一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

さようなら、東十条囲碁将棋サロン(後編)

2015-06-13 01:51:28 | 東十条囲碁将棋サロン

以下の指し手。▲6四桂△同金▲5一竜△6一金
まで、大野七段の勝ち。

局面、上手玉に寄せがありそうだが、分からなかった。私は▲6四桂で守りの金を上ずらせ、▲5一竜。読みの本線でない手を指した。
大野八一雄七段は、「さあ、どちらが読み勝ってるのか」とつぶやき、△6一金。
これが私の見落とした手で、下手指す手がない。私は呆れつつ投了した。
感想戦。大野七段はこの数手前の▲6九香で▲5九桂を推奨した(▲6七の銀にヒモを付ける)。桂2枚より桂香のほうが攻めの幅が広がるというものだが、やってみると思わしい攻めがなかった。それで私が、▲6四桂△同金の次▲6二銀成△同玉▲8三歩成と指してみる。
これがなかなかの手で、下手の攻めが繋がりそうである。例えば△4一銀打なら▲4四桂。これは桂を2枚残した効果がある。いくつか変化を調べ、▲6二銀成~▲8三歩成なら下手有望、の結論になった。
「やっぱり飛車交換の局面からこっちが悪いね」
と大野七段。それは私も否定しないが、中盤以降で逆転していると思う。やっぱり上手は強いのだ。
時刻は午後8時30分。ちょっと中途半端だが、対局は上がり…と考えたら、大野七段が3局目を誘ってくれる。ありがたい話で、受けることにした。
手合いは平手。駒落ちで長引くより、こちらのほうが早く決着が付くという読みだろう。
私は三間飛車に振る。大野七段は△6四銀から△7五歩~△5五歩。この攻め、所司本で読んだことがあるが、変化を忘れてしまった。私は▲5五同歩と取ったが、△7六歩以下攻め潰された。
感想戦はOg氏を交えて行われた。Og氏は振り飛車の使い手なので、頼もしい。
検討では△5五歩に▲同歩が疑問手で、ここは▲7五歩だったらしい。以下、下手が十分の戦いが展開された。まあ、先手三間飛車対後手居飛車急戦で振り飛車が悪くなったら、振り飛車が滅亡してしまう。とはいえ居飛車も後手で十分指せることも分かり、これは収穫だった。これは、玉の薄い将棋を指す者にしか分からない実感である。
今日は営業最終日なので、中村敦夫似の席主が、飲み物と焼き鳥を振る舞ってくれた。私たちとは1年余りの付き合いだが、囲碁客と同様に扱ってくれ、ありがたいことである。
もっとも囲碁客はもっと長いわけで、酒も入って悪酔いしている手合いもいるが、それがまた感傷ムードを際立たせてしまう。このしんみりした感じ、私には堪えられない。LPSAの駒込サロンや芝浦サロンの最終日を思い出した。
私は席主に断り、本棚にある棋書をいただく。先述した小林健二九段の棋書に、谷川浩司九段の「谷川流高速の決め手」「高速の寄せ2・振り飛車で勝て!」をいただいた。3冊ともカヴァーのない年季の入ったものだが、この1年間、これらの本を読んだのは私しかいなかった。最後は私が引き取るのがスジである。
なお、羽生善治名人の「羽生の頭脳」シリーズ4冊は、Fuj氏が引き取った。これも、最適の人に渡ったということだ。
なお、囲碁盤も、希望者がいれば無料で譲ってくれるとのことだった。たぶん将棋盤ももらえるのだろうが、私はLPSAの布盤があるから十分である。
「これからも囲碁を打っていれば、どこかで会えるでしょう」
席主が囲碁客に言う。何となく、いい言葉だなと思った。
時刻は9時を過ぎた。まだサロンは開いているが、私たちはこれで失礼する。「最終列車」までいるのは辛く、この選択は正しい。
「またどこかでお会いしましょう」
私は席主にそう言い、大野七段以下7人は、サロンを後にしたのだった。
今まで本当にありがとう、東十条囲碁将棋サロン。

晩飯は、S君親子を除く5人で、いつもの中華料理屋に入った。ここの590円セットを頼むのも最後になると思うと、さびしい。私は担担麺と半チャーハンのセットを頼む。これで590円とは激安だ。
近所のスットコドッコイの歯科医のせいで、今夜も奥歯の調子が悪いが、それを上回る美味さであった。
ファミレスでないので、食事をしたらすぐに出るのがスジだが、大野七段やW氏は、そのまま余裕でおしゃべりをしている。私ももちろん付き合うが、視界に店のお姐さんが入ってきて、気が気でない。それを無視して談笑する神経の図太さが、私にはない。
とはいえみんなとの談笑はやはり楽しく、気が付いたら時刻は11時を過ぎていた。
会計後、この店にも礼をいい、退店。
次に東十条を訪れることはあるのだろうか。席主にも、どこかで会えればいいなと思った。
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さようなら、東十条囲碁将棋サロン(前編)

2015-06-12 00:08:16 | 東十条囲碁将棋サロン
昨年4月からお世話になった東十条囲碁将棋サロンは、5月26日に最終営業を迎えることになった。
サロンはJR東十条駅北口から徒歩1分と、アクセスは最高。近くにジョナサン王子神谷店もあり、これは便利な将棋処があったものだと小躍りしたが、実際は観たいテレビを優先したりして、あまりサロンにはお邪魔できなかった。
そのサロンが経営不振により、今日(5月26日)幕を閉じる。私はいつも読んでいた棋書をいただくために、東十条に向かった。

午後6時35分ごろサロンに入ると、今生の別れとばかり、多くの人がいた。サロンは囲碁客がメインだが、その黒山の中に、大野八一雄七段、植山悦行七段の姿があった。植山七段は前回で上がりだったが、今日は特別開講だったのだろう。Tak氏ら級位者に、講座を開いていた。
Fuj氏が、24日の大野・植山教室で指されたTod―Ok戦を並べてくれる。これが奇々怪々な手順で、私には理解不能。Fuj氏、この類の将棋を見せてくれるのもいいが、私はどちらかというと、好手妙手が織り込まれた熱戦を見たい。
私は談話スペースで、小林健二九段の「新スーパー四間飛車2」を読む。
植山七段が後ろを通り、
「今日はそれを取りに来たの?」
その通りだが、もちろん指導対局を受けて帰るつもりだ。
7時になって、段位者の指導対局となった。最後の参加者は、Fuj氏、S君、私。サポーターとしてW氏、Og氏が脇を固める。講師は大野七段に代わり、植山七段はこれでお役御免だ(帰宅)。
「今日で本当に最後なんですかねえ」
Og氏が不思議そうに話す。「(客が多くて)明日以降も営業しそうじゃないですか」
本当にその通りだと思うが、サロンは間違いなく今日、閉席するのだ。
私は角落ちで教えていただく。左のS君も角落ちのようだ。右のFuj氏は平手戦だが、「来週の社団戦での将棋に出現するかもしれないので、相矢倉で▲4六銀に△4五歩と突いた形を教えてください」とのことで、その周辺からの対局となった。
その形は実戦に出ないと思うが、社団戦はアマ版順位戦のようなものであり、部外者の私が口出しできる問題ではない。
私は石田流に組む。ふだん角落ちでは居飛車だが、ここサロンでは飛車を振ることが多かった。
大野七段は棒金に構え、△8六歩。これを▲同飛では△8五金。▲同歩は△9五金~△8六金なので私は果敢に攻めたが、成算はまったくなかった。
と、ここで客の一人に促され、席主がスピーチをした。
「ここでは兄が10年、それを引き継いだ私が10年、道場を開いてきました。でもここ何年かは…まあ、お客さんも少なくなって…申し訳ないけど、閉めることにしました」
辺りがしんみりする。ネット対局が盛んになって、道場経営はどこも厳しい。東十条も例外ではなく、1日800円という破格の席料にも拘わらず、閉席を余儀なくされた。席料を高くすれば客は離れ、安くすれば利益が出ない。二進も三進も行かなかった。
我が「将棋部」も昨年から参戦したが、結局集まったのは、大野・植山教室ら、一部の固定メンバーだけだった。昨年末に行われた大野七段―和田あき女流初段の公開対局も、起爆剤にならず。売り上げに貢献できなかったことを残念に思う。
局面。私は角金交換を甘受し金2枚で迫る。が、▲2六の飛車を△3五銀で殺されては、投了級である。最後は上手・5二歩、9九馬 下手・5四金、5五金…の局面で、△5三歩と突きだされ、指す手なしの投了。ヒドかった。
感想戦。△8六歩には、とりあえず▲同歩だったようだ。△9五金を待って攻撃すれば、金がソッポに行っている分だけ、下手がトクだった。
時間があるので、すぐに2局目を始める。もちろん角落ちで、今度は中飛車に振ってみた。
しかし中央を厚くされ、私は8筋に振り直す。ここと思えばまたあちら、が振り飛車の極意だ。
大野七段は△3二飛。そのあと△3五歩▲同歩△同飛と行きたいが、私に▲3八飛の用意があるので、そうはいかない。飛車交換なら下手有利だからだ。
大野七段は△8二玉~△7三金。私の▲5八金左を待って、先の手順を敢行した。
しかしこれは、私の待ち受けるところだった。ここで▲8四歩△同歩(△同金は▲8五歩で金が死ぬ)▲8五歩と継ぎ歩したのが自慢の手順。やむない△同歩に▲同飛(王手)とし、これで飛車交換が確定した。△同飛▲同桂が金当たり。自陣も▲4九金が離れているが、ここで先手を取れるから、下手指せると思った。
右ではFuj氏の実戦がかまびすしい。というのも、実戦といいながらその実は研究会で、大野七段とのやりとりがうるさいのだ。
どうも、指導対局と研究会を同時にこなすのは無理があるようである。…もっとも、サロンは今日で閉席なのだが。
私の将棋。中盤まで優位に進めていたと思うのだが、やはり終盤に追い上げられ、もう自信のない局面になっている。
私の▲7一銀に、大野七段は△6六歩と取り込む。さあ、どちらが読み勝っているのか。

(つづく)
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東十条囲碁将棋サロン、5月26日(火)で閉席

2015-05-10 01:10:01 | 東十条囲碁将棋サロン
植山悦行七段のブログ記事によると、東十条囲碁将棋サロンが、5月26日(火)をもって閉席になるらしい。
いまだから話すが、同サロンの閉席の噂は以前からあった。最初は昨年秋、大野八一雄七段と和田あき女流初段とのお好み対局が組まれた矢先に、その話が出た。
このお好み対局は、これを足掛かりに同サロンの周知を図り、ゆくゆくは新規の客で盛況にする、というものだったが、早くもミソがついた。
閉席の理由は察しがつく。建物の老朽化と来客の減少、席主の高齢化、これに尽きる。
ことに将棋のほうは壊滅的で、一般の客が皆無である。植山七段と大野七段を講師とする月2回の教室は、級位者のレギュラー生徒が3人、段位者のそれが2人だった。教室からサロンへは場所代を払わねばならぬから、これでは赤字である。
私はレギュラーにはなれず、東十条でジョナ研があるときにサロンを利用したが、そのパターンは私とHon氏のみ。ほかに将棋客もおらず、閑古鳥が鳴いていた。これではますます、私の足も遠のいてしまう。
そんな中、大野七段と和田女流初段とのお好み対局は、席主を痛く感動させたらしい。棋士の真剣勝負を間近で見せる手法は囲碁教室にはないらしく、秒読みと棋譜読み上げの声も心地よいBGMとなり、ちょっとしたカルチャーショックだったようである。
後日W氏に聞いたところでは、「もう閉席の話なんて全然出てないよ」とのことだった。これで私たちは安心し、次はどの女流棋士とのお好み対局を組もうか、と企画を練ったのである。
そんな矢先の「閉席」の報だった。お好み対局後も、冷静に見れば客数は増えていない。席主も現実に返って、これ以上の発展は望めないと決断したものであろう。
それにしても、LPSA駒込サロン、LPSA芝浦サロン、ジョナサン駒込店と、馴染みの場所が次々消えていく。寂しいことである。
植山七段と大野七段の教室は、12日(火)と26日(火)を残すのみ。閉席が決まってから伺うなど、ガンで余命いくばくもない友を見舞うようで…否、廃止の決まったローカル線に乗りに行くようで、感心しない。しかも火曜日は、「そうだ旅(どっか)に行こう。」「踊る!さんま御殿」「開運!なんでも鑑定団」と、観たいテレビが充実している。
よって両日とも行かないと思うが、サロンに置いてあった「スーパー四間飛車2」(小林健二九段著)と「高速の寄せ2・振り飛車で勝て!」(谷川浩司九段著)は、記念に何とかいただきたいと思っている。
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2月24日の東十条囲碁将棋サロン(後編)

2015-03-13 00:07:43 | 東十条囲碁将棋サロン
時刻は午後7時半。いよいよ植山悦行七段との指導対局に入る。
私はいちばん左に座り、右隣がFuj氏、その右がS君だ。2日前の大野・植山教室では平手で緩めていただいたので、きょうも平手でお願いするしかない。▲7六歩に△8四歩。ここで私が固まってしまった。さっき「羽生の頭脳・ひねり飛車編」を読んだのでそれを試したかったのだが、初手にうっかり▲7六歩と突いてしまったからだ。
右のFuj氏は角道止めずの四間飛車。私も結局四間飛車に振った。角交換四間飛車を嫌う植山七段はとたんに不満を漏らすが、私は角道を止めるヘタレなので、そこは心配ない。△3四歩に▲6六歩とした。
そこへOg氏が見えた。Og氏は大野八一雄七段の弟弟子なので東十条とは縁が薄いが、近くに来たついでに寄ったものだろう。
S君のところは相矢倉。Fuj氏のところは植山七段が玉頭位取りに出た。私の将棋は、▲4六歩に植山七段が△5五角と出たので、▲4七銀と上がった。
「あれ? この将棋見たことあるなあ」
とOg氏。「同じだ。前、植山先生との練習対局で出た局面です。もう30年も前だけど」
いつもながら、棋士関係者の記憶力の良さには感心する。
右の将棋は△2五歩▲同歩△同銀。居飛車側は2筋の歩が交換できれば満足だろう。
▲2六歩△3四銀に、Fuj氏は▲3八金と締まる。
「Hisさんならノータイムで▲3八飛だね」
と私。His氏はいま、何をしているのだろう。
代わって私の将棋は、植山七段の△5三銀右に私の方が▲3八飛と回ったが、ちょっとおかしかった。
▲3五歩△同歩▲同飛に△3三銀。…あれ? こんな王手の防ぎ方があったのか。
しまった…。袖飛車にするときは、相手が△5三銀「左」ときたときに効果がある。これではただの、玉飛接近である。
どう考えても作戦負けになり、▲3九玉がこの位置ではヤバイと、私は玉の移動を開始した。すなわち左辺に逃げるのである。
「風車ですか」
とOg氏。まったくその通りで、先手番なのに積極性がなく、つまらない将棋にしてしまった。
後方では臨時スタッフのW氏が、S君パパと談笑中。右のFuj氏は穴熊に囲っている。Fuj氏の穴熊は珍しいが、ちっとも固くなさそう。苦戦しているようだ。
私のほうは、植山七段が厚みでつぶす順があったのだが、そこは指導対局なので見送ってくれる。しかしそうこうするうち、私にも楽しみのある局面になった。
右のFuj氏は△2七にと金を作られ、いくばくもなく投了した。S君も、植山七段に惜敗したようである。
私のほうは、△6四角と打たれた局面で、と金の方を守ったのが敗着となった。△8六角と、金を取られたのが意外に痛く、以下数手で私の投了となった。
やはり平手で連勝することは難しい。早速感想戦に入ったが、私が棋理にない手を指したからか、途中の指し手が再生できない(後で分かったのだが、植山七段が△8六歩と金頭に打ったとき、私が▲9七角を主張して譲らなかったため、滞ってしまったようだ。本譜は▲7七金だった)。お互い苦笑いして、感想戦は終了となった。
なお参考までに、終盤の局面から投了までの指し手を記しておく。

以下の指し手。▲8六角△同角▲同金△6五歩▲7四歩△6六歩▲7三歩成△6七歩成▲同玉△8一飛▲7二角△7一飛▲8三角成△6四角▲7二と△8六角▲7一と△6六歩
▲5八玉△5九金▲同飛△6七歩成▲同玉△5九角成▲5八金打△8六馬
まで、植山七段の勝ち。

▲7二とが悪手で、ここは▲7六金と寄るところだったらしい。以下△7三飛▲同馬△同角▲6一飛は難しい戦いだったらしい。
隣ではFuj氏とS君が練習将棋を指していた。相居飛車系の将棋で、S君が快調に攻めているようである。敵金を剥がし、▲5三歩と飛頭に叩く。
S君、このまま寄せきるかと思いきや、Fuj氏が△7七銀から先手玉を鮮やかに詰ましたのでビックリした。
攻められつつも1枚駒が入るのを待っていたようで、Fuj氏の将棋には、こういう死んだフリ攻撃がままある。
「後手の持ち駒を勘違いした」
とS君。穴熊と違い「Z」の形ではないので、うっかりしたのかもしれない。しかも感想戦を進めると、本譜の順では、S玉が詰まないことが判明した。じゃあ詰まないのか…? というところで、S君が角を8九に捨てる手を発見した。以下綺麗に詰み。やはりS君の終盤力は、タダモノではない。
これできょうの指導対局は終了。きょうはちょっと、囲碁客が少なかったようだ。我が将棋部も、もう少し客を増やさなければならない。
S君が帰り、残った5人で、前回も寄った中華料理屋に入った。
みんなは焼肉定食の類を頼むが、私は前回と同じ「担担麺と半チャーハン」のセット(590円)を頼む。私はこれがいちばん、「味がいい」。
酒の入ったOg氏は酔いが回ったか、
「きょうの将棋、Fujさんはあそこで▲3八飛と回らなけりゃ駄目。大沢さんは、あそこで▲3八飛と回るべきではない」
なかなか厳しいのであった。
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2月24日の東十条囲碁将棋サロン(前編)

2015-03-12 00:01:23 | 東十条囲碁将棋サロン
2月24日(火)に東十条囲碁将棋サロンに訪れたので、振り返ってみたい。
この日は月2回の将棋教室の日で、午後6時少し前に入ると、植山悦行七段が級位者相手に講義を行っていた。生徒はTak氏と大学生君で、レギュラーの年配の男性の姿はなかった。
後で分かったのだが、男性氏は仕事が忙しくなって、とりあえずはフェードアウトすることになったという。東十条はただでさえ生徒が少ないのに、また寂しくなってしまった。
段位者への指導対局は7時からなので、談話スペースで棋書を読む。後ろを通った植山七段が苦笑いしていたが、私はあまり本を読まないので、これが貴重な勉強時間なのである。
30分くらいしてS君が来たので、まずは彼と指すことにした。振り駒で私の先手になり、▲2六歩△3四歩▲7六歩。ここでS君は△4四歩だが、△8四歩と突いてほしかった。
私は▲2五歩を決め、銀を繰り出すが、S君に先受けされ、不発。結果的に相矢倉模様になり、不本意ながら▲5八飛と転戦した。
私は▲5四銀と突っ込む。△同金▲同飛なら先手十分なのでS君は△5二飛だが、これが一局を棒に振った大悪手。▲4三銀成△5八飛成▲同金△3九飛と進めば先手不利だが、そうはならない。いったん▲5三歩△同金として▲6三銀成としたのが好手で、△同金は▲5二飛成がある。これで先手必勝となった。
この将棋が終わり、7時近くになったので向こうにいる植山七段に聞くと、
「(大沢さんが)勝ちましたか」。
私の穏やかな表情から、そう読んだらしい。まだ指していてください、ということで、2局目を指す。今度も振り駒である。S君に先手を譲るほど私は甘くはないのだ。
今度は正調相矢倉となった。矢倉党のS君、今度は力を発揮できそうだ
矢倉特有の激しい攻め合いになった。また植山七段が通って、
「がっぷり四つですね」。
この感じ、LPSA駒込サロンに似ている。
ここまではいい勝負だったが、私に一失あり、劣勢。そこへFuj氏が来た。Fuj氏は大手企業に務め忙しいはずだが、キッチリ教室に参加するのはさすがである。とはいえ「段位の部」はまたもこの3人で、あまり変わり映えがしない。
S君は△7六歩の角取りだが、これがどうだったか。私は「ええい行け行け!!」と▲4四角とぶった切る。

以下の指し手。△4四同金▲3二銀成△同玉▲3三銀△4一玉▲4二銀成△同飛▲5三桂成△7二飛▲4二歩△3二玉▲4一角
まで、一公の勝ち。

▲3三銀とカチこんで、「強引かね?」とFuj氏に聞いてみる。「いや…」とFuj氏。厳しい攻めだ、という意味だろう。
これにS君がひるんだか△4一玉と引いたが、いささか弱気だったようだ。ここは△3三同桂と取り、▲同歩成△同角▲同桂成△同玉と応じられたら、次の手が分からなかった。
私は▲5三桂成から▲4二歩。この歩が利いたのが大きく、△5一玉は▲8四角が好手で寄り。S君は△3二玉と上がったが、これは▲4一角で簡単な詰みとなった。
S君、きょうはちょっと精彩を欠いていたようだ。
(つづく)
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