一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

LPSA芝浦サロン・渡部愛女流初段4(後編)

2020-04-22 00:20:59 | LPSA芝浦サロン

第4図以下の指し手。▲8六同角△8八歩▲7七桂△8九歩成▲4五歩△5三角▲6四歩△同角▲同角△同飛▲6五歩△6二飛(第5図)

LPSA芝浦サロンは駒込サロンと違い、会員同士の自由対局は推奨されなかったので、指導対局が終わった人は帰るしかなかった。だから今回もポツポツと人が少なくなっていった。
第4図で私は▲8六同角と取ったが、どうだったか。ふつうに▲8六同歩で、角を中央に利かせておくべきだった。▲8六同歩は△8七銀~△8八歩を嫌ったのだが、プロがそんなイモ手を指すわけがない。
本譜△8八歩にも、▲同飛と取る手はなかったか。△6五銀▲同桂△同飛▲同金△8八角成の筋を嫌ったのだが、考えすぎ。ただ、▲7七桂と跳びたいところでもある。
下手は△8九歩成とされて忙しいが、次の▲4五歩は、手順に△5三角と引かれてお手伝いだった。
私は抑え込みにかかっているので、駒の交換は網が破れてしまう。それを誘発した罪は重かった。

第5図以下の指し手。▲4六角△9二飛▲8五桂△4九角▲5九玉△3九銀▲2六飛△6七角成▲同金△4八金▲6八玉△4七金▲7三角成(第6図)

▲4六角△9二飛で飛車を僻地にやったようだが、△4九角の反撃が厳しかった。
私は▲5九玉と催促したが、一手の価値がない。渡部女流初段に△6七角成~△4七金と一本道で二枚換えされ、大きく形勢を損ねた。
第5図に戻って、いまだったら▲7三角△9二飛▲4六角成とするかもしれない。

第6図以下の指し手。△4八銀不成▲6六角△8八銀▲2四歩△同歩▲同飛△2二歩▲3四飛△4四歩▲3五飛△3七銀不成▲4四歩△4六銀不成▲2五飛△3三桂▲2七飛(第7図)

実は第6図からの指し手に意味不明のところがある。△4八銀不成▲6六角に、渡部女流初段が香取りを放置して、△8八銀と若干的外れなところに打ったからだ。
対して私も香を取らず、▲2四歩。棋譜が間違ってるんじゃないのか?
たとえば▲6六角のところでも、いまの目なら▲5五歩も考えたいところである。
本譜に戻り、△2四同歩▲同飛△2二歩に、▲同角成△同金▲同飛成は、△5九角以下詰み。なるほどこうなれば、△8八銀も十分効いている。とはいえ▲3五飛は一手の価値がなく、戦意が感じられない。

第7図以下の指し手。△4五桂打▲同桂△同桂▲6四桂△6三金▲8三馬△6四金▲同歩△6五桂▲7四馬△3一玉▲8六歩△7七歩(投了図)
まで、100手で渡部女流初段の勝ち。

第7図のあたりではほかの会員も全員帰ってしまい、渡部女流初段と2人だけという異常な状況になっていた。
△4五桂打は盤上から私の桂を消す好手。それでも▲同桂△同桂に▲6四桂と打って一瞬面白くなったと思ったが、強く△6三金と上がられていけない。
▲8六歩は▲7八玉~▲8七玉の脱出を見たものだが、冷静に△7七歩と脱出路を塞がれ、ここで投了した。玉は包むように寄せよというが、投了図は典型的な左右挟撃である。
本局、3年ぶりに教えていただき、中盤は駒損ながら厚みのある将棋にしたのに、その後に空中分解してしまい、いささか消化不良の残る将棋にしてしまった。

後日談。注目の倉敷藤花戦は、渡部女流初段VS貞升南女流初段が6月25日(水)に行われ、渡部女流初段が敗れた。というわけで、臨時マッカラン勝負で賞品を渡したのは、私だけになってしまった。
芝浦サロンの最終日は27日(金)で、その日は中倉シスターズの担当だった。
最終日とあって、駒込サロンの常連だったW氏、Kun氏、そしてHon氏らが姿を見せた。
私は彰子女流初段に指導対局を受けた。続けて宏美女流二段に指導を受けようとするも、ほかのみんなが飲みに行くというので、私もそちらを選んだ。その飲み会は楽しい時間だった。
あのあと、芝浦サロンのスペースには、学習塾が入った。すべては夢。懐かしい思い出である。
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LPSA芝浦サロン・渡部愛女流初段4(前編)

2020-04-21 00:10:06 | LPSA芝浦サロン
最近、プロ棋士のオンライン指導対局が流行りのようである。このたびLPSAも開講した。名付けて「LPSAオンラインサロン」。初回は26日(日)で、担当は島井咲緒里女流二段。ファンクラブ「Minerva」会員限定で、90分8,000円は値が張るが、女流棋士を独り占めできる時間は至福に違いない。
2014年6月9日(月)、LPSA芝浦サロンで、渡部愛女流初段(当時)に教えていただいた将棋を初披露する。
駒込サロンが芝浦に移転してから私は徐々に足が遠のき、前年11月29日以来の訪問だった。
また芝浦サロンはこの翌月から「LPSA麹町サロンin DIS」として衣替えをすることになっており、このころは惜別の雰囲気が漂っていた。
私は2010年から、LPSAの女流棋士を対象に「勝手にマッカラン勝負」をやっていたが、当時は2013年10月1日から2014年3月31日までブログを休止していた(というか、やめるつもりだった)。よってこのときは渡部女流初段のみに、臨時マッカラン勝負を敢行していた。
すなわち、倉敷藤花戦で渡部女流初段が勝ち進むごとに、ジョナ研メンバーがリレーで賞品をプレゼントする、というものだった。
結果は、渡部女流初段が2回戦で清水市代女流六段に勝ち、第一関門を突破。まずは私がプレゼンターである。芝浦サロンに行く前に日本橋に寄り、賞品選びだ。記憶がハッキリしないのだが、今治のタオルセットを購入した気がする。
そしてちょっと信じられないのだが、渡部女流初段に教えていただくのは2011年5月13日以来、約3年ぶりだった。
午後7時半からの回に予約を入れたが、10分前に入ると、渡部女流初段が6面指しをしていたのでびっくりした。この時間帯は講師側の休憩時間にあたっていたが、芝浦サロンは厳しく時間を制限していなかったので、みんなズルズルと延びてしまったのだろう。
指導対局前に「ご愛顧感謝くじ」を引くと、LPSA全棋士扇子が当たった。移転に伴い、在庫一掃を図ったのだろうが、それにしてもいいものが当たった。
ひとり抜けたので、いよいよ私が対局となった。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲2六歩△4二銀▲4八銀△3二金▲7八金△5四歩▲5六歩△4一玉▲6九玉△7四歩▲5八金(第1図)

当時渡部女流初段は女流名人リーグと女流王位リーグに入り、すでに一流棋士の片鱗を見せていた。この日はピンクのブラウスで、愛らしかった。
私の▲7六歩に、△3四歩なら振り飛車、△8四歩なら矢倉の作戦だったが、渡部女流初段は後者だったので、私は▲6八銀から矢倉を志向した。
以下は昭和の定跡通り進み、▲5八金の次の手が作戦の岐路。

第1図以下の指し手。△6四歩▲6六歩△6三銀▲3六歩△7三桂▲2五歩△5五歩▲同歩△同角▲3七桂(第2図)

△6四歩が今流。昔だったらこの手は銀矢倉への第一歩だったが、現代では急戦の意思表示だ。
私は▲2五歩と伸ばす。作戦的にはスズメ刺しが好きなのだが、上手の急戦&中央志向には立ち遅れる。もはやスズメ刺しは消えた戦法なのだ。
しかも△3三銀と受けるような渡部女流初段ではなく、当然△5五歩。▲同歩△同角が飛車取りで、▲3七桂と受けるようでは先手陣が薄い。

第2図以下の指し手。△5二飛▲5六歩△4四角▲6七金右△5四銀▲4六歩△6五歩▲4七銀△8五桂(第3図)

△5二飛の矢倉中飛車に▲5六歩はいいとして、△4四角には▲6七金左だったか。上手が中央志向なので、それに対抗せねばならなかった。
△5四銀に▲4六歩も一手の価値がなさそうだが、ほかに指す手がなかったのだろう。
渡部女流初段は△6五歩。満を持しての攻めという感じで、早くも下手つぶれそうだ。
これにはふつうに▲同歩でよかったと思うが、私は前手を継承して▲4七銀。渡部女流初段は反対側に△8五桂と跳んだ。

第3図以下の指し手。▲6五歩△7七桂成▲同金上△6二飛▲5七桂△5二金▲6六金左△8五歩▲7七角△8六歩(第4図)

渡部女流初段は軽口を交え、楽しそうに指導を進める。中にはこれを楽しみにしている客もいるが、私は盤上没我のほうだ。
ここで▲8六銀では△6六歩でつぶれなので、▲6五歩。銀桂交換の駒損は仕方ない。
△6二飛には▲5七桂と辛抱する。ここを乗り切ればまだまだ指せる。△5二金には▲6六金左と盛り上がり、渡部女流初段が
「アウーン、これどうやって崩すんですか?」
と悩まし気な声を上げた。
それに惑わされたわけではないが、△8六歩に▲7七角はどうだったか。▲5五歩が利くなら利かせたかった。これに△6三銀なら得だが、無視して△8六歩もある。でも指導対局だから、おとなしく△6三銀だったのではないか。
本譜に戻り、△8六歩に次の手もどうだったか。

(つづく)
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LPSA芝浦サロン・松尾香織女流初段(当時)・13

2019-05-05 00:54:17 | LPSA芝浦サロン
松尾香織女流初段(現・上川香織女流二段)には、おかわり対局を申し込んだ(追加料金1,000円)。ワイン勝負を一局でも早く消化するためである。

初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△5四歩▲6六歩△5二飛▲4八銀△6二玉▲6八玉△7二玉▲5六歩△8二玉▲7八玉△7二銀▲5八金右△5五歩▲同歩△同飛(第1図)

初手は▲2六歩としたが、松尾女流初段は4手目に△5四歩。ゴキゲン中飛車連投の気配だ。
私は▲6六歩と変化したが、松尾女流初段はそれでも△5二飛。私は▲6六歩を継承して、持久戦を視野に入れていた。
松尾女流初段は△5五歩と動いてきた。

第1図以下の指し手。▲5七銀△5一飛▲6七金△9四歩▲9六歩△6四歩▲5六歩△4二銀▲6八銀上△5三銀▲7七銀(第2図)

△5五同飛に、私は▲5七銀から▲6七金と上がった。今度は上部を厚くして、私好みの陣立てだ。これは容易に負けないと思った。
▲6八銀上の形は銀がダブってよくないが、後の▲7七銀が継続手。玉頭位取りの狙いである。

第2図以下の指し手。△5四銀▲7五歩△3三角▲7六銀△5二金左▲6八金上△6三金▲8六歩△1四歩▲8五歩△4四歩▲2五歩△4五歩▲7七角(第3図)

▲7七銀の次の▲7五歩がミエミエなので、△7四歩もあったかもしれないが、松尾女流初段はイジワルではない。△5四銀と好形に構えた。
私は予定通り▲7五歩と玉頭位取りの明示。松尾女流初段は着々と高美濃囲いを構築するが、持久戦ならゴキゲン中飛車の軽快な捌きを封印できるので、私も望むところである。

第3図以下の指し手。△1五歩▲2六飛△5二飛▲3六飛△2二飛▲3四飛△3八歩(第4図)

△1五歩は悠長な気がした。私は▲2六飛と上がる。場合によっては▲3六飛で、3四歩取りを見せて揺さぶるつもり。
松尾女流初段も△3四歩を守る手は利かされと見て、△5二飛から飛車を活用してきた。
▲3四飛に△3八歩。これが狙いだったか。

第4図以下の指し手。▲3三飛成△同桂▲6五歩△3二飛▲6四歩△同金▲5三角△6三金▲4四角成(第5図)

▲3三飛成が決断の一手。△同桂に▲6五歩の桂取りが気持ちいい。こうなってみると、上手の△3八歩が一手パスというか、邪魔駒っぽくなっている。
△3二飛に▲6四歩の取り込みも気持ちいい。松尾女流初段は黙って△同金と取ったが、△6二金引はバカバカしくて指せないところであろう。
私は▲5三角から▲4四角成と馬を作る。この馬が手厚く、これは優勢になったと思った。

第5図以下の指し手。△5九飛▲5五歩(投了図)
まで、61手で一公の勝ち。

松尾女流初段は△5九飛と下ろしたが、▲5五歩で銀が死んだ。と、ここで松尾女流初段が投了してしまった。松尾女流初段、2局目はちょっと精彩を欠いた感じで、拍子抜けした。ただこの1勝は大きく、ワイン勝負は4勝5敗で、進呈回避のリーチとなった。
松尾女流初段との芝浦サロンは結果的にこれで終わり、次は麹町サロンin DISにて2015年4月9日、約1年半ぶりに教わった。もちろんワイン勝負も継続した。
この将棋は私の逆転勝ちで、5勝到達。ワイン進呈は免れることができた。
なおこの時、松尾女流初段に「また新たなワイン勝負をやろう」と所望され私も応じたが、その後私は頻繁に足を運べず、長い中断となっている。
最後に、LPSA4女流棋士との、元祖マッカラン勝負の勝敗を記しておこう。改めてルールを記しておくと、各自最大12局を戦い、女流棋士が8勝すれば、女流棋士希望の商品を進呈。逆に私が5勝すれば回避、というものだった。

船戸陽子女流二段・ワイン勝負 2勝8敗で進呈
松尾香織女流初段・ワイン勝負 5勝5敗で回避
中倉宏美女流二段・ワイン勝負 5勝5敗で回避
島井咲緒里女流二段・チョコレート勝負 5勝3敗で回避

麹町サロンは、木曜日では行きにくい。松尾女流初段とはああ約束したが、もう個人対決では、この勝負はやらないと思う。
マッカラン勝負に応じてくれた4女流棋士には、改めて御礼を申し上げたい。
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LPSA芝浦サロン・松尾香織女流初段(当時)・12

2019-05-04 00:25:57 | LPSA芝浦サロン
LPSA芝浦サロンは、前回2013年10月11日の次は同年11月29日(金)にお邪魔した。この日の担当のひとりは松尾香織女流初段(現・上川香織女流二段)だった。
松尾女流初段とは「ワイン勝負」をやっていて、同年1月16日以来である。ここまで私の3勝4敗で、残り5戦で私があとひとつ勝てば、ワイン進呈回避だった。
なおこの時の模様も、ブログには記していない。松尾女流初段のほかに誰が担当だったかも不明である。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲2五歩△5二飛▲4八銀△5五歩▲6八玉△3三角▲7八玉△6二玉▲3六歩△7二玉(第1図)

私の居飛車明示に、松尾女流初段はゴキゲン中飛車。松尾女流初段は若干レパートリーが少ないので、これは予想された戦型である。
△7二玉に、次の手がやや緊張感を欠いた。

第1図以下の指し手。▲3七銀△8二玉▲4六銀△7二銀▲6八銀△3二金▲5八金右△9四歩▲9六歩△4二銀(第2図)

ここで▲3七銀と上がったが、けっこうあぶなかった。というのは、△5六歩の開戦があるから。
この前年に、中井広恵女流六段らと埼玉県に将棋合宿に行ったのだが、その時だったか、中井女流六段らとペア将棋をやった。私が似た局面で▲3七銀と上がり、相手ペアは自陣を整備したのだが、中井女流六段に「今相手から△5六歩があったんじゃない?」と疑問を呈された。その時の教えを、すっかり忘れていた。
超速にするのなら、▲6八玉型で▲3六歩~▲3七銀である。
松尾女流初段は咎めることなく、△8二玉。私は▲4六銀と上がり、通常の形に戻った。

第2図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲同銀△5六歩▲6六歩△2二角▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△5七歩成▲同銀△6四歩▲5六歩△3三銀▲3七桂△5一飛(第3図)

ここは▲3五歩といく一手だろう。それにしても、こちらが角頭を狙っているのに、上手は守る気配がまったくない。ここがゴキゲン中飛車のふてぶてしいところだ。
松尾女流初段△5六歩。角頭があぶなくなったら捌いてしまえということだが、私は▲6六歩と拒否する。
本譜▲2四歩△同歩には▲同銀といきそうなものだが、私は▲同飛とした。▲2四同銀は△4四角を嫌ったものか。だがこれでも下手が悪い道理がなく、そう指すべきだった。
その後も、私は2筋から攻めこめそうだったが、わりとゆっくりしている。このあたり当時とは読み筋が変わっているが、それは私が成長したということなのか。

第3図以下の指し手。▲3六飛△3一歩▲6八金上△1四歩▲1六歩△4四銀▲4六銀引△5五歩▲6七金右△5六歩▲同銀△5五歩▲4五銀左△同銀▲同銀△4四歩▲3四銀(第4図)

私は▲3六飛と寄ったが、どうだったか。今なら▲2四歩とやりたいが、△同歩▲同銀△同銀▲同飛の時、△3六歩のキズが気になる。というかそもそも、前譜▲3七桂も跳ねないと思う。
ただ本譜は松尾女流初段が△3一歩とヘンな歩を打ってくれたので、均衡が保たれた感じだ。
もっとも松尾女流初段にも狙いがあって、△4四銀のブッツケ。これを▲同銀では△同角で、次に△3五銀や△2七銀がある。この時△3一歩が、金にヒモをつけてよく利いている。
私は▲4六銀と退却したが、これでは下手失敗だ。
△5五歩に▲6七金右も、ふつうに▲同歩では△同銀で捌かれてしまうので、仕方ないのだろう。
松尾女流初段は銀交換に成功し、△4四歩と銀を呼び込む。ここでも△3一歩がよく利いている。してみると△3一歩は好手だったようだ。

第4図以下の指し手。△5六銀▲5七歩△6七銀成▲同金△1三角▲3五歩△2四金▲4六銀△3四金▲同歩△5八銀▲4八金△6七銀成▲同玉△2二角(第5図)

松尾女流初段は△5六銀。将棋は駒を剥がすことナリ、だ。私は▲5七歩と忍の一字だが、駒損をしているわけではないので、我慢のしがいはある。
その後も松尾女流初段の攻めを受け止める展開。でも△2二角と引かして、これは私も互角以上の形勢ではなかろうか。

第5図以下の指し手。▲2五桂△6五歩▲同歩△4五歩▲同銀△5六歩▲6六銀△5七歩成▲同金△6六角▲同角△5五金▲同角△同飛▲5六銀打△5一飛▲5五歩(第6図)

私は▲2五桂と跳ね、戦力増強。だが△6五歩に▲同歩はのんびりしていて、ここは▲3三銀とカチこむべきだった。というのも松尾女流初段に△4五歩~△5六歩とされ、半分蟄居していた角に捌かれてしまったからだ。
一時は角銀交換の駒得になったがそれも解消され、第6図では上手に先手を握られ面白くない形勢。しかし冷静に見れば、下手にも楽しみはいくつかある。
だが……。

第6図以下の指し手。△4九角▲7七玉△2七角成▲3九飛△4八銀(投了図)
まで、96手で松尾女流初段の勝ち。

第6図から5手で終わるとは思わなかった。
△4九角に▲7七玉が薄い手。当然5八に何か合駒しそうなものだが、▲5八金打は△6九銀がある。敵の角から遠ざかる意味でも、▲7七玉は仕方なかったのか。
だが△2七角成▲3九飛に△4八銀が厳しく、ここで投げた。

戻って▲3九飛では▲3五飛がまだしもだったが、△2六馬▲3八飛に△2五馬と桂を取られ、やはり下手が悪い。
とするとやはり、第5図からの折衝でしくじった可能性が高い。せっかく松尾女流初段の猛攻を凌いだのに、惜しいことをした。
これでワイン勝負は、私の3勝5敗となった。
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LPSA芝浦サロン・中倉宏美女流二段・14

2019-05-03 00:27:15 | LPSA芝浦サロン
かなり古い話になるが、2013年10月11日(金)、LPSA芝浦サロンでの指導対局を振り返る。
この日の担当は、1部が中倉彰子女流初段(当時)、2部が中倉宏美女流二段だった。その前は8月23日に伺ったが、その時と同じ講師である。中倉姉妹に1日で2局教えていただけるありがたさ。当時も薄々感じてはいたが、同様のシステムでの受講が叶わなくなった今、よけいその思いを強くする。
なお、私は2013年10月1日から2014年3月31日までブログを休んでいたので、この時の芝浦サロンの模様はまったく分からない(当時はそのままブログを止める気でいたが、思うところあって、2014年4月に再開した)。
彰子女流初段との将棋は、私のひねり飛車になった。彰子女流初段は堅囲いに組む。中盤まで互角の形勢だったが、▲6四飛、と4二角の利きに飛び出たのが私の勝負手。△同角に▲同角で、これが△8二飛と△7五金の両取りだ。
以下も見応えのある応酬になったが、最後は彰子女流初段に緩めていただいた。

次は宏美女流二段である。前局はココセの王手飛車を喰らって負けたので、本局は恥ずかしい将棋を指さないよう心掛けた(はずである)。
とりあえず、初手から指し手を記そう。

下手・▲一公
上手・△女流二段 中倉宏美

▲7六歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7七角△3四歩▲6六歩△6二銀▲6八銀△4二玉▲4八玉△3二玉▲3八玉△3三角▲5六歩△2二玉▲2八玉△1二香▲3八銀△1一玉▲1六歩△2二銀▲5八金左△5四歩▲6七銀△3二金▲7五歩△5三銀▲6八角△9四歩(第1図)

2手目△8四歩には三間飛車に振ってみた。こうなれば、宏美女流二段は得意の穴熊である。しかし右金を動かさないのが工夫だ。
私は▲7五歩と伸ばし、まずまず。

第1図以下の指し手。▲7四歩△同歩▲同飛△6四銀▲7八飛△5五歩▲5七金△1四歩▲7四歩△5六歩▲同金△8六歩▲同歩△5一金▲5四歩△7七歩▲同角△5五銀▲同金△同角(第2図)

▲7四歩から1歩を交換してポイントを稼いだと思ったが、宏美女流二段も△7三歩とは謝らない。△6一金型を活かし、△6四銀と出てきた。
△5五歩に▲同歩は△同銀で、次の△6六銀が受けづらい。私は▲5七金と上がったが、これでは美濃囲いが薄くなってしまった。
ただし私も▲7四歩~▲5四歩と垂らし、十分である。
宏美女流二段は金銀交換に来たが……。

第2図以下の指し手。▲5八飛△6四角▲7三歩成△同桂▲5三歩成△4一金▲7四歩△8六角▲7三歩成△7七角成▲同桂△8九飛成▲6三と左(第3図)

私は▲5八飛と回ったが、ここはたんに▲5三歩成もあったのだろうか。しかし△5七金も嫌味なので、やはり▲5八飛が正着だろう。ただ▲7三歩成は、手順に相手の桂を跳ばせてよくなかった。たんに▲5三歩成だった。
私は桂得したが、上手も飛車が成れば十分だろう。私は▲5三にと金も作ったのに、それでも優位にならない。ここが対穴熊の恐ろしさだ。
私は▲6三と左だが、穴熊相手にいかにも遅い。といって変わる手も分からなかった。

第3図以下の指し手。△5七歩▲同飛△6八角▲5八銀△5七角成▲同銀△5六歩▲4八銀△5七金▲3九銀打(第4図)

△5七歩から宏美女流二段の反撃である。
飛車角交換後の△5六歩には▲同銀と取りたいが、△6七飛が嫌味と思った。
とはいえ▲4八銀と引くようではひどい利かされで、△5七金に▲3九銀打と受けるようでは、未来がない形である。
とはいえ、ここで宏美女流二段はどう指すのかと思った。

第4図以下の指し手。△1五歩▲同歩△1六歩▲4六角△4八金▲同銀△5七銀▲同銀△同歩成▲同角△5六銀▲4八銀△5七銀成▲同銀△7九飛▲5九歩△7七飛成▲4八銀(第5図)

△1五歩と、穴熊側から端攻めにきた。私は素直に応じるよりないが、▲5七同角に△5六銀が重厚な攻め。△4七銀成も見られているので私は▲4八銀の辛抱だが、△5七銀成からふつうに駒損になってしまった。
私は63手目に▲6三と左とやってから、全然相手陣に手を付けられない。それだけ宏美女流二段の攻めが続いているということだ。

第5図以下の指し手。△6六竜▲5二と左△1七歩成▲同香△1六歩▲同香△同竜▲1七銀(第6図)

△6六竜を軽視した。まさか端攻めの増強にくるとは思わなかった。
でもよく考えれば、私の5筋は鉄壁。それならと、逆から攻めるのは自然な発想である。
私は▲5二と左だが、十階から目薬のような手で、全然穴熊に響いていない。ここでは辛抱ついでに、▲2六銀だったか。
宏美女流二段は予定の△1七歩成。数手後の▲1七銀に、次の手は当然であろう。

第6図以下の指し手。△1七同竜▲同玉△1五香▲1六歩△同香▲同玉△2四桂▲1七玉△1二香▲1六歩△同香▲2六玉△4四角(投了図)
まで、112手で宏美女流二段の勝ち。

△1七同竜と切り飛ばし、▲同玉に△1五香と走り、あらかた寄っている。以下△4四角まで投了となった。

本局、5三にと金を作ったところは悪くないと思ったが、その後のスピード計算を間違えた。もっと受けの姿勢を貫けばよかったと思う。
穴熊相手には丁寧に指すべし。本局を並べ返して、つくづくそう思った。
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