北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】ノルウェー次期戦車選定のK-2破りレオパルド2勝利とトルコ初の国産戦車アルタイ開発の目処

2023-02-28 20:09:53 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 日本の戦車よりもよほど元気ではないか、やはり大量生産基盤と共に輸出による各国要求性能の繁栄は防衛産業を堅実なものとするのだなあとの実感です。

 ノルウェー陸軍は次期主力戦車としてレオパルド2A7主力戦車を選定しました。この主力戦車選定には韓国のヒュンダイロテム社がK-2ブラックパンサー戦車の最新改良型を提案しており、各国の候補車両との競合を超えて、ドイツ製戦車と韓国製戦車の一騎打ちとなり、評価試験が2022年より実施されていました。今回、ドイツ製戦車が選定されたもの。

 レオパルド2A7主力戦車は54両が導入されることとなります。今回選定された背景には、ノルウェー軍に配備されている主力戦車が、オランダ軍の冷戦後における戦力削減を受け余剰となったレオパルド2A4戦車52両となっていまして、性能的には主砲の長砲身化や正面と車体防御増強、暗視装置やデータリンク装置改良が挙げられるも共通点ある戦車です。

 K-2ブラックパンサー戦車については、今回、韓国製戦車が初めて欧州に採用される可能性を受け、全力で売り込みを行いました。ただ、不採用の背景は不明ですが、決め手となったのは北極圏での運用性能という。これにともないノルウェー政府は昨年末に予定されていた選定決定を二か月以上延期しています。北極圏での戦車運用を想定した結果でしょう。

 ノルウェー軍が採用を決定したレオパルド2A7主力戦車は2026年より納入が開始されることとなります。一方、ノルウェー政府は2022年末に予定された戦車選定の延期について、優先する防衛装備品調達を挙げており、これは長距離打撃兵器の取得を戦車の導入に優先したのではないかという憶測が上がりました。しかし延期は二か月強に留まっている。

 レオパルド2A7主力戦車の選定について、北極圏での運用評価がもう一つの候補戦車であるK-2ブラックパンサー戦車を上回った、としています。韓国の戦車は朝鮮半島の厳寒期における運用を想定していますが、レオパルド戦車については元々ノルウェー、そしてフィンランドとスウェーデンでも運用実績があり運用情報を受け改良されていたのでしょう。

 北極圏、印象的であるのはおそらく2022年末から2023年年始にかけての大寒波を評価試験に反映させた、ということです。そして北極圏は2010年代後半からロシア軍軍事施設の建設強化など、新しい戦場となりつつあり、ここで動くことができるのは機械化部隊、中でも戦車の機動力と防御力をNATOとノルウェー軍は重要視しているということでしょう。

 トルコは開発が難航するアルタイ主力戦車について韓国製変速機の採用を決定しました。アルタイは韓国の技術援助を受け開発が進められているトルコ初の国産戦車です、しかし技術的な難航にさらされています。先にトルコは国産エンジンの開発を目指しましたが、トルコの技術では戦車用1500hpエンジンを開発することがどうしてもできず中断しました。

 三菱重工製エンジン採用を調整したのですが、トルコがアルタイ戦車を第三国に輸出する方針を示すと三菱重工側が難色を示し、トルコ配備のものに限り三菱製エンジンを搭載し、輸出用はトルコが開発しているエンジンを搭載するよう三菱が提案したものの、トルコが難色を示し、トルコのエンジン開発が全く目処が立っていないことを示していますが。

 エンジンは韓国からK-2戦車のエンジンをそのまま輸入することとしましたが、その後、変速機の開発で再度難航し、輸入した変速機を戦車に搭載したところ接合が稚拙で破断する事故を起こしました。このため、ヒュンダイドーサン製1500hpエンジンとともに今回韓国のSNTダイナミクス社製変速機をパワーパックの形で供給を受ける方針が決定しました。

 トルコ初の国産戦車として開発が難航しているアルタイ主力戦車ですが、2023年5月にも試作車2両をトルコ軍へ引き渡す方針であることは発表されました。これはすべてトルコ製部品で製造するという構想を、繰り返す開発遅延によりとうとう見切りをつけ、パワーパックの部分を済めて韓国から輸入するという決定により完成のめどがついたためです。

 SNTダイナミクス社製変速機、EST15K今回新たに韓国から供給されるのは2027年まで7490万ドル規模の契約にのぼるとのことで、またトルコ製変速機が完成しなかった場合のオプション契約として、EST15Kのオプション契約が含まれており、これによれば2028年から2030年までの間に追加の1億4100万ドル規模の変速機追加発注がありうるとのこと。

 アルタイ戦車は2018年に完成目処がついたとして250両の第一次生産契約がトルコ政府との間で結ばれています、ただエンジンが完成せず、韓国からDV27K戦車用エンジンの輸入を決定しました。この250両は初期型であり、トルコ政府としては最終的にトルコ国産部品で構成されるアルタイ生産に移行し1000両を揃え、カタールなどにも輸出する構想です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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自衛隊無人機対策能力構築,ドローン対策の決め手は高射機関砲!不可思議新技術などよりもウクライナの実績

2023-02-28 07:01:41 | 先端軍事テクノロジー
■無人機対策能力構築
 最新鋭というものの未知数な技術や妨害電波装置や電磁パルスなどよりも一発の機関砲弾で無力化できる。

 政府は新しい防衛力整備計画において無人航空機対処能力を自衛隊に整備させる方針を固めています、しかし、この防衛力整備計画で片手落ちなのは、既存の、いや自衛隊が過去に防衛力のコンパクト化に際して陳腐化したと判断され、廃棄された装備が、そのまま使えるという事を忘れているように思います、それはエリコンL-90、広範に装備されていた。

 L-90高射機関砲、35mm双連機関砲で陸上自衛隊は1960年代にスイスへ隊員派遣などを通じ、当初は教範がドイツ語ということで陸上自衛隊のドイツ語に長けた幹部がスイスに贈られるも、教範や運用思想などについては従来のアメリカ製装備との違いから苦労したようですが、L-90高射機関砲を導入決定し全国に配備、2009年まで配備されていました。

 ウクライナでは35mm機関砲がロシア軍無人機に対して、破滅的といえるほどの優位を誇っているようです。エリコン35mm機関砲はドイツ軍が供与したゲパルト自走高射機関砲に標準搭載されていますが、その弾薬にAHEAD弾薬という、時限信管で作動し大量のタングステン弾片で目標を漏斗状に包み破壊する、数発の連射で無人機を屠る精度とされる。

 AHEAD弾薬は、陸上自衛隊が当時L-90から運用していました焼夷徹甲弾のような弾底信管によるものではなく目標付近で散布するもので、L-90機関砲はレーダー管制方式であるために時限信管の設定が自動で行える、ゆえに確実性が高いもの。じつは陸上自衛隊もAHEAD弾薬導入を検討したものの、L-90そのものを廃止したため実現しなかった経緯が。

 170門、陸上自衛隊はL-90を全国の高射特科大隊に配備していましたので、まとまった数がありました。この機関砲ですが、難点として固定式であることから機動力が低く、今でいえば重装輪回収車のような車両後部に搭載し自走化するというような選択肢があったかもしれませんが、93式近距離地対空誘導弾へ置き換えることとなり、全廃されています。

 L-90,流石に補給処などで保管されているものは殆どないと思うのですが、税金の無駄といわれるのは覚悟で、もう一度L-90を全国に配備してみてはどうでしょうか、当然日本製鋼所で再度ライセンス生産しなければなりません。それでも例えば地域配備師団に装備するならば、小型無人機に対して大きな威力を発揮するのはウクライナで証明されています。

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【防衛情報】インドネシアF-15IDストライクイーグル導入計画とアメリカT-1練習機退役騒動

2023-02-27 20:18:43 | インポート
週報:世界の防衛,最新12論点
 今週は空軍関連の12の話題を集めてみました。

 インドネシア空軍は二転三転したF-15IDストライクイーグル導入計画を最終決定段階へ進めました。インドネシアのストライクイーグル導入計画は、撤回してフランスのラファール戦闘機を導入するとしラファールの費用がおり合わないと交渉再開し、また撤回してロシアからSu-35戦闘機を構想するなど何度も撤回され再開された過去がありました。

 アメリカ国務省は2022年2月に輸出を認可していますが、計画に至るかは未知数でした。ストライクイーグルの導入は最大36機を計画しており、このための費用として139億ドル規模の契約が見込まれ、これには87基のGE-129エンジン乃至F-100-229エンジンと45基のAPG-82レーダー、40基のAAQ-33スナイパーポッドなど関連装備費用を含みます。

 ストライクイーグル導入は撤回されたとばかりおもわれていました、その背景には2022年2月にインドネシア政府自身がラファールの次期戦闘機決定を発表、アメリカ国務省の対外有償軍事供与認可は単に時機を外した決定とも受け止められたのですが、今回の決定はアメリカのオースチン国防長官インドネシア訪問時に両国閣僚会議での議題となりました。
T-1練習機退役論争
 日本ではT-400として採用されている航空機です。

 アメリカ空軍はT-1ジェット練習機を退役させシミュレータへ置き換える計画を推進中です。この計画は2023年1月から開始されるもので、30年間にわたり運用を継続してきましたT-1ジェット練習機は後継機を導入せず退役、初等練習機での実際に飛行しての訓練終了後は75日間のシミュレータによる教育へ移行することとなるのですが懸念が生じる。

 T-1ジェット練習機はビジネスジェットを空軍が練習機として運用しているものです。しかし空軍には実際に飛行させずシミュレータだけで軍用機の要員を養成できるかという懸念も同時にあるようです。これは戦闘機操縦要員ではなく民間エアラインとおなじ方式で輸送機や空中給油機の要員を養成するのですが、この方式での成果のほどはまだ未知数です。
チリ-C130輸送機改良
 自衛隊のC-130はどうなるのか。

 チリ空軍は旧式化していたC-130輸送機を新型回転翼へ換装しました。チリ空軍のC-130輸送機はC-130BやC-130EとKC-130RにC-130Hという多種多様な機体が採用されていました。このため、空軍はコリンズエアロスペース社と契約し近代的なNP2000回転翼への換装を決定します。NP2000回転翼は八枚翅方式で日本でもE-2Cに装着されている。

 NP2000は八枚翅とこれを制御するEPCS電子プロペラ制御システムから構成されていて、八枚翅による揚力の20%増大することで離陸距離を最大300m短縮させるとともに、コックピット内の騒音を最大20%低減させるとのことで、またEPCS電子制御の採用によりエンジン負荷を最適数値に抑えることから整備時間を50%も削減できるとされています。
チュニジア-新練習機
 経済崩壊のチュニジアに新型練習機です。

 チュニジア空軍はアメリカ製T-6Cテキサン練習機を受領しました。テキサンT-6Cはビーチクラフト社製高等練習機で、チュニジア空軍は戦闘機要員養成へアメリカから8機のT-8Cを導入するとともに、アメリカ国務省からの有償軍事供与計画では一年間の整備支援と初期の運用支援及び予備のエンジンを含む整備関連予備部品などが包括契約されました。

 T-6C練習機はチュニジアではスファックス空軍基地へ配備され、練習飛行隊である第13飛行隊へ集中配備する方針です。テキサン練習機の名は航空自衛隊でも初期に導入されたT-34練習機の愛称で、T-6CはテキサンⅡという愛称でもあり、アメリカ空軍や海軍を筆頭に世界へ広く輸出され、このほど1001号機が製造された取得も運用も手頃な練習機です。
給油機にSAF燃料
 SAF代替燃料は民間航空会社での飛び続ける為の環境配慮の施策となっていますが軍用機も例外ではないのでしょう。

 イギリス空軍は完全SAF燃料によるA-330MRTT空中給油輸送機による飛行試験を成功させました。SAF燃料とは再生可能エネルギーの一種であり化石燃料以外の燃料を示すもの、気候変動対策の強化により近年航空機へは環境安全保障の観点から厳しい視線が向けられています、このためSAFへの置き換えが模索されていますが航空機の安全も課題だ。

 A-330MRT空中給油機はエアBP社が供給したSAF燃料により飛行、この飛行にはエアバス社とエンジンを製造するロールスロイス社が参画しています、試験はブライスノートン上空で11月18日に実施、SAFは粘度特性に差違があり、これまでは一部エンジンをSAF燃料とする試験が行われていますが今回は100%SAF燃料により飛行が実施されました。
180機で地球を守る
 戦闘機僅か180機で世界を守るというならばこの機数は航空自衛隊でもできる事となるのですが可能なのでしょうか。

 アメリカ空軍は180機のF-15EXで全世界をカバーする"ダイベストトゥインベスト"計画を開始しました。これは老朽化したF-15C戦闘機やF-16戦闘機を早期退役させ、F-35戦闘機やF-15EX戦闘機などの導入を促進させる、次世代投資の為の旧型売却、という構想です。この一環として沖縄の嘉手納基地からもF-15C戦闘機撤退がすでに行われています。

 しかし問題はこれらの戦闘機を置き換えるのが180機のF-15EX戦闘機しかない、という点です。アメリカ空軍は沖縄県や日本本土、イギリス本土と韓国及びドイツなどに戦闘機の常駐部隊を展開させてきました、そして中東や南欧にもローテーション展開していますが、果たしてこれを180機で代替できるのかは、議会などで懸念されているところです。
F35のQRIPポッド
 F-35に搭載して周辺ではなくF-35そのもののデータを収集する試みが進められているという。

 アメリカ空軍はQRIPデータ収集ポッドによるF-35戦闘機運用改善技術を開発中です。QRIPとは即応着脱情報記録パッケージといい、大きさはフットボール規模、そして興味深いことに外部装着を行う場合にステルス性能に影響するF-35戦闘機ですが、QRIPは兵器庫の内側にある余剰空間に装着でき、武装やステルス性能への制約などは、ありません。

 QRIPデータ収集ポッドは現在、ネリス空軍基地の第59評価試験飛行隊において試験中ですが、F-35戦闘機を含む現用航空機はソフトウェアのバグが任務遂行に際し問題となる一方、水上戦闘艦のように現場でデバッグが出来ません、このためデバッグには専用の機体に大型の機材を搭載していましたがQRIPは小型故にすべてのF-35機内に搭載可能です。
TALIOS照準ポッド
 ラファールの進化は続きます。

 フランス空軍はラファールF4戦闘機へTALIOS多機能照準ポッドの追加搭載を進めます。フランスはドイツとの間で第六世代戦闘機の国際共同開発を進めていますが、戦闘機の形状さえ決定しておらず、フランスには第五世代戦闘機の導入計画もありません、このために製造が継続され第4.5世代戦闘機であるラファールの能力向上に熱心です。

 TALIOSは複合光学情報装置で超長距離の赤外線情報などを収集する機能があります、しかし現在この改良型として赤外線画像を高解像度処理することでカラー画像化するシステムがあり、これを3D地図とあわせることでより精度の高い目標情報を得て共有する技術があります。今後この新型ポッドをフランス空軍は36機のラファールへ搭載します。
A400M輸送機退役開始
 日本のC-1FTBはまだまだ飛ぶ。

 フランスのエアバス社は11月、A-400M輸送機MSN4の退役を発表しました。MSN4は通称グリズリー4の愛称で知られる実験用航空機であり、2010年12月20日に初飛行を迎えました。グリズリー4は飛行時間が2000時間、飛行回数は1000回を越えるとされていますが、軍用機の飛行時間として2000時間は少々短い印象を受けないでもありません。

 グリズリー4は各国へのA-400M輸送機の売り込みはもちろん、その輸送機としての拡張性を示すべく空中給油試験や新型コックピット試験、航空輸送から空中投下にSAF燃料試験まで様々な用途に用いられました。日本ではC-2初号機はもちろん、50年以上C-1初号機であるC-1FTBさえ飛行しているために不思議に思いますがA-400M退役の始まりです。
タイ-AT6軽攻撃機取得
 案外安いのだなあという印象です。

 タイ空軍はAT-6軽攻撃機8機の受領を開始しました。アメリカのビーチクラフト社製AT-6はT-6テキサン練習機の軽攻撃型で愛称はウルヴァリンとなっています、高出力エンジンを搭載するT-6練習機は中等練習機及び部分的な高等練習機としての運用が可能となっています。なお、タイ空軍は同時期にT-6練習機12機の導入も開始しています。

 AT-6ウルヴァリン軽攻撃機はCOIN機、対反乱鎮圧機として運用されていますが興味深いのはその取得費用です。T-6練習機は12機で1億6200万ドルとなっていますが、AT-6軽攻撃機は8機が1億4200万ドルの契約とのことで、ある程度のセンサーや火器完成装置を搭載したものの、これはそれほど取得費用が増大しないことを示す興味深い数字です。
ボラメに巡航ミサイル
 韓国の近年の防衛産業は政治が軍事を理解すると共に安易に朝令暮改しないという事の大切さを突き付けているようです。

 韓国国防省は2028年までにALCM空中発射巡航ミサイルを開発する計画を発表しました。これは韓国空軍が開発するKF-21ボラメ戦闘機への搭載を念頭としていて、欧州で開発されたトーラスミサイルと同程度の射程、500km程度の射程を付与する計画とのこと。北朝鮮に配備される核ミサイルへの強力な抑止力となる複合的な装備体系のひとつとなる。

 KF-21ボラメ戦闘機は各国が第五世代戦闘機の開発を進める中で敢えて4.9世代戦闘機という技術開発リスクの低い堅実なステルス戦闘機を目指しており、ステルス機では珍しく兵装庫を有していません、この為兵装搭載時にはステルス性が失われますが、その分搭載兵装に制限が無い事を示しており、これを逆手に強力な打撃力を付与させる事となります。

 ALCM空中発射巡航ミサイルについて、DAPA国防調達計画局は開発費用として1900億ウォン、ドル換算で1億4500万ドルを投じる計画です。韓国では独自の艦対地巡航ミサイルなどは既に開発していますが、空中発射巡航ミサイルについては未知数の技術でもあり、KAI韓国航空工業社やハンファ航空社などが協力し、オールコリアで開発に当るとのこと。
オーストラリア海外派遣
 F-35戦闘機がマレーシアへ展開です。

 オーストラリア空軍はF-35戦闘機の一部をマレーシアへ前方展開させることとなりました。オーストラリア空軍はかつて1967年から1983年まで、マレーシアのバタワース空軍基地へミラージュⅢ戦闘機を長期展開させていました。今回F-35戦闘機が展開したのもおなじバタワース空軍基地となっていて、ここはペナンから9kmの位置にある空軍基地です。

 F-35の展開はエランガルー2022演習の一環であり、恒久展開ではないものですが、南シナ海の緊張を前にオーストラリア軍とマレーシア軍は第五世代戦闘機であるF-35戦闘機の運用基盤をバタワース基地において確認するという重要な意味合いがありました。なお、今回訓練で展開したのは第75飛行隊のF-35と支援に当たるC-27輸送機とのことでした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-四条,京阪電車直結の南座向かいには名店がランチを誘う

2023-02-27 07:01:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 寒い訳だまた雪が舞っているとともに太陽がかくれているのが寒さを強調しますし風が冷たいのも厳しい。どこか暖かい所に入ろうということになる。

 菊水鉾、祇園祭で有名な山鉾がありますが、天一に行く事を天一号作戦と呼ぶ知人が居まして、凄い末期戦を知っているなあ、と思ったらば、いやそういうつもりはなく語呂が良いので使っている、という事でした。流石にあの“天一号作戦”は知らないという。天一GO作戦か。

 天一でラーメン食べにくくなるじゃあないか、という語呂と共に、しかし考えるとこの名店も、云い方によっては菊水一号作戦、ということになるのか。今の平和が有りますのは皆様のおかげです、と心に刻むところですが、菊水さんへランチへと立ち寄りました。

 京阪四条の駅前、レトロな建物は大正時代の創業という洋食の名店をひときわ輝かせていますが、お隣に南座がありまして、少し離れたところに八坂神社が見えますから、ちょっと京都の個性的な街の一角を形成している。昭和の頃までは京阪が地上にありましたが。

 菊水、高級店と思われる方も多いかもしれませんがランチがお手頃でして、近くの天一で定食を頂くのと同じくらいの値ごろ感で頂けますし、このお店は京阪四条の駅前と云いますか地下連絡口に隣接していますので、吹雪が吹こうとも濡れずに探訪でき、有難い。

 ランチは、スープからメインとともにライスと珈琲まで付きまして、メイン料理はいろいろと少しづつ揃っていますので、これぞ大人のお子様ランチ、というところなのかもしれない。でも先ず料理の前の前座というべきスープが、この寒い季節にはうれしいのですよ。

 ミニステーキにはトマトペーストの酸味が寒さの中で必要なビタミンを湛えていてスタミナにも直結しますし、海老とホタテのボイルやカレー風味のポテトが洋風のポテトサラダと共にならんでいる、気取ったランチでゃなく、やはり大人のお子様ランチというべきか。

 菊水さんはビーフシチューはじめ色々あるのですが、まあ、まよったらお手頃なこれ、というところでしょうか。いや、夏ごろになりますと屋上ビアガーデンが開かれるお店ですので、思い切って屋上行くか、アルコールはもう少し後にするかで迷うお店という。

 大人のお子様ランチはどのあたりから頂くか迷うところですけれども、ライスと共にかきこむようにいただいてゆく、この一階のテーブルは厨房の活気が良く見えまして、元気よく素地が料理に仕上がる最中に一つ一つ味を吟味して頂いてゆくのは楽しいものです。

 ランチのちょっとした時間でも、活気あるところですべて給仕して頂いてご飯を頂く、すると日常も急に輝いて見えるところです。ただ食後に撮影したのはなぜかこの怪獣映画のような京阪ポスターが一枚目に、何故この広告を撮影したのかは謎、疲れていたのかなあ。

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【日曜特集】MH-60R統合多用途ヘリコプター-アメリカ海軍機が航空自衛隊小牧基地へ飛来!(2023-02-06)

2023-02-26 20:11:44 | 在日米軍
■アメリカ海軍のMH-60R
 本日は少々多忙ということで変則的ではありますが小牧基地の写真を来週の小牧基地航空祭の予習的に紹介しましょう。

 小牧基地へアメリカ海軍のMH-60R統合多用途ヘリコプターが飛来しました、小牧基地を航空館BOONから平日撮影していますと、シーホークといいますかブラックホークといいますか、S-70系統のヘリコプターが見えてきました、小牧基地にも配備されているもの。

 U-125救難機とMH-60R統合多用途ヘリコプター、実のところ考えさせられる装備体系でして、政府は航空自衛隊のU-125を廃止する方針で防衛力整備を進めるという、新しい防衛力装備の主軸は射程の長い反撃能力といい、U-125を廃止してリソースをつぎこむ。

 HH-60戦闘救難ヘリコプターか、と遠景に見えた際には思ったのです、なにしろ一軒視して小牧基地を撮影する際に見慣れているUH-60J救難ヘリコプターとは違ったものですから、しかし正面以外が見えてくると空中給油受油装置が見えないのでHH-60ではない。

 UH-60J救難ヘリコプターであれば小牧基地の救難教育隊へ配備されているものですし、SH-60K哨戒ヘリコプターであれば小牧基地に隣接する三菱重工小牧南工場において製造され、定期整備も行われている機体、超望遠越しにみていますと機外タンクがみえません。

 SH-60L哨戒ヘリコプター、最新型機かなと期待する。SH-60K哨戒ヘリコプターは厚木の第51航空隊にて試験運用中の様子を2005年に見たのが初めてですが、先月新しい新しいと思っていた機体がついに除籍が始まりまして、輸送ヘリに改修することとなるのか。

 MH-60Rだ、こう気づきましたのは機種部分にセンサーボールが装着されていたためでして、なるほどこれは大物が来ている、なかなか見られないヘリコプター、いや、先日の空挺降下訓練始めにてなんか見たような気がするのですが、二機が小牧基地へ飛来したのだ。

 二機飛来した、こう驚いたのはこの撮影位置は小高い丘陵地の様に造成されていまして、ちょっと駐車場のあたりに歩いて一分二分往復していた時に飛来していたうちのもう一機は既に着陸していたのですね、あぶない、撮影できないところでした、きを点けねばね。

 第77回転翼海洋打撃飛行隊の所属でしょう、MH-60Rというのは従来型のSH-60Bから改修されているものでして、こうしたモッタイナイの精神が日本の自衛隊にはなく、退役して財務省管理下に置かれますと保管されずさっさと税金で分解されてしまうという現状で。

 SH-60B、所謂シーホークです。機体そのもののフレームはしっかりしていますから再利用できる部分は多く、新造よりは改修といいますとケチなような響きかもしれませんが、利用できるフレーム部分をそのまま使っているという構図、けちなわけではないというもの。

 LAMPSヘリコプターとして、水上戦闘艦のセンサーという運用が可能であるMH-60Rは装備品をモジュール搭載します、これは吊下ソナーとソノブイを装備することもできれば、ソナーを搭載せずソノブイだけ多数を搭載することもでき、もちろん対艦攻撃等も可能だ。

 UH-60J,一方考えてみますと航空自衛隊は現在UH-60J救難ヘリコプターを新造のUH-60Jにて置き換えているさなかです、ただ耐用年数限界となった機体は構造部分で老朽化している個所はあるのですが、ここを置き換えれば20年くらいまだ使えてしまうのです。

 U-125とともに航空自衛隊はUH-60Jを捨てているのですが、例えばU-125を陸上自衛隊の連絡偵察機に、センサーは相応のものを搭載しているのですし速度はLR-2よりも寧ろ早い、そしてUH-60Jを多用途ヘリコプターとして陸上自衛隊へ移管してくれれば、と思う。

 メーカー的には新造機のほうが、という反論があるのでしょうけれども、現実問題としてヘリコプターは現在、部隊定数に対して圧倒的に不足していますので、改修機と新造機を両方とも揃えて初めて定数割れを多少なりとも解消できる、今はそんな状況なのです。

 MH-60Rについては、給油の為に立ち寄っただけ、というところでしょうか、小牧旅客ターミナルという地方空港のような航空自衛隊の空輸輸送の待合室、その目の前で三十分ほど待機していましたらば、そのまま乗員がもどってきまして、揃って離陸してゆきました。

 G-3X、今回撮影に利用したのは超望遠ズーム性能に優れたコンパクト機種なのですが、流石に離陸に関しては撮影に一眼レフを使いました。しかし、ヘリコプターとはいえ米軍機、珍しいものを撮影出来たのだなあ、と短時間でも撮影に赴く意義を感じました次第です。

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【京都幕間旅情】N700系新幹線と清水寺!東海道新幹線京都駅新幹線駅ホームから眺める清水寺観音殿

2023-02-26 18:11:44 | コラム
■実は京都駅から見える!
 京都駅は色々な発見がある駅と云われますが見ていたもしくは見えていた筈のものについて。

 京都駅から。東海道新幹線は東へ西へと多くの街と京都を結んでいるのですが、ちょっと意外に知られていないところをおつたえしましょう。新大阪駅から京都駅へ向かう途上に京都タワーと東寺の五重塔が見えることはよく知られているのですが、ホームからはもうひとつ。

 清水寺、京都を代表する観光寺院、観光寺院というのは清水寺とゆかりある奈良の興福寺のかたのおはなしというもので、宗教に関係なく部教示員と親しんでもらえれば、という意味だというのですが、実は京都駅の新幹線ホームからは見えるのです。前の方からですが。

 鉄道警察隊の建物の方角を見ますと、朱色の清水さんはよく曇り空にも映えています。在来線のホームからはみえないのですが。もちろんこうした写真に収めるには、ちょっとした望遠ズームが必要になりますけれども、写るものだ、と撮ってみて改めておどろきました。

 新幹線と清水寺、遠望できるのは上り線の東京駅方面、それもぐっと目の前、新幹線ホームの16号車付近、新幹線の先頭車ちかくまで進んでゆかなければなりませんので、自由席を利用される方やグリーン車を利用される方には、ちょっと歩いてもらう必要がありますけれど。

 観音殿の、いわゆる清水の舞台がしっかりと見えるものでして、清水の舞台は、清水寺では拝観料を納めずとりあえず毎日観音殿を拝もうという日課の方にも、その舞台までは見えないところにあるのですけれども、この新幹線のホームからは、しっかり遠望できるのですね。

 N700系新幹線と構図を並べてみますと、ズームレンズの圧縮効果で新幹線と清水寺という写真を仕上げようと思ったものの、いやちょっと距離はあるものだなあ、と思ってしまうのですが、京都駅に新幹線へ探訪された際には、ちょっと東山を見上げれば、出会う風景です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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中国の対ロシア武器支援準備懸念-武器供与実行ならば"停戦仲介国"地位喪失,日本外交は如何にすべきか

2023-02-26 07:00:47 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 中国がロシアへ武器供与するならば日本は中国とバランスを取るべくウクライナに戦車や火砲や潜水艦など武器供与検討しますよ、と示す事でロシア側に中国製武器取得を抑制できるかもしれません。

 中国がロシアへ無人航空機などの軍事物資を供与しようとしている。アメリカ政府は様々な情報分析により、こうした懸念が高い確証とともに交渉が推進中であると発表しました。中国政府はこうした事実は無い、と反論していますが、同様の疑惑がイラン政府に対して示された際、イラン政府が否定した後、イラン製シャハド無人機がウクライナを攻撃した。

 日本政府は、これまで防衛装備品をウクライナへ供与して来ませんでしたが、今回この姿勢を最大に活かして、中国政府に対してロシアへ武器を供与しないよう代案を提示しては同でしょうか。具体的には、“日本政府はウクライナへ武器供与を行わない-中国がロシアへ武器供与を行わない限りにおいて”という明確な武器供与へのラインを提示するという。

 74式戦車などは退役がいよいよ終盤となっていますが、例えば北海道では今年から90式戦車の退役が始りますので、本州に残る数少ない74式戦車運用部隊について、退役する74式戦車とともに残る74式戦車を早期退役させ、逆に退役予定の90式戦車を延命といいますか、数年間退役を延期させ本州の最後の戦車部隊へ管理代えするという選択肢はある。

 ウクライナへ74式戦車を100両程度、といいつつ873両も生産された74式戦車からするならば僅かな数、100両程度供与したとして、ロシア軍が現在前線に投入しているT-62戦車に対してはかなりの威力を発揮しますし、ロシア軍戦車の主力を構成するT-72戦車に対して、古いものの74式戦車は十分対抗可能です。中国が武器供与しなければ日本もしない。

 中国が武器供与をしない、この事は実は日本がウクライナへ武器供与を行わない以上に意味があります、それは中国政府はウクライナから見た場合でロシア経済制裁には参加していないものの、停戦交渉の仲介を幾度か提案しています。ロシアから見れば、中国は少なくとも制裁に参加せず、ウクライナから見ればロシア武器供与しないという意味で中立だ。

 武器供与を行えば、中国はウクライナから見た場合に中立という立場を喪失します。中立国と云えばスイスが有名ですが、しかし今回ロシアは経済制裁に参加するスイスを中立国とみていません。すると停戦交渉の仲介国として中国が関与できる要するには、中国がロシアへ武器供与しない必要があり、状況を維持する事が、日本の貢献なのかもしれません。

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沖縄国民保護図上訓練の課題【1】台湾有事の拡大か南西有事先行型か-先島諸島からの全住民避難の難題

2023-02-25 20:19:07 | 国際・政治
■戦闘という危機的状況下
 2023年3月に初の沖縄県邦人保護図上訓練が行われ南西有事の際に離島地域からの住民対比に関する実施要領の検証が行われる、1月28日に産経新聞が報じました。

 南西有事に対する避難民輸送図上訓練が実施されます、これは沖縄県の離島地域からの住民避難を実施し、戦闘地域に住民を残さない、という沖縄線における反省に基づくものです。ただ、この図上演習がどの程度、軍事的知見に基づき実施されたかについて未知数となっています、思い起こせば沖縄戦でも、第32軍と沖縄県庁の連携がありませんでした。

 浮流機雷と地対空ミサイル、この二つの問題をどの程度認識しているのか、十分認識しているならば有事の際に図上演習通りの退避が実現するでしょう、しかし認識していなければ、対馬丸事件のように疎開船が被害に見舞われるという懸念が生じます。そもそも南西有事をどのような状況で想定しているのか、ここから当事者は検討しなければなりません。

 台湾有事の拡大か、それとも台湾有事に先立つ策源地確保へ南西諸島を確保するという南西有事先行型かにより、状況は異なります。どちらも回避が望ましいのですが、台湾有事は中台関係、日本が介入せずに起こらないよう抑止する方法がありません。ここで前述した浮流機雷の脅威ですが、台湾有事の拡大という想定で、最も検討しなければなりません。

 浮流機雷、これは事故です。浮遊機雷という自由に遊弋し目標を狙う機雷はありますが、当然無差別攻撃、漂う機雷は交戦国も非交戦国も人道輸送船さえ触れれば撃沈する、こうした仕組みですので、国際法上厳しく制限され、浮遊機雷については敷設後短時間で機能停止するよう厳しく制限があります、しかし、浮流機雷は事故により発生する危険物です。

 係維機雷という、浮力を持つ機械水雷を海底の係留装置から係維索により任意の深度に設置する機雷があります、国際法上敷設することは戦闘行為に当たるのですが、軍事行動の一環としては交戦国同士が用いることのできる通常兵器です。機械水雷は多くの場合、硫酸アンプルを用いた激発装置を仕込んだ複数突起を備え、船に触れればアンプルが割れる。

 硫酸アンプルが割れることで流れ出した硫酸が周りを包む亜鉛版と銅板に触れ、つまり18世紀から存在するボルタ電池の方式で電気を発生させ、その電流が信管を作動させるというもの。機雷というものはボルタ電池が発明された少し後に開発されています。構造が簡単であるために、同じ程度の大きさの洗濯機とあまり違わない費用で製造できるのが強み。

 機雷は最も費用対効果の高い装備といわれていますが、実際に湾岸戦争においてアメリカ海軍に被害を与えたのはイラク軍が装備した対艦ミサイルでもミサイル艇でもなく、事前に敷設した機雷です。ミサイルは一発数百万ドルの費用を要しますが、機雷は最も構造が簡単な係維機雷の場合は数百ドルでも製造でき、多用されます。ただ多用される分掃海も。

 掃海艇が曳航式掃海器具を引っ張り、機雷をつないでいる索を切ってしまい、浮上した機雷本体を機関砲で射撃し破壊する、もっとも単純な機雷掃海方法です。もちろん、船舶を感知し始めて目標に向かい浮上する浮上機雷や魚雷を内蔵して船舶を検知し魚雷を打ち込むキャプチャー機雷、磁気に反応爆発する磁気機雷や音を感知する音響機雷等もあります。

 浮流機雷は、この係維機雷を処分した際に浮上した機雷が海流に流れ出すもので、また間の悪いことに台湾近海の海流はすべて日本列島のほうへ流れているのです。こうしたものが先ず流れ着くのは沖縄県の南部、つまり今回住民避難が想定されている地域なのですね。もちろん浮いているものですので、海面からも見えるもの、よけることは可能なのですが。

 音響機雷や磁気機雷が開発されている中で、係維機雷に意味があるのか、と問われますと係維機雷は、しかし圧倒的安さというものが利点に挙げられます。台湾有事を想定する場合は、中国軍が30万発ともいわれる機雷、何しろ機雷は温度管理さえしっかり継続しますと半世紀程度は倉庫で備蓄できる、台湾も台湾本島防衛のために多数を備蓄しています。

 国民保護のための避難には民間船舶を用いることが第一です、たた、運航計画を十分に取り、民間船といえども浮流機雷への注意というものを想定し、またフェリーには機雷を探知するレーダーは搭載されていませんので、夜間航行を行う際には特に留意事項となります。ただ、浮いているから触れれば爆発するので、目視で確認できるのが浮流機雷という。

 民間フェリーにも台湾有事の際に、平時の訓練では問題なく参加しているが、有事の際には危険なので避難輸送を行わない、という、過去のイランイラク戦争における日航機邦人輸送拒否のような問題が生じないように対策を行う必要があります。そして、どの時点で輸送停止を決断するのか、要件についても輸送計画に内密でも検討しておくべきでしょう。

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【京都発幕間旅情】N800系電車で千葉中央へ!津田沼から京成電鉄乗入れで千葉を結ぶ新京成電鉄

2023-02-25 14:10:33 | コラム
■新京成電鉄の旅路
 全て六両編成という考えてみると叡電の延長線上のような印象で観ていた新京成電鉄はなかなか大都市の近郊輸送を担う電鉄だと認識を改めました。

 N800系電車の到着、2005年に新京成電鉄が運用を開始した車両で、初めて新京成電鉄を利用した当時は旧塗装という昔の肌色と海老茶色の塗装が基本でしたが、この車両の導入とともに新塗装への置き変わりが始まり、気づけばもう新塗装ではなく現塗装と呼ぶ。

 N700系新幹線電車にはよくといいますか多忙な今月は毎週のようにお世話になるのですけれどもN800系については、なかなか利用する機会がなく、しかしこの車両から京成本線乗り入れ運用を念頭としたといいますので、習志野から千葉へ移動する際は重宝しています。

 新京成電鉄は京成津田沼駅と松戸駅の27㎞を結ぶ私鉄線です、スカイライナーで知られる京成電鉄の完全子会社となっていますが沿線24駅の周辺開発にも臨み、しかも地方私鉄とはいえ東京近郊路線であることからラッシュ時には5分間隔の高頻度運行を行う。

 京成津田沼駅からいまは京成電鉄の乗り入れていて、千葉中央駅まで直接行くことができる。元々は帝国陸軍鉄道連隊の松戸連隊演習線という、軍需輸送が拠点貨物駅から第一線の段列地域までの末端輸送を臨時敷設した軽便鉄道に依存していた時代のなごり。

 陸軍鉄道連隊の線路をそのまま利用していたのか、といいますとそうではなく、戦時中はその鉄道資材を別の第一線輸送へ転用していた事例が多いため、用地だけはそのまま、しかし戦前は地域住民無料輸送も行っていた関係で戦後に路線を再整備できた歴史が。

 新京阪電鉄の更新というべき阪急京都線はよくお世話になるものの、千葉にはあまり縁のない当方としましては新京成電鉄も利用することは少ないのですけれども習志野空挺団、個人的にはこの習志野駐屯地の関連行事の際にお世話になる、という印象の路線です。
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ウクライナ戦闘機供与非公式多国間協議開始-オランダフックストラ外相発言,二年目迎えたロシアウクライナ戦争

2023-02-25 07:01:44 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 F-15戦闘機があれば相手のSu-27戦闘機を排除出来うるしF-16戦闘機があれば敵地対空ミサイルを制圧し近接航空支援が可能となるかもしれない。

 オランダのフックストラ外務大臣は、ウクライナ軍事支援に関する大きな進展として、戦闘機供与へ非公式協議が複数の国で開始されていると発言、CNNが報道しました。ウクライナ支援、大きな分水嶺を超えるかもしれません、こういいますのもウクライナの戦場は空軍が殆ど参加しない、21世紀としては、いや20世紀と比べても奇妙な戦場なのです。

 空軍が参加しない、空軍が払底した訳ではありません、ウクライナ空軍は大きな損害を受けつつ温存されている戦力がありますし、ロシア航空宇宙軍は若干の損害を受けつつ、投入されていない為にほぼ無傷で、空軍が投入されていない背景には互いに強力なソ連製S-300地対空ミサイルを装備しており、戦闘機を飛ばせず低空を攻撃機が若干飛ぶのみ。

 F-16戦闘機かユーロファイタータイフーンか、戦闘機というくくりではなく保管状態のものが有ればトーネード攻撃機かジャギュア攻撃機か、練習機だと強調して軽攻撃機ともなるアルファジェット練習機か、どの機種を想定しているのかは未知数ですが、F-16やユーロファイターが供与されるならば、近接航空支援や防空制圧任務で戦況を一転させ得る。

 Su-27戦闘機など多数を保有するロシア航空宇宙軍はF-16戦闘機が相手であれば、戦闘機対戦闘機の航空戦闘ではF-16に対しては一定の優位性を持てるのかもしれませんが、現状ロシアはS-300地対空ミサイルを制圧する防空制圧任務を展開出来ず、双方が同じ状況にある。F-16には防空制圧能力があり、つまりこの状況を一転させ、空軍を使えることに。

 禁忌はもはや存在しない。戦闘機供与はこれまで戦争を拡大させるのみという、これはNATO諸国の一方的と云える、思い込みがあったかもしれません。ただ、戦争を拡大させる懸念に配慮しても、戦争の長期化という問題は現実となり、一年を超え、ロシア軍ウクライナ侵攻に伴う戦争は二年目となりました。更なる長期化を防ぐ視座が求められている。

 戦闘機供与は長期化を防ぐための決定的な一打として考えられているもの、何れ議論が開始される事だったのでしょうが、フックストラ外相発言は、先ず非公式という形で、しかし前進した事を意味します。問題は、戦闘機の機種転換には一定の時間を要する為、決定したとしても開始されるまでに数カ月が必要となる点、しかしその議論ははじまりました。

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