白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

穹窿山兵聖杯

2018年10月31日 23時51分48秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
対局中に鳴り出す、電源を切っておいたはずの携帯電話。
即座に私の負けを宣告して石を片付けだす相手・・・。
これが今朝の夢です。
対局が近付くと碁に負ける夢を見ることがありますが、こういう負け方は初めてです。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日、第9回穹窿山兵聖杯世界女子囲碁選手権が開幕しました。
日本からは謝依旻六段、藤沢里菜四段、上野愛咲美二段が出場しています。
それでは、勝った謝依旻六段の対局を振り返ってみましょう。
相手は李赫五段、6年前の本棋戦の優勝者です。



1図(実戦)
謝六段の黒番です。
黒1と目一杯に打ちましたが、白2、6と下辺を割られました。
黒が甘くなってしまう可能性もありますが・・・。





2図(実戦)
しかし、これを誘って強攻するのが謝六段の作戦でした。
流石に迫力がありますね。
攻めというより、取る気満々だったかもしれません。





3図(実戦)
隅は白に荒らされましたが、下辺白を飲み込んでは成功でしょう。
これによって、右辺白大石がさらに弱くなったことも見逃せません。





4図(実戦)
白が技を見せた場面です。
詰碁では時々見かける手筋ですが、実戦では滅多に現れない気がします。
ここからコウ含みの難しい戦いが続きました。


本局に勝った謝六段はベスト8に進出しました。
世界の女流棋士もレベルが高いですが、頑張って欲しいですね。
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天元戦第2局感想

2018年10月30日 23時10分38秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
忙しいです。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は天元戦第2局の感想を述べたいと思います。
1分ぐらいで手順を追っただけなので、何も分かっていませんが・・・。
まあ、たまには印象だけで語ってみるのも良いでしょう。



1図(実戦)
井山天元の黒番です。
白△と伸びた場面で、黒を持ちたい棋士はいるのでしょうか?
見た目だけなら白が良さそうです。





2図(実戦)
白△はいかにも山下挑戦者らしい強気な手ですね。
白の大石も決して強くないはずですが、全く意に介していないかのようです。





3図(実戦)
黒△は凄い手です。
通常、こういう形ができたら黒AやBしか考えないものですが、下辺黒の際どい形と関係あるのでしょうね。
必死感が出ていて面白いです。





4図(実戦)
黒1の瞬間に白2、4とは力強い捌きです。
山下挑戦者の碁には、このような場面がよく現れる気がします。


後半は色々あったようですが、山下挑戦者が勝ちましたね。
最近井山天元が苦しんでいる印象がありますが、3方面作戦は容易ではないのかもしれません。
この苦境を乗り切れるかどうか、注目しましょう。
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問題解答

2018年10月29日 22時21分45秒 | 問題集
<本日の一言>
天元戦第2局は凄い碁だったようですね。
早速ご紹介したいところですが、私自身がまだほとんど観賞できていませんので、別の機会にしたいと思います。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は昨日の問題の解答を発表します。



1図(問題図)
白先で手にしてくださいという問題でした。





2図(正解)
白1と切っておくのがポイントで、黒のダメを詰める効果があります。
自分のダメを詰める手は悪手ですが、相手のダメを詰める手は好手となります。
黒2を待って、そこで白3とツケるのが正解手順です。





3図(正解)
白4の後、黒Aなら白Bとつないで黒3子が取れます。
黒Bと切ってくれば白Aと抜いてコウになりますが、黒のリスクも高くなっています。

一応これを正解手順としておきますが、実は白にはコウを避ける手順もあります。
どうすれば良いでしょうか?





4図(別解)
黒4とハネた瞬間に白5と下がる手があります。
黒6を待ってから白7と押さえれば黒Aと抜くしかなく、白Bとなって無条件で取ることができます。
これを別解としたのは地が少し損になるからですが、実質どちらも正解です。





5図(失敗)
単に白1と打つのは普通の形ですが、黒2と出られて白の本体がダメ詰まりです。
後から白3と打っても黒4の当てが先手になってしまい、白A、黒Bとなっては失敗です。


部分戦では石の形だけでなく、手順も大切です。
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本日の問題

2018年10月28日 22時27分42秒 | 問題集
<本日の一言>
対局で毎回何かうっかりしていますが、実生活でも酷いものです。
例えば、財布を鞄に入れ忘れたり無くしたり・・・。
流石に現在では脳の欠陥と悟っているので、うっかりを無くすことは諦め、うっかりしても助かるための用意をしています。
囲碁では上手くいっていませんが・・・。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は時間の都合上、出題だけとなります。



白先で手にしてください、という問題です。
ちなみに、元ネタは1年ほど前に打った指導碁です。
どこかで使おうと思っていましたが、ようやく日の目を見ました。
こういった問題に関しては自分の見解が変化する余地が無いので、ストック向きですね。

解答は明日あたりに発表予定です。
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人間の感覚

2018年10月27日 23時59分59秒 | 幽玄の間
<本日の一言>
第44期名人戦最終予選決勝、つまりリーグ入りをかけた1局の対局者は、10代1人、20代4人、30代が1人となりました。
明らかに世代交代が進んでいますね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は幽玄の間で中継されていた対局に注目してみましょう。
中国の甲級リーグ、柁嘉熹九段(黒)-朴廷桓九段戦です。



1図(テーマ図)
黒番です。
左辺の白模様がいかにも大きそうですね。
しかし、入っていくと苦しくなりそうに見えるので、私なら黒A付近からそろそろと消すことを考えそうですが・・・。





2図(実戦)
実戦は凄い所に踏み込んでいきました。
これは人間の、少なくとも棋士の感覚には無さそうな手です。
なぜなら・・・。





3図(変化図)
このような進行が見えるからです。
2目の頭をハネられて、いかにも黒が苦しそうですね。
実際には黒2で他の手を用意しているということなのでしょうが・・・。

こういった手は人間は考えないものでしたが、最近は似たような手をしばしば見かけます。
AIの影響なのでしょうね。





4図(実戦)
黒△まで、白石ばかりだった左辺で生きては黒成功でしょう。


AI流が万能とは全く思いませんが、こういう碁を見ると、やはり常識を変えていく部分も間違いなくあると感じます。
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