白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

本日の問題

2018年09月30日 23時56分09秒 | 問題集
<本日の一言>
台風、沖縄知事戦、イーロン・マスク会長退任、樋田容疑者逮捕、西武優勝などなど・・・。
本日も色々な出来事がありました。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は日本棋院市ヶ谷本院にて指導碁を行いました。
流石に一般のお客様もほとんどいらっしゃらないような状況で、仕事にならない日でしたね。
それでもお越しくださった方々、ありがとうございました。

さて、本日は指導碁を打っている最中に思い付いた問題をご紹介します。
多少盤面を変更しただけで、実戦図そのままに近いです。



1図(問題図)
黒×を飲み込んだ中央の白地が大きいです。
黒としてはなんとか削減したいところですが、どうしたものでしょうか?
白は赤で囲ったあたりが薄いので、そこが狙い目です。







2図(正解図)
黒1が正解の出発点です。
黒Bと黒4を見合いにする手筋ですね。
両方を防ぐためには白2、4と打つしかありませんが、ここで黒Aの利き筋、黒Bの突き出しの狙いが生じたことがポイントです。





3図(正解図)
そこで、黒△と飛び込むのが決め手です!
黒AとBはどちらも大切な手札なので、まだ見せてはいけません。
白の手を見てから後出しします。





4図(正解図)
白1、3と切ってくれば、黒4と突き出す手が成立します。
白地が破れてしまいました。





5図(正解図)
白1と右側を守れば、黒2の利き筋を使って黒4、6と打ち、やはり白地が破れます(黒2は保留する手もあります)。


ヨセでは多くの手どころが生じます。
何か無いかと考える習慣を付けると、上達にも大いに役立つでしょう。
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凌ぎ

2018年09月29日 22時40分06秒 | 幽玄の間
<本日の一言>
明日は日本棋院市ヶ谷本院、明後日は有楽町囲碁センターにて指導碁を行います。
お間違えのないようにお気を付けください。
・・・一番危ないのは私です。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は幽玄の間で中継されていた、仲邑信也九段(黒)と羽根直樹九段の対局をご紹介します。



1図(実戦)
右下の分かれは滅多に見かけません。
黒の勢力が大きくなるからですが、羽根九段は模様を張られることを全く苦にしません。





2図(実戦)
黒1と打って白×に攻めかかった場面です。
ここで白2、4と、強い石から動いたのには驚きました。
こういう発想はなかなか生まれません。





3図(実戦)
黒1と守ったばかりのところに、深々と白2の侵入!
これには黒も怒って、黒3のツケで襲い掛かりました。
果たして白は大丈夫でしょうか?





4図(実戦)
あまり大丈夫には見えませんね・・・。
私が白を持っていたら、死んでしまうかもしれません。

しかし、羽根九段は見事に凌ぎきってみせました。
石の生き死にに対する感覚が違うのでしょうね。
また、最近の好成績にも納得しました。
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昨日の解答

2018年09月28日 20時12分19秒 | 幽玄の間
<本日の一言>
台風が来ていますね。
ちょうど東京に到達するあたりで2日連続指導碁なのですが、大丈夫でしょうか・・・。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は昨日の解答を発表します。



1図(失敗)
まず、黒1と押さえるのは白2と出られて大石を切り離されてしまいます。
黒5と打てば白△を取ってつながることができますが、白8が利くので生きられてしまいます。
つまり、白2と出られてはいけないので・・・。





2図(正解)
黒1と切るのが正解です。
白6まで、脱出されそうに見えますが・・・。





3図(正解)
ここで黒1と出る手が先手になります。
このために下辺で準備工作をしていたのですね。
黒7までと進めば、今度は1図と違って白8が先手になりません。
黒9まで、白死となりました。





4図(投了図)
そのようなことを読み切って、黒△の場面で投了となったわけです。
投了のタイミングも芸のうちですね。


ただ、テレビ対局などでは形がきっちり決まるまで打つケースもしばしば見かけます。
読み切る時間が無いというケースもあるでしょうが、基本的にはファンサービスと考えられます。
美しいタイミングで投了するべきか、分かりやすいタイミングで投了するべきか?
どちらにも理がありますね。
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投了図

2018年09月27日 23時21分58秒 | 幽玄の間
<本日の一言>
今朝は寒さで目が覚めました。
季節の変わり目ですから、風邪を引かないように気を付けたいですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
木曜日は日本棋院棋士の公式対局日です。
幽玄の間でも多くの対局が中継されました。
本日はその中の1局の投了図に注目してみたいと思います。
王座戦予選、黄翊祖八段(黒)と三村智保九段の対局です。



1図(実戦)
白△とコスミツケたのは有名な手筋ですね。
これで部分的には黒が困った形です。
黒Aとウッテガエシを防げば、白Bとでも打たれてまとめて取られそうです。





2図(実戦)
ここで黒は、ツケたり切ったりと色々やっています。
一体何の意味があるのでしょうか?





3図(投了図)
ところが、黒△と打たれたところで白が投了しました。
黒は右辺の白大石をずっと狙っていたのです。
しかし、黒大石も生きているわけではありません。
白Aから暴れられると、生きられたり攻め合いに持ち込まれたりするのでは?

しかし、黒には対策があり、前図はそのための準備工作でした。
白もそれを読み切って投了したのです。
では実際にどうなっているのか、皆様もぜひ考えてみてください。
解答は明日発表します。
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名人戦第3局感想

2018年09月26日 20時58分25秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
今年のプロ野球は大勢の有名選手が引退発表していますね。
自分で引き際を決断できるのは幸せなことかもしれません。
いずれ私も、自らの意思で引退することになるでしょう。
</本日の一言>



1図(封じ手)
封じ手は黒△でした!
これで3連敗です。

私の予想は黒Aでしたが、他にも黒B~Dなども候補になる手で、棋士の中でも予想は割れていたようです。
どれを選ぶかは、どんな想定図を作るか、またその結果の判断によって変わってきます。
井山裕太名人も悩ましかったでしょうね。





2図(実戦)
井山名人は上辺の戦いを切り上げ、下辺で白を猛攻!
左方には黒の強大な厚みが控えています。
ところが・・・。





3図(実戦)
張栩挑戦者、あっさり白×を見限り、大きな白△に先行しました。
この打ち方は皆様の参考になるでしょう。
張挑戦者は捨て石も得意です。





4図(実戦)
そして出ました、右上白△までのコウ仕掛け!
コウをやらないと、碁を打った気がしないのかもしれませんね(笑)。


ずっと白のペースが続いていたと思いますが、途中で急に雲行きが怪しくなりました。
一時は逆転していた気がします。
しかし、最後は得意のヨセで勝利をもぎ取りましたね。
本局は実に張挑戦者らしい1局だったと思います。

これで七番勝負としてもますます面白くなってきました。
第4局は10月10日、11日に行われます。
お楽しみに!
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