に座って恍惚の表情…というのもいいが、窓際に立って窓のカーテンを開け、夜景を見る、というシチュエーションもいい。ここでは後者を採用する。
なお「下着」が入るとあまりにもアダルトになってしまうので、この月のみ別バージョンを用意する。夜景を望むポーズは同じだが、穏やかバージョンでは、男物のワイシャツをまとってもらう。(ロケ地:東京のシティホテル)

11月:チャイナドレス
LPSA新年指し初め式での、船戸女流二段のチャイナドレス姿は最高だった。当然カレンダーにも入れる。指し初め式のときと同じショッキングピンクのドレスで、横浜中華街入口の門の前に立ってもらう。門はいくつかあるが、最も豪華といわれる善隣門の前がいいだろう。斜に構えて左脚をグイッと前に出し、スリットから長い脚を見せてほしい。そんな船戸女流二段を、やや下方から撮影する。(ロケ地:神奈川県・横浜中華街)

12月:サンタクロース
クリスマスの時期は、サンタさんの格好も定番である。日本で最も有名なコスプレともいえる。12月は当然これにする。衣装はサンタクロースと同じだが、ズボンはミニスカートにしよう。東京原宿・表参道の街路樹がライトアップされる中、背中に布袋を背負って、パチリ。(ロケ地:東京・表参道)

1年:ベリーダンス
12月まで綴ってきて、本来ならここで終わりだが、ベリーダンスのダンサー姿を挿れるのを忘れていた。船戸女流二段はベリーダンスを踊ったこともあるのだ。あらためて船戸女流二段の多趣味に驚かされる。というわけで、セクシーな衣装をまとって踊っているところを一枚。これを年間バージョンとしたい。(ロケ地:東京・芝浦サロン)

以上、13枚+1枚の計14枚となった。
価格だが、10月が「下着バージョン」のものは9,800円(税別)。「ワイシャツバージョン」は6,980円(税別)とする。販売されたら、私は最低でも10本は購入する。
最後に、今回の夢のカレンダー制作に理解を示し、さまざまなコスチュームを披露してくれた船戸陽子女流二段には、厚くお礼を申し上げたい。
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1月28日のLPSA芝浦サロン・夢の食事

2011-01-29 13:45:47 | LPSA芝浦サロン
きのう28日(金)のLPSA芝浦サロンは、船戸陽子女流二段の担当だった。きのうは午後6時まで仕事があったので、終業後すぐに芝浦に向かう。
入室は6時45分ごろか。船戸女流二段は27日の天河戦で、中井広恵女流六段相手に下手な寄せをやって敗れた。本人は大変なショックだったはずで、きのうはやはり元気がなかった。まあそれはそれで魅力的なのだが。
指導対局回数券が切れたので、新しいのを買う。5回分で15,000円だ。前回は12月24日に買ったから、1ヶ月での更新となる。駒込金曜サロンと比べて、訪れる回数が増えている。これはかなり意外だった。
さっそく船戸女流二段との対局に入る。しかしいざ船戸女流二段を前にすると、慰めの声を掛けられない。もっとも船戸女流二段も、そんな言葉はいらないだろう。
これはマッカラン勝負の3局目である。イケメンスタッフ氏が来て、
「マッカラン勝負は、船戸さんの勝ち星で年代物が変わるんですよね」
とケタケタ笑う。
船戸女流二段が8勝なら12年モノ、9勝なら18年モノ、10勝なら20ウン年モノになるんでしょう? というわけだ。
そんな恐ろしい約束をした覚えはないが、すべては私が5勝(7敗)すれば済むことである。
本局は船戸女流二段の作戦が一貫せず、労せずして私の作戦勝ちとなった。以下も順調に押して、私の完勝。船戸女流二段には50局近く教えてもらっているが、こんな不出来な将棋は初めて。新春将棋大会での圧倒的な強さはどこにいったのか。やはり27日の敗戦が尾を引いているのだろう。
「こんな将棋指してちゃダメですよ」
私は少しおどけて言う。
早くいつもの船戸女流二段に戻らないと、私は船戸女流二段のファンをやめちゃうよ。
「日めくり詰め将棋カレンダー2011」が芝浦サロンで再発売となったので、1部買う。昨年は売れ残りがあったのでゆったり構えていたら、ネットでの販売分が完売となって、慌てた。もう1月28日だからいまから買うのは味が悪いが、私の詰将棋も採用されているので、買わないわけにはいかなかった。
このあとはTat氏との一般対局。Tat氏は最近ゴキゲン中飛車を多用し、それが氏の棋風にもあっているようで、好成績を収めている。私もたびたび苦戦を強いられており、対戦成績は私が圧倒しているが、油断のならない相手だ。
将棋はやはりTat氏のゴキゲン中飛車。対する私の仕掛けが無理気味で、捌き合いの末☗9九香を取られては私が苦戦となった。
以下私も盛り返したが、☗3一飛☗4四馬☗6九玉☗7九銀・持駒金…、☖9八馬☖9九銀・持駒金、銀…の局面で、☖8七馬の王手に☗7八金とはじいたが、☖8六馬と引いた手が☖5九金までの詰めろなので☗6八銀と上がったら、☖3一馬と飛車を取られて、飛び上がった。
以下数手指して投了。痛い敗戦となった。
Tat氏は実戦の雄で、指していて楽しい。これからも手合わせ願いたい。
次はY氏と。Y氏も努力家で、最近メキメキと力をつけている。一発を秘めており、油断しているとやられる。この将棋も終始むずかしい戦いだったが、最後はY氏の入玉を止めて、私の勝ち。
きのうは関西から長期出張中の男性氏が訪れていた。男性氏はひじょうに礼儀正しく、将棋も強い。私も昨年12月に一局指したが、いいところなく敗れてしまった。
きのうは指す時間がなかったが、またお手合わせできればと思っている。

放課後の「サイゼリヤ」だが、今回は無理をいって、船戸女流二段にも同席してもらった。表向きはみんなで船戸女流二段を元気づける、というものだが、私が船戸女流二段と食事をしたかったためなのは言うまでもない。同席者はW、K、Y、Tatの各氏。
私はパスタをオーダーする予定だったが、船戸女流二段のオーダーした定食メニューと同じにする。早くも粘着体質がでてしまった。
しかし船戸女流二段と同じ席で食事ができるとは、なんとありがたいことだろう。私は舞い上がってしまい、ひとりでしゃべりまくる。
まずは25日の芝浦サロンで、船戸女流二段と指したときの話をする。
「いやもう、船戸先生が完全にモデル(みたい)なんだよね。チラッ、チラッと(対局中に)3回見たかな。本当に船戸先生が綺麗でさあ、ちょっとオレもう、ムラムラしちゃったもん」
こうもストレートにセクハラ発言をされては、船戸女流二段も苦笑するしかない。
「大沢さん、飲んでないですよね。飲んでるみたい」
と返すのが精一杯だった。
さらに船戸女流二段が
「大沢さんのブログ、全員の女流棋士を大沢さんの名字にするヤツ、おもしろかったです。だってみんなが一度は考えることだけど、実際は書けないでしょう? あれを書いちゃうのがすごいです」
と言う。1月3日にアップしたもので、不気味な内容だったが、あれは中井女流六段はじめ、私の周りでは妙に評判がよかった。私が実名でブログを書いているからできたことで、私も「大沢由紀」「大沢陽子」と書いたときは、胸がドキドキしたものだ。
しかし船戸女流二段は、なんでこんな話をしたのだろう。思うに、先日のブログで私が「船戸女流二段は最近私のブログを読んでない」と書いたからではないか。「ちゃんと私も読んでますよ」と暗に言いたかったのかもしれない。
この辺りの気遣いが、船戸女流二段らしいところである。
Y氏が私の詰め将棋カレンダーを見て、
「きょうはボクのが載ってるんですよ」
と言う。見ると、確かに載っている。良問だが、「詰め将棋」ならぬ「詰む将棋」の気もする。しかしTat氏が
「そういう詰将棋も必要なんですよ」
と言う。なるほどそうだ、と思う。
私はカレンダーの話から、「船戸陽子カレンダー」を造るとしたら、どんなカレンダーにしましょうか、という話に持っていく。
「女流棋士のポスターカレンダーを造るとしたら」というエントリは昨年も書いたが、今回は船戸女流二段個人の、夢のカレンダーを造ろうというわけである。当の船戸女流二段を交え、私(たち)は真剣に検討した。
(つづく)
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泣くなヨーコ、明日があるさ

2011-01-28 00:39:42 | 女流棋士
きのう27日午前10時から行われた天河戦・中井広恵女流六段-船戸陽子女流二段戦は、中井女流六段が歴史的逆転勝利を収めた。
きのうは午前中に一度ネット中継を覗き、昼休みに再び観戦した。そのときは128手目、後手の中井女流六段が☖4二銀と堪えたところだった。対して先手がどう指すか分からなかったが、実戦は☗2三銀。そうか、単純に王手でいいのか。しかし続く☗3二金は追いすぎだと思った。コメントには「☗6三金でもよさそうだが。」とあり、なるほどこれなら必至だ。
しかし本譜も☗4二金とボロッと銀を取れるから、よさそうに思える。これに中井女流六段は☖6三玉。☖6一玉と引いて後手玉には詰めろがかからないと思ったが、☖6三玉は、後に玉を攻め駒のひとつにしようという、中井女流六段渾身の勝負手だったのだ。
ここから終局までの船戸女流二段の指し手は、船戸女流二段ファンの私には正直言って、正視できない。
1分将棋のなか正常な思考を欠き、乱れに乱れて、船戸女流二段は無残に敗れた。それはまるで、私やW氏のヘタな終盤が船戸女流二段に乗り移ったかのようだった。船戸女流二段のショックは、譬えが卑近で恐縮だが、女性が暴漢に襲われたごとくではなかったか。
初めに戻るが、☖4二銀☗2三銀☖4一玉に☗6三金なら、中井女流六段は投了しかなかった。また☗2三銀で☗5二金というシャレた手でも、船戸女流二段が勝っていた。
つまりどう指しても船戸女流二段の必勝だったわけで、この将棋を落とした船戸女流二段の心中、察するに余りある。
元来船戸女流二段は早指しが得意で粘り強く、逆転負けの少ない女流棋士だ。
勝つときは最初から快調に攻め倒し完勝。悪い将棋のときは自陣に駒を打ち、力づくでひっくり返す。反対に負けるときは、作戦負けからジリ貧で土俵を割ることが多い。同じ負けるにしても、本局のようなパターンはなかった。いつぞやの1dayトーナメントで中倉彰子女流初段に必勝の将棋を落としたことがあったが、私が記憶するのは、そのくらいだ。
ではなぜ☗6三金が見えなかったか――。などと外野がほざくのは無意味で、疲労のないクリアな頭で局面を見るのと、朝から極度の緊張状態を続けて局面を見るのとでは、おのずと見える手も違う。しかも相手は常勝の中井女流六段である。多少のふるえもあったろう。
私が25日に船戸女流二段から濃密な指導対局を受けたときは、終盤に見事な手順で即詰みに討ち取られていた。「クリア」の船戸女流二段なら、☗6三金はノータイムで発見したに違いない。
船戸女流二段には残念な一局となったが、しかし見方を変えれば、この終盤の「事件」のおかげで、本局が後々にまで語られる将棋になったとは言えまいか。
古くは升田幸三-大山康晴・高野山の決戦の「☗4六玉」。中原誠-大内延介・名人戦の「☗7一角」。マニアなところでは高島弘光-中原誠・棋聖戦の「☗2四歩」。どちらも優勢な側がそのまま勝っていたら、それらの将棋が今日まで語り継がれることはなかった。
☗6三金はコンピューターなら一目だ。しかし人間が指すから、指し手に誤りがあり、最後まで勝負は分からない。だから人と人との勝負はおもしろいのだ。
船戸女流二段の将棋にはドラマがある。人間味があふれている。
私は終盤で乱れた船戸女流二段に、彼女の新たな魅力を見た気がして、ますます船戸女流二段のことが好きになった。

いまごろ船戸女流二段は、自分の不甲斐なさに呆れ、家で泣きくずれているかもしれない。しかし泣くのはいいことである。きょうのタイトルとは正反対のことを書くが、泣いて、泣いて、涙が枯れるまで泣いて、自分の弱さ、未熟さを痛感したら、また将棋の勉強をして、出直せばいいのだ。
そんな船戸女流二段は、きょう28日、芝浦サロンの指導棋士である。私も仕事があるが、夜には駆けつける予定である。そのときは、お疲れさまでした、とねぎらいの声をかけようと思う。全国のヨーコファンを代表して。
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がんばれ~!!

2011-01-27 11:38:16 | 将棋雑記
ただ今、天河戦・中井広恵女流六段-船戸陽子女流二段の熱戦中。
船戸先生、がんばれ~!!
仕事を抜け出して、書き込みしてしまいました。
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