白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

グランドチャンピオン戦

2018年03月31日 23時51分18秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は2017年グランドチャンピオン戦、準決勝と決勝が行われました。
詳細はリンク先をご覧ください。
当ブログでは、準決勝の井山裕太棋聖(黒)-本木克弥八段戦の一場面に注目してみましょう。



1図(テーマ図)
白番です。
右上一帯の黒模様が気になりますが、入るとすればA~Cあたりが思い浮かびますね。
しかし、どれを選んでも攻撃目標にされそうですが、どうしたものでしょうか?





2図(実戦)
井山棋聖の選んだ手は白1の肩衝きでした。
これなら黒に厳しく攻められる心配はありません。
まあ、この程度の手は私にも思い付きます。





3図(実戦)
ただ、井山棋聖はもっと先を考えていました。
黒7まで交換しておいて、一転して白8!
援軍を増やしておいて上辺に突入するという、一連のストーリーだったのですね。





4図(実戦)
白△まで進みました。
こうなってみると、確かに白×が役に立っています。
このような碁盤を大きく使う構想は、井山棋聖の碁の魅力の最たるものでしょう。
最近の世界戦では、あまりこういう打ち方が見られなかったような気がします。

この後、本木八段も力強く戦っていたように思いますが、手どころでミスが出たのでしょうか?
結果は井山棋聖が勝ち、勢いに乗って決勝も制しましたね。
七冠独占しても、まだ満足できないのでしょうか・・・(笑)。
20代にして既に通算タイトル獲得数50、歴代4位です(グランドチャンピオン戦は対象外だったと思いますが)。
上には趙治勲名誉名人、二十三世本因坊坂田栄寿、小林光一名誉棋聖しかいません。
1位になる日も、そう遠くないでしょう。
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白石勇一の棋譜クリニック

2018年03月30日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は私の新しい仕事をご紹介したいと思います。
まずはこちらの画像をご覧ください。



皆様ご存知の、NHK「囲碁講座」です。
テキストと言うだけあり、丁寧な解説に定評があります。
・・・おや、右下に何か見えますね?





じゃーん!
4月号からの1年間、私が別冊付録の講座を担当します!
全部で32ページ、解説の図の数はテーマ図を除いても46(今月)とボリュームたっぷりの講座です。

内容としては、アマの皆様に多いパターンのミスを指摘し、その原因と対策を解説する内容となっています。
また、クリニックというタイトルが付くだけあって、ミスを病気として名前を付けています。
今月のタイトルは「盤上の視野狭窄(しやきょうさく)病」です。
対局中の視野が狭く、碁盤の一部分だけ見て打ち方を考えてしまうという、非常にありがちな病気と言えます。

回数の多い連載なので、様々な病気をご紹介する予定ですが、その中でもこの「盤上の視野狭窄病」だけは真っ先にご紹介しておく必要がありました。
何故なら、この病気は他のあらゆる病気の原因にもなり得るからです。
広い碁盤の中の一部しか見えていないということは恐ろしいことです。
今回はそれを皆様に実感して頂くような内容になっています。
碁盤全体が見えていないからこそ、別の病気も発症してしまうということですね。

なお、その別の病気については様々なものがありますが、今回は詳しくは解説していません。
それらについては、5月号以降で1つ1つ解説していく予定です。
そして、それぞれの病気についての知識が深まった後に4月号を見直すと、より深く理解できるようになっていうという仕掛けです。
4月号を見ただけだと、「理屈は分かるけど、同じように打つのは難しそうだな」と感じるかもしれませんが、心配いりません。
まずは「碁盤全体を見て石の強弱を判断することで、碁の質が別物になる」ことだけ感じて頂ければ十分です。

ところで、私が毎月指導碁を打っているあるお客様と先週対局した時、非常に安定感のある碁を打たれていたのですが・・・。
なんと、この講座をご覧になっていました!(笑)
講座のおかげと絶賛して頂けて、嬉しい限りです。

ちなみに、連載の大雑把な全体像はありますが、先は長いです。
皆様からご意見・ご感想を頂ければ、より良い内容にできると思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
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3月の情報会員解説

2018年03月29日 21時11分41秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日で34歳になりました。
が、手合に負け酷い誕生日に・・・。
まあ、昨年運が良過ぎたのでこんなこともあります。
Facebookでのお祝いコメントに癒されました。

さて、3月も残りあとわずかです。
毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行っておきましょう。
なお、過去の記事はこちらです。↓
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回

棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。

今月は
2017年12月21日 第66期王座戦予選A 小林光一九段山城宏九段
2017年12月7日 第43期新人王戦予選 芝野龍之介初段稲葉貴宇三段
の2局を解説しました。
2局の内容が好対照だったので、セットで選んだものです。
そこで、今回を趣向を変えて、2局を対比させる形でご紹介しましょう。

<芝野(黒)-稲葉戦>











いかがですか?
従来の碁の常識に真っ向から立ち向かうような打ち回しです。
では、もう1局の方をご覧頂きましょう。
(編集していて気付きましたが、漢字を間違えていますね・・・)

<小林(黒)-山城戦>









こちらはベテラン対決ですが、いかにも雰囲気が違いますね。
両対局者共にAIの影響は受けているはずですが、受け止め方、活用の仕方が全く違うということです。
碁は内容の違いによって全く違った楽しみ方ができます。
それも良いところですね。

また、それぞれの対局自体に注目すれば、芝野初段と稲葉三段、小林九段と山城九段の打ち方はそれぞれが好対照になっています。
同じ碁盤を挟みながらも、両対局者が全く違う考え方をしているということも面白いですね。

今回は楽をするため実験的に、画像のみで解説を紹介してみました。
皆様はスマートフォンやパソコンなど、様々な端末でご覧になっているかと思いますが、いかがでしょうか?
見づらいと感じられた方は、ご遠慮なく仰ってください。

なお、来月は2017年11月26日 第12回広島アルミ杯・若鯉戦決勝、李沂修七段姚智騰四段
2018年3月6日 幽玄の間で行われた、AQ対依田紀基九段
の2局を解説します。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
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更新再開

2018年03月28日 18時22分44秒 | 当ブログについて&バックナンバーまとめ
皆様、お久しぶりです。
2~3週間の予定でしたが、結局丸々1か月お休みしてしまいましたね。
大きな仕事もようやく片付きましたので、本日より更新を再開します。
この1か月、何をやっていたかと言いますと・・・。

<やさしく語る 碁の大局観>
一番の大仕事はこれですね。
「やさしく語る」シリーズ第3作です。
本作の内容はずっと前から構想があり、書き始めてしまえばすぐだろうと思っていたのですが・・・甘かったですね。
私の中にある考え方を皆様に分かりやすくお伝えするためには、どう分類するのが最適なのか、非常に頭を悩ませました。
また、「見た目で良し悪しがすぐに分かる」ということも重視しているので、選局や使用する図には吟味に吟味を重ねました。
結果、発売日が1カ月遅れることになってしまいました。
発売を楽しみにして頂いている皆様や、関係者の皆様には多大なご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。
その代わり、より完成度は高くなったと自負しております。
発売まで今しばらくお待ちいただければ幸いです。

<NHK囲碁講座別冊>
NHK囲碁講座は、数万部売れている囲碁雑誌です。
書店では、囲碁コーナーではなくNHKのテキストコーナーに置いてあることが多い気がしますね。
そんな雑誌の別冊付録で、1年間講師を務めることになりました!
第1回の4月号は、3月16日に発売されています。

付録と言っても、32ページというかなりのボリュームです。
これは、私の本で言えば1章分ぐらいに相当します。
1つのテーマにつきそれだけ使っているのですから、しっかりと学んで頂けるでしょう。
また、観戦記などでおなじみの松浦孝仁さんにご協力頂いており、ウィットに富んだ文章になっています。


元々仕事が先送り気味になっていたところにこれらの仕事が重なり、完全に自転車操業状態になりました。
締め切りを乗り切るために無理をして、他の仕事の効率が悪くなったり、体調を崩すなど・・・。
仕事の遅れにも利子が付くのですね。
忙しくなることは前から分かっていたのですから、完全に自業自得ですが・・・。
もっと計画性のある生き方をしなければいけませんね。

まだやるべきことは色々と残っているのですが、とりあえず人間らしい生活はできるようになりました。
しばらくはここ1カ月の出来事などを振り返りながら、のんびり更新していきたいと思います。
皆様、今後ともよろしくお願いいたします。
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