北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

二〇二一年度末!ー新型コロナウィルス収束目処立たぬ感染状況とロシア軍ウクライナ侵攻と第三次大戦の危機

2022-03-31 20:22:05 | 北大路機関特別企画
■世界危機の顕在化に憂慮
 2021年度は考えれば凄い時代になりました、第三次大戦の危機ですしWeblog北大路機関は自衛隊行事不足で特撮写真を量産しているのだ。

 年度末、今年度も今日で終わりです。毎月何かの自衛隊関連写真を撮影する、これはCIVID-19新型コロナウィルス感染拡大前であれば春は曙、というさなかを四月は駒門駐屯地や相馬原駐屯地祭と練馬駐屯地祭、後半は信太山駐屯地祭で五月は千僧駐屯地に大津駐屯地、と毎月撮影します題材が決まっており、その前提で年次計画を考えたものでした。

 COVID-19は色々なものを変えてしまいましたが、行事撮影計画の立案と云うものも日常に戻った際にはいろいろな、例えば交通機関や宿泊ホテルなど、かえてしまっていますので、日常に戻ろうにも基盤が無いところも多いでしょう。例えば横須賀の定宿が廃業しました、首都圏に一泊の際には務めて横須賀に確保した駅前旅館、コロナ影響被り廃業です。

 五月などは東千歳駐屯地祭と大久保駐屯地祭が重なりますので今年はどちらにするのか、ゴールデンウィークはのんびり過ごすか思い切って岩国基地まで行くか、そのために確保するホテルをどうするか、などなど考えたものでした。秋は小松航空祭と今津駐屯地祭が重なりますので同日行事には戦車か戦闘機かを迷ったりするのも、風物詩といえたもの。

 74式戦車の発砲焔は空包でも迫力がありますので、その様子を訓練展示でいかに収めるかはテーマでしたし、航空祭が行われていた季節にはファントム、航空自衛隊の戦闘機世代交代をどのように見守るかということで構図を考えるのも重要なテーマでした。特に戦車も戦闘機も桜に絡めてとか紅葉とともに撮影する構図をいろいろと研究したものでしたね。

 舞鶴サマーフェスタと横田基地日米フレンドシップデイと富士総合火力演習は気候変動が確かに進んでいるぞ、と実感するほどに猛暑に気絶しそうになりながら、おお体重減った、実は脱水症状、そんなもので総火演は夏の季語、とはよく言ったものでした。それも2019年まで、いや2020年は1月の空挺降下訓練始めがありましたけれども。さてあれから。

 オミクロン株、多少は致死率が低下したということで欧州や北米などでワクチン接種の進展もあり徐々に日常の回帰という段階を越えて感染対策の終了、こうした施策が進められています。コロナウィルスが季節性ウィルスであるように新型コロナウィルスも冬の呼吸器系季節性感染症へ回帰してゆくのでしょうが、日常はどう戻ってくるのか、どうなのか。

 まんえん防止等重点措置解除、こうした見通しがたちましたが、難しいのは感染対策を重点的に行わなくとも許容できる範囲、こうした水準になるものでして、まだまだ感染対策の終了というのは遠い話なのだなあ、こう残念に思ってしまうところです。実際、電車でマスクなしとか無防備に夜行バスで一晩寝て移動、という移動は感染を心配してしまう。

 インフルエンザ並、日本では季節性インフルエンザの致死率は0.1%未満となっていますが、実際には0.01%程度まで低くなっているようで、こう考えますとオミクロン株の致死率が低くなったとしても、毎日数百名が死亡する状況が続きますと、どうしても現状は安心して移動や混雑しているところへ探訪というわけにもなかなかゆきません。リスクは感じる。

 感染対策で難しいのは、いまのところ感染しますと隔離、濃厚接触でも行動制限と言うことがありますので、がん検査を経て入院が必要という方が、大変だとお見舞いにこられた親戚の方からCOVID-19に感染し、入院不能の手術予定延期、こうした出来事もありまして、オミクロン株か死者数も大変ですが感染したらの行動制限がさらに大変なことという。

 収束よりも終息目処が立たず、さりとて感染拡大に任せるままに感染対策を終了するならば医療崩壊という状況は必至です、こうなると収束、つまり感染拡大が収まったということで対策を仮に終了してみますと、すると2022年1月のように再拡大、こうしたものに見舞われる可能性も否定できません。つまりは息苦しい状態が続く。堪えてきたのは確かだ。

 ワクチンを二回接種できただけでも2021年度は進歩があったところでしたが、ワクチン接種の少し後にワクチンを無効とするオミクロン株が確認され、ほどせずして日本上陸、そして2021年夏の感染拡大とは比較にならないほどの感染者数をだしているのはご承知の通りですが、人間想像力が必要、新年度は別の緊張に見舞われている。これも先が読めない。

 新年度は、今年度にはロシア軍ウクライナ侵攻という、1979年のソ連軍アフガニスタン侵攻や1968年プラハの春チェコスロバキア軍事介入こうしたものが平然と起こった冷戦時代の緊張までいきなり引き戻されたという緊張とともに幕開けする事になりそうです。不確かな時代に入った、いや歴史的には戻ったと表現するべきでしょうか。厳しい時代ですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ロシアによる新世界秩序を中国と-ラブロフ外相談話,懸念されるウクライナ戦争の世界二分と新冷戦

2022-03-31 07:00:36 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 新しい冷戦構造のロシア側に中国が参加するならば日本は最前線となり中国がロシアに距離を置き第三世界を構築するならば世界を核で脅すロシアは北朝鮮の巨大版北極朝鮮となる。

 ラブロフ外相はロシア軍のウクライナ侵攻後初めて中国を訪問、王毅外相との中露外相会談を行い、“ロシアによる新世界秩序”構築について中国と共闘するとの意向を表明しました。この“ロシアによる新世界秩序”とは新しい東西冷戦の可能性を示すのでしょうか。懸念されるのはロシア軍ウクライナ侵攻、このウクライナ戦争の影響が永続化する事です。

 東亜新秩序建設。“ロシアによる新世界秩序”という表現に極めて切迫する憂慮を感じるのは、日本の太平洋戦争と大東亜戦争の展開に際し示した概念が、東亜新秩序建設、つまり既存の調和的な国際公序を軍事力により再編する姿勢を示した点で、この懸念の切迫感は、敢えて中国において、つまり先の東亜新秩序建設の犠牲者を前に示唆したという点という。

 ウクライナ戦争の長期化は、ロシア軍が各地で攻勢限界点に達した部隊が陣地構築を行うなど膠着化の兆しが見えており、ロシアが経済破綻するかウクライナが崩壊するまで継続する意志ではないかとの危惧が、長期化の懸念となっていました。しかし、この長期化という表現は、半年一年といういわばキエフ二日攻略論と比較しての長期化に過ぎません。

 戦線再編。ロシア国防省はキエフ方面での作戦を大幅に縮小すると発表しました、もちろんロシア国防省発表を鵜呑みには出来ず、例えばキエフ攻略への攻撃部隊再編への政治的遅滞行動の可能性、野戦部隊を後退させての核攻撃の懸念、こうした可能性がありますし、単に現実問題としてロシア軍がキエフ北方で敗北しています現状の追認と視る事も出来る。

 東部地域のドネツクやルガンスクへの戦線再編へ部隊を転進させようとしている、ウクライナ戦争の長期化は今後キエフ攻略と云うウクライナ政府崩壊を目指した全面戦争から、東部二州を巡る局地戦へ移行する為に、戦線が膠着化し長期化する、ウクライナ戦争の長期化というものは本来こうした視点で考えられたものなのですが、冷戦となれば話が違う。

 ロシアによる新世界秩序、ラブロフ外相が示したものの定義は不明確ですが、少なくとも冷戦後の国際公序、人間の尊厳に依拠した自由主義や自己実現の為の民主主義という概念、人間の安全保障やSDGsと称される理念からは、かけ離れ真逆の理念がウクライナにおいてロシアが繰り広げており、この行動を正当化する事では間違いないでしょう。二分化だ。

 冷戦構造の再来、懸念するのは上記の行動を正当化する側と今までの国際公序に残る側との間での冷戦構造が成立することです。永続的と先に表現した事は誇張ですが、前の東西冷戦は1940年代後半から1990年代直前まで世界を二分しました、つまり長期的というには今までの半年や一年というものでしたが、それよりは長く十年や四半世紀単位で、と。

 二分化される過去の東西冷戦、しかも、世界の工場として立場を確たるものとした中国は、世界の知財集約拠点であるアメリカと世界が一つになる事で現在のグローバル社会を構成したものですので、仮に中国がロシアによる新世界秩序に参画するならば、勿論即座に米中開戦や日中戦争になるという短絡的な考えは行き過ぎですが、何らかの制限が生まれる。

 グローバルサプライチェーンは確実に分断されますし、中国まで即座のSWIFT除名という事までは進まないでしょうが、先端技術や直接投資規制が更に強化される要因となり、東西冷戦下のような代理戦争が世界を再度不安定なものとさせます。無論、現在のロシアは経済制裁により沈みつつある泥船ですが、中国が泥船を補強する側に付くならば、それが冷戦だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】城南宮,鳥羽院は院政始まりの地にみる日本の転換点ー律令国家回帰の夢は武家政治への入り口

2022-03-30 20:22:44 | 写真
■白河上皇と鳥羽上皇
 貴族政治が在って武家政治となり、武家政治が終わって天皇親政から民主主義が生まれた、とこうまあ歴史の流れを理解していますと収斂する先が必然のように思えますが時の為政者たちは未来など見えません。

 楽水苑という美しい梅園を散策していますと、成程洛中と称される京都駅よりも北の立地とはずいぶんと風情が異なるものだ、こう趣き深いものを感じるのですが、この寺院はもともと白河天皇が造営した鳥羽離宮というもの、その白河天皇は荘園を制限しています。

 律令国家は、平安遷都を含め日本が幾度も政情から首都をかえねばならない時代に後退期を迎え、これが地方貴族の興隆へと繋がり、大和朝廷と呼ばれた時代から中央権力強化の、ある種中国的といえた政治体制から地方分権の時代を迎える事となりましたが、懸念も。

 寛徳の荘園整理令として白河天皇が荘園の禁止を示したのは国土は遍く中央に、という律令国家再建の意気込みが反映されていまして、ここ鳥羽離宮では後拾遺和歌集選定の勅撰和歌集編纂という文化への統制をも踏み込みました、この改革は反発もあり時間もかかる。

 応徳3年こと西暦1086年、皇位は弟へと後三条天皇の遺訓が在りましたが実子に継承させ堀河天皇を即位、そして自らは上皇宣下し院政を始めるのですね。しかし1107年に堀河帝が若くして崩御すると出家していた孫を擁立し鳥羽天皇が即位、更に院政を強化しました。

 法皇として白河上皇は出家しますが、これが逆に当時一大勢力となっていた寺社勢力への影響力拡大が目的であり、院政は中央政界と宗教界に至る巨大な権力構造となります、この改革は同時に地方の反発を生み、既得権返還を求める中で武士階級が実力をつけてゆく。

 改革を進める為に反発があり、実孫の鳥羽天皇を護るための政権干渉は果たして政権とは朝廷に在るのか院に在るのか、この二重権力を白河法皇は実力を以て優位を示すために武士階級を重用し殿上地下問わず反発や叛乱に対しては軍事力により統制を試みたという。

 これでは内戦になる。白河法皇が崩御した後に院政を支えたのは鳥羽上皇でしたが危惧したのは行き過ぎた統制です。実際白河院は権力を誇示する為の栄華を建物で誇示しており、鳥羽殿には勝光明院という宝蔵が造営され、列島や大陸の膨大な美術品が並べられました。

 荘園という制度は必要の最中に広がったものであり、統制を強めても限度がある、鳥羽上皇はこうした視点を持ち、実際興味深いのは鳥羽治世では一度として荘園整理令が出されていません、このように国土割る為の強権国家よりは自由競争での繁栄を選んだといえる。

 鳥羽院の施策は荘園を新田開発と理解した上で規制せず、しかも荘園寄進は積極的に受けるというもの。寄進の見返りに国役免除や国司不介入の特権を認める、これは見方を変えれば国家財政の脆弱化も招くのですが、一旦生まれた既得権益を武力で収奪はできません。

 検非違使に北面は平氏を、受領に源氏を。鳥羽院の防衛に武士階級を登用したのも鳥羽院の施策であり、こうして城南宮に位置した鳥羽院は貴族の荘園寄進により大きな建物が建つ事無く、そして武士による警護の徹底という、洛南にもう一つの京都が生まれたことに。

 平忠盛の時代には瀬戸内の海賊を検非違使として討伐しましたが、武士階級を鳥羽院近くに寄進した荘園警護に用いたという事は、地方の荘園と中央警護という、いわば武士階級の中央地方関係が生まれる事となり、これが源平、続く武家政治時代へ下地を育みました。

 城南宮の周辺は荘園であった為に巨大寺院が林立する事無く、静かな建物の無い現代の立地となりました。そして当地は幕末に鳥羽伏見の戦い主戦場となりましたが、軍事力で解決し得る時代へ遷った事で結局幾度も戦火で更地となった、そんな歴史の上に建つのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】城南宮,梅花華やか極める社殿に歴史あり-後三条天皇は律令国家再建へ中央集権強化の遺構

2022-03-30 20:00:43 | 写真
■京都-梅の名所は城南宮
 この2022年は色々ありまして毎年ひみつの梅の花見ができなくなりまして梅花の頃に少し真面目に散策してみました。

 城南宮。ここは京都でも有数の梅の名所として知られています。京都市伏見区中島鳥羽離宮町に鎮座します社殿は、地下鉄竹田駅から少し西へ歩み進めた開けた立地に在り、京都は洛中の寺社仏閣が多いものの、高い建物の少ない開けた風情が聖域という気風を生む。

 中島鳥羽離宮町、地名にもあります通り此処は白河院や鳥羽院と、日本の中心が院と朝に分かれたころの上皇猊下が広げましたもう一つの政治舞台でもありまして、その遺構は多宝塔などのかたちで今も歴史を伝え、昔は車からあの多宝塔は何かと考えたものでした。

 伏見区は散策の際には京阪やJRに近鉄と鉄道線に沿って風景との出会いを愉しみますと、少し遠い立地と思います神社です、しかし、不動尊はじめ歴史の気風は今も色濃い。ただ、意外と、と冠しますのは洛中と比べればこの界隈は活気が一寸違う様にひろがっていて。

 慶応4年こと西暦1868年の鳥羽伏見の戦い、実はこの界隈はその主戦場となった歴史があるようで、成程京都では応仁の乱はじめ数多くの戦災を被っていますが、明治維新の廃仏毀釈などもあり地域復興から取り残され、現代都市として再生した名残なのでしょうか。

 城南大神、さてここ城南宮は主祭神に城南大神という八千矛神と息長帯日売尊と国常立尊、方角を司る神々を祀っています。その創建の頃は不詳といいますが平安遷都の際に国常立尊を八千矛神と息長帯日売尊に合せ祀ったのが始まり。ただ、歴史はもう少し複雑という。

 平安京の南にあることから三柱を城南神と称したのですが、当地には真幡寸神社という社殿が平安遷都の前にありまして、いわば合祀のかたちをとったという。そして大将軍神社はじめ方角神を祀る社殿と並べますと神域は広大ですが、これにも背景があるようです。

 真幡寸神社、この一帯の地名が院政の舞台である事は前述しましたが、白河天皇が鳥羽離宮を造営しますと城南離宮の名を冠しまして、真幡寸神社はその鎮守社となるのですね。院の鎮守社となりましたことは神域の広まりへと繋がり、今日の隆盛へつながってゆく。

 院政の舞台、院が在ります故にそうした立地なのですが、院政と一言に言いましても後三条天皇の権力基盤強化を行った治暦3年こと西暦1068年の摂関政治からの脱却という一言に結論を見い出すのではなく、その様式は院を置く以外の共通点が逆に少ない実態がある。

 奈良時代の律令政治は国内の災害や疾病により停滞となり、律令国家体制が中央政府による現在のわたしたちが考える様な政治制度とは異なり、いわば後退という形で貴族に荘園を認める中央集権の衰弱を契機とする分権化がありましたが、後三条天皇は此処に改革を。

 延久の荘園整理令として後三条天皇は律令国家再建へ中央集権強化を期したものなのですが、これが逆に荘園権益保護への貴族の原動力を生む事となりました。実際後三条天皇の意気込みは強く、宇治の平等院の直接課税へ動いた話や宣旨枡の要領を勅令したことなど。

 白河天皇へ御世が遷った後にも中央集権強化の流れは続きまして、その権力を誇示する為に造営されたのが今の城南宮に立地する鳥羽殿を離宮とし、自らは洛中の東は白河に白河院、そして法勝寺を自らの氏寺として造営しています。そして当地の風景にも重なる動き。

 寛徳の荘園整理令として事実上新規の荘園を貴族が造営する事を中央が禁止するのですが、この流れに対する大きな反発が、ここ城南宮の一帯に大きな寺院を造営しない、されなかったという背景を醸成してゆく事となります、ある種自然である種必然の面白い歴史です。

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ロシア軍ーキエフ北方で大規模な撤退,トルコでの両国停戦交渉に"建設的な前進"と全土の遺棄兵器や撤収問題

2022-03-30 07:00:55 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 歴史的なウクライナ軍による反撃成功と視るべきでしょうか、野戦部隊の奮戦と共に今後この戦争は政治交渉の季節を迎えるのかもしれません

 ロシア軍がキエフ北方において大規模な撤退に転じたとのこと。歴史的といえる。当初二日で陥落すると懸念されていたウクライナの首都キエフは、開戦一週間でロシア軍の攻撃軸に対する交通統制や輸送計画の拙さから大規模な車両渋滞を引き起こし、車列は60kmという一時は国境まで100kmの大半が車列により埋まるという状況に陥っていました。

 チェルニヒウなどキエフ北方では先週からウクライナ軍の反撃がロシア軍を押し返し始めており、当初は大規模なロシア軍渋滞と云う格好の目標を叩くだけのウクライナ軍の作戦能力が無いとの分析もありましたが、航空攻撃の目標となる機械化部隊と歩兵部隊により浸透するように迂回機動を展開したウクライナ軍がロシア軍に看過できぬ損害を与えたか。

 トルコにて29日に開催されたウクライナロシア停戦交渉では、ウクライナがトルコやイスラエルにカナダなどを加えた新しい安全保障枠組を構築することを条件として、NATO加盟交渉の棚上げを表明するなど、キエフ北方での奮戦がロシア側に譲歩を引き出した形です。他方で、南部マリウポリでは戦闘が激化しており、戦場は南部と東部に遷ったかたち。

 撤退作戦が稚拙である。ロシア軍の印象は組織的な撤退訓練が不充分であり、かなり多数の戦闘車両を破壊せず放置し撤退しており、これらを鹵獲したウクライナ軍は例えば戦車保有数などで、ロシアとの戦闘で撃破された車輛を差し引いても鹵獲車輛を加えれば戦車保有数は開戦前より増加したとの分析もあり、今後の大きな課題となるかもしれません。

 ロシア軍の撤退は、今後ロシアが発表している通り、ウクライナ東部二州とクリミア半島周辺に主軸を移すための転進である場合、ウクライナとしては停戦交渉が妥結するまで戦闘を継続する以外の選択肢はありません、しかし無計画な撤退が行われているということは、西部を除く全域に膨大なロシア軍車両が遺棄されており、鹵獲され続けている構図だ。

 停戦が実現したとして、ロシア軍は陸軍の基幹戦力であるBTG大隊戦闘群相当数をつぎ込んでいる為、俄かには信じられない事ですがロシア軍の陸軍戦力の数%から10%以上がウクライナに遺棄される事となります、これを放置して後退し賠償代わりに譲渡するならば問題は起きないのかもしれませんが、撤収は装備の完全改修が条件となればどうなるのか。

 停戦が第一ですが、例えば国連防護軍や国連PKO部隊による兵力引き離しを行わなければ、撤収条件を履行する為に孤立部隊へロシア軍が停戦時間を利用し補給線を整備した場合、停戦条件が守られていないとの一方的な口実、核攻撃や化学兵器密造などロシアの一方的口実が再度繰り返され、戦闘となる可能性があります。関心を持ってみてゆきましょう。

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【防衛情報】豪州NH-90早期退役とフィリピンのブラモス導入,インド軍アルマータ戦車構想

2022-03-29 20:05:46 | インポート
■週報:世界の防衛,最新12論点
 今週の防衛情報は陸軍関連、戦車にヘリコプターに自走砲に極超音速対艦ミサイルと多彩な12の話題をお伝えします。

 オーストラリア陸軍はNH-90多用途ヘリコプターの早期退役を発表しました、後継としてUH-60多用途ヘリコプター40機を追加取得する方針です。NH-90多用途ヘリコプターは1990年代にアエロスパシアルやアグスタとフォッカー社などが共同出資し設立したNHIインダストリーズ社が設計、現在はエアバスヘリコプターズ社が製造しています。

 NH-90多用途ヘリコプターはオーストラリア陸軍が41機と海軍が陸軍と統合運用の形で6機を運用しています。空虚重量5.4tで最大離陸重量10.6t、ロールスロイスRTM322かGE-T-700エンジン双発で兵員20名を空輸可能、これはUH-60の空虚重量4.8tと最大離陸重量10.66tよりも若干大型ですが、後部にカーゴハッチを有し天井が高い点が特色です。

 オーストラリア陸軍がNH-90を導入したのは2005年で旧式化したUH-1Hの後継機として導入しました。更にUH-60の後継機としても導入しています。当初、2037年までNH-90を運用する計画でしたが、稼働率を維持する為の整備費用が当初想定をはるかに超えて高く運用継続を断念しました。後継としてUH-60系統最新のUH-60Mが導入されるもよう。
■豪州NH-90後継機はUH-60
 NH-90の稼働率はやはり豪州の域内整備が要因なのでしょうか気象気候の要因なのでしょうか。

 オーストラリア陸軍はNH-90多用途ヘリコプターの早期退役背景には。NH-90は現在も製造が続く優秀なヘリコプターとされています、しかし、開発当時にはドイツ連邦軍において20名の定員に対し完全武装のドイツ兵を20名収容できない、標準的な装備の兵員2名が同時に後部扉を利用できない強度の弱さ、ホイスト運用能力の低さが指摘されている。

 NH-90そのものはオーストラリア以外にフランスやドイツとイタリアやスペイン、オランダ、ノルウェー、フィンランドにニュージーランド、オマーンやカタールでも運用されていますが顕著な問題はありません。オーストラリア軍仕様はNRH-90といい、プリスベンのエアバス子会社オーストラリアエアロスペースが製造し維持部品等も供給しています。
■オースリアのCAVSプログラム
 オーストラリアからオーストリアの話題ですがフロントガラスを配置した輸送車的なパトリア装甲車、意外と自衛隊が検討しているAMVよりも日本向きやも。

 スウェーデンはパトリア装甲車CAVSプログラムへの参加を発表しました。CAVSとはCommon Armored Vehicle Systemの略称で、フィンランドが開発したパトリア装甲車シリーズの共同開発計画です。パトリア装甲車は陸上自衛隊がパトリアAMV装甲車を評価試験中ですが、パトリア装甲車にはフロントガラスを配置した輸送車型の装甲車も存在します。

 CAVSプログラムはフィンランドの提唱に際しラトビアやエストニアが参加しており、研究開発とともに多国間国際分業による生産も実施、即納も可能であり、ラトビアは2021年8月に200両を発注しますと最初の車両は10月末に納入され、単なる優先顧客扱いではなく、共通部品プールなどで参加国がステイクホルダーとなる点が、このプログラムの特色です。
■ウクライナへジャベリン供与
 熱線画像誘導方式のジャベリンはアクティヴ防護装置の無い戦車には天敵の様なもの。

 ウクライナへジャベリン対戦車ミサイルなどアメリカの防衛協力供与装備が到着した、これは12月12日にアメリカ国務省が発表したもので、6000万ドル相当の防衛協力援助となる。2022年初頭には対迫レーダー4基を含む高度な防衛用の装備品が供与される。アメリカのウクライナへの防衛協力は2021年だけで4億5000万ドルに達するとのこと。

 ウクライナ領であったクリミア半島をロシアが併合して以来、ウクライナへのアメリカの防衛協力は強化され、既に援助規模は25億ドルに達している、また訓練支援もフロリダ州兵をウクライナへ派遣し訓練すると共に在欧米軍特殊作戦部隊はウクライナ軍特殊部隊訓練支援も行っているとされる。防衛協力には対戦車ミサイル等致死性装備も含まれている。
■ウクライナ新型自走迫撃砲
 ロシアの軍事圧力の更なる増大を受けて各種装備を泥縄的ながら大車輪で揃えています。

 ウクライナ軍は最新鋭のBARS8MMK自走迫撃砲を受領しました。これはウクライナのウクロボロン公社が独自に開発したBARS-8耐爆車両に車載式120mm迫撃砲を搭載したもので、車高の高い四輪駆動耐爆車両の後部扉に一体化した迫撃砲を搭載、迫撃砲は後部扉と一体化、射撃は停車し駐鋤と砲身が一体化した後部扉を路面に展開させて射撃する。

 BARS8MMK自走迫撃砲は戦闘受領10tでSTANAG4569のレベル2の防護力を備え、乗員3名で停車から射撃までは30秒間で毎分12発を射撃可能、射撃から陣地変換までは20秒間という。120mm迫撃砲の射程は8kmで車内には60発の砲弾を搭載しています。エンジンはカミンズ社製350hpディーゼルエンジンを搭載し最高速度は120km/hを発揮します。
■ポーランドが余剰クーガー取得
 自衛隊のブッシュマスターと同様の治安任務を重視した野戦車輛のひとつ。

 ポーランド陸軍はアメリカより余剰クーガーMRAP耐爆車両300両を導入します。クーガーMRAP耐爆車両は四輪駆動式でポーランド軍はISAFアフガニスタン国際治安支援任務参加の際に展開させたパトリアAMV装甲車を補完する車両として2004年にアメリカ海兵隊よりクーガーMRAP耐爆車両40両を受領しており、現地での運用実績があります。

 クーガーMRAP耐爆車両300両は輸送費用と教育費用等を合せて2750万ドルの費用となりますが、もともと一両は100万ドルを要する車両です。決定したのは2021年12月ですが、アメリカ軍は2022年第1四半期のポーランド軍への引き渡しを予定しており、ポーランド軍では非装甲のハンヴィー高機動車をクーガーMRAP耐爆車両へ置き換える予定です。
■ウィーゼル軽装甲車無人型
 自衛隊で云えば軽装甲機動車を無人化させて前線輸送や負傷者搬送に斥候や尖兵任務に充てる様な感じでしょうか。

 ドイツのラインメタル社は12月9日、ウィーゼル装甲車を改造したロボット車両を発表した。ロボット車輛は物資輸送など既に実用化されている技術とともに、武装させ敵の防御力を斥候する能力を将来的に付与させる構想で、遠隔操作による運用は勿論、完全自律による自動運用やコンボイモードとして特定車輛や歩兵に随伴し車列を組む能力がある。

 ウィーゼル装甲車はドイツ連邦軍が空挺部隊用に開発した装軌式装甲車である、その重量はCH-53重輸送ヘリコプターへ搭載するべく2.8tと軽量だが大胆な傾斜装甲の採用により7.62mm徹甲弾に耐えるとともにラインメタル20mm機関砲やTOW対戦車ミサイル発射器搭載能力を持つ。小型だが信頼性は高く、小型車の多い軍用ロボットには最適といえる。
■インドの新型装輪自走砲
 155mm野砲を四輪トラックに載せるというのは一見してかなり冒険に思えます。

 インド陸軍は新型のMArG155mm装輪自走榴弾砲を発表しました。これは2021年12月に緊張続く中印国境地域など、山間部においても運用可能な155mm榴弾砲として写真が公開されたもので、四輪トラックの荷台部分に155mm榴弾砲を搭載、車体部分は装甲化され片側2扉方式を採用、射撃に際しては車体後部の駐鋤を展開して射撃する構造です。

 MArG155mm装輪自走榴弾砲について四輪駆動トラック自走砲への155mm砲搭載は世界唯一のものとされ、主砲は39口径、射撃能力は緊急時には30秒間で3発、効力射では3分間で12発、持続射撃では一時間42発が射撃可能という。射程は発表されていませんが39口径砲身であり30km程度は見込まれ、高山部では空気抵抗が薄く飛翔距離が伸びます。
■ノルウェーCV-90延命改修
 CV-90は大量に売れていますので延命改修でも産業として成り立つのが凄いと思う。

 ノルウェー国防省はCV-90装甲戦闘車の近代化改修及び増強についてBAEシステムズ社と正式契約を結びました、この契約ではノルウェー軍は現在144両のCV-90を運用していますが、更に20両を増強することとなり164両体制となります。また近代化改修としてBAEシステムズ社は更に7年間延長して戦闘システムなどの各種アップデートを行います。

 増強される20両は装甲戦闘車型ではなく戦闘工兵型12両と汎用輸送型8両で5000万ドル規模の契約です。ノルウェーでは次期主力戦車選定として2025年の採用に向けドイツのレオパルド2A7戦車と韓国のK-2戦車が試験車両をノルウェーに持ち込んでの評価試験が本格化しており、CV-90の増強とともに陸軍機械化装備の近代化が大車輪で進んでいます。
■インド軍アルマータを検討
 アージュン戦車の開発が長期化した為に実用化の時点で旧式化をしてしまい思い切って外国の教えを乞う構図、日本の戦車産業もうかうかしていられない。

 インド陸軍は次期主力戦車へロシアのアルマータシリーズ派生型を検討している、これはロシア政府高官がアルマータシリーズプラットフォームにもとづく車両をインドに独自開発車輛のプラットフォームとするよう提案したというもので、インド陸軍では開発が長期化し開発中に陳腐化しているアージュン主力戦車の代替車輛となる可能性も考えられる。

 アルマータ共通装甲プラットフォームは、共通車輛から主力戦車や装甲戦闘車と野戦防空車輛に自走榴弾砲や装甲偵察車を統合化するもので、強力な主力戦車であると同時に多種多様な装甲車両を一つの基本車輛で統合し、開発費用を抑え近年各国で縮小が進む陸軍装備体系の量産効果を維持すると共に諸兵科連合部隊での整備互換性を強化する意味がある。
■フィリピンがブラモスを検討
 これは東南アジアにおける中国の軍事圧力の構図を一変させる可能性がある。

 フィリピン軍は沿岸防備用にインドよりブラモス超音速地対艦ミサイルの導入を交渉中ですが、このほどミサイル取得への予算的裏付けが取れたと2021年12月末にフィリピン国内報道がありました。フィリピン軍は2個中隊分のブラモス地対艦ミサイルを取得したいとしており、3000億ペソを投じるホライズン2国軍近代化計画の一環としています。

 ブラモス超音速地対艦ミサイルはインドがロシアのP-800ヤホント超音速対艦ミサイル技術提供を受け開発した超音速ミサイルで射程は300km、マッハ3の超音速巡航が可能となっています。インドではブラモス2としてロシアよりツイルコンミサイルの技術提供をもととした射程350km、マッハ5クラスの極超音速対艦ミサイルも開発中となっています。
■マレーシア軍次期装甲車
 自衛隊の装輪装甲車もせめて東南アジア並の水準が必要と最近追い付かれている構図を眺めて思う。

 マレーシア軍は400両の次期装輪装甲車選定にイヴェコVBTPやロテムK-806やFNSSのPARSを検討中とのこと。マレーシア陸軍は1981年にドイツ製コンドル軽装甲車460両を導入しています、これはウニモグトラックを原型としては小型装甲車体を取り付けた四輪駆動装甲車ですが導入から40年を経て老朽化が進んでおり、後継選定を開始しました。

 イヴェコVBTPはイタリアのイヴェコ社が開発した六輪駆動式装甲車でブラジル陸軍へVBTP-MRグラアニ装甲車として大量配備された事で知られているもの。ロテムK-806は韓国が輸出用として開発した装輪装甲車、トルコFNSSのPARS装甲車はトルコ軍用装甲車として開発されオトカコブラなど四輪駆動の軽装甲車を置換えている実績があります。

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ドイツ-アロー3弾道弾迎撃ミサイル検討か,イスラエル製射程2400km-ロシア軍ウクライナ侵攻受け防衛強化

2022-03-29 07:00:42 | 防衛・安全保障
■欧州ミサイル防衛-歴史的転換
 我々を見くびるな。ショルツ首相はプーチン大統領との首脳会談後にロシア軍ウクライナ侵攻が開始された際に叩きつけた強烈な一言ですが、彼は有言実行の政治家でした。

 ドイツがロシアからのミサイル攻撃に備え独自のミサイル防衛システムを配備する、ドイツのショルツ首相が発表しました。しかし驚かされたのは、これまで考えられていたペトリオットミサイルPAC-3-MSEの増強というような手段ではなく、格段に強力なイスラエル製ミサイル防衛システムアロー3を導入する方向で検討を進めているというドイツ国内報道が。

 イージスアショア東欧配備。ロシアとNATOの関係悪化は2007年に当時のアメリカブッシュ政権がイランからの欧州へのミサイル攻撃からNATOや在欧米軍基地を防衛するべく整備方針を示した事が、ロシアの欧州へのミサイル抑止力をも阻止しかねないとし、ロシアはNATOオブザーバー国から離脱、関係悪化が始りました。しかしアロー3は更に凄い。

 アロー3は射程2400km、イスラエルが大陸間弾道弾を含む大量破壊兵器から本土を防衛するべく開発したもので、イージスアショアに搭載されるスタンダードSM-3の射程1300kmを大幅に上回るもので、なにしろ2400kmといえば単純比較は出来ないのですが、ベルリンとモスクワの距離でさえ1610kmにしか過ぎません、2400kmと云う距離はものすごい。

 ショルツ首相は、独自のミサイル防衛システム導入について、目的を達成する為ならば隣国に暴力を用いる周辺国が存在する事を認識したうえでの選択、こう説明しておりドイツ全土を網羅する防衛システムが必要である、と強調しました。ただ、アロー3についてドイツとイスラエル両国国防省正式発表はなく、ドイツの新聞ビルド紙が報道したというもの。

 アロー3はミサイル本体がスタンダード3よりも巨大ですが移動発射装置から運用可能です。その売却は、防衛協力という視点からは近年ドイツとイスラエルの防衛協力は深化しており、イスラエル製スパイク対戦車ミサイルや無人偵察機を始めその調達や防衛企業支援なども進められています、両国関係を考えるならばアロー3の導入は現実的といえるでしょう。

 F-35戦闘機導入、ドイツ空軍は一旦決まっていましたF/A-18E/F戦闘機導入を一転して第五世代戦闘機であるF-35導入を決定しました。これは予測されていたものの驚きをもって受け止められました、何故ならば空軍はF-35を必要としていましたが、第五世代戦闘機を取得した場合、独仏共同開発第六世代戦闘機への開発費投資が鈍る為の妥協案だったゆえ。

 しかし、驚いたのはショルツ首相のNATO首脳会議における発言に新世代戦闘機の導入と開発を進める、という表現があり、これを言い換えればドイツ政府はF-35戦闘機の導入と並行し、フランスとの第六世代戦闘機共同開発を並行するという意味に他なりません。そしてドイツの国防費増額は、この計画を具現化可能な程に増額される規模となっています。

 ドイツの欧州防衛への世論はロシアのウクライナ侵攻により根本から変容したと云えます、その一端は世論調査によっても判明しており、インフラテストディマップ社の世論調査によれば、ウクライナへのドイツからも兵器供与について、世論の賛成はロシア侵攻前には20%であったのが、ロシア軍ウクライナ侵攻を受け一気に61%まで文字通り急騰しました。

 国防費増額も年額邦貨換算13兆円という巨費の投入も支持率は69%に達しており、冷戦後終了している徴兵制の再開にさえこちらはフォーカス社世論調査では47%が支持するという数字となっています。強力なミサイル防衛システムの配備と第五世代戦闘機導入に第六世代戦闘機開発並行、日本もやってはいる事ですがドイツの方針転換は、歴史的といえる。

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【防衛情報】ミサイル防衛,イスラエルのアロー3とサウジアラビアTHAADと北朝鮮ミサイル

2022-03-28 20:06:45 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回は中東のミサイル防衛についてイスラエルとサウジアラビアの実例を見てみましょう。

 イスラエル国防省は弾道ミサイル迎撃ミサイルアロー3の大気圏外への射撃試験を成功させたことを発表しました。アロー3の発射実験は2022年1月8日にIMDOイスラエルミサイル防衛機構とアメリカのMDAミサイル防衛局が共同で実施したといい、発射施設はイスラエル中部のミサイル施設であるとしています。実験に使用されたのは2発とのこと。

 アロー3弾道ミサイル迎撃ミサイルはイスラエルが1990年湾岸戦争の際にイラクからの弾道ミサイル攻撃を受け開発されたアロー迎撃ミサイルシリーズの最新型で、アメリカから供与されたペトリオットミサイルPAC-2では弾頭の威力不足から落下するイラクの弾道ミサイルに命中させても完全に破砕するには至らない事から大型弾頭を用い開発されました。

 アロー1とアロー2は大型弾頭による破片効果での弾道ミサイル破壊を目指していましたが、アロー3からは日米が共同開発したスタンダードSM-3のキネティック弾頭のような大気圏外迎撃弾頭を採用しており、また近年脅威が認識される機動性の高い弾道飛行を迎撃するべく推力偏向ノズルを採用しており、将来の弾道ミサイルへも迎撃能力を確保しています。
■北朝鮮人民軍ミサイル実験
 トランプ政権が抑え込んだ北朝鮮ミサイル実験が再開し頻度が異常な事となっていました。

 北朝鮮人民軍は2022年に入り相次ぎ各種弾道ミサイルの発射実験を繰り返している、既に一月中旬までに四度に渡り六発のミサイル実験を繰り返しており、極超音速ミサイルや戦術誘導弾と称するものの開発を急いでいると認識されている。ただ、極超音速ミサイルは既存弾道ミサイルを低軌道で高速飛翔させているのみで、極超音速滑空兵器ではない。

 ミサイル実験について北朝鮮は1月20日、現在停止しているICBM大陸間弾道弾の実験再開も示唆しており、これはアメリカ政府がトランプ政権からバイデン政権に政権交代した後にも一向に進まない米朝交渉、特にトランプ政権時代の様な首脳会談の目処が立たないとともに、在朝中国大使の出国後に後任大使未定という異例の国際関係も影響していよう。

 2022年に入り相次ぐミサイル実験を受け、1月下旬には原子力空母カールビンソンなどアメリカ海軍は北朝鮮周辺に即座に展開し得る東シナ海や南シナ海地域に航空母艦や強襲揚陸艦を展開させているが、これが逆に中国周辺の行動により中国海軍を刺激すると共に中東地域でのアメリカ海軍空母及び強襲揚陸艦の不在という抑止力の不均衡も醸成している。
■北朝鮮中距離弾道弾実験
 火星12型中距離弾道ミサイルの試験が久々に行われましたが日本本土上空を飛行する試験も再開するのでしょうか。

 北朝鮮の朝鮮人民軍は2022年1月30日に2017年以来となる中距離弾道弾の発射実験を行った。1月30日に実施された発射実験は発射後ミサイルが上昇を続けその高度は2000kmに到達した上で発射地点から800km先の目標、朝鮮半島近海の日本海上離島へ正確に命中したとしている。高高度を飛翔する軌道は落下速度を稼ぐロフテッド軌道という。

 火星12型中距離弾道ミサイルと考えられるこのミサイル発射試験は、ロフテッド軌道を描かず通常高度で飛行させた場合の射程は3500kmから5500kmに達するとされる。通常5500km以上の射程のミサイルは中距離弾道弾に区分され、朝鮮半島から沖縄や東京首都圏の米軍施設は勿論、後方拠点とされたグアムの米軍施設もその射程に収めると考えられる。

 弾道ミサイル実験は2022年に入り六度目となり、この規模のミサイル実験はアメリカのトランプ政権成立の頃と重なる。当時のトランプ政権は原子力空母3隻を日本海に展開させ開戦も辞さない前例のない軍事圧力を掛け北朝鮮のミサイル実験を封じ、交渉のテーブルへ着かせたが、現在のアメリカバイデン政権はこのミサイル実験へ声明以外出していない。
■サウジアラビアのTHAAD改良
 イエメンへ弾道ミサイルを輸出しているのはイランの艦のが疑われていますがイランミサイルには北朝鮮の援助を受けたパキスタンとミサイルの闇市場の問題が指摘されています。

 サウジアラビアが進めるTHAAD最終段階高高度迎撃ミサイルMIDS-LVT情報伝達装置近代化改修をアメリカ国務省が承認しました。MIDS-LVT情報伝達装置はTHAADミサイルと防空システムを連接させるデータリンク装置ですが、アメリカの対外有償軍事供与プログラムに基づくものでありアメリカ国務省による輸出許可が必要な装備となっています。

 MIDS-LVT情報伝達装置はNATOのリンク16データリンクと同等の物で、今回の近代化改修はブロックアップグレード1 へ11基の大型端末、そして31基の携帯用端末の能力向上を含むもので、契約金額は全体で2310万ドルとのこと。サウジアラビアは2017年にTHAAD導入を契約しており、イエメンフーシ派からの弾道ミサイル攻撃に対応している。

 THAAD最終段階高高度迎撃ミサイルのサウジアラビア導入は7射撃中隊分が導入、各中隊はAN/TPY-2レーダーが2基と発射装置6基より成り、予備を含めレーダーは16基と発射装置は44基、そしてミサイル本体360発と全体で150億ドルという導入契約を結びました。中東地域では潤沢な石油資金を投じて日常化する弾道ミサイル攻撃に対応しています。

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リビウ攻撃-ウクライナ西部に戦火波及,NATOは東欧防衛強化へ四個NATO戦闘群を増強決定-ロシア軍を牽制

2022-03-28 07:01:53 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア軍はキエフなどの攻略を棚上げし東部ドンバス地域攻略に注力するとの発表がありましたが、巡航ミサイルや弾道ミサイル等による長距離攻撃は西部を襲っている。

 ウクライナ西部のリビウが大規模な攻撃を受けました。ポーランド国境に近くこれまではNATO刺激を避ける観点からロシア軍は慎重に軍事施設を狙い攻撃を加えていましたが、今回は市街地が攻撃を受けています。ロイター通信では、ロケット攻撃と報じていますが、NATOでいうロケット弾なのか、ロシア軍はミサイルもロケットと表現し判然としない。

 リビウまでロケット弾を到達させるには、航空機に対地攻撃用ロケット弾を搭載するか、または無誘導であるロケット弾は射程は精々100kmまでですのでキエフ周辺に展開したロシア軍や黒海艦隊艦艇からのRBU等のロケット弾攻撃は届きません。ただ、攻撃が徐々にNATO加盟国ポーランドとの国境に迫っている事は確かです。しかしNATOは参戦しない。

 参戦しない事による抑止力、これは先日紹介しましたAWACSなどの航空機に加え、NATO地上戦力についても当て嵌まる点があるのでしょうか。ロシア軍はカリーニングラードの一個軍団を引抜けず、極東から千島列島の一個師団から兵員を引抜いています。極東から延々とウクライナへ転進させるよりはカリーニングラードからは友邦ベラルーシまで100kmほどなのですが、ロシア軍は引抜けません。

 NATO戦闘群東欧へ更に四個を前進配備。これは3月24日のNATO臨時首脳会議により正式に決定しました。このNATO戦闘群とは増強大隊戦闘群にあたり、人員規模は1200名から1500名、ロシアのBTG大隊戦闘群よりも規模は非常に大型となっています。四個と云えば6000名規模か、と思われるかもしれませんが、その練度は極めて高い水準にある。

 エストニアNATO戦闘群、ラトビアNATO戦闘群、リトアニアNATO戦闘群、ポーランドNATO戦闘群、現在のNATO戦闘群は四個ですので、ここに更に四個を加えるというのは実質、倍増という。また、NATOの制度に理解がありませんと一見寄せ集めの部隊という印象はぬぐえませんが、加盟国が精鋭部隊を捻出しており練度と稼働率は共に高いです。

 NATO戦闘群は、かの大相撲把瑠都大関の母国エストニアに駐屯するエストニアNATO戦闘群を例に挙げますと、イギリス機械化歩兵大隊、ベルギー機械化歩兵中隊、デンマーク機械化歩兵中隊、フランス機械化砲兵、イギリス戦車中隊、イギリス偵察小隊、フランス戦車中隊、フランス工兵小隊などが配置、更に現在イギリスがWAH-64-AH1を派遣中です。

 加盟国が無理をしない範囲で派遣している、リトアニアのNATO戦闘群を見ますと、ドイツが機械化歩兵と兵站部隊など550名規模の部隊を抽出しクロアチア機械化歩兵中隊とフランス機械化歩兵中隊に戦車小隊、オランダが機械化歩兵中隊と兵站部隊、ノルウェーが増強砲兵中隊を派遣しているのですが、これは主要派遣国というもので、此処に加えて。

 リトアニアNATO戦闘群にはルクセンブルクの輸送班4名や本部業務にアイスランドから1名、通信小隊や本部業務にチェコ軍の35名や司令部広報班にベルギーから1名という数名規模の要員を派遣している国がある。どの国もローテーションを組んでいますので、交代要員が居ます。つまり、練度も即応性も段違いという。アメリカ海兵隊のMEUのような。

 ロシア軍がNATO戦闘群、現在の4個に加えて4個が新編される8個NATO戦闘群をどのように考えているかは不明ですが、これとは別にNATO指定部隊としまして各国が師団単位や旅団単位で備えています。これは見方を変えれば温存している構図、NATOにそのつもりがなくともロシアの視点に立てば、いつでもカリーニングラードやミンスク、その先をも狙える態勢で、ロシア軍に逆に強烈な圧力を加えているといえましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】百里基地航空祭二〇一二【02】RF-4戦術偵察機離陸とRQ-4グローバルホーク(2012-10-20)

2022-03-27 20:00:23 | 航空自衛隊 装備名鑑
■F-4EJ改エンジン音轟々と
 エンジンの音轟々とファントムは往く航空祭の空へ。順光と青空を背景に次々と戦闘機が離陸してゆく情景を前にまさにこの構図を撮りたかったとカメラの構え方にも気合が入るものだ。

 百里基地航空祭、茨城県の航空自衛隊基地で首都防空に当る第七航空団が展開しています。ここは航空自衛隊ファントム発祥の地であり、そしてF-15が配備開始されますと首都防空を担うべく二つの飛行隊がイーグル飛行隊に機種転換しましたが、21世紀は色々ある。

 第七航空団は21世紀に入り顕在化した中国による南西方面での軍事圧力増大を背景に、沖縄の那覇基地に配備されていましたファントム飛行隊をイーグル飛行隊へ機種転換する必要が生じました、しかし既にイーグルは生産終了となっており新規生産などはできません。

 北海道の第二航空団はロシア圧力を考えればイーグル二個飛行隊は引抜けません、小松の第六航空団も日本海の対岸が北朝鮮ですので引抜けません、九州の第八航空団も朝鮮半島最寄りの基地ですしイーグル飛行隊は一個だけですので無理、そこで首都防空が、という。

 首都防空は重要ですが、東京はペトリオットミサイルや03式中距離地対空誘導弾システムにより幾重にも防空が確保されていますし、東京に長躯接近するのは鈍重な、中には俊敏な機種も居ますが、相手は爆撃機です、そこでファントムでもなんとかなるだろう、と。

 ファントム飛行隊はこうして、一個飛行隊が那覇と交代しまして、イーグルとファントムの飛行隊となったのがこの航空祭を撮影した2012年でした。もっとも、このあともう一個の飛行隊も引抜かれまして、なんと二つともファントム飛行隊になるとか、想像できない。

 航空祭を撮影した写真、百里基地航空祭へ初めて歩み進めたのは2012年という東日本大震災の直後だったのですが、考えてみますと痛感するのはカメラ性能の向上ですね。いやカメラ撮影が長くなりレンズを新型に切り替えたのも大きいのかもしれませんけれどもね。

 SIGMA120-400OSを当時は愛用していました、150-500というものもあったのですが500mmはカメラがCANONでしたので将来にCANON純正への切り替えを考えますとCANON純正の500mmは単焦点になり手に負えません、それも色々な意味で凄いものだ。

 CANON純正の500mmともなりますと、カメラレンズ、こうひとくくりにするにはちょっとテレビや冷蔵庫と比べるには厳しいものがあります。カールグスタフ並の重さと軽自動車の値段がする。いや重さだけならば冷蔵庫や大型テレビの方が凄いのですけれども。

 ピントがなあ、とは思うところなのですが、まあ撮影できていないわけではないので。しかしこの頃はEOS-50DとEOS-7Dという二台のカメラを抱えて一方に広角ズーム、もう一つは望遠ズームという、レンズ交換の間を惜しんで撮影していたのですね。理由がある。

 18-200mmIS、CANONがなぜか絶版にしてしまいましたが、これが実は望遠のSIGMA120-400mmよりも航空機撮影に威力を発揮しました、18-200mmは絶版になり18-135mmに切り替わっているのですが、CANONの技術的な問題もあったのでしょうか。

 SIGMA120-400mmと並べて撮影すると望遠がたりないことは確かなのですがトリミングしますと使える構図と仕上がりはこちらのほうが多かったのですね。もっともこの18-200mmISについては老朽化しますとAFモーターが作動性に不確かなものがでますが。

 航空機を撮影するには可能な限り18-200mmで追いかけ、射程外に出た際のみ120-400mmを使うという。ただ、試しにCANONの純正で所謂"白レンズ"、おもしろいと思って300mmF2.8ISを購入しますと、これが凄かった。いや、技術は必要なのです、それこそ。

 300mmF2.8ISは撮影に技術が必要と云うのは、ピントが凄いですから、と実感するところが大きい。サンニッパと呼ばれるレンズ、油断すると戦闘機の誘導路を進む様子を撮影していても、気付けばターミナルにピントが正確に合っていたりしますので油断できません。

 サンニッパ、これを一眼レフに装着しますとバッテリー込の重さと云うのが4.4kgと懐かしい64式小銃並となる、しかし、解像度が素晴らしいのですよね、飛行する機体のコックピットにピントを合わせればパイロットの表情はもちろん、名札まで読める解像度でした。

 体力だなあ、と撮影を終えた後の疲れを想うのですが、昔はEOS-Kiss-Nに18-55mmと70-300mmISという軽量装備、それこそ小さなカメラバックに入る機材で適当に撮影していたものを、流石にサンニッパレンズだけで昔の機材より重いのだから疲れは当然と知る。

 28-300mmIS、ああこれをレンズ沼というのだなあと実感しつつレンズをも一つ、18-200mmの望遠版のようなものを調達しまして、初めて使ったのは確か千葉の下志津でしたけれども、これも凄かった。なによりも撮影する全ての焦点領域をほぼカバーする。

 白レンズの一翼を担う28-300mmISを本格的に運用しますと、あっというまにSIGMAは、いいレンズですよ、予備機種となる。28-300mmISと120-400mmOSでは400mmの方が望遠は利くのですが、なにしろ使える構図の比率となりますと白レンズはやはりすごいや。

 100-400mmIS2、しかし驚くのはこののちに発表された新型レンズで、ズームレンズですのでサンニッパと比べれば軽量なのですが、性能がサンニッパに迫る、八割くらいか、描写力がありまして、これがEOS-7Dmark2と相性抜群だったのですよね。買ってよかった。

 思い起こせば、過去の幾つかの行事に際して、この性能のレンズやカメラがあればなあ、そう思い返すこともあります。もっともそれは思い返す土台となる過去の写真があるからこそ。やっぱり写真というものは思い出を長く新鮮なままとできる、良いものなのですね。

 偵察航空隊。RF-4の離陸です、大災害となりますとこのRF-4が緊急発進し写真偵察を行い、政府や自衛隊災害派遣部隊の情報収集に役立てる、というものはある時期では定番で、例えば映画の日本沈没や平成ガメラシリーズなどでも描かれていた描写であったのですね。

 RQ-4グローバルホーク、ようやく2022年3月に日本へ到着しました後継機ですが、この偵察航空隊は2020年3月に廃止されていまして、いやはや、この2020年から2022年にかけて、東日本大震災のような大災害が起きなくて本当に良かった、冷冷やしていました。

 RF-4戦術偵察機の前にはRF-86という第一世代戦闘機であるF-86戦闘機の派生型を配備していたのですが、このRF-86を運用する部隊として1961年に第501飛行隊が創設されていまして、1962年に基地を入間基地へ移動しています。移動には偵察機の特性があった。

 戦術偵察機、この機体には航空祭を撮影するカメラの親分のような巨大なカメラと、こんなフィルムを使ってみたいという撮影者の夢と自分で現像しないからだよという事業者の視点のようなフィルムが搭載されている、これで目標を撮影し、画像情報を得る訳ですね。

 松島基地で創設された背景には、当時F-86戦闘機の教育訓練部隊が置かれていた為なのですが、当時も今も、今と云うのは撮影時点のRF-4があった時代、フィルムを撮影しましたらば現像せねばなりません、そして現像した画像を送るまでが第一段階となるのですが。

 入間基地へ移転した背景には、松島基地を基点に運用し、そして偵察機舞台に現像処理施設があるのですから現像も松島で行う必要がありますが、その現像した画像を伊達正宗公に見せるならば宮城県内ですが、東京の安倍総理大臣(当時)に見せるには少々距離が遠い。

 東京に送るには入間基地が最適です。府中基地の方が近いといわれるかもしれませんが、滑走路が無い。FAXを使うべきと指摘されるかもしれませんが、この戦術偵察機の巨大なフィルムで撮影した画像はあまりに高精細で、FAXでは難しい。今の光ファイバーならば。

 写真偵察は航空祭でも展示飛行を行うのですが、なんと驚く事に二回に渡り上空を航過飛行し、その後で現像し格納庫で展示するというものなのですが、航空祭に来場していた、恐らく五万六万の観衆、私も含めカメラバックまで判別可能なほどに写っていたのですね。

 偵察画像、今の光ファイバーならばデジタル化して送信できるのかもしれませんが、まあ1961年の技術では感熱紙を使って送る伝送技術では無理と云わざるを得ません。そこで松島基地から入間基地へ移転されたのですが、その後にやや離れた此処百里基地へ移転した。

 茨城県で遠くなったのではないか、こう指摘されるかもしれませんが残念な現実が。当時入間基地の滑走路はF-86戦闘機の発着には対応していたものの、F-4戦闘機の重量や最大装備の発着距離も、不充分という状況があったのでした。仕方なく1972年に移動します。

 第501飛行隊は百里に移転しましてRF-4戦術偵察機を運用するのですが、これはRF-86とは段違いの高性能で速度も生存性の高さも凄かったのですが、なにより夜間偵察が可能になったのが大きかったようです。一方、偵察航空隊分遣隊としてRF-86も暫く残った。

 偵察航空隊分遣隊というかたちで入間基地に一定数のRF-86が配備され、RF-4とともに二機種運用が行われていました。そんな時代も在った事を考えると、後継機が配備される前に偵察航空隊が廃止され、その後数年間に渡り綱渡りを行った、背筋が寒くなるよう思う。

 F-2戦闘機あたりを暫定的な戦術偵察機に応用できなかったのか、個人的にはこう思います。なにしろ支援戦闘機として開発されたF-2には目標情報が不可欠なのですからF-2をRF-2というような専用機に改造しなくとも、既存のF-2に偵察ポッドを装着するだけでも良い。

 MS-110広領域空中偵察システム。我が国では東芝がRF-15偵察機用偵察ポッドの開発を試み、そして失敗し偵察機は一時なかった事になりました、空幕広報の方も一時期偵察機を話題にすると笑顔を曇らせましたほど。しかし世界にはMS-110のような既製品がある。

 東芝もこうした技術に果敢に挑んだのは評価しますが、東芝はガソリン車や旅客機に手を出さない様に、未経験の分野にいどむには、例えばM&Aで経験ある海外企業を子会社化するとか、航空技術事業部を立ち上げて充分研究する、この手間を省いて、防衛が危機に。

 MS-110広領域空中偵察システムはF-16戦闘機用のポッドでレイセオン社が開発しました、戦術偵察機はRQ-4と比較しますと、広域防空ミサイルの脅威状況下でも敵戦闘機が接近する状況でも偵察が可能です、RQ-4で対応出来るならば戦闘機でなくとも空中戦が出来る。

 有事はいつ起きるか分らない、それは東日本大震災のような形で在るかもしれないしロシア軍ウクライナ侵攻のような状況が北海道周辺で起こるかもしれない、だからこそ何とかなるだろうと考える事は安全保障の基本以前を理解していない事になる、そう思いました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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