開け放った窓から
爽やかな五月の風が
流れ込んでくる
目の前は小さな公園
緑の樹々が
風に揺れ
ささやくように
こっちへおいでと誘う
五月の風をいっぱい吸い込んで
五月の風に
五月の英気を貰う
五月の風が
ごきげんさんを運んでくれた
うつぼ公園
空が一瞬に
灰色に変わるや否
ゴオ〜 ゴオ〜
唸りをあげ
豪雨が
牙をむきだし
樹々に襲いかかる
ゴオ〜 ゴオ〜
何度も執拗に追いかけてくる
今にも地面に
倒れそうになりながらも
樹々は
結束したかのように
一つになり
必死に耐え
過ぎ去るのを
ただ
待つのみ
うつぼ公園
頭の隅っこから
言葉が
こぼれ落ちてゆく
すくいあげては入れていく
そのうち
何個かが
流れ去っていく
春とは名ばかり
アッ 冷たい
首筋に
ブルッ
一粒の春の雪
空を仰げば
チラホラと
シクラメン
ざわついた夏が去り
いつしか
秋になり
今は
晩秋か
初冬か
見分けられぬ
境目に入り込んでいる
宝塚ダリア園