一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「ラス前」終了後の味気なさ

2010-02-28 00:43:23 | 男性棋戦
26日(金)のバンクーバーオリンピック・フィギュアスケート女子フリーは、韓国のキム・ヨナが金メダルを獲った。全編流れるような演技で、全盛期の谷川将棋を見るようだった。銀メダルの浅田真央は残念な結果だったが、全力は出したと思う。しかしキム・ヨナとの闘いはこれからも続く。精進を怠らず、次の大会ではぜひ優勝してほしい。
安藤美姫は、もし引退を考えているのだとしたら、まだ早い。応援しているファンがいる限り、現役を続けるべきである。捲土重来を期してほしい。

昨年6月5日に当ブログで、第68期順位戦の名人挑戦者および昇降級者予想を書いた。B級2組以下の降級点予想はしていないので、すべて合わせると14名になる。しかし100名を軽く超える順位戦参加棋士の中から予想を立てるのだ。全員はおろか、過半数を当てることすら至難である。3月は2日のA級順位戦を皮切りに各クラスの最終戦が指されるが、まずは昨年6月の予想を再掲し、その途中経過を記してみたい。

A級
挑戦予想:佐藤康光九段
挑戦可能:三浦弘行八段or丸山忠久九段or谷川浩司九段or高橋道雄九段
降級予想:井上慶太八段、谷川浩司九段
降級候補:佐藤康光九段(確定)、井上慶太八段or藤井猛九段

B級1組
昇級予想:鈴木大介八段、深浦康市王位
昇級決定:渡辺明竜王、久保利明棋王
降級予想:豊川孝弘七段、堀口一史座七段
降級候補:堀口一史座七段(確定)、阿部隆八段or畠山鎮七段

B級2組
昇級予想:橋本崇載七段、阿久津主税七段
昇級可能:中村修九段(決定)、中田宏樹七段or阿久津主税七段or野月浩貴七段or先崎学八段

C級1組
昇級予想:広瀬章人五段、村山慈明五段
昇級決定:戸辺誠五段(六段)、飯島栄治六段

C級2組
昇級予想:村中秀史六段、豊島将之五段、糸谷哲郎五段
昇級可能:豊島将之五段(決定)、高一生四段(決定・五段)、金井恒太四段or横山泰明五段or及川拓馬四段or村田顕弘四段

以上のように、ここまで堀口一史座七段の降級と豊島将之五段の昇級を当てているのみ。最終戦の結果次第では、あと2名増える可能性もあるが、まあ、私の予想はどうでもよい。ただ、大きく期待を裏切ってくれたのがA級の佐藤康光九段で、私は名人挑戦者に予想をしてしまった。それが8回戦で早々と降級とは、夢にも思わなかった。「将棋界のいちばん長い日」、最終局の興味が半減したのは言うまでもない。
今回私が言いたいのは、実はここである。順位戦の名人挑戦、昇降級は、最終局ですべてが決まるのが望ましい。しかし今期はラス前(最終局の1回戦前)で、7名の昇級者と2名の降級者が決まってしまったのだ。
プロ棋士の実力は紙一重。しかもそれが5段階に分かれているのだから、その「紙」はさらに薄くなければならない。然るにラス前でこれだけの昇降級確定者が出ては、興醒めしてしまう。
上には記していないが、B級2組以下も、最終局を待たずに降級点を取ってしまった棋士が何人もいる。
ためしに昨年、一昨年の、ラス前での昇降級決定者を数えてみた。B級2組以下の降級点(降級者)は数えていない。

第67期:名人挑戦者は決定せず。昇級決定者・2名。降級確定者・1名
第66期:名人挑戦者は決定せず。昇級決定者・3名。降級確定者・2名

キリがないのでそれ以前の順位戦は調べないが、ラス前での降級者は、例年1~2名は決まっているのかもしれない。今期は竜王・名人経験者の佐藤九段が早々と降級してしまったので、それがよけい目立ってしまった。
ただ昇級者に関しては、やはり今期の「7名」は異常である。自他ともに認める実力者もいるが、各棋士はそれをスンナリ許してはいけない。
来期こそは、最終戦までファンの楽しみを残してもらいたいものである。
コメント (11)
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コメントをくださる皆さまへ

2010-02-27 03:39:07 | 将棋雑記
読者の皆さまへ。
いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。また貴重なコメントも日々頂戴し、ブログを書くうえでの大きな励みになっております。
そのコメントですが、本文に負けないくらい、多くの方が読んでおられます。ちょっと不愉快ですが、「本文よりみんなのコメントのほうが面白い」という読者もおります。したがってコメントを寄せられる方も、相当の覚悟を持ってお書きください。しかしそれはむずかしいことではありません。万人の方が、「なるほど」「そういう考えもあるのか」「思わず笑ってしまった」と思う軽いものでいいのです。ただ、コメントを読んだ特定の人が顔をしかめるような内容、これは当ブログには似合いません。
…と書いている私自身が時折り過激なことを書くので、偉そうなことは言えませんが、私も不適当な表現だったと感じた場合は、適宜修正を行います。
もちろんこれからも、皆さまからのコメントは大歓迎です。文章の巧拙もまったく問いません。本文に関係のないバカ話でも結構です。いたずらコメントでない限り、必ずコメントはお返しします。しかし私が返答に困るようなコメントは、お控えください。
送信する前に、前後左右をよく確認。どうかよろしくお願い申し上げます。
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決戦は金曜日

2010-02-26 00:50:01 | プライベート
今年に入っても我が家はワークシェアリングの発動中で、私は金曜日が休みである。こんな状態が、もう1年以上になる。これ、明るいうちからLPSA金曜サロンにお邪魔できるので、傍から見れば羨ましいかもしれないが、仕事がないのは虚しいものである。仕事を終えてからあたふた駒込に向かっていたころが、懐かしい。
さてこのところ、家の近辺で水道管取り換えの大々的な工事が行われており、きのうは家の前の道路を全面的に掘り返した。きょうは最終埋め立て、地固めの作業になるはずで、とても家にいられる状況ではない。そこできょう26日(金)は、女流棋士会主催の「女流棋士スーパーサロン」に、久しぶりにお邪魔しようと思った。
ところがきょうは日本時間午前10時から、バンクーバーオリンピック・フィギュアスケートの女子フリー競技があるらしい。私の高校時代のクラスメートに、フィギュアスケートの選手(男子)がいて、競技には馴染みがあったが、それほど興味はなかった。
しかし4年に1回の冬季オリンピック、平日なのに朝からテレビにかじりつける機会などを合わせると、いつでも行けるスーパーサロンより、きょうが決戦のオリンピック女子フィギュアスケートに心が動く。
というわけで、スーパーサロンは予約せず。またの機会としたい。

…と、ここで終わるのもなんなので、以前も書いたが、スーパーサロンのお知らせをしておこう。
「女流棋士スーパーサロン」とは、東京・将棋会館で、日本将棋連盟・女流棋士会所属の女流棋士が、将棋道場の一隅で指導対局を行うものである。
月~金の午前10時からと10時30分から、それぞれ4人までの多面指し。指導時間はそれぞれ90分で、指導料は2,000円(支部会員は1,500円)。
担当女流棋士は、月:熊倉紫野女流初段 火:安食総子女流初段 水:中村桃子女流1級 木:井道千尋女流初段 金:上田初美女流二段もしくは藤田綾女流初段、である。6人の平均年齢は23.7歳。ちなみにLPSA女流棋士は、最年少で29歳3ヶ月である。船戸陽子女流二段は年女で、今年24歳になるとか言っていたが、私は怪しいとにらんでいる。
スーパーサロンには、昨年の初夏に6回ほどお邪魔したが、LPSA金曜サロンとは別の独特な緊張感があり、とても勉強になった。前日の予約でも断られたことはないが、やはり平日の朝に私用で東京へ向かえる人は少ないのだろう。最近行っていないのは、前夜のブログの更新に時間を食い、金曜日の起床が遅くなっためである。
スーパーサロンでの注意点がひとつ。金曜サロンは時間に余裕があるので、長考派の客も思う存分考えることができる。しかしスーパーサロンは時間がくると、キッカリ終了してしまう。
下手の考え休むに似たる、とも言う。女流棋士が自分の前に回ってきたら、すぐに指すことをお勧めする。
さて対局が終わると、引き続き道場で将棋が指せる。このあたりは金曜サロンとシステムが似ている。無料なので、思う存分楽しむとよい。さらに夕方からの早指しトーナメント戦にも無料で参加でき、2,000円で1日楽しめる。
さらに時間とおカネがある人は、午後6時30分からの「金曜ナイトサークル」にお邪魔するのもいいだろう。
基本的に第2、第4金曜日開講。道場の後方で、レギュラーコース、ゲストコースと交互に行われる。レギュラー講師は、山田久美女流三段、本田小百合女流二段、伊藤明日香女流初段、野田澤彩乃女流1級が交代で務める。
入会金は5,000円、月会費が10,000円。1回のみのゲストコースもあり、6,000円。指導対局で勝利すると、色紙などの賞品がいただける。これはLPSAのマンデー・レッスンにシステムが似ている。
ちなみに3月12日はゲストコースで、山口恵梨子女流1級の登場。ホワイトデー直前ということで、お楽しみプレゼントもあるらしい。「私が勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の3位につけた女流棋士だけに、私も指導対局を受けたいのはヤマヤマだが、彼女を前にしたら頭の中が真っ白になりそうなので、お邪魔するのは遠慮しておく。

まあとりあえずは、きょうのフィギュアスケートである。金メダルは金妍児(キム・ヨナ)と予想。大韓民国は、オリンピック選手に多額のおカネを掛け、国をあげて応援している感じがする。キム・ヨナも、その期待に応えるのではないだろうか。ただ言うまでもないことだが、私だって当然、浅田真央(中京大)を応援している。
ちなみに私は、安藤美姫のファンである。
コメント (8)
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金曜サロン・松尾香織女流初段⑧

2010-02-25 01:18:04 | LPSA金曜サロン
現在発売中の「ビッグコミックオリジナル」に連載中の「黄昏流星群」は、「萬代橋の女②」。
定年を過ぎた主人公が、出張に行った先で、一目見ただけのある女性に一目惚れをしてしまう。それから4年後、男はひょんなことから、同窓生らとその女性を探しに行くことになった。そして今号。男らは実に都合のよい展開でその女性と再会を果たす。しかもその男と女性がうまい具合にふたりきりになり、ホテルにしけこむ、というところで、「以下次号」。
現実の世界は、こんなに都合よくは行かない。もっと、もっと、苦しいものなのだ。

昨年最後の金曜サロンである12月25日、夜の担当は松尾香織女流初段だった。松尾女流初段は、私の(ココロの)姉弟子である。2009年のラストを飾るにふさわしい女流棋士であった。
この日はクリスマス。石橋幸緒女流四段はサンタクロースの格好、植山悦行手合い係も白ヒゲをつけ、一応それらしい雰囲気はあった。
松尾女流初段が入室するや、やはり驚きの表情だったが、「しょうがないなあ」と言いながら、トナカイの衣装をまとって登場する。さすがに松尾女流初段、場の空気をよく読んでいらっしゃる。
ところでトナカイの衣装といえば、3年前の年末に行われた、ミネルヴァファンクラブイベントでの北尾まどか女流初段を思い出す。北尾女流初段はちょっとコミカルな感じだったが、今回の松尾女流初段は大人のムード満載で女らしく、私は思わず見とれてしまった。2本の角も、本当に生えているようで、素敵だった。
しかし姉弟子にそんなことを言ったらまた何を言い返されるか分からないので、黙って指導対局を受ける。
▲7六歩△3四歩に、私は▲6六歩。そこで松尾女流初段が☖3五歩と振り飛車を目指したので、私は▲5六歩と突く。自分では居飛車を明示したつもりだったのだが、松尾女流初段は、
「え? 何考えてるの? 狙いが分からない」
と、三間飛車に振る。私は▲4八銀~▲6八玉と上がり、ここで松尾女流初段も、私が居飛車の方針ということを確信したようだ。
その後松尾女流初段は石田流に組み直し、私は玉頭に位を張る。そして迎えた中盤の局面が、以下のごとくである。

ここで松尾女流初段は△4五桂と跳ねた。私は▲4六歩△同角と呼びこんでから、▲4七金と強く受ける。
「それは…ちょっと損じゃないかなぁ」
と松尾女流初段がつぶやき、△3六歩。
▲4七金は疑問手だったか? と疑心暗鬼が生じたが、こうなっては行くよりない。以下▲4六金△3七歩成▲3五歩△2八成桂▲3四歩、と騎虎の勢いで進んだ。しかしそこであらためて局面を見ると、私の角得になっている。これは私が優位に立ったのではないか?
しかし上手の囲いが金銀4枚なのに、こちらのそれはバラバラ。玉も薄く、意外と指しづらいことに驚いた。事実その後の進行は自陣飛車を打たされるなど大苦戦だったが、9筋からの端攻めが割合うまく決まって、最後はなんとか花を持たせてもらうことができた。
前回の松尾女流初段との指導対局では、局後に
「一公さんには一生負けない!」
と宣言されてしまったが、そこはそれ、年の終わりに上手に負かされるのも悔しかろうと、松尾女流初段が緩めてくれたのだ。
これで2009年の指導対局はすべて終了した。戦績はどうだったか。詳しく調べないが、勝ったり負けたり、というところだったろう。
今年1年間ありがとうございましたと、LPSAすべての女流棋士に心の中で御礼を申し上げ、私はサロンをあとにした。
コメント (7)
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岩根忍女流二段の竜王戦出場に思うこと

2010-02-24 00:17:53 | 将棋雑考
第23期竜王戦は、前期に引き続き、4名の女流棋士が参加した。すなわち矢内理絵子女王、清水市代女流名人(当時)・女流王位・女流王将、里見香奈・倉敷藤花のタイトルホルダーに、岩根忍女流二段である。最初の3名はタイトルホルダーだから出場に異論はない。しかし残り1名が岩根女流二段だったことに、私は首を傾げてしまった。
女流棋士の参加枠が4名になったのは前期からで、そのときは5つのタイトルを4名で分け合っていたから、選出に問題はなかった。ところが今期は、昨年11月16日に石橋幸緒女流四段が女流王位を失冠し、タイトルホルダーが3名に減った。しかしそれでも、「4人目の女流棋士」は石橋女流四段で固いとフンでいたからだ。
私は「勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の最新版で、人妻にもかかわらず、岩根女流二段を5位につけた。だから彼女の登場を快く思うものだが、同時に、なぜに岩根女流二段なのだろう、とも思った。思い当たることといえば、第2期マイナビ女子オープンでの5番勝負登場しかない。
岩根女流二段が挑戦を決めたときは読売新聞紙上でも大きく取り上げていたし、「将棋世界」でも、なぜか読売新聞の西條耕一記者が、5番勝負の観戦記を書いていた。妊婦のタイトル戦登場・延期が、世間の話題にもなった。
しかし将棋の世界は「話題」ではなく、「実力」がすべてだ。石橋女流四段は、棋戦は違うものの、王座戦、朝日オープン将棋選手権で男性棋士相手に3連勝している。「3連勝」は、男性棋士にだって達成はむずかしい。石橋女流四段は、男性棋士に伍して戦える逸材なのだ。
さらに「話題」のほうでも石橋女流四段は、女流王位戦5番勝負で棋史に残る反則をしでかし、全国的ニュースを提供した。どうして石橋女流四段が選出されなかったのだろう、と私などは考えてしまう。
そんな折、竜王ランキング戦6組の西川和宏四段と岩根忍女流二段の観戦記が、相崎修司氏の筆により、2月13日から掲載された。その第1譜に、「第23期竜王戦の抽選を行った時点で、女流タイトル保持者は前記3人。4人目は規定により、今年度のタイトル戦出場者の中から選ばれるが、岩根は棋戦序列上位のマイナビ女子オープン五番勝負挑戦が評価された」との記述があった。
マイナビ女子オープンは優勝賞金500万円の大棋戦である。岩根女流二段の5番勝負での健闘も認める。しかしそれでも、私は石橋女流四段の女流王位戦での将棋、「対男性棋士3連勝」を評価したかった。
ためしに、石橋女流四段と岩根女流二段の立場を替えてみる。岩根女流二段が女流王位を失冠し、石橋女流四段がマイナビ5番勝負の挑戦者になり、敗退したとする。それでもやはり、岩根女流二段(その場合は女流三段か)が出場したような気がするのである。
むろん竜王戦の主催社は読売新聞だから、こちらが文句を言う筋合いはまったくない。主催社が推薦する女流棋士を出せば良い。しかしこちらも、親子3代に亘って読売新聞を購読している。ウチが払った新聞購読料のごくごくごくごく一部が、棋士の対局料に換わっているとするならば、グチのひとつを言ってもバチは当たるまい。
ただ、出場した岩根女流二段は西川四段に敗れたものの、5時間の持ち時間をすべて使い、ベストを尽くした。私がいつも言う、「自分の持てる力をすべて出し切って、悔いのない将棋を指す」、これを実践したのである。さすがに私がファンランキングの5位に推すだけのことはある、立派な対局だったと思う。
さて、注目すべきは来期である。私としては、現在のタイトルホルダー3名にそのまま防衛してもらいたい。すると「4人目の女流棋士」は、甲斐智美女流二段ということになる。そうなれば、私は今期の岩根女流二段の出場を、はじめて納得することになるだろう。
コメント (16)
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