白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

〇田篤史

2018年08月31日 23時59分59秒 | 幽玄の間
<本日の問題>
空欄に漢字一文字を埋め、囲碁棋士の氏名を完成させなさい。
〇田篤史


皆様こんばんは。
問題の答えは「伊」または「佐」です。
この名前が似すぎの2人の対局が幽玄の間で中継されていたので、ご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
伊田八段の黒番です。
黒1と左下白に襲い掛かった場面ですが、これに対して白2と出たのは受けの形です。
次に黒Aなら白Bとタケフに守り、隅の黒を取れそうですが・・・。





2図(実戦)
ここでなんと、黒△のツケ!
いかにも伊田八段らしい、えげつない一手です(笑)。
白Aと受ければ黒B、白C、黒Dとなって、左右の白がつながらないということでしょうか?





3図(実戦)
その後、黒は白×を千切り・・・。





4図(実戦)
さらに白×を毟り取りました。
伊田八段は本当に石を取るのが好きですね。
アマの皆様も親近感が湧くのではないでしょうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマー碁キャンプ

2018年08月30日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
<本日の一言>
時々財布を忘れて出かけることがあります。
キーホルダーに予備のお金を入れているので電車には乗れますが、何度も切符を買ったり、料金を調べたりと色々面倒です。
でも、一昔前まではそれが普通だったのですが・・・。
便利さに慣れてしまうと、元の生活に戻るのは難しいですね。


皆様こんばんは。
本日は「サマー碁キャンプ」で講師を務めました。
サマー碁キャンプとは、各国から囲碁を学びたい、文化を体験したいという方々が集まるセミナーです。
内容としては講座はもちろん、施設やタイトル戦の見学、大会参加などもあるようです。
期間は2週間ぐらいということで、参加者の皆様はやる気に満ち溢れているようでした。

私が行ったのは、大盤解説と指導碁、受講者の方が持ち寄った棋譜の講評です。
通訳の担当者は付いていましたが、やはりある程度は英語を交えながら喋りたいものです。
解説にはパターンがありますから、次の機会には少し覚えておくとしましょう。

それでは、今回は指導碁を題材にしましょう。
大盤解説のテーマが「石の強弱」だったこともあり、局後の解説でもそこに注目して頂くように心がけました。



1図(テーマ図)
5子局、黒番です。
黒AとBのどちらかを選ぶとしたら、正解は?





2図(石の強弱を確認)
大場の大きさを判断するには、まず周囲の石の強弱を確認しなければいけません。
その上で、なるべく自分や相手の弱い石の近くに打ちましょう。





3図(正解)
ということで、正解は黒1です。
下辺白は上辺白よりも弱く、また右下黒は左上黒より弱いからです。
白2と三々に入られても、黒AやBの余地があるので攻められる心配はありません。
白8の後、すぐにどちらかに打っても構いませんが・・・。





4図(正解続き)
黒1の打ち込みも積極的で良いですね。
右下隅を守った手が、白への攻めに役立っています。





5図(実戦)
また、白1と打ち込まれた際にも、黒△は役に立ちます。
黒6まで隅の黒は安泰で、白を一方的に攻めることができるでしょう。


ちなみに、図に英語が付いているのはちょっとしたサービスです。
受講された方の中には、当ブログの読者の方もいらっしゃったので・・・(笑)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名人戦第1局結果

2018年08月29日 23時49分57秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
また台風が発生しているそうですね。
こっちには来てほしくないものですが・・・(笑)。


皆様こんばんは。
本日は名人戦第1局の2日目が行われました。
ちなみに今回、朝日新聞のサイトではマイケルレドモンド九段の英語解説という珍しい試みが行われています。
レドモンド九段の発音は聞き取りやすく、英語の勉強にもなりそうですね。

さて、それでは対局を振り返っていきましょう。
注目の封じ手は・・・。



1図(封じ手)
黒△でした!
結構自信があったのですが、外れてしまいました。
ちょっと読み不足でしたね。





2図(実戦)
白△から、本日最初のコウ争い勃発!





3図(実戦)
黒はコウを解消せず、黒△からさらに大きなコウ争いへ!





4図(実戦)
そして、またしても大きなコウ争い!


本局はとにかくコウ争いに終始した一局でした。
さらに左上隅でもコウ争いが起こる可能性がありましたが、その前に終局しましたね(笑)。
両者共に、らしさを発揮していたと思います。
第2局以降も楽しみです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名人戦挑戦手合、開幕!

2018年08月28日 21時14分35秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
昨日は突然の大雨でした。
私が帰る時間帯を狙ってくるとは・・・。


皆様こんばんは。
本日、第43期名人戦挑戦手合七番勝負が開幕しました!
久しぶりに番碁に戻ってきた張栩九段の戦いぶりは、どんなものになるのでしょうか?
それでは1日目の進行を振り返っていきましょう。



1図(実戦)
井山名人の黒番です。
コウ好きな棋士の代表、張栩九段が早くも大コウを仕掛けました!





2図(実戦)
その後、もう1回コウが起こった結果、本図の状況に・・・。
もう流石としか言いようがありません(笑)。






3図(実戦)
そして、示し合わせたかのように新たなコウ争いが勃発!
井山名人も決してコウ嫌いではありません。





4図(実戦)
このツケには感動しました!
右上白を狙った手と理解できますが、それにしても格好良いですね。
こういう手を打てると気持ち良いものです。





5図(打ち掛け局面)
白△と開いたところで打ち掛けとなりました。
封じ手は、なんと117手目!
名人戦史上最長記録とのことです。
番碁の1局目は、面白いことが起こりやすい気がします。





6図(封じ手予想)
封じ手予想は黒△です。
井山名人のことですから、厳しい手はためらいなく決行するでしょう。


いずれにしろ、明日は右上白の捌きが焦点になりそうです。
お楽しみに!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

囲碁との付き合い方

2018年08月27日 23時58分25秒 | 囲碁について(文章中心)
<本日の一言>
自動運転の実用化が、着々と近付いてきているようですね。
既に技術よりも、文化やリテラシーの問題がクリアできるかどうかの段階になっていると思います。
人間よりずっと確率が低くても、AIが人を殺してしまうことを世の中は受け入られるのでしょうか?


皆様こんばんは。
本日はアマチュアの方のある悩みにお答えしたいと思います。
それは、「棋力が停滞していて、勉強が楽しめなくなってきた」というものです。

そもそも、囲碁とは何でしょうか?
ある人は「ゲーム」と答えるでしょう。
対局すること、あるいは観戦すること自体を楽しんでいます。

しかし、もう1つの面もあって、それは「競技」です。
技術というものがはっきり存在するゲームですから、自分の能力を高めることには喜びを感じる人もいるでしょう。

多くの人は、両方の面を楽しんでいると思います。
対局や観戦を楽しむ一方で、棋力が上がればそれもまた嬉しいものです。
しかし、どちらを重視しているかは人それぞれです。
対局さえできれば幸せという人は、熱心に詰碁を解くようなことはないでしょう。
棋力向上を第一に考えている人は、対局しながらも常に上達方法を探っているでしょう。
正しい楽しみ方というものは無く、どちらを選ぶべきかはその人の価値観によるでしょう。

ただ、対局を楽しむということに関しては級位者も高段者もあまり変わりないでしょうが、棋力向上という面では大きな違いがあります。
棋力が上がる度に、上達のペースが遅くなっていってしまうのですね。
私の例で言えば、覚えてから1年で3段になったのに、今は1年でコミ1目強くなることにすら苦労しているわけです(笑)。
まあ、それは極端な例としても、強くなればなるほど自身の上達を実感する機会は減っていくことは間違いありません。
これは囲碁の上達を目指す時、必ずついて回る問題です。

対局や観戦を楽しむことがメインという方は、さほど困らないのです。
棋力が上がらなくても、十分楽しめるのですから。
しかし、囲碁を競技として考えている方には重大な問題です。
段々楽しみが減っていくのですから・・・。

この問題を、こうすれば必ず解決できると言える方法はありません。
なにしろ、その人の価値観の問題です。
ただ、私は競技の道をずっと歩いてきたので、この問題にも長く向き合ってきました。
私なりの答えは、「新たな楽しみを見付ける」ということになります。
実際に私が採用してきた方法をいくつかお伝えしましょう。

①勉強自体に楽しみを見出す
この勉強をしなければいけない、と思って取り組むと楽しくないものです。
この際、バランスなどは考えず、これなら楽しめると思える勉強方法だけを選んで取り組むのも1つの方法だと思います。

②勉強を休んでみる
目標も目先の勝ち負けも全て忘れ、ただひたすら対局に明け暮れてみます。
勝たなくて良いのですから、やりたい放題です。
束縛から解放された時、囲碁の楽しさを再確認できるかもしれません。

③しばらく囲碁から離れてみる
最終手段ですが、これも1つの方法です。
無理に苦しみに耐える必要はありません。
しばらく休んで、またやりたくなった時に始めれば良いのです。
久しぶりに囲碁に触れた時、やっぱり楽しいと思えるようになっているかもしれません。

いずれの方法も、それなりに効果があったと思います。
皆様が実践して上手くいくかは保証できませんが、何かの参考になれば幸いです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする