一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

社団戦2023最終日・5

2023-10-30 18:51:38 | 社団戦
それは、作業用風ズボンだった。A氏の知り合いの女性が当ブログのファンだそうで、A氏を介して、私にプレゼントをくれたのだ。当ブログを開設して14年7ヶ月、見知らぬ読者からこの類のプレゼントをもらったのは初めてである。ありがとうございます。大切に使わせていただきます。
木村晋介会長とA氏との将棋は、木村会長が振り飛車を振った対抗形。お互い筋違いに角を打ち、格調高い将棋になっていた。

ところが木村会長に見落としがあり、角をタダで取られる展開になった。ここ会長投了。潔い散り際だった。
ここでKan氏、阿部氏、山本氏が到着し、全員集合となった。なお今回は、Osa氏は欠席だった。私たちの撤去作業に時間がかかったので、待ちくたびれて帰ってしまったらしい。
では、席の配置を記しておこう。

木村 Kan 山本 アントン 山野 Kid
   □    □    □
A 一公 阿部 ベルク 藤原父 Aku

ほぼ全員が生ビールを頼み、木村会長の音頭で乾杯! 私は酒は飲まないが、ビールの最初の一口は美味いと思う。
と、ここでアントン氏が将棋盤と駒を取り出した。しばらくして、山部氏も盤駒を取り出した。大野教室のメンバーも相当だが、将棋ペンクラブも相当な将棋バカの集まりである。
今回は食べ応えのある食べ物がどんどん出てきて(しかも綺麗に3人前ずつだ)、みなそれを食べながら将棋を指す。話題も将棋のことばかりで、これが社団戦の打ち上げだと思った。
阿部-山本戦は、山本氏が寄せ切ったかに思えたが、阿部氏がうまい受けを見せ、制勝。両氏とも、社団戦でこういう将棋を指せばいいのにと思う。
木村-A戦の再戦があってもよかったが、木村-Kanの戦いとなった。木村会長が私の左に来て、Kan氏が右にズレる。Kan氏の席にはA氏が座った。
木村会長が強制的に先手を取って、初手▲6八飛から対局開始。さすがに木村会長、最先端の序盤だ。
そして中盤は木村会長、角交換から逆棒銀で8筋を制圧し、大優勢となった。

A氏と阿部氏は、難解な仕事談義をしている。冷静に見ると、このメンバーの中では私が最下層の仕事をしていて、将棋の強弱がふだんの生活に何の関係もないことが分かる。
さて第1図では▲6一角が筋だ。▲7二角成△同飛▲8三歩成の筋が受けにくく、先手必勝である。
ところが木村会長は▲6八金! なかなかなココセで、以下△7九角▲7八飛△6八角成▲同飛△8六金(△8四銀が勝る)で、Kan氏が有利になってしまった。

ところがそこから木村会長が持ち直し、第2図も先手大優勢の局面。
ここで▲6六角△7六金▲3三馬△同銀▲3四桂△3二玉▲2一銀△同玉▲3三角成で先手必勝だったが、木村会長は▲8三銀。
以下△8三同金▲同歩成△同飛▲8四歩△同飛▲6六角△8七飛成(第3図)と進んだ。

▲8三銀は後手の飛車と金を捌かせる悪手だが、第3図となってみれば、第2図より先手の条件がよくなっている。
すなわち、▲3三馬△同銀▲3四桂△1二玉(△3二玉は▲2二金△同銀▲同角成まで詰み)▲3三角成(参考図)まで、先手の勝ちだった。

ところが木村会長は別の手を指す。それでも先手優位は持続できたが、Kan氏も巧妙に受け、形勢接近。やがて逆転した。
木村会長もKan玉に迫るがKan玉はギリギリ詰まず、Kan氏が会長玉に必至を掛けたところで、木村会長の投了となった。

木村会長は負けたものの、よい指し回しだった。きょうも3戦全部に参戦し、2勝1敗。勝負強いところを見せた。来年の戦いにも期待である。
今年助っ人に入ってくれた外国人2人も、元気に将棋を指している。彼らは留学生なので、来年いっぱいには2人とも帰国する。その前に会長と3人で、場を改めて鼎談をすることになった。これは会長、ナイス提案である。
この模様はもちろん、会報に掲載される。
つぼ八は基本的に2時間制なので、間もなく追い出される。ところがラストオーダーで若手連中がばかばかつまみを頼み、それが終了間際にまとめてきたので、大変なことになった。こういうときは、単品で頼めばいいのに。まあいいが。
店の前で散会となったが、Kan氏が話し足りないようだったので、店を換えて飲み直す。参加者はA氏、阿部氏、私の4人である。
アーケード街の中にある居酒屋に入る。しかしテーブルは一部店外にあり、ちょっと寒いが、そこで飲むことになった。このシチュエーション、私はこの歳になって初めての経験である。改めてビールで乾杯。
Kan氏は落ち着いた口調で淡々と話す。Kan氏はいまや将棋ペンクラブになくてはならない存在で、社団戦も含め、大車輪の活躍といえる。しかしそれだけに運営上の悩みも抱えているようで、私たちは、そのご苦労をただただ労うのみである。
私は翌日のことを考えず、もっと飲んでいたかったが、Kan氏がうたた寝を始めてしまった。A氏が見かねて散会を申し出た。
今回も楽しい打ち上げだったが、これからの現実を見るに、私は将棋ペンクラブ大賞贈呈式の原稿は書かねばならないし、年末調整の記入もある。携帯の会社には提出しなければならない書類もある。桃の苗木を買いに行かなければならないし、ああその前に、木の根っこを引っこ抜かなければならない。それより何より、翌日も仕事(バイトみたいなもの)だ。もう、鬱になりそうだった。
バス停でバスを待っていると、A氏から電話が来た。私が店にズボンを忘れてきてしまったのだ。
慌てて戻る私。バカは死ななきゃ治らない。
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社団戦2023最終日・4

2023-10-29 00:08:51 | 社団戦

第4図以下の指し手。△8六歩▲6六角△8七歩成▲8二飛△7七と▲同角△9三桂▲4七金△8五飛▲同飛成△同桂▲6六角(第5図)

右では早々に決着がつき、将棋ペンクラブ側が勝ち名乗り。私はずいぶん気がラクになった。
私は指す手が分からず、△8六歩。どう応じられても先手が悪いが、私自身、この応手が分からなかった。
先手氏は▲6六角と引いたが私は歩を成り、結果的に桂得となった。
さらに△9三桂が、我ながら冷静だった。そこで先手氏は▲4六の歩を持ったが、▲4七金と上がった。これは美濃囲いが固くなったとは思えず、ありがたかった。そこで私の△8五飛が連続の冷静手で、▲同飛成△同桂と、桂得を保ったまま先手が取れては、思ったほど悪くないのかと思った。
よって▲4七金では、▲8一飛成がよかった。これに△8五飛なら▲9一竜で、先手有利が続いたと思う。

第5図以下の指し手。△8七飛▲5八銀△7七桂成▲4五歩△7六成桂▲5七角△4五歩▲2六歩△4二角▲2五歩△同歩▲2四歩△2二玉▲1七桂(第6図)

私は△8七飛と打った。これには▲7八銀がイヤだが△8六飛成で、▲8七歩にも△7六竜があるので、この飛車は死なない。
よって先手氏は▲5八銀だが、私は△7七桂成とし、いくらなんでも私のほうがいいと思った。
▲4五歩には△7六成桂が幸便で、歩切れを解消して一石二鳥だ。▲5七角にはじっと△4五歩とする。さっきからバカにうまく展開している。
しかし▲2六歩が油断ならない手で、さすがにイヤなところを突いてきた。
私は△4二角と応接した。ここでの折衝を収めれば、私が優勢になる。
先手氏は▲1七桂と跳んだが、これは▲2五桂と跳ばれても脅威ではない。私は狙いの手を指した。

第6図以下の指し手。△6六歩▲2五桂△6七歩成▲同銀△同成桂▲7九角△6八歩▲6四歩△同銀▲7一飛△2四角▲9七角△8六歩▲9一飛成(第7図)

△6六歩の垂らしで優勢になったと思った。4手後銀得を果たし、数手後の▲7九角に△6八歩。これで先手の角が半分死んだ。
先手氏の▲6四歩~▲7一飛は懸命の手作りだが、私は△2四角と目障りな歩を取り、万全を期す。
▲9七角に△8六歩も、△6八歩からの継承だ。

第7図以下の指し手。△2六歩▲6一竜△5三銀▲6四歩△3五桂▲4八金引△2七銀▲1七玉△5七成桂▲6三歩成△4八成桂▲同金(第8図)

ころはよしと、△2六歩。しかしここは緩んだ。△2七歩と叩き、▲同銀△3五桂で急攻すべきだった。
▲6四歩に△6二歩は二歩で負ける。いまは反則だけ気をつければよい。私はスピード勝ちを狙い、△3五桂と増強した。
△2七銀に▲3九玉は、△9七飛成▲同香△2八角以下詰み。後手は9七角が質駒になっているのが心強い。
▲4八同金に次の手は。

第8図以下の指し手。△9七飛成▲同香△3九角▲2六玉△4八角成▲5三と△3六金▲1七玉△2六金打(投了図)
まで、一公の勝ち。

やはり△9七飛成があった。以下△4八角成まで、後手必勝である。以下、勝ち切った。
感想戦では、第4図から△8六歩への応接をやった。こちらはどう応じられても悪いと思っているから、気がラクである。▲8三飛でもいいし、▲8八歩でもいい。また▲6六角△8七歩成に▲8五桂と跳んでも、先手が十分だったようだ。
「形勢がよくなってふるえました。何をやってるんだか」
と先手氏。私は僥倖の勝利だった。

ほっとしてほかの対局を回ると、アントン氏が勝ち、私と合わせて3勝。しかしほかの将棋はいずれも悪い。山野氏が敗れ、3勝1敗。
ちょっと気になるのが、打ち上げ場所だ。店は浅草駅前の「つぼ八」だとは思うのだが、予約係のA氏が来ていない。そこで、Akuさんにお願いした。
将棋は阿部氏、藤原息子君が敗れ、3勝3敗になった。
お、ここでA氏が来た。私も苦しい生活をしている毎日で、A氏と屈託のないおしゃべりをするのが癒しとなっているのだ。
「大沢さん、例のもの持ってきましたよ」
「おお」
「店でお渡しします」

さあ残る一局は山本氏だ。苦しい将棋だったが遊び駒をうまく活用し、いまは優勢になっている。最後は勝ち切り、チーム4勝3敗となった。
私は近くにいるアントン氏、バルク氏と握手をする。しかしどうも、様子がおかしい。
あらためて勝敗を確認すると、勝ったのは私、アントン氏、山本氏の3名だけだった。そうだ、木村晋介会長も負けていたんだ。あれ!? あ、そうか! 最初に勝った人と、アントン氏が同一人物だったのだ。何を私は勘違いしているのだ!
結局今年の将棋ペンクラブは、10勝5敗で終了。16チーム中5位は、大健闘といえる。来年も7部だが、6部にもう1チームできた場合、調整で将棋ペンクラブが編入される。
私個人は、第1日目2-2、第3日目1-1、最終日2-0の、5勝3敗。可もなく不可もない戦績だが、1日目、六郷の青空1戦で、私が敗れて3-4で負けたのが悔やまれる。
△6五銀のブッツケが大悪手で、▲7七銀と引かれて万事休した。自戒のため、その局面を再掲しておく。

ぼーっとしていたら、大野教室の生徒さんらに呼ばれた。見覚えのある若奥様に挨拶された。しかし、どなたの母親だったか。
「ほら、T君」
と誰かが言う。彼は見覚えがないが、彼が成長しすぎたらしい。
その彼が将棋が強いというので、「じゃあこれからどうするの? 奨励会に入る? アマ名人を目指す?」と言ったが、若干話が噛み合わなかった。あとで考えたら、彼は元奨励会のT君だった。大野教室にはだいぶご無沙汰しているので、記憶がほとんど失せてしまった。
最終日は片付けの当番だったので、みんなで頑張る。でも、準備のときより数倍大変だった。
すべて片付けが終わり、ようやく打ち上げとなる。Akuさんはつぼ八に午後5時入店の予約をしたが、20分くらい遅れてしまった。しかしこっちは客だからいいのである。
店に入ると木村会長とA氏が先乗りしていて、もうここが将棋バカというか、将棋を指していた。
私はA氏の右に座る。と、A氏が紙袋を取り出し、私に寄越した。
「これ、さっき言った大沢さんへのプレゼントです」
(つづく)
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社団戦2023最終日・3

2023-10-28 00:11:12 | 社団戦
(25日のつづき)
会場の5階に戻ると、各選手はいい将棋を指していた。将棋ペンクラブ、けっこうやるじゃないか。
藤原父は圧倒的な優勢である。飛金と飛の取り合いのチャンスがあったが、半ば遊んでいる飛車との交換はイヤだと、自重した。これがどう出るか。
木村晋介会長は妙齢の女性との対戦。振り飛車で互角以上の戦いをしているが、勝負事はゲタを履くまで分からない。
元アマ竜王の金子タカシ氏が観戦に来た。
「金子さんも将棋ペンクラブの会員なんだから、ここで指してくれればいいのになあ」
と私。すると相手の方が、「それは有料でしょ」と言った。
なるほど金子氏ほどの全国区になると、暗黙の括りがあってもしょうがない。しかし今回は金子氏の力を借りずともよいようだ。
14時14分、阿部氏勝ち。
15分、ベルク氏勝ち。
木村会長は、ちょっと局面が怪しくなってきた。
17分、藤原息子勝ち。
19分、アントン氏、勝ち。よっしゃ、これでチームの勝ちが確定した。
木村会長は盛り返し、第1図の局面を迎えていた。

私にはここでの最善手が分からなかったが、木村会長は▲4二金(第2図)。なるほどこの迫り方があったか!

実戦は以下△6九成桂▲3二金△同銀▲3一角△2三玉▲2二金△1三玉▲3二金まで、26分、木村会長の勝ちとなった。
広尾しょうぎ教室Aの選手は妙齢の女性だったが、惜しかった。第2図では△同金と取り、▲3一角△1二玉▲4二角成に△4九成桂(参考図)が先手玉への詰めろ。

だがそこで▲3三馬が詰ろ逃れの詰めろで、やはり先手が勝ちに見える。……あぁ私としたことが、木村会長より相手の女性を応援してしまった。
感想戦には金子氏が加わり、豪華版になった。
藤原父はふるえが極み、29分、大逆転負けを喫した。これが将棋の恐さである。
そして残るひとり、Akuさんも大健闘したが、武運つたなく敗れた。
ここでほかのチームの成績を確認しに行くと、上位の3勝チームがすべて勝ったとのことだった。我がチームは個人の勝ち星が少ない。これは昇級も絶望的になったか。
休憩中、大野八一雄七段が来てくれた。かなり久しぶりで、1年半はお会いしていない。
その間私は禿げ上がり見る影もないが、大野七段はそれには触れず、宮嶋健太四段の昇段パーティーのイベントなどを教えてくれた。
私が出席するかどうかは微妙である。ヒトの幸せを祝ってもしょうがない。
さて最終日は3回戦なので、次が今年度の最終戦である。出場選手はいろいろ考えた末、大将を藤原息子君にやってもらうことにした。副将が私。私は強い人と当たって負けるのがイヤなのである。以下、アントン、山野、阿部、山本、木村会長の各氏。指したそうだったベルク氏には申し訳ないが、今回は抜け番である。
対戦相手は、青い騎士団。奇数先手になったので、相手は昨年、山本氏と指したことがあるようだ。そして大将も務めたことがあるという。私が敵の大将格を外したつもりが、結局当たってしまったわけだ。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲9六歩△9四歩▲7七角△8四歩▲6八飛△6二銀▲4八玉△4四歩(第1図)

奇数先手なので、私が後手になった。5手目▲7七角に面食らったが、ここで平凡に指すと、相手の狙いにハマる。私は1回戦と同様、△4四歩と謝った。

第1図以下の指し手(ここから手順前後の可能性かなり高し)。▲3八玉△4二玉▲2八玉△3二玉▲1六歩△1四歩▲3八銀△5二金右▲7八銀△5四歩▲6六歩△4二銀▲6七銀△5三銀右▲8八飛△4三銀(第2図)

先手氏の手つきはキビキビしていて、指し手も早い。なんだかもう、勢いだけで負けそうだ。
しかし第1図で先手氏がちょっと手を止め、▲3八玉。以下、ふつうの駒組になった。善悪はともかく、先手の狙いを回避できたので、まずまずだと思った。

第2図以下の指し手。▲6八角△6四銀▲7七桂△7四歩▲6五歩△5三銀▲4六歩△6四歩▲同歩△同銀▲6五歩△5三銀▲5八金左(第3図)

▲6八角に私は△6四銀と出たが、角道が止まっているので、疑問だった。先手氏に▲6五歩と反発され、△5三銀と引くようではおかしい。
私は△6四歩から1歩を入手したが、この筋の歩を切るのは不安なところもある。

第3図以下の指し手。△2四歩▲5六歩△2三玉▲8六歩△3二銀▲8五歩△同歩▲同飛△8四歩▲8七飛△3一角▲5七角△4三金▲8四飛△同飛▲同角(第4図)

私は指す手に窮し、左美濃にトランスフォームした。しかし明らかな方針変更で、作戦負けだ。
▲8五同飛のブッツケに、飛車交換はスキのない先手がよい。よって私は△8四歩と謝ったが、またポイントを取られた。
しかもそこで△3一角が、形勢悪化の上塗り。▲5七角と、今度は8四での飛車交換を見られ、今度は受からない。ついに飛車交換を実現され、決定的に後手が悪くなった。

(つづく)
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社団戦2023最終日・2

2023-10-25 00:25:08 | 社団戦

第5図以下の指し手。▲6八飛△同銀成▲同金△2八飛▲5七銀△2九飛成▲6四歩△5二銀▲3六馬△3二飛▲1八馬△同竜▲同香△3七飛成(第6図)

優位に進めていたつもりが一気に敗勢になり、アオくなった局面。第5図で▲6七金引△4八銀不成は勝てない。といって▲4七飛△6六銀成も、二枚換えが強烈すぎて、これもダメだ。
そこで▲6八飛。これでもダメだが、飛車角交換までは回復できる。
しかし手にした飛車を下ろされ、依然として形勢は悪い。唯一にして最大の望みは、私がまだ15分近く持ち時間を残しているのに対し、後手氏はすでに30秒の秒読みということだ。
▲6四歩の利かしはいいとして、▲3六馬は、同じ筋に角を打って7二の地点を狙う意図だが、これが実現するとは思えない。
本譜△3二飛に▲1八馬では、▲7二馬△同金▲1八角だったかもしれないが、読めなかった。
▲1八馬には堂々と△同竜とされ、遊び気味の飛車に、代わりの竜を作られてしまった。

第6図以下の指し手。▲2二飛△6一銀▲4五角△5四角▲同角△同歩▲2一飛成△3九竜▲6三歩成(第7図)

▲2二飛では、▲5一飛に△4一角と受けられたあとのことばかり考えていた。平凡な▲2二飛がすぐに見えないとは、私も相当なショック(録画映像消去)を引きずっている。
△3九竜に▲6三歩成は、ちょっとした「おねがい」だ。

第7図以下の指し手。△6三同金▲6九歩△5五歩▲4五角△5四角▲同角△同金▲5五歩△6五歩▲同桂△6七歩▲同銀(第8図)

後手氏の△6三同金では、△7九角▲7八玉△6八角成▲同銀△5八金(参考図)くらいで負けだと思っていた。後手の穴熊が遠いので、攻め合いではまったく勝てない。

実際はそこで▲7九銀があるからもう少し先があるが、実戦で△5八金と迫られたら、負けていたと思う。
本譜は底歩が打てて、負けるにしても時間はかかると思った。
後手氏は△5五歩と突いたが、再びの角打ち後、▲5五歩が絶好。後手氏は攻めを続けてきたが、△6七歩▲同銀のとき、後手氏の狙いに気づいた。

第8図以下の指し手。△6五金▲同金△4三角▲5四角△2一角▲同角成△2八飛▲7八金打△1八飛成▲5四馬△2八竜寄(第9図)

△6五金▲同金に△4三角の両取りが強烈だ。ただ、先に金桂交換の駒得をしているので、それほど痛くないのは僥倖だった。
△2八飛には、ちょっともったいないが、▲7八金打と1枚入れた。これでもまだ私が悪い気がするが、相手はウンザリするだろうと思った。

第9図以下の指し手。▲6三桂△7二金▲5一桂成△6二香▲6一成桂△6五香▲7二馬△7六桂▲同銀△6八香成▲8二馬(投了図)
まで、一公の勝ち。

▲6三桂がちょっとした勝負手で、△7二金に▲5一桂成が強烈。銀が逃げれば△7二金をボロッと取れる。だから△7二金では△6二金が正着なのだが(△6二香も有力だった)、30秒でそれは指せない。
▲5一桂成に本譜は△6二香。これは駒の取り合いになるが、今度は私の囲いが鉄壁なので、私の勝ちだ。
以下▲8二馬まで、私の辛勝となった。

感想戦では私がボヤく。
「▲4八飛がココセだった」
それ以外に述べることもないが、第7図で△7九角があったことだけを述べた。
ほかの選手を見ると、5名が勝っていた。計6勝1敗で、チームも勝利。まずはめでたい。
この時点での他チームの勝敗を確認しに行くと、5位のチームが負けたため、将棋ペンクラブが5位に上がった。しかしワンランクアップだけでは苦しい。
ほどなく2回戦だが、遅れていた藤原親子が到着した。彼らには出ていただくとして、ほかはどうするか。面倒臭いので、私が抜け番になった。
2回戦は広尾しょうぎ教室Aと。参加選手は大将以下藤原息子、アントン、藤原父、阿部、ベルク、Aku、木村会長の各氏。
観戦に回るのも高みの見物でいいものである。そのまま最後まで見たかったが、Kid氏が「近くで祭りをやっているから見に行こう」という。これとまったく同じ状況が神保町の将棋会でもあったが、こうした誘いは乗るべきだろう。ついていくことにした。
そこは近くの公園で、各地の物産館だった。私とKid氏はカレー店に寄り、カレーを注文する。700円はいいとして、その量が少なくてズッコケた。神保町でのカレーと似たような量だが、それなら500円が適当だと思う。だけど文句があるなら食べなければいいわけで、それを承知で食べた以上、文句を言ってはいけないのだろう。
と、公園の隅から、阿波踊り隊がやってきた。祭り好きの私としては堪えられない展開だ。
でもこれを見続けたら、仲間の健闘を見られなくなってしまう。近くに来た山野氏は帰りたそうだったので、彼と一緒に会場に戻った。
(28日につづく)
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社団戦2023最終日・1

2023-10-24 14:02:24 | 社団戦
22日は、社団戦の最終日だった。我が将棋ペンクラブは7部赤で、現在8勝4敗の16チーム中6位。昇級は3位までなので、最終戦に3戦全勝しても届かない可能性が高いが、最善を尽くす。
この日は急遽ビデオに録りたい番組ができたのだが、HDDの残量がない。それで、昨年12月24日放送の「ぶらり途中下車2時間スペシャル」を削除したのだが、これが、私の母方の実家(千葉県)の最寄り駅が紹介されている回だったのを思い出した。
しかしもう遅い。私は何をやらかしてしまったのか!
私は大事な勝負の前に、心が折れてしまったのだった。
自宅は11時21分に出たが、駅前から路線バスに乗り、産業貿易センター台東館には、11時52分に着いた。集合は12時だからこれでいいのである。たぶん拙宅はドアトゥードアで、かなり近いほうだと思う。
メンバーを探していると、大野教室のShin氏が来た。Shin氏に会うのも久しぶりである。大野教室1は4部で好成績を収めており、もう昇級が確定しているらしい。第1日目は4戦で28勝0敗の完全勝利で、層の厚さを見せつけた。
Shin氏は大野教室に年間パスポートで通っているそうで、氏は一流企業に勤めていながら、その時間がある。日頃汲々としている私とはエライ状況の違いで、私は落ち込まざるを得なかった。
さて最終戦だから我がメンバーは大集合のはずだが、前回の助っ人、元小学生準名人のNak氏と、アマ棋戦元県代表Sas氏は欠席。藤原親子は1回戦休み。作家のA氏は欠席のよう。社団戦手伝いのKan氏はとても対局ができない状態。よって1回戦は、9人しか集まらなかった。
とりあえず7名をピックアップし、早速対局開始と行きたいが、対局時計が一部届いてないところがあり、開始が遅れている。
やがて対局時計が揃い、開始の前に関係者のお言葉となった。その2人目に浦野真彦八段が登場した。
「私は毎年ここに来るのが楽しみで、1泊2日の旅行の感じで、個人的に参加しています。
私事ですが、棋士生活40年になりました。」
会場から拍手が起きる。「最近では、私が監修をしたんですが、棋士が作った詰将棋の本を出しました。512題から200題を、恐れながら私が厳選しました。斎藤慎太郎も落としました。」
場内、微苦笑である。「下で売っていますから、よろしければどうぞ。私のサインも入っています。
さて、時計の到着が遅れて、対局開始が遅れました。この時、どういう気持ちになるかが重要になります。
なんだよ、とイライラするか。それとも、こんなこともあるかと鷹揚に構えるか。それが結果に影響します。
皆様今日は頑張ってください」
というようなことを述べた。さすがに浦野八段、棋界屈指のエンターテイナーである。
さて1回戦はねこまどタマと。大将は私。以下、山本、アントン、ベルク、山野、Kid、木村晋介会長の各氏である。振ってもらって、私の先手となった。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4二飛▲4八銀△6二玉▲6六歩△7二玉▲6八玉△8二玉▲7八玉△3二銀▲5八金右△4四歩▲5六歩△5二金左▲9六歩△9二香(第1図)

私の居飛車明示に、後手氏は角交換辞さずの四間飛車。後の逆棒銀を見ており、これが実現すると厄介だ。そこで▲6六歩とした。私定番の軟弱な手だが、案の定後手はのけぞり、一本取ったと思った。
そこから駒組が進み、後手氏は△9二香。穴熊志向で、これはこれで厄介である。

第1図以下の指し手。▲2五歩△3三角▲5七銀△9一玉▲6八銀上△8二銀▲6七銀△7一金▲7五歩△6二金寄▲7六銀△4五歩(第2図)

私は玉頭位取りを志向する。相手がすでに穴熊に潜っているので非効率だが、持久戦にすれば一遍に負けることはない。
後手氏は△4五歩と伸ばしたが、次の手がどうだったか。

第2図以下の指し手。▲6七金△4三銀▲7七角△7二金寄▲8八玉△3五歩▲7八金△5四銀(第3図)

第2図で▲6五歩と決戦する手はあったかもしれない。これなら△4三銀が利かないからだ。
だが私は▲6七金。すかさず後手氏に△4三銀と上がられ、チャンスを逃した。次▲6五歩は幸便に△4四銀と立たれ、先手が面白くない。
△5四銀では△3五歩を継承して△3四銀とくるかと思った。以下2筋からの逆襲は恐い。本譜は方向違いの△5四銀だったので、少し安堵した。
私はもう、行くしかない。

第3図以下の指し手。▲6五歩△7七角成▲同桂△3三角▲2四歩△同歩▲2三角△6四歩▲同歩△6二飛▲6六銀△6四飛▲6五歩△6二飛▲3四角成(第4図)

▲6五歩はこう行くところ。ここで△2二飛は利かされなので後手氏は△7七角成としたが、再度△3三角と打つのではつらい。
私は▲2四歩△同歩と突き捨てて▲2三角。ただ馬を作るだけの手だが、大山康晴十五世名人は、将棋は馬を作るのがいい、と言っている。実際こういうボンヤリした手のほうが、後手氏は悩むのではないか。
数手進んで▲3四角成。所期の目的を達成した。

第4図以下の指し手。△4六歩▲同歩△4二飛▲3五馬△6三銀▲4八飛(途中図)
△6六角▲同金△5七銀(第5図)

△4二飛に▲3五馬。これは馬を作って歩得になった私が有利である。そして次に▲5三馬があるが、以下△4六飛▲6四馬△4九飛成は、先手銀得でも飛車を捌かれるのが不満だ。だが後手側から見たら、この手順は採らないだろうと思った。果たして後手氏は、△6三銀と辛抱した。
私は▲3六馬を考えたが、なんとなくハッキリしない。そこで、働きの弱い飛車を働かせようと▲4八飛(途中図)としたが、着手直後に大悪手に気づいた。それでも私は対局時計のボタンを押さねばならない。

すかさず後手氏は△6六角。以下飛車金両取りがかかり、一遍に優位が吹き飛んだ。
この将棋を負けにするのか! 私は目の前が暗くなった。

(つづく)
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