白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

2020年6月の情報会員解説

2020年06月28日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ

<本日の一言>
五反田の教室は、今月をもって閉鎖することになりました。
誤解されそうなので先に申し上げておくと、コロナはあまり関係ありません。
来月からは拠点を移して活動します。
詳しいことは近日中にご案内します。



皆様こんばんは。
本日は日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
先月はうっかり忘れていました。

具体的な解説のレベルについては、↓の過去記事を参考にしてください。
最近の記事では、対局の大雑把な流れをご紹介する形にしています。


第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回

今月は、
1993年9月2日の本因坊戦リーグから林海峰天元-小松英樹八段
1981年3月26日の本因坊戦リーグから趙治勲名人-加藤正夫天元
の2局を解説しました。
対局が止まっていたこともあって昔の碁から探しましたが、ちょっとひねって変わり種の2局を選んでみました。

1図(林-小松1)
林天元の黒番です。
右上の定石は懐かしいですね。
いかにも「昭和の定石」です。
もっとも、これは平成の碁ですが・・・。

この定石はかつてトップクラスの人気を誇っていましたが、今ではすっかり廃れてしまいましたね。
そんなに嫌われることしたかなと思うのですが、世間は冷たいものです。



2図(林-小松2)
典型的な「じっくりした碁」です。
時代を感じますね。



3図(林-小松3)
もちろん戦いは起こりますが、お互いに無茶はしません。
意味の分からない手はほとんど出てこないので、この時代の碁は並べていて安心感があります。



4図(林-小松4)
最後は半目勝ちをかけたコウ争いになりました。
結果がどうなったかと言えば・・・。
勝者は不在でした。
不思議なこともあるものですが、神様のいたずらでしょうか?




5図(趙-加藤1)
趙名人の黒番です。
白1の大斜ガケから戦いが始まりました。
大斜百変とも千変とも言いますが、実際に1000を超える変化があるのではないかと思います。
本局の進行もその中の1つですね。



6図(趙-加藤2)
黒1から白を取りにいきました。
黒5まで、いわゆる隅の曲がり四目の死形ですね。
ただ、白も包囲している黒を逆攻めることはできますし、黒としても実際に白を打ち上げようとすると面倒な手続きを踏む必要があります。
ですから、安全の確保できていない状況では隅の曲がり四目は取りにいきたくありません。
それがプロの共通認識ですが、取れる石を取りにいって何が悪い、と強行するのがいかにも趙名人です。




7図(趙-加藤3)
案の定、外側の黒に襲いかかられてややこしいことになっています。
私のような面倒くさがりは、黒を持っていれば本図を想定するだけで嫌になってくるでしょう(笑)。
結局、最終的には右上白を黒が打ち上げなければならないことになったのですが、それを巡って普通の碁ではありえないような着手が多くみられました。
それが面白かったので、取り上げてみた次第です。



8図(参考図)
これは実戦とは関係ありませんが、戯れに作成してみた図です。
どちらが勝つと思いますか?
曲がり四目も、碁の奥深さを示す形なのです。 

今回はマニアックな方面に走ってみました。
たまにはこういうのも良いでしょう。

ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志八段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!



タグ込みで30000字までという制限があるらしく、今回は宣伝を消します・・・。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2020年4月の情報会員解説

2020年04月29日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ

<本日の一言>
倍率117倍の某マスクに応募しましたが、当然外れました(笑)。
だいぶマシになってきたようですが、今年は流通の正常化は無理そうですね。



皆様こんばんは。
本日は日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
明日で今月が終わりますが・・・。
具体的な解説のレベルについては、↓の過去記事を参考にしてください。
最近の記事では、対局の大雑把な流れをご紹介する形にしています。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回

今月は、
棋聖戦予選決勝の栗田佳樹アマ(21)ー外柳是聞三段(25)
王座戦予選の三浦太郎初段(15)-林海峰名誉天元(77)
の2局を解説しました。
ここでは、印象的だった場面をご紹介していきましょう。

1図(栗田-外柳1)
栗田アマの黒番です。
本因坊秀策の1、3、5の布石は有名ですが、こちら

も昭和の1、3、5と呼んで良いぐらいのオーソドックスな布石ですね。
AIはあまり評価しませんが、栗田アマはこの布石を愛用しているようです。
得意の型を持っていることは強みですね。
それ自体で有利になるというより、自信になるのではないでしょうか。



2図(栗田-外柳2)
白×を取る手を放棄し、上辺白を攻めました。
このあたりの打ち方を見る限り、地にカラいというよりも、バランス派とみるべきなのでしょう。
栗田アマの特徴が表れた場面でした。



3図(栗田-外柳3)
上辺白大石が心配ですが、白1、3を打っただけで白5の大場に先行しました。
このあたりの怪しげな誤魔化し方は、いかにもプロらしいですね(笑)。



4図(栗田-外柳4)
色々あって形勢は白が良くなっていますが、黒1(Aの所)~7とは必死の勝負手ですね。
1目ポン抜かせたうえに、黒5、7とダメをつなぐ打ち方は普通なら考えにくいです。
しかし、こうやるしかチャンスがこないとみたのでしょう。
いざとなればどんな手を使ってでも勝ちにいく根性も、プロと変わりませんね。
実戦はポン抜きの白を猛然と取りにいき、再逆転に成功しました。



5図(三浦-林1)
三浦初段の黒番です。
黒△と滑り、下辺白一団をイジメにかかりましたが・・・。



6図(三浦-林2)
いつの間にか白△まで、スルスルと逃げ出しています。
いかにも林名誉天元らしい粘り腰ですね。



7図(三浦-林3)
右上隅の白が攻められ、コウになりましたが・・・。



8図(三浦-林4)
コウはそのままに、外側の黒を逆に包囲しています。
その代わり、下辺白一団も生きているのか死んでいるのかよく分かりませんが・・・。
わけの分からない乱戦に持ち込む勝負術も、林名誉天元ならではですね。
本局は三浦初段が林名誉天元の再三の「揺らし」に耐え、しっかり勝ちきりました。


ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志八段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後は5月20日(水)、6月12日(金)、6月30日(火)に指導碁を行います。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。

New!→上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。


☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、8月13日に発売されました!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2020年2月の情報会員解説

2020年02月05日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ

<本日の一言>
メジャーリーグで主力選手の大型トレードがありました。
本当になんでもありですね。
前田健太投手もトレードされましたが、新天地での活躍に期待しています。



皆様こんばんは。
本日は日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
具体的な解説のレベルについては、↓の過去記事を参考にしてください。
最近の記事では、対局の大雑把な流れをご紹介する形にしています。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回

今月は棋聖戦予選から、
金秀俊九段(41)-福岡航太朗初段(14)
上野愛咲美三段(18)-横塚力七段(25)
の2局を解説しました。
今回は上野-横塚戦をご紹介しましょう。

1図(実戦)
上野三段の黒番です。
白1~7とは格好良いですね。
プロらしい捌きではないでしょうか。



2図(実戦)
黒1、3と守りました。
白はAやBの傷が気になるところですが・・・。



3図(実戦)
構わず白1の押し!
当然黒2と切ってきますが、そこで唐突に白5とノゾキを打ちました。
支離滅裂な打ち回しに見えてしまいますね。
実際、私も電車でさらっと手順だけ流し見たときは、全く意味が分かりませんでした。
黒Aとつないだら何なのかと・・・。

しかし、実際にはちゃんと意味がありました。
対局者はよく読んでいるものです。



4図(実戦)
結局、振り替わりの形で白8と連打することになりました。
しかし、黒9と抵抗してまだまだ戦いは続きます。



5図(実戦)
そして、またしても振り替わりになりました。
1図からここまで変化するとは、想像も付きませんでしたね。

この後、左辺でも火花が散りましたが、一段落すると寄せに入りました。
ところが、そこから予想外の波乱が・・・。

本局はこんな流れでした。
今勢いのある2人らしく、力比べのような一局だったと思います。
ただ手順を見るだけでは、意味の分からないところが多いかと思いますので、一手一手分かりやすく解説しています。
AIも活用していますが、結局は自分の頭を使わなければならないので、楽はできませんね(笑)。


ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志八段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター
・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後は2月12日(水)、2月28日(金)、3月27日(金)に指導碁を行います。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。

New!→上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。


☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、8月13日に発売されました!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019年12月の情報会員解説

2019年12月08日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ

<本日の一言>
明日は天元戦第4局が行われます。
現在、許家元挑戦者(21)が2勝1敗でリードしており、勝てば天元獲得となります。
井山裕太天元(30)としてはなんとか粘りたいところですね。



皆様こんばんは。
昨日は更新をお休みしました。
今週は休みが2回になってしまいましたね。

さて、本日は日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
具体的な解説のレベルについては、↓の過去記事を参考にしてください。
最近の記事では、対局の大雑把な流れをご紹介する形にしています。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回

今月は
女子甲級リーグ 呉依銘二段(12)-於之瑩六段(21)
女流本因坊戦予選 桑原陽子六段(45)-上野梨紗初段(13)  ※対局当時の年齢
の2局を解説しました。
それではご紹介していきましょう。


1図(桑原-上野1)
桑原六段の黒番です。
白△のツケ!
白Aの割り込みを狙った強烈な手筋ですね。



2図(桑原-上野2)
白1~11とは、流れるような打ち回しですね。
上野初段らしいと思います。



3図(桑原-上野3)
白1のケイマで黒に迫りましたが、即座に黒2と反撃!
流石、力自慢の桑原六段ですね。
ここから混戦に持ち込んでいきました。



4図(桑原-上野4)
上辺白2子が包囲されている場面で、白△のツケ!
上野初段がここを上手く捌き、勝利を引き寄せましたね。



5図(呉-於1)
呉二段の黒番です。
白1に対して、黒×を捨てて黒10に回った打ち回しには、呉二段の特徴がよく表れていますね。
とても12歳とは思えない、冷静な打ち回しです。



6図(呉-於2)
黒1からの打ち回しも独特ですね。
白にポン抜きを与えますが、左上隅を確保し、白×も取れるのでバランスが良いと判断したのでしょう。



7図(呉-於3)
辺や中央に大きな寄せが残っている状況ですが、先を急がず黒1~7としっかり守りました。
本当に落ち着いていますね。



8図(呉-於4)
黒1の着点や、黒3~7といった石の強弱や後の狙いまで意識した寄せ方・・・。
これだけ見ても、呉二段の終盤力の高さが伺えますね。
本局は於六段と互角に渡り合ったと言って良いでしょう。



ところで、今月は実験的にAIを参考にしてみました。
その結果・・・作業量が倍になりました。
なにしろ情報量が多いですからね。
特に寄せの検証作業が非常に大変でした。

プレイヤーとしても、AIとの付き合い方には悩むところですが、解説でもまた違った悩みがあります。
単に時間をかけた分だけ、あるいは詳しければその分だけ、読者の満足感が上がるというものでもありませんからね。

今後もAIや端末が進歩を続けることは確実です。
自分が望むと望まざるにかかわらず、解説の現場でもAIを利用することが当たり前になっていくでしょう。
より良い形を模索していきたいものです。

ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志八段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター
・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後は10月11日(金)、11月15日(金)、12月13日(金)に指導碁を行います。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。

New!→上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。


☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、8月13日に発売されました!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月の情報会員解説

2019年11月27日 23時59分59秒 | 日本棋院情報会員のススメ

<本日の一言>
冬の棋士採用試験の結果が出始めています。
本院は三浦太郎さんと近藤登志希さん、共に11勝3敗で入段を決めました。
関西総本部は中野奨也さんが、これまた11勝3敗で入段を決めました。
今年はどちらもかなりの混戦だったと思います。



皆様こんばんは。
本日は日本棋院情報会員のPRを行いたいと思います。
具体的な解説のレベルについては、↓の過去記事を参考にしてください。
最近の記事では、対局の大雑把な流れをご紹介する形にしています。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回
第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
第21回 第22回 第23回 第24回 第25回 第26回 第27回 第28回 第29回

今月は夢百合杯1回戦から、
一力遼八段-丁浩六段
李軒豪七段-仲邑菫初段
の2局を解説しました。
それではご紹介していきましょう。
ただ、この2局は既にブログで振り返っていますから、視点を変えてみることにします。

1図(一力-丁1)
一力-丁戦、一力八段の黒番です。
黒1、3とは、形構わずの猛攻です。
殺意しか感じられません・・・。



2図(一力-丁2)
黒△のカケ!
強烈な攻めで、思わず石音が高くなりそうですね。



3図(一力-丁3)
白も猛反撃を見せました。
黒×も弱くなり、戦いはますます複雑化していきます。



4図(一力-丁4)
そして、黒1に受けず白2の切り!
これまた凄い反撃で、戦いはエスカレートするばかりです。

上達の約束の動画で、解説にとてつもなく時間のかかる碁があったということを話した記憶がありますが・・・。
それがこの碁です。
序盤から終盤まで、ほぼ戦いしかしていませんからね・・・。
一力八段が勝っていなければ、この碁は選ばなかったでしょう(笑)。



5図(仲邑-李1)
李-仲邑戦、李七段の黒番です。
白1、3の構え方が独特だと思いました。
白1ではA、白3ではBが多数派ではないでしょうか。
AIの影響もあるかもしれませんが、やはり仲邑初段の個性が表れていると見るべきだと思います。
仲邑初段はどっしりとした、隙の無い手を好む印象が強いです。



6図(仲邑-李2)
白△の曲げも、いかにも仲邑初段の好みそうな手です。
この手では白Aも1つの形なのでしょうが、仲邑初段が打つイメージは全く浮かびません。
それが持って生まれた感性というものではないでしょうか。
棋風が色々と変化したとしても、そういった根っこの部分は大きく変わらないものだと思っています。



7図(仲邑-李3)
黒△に対して、白Aと打ったのは明らかに悪手でした。
ただ、なぜそう打ってしまったかを考えてみると、これも仲邑初段の感性が影響したのではないかと思っています。
白Aでは白Bと出るのが正着なのですが、白×がやや緩んだ形をしており、それが心に引っかかってしまったのではないかと・・・。



8図(仲邑-李4)
この白△も無理気味で、白Aなら無事だったでしょう。
仲邑初段もそれは分かっていたでしょうが、守りだけの手はどうしても打ちたくなかったのでしょうね。

本局は良くも悪くも、仲邑初段の個性が表れた一局だったと思います。
10年後か20年後に仲邑初段の打ち碁集が出るときは、必ず収録されるでしょうね。


来月は
女子甲級リーグ 呉依銘二段-於之瑩六段
女流本因坊戦予選 桑原陽子六段-上野梨紗初段
の2局を解説します。

ちなみに、私の解説は「ためになる棋譜解説」というタイトルですが、鶴山淳志八段も「初段をめざす方のための棋譜解説」というタイトルで2局を解説しています。
また、平本弥星六段は「一日一題」というタイトルで、問題形式での棋譜解説を行っています。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター
・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後は10月11日(金)、11月15日(金)、12月13日(金)に指導碁を行います。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。

New!→上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。


☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、8月13日に発売されました!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする