白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

本因坊戦第4局封じ手予想

2020年06月30日 21時26分05秒 | 囲碁界ニュース等

<本日の一言>
本日は指導碁で4ヶ月ぶりに日本棋院有楽町囲碁センターに行きました。
お越しくださった皆様、ありがとうございました。

お客様とお話ししていると、窓口業務をしている気分になりました(笑)。
シールはたぶん洗浄済みの印ですね。
過剰なほどの安全対策が取られています。



皆様こんばんは。
昨日はタイミング悪くお休みしましたが、一力遼八段(23)が碁聖戦挑戦というビッグニュースがありましたね。
スポンサー企業の社長の息子が入社直後にタイトル挑戦、などという設定は漫画でも即ボツを食らいそうです。
事実は小説より希なり・・・。

さて、本日は本因坊戦第4局の1日目が行われました。
早速振り返っていきましょう。
なお、この対局は日本棋院ネット対局幽玄の間(解説・王銘エン九段)や
Youtubeの日本棋院チャンネルにて中継されています。

1図(実戦)
本因坊文裕(31)の黒番です。
黒1、3の猛攻に対して、芝野虎丸挑戦者(20)は、白14までさらっとかわしました。
本当に落ち着いています。



2図(実戦)
黒1の打ち込みに対しても、白2の石を囮にして治まりました。
これまでのように序盤で差を付けられないよう、手堅く打つ作戦なのかもしれませんね。



3図(打ち掛け局面)
白△と打ったところで打ち掛けとなりました。
次の黒の手が封じ手です。
中央が黒模様になりそうな場面なので黒AやBと広げるか、あるいは右下黒の補強を兼ねて黒CやDと打つか・・・。
今回も悩まされました。
とは言え、1回当たっているので気楽です(笑)。



4図(封じ手予想)
封じ手予想は黒△です。
平凡ですが、素直が一番ということで。

せっかく3冠対決になったことですし、1局でも多く見たいですね。
当分は芝野挑戦者を贔屓しようと思います(笑)。



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後の担当日は6月30日(火)、7/17(金)、8/12(水)、8/26(水)、9/11(金)です。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。

New!→上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。


☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、8月13日に発売されました!

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2020年6月の情報会員解説

2020年06月28日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ

<本日の一言>
五反田の教室は、今月をもって閉鎖することになりました。
誤解されそうなので先に申し上げておくと、コロナはあまり関係ありません。
来月からは拠点を移して活動します。
詳しいことは近日中にご案内します。



皆様こんばんは。
本日は日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
先月はうっかり忘れていました。

具体的な解説のレベルについては、↓の過去記事を参考にしてください。
最近の記事では、対局の大雑把な流れをご紹介する形にしています。


第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回

今月は、
1993年9月2日の本因坊戦リーグから林海峰天元-小松英樹八段
1981年3月26日の本因坊戦リーグから趙治勲名人-加藤正夫天元
の2局を解説しました。
対局が止まっていたこともあって昔の碁から探しましたが、ちょっとひねって変わり種の2局を選んでみました。

1図(林-小松1)
林天元の黒番です。
右上の定石は懐かしいですね。
いかにも「昭和の定石」です。
もっとも、これは平成の碁ですが・・・。

この定石はかつてトップクラスの人気を誇っていましたが、今ではすっかり廃れてしまいましたね。
そんなに嫌われることしたかなと思うのですが、世間は冷たいものです。



2図(林-小松2)
典型的な「じっくりした碁」です。
時代を感じますね。



3図(林-小松3)
もちろん戦いは起こりますが、お互いに無茶はしません。
意味の分からない手はほとんど出てこないので、この時代の碁は並べていて安心感があります。



4図(林-小松4)
最後は半目勝ちをかけたコウ争いになりました。
結果がどうなったかと言えば・・・。
勝者は不在でした。
不思議なこともあるものですが、神様のいたずらでしょうか?




5図(趙-加藤1)
趙名人の黒番です。
白1の大斜ガケから戦いが始まりました。
大斜百変とも千変とも言いますが、実際に1000を超える変化があるのではないかと思います。
本局の進行もその中の1つですね。



6図(趙-加藤2)
黒1から白を取りにいきました。
黒5まで、いわゆる隅の曲がり四目の死形ですね。
ただ、白も包囲している黒を逆攻めることはできますし、黒としても実際に白を打ち上げようとすると面倒な手続きを踏む必要があります。
ですから、安全の確保できていない状況では隅の曲がり四目は取りにいきたくありません。
それがプロの共通認識ですが、取れる石を取りにいって何が悪い、と強行するのがいかにも趙名人です。




7図(趙-加藤3)
案の定、外側の黒に襲いかかられてややこしいことになっています。
私のような面倒くさがりは、黒を持っていれば本図を想定するだけで嫌になってくるでしょう(笑)。
結局、最終的には右上白を黒が打ち上げなければならないことになったのですが、それを巡って普通の碁ではありえないような着手が多くみられました。
それが面白かったので、取り上げてみた次第です。



8図(参考図)
これは実戦とは関係ありませんが、戯れに作成してみた図です。
どちらが勝つと思いますか?
曲がり四目も、碁の奥深さを示す形なのです。 

今回はマニアックな方面に走ってみました。
たまにはこういうのも良いでしょう。

ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志八段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!



タグ込みで30000字までという制限があるらしく、今回は宣伝を消します・・・。

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林海峰-大竹英雄(フマキラー囲碁プレミアムマッチ)

2020年06月27日 23時29分30秒 | 囲碁界ニュース等

<本日の一言>
木谷実九段のご子息である木谷正道氏が、「希望の船 みらクルTV」というサイトを開設されています。
その中で、認知症への囲碁の効果についての研究発表がありました(動画はこちら)。
高齢化社会が進行すると共に認知症患者はますます増えていくと思いますが、囲碁が役に立つと嬉しいですね。
なお、研究者の飯塚あい氏のTwitterはこちらです。



皆様こんばんは。
本日はフマキラー囲碁プレミアムマッチが行われました。
その中から、林海峰名誉天元(78)-大竹英雄名誉碁聖(78)戦をご紹介したいと思います。
かつてチクリン(竹林)と並び称された両者ですが、棋風も時間の使い方もほぼ正反対です。

なお、大盤解説会の模様はこちらから、棋譜は日本棋院ネット対局幽玄の間でご覧頂けます。

1図(実戦)
林名誉天元の黒番です。
黒1~11の打ち回しは、いかにも林天元らしいですね。
石が左右に分かれ、白Aなどの打ち込みが残って薄いですが、なんとかなるとみています。



2図(実戦)
そして、この黒△もいかにも林名誉天元という手です。
黒×それぞれから見て大ゲイマになっている、面白い位置ですね。
どこともつながっていませんが、切りにこられてもなんとかなるという、林名誉天元らしさの詰まった一手ではないでしょうか。
秀策のコスミ高川のボウシなどと石の形が代名詞になることがありますが、林名誉天元の代名詞は大ゲイマでしょう。



3図(実戦)
黒2も大ゲイマですね。
漠然とした手を好む林名誉天元に対し、大竹名誉碁聖はがっちりした打ち回しを好みます。
白1~11まで、じっと周囲の黒石の薄みを睨みました。



4図(実戦)
黒1~7まで地を稼がれましたが、ここで機は熟したとみて白8~10と襲いかかりました。
結果、黒×を取り込んで中央に大きな地を作っています。
白2目半勝ちとなりました。



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十段戦第4局感想

2020年06月26日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等

<本日の一言>
KDDIが社内副業制度を始めたそうです。
興味深いですね。
テレワークの普及といい、会社員の働き方が大きく変わっていくのでしょうか。



皆様こんばんは。
本日は十段戦第4局が行われました。
早速振り返っていきましょう。
この対局はYoutubeの日本棋院チャンネルや日本棋院ネット対局幽玄の間(解説・張豊猷八段)にて中継されました。

1図(実戦)
芝野虎丸挑戦者(20)の黒番です。
白1~5とは、村川大介十段(29)ならではの意欲的な打ち回しですね。
その意図は複雑ですが、簡単に言えば白AやBと白Cという、強烈な手を両睨みにしたということになるでしょう。



2図(実戦)
白△の置き!
これで左辺黒は無条件で生きることができなくなりました。
芝野挑戦者に何か誤算があったようです。
この盤面を見たとき、この碁は村川十段の勝ちだと思いました。



3図(実戦)
しかし、芝野挑戦者は平然と黒1、3と大場を打っています。
大きな失敗をしたにもかかわらず、焦りは無かったようです。
とても20歳とは思えない落ち着きで、これも芝野挑戦者の強みですね。



4図(実戦)
白1が痛恨の一手でした。
こう打っても手が残っていることをうっかりしたようです。
気分的には1手パスに近く、ショックが大きかったことでしょう。
これでもまだ形勢は白が悪くなかったと思いますが、ここからミスが続き、早い決着となってしまいました。

村川十段が第3局、第4局と優勢な碁を落としたのには変調を感じました。
一流棋士にはまず無いはずの、長期の休みが影響してしまったでしょうか?

これで芝野挑戦者は、名人・王座・十段の三冠となりました。
昨年8月に初の名人挑戦を決めたかと思いきや、破竹の勢いでトップに躍り出ましたね。
これで本因坊も取れば名実共に第一人者となりますが、奇跡は起こるでしょうか?



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加藤千笑-酒井佑規

2020年06月25日 23時30分39秒 | 幽玄の間

<本日の一言>
仲邑菫初段が第5回扇興杯女流最強戦で本戦入りを決めました。
女流棋戦では、女流棋聖戦以来2回目だと思います。
仲邑初段は公式戦再開後2連勝ですが、どちらも中継されていないのはコロナの影響でしょうか?
生中継でなくても、何らかの方法で囲碁ファンに届けられると良いのですが。



皆様こんばんは。
本日は6/20に日本棋院ネット対局幽玄の間で行われた、加藤千笑初段(18)-酒井佑規二段(16)戦をご紹介します。

1図(実戦)
加藤初段の黒番です。
黒△は形の急所で、黒AとBを見合いにしています。
白はどうしたものでしょうか?



2図(失敗)
白1、3と黒の断点を衝くことを考える方も多いと思います。
黒Aなら白B、黒C、白Dとなって黒×を取れるというわけですね。

ところが、白3には黒4、6とダメを詰められてしまいます。
ウッテガエシで白が取られてしまいました。


3図(実戦)
実戦は白△のアテツケ!
これが手筋でした。
次に黒Aならそこで白Bとつなぎ、黒C、白Dとなって黒潰れです。



4図(変化図)
また、黒1なら白2~8までシチョウです。
白の手筋一発で決まりました。



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

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