北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

アメリカ空軍:E-3早期警戒管制機後継にE-7早期警戒機導入へ,航空自衛隊E-767後継機選定へ重大な影響

2022-04-30 20:05:07 | 先端軍事テクノロジー
■現代航空戦必須のAWACS
 AWACS空中早期警戒管制機はその有無だけで現代の航空戦闘における勝敗が決定的に左右されるといっても過言でない程に重要な航空機です。

 アメリカ空軍はE-3早期警戒管制機の後継としてオーストラリアや韓国、トルコ、そして続いて近年イギリスも採用したE-7Aウェッジテイル早期警戒機の採用方針を固めました。E-3早期警戒管制機はこの種の機体の草分け的存在で、航空戦には必須、APY-2レーダーを中心とした警戒管制システムは毎年膨大な費用を投じて能力向上をすすめています。

 E-3は優れた機体ではあるのですが、原型となったボーイングC135シリーズは老朽化が進んでおり、その旅客機型であるボーイング707は既に国際航空路線に姿はありません。NATOやフランス空軍、サウジアラビアでは運用が継続しているのですが、イギリスのE-3はE-7に既に置き換えられています。いよいよアメリカでも転換期が来るのでしょう。

 しかし問題があります、E-3後継機が明確となったということは、同時に搭載するAPY-2レーダーの寿命も、アメリカ主導の能力向上プログラム終了という形で明確になるわけです、するとこれはNATOのE-3も先が見えてきたこととなるのですが、機体は違えども、航空自衛隊が運用しているE-767早期警戒管制機もおなじAPY-2を採用しているのです。

 E-7A早期警戒機はボーイング737AEW&Cとして2004年に開発されました、かつてのE-10用技術の流れをくむMESA多機能電子走査アレイレーダーを搭載している早期警戒機です。早期警戒管制機といえば巨大な回転式のAPY-2レーダーを搭載したE-3セントリーや自衛隊のE-767早期警戒管制機が有名ですが、小型であるものの新型の早期警戒機だ。

 オーストラリア空軍が最初に採用、続き韓国空軍やトルコ空軍が採用しています。機体そのものはボーイング737ー700を原形として居るもので元々はAWACS早期警戒管制機として開発されたものではなく、ビジネスジェット機や小型旅客機の早期警戒機型用に開発されたAPS-145レーダーをボーイング737ー700に搭載するという視点ではじまります。

 APS-145はE-2C早期警戒機に採用されているレーダーで麻薬取り締まり任務などにこのレーダーを空母艦載機であるE-2Cよりも機内に余裕のあるP-3C哨戒機やC-130輸送機へ搭載する施策がありましたが、新たに早期警戒機導入の構想がありましたオーストラリア空軍が関心を示し、しかしより高度なレーダーの搭載が求められ、MESAが採用された。

 E-10多機能指揮機、アメリカ空軍はE-3早期警戒管制機の後継としてE-10を開発していた、非常に野心的な航空機で派生型にE-8ジョイントスター戦場監視航空機やRC-135電子偵察機の後継を一手に担う構想で進められています。ただ、2007年、折しもイラク戦争とアフガン、テロとの戦いの戦費嵩む時代に開発費高騰を理由に開発中止となりました。

 ボーイング767-400ER、このE-10はワイドボディ型旅客機であるボーイング767系統の機体に、回転式レーダーではなく機体の胴体下部に巨大なカヌー型AESAレーダーアンテナを装着していた点が特色で、戦場監視型がE-10A,そしてAWACS型がE-10B,電子偵察型がE-10Cとなる計画、500km以遠の索敵追尾能力と識別能力の付与が想定されています。

 E-3早期警戒管制機の後継には、このE-10が再開発されるまでは至らなくとも、もう少し大型の、少なくともナローボディの737系統よりは大型の機体が採用されるものと考えていました、何故ならばE-3の原型であるボーイング707/C137シリーズの機体容量の少なさが問題視されており、ボーイング737はこの707よりもふた周り小型であったためです。

 アメリカは将来発展性を考慮し大型の機体を好む、これは米英共同開発のセンチネルR1電子偵察機において指摘されたことでした。センチネルR1はRC-135電子偵察機やEP-3電子偵察機の後継となる情報収集機をイギリスとアメリカで共同開発する計画で、その原型機は北米カナダのボンバルディア社製大型ビジネスジェットが採用されました。しかし。

 ASTOR計画として開始された共同開発は、ボンバルディア社製グローバルエクスプレスビジネスジェット機を採用することが米英で合意したにもかかわらず、アメリカ側はこの規模の機体では将来発展性に限界があるとして採用を見送り、結果的にイギリスのみが開発費の残りと正式配備の負担継続を行っています、その費用面での負担は並みならぬものが。

 センチネルR1電子偵察機は2021年2月にラストフライトを実施しイギリス空軍での運用を終了しました、イギリスでは2005年に完成しました、初度作戦能力獲得は2008年ですので、13年間は現役にあったのですが、この種の航空機として短命に終わったのは、アメリカが採用せず能力維持改修費用をイギリスだけでは捻出し続けられなかった為といえる。

 E-2D,さて航空自衛隊は早期警戒機の南西方面への増強の必要性から新しくE-2Dを導入開始します。これは、現在E-2C早期警戒機とE-767早期警戒管制機という二機種の装備体系に加えて、E-2CとE-2Dでは別物という三機種の装備体系に移行しようとしている構図なのですが、E-2Dとともに候補に考えられたのがオーストラリアも使うE-7Aでした。

 E-2Dが採用された背景にはE-2Cと整備設備が同程度で、加えて機体規模も同じ空母艦載機である関係上、那覇基地や三沢基地の格納庫を応用できるという強みがある一方、難点として艦載機であるために機内容積は狭く、極論すればトイレにさえ行けないという狭さがあり、性能上空中給油は受けられますが、連続飛行には乗員の面で限度があるのです。

 E-7Aが避けられた背景の一つに考えられるのが、アメリカが採用していないため、R1センチネルのように、近代化改修プログラムの費用が割高になるという問題だったのですが、ここでE-7Aをアメリカが採用する方針を示した、これほど小型の機体を選ぶというのはある種驚きでしたし、整備補給面でもアメリカ空軍で737型はそれほど運用されていません。

 近い将来の自衛隊のE-767後継機にはどう影響するのか。APY-2レーダーの運用はアメリカでもいま暫くは継続するのでしょうが、先は見えています。そして後継機は一朝一夕に決定できるものではありません、特に自衛隊ではボーイング737系統の運用実績はなく、エンジンからして初期型は別として特に700シリーズには該当する機体はありません。

 E-767後継機に、まさかE-2Dを当てるわけには参りません、ストレスは限界があり乗っているのは同じ人間、交代要員区画に簡易食堂と交代者用仮眠寝台のあるE-767は空中給油を受け連続して24時間飛行することは可能ですが、E-2Dに簡易便座装着で座席仮眠のまま12時間連続任務をおこない、その環境で同じ集中力を維持するのは土台無理なのです。

 アメリカは空中給油機に767系統のKC-45を採用しましたので、E-3早期警戒管制機後継機についても767系統のものを採用するのではないか、737のような小型の機体は半世紀単位で運用する早期警戒管制機としては避けるはずだ、こうした考えもあったのですが、自衛隊がE-7AではなくE-2Dを採用したことは、実のところ拙速だったのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-津,伊勢湾臨む三重の近鉄駅前は津名物"炭焼うなぎ"が賑わう

2022-04-30 18:28:58 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 榛名さんの総監部グルメ日誌というには連隊と航空学校が置かれているのみの三重県ですが美味しい話題を。

 COVID-19,こんな時代だからこそ自由に店に出入りするよりは閑散している時間帯を縫うように、しかし遠出したからには味覚と云うものを愉しみたい、すると一点集中と云う訳ではありませんが、これぞ、という美味いものを頂きたいものです。すると何を狙うのか。

 伊勢湾といえば伊勢湾展示訓練をおもいだすところですが、この伊勢湾で展示訓練を最後に行いましたのは2010年、あのころ中学生だったこどもは既に社会人というわけでして、ここに艦隊がもどってくる平和な時代はいつなのだろう、と思い出す次第なのですが。

 三重県を踏破する近鉄本線、かつては名阪ノンストップ特急として近鉄特急がどこに停車せず疾走していたものの、乗り間違えると大変ということでしょうか、津にも停車するようになりましてなにかこう街中が活気を取り戻したように見えるのは気のせいではない。

 津駅、近鉄の場合はかっこうよく津と表示しますが隣接するJRでは平仮名で"つ"と表示してしまいますので、なんとなくかわいらしい印象を受けてしまう。そして近鉄特急を撮影していましたらば、なにかこう、かきたてるようなよい香り。これは津市の名物らしい。

 うなぎ。環境保護の観点からは乱獲により激減しているという実情はしっていますし、食べて保護するという業者の言い分にも無理は感じるものなのですが、結局は食文化と持続性というものを考えて、一切れ一切れ、いまを頂いてゆくほかないのだよなあともねがう。

 名物に旨いものなんとやら、こういう言葉はあるのですが、しかし駅前で堂々と威容を誇っている名物については相応に理由があります、それは駅前という一等地、地価も賃料それなりに張るところですので、覚悟がいる、そこで古くからがんばっているとなると。

 うなぎ。昔はというの北大路機関ができた頃には普通に北大路ビブレで中国製ウナギが一尾398円とかで売られていまして、北大路機関史料編纂では手軽にいただけるということで美味しく頂いていたものですが、それ今や昔、しかし、それにしてもこれはお手頃だ。

 店内は、COVID-19の時代故にここまで閑散としているのか、そうおもい時計を見ますと、いやいや普通に昼食時を逃しているだけではないかとちょっと安堵するところですけれども、もうひとり紳士が清酒と蒲焼きという、日本文化と伝統を明日に伝える昼酒を嗜む。

 二枚、昼時ですので津市名物に敬意をということで気軽に入店しました、ゆえの軽い気持ちなのですが、それにしてもこれ、美味しいですねえ。蒸してから焼くよりもそのまま炭火で焼いたほうが、これは個人的に好きです、薫り高く旨みのほうもしっかり内部化する。

 鰻丼、考えてみると日本の失われた昭和の活力は、こうしたスタミナがそれほど手の届かないところにはなく、これがあったからこそいまの労基法が真っ青な働き方があり、そして上下関係もこうしたものを部下に気前よく振る舞えたことがその根源だったのやも。

 丼の最後にご飯を頂くか一部の鰻を温存しておくか、これも食べながら考えるもの。それにしても名物というものですが、現実的かどうかは別の話としましても、これならば食べ飽きることはない、そしてまた来ようという気分になるものです。いやはや美味しかった。

 近鉄津駅の駅前には駅前名物があります、ふとたたずんでいるもので、価格帯はラーメンやカツ丼よりは少しだけ上ですけれども、しかしいまや満足感というのはかなりと大きい、近鉄特急に乗車される方、津駅に停車の祭に、ふと降りるか考えたくなる、そんな名物なのですよ。

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ロシア-ウクライナ支援のポーランドとルーマニアへの天然ガス供給停止,懸念されるNATOとの対立への一線

2022-04-30 07:01:33 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 日本もロシアからの天然資源には一定程度の依存度が在るのですがロシアは過去繰り返し政治と掲示は別であると主張してきました、その一線が東欧で越えられたもよう。

 天然ガス供給停止。これまでロシアは欧州のほぼ全域へ天然ガスを供給していたガスパイプラインを、ロシア経済制裁への報復として停止させるのではないかとの懸念がありましたが、これまでロシアの天然ガスは安価であるとともに政治的理由では切断されないという、いわば経済安全神話への一線とされていました、この一戦が越えられた事態といえる。

 ポーランドとルーマニアへの天然ガス供給が停止される、これはロシアの資源最大手ガスプロム社が、ロシア政府が要求している支払いのルーブル変更への契約切り替え要求に追う以内として、ウクライナと国境を隣接させているポーランドとルーマニアへの天然ガス供給停止を発表したのでした。両国の化石燃料におけるロシアへの依存度は高いものです。

 EU欧州連合は、しかし毅然として対応する方針です。具体的には欧州全域への天然ガス供給は継続している為、ドイツなど供給継続地域から、今回停止されたポーランドとルーマニアへ融通する方針です。ただ、今後はドイツなどへの供給停止の可能性も否定できない為、欧州への天然ガス供給を経済の主軸においたロシアは、明らかに一線を超えた構図だ。

 ロシアが次はどこで一線を超えるのか、この視点についてウクライナに侵攻した以上は国際法上の分別などはなのではないかとの危惧もあるようですが、しかし杞憂と云える部分もあるのかもしれません、例えばロシア軍の行動として懸念されたのが、ウクライナ国内へのNATO輸送機への攻撃、海底インターネットケーブルへの深海潜水艇による攻撃等が挙げられた。

 一線、NATO機への攻撃は慎重に避けられていますし、海底ケーブル網への攻撃の危険などは侵攻から二週間程度の後、ロシア軍がウクライナでの攻撃を停滞させている時期に、ロシア軍には原子力推進を含め深海潜水艇が多数あり、これらが世界の情報通信を司る海底ケーブル網を攻撃するのではないかとの懸念が一部識者により指摘されていました。

 海底ケーブルへの攻撃は、トンガ海底火山噴火での通信ケーブル破損が大きく報道されていた為に、これに着想しての識者による視点なのかもしれませんが、確実に武力攻撃とみなされる行動でもあります。開戦から二カ月以上、しかしロシア軍はこれら、ウクライナ以外の国を攻撃し戦線を拡大する選択肢は厳重に避けている、現段階では分別はあるようです。

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極超音速滑空兵器を迎撃せよ!防衛省のレールガン開発とアメリカのクロスドメイン指揮統制

2022-04-29 20:13:26 | 先端軍事テクノロジー
■二〇三〇年代の新たな脅威!
 技術開発には膨大な予算を必要とする為に方向性が的外れなのかどうかという所は大きな関心事です。そこで今回は日米の二つの取り組みをみてみましょう。

 極超音速滑空兵器、これは21世紀の、いや2030年代の現実的に大きな軍事的脅威となります。極超音速に対しては理論上光速まで加速し得るレールガンが最適、こうした認識のもとで防衛省は実用レールガンを開発開始、中国とアメリカはレールガン実用砲を開発し、アメリカは実用化断念しました。アメリカは意外な方法での迎撃を検討しているようです。

 日本のレールガン開発は、すると一周遅れの時代錯誤なのでしょうか、そこで今回はレールガン開発とアメリカがレールガン以外の方法での極超音速滑空兵器迎撃を目指すクロスドメインデータリンクやスターリンク衛星計画というものを見てみましょう。実のところ、日本もアメリカも方法は違うのですが、得意分野や現実的なアプローチを図っているよう。

 アメリカ陸軍はクロスドメイン指揮統制に基づくERCA拡張型砲兵兵器システムの射撃試験を実施しました。従来、音速の十倍という速度と不規則軌道を描き長距離攻撃を行う極超音速滑空兵器の迎撃には電磁方式により天文学的初速により弾薬を投射するレールガンによる直接射撃が必要と考えられていましたが、当れば通常の野砲でも撃墜可能です。

 M-1299-ERCA自走榴弾砲はこの試験に参加しています。M-1299-ERCAは58口径の長砲身155mm榴弾砲と、追加搭載される自動装填装置により31発の砲弾を搭載し毎分10発の射撃が可能となります、ただ車体基部がM-109A7自走榴弾砲の改良型である為に自動装填装置は現在の車体には搭載出来ず、将来的には主砲システムのみ別の車両に搭載する。

 DEVCOM-AC陸軍戦闘兵器能力開発司令部では、極超音速兵器の迎撃には精密な弾道計算が必要としており、今回の試験では砲弾にBSIM精密弾道シミュレータ技術構成要素の計測装置を搭載しています。技術が完成すれば極超音速滑空兵器が如何に高速でも、暴走オートバイに立ちはだかるカラーコーンの役割を担い、相手の運動エネルギーで破壊します。

 アメリカ軍は近年増す極超音速滑空兵器の早期探知へ172基の低軌道監視衛星を展開させる構想です。これはスターリング衛星という一つの打ち上げロケットから数十機の小型人工衛星を低軌道に投入する新技術を用い、144基の追跡衛星と28基の監視衛星を数基のロケットにより展開させ、極超音速兵器が大気圏内の摩擦熱で発する特性を識別するもの。

 クロスドメイン指揮統制といい、アメリカでは極超音速滑空兵器迎撃に初速の高いレールガン投入を構想し開発していましたが、早期探知さえできるならば、極超音速滑空兵器は機動が読めれば多数が既に配備されるごく普通155mm野砲の誘導砲弾であっても進路上に展開させ迎撃可能と方針転換しています、この為に早期探知が必要とされていました。

 弾道ミサイルよりも低高度を飛翔するとともに大気との摩擦熱で特徴的な赤外線を大量に発し、小型衛星からの探知は可能です。衛星同士はレーザーデータ通信を実施し、コンマ秒単位で目標情報を伝送し、これを一瞬の間も置かず野砲弾にて超音速滑空兵器の進路上に障害として展開させる、クロスドメイン指揮統制を実現する為の大量衛星と云う事です。

 防衛省は極超音速兵器迎撃を主眼にレールガン開発を本格化させる方針で来年度予算へ65億円の開発費を盛り込むとのこと。防衛省は防衛庁時代から高射機関砲の後継としてレールガン研究を行っており、1980年代後期からアルミペレットを投射する研究を行っていますが、基本的に攻撃ヘリコプター等を迎撃する35mm高射機関砲の後継が主眼でした。

 防衛装備庁では2010年代にレールガン試作砲により2000m/sという戦車砲弾を上回る初速を実現しています、極超音速兵器迎撃には発見と同時に初速の早いレールガンにより素早く叩き落とす必要がありますが、この研究で先行していたアメリカ海軍では射程200kmを示しつつ、電源確保等の問題から従来砲を用いるクロスドメイン防衛に転換しています。

 アメリカでは野砲をスターリング衛星によるデータリンクにより極超音速滑空弾を早期探知し迎撃する指針に転換していますが、アメリカでは艦船の発電能力かレールガンを難しくした事とは対照的に、日本の場合は野砲ではなく専守防衛の特性上地上に置き、レールガンが必要とする大量の電力を発電施設から有線式により取得するという運用が可能です。

 日本は宇宙開発分野で大きな遅れが在ります、それはアメリカでいうアポロ計画のような熱狂が裾野分野を大きく広げて産業化させた様な、宇宙にロケットを上げるならば採算度外視でも予算が集まる、こうした期間はバブル期に終わっており、例えば日本の宇宙産業も予算を考えるならばスタンダードSM-3製造や滑空兵器開発の参画する以外活路が無い。

 スターリンク衛星のような迅速に宇宙へ監視体制を打ち上げる技術も施設も、そもそも宇宙産業そのものが小規模すぎます。しかし、レールガンでしたらば得意分野と云う訳ではありませんが、基礎研究も古く高度磁石や電源技術にもまだ世界水準のものがあります、するとレールガンもスターリンク衛星も、日米が得意技術で課題に臨む、こうした姿勢が見えてくるのですね。

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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-舞鶴,戦後自衛隊の文化は上陸ビールを中舞鶴で嗜む

2022-04-29 14:19:19 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 舞鶴を探訪するならば上陸ビールという戦後自衛隊の文化も堪能して欲しい、喩え見学の乗艦であっても上陸なのですからね。

 舞鶴基地、本日は舞鶴グリーンフェスタが行われている所なのですけれども、舞鶴まで歩み伸ばしたならば、是非とも海軍の伝統と云いますか寧ろこれは海上自衛隊の伝統と云うべきか、味わってほしいものですよね。それは基地の街の文化ともいえるかもしれない。

 中舞鶴、舞鶴基地を舞鶴地方総監部の横を国道27号線に沿って400mほど進みますと、いや400mといっても北吸岸壁の長さに比べれば微々たるものですよ、すると昔ながらの喫茶店のようなお店が見えてくるのです、コーヒー和光、なにか時計店や埼玉の地名のよう。

 喫茶店なのですが、中高生お断りとありますので、まあ珈琲以外に大人の飲み物も供するお店なのですよ、という。雰囲気は入りずらいという方もいるにはいるようなのですけれども、入ってしまえば落ち着いた店内と空調に寧ろ落着きというものでして、さてさて。

 レスカ。いやアメリカ海軍は長らく艦内禁酒の内規がある為に、コカコーラかペプシコーラを艦内で呷ってビールの代替としているという悲しい歴史があるので、日本は上陸してもレスカ、レモンスカッシュだ、という訳ではありません、まずは水分を摂らないと、ね。

 海上自衛隊は艦内禁酒だ、旧海軍では酒保で買えたのに今の時代はパソコンのwordも酒保を変換できない時代です、すると上陸ビールという、新しい言葉が生まれるのですね、要するに艦隊勤務を終えて上陸の際に一杯やる、という。もう春夏秋冬関係なくビールです。

 旭日輝くアサヒビール。ここ、喫茶店なのですが生ビールを頂けるのですよね。喫茶店といいますか、パブのような雰囲気、いやここは珈琲を頂くのはお酒が苦手な方、という印象なのでしょうか、まずカウンターに落ち着き、そして周りの方に挨拶しつつたしなむ。

 上陸ビール、飲み方は名刺代わりというところでしょうか、打ち解ける最初の仕草というところです、此処は舞鶴、海軍の街であり造船の街であり自衛隊の街、ふとした会話もいろいろと勉強になるものでして、そしてなによりここ府下一番の暑さ、ビールが心地よい。

 舞鶴という街は海軍の街ですので入港し上陸ビールを嗜む方は多いですし、造船の街ですので仕事上がりのビールも多いのでしょう、そういった意味で初めてのお客人にも馴染みやすい雰囲気がありまして、ここは京都でも湊町なのだなあ、と気分を味わえるでしょう。

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プーチン大統領-作戦干渉ならば電撃的対応,現実味帯びるウクライナ有事拡大と対ロシア反撃能力行使の是非

2022-04-29 07:00:44 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ウクライナ有事がそのまま日本の周辺事態となる懸念を真剣に検討し法整備を行った方が良いのではないか。

 ロシア軍のウクライナ侵攻が周辺国に飛び火した場合、隣国には複数のNATO加盟国がりますが、欧州地域での大規模紛争となった場合、日本はどのような対応を迫られるのでしょうか。日米防衛協力が進む現状、ウクライナ有事を遠い東欧の事態であるとの認識が多いようですが、侵略しているのはロシアでありロシアは隣国であるとの認識が必要です。

 日米防衛協力の視点から考えておかねばならない視点は、第一に太平洋正面へ戦火が拡大する懸念、第二に在日米軍が欧州正面へ転用される際の抑止力低下という可能性、この二つです。太平洋正面とは、在日米軍基地が攻撃される事態と米艦防護任務の際の不測事態という可能性で、特に三沢基地や車力分屯基地など、ロシアに近い日米共同施設がある。

 反撃能力、政府はこれから従来の敵基地攻撃能力を反撃能力と転換するようですがこの論理は北朝鮮のミサイル脅威などを念頭としていました、しかし、例えば三沢基地などにカリブル巡航ミサイルが撃ち込まれた場合、ウラジオストクの太平洋艦隊司令部や水上戦闘艦、ハバロフスクの指揮中枢等に対し、行使の余地があるのかは、法整備を急ぐべきです。

 プーチン大統領は27日、作戦干渉ならば電撃的対応を行う、日本を含む欧米のウクライナ支援とロシア経済制裁に対して、こうした恣意的な発言を行いました。電撃的事態が何を示すのかは不明ですが、ロシア軍のウクライナ侵攻が周辺国に飛び火した場合という視点は最早想定外で済まされるものではありません、更にプーチン大統領の発言はこう続いた。

 ロシアはソ連が崩壊した後にも最強の核保有国の一つである、こう発言している事を、電撃的対応には核兵器による恫喝、恫喝には当然投射も含め選択肢に含まれているのではないかという懸念が生じる訳です。ただ、いきなり戦略核を投射し全面核戦争の戦端を切るという可能性は低いのでしょうが、経済制裁は国際法上武力行使に含まれるのが現実です。

 電撃的対応を行うとして、やはり懸念するのは、ロシア側が定義した上での僅かな攻撃、反撃を意図せずNATOに対して僅かな軍事攻撃、例えばミサイル数十発による飽和攻撃、こうしたものがNATOとの全面戦争に展開する可能性も否定できません。この点、日本は恒久法整備は曖昧であり、想定外を塞ぐ法整備を進めなければ、不測の事態はありえます。

 ウクライナ有事の周辺事態への拡大と自衛隊法の関係ですが、例えば現行法での反撃能力、元々は策源地攻撃能力として日本国内へ脅威を及ぼすミサイル施設などに対する攻撃能力を、分り易く敵基地攻撃能力と示したものが、逆に先制攻撃を意図するとの誤解を回避する為に反撃能力と言い換える検討が進められているのですが、当初の展望と相違が。

 北朝鮮ミサイル部隊等に対する反撃能力等が考えられていたのですが、特措法でも無く法整備は曖昧に対象国を示していない為、法整備が行われるならば、ロシア軍が日米共用機地に対して攻撃を行った際に、例えばの表現と前置きしたうえで、三沢基地の米軍F-16戦闘機と共に自衛隊のF-35戦闘機が“反撃能力を行使”する事も法的に可能となります。

 周辺事態へ拡大する可能性は、今のところ低いのですが、今年二月中旬までは多くの方の視点で、ロシア軍がウクライナ全土へ全面侵攻する可能性を高いとは考えていませんでした。また、ロシア軍がモルドバ侵攻の可能性を示唆し、そして偽旗作戦ととれる挑発行為を受け、在欧米軍などはポーランドに加えルーマニアへ展開を開始、先が読めないのです。

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令和四年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.04.29-2022.04.30)

2022-04-28 20:01:44 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 みなさんはもうゴールデンウィーク連休の準備は御済でしょうかな。

 今週末からはゴールデンウィーク、自衛隊行事も目白押しだ、と云いたいところですが、自由に一般公開されますのは明日29日開催の“舞鶴グリーンフェスタ2022”のみとなっています。明日の舞鶴は、天候が微妙そうなのですが雨天決行となっていまして、カレーが美味しい一日か。日本海側の天候は変りやすい、という点は留意点なのかもしれません。

 舞鶴グリーンフェスタ2022は例年真夏に行われていました舞鶴サマーフェスタが府下一酷暑という余りの猛暑を前に前倒しとなりました行事で、岸壁一般公開として護衛艦やミサイル艇などを間近に見られる行事です、ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが母港であり、イージス艦みょうこう、あたご母港です。なお、護衛艦せんだい、現在知床へ災害派遣中だ。

 舞鶴地方隊創設70周年記念行事として行われるグリーンフェスタは、時間が0930時から1530時まで、最終入場は1500時までとなっています。また入場に際しては舞鶴地方隊HPより新型コロナ対策の“入場申込書”を入手し記載し入場するとのこと。これまでは感染対策の観点から事前応募行事ばかりでしたが、今回は申込書を現地で提出し入場できます。

 さて。COVID-19感染第七波について、政府分科会は間もなく始まる大型連休ゴールデンウィークののちに爆発的感染拡大が起きた場合への対策として、特に医療逼迫時の対応を四通り対処法があることを示しました。COVID0-19感染が始まってから2020年と2021年のゴールデンウィークは感染対策が求められ、三年ぶりの通常ゴールデンウィークが始ります。

 医療逼迫が起こった場合の一つの選択肢は“行動制限を行う・特定の医療機関で診療”というまん延防止等重点措置などの施策を執り行う、これまでのコロナ対策における医療機関逼迫を踏襲する方策が示されています。もう一つは“行動制限を行う・可能な限り地域の医療機関で診療する”という従来と異なり一般病院などの医療機関を活用するという。

 まん延防止等重点措置などの施策についてもう一つ“社会経済活動の制限を行わず・特定の医療機関で診療”というもの。そして“社会経済活動の制限を行わず・可能な限り地域の医療機関で診療する”、以上四通りが検討されることとなりました。感染力は極めて高い一方、重症化率は0.04%程度まで低下しているといい、政治には難しい判断となります。

 指定感染症五類指定は見送りとなっていますが、これは従来の季節性感染症よりも依然として重症化率は高く、特に指定感染症五類となった場合にはECMO体外人工肺装置などは保険適用外診療とした場合に非常に高額な医療費が課題となり、また指定感染症五類指定に対する民間医療保険制度はCOVID-19に対応する特約がまだ十分整備されていません。

 指定感染症二類指定相当となっている現状、民間医療保険制度にCOVID-19に対応する特約がまだ十分整備されていない背景には、濃厚接触者外出自粛要請、入院勧告、就業制限、無症状者への適用、移動制限、こうしたものが現在全て適用される一方、入院勧告が在る通り強制措置に違い施策については逆に医療費の公的担保があるためという事情がある。

 五類相当となった場合に、濃厚接触者外出自粛要請、入院勧告、就業制限、無症状者への適用、移動制限、これらの規制が全て解除される事となりますが、入院勧告の解除は同時に医療費は勿論、検査費用もすべて自己負担となり、これは社会全体の負担となる懸念、そして規制を緩和した韓国での爆発的感染という現実を見た場合は余程の覚悟が必要です。

 規制解除後の感染拡大、韓国の事例を見ますと日本よりも遥かに人口の少ない韓国で日本のピーク時の五倍以上の感染が数週間継続するという極めて緊迫した状況となりました。仮に濃厚接触者への対応等を全て終了した場合には、日本での一日当たりの感染者数が容易に毎日50万や100万近い水準で推移する可能性があり、実際に韓国はその数字でした。

 再拡大は、中国でも上海での再拡大により一日当たりの死者数が50名を超えるという、上海だけで日本全体の死者数と同じ死者数となり、岩石で年を物理閉鎖する厳格なロックダウンさえ行った中国でも、再拡大となれば危殆すべき状況となることを示唆しており、社会としてその犠牲を受け入れられるのかについて、まだ主権者の明確な姿勢はありません。

 理想としては、総選挙などに“現在の指定感染症二類相当による封じ込め”を行い“感染者数を数千から数万程度と死者数を数十名から務めて百前後に抑える”か、“指定案戦勝五類相当”とし“感染は自己責任として個人負担を求め感染者数は百万以上も容認し一千人以上の死者数も社会が受け入れる”大阪方式の採用か、国民に問うのが理想とは考えます。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・4月29日:舞鶴地方隊創設70周年記念行事・舞鶴グリーンフェスタ2022・・・https://www.mod.go.jp/msdf/maizuru/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ウクライナ軍事支援拡大,ドイツはゲパルト自走高射機関砲をフランスはカエサル装輪自走榴弾砲を供与決定

2022-04-28 07:00:27 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ウクライナは適切な軍事支援が有れば勝利できるとの見解をアメリカのオースティン国防長官が示しましたが、その適切が軍事支援が始ります。

 ドイツ政府はウクライナへゲパルト自走高射機関砲のウクライナ供与を決定しました、その供与数は50両程度ということ。ゲパルト対空戦車としても知られるドイツ製の装甲車両は1979年に制式化されたもので、当時のレオパルト1主力戦車車体にエリコン35mm機関砲2門と索敵レーダーや火器管制レーダーを砲塔に一体化させた野戦防空車輛です。

 ゲパルト自走高射機関砲は自衛隊の87式自走高射機関砲が開発される際に参考とされたもので、ドイツ連邦軍での運用は終了していますが4000m以内に接近した敵の対地攻撃機や対戦車ヘリコプターに対し顕著に威力を発揮します。陸上自衛隊が装備する87式自走高射機関砲は第7高射特科連隊と第2高射特科大隊など僅かで48両、非常に高価な装備です。

 現在、対戦車ヘリコプターに搭載される対戦車ミサイルには射程6000m以上のものも多いのですが、この種の装備は瞬発交戦能力が高く、要するに森林など錯綜地形で知らずに対戦車ヘリコプターが高射機関砲の射程内に入る際に即座に照準し撃墜が可能です。またドイツは旧東ドイツ軍が装備していたT-72戦車も供与の方針ですが、整備状態が心配です。

 フランス政府はウクライナへ最新のカエサル自走榴弾砲供与を発表しました、これはウクライナ軍が運用する152mm口径の野砲をウクライナは希望していましたが旧ソ連規格の152mm野砲ではなく、NATO標準である155mm榴弾砲となっています。したし、アメリカがウクライナへ供与したM-198やM-777榴弾砲も155mm口径となっています。

 カエサル自走榴弾砲は52口径、つまり砲身の長さが155mmの52倍となっていて、野砲は一般的に砲身が長い方が恰も走り幅跳びの助走距離の長さのように射程の延伸に繋がります、そしてトラックなどで牽引する野砲は過去、スペインが45口径牽引砲を開発していますが、全長が長くなり過ぎ取り回しが利かない点が問題視され、M-777も39口径です。

 カエサル自走榴弾砲はフランスの開発当時GIAT社が、52口径の野砲をトラックに牽引するのではなく、荷台にそのまま載せれば車体全体の長さは運用可能な範疇に収まるとしたもの、射程は通常砲弾でも50km、つまり京都市から大坂城を十分狙える射程となります。NATO各国からはこれまでの携帯火器中心の供与から重装備供与へ転換が始まった様です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】大垣城(岐阜大垣)決戦関ヶ原-西軍石田三成は何故前夜に城を出たのか,わたし気になります!

2022-04-27 20:20:40 | 旅行記
■関ヶ原決戦前夜の大垣城
 わたし気になります!ここは岐阜ですので京都アニメーションの岐阜を舞台とした作品に影響されこうつぶやくべきでしょう。

 大垣城、その歴史は特に関ヶ原の戦いにおいて、わたしの大きな関心を掻き立てるのです。事実関係を見てゆきますと、大垣城は関ヶ原決戦の前日までは西軍の拠点となっていました、それは東軍により岐阜城や犬山城の攻略が進む中においても不変となっていた。

 関ヶ原の戦い、その謎は何故防御陣地の要といえる城郭を西軍が捨てたのか。少なくとも大兵力を収容する策源地であり、しかも防御の指揮はあの石田三成が執っていた訳ですから兵站拠点でもあり得たのでしょう。それを何故、関ヶ原まで陣地変換したのかという。

 城郭は、頼りなかったのかと思い調べてみますと、福原長堯が殿として防御を固めていました、この人は石田三成の妹婿となっていまして豊臣秀吉に小姓頭衆として仕えていらい北野大茶湯では奉行を務める等、実績を積んできた人物です。実戦経験も相応にはある。

 慶長の役、しかし福原長堯は朝鮮の役にて、700が30000を相手に戦った蔚山城の戦い、その後の反撃に際し、蜂須賀家政と黒田長政と毛利高政に早川長政と竹中重隆、錚々たる武将を軍令違反として秀吉に告発したという、文治派と武断派の決裂、その原因の人です。

 殿に配置された背景は不明です、が、福原長堯は天正15年こと西暦1587年4月の島津攻めにて根白坂の戦いで戦っており、要するに石田三成の妹婿ではあるけれども、距離を置きたい武将が多いという人物だったのでしょうか、何かレイテ沖海戦の戦艦大和のようだ。

 レイテ沖海戦の戦艦大和では、レイテ攻略部隊主力の旗艦愛宕が潜水艦に撃沈され、指揮官の栗田中将が戦艦大和に移乗、しかし元々大和艦上には元々決戦態勢への意見の相違がある宇垣中将が乗艦しており研究はいろいろあるのですが、レイテ反転一因になったとも。

 関ヶ原の戦いに視点を戻しますと、指揮官は決戦態勢を決心したならば安易に方針を変えてはなりません、柔軟にと反論されそうですがそれは決心の段階までであり、方針の変更は兵が動揺します。すると、石田三成の陣地変換は何時決心したのか、研究の余地はある。

 大垣城は防御拠点とするのにそれ程頼りない城郭であったのか、こう思われますと、小さな城郭と云われる割には大きい、実際に郭町という今の地名に沿って、氏家直元が拡張した城郭を散策しますと、今と比較にならない大きさである事が分り、尚の事陣地変換の理由が分らない。

 徳川家康は大垣城を水攻めにする方針を伝えていた、堀直寄宛徳川家康書状という資料があるようですが、そもそも南宮山はじめ当時の大垣城は一体の要塞化、総構えの構造に近いものですので、水攻めなどを行えば逆襲部隊に滅多打ちされ、簡単に解囲されてしまう。

 氏家直元の城郭は、実際堅固でした、こういうのも石田三成の大垣城からの陣地変換とともに福原長堯の殿軍には守備兵力7500名、福原長堯に熊谷直盛と垣見一直と秋月種長とが守備に当りました、9月14日の陣地変換翌日、9月15日に関ヶ原の戦いははじまりました。

 合戦は一日で、といわれる関ヶ原の戦いです。短すぎるとも言われますが、分らないのは長期化した場合の大垣城を捨てた西軍主力の兵站で、長期化すると兵糧はどの程度持続したのか、大垣城から持ち出せたのかという。そして、大垣城は実際、難攻不落だったのだ。

 松平康長が軍使として降伏を勧告し福原長堯が大垣城開城を認めたのは9月23日、関ヶ原の戦いから一週間以上、死守し続けていました。それだけに、なぜ石田三成は大垣城を捨てたのか、指揮官として優柔不断過ぎたのではないかと、歴史を見てしまうのですね。

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【京都発幕間旅情】大垣城(岐阜大垣)東海道要衝は関ヶ原に通ず-この城郭を散策する際にどうしても気に成る謎

2022-04-27 20:00:40 | 旅行記
■桜咲く大垣城をめぐる
 大垣城の桜は今年非常に開花時期が早かったという印象でして実際に三月下旬から咲き始めました。

 大垣城、ここは岐阜県大垣市郭町という、東海道本線のJR大垣駅から南の東海道新幹線の方角へ五分ほど歩み進めた立地にあります、昔は巨大な城郭だったようですが1945年の大垣空襲にて、当時国宝に指定されていました天守閣はじめ全て焼け、復興天守閣が残る。

 巨鹿城とも称される城郭ですが、焼失前の天守閣と艮櫓の写真は残っており現在再建された復興天守閣と櫓はその雰囲気を良く再現できている。しかし、この城郭は謎が多い。明応9年こと西暦1500年に当地の豪族竹腰尚綱が揖斐川沿いに造営した事が始りという。

 揖斐川はしかし若干当地よりも遠く、天文4年こと西暦1535年の宮川安定による築城とも言われますが、氏家直元による永禄6年即ち1563年の縄張り画定により当地に造営され、天正11年こと1583年、池田恒興が城主として入城します。これは羽柴秀吉によるもの。

 羽柴秀吉は賤ヶ岳の戦いの勲功を以て当地を与えますが、あの小牧長久手の戦いにて戦死した事を受け、その子池田輝政を15万石とともに大垣城主としました、かの姫路城主となる池田輝政だ。もっともこの城郭は天正13年こと西暦1586年の天正地震で全壊しました。

 関ヶ原の戦い。実はこの城郭を散策する際にどうしても気に成る謎が、この天下分け目の戦い関ヶ原、その関係です。此処は岐阜県ですので、“わたし!気になります!”という直木賞作家の若き日の小説を思い起こさせるほどに謎が在るのです、わたし!気になります。

 わたし!気になります、というのは関ヶ原の戦いにおける当地の扱いです、そもそも関ヶ原の戦いは当地から15kmほど西方の関ヶ原で戦われているのですが、慶長5年こと西暦1600年の城主は伊藤盛宗、西軍の武将でした。そしてここは一時は本陣でもあったのだ。

 石田三成隷下の西軍主力が当初この大垣城に入城しており一大根拠地となっています。つまり、あの西軍が根拠地と出来る程の規模であったのですが、何故、決戦場は関ヶ原となったのか、交通の要衝である、と云われるかもしれませんが、それは大垣も同じ条件です。

 西軍主力の拠点となっていましたが、城郭としては既に天守閣がありました。これは天正16年こと1588年の一柳直末造営説と、慶長元年こと1596年の伊藤祐盛造営説と幾つかはあるようですが、西軍主力が入れる規模なのですから、此処を放棄した理由が分りません。

 毛利輝元、西軍総大将はしかし入城しておらず毛利秀元が一時この近くの南宮大社、美濃総鎮守の社殿に隣接する南宮山に布陣しているようです。一説には毛利輝元は八月初旬に浜松まで前進して徳川家康と決戦という構想が在ったようですが、これは実現していない。

 東軍諸大名は八月下旬に集結地を清須周辺とし、西軍織田秀信の岐阜城が東軍池田照政と福島正則により落城しますと、その数日後には大垣城包囲が開始されたという、この際の兵力は西軍2万に対し東軍8万といいますので、野戦では西軍は不利ですが、防御では。

 大垣城包囲、ここから関ヶ原決戦まで三週間あるのですが、しかし西軍主力が大垣城を出て関ヶ原に移動したのは9月14日、つまり関ヶ原の戦い、その前日となっているのですね。つまり完全な包囲ではなく両翼包囲に近い、逃げ道のある包囲となっていた事が分ります。

 大垣城は、難攻不落であったといえるのかもしれません、実は7500名のみ、つまり四分の一が守備兵力としての請われていまして東軍の総攻撃を受けますが、関ヶ原の戦いが決着した後も延々と防衛を続け、開城は徳川家康が大坂城に入る、その四日前だったのです。

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