北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G7X撮影速報】DDG179MAYAイージス艦まや進水式と横須賀探訪記(2018-07-30)

2018-07-31 20:04:20 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■生まれ変った摩耶様の本当の力
 まや型護衛艦、新しいイージス艦27DDGの艦名は護衛艦まや、となりました、2020年竣工予定で、二番艦は来年進水式を迎えるとのこと。

 新護衛艦まや、IHIマリンユナイテッド横浜工場の後身ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場において進水式を迎えました。8200t型ミサイル護衛艦として建造が進められた第七のイージス艦、その艦名は重巡摩耶が踏襲された訳です。北大路機関摩耶資料室として摩耶を掲げる我が機関でも、摩耶が護衛艦まや、として受け継がれたことは喜びの至り。

 横須賀基地、台風の影響で諸事情から北大路機関創設13周年記事の目玉に横須賀横浜探訪を企画していたのですが台風12号の日本本土接近、しかも西側へ進むという久々に不思議な進路を取る台風の接近で有耶無耶になりかけていました、数日離隔しましたが、台風一過の青空をこうして撮影することが出来た、青空がいいですね。

 いずも、逸見桟橋に係留、そして今週末に迫る横須賀サマーフェスタの準備らしき動きも散見できました。満載排水量27000tの護衛艦の威容はなかなかのもので、横須賀を代表する情景といって過言ではないでしょう。しかも入道雲が夏らしい情景を醸し出しています。逸見桟橋の奥には吉倉桟橋の護衛艦も望見できる。

 いかづち、吉倉桟橋には複数の護衛艦や補給艦が係留されています。奥にはイージス艦の姿が見えまして、ようやく日本海での北朝鮮弾道ミサイル警戒任務が一段落し、もちろん北朝鮮の核廃絶への行動はこれから始まる段階でしかないのですが、日本海から母港横須賀基地へ戻ることが出来た、という。

 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦、世界でも数少なくなった巡洋艦です。これも時代の流れ、といわれればその通りなのですが、船体を大型駆逐艦として建造されたスプスーアンス級駆逐艦を流用し、多機能防空システムであるイージスシステムを搭載した最初の一群、27隻が建造された巡洋艦の一隻です。一時は除籍も検討されましたが、延命へ転換したとのこと。

 おやしお型潜水艦、海上自衛隊は現在潜水艦戦力を増強中で、従来16年という短期間で第一線を退かせるという運用を行っていた海上自衛隊でも、護衛艦と同程度の期間を運用ということでその勢力の強化につとめています。16隻から22隻へ増強するとの指針ですが、潜水艦要員教育体制の拡充があわせて求められている事も忘れては成りません。

 横須賀地方総監部、いずも、と並びますと風格が護衛艦に圧倒されている、というところですが、それだけ護衛艦が大きくなった、ということでしょう。当方などは1998年に佐世保基地で初めて見上げた強襲揚陸艦ベローウッドが自分の高校の校舎よりも巨大で、圧倒された思い出があります、今の子は日本の艦の大きさで圧倒できる訳だ。

 むらさめ、きりしま、すずつき、ときわ、横須賀基地吉倉桟橋での情景、全艦艦尾を向けているため、横須賀軍港巡り遊覧船に乗船しましたらば、なかなか勇壮な艦隊を撮影できたのかもしれません。しかし、そろそろ移動しなければ、新護衛艦の進水式に間に合いません。JR横須賀駅を横須賀線で磯子駅へ向かう。

 おおなみ、ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場へは護衛艦たかなみ型の一隻が入渠していました。最初はこれがイージス艦か、と思いつつ、よくよくみればラティスマストが特徴的な存在感を示している、8200t型護衛艦は、イージス艦あたご型と同じモノポールマスト構造を採用しているため、こんな艦容ではありません。

 さんふらわきりしま、ここにも霧島が、と思いつつよくよくみてみますと、さんふらわきりしまファンネル部分の奥に特徴的なモノポールマストが、そして満艦飾が為されているのが見えます。まったくみえない、とはこのことですが、見えないのであれば仕方がありません。進水式まで一時間ほど時間の余裕がありますので待つことに。

 うるま、海上保安庁巡視船の姿も見えました。ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場はIHIマリンユナイテッド横浜工場時代から、ひゅうが、いせ、いずも、かが、と全通飛行甲板型護衛艦を建造した名門、石川島播磨重工東京工場時代にはヘリコプター搭載護衛艦ひえい建造も担っています。そして海上保安庁最大の巡視船である巡視船あきつしま型の建造もここでおこなわれているのですね。

 まや、艦名が重巡摩耶を継承したことは発表されたのですが、僅かに動いただけで、まや、船渠から出てくる気配がありません。進水式から二時間ほど待ったのですが、残念ながらこの日に出てくる様子がありませんでしたので、最新鋭艦はもう少し後で全容を撮影することとしまして、横須賀で撮影もしたことですし、残念ではありますがまた近く横浜は行く予定ですので、撤収することとしました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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新型装甲車/装輪装甲車-改開発中止(考察3)高過ぎる防御要求仕様,不正では無く開発失敗

2018-07-30 20:12:23 | 先端軍事テクノロジー
■小松技術陣,車幅2.5mに挑む
 装輪装甲車-改、試作車を一見して高すぎる車高ではありましたが、開発中止は残念でもあり、しかし装備実験隊の英断であったり、と思う。

 三菱自動車の燃費不正問題や日産自動車不正検査問題が続きますと、新型装甲車も不正か、と思われるかもしれません。ただ、本件は不正も偽装もないといえるかと。論拠はあります、小松は耐弾試験場を持っていません、当たり前ですが戦車砲も機関砲もロケット弾も耐弾試験用とはいえ民間企業が実弾射撃できる環境はありません、不正のしようがない。

 防衛産業にとり難しいのは自前で評価試験を行おうにも実弾を使えない点です。国内で使えないのならば海外に持ち出して重機関銃で売ってみれば良いと思われるかもしれませんが、銃刀法枠外の海外で試験場を確保しても日本国外に持ち出す場合は経産省に武器輸出に当たる持ち出し申請が必要となる、開発中の防衛装備品を持ち出せるとは思えません。

 新型装甲車の受注に当って、勿論、小松製作所としては計算上、爆薬量から爆風と破片被害をシミュレーションし、耐えられると算定した筈で、不正の意図や偽装、そもそも試験出来ないので偽装しようがなく、こうした意図は無かったと思います。逆に防御力に問題があるまま制式化していればそちらが問題、制式化断念は不正に繋がらなかった故とも。

 開発失敗、それでは原因は何か、開発費は税金を投入しているのですから問題は此処です。しかし、今回の要因は防御力の要求が高すぎたのではないか、というものが率直な印象です。ストライカー装甲車は車幅2.7m、フランスのVBCIが2.98m、ドイツのフクスも2.98m、イタリアのフレシアは3.3m、と車幅2.5mの分隊用装甲車は世界的に見て非常に少ない。

 防御能力、実は海兵隊のLAV25は基本能力が7.62×39mm弾の耐弾でして、62式機銃の7.62×51mm弾ですと貫徹するのですよ、一応12.7mm普通弾に耐える要求仕様の96式装輪装甲車の方が防御能力が高く、しかし今回の新型装甲車は同じ車幅で、より高い防御能力を要求しました。この要求は世界的に見ても常識外の高い防御能力要求だった訳ですね。

 新装輪装甲車開発の遅延、耐弾性能が必要値を下回った為、二年間の開発期間延長という理由が示されていますが、新装輪装甲車は従来の96式装輪装甲車よりも車高が1m以上高く、16式機動戦闘車を超えます。当然ですが機動戦闘車との直協を行う際、車高が高ければそれだけ遠距離から位置が暴露するため、敵対戦車火器の餌食になる危険性が高まる。

 車高が高い事は野戦では自車の生存性を脅かすだけではなく、協同する機動戦闘車の位置を暴露するため、できれば離隔距離を置きたい状況となりましょう、が、それでは普戦協同が成り立ちません。車高の問題は頭が痛いものでして、例えばイスラエル軍が長年装甲戦闘車を制式化しない背景には、車高が高く戦車含む機甲部隊の隠密性を損なう為とも。

 ストライカー装甲車、国産車両が駄目ならば海外製装甲車を導入、という試案一つの選択肢となるのでしょうか。米陸軍が2003年より大量配備している装輪装甲車で、もともとはミディアム旅団構想として軽歩兵主体の軽旅団と機甲部隊主体の重旅団の中間を担う装備体系の確立へ選定されたもの。スイスのモワク社製ピラーニャシリーズのLAVⅢが原型だ。

 ピラーニャシリーズの中でも、カナダのGMカナダ社が製造するカナダ軍向けLAVⅢを多数の候補から、多数というのはオーストリア製パンドゥールやキャデラック製四輪装甲車まで含めてですが、選定の上決定しました。12.7m遠隔操作式銃搭を採用しており、近年では下車歩兵支援強化の観点から30mm機関砲無人砲塔搭載の評価試験が進められている。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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Weblog北大路機関創設13周年 ありがとう!榛名-鞍馬研究室創設13周年記念記事

2018-07-29 20:00:00 | 北大路機関特別企画
■感謝!阪急十三駅から十三周年
 むらさめ型、たかなみ型、あきづき型護衛艦の全艦写真とともにWeblog北大路機関13周年記念記事を。

 本日Weblog北大路機関は創設13周年となりました。阪急十三駅で創設され13周年、十三駅で13年も続くWeblogを創設するとは当時はなかなか想像できなかったものです。当時の回線速度は128kbpsとPHS回線の細さゆえに写真一枚を上げるのに実に五分を要していた訳で、今日はWIFI回線により数十枚を一括で上げられ、まさに技術進歩を痛感します。

 2005年当時は、護衛艦はるな現役、護衛艦ひゅうが命名前の16DDHと呼称されていた時代、なかなか次期戦闘機はF-22かEF-2000かが定まらず、90式戦車の後継TK-Xは開発中、89式装甲戦闘車が細々量産継続され、北朝鮮は核開発疑惑の時代で核実験はまだ、中国の海洋進出と言いましても中国海軍は佐世保基地の護衛艦だけで圧倒できた当時でした。

 国際情勢は今よりも安定とも不安定とも言えず、中東はイラク戦争後の動乱期にあり自衛隊イラク派遣、テロの脅威は2001年同時多発テロ後の過激派分子を海上自衛隊の護衛艦と補給艦が海上阻止行動へ監視支援を行っていた時代でした。日本と中国は靖国神社参拝を中国が突如政治問題化した以外安定、ロシアと欧米の対立もまだ無く、実に安定したもの。

 米軍再編、当時の安全保障上の最大の課題はアメリカのブッシュ政権時代に全世界への米軍展開という冷戦時代型基盤を、緊急展開能力の強化と主要装備の核心的軽量化に依拠し少数の戦略拠点を強化する事で逆に大兵力を米本土へ帰還させ、抑止力の在り方を転換させるという一大改革が行われ、大学部内においても多角的な検証を行われていたものです。

 安全保障問題を扱うという北大路機関は元々、米軍再編が日本の将来的な安全保障問題、当時の小泉内閣が進めるミサイル防衛への着手に伴う防衛費比重の変容に伴う重戦力削減、在沖米軍基地問題への影響、アメリカ外交のモンロー主義への回帰の可能性、日ロ関係と将来的な北方安全保障、これらを地域研究や政治文化と政治学等から研究するものでした。

 モンロー主義への回帰は即ちポストパクスアメリカーナの国際秩序の模索であり、同時に次の国際秩序は現在の国際公序、自由と公正、世界の価値観を置き換えるものか、という視点からロールズの正義論とウォーラーステインの帝国論、アガンベンの例外状態を議論したものでした。モンロー主義回帰は期せずしてトランプ政権が指向しているともいえる。

 ポストパクスアメリカーナが単極主義を指向するのか、多元主義に転換するのか、国家アクターの位置づけは変容を強いられるのか、多国籍企業や近年では仮想通貨、多国間条約から原則宣言に基づくソフトローによる規範形成が国家の国際政治における行動を制約しないまでも方向性を示し、しかし国際政治が世界政治へ転換するのかも大きな議論でした。

 北大路機関、当時Weblogという新機運は簡易HPという位置づけにあり、しかしHPと比較し、恰も日刊紙の如く新記事を掲載できるという特色と、なにより立ち上げが阪急神戸本線特急から京都本線特急に乗り換えるまで、短時間で立ち上げられるという意味がありました。そして北大路機関ではなくWeblog北大路機関とするのは偶然が左右した訳ですね。

 京都本線乗換、これですと数分ですが通勤車丸出しの8300系や当時新鋭の9300系ではなく2扉クロスシート車の6300系が梅田から戻るまでの時間を利用して、しかし確かに電車の待ち時間で立ち上げることが出来るという利点がありました。駅のホームでPCバックの上で東芝Dynabookを立ち上げまして、PHS回線で十数分か二十数分か、立ち上げた、と。

 Weblog北大路機関は毎年7月29日に記す通り、神戸での大学行事打ち上げからの宴の帰路に、紹興酒を何本も、一説には七本、頂いた後でのWeblog立ち上げでしたので、当然、北大路機関という自主ゼミをそのまま公式Web化したものではりません、しかし、当方独断であったからこそ、かなり論点を防衛安全保障に絞れたとの意味があるやもしれません。

 クラズナーやヤングのレジーム論やグンダーフランクと概念を毎日紹介する、というWeblogも、そうした記事を望む声が実際に軍事記事よりも関心度が深いとして求める声も幾度か投稿されましたが、流石に毎日更新するは荷が重すぎる、第一回から熟読しなければ全体が掴めない、図式化が必要、最低24名の論者が必要、と13年続いたかは疑わしい。

 理論系記事は例えば10000字程度の理論を一週間に分割して今週の視点、と掲載する選択肢もあるのかもしれませんが、労力としては重い。防衛安全保障は、関心事として挙げる方も多いですし、時事問題とも連接している、知識としては需要がありますし、なにより当方広げたWeblogですので当方が撮影した写真を用いる事が出来る、長続きした理由です。

 2010年代にはいりツイッターやフェイスブックなど、個人の情報発信手段は多様化していますが、分析記事というかたちでの比較的長文を掲載する手段として、Weblogの利点は些かも陰りはありません。ただ、流石に時間の自由度が限界となっていましてWeblog最大の利点である双方向性、コメント投稿への返信の返答が滞っているのは何とかしたいもの。

 誤字脱字は毎年記載していますが、多少は減ったものでは、と。しかし、添削一度で減るといわれましても掲載に欠落を空けない事を第一としており、事実上予約投稿と書き下ろし記事とに二分化する掲載の中で前者の比重が年々高まっており、毎日掲載を優先しますとどうしても、限界がある事は否めません。時間捻出の黄金律を探したい一方、難しい。

 書籍ではなくWeb掲載なのだから掲載後に修正したらば良い、という御声も頂きますが、草創期からご覧の方はご存知の通り、一度添削しますと、持論を曲げた、と誤字脱字修正でも強い声がありました過去がありまして、基本的に本文修正は行わず、しかし、修正記事を新編しますと補正記事乱立となる為、基本は予備Weblogにて対応する事としています。

 第二北大路機関創設10周年、2008年2月に予備Weblog創設、今年10周年を迎えました。当初は阪急と名鉄、舞鶴基地と岐阜基地、非常に限られた内容の予備Weblogという扱いでしたが、現在は時事情報論評、旅行記事連載、報道備忘録、記事補完、本文投稿返答、と役割を増大させています。13周年の今回より順次末尾にURLを追記する事としました。

 Weblog北大路機関はword文書1頁分1440文字程度を毎日掲載の目安としていますが、ただ、第二北大路機関に掲載する内容、数行程度のものを集め写真三点記事と区分しています短い記事が元々のWeblog北大路機関の記事であったようにも思える今日この頃です。日曜特集は2500字程を要しますので、少々文面に無理が生じているのはご容赦のほどを。

 最後になりましたがここまでの13年間、Weblog北大路機関が掲載を維持できてきましたのは読者の皆様のご高覧があってのものです。昨日28日のアクセス解析によればGooブログサービスでは2,834,132ブログ中62位とのことで、大きくなったものだと驚かされ、拙い文章と写真ではありますが、今後ともWeblog北大路機関をよろしくお願いいたします。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G7X撮影速報】富士学校-富士駐屯地創設64周年記念行事,戦闘偵察大隊(2018-07-08)

2018-07-28 20:03:26 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■戦車教導隊連隊改編前年行事
 今年度の富士駐屯地祭は戦車教導隊の機甲教導連隊改編前年、そして戦闘偵察大隊という戦車部隊を置き換える新部隊の概要が示された節目の行事でした。

 部隊訓練評価支援隊、富士学校隷下となりまして本年から式典に参加するようなっていたことが新しい展開でしょう。昨年までは隊員だけの参加でしたが今年は戦車と装甲車が参加していました。評価支援隊、第1機械化大隊を隷下におく自衛隊版風雲たけし城、だ。

 全国の戦闘部隊が有する戦闘力や任務遂行能力と指揮官の力量を試す登竜門で、富士トレーニングセンターFTCを北富士駐屯地に置き、仮設敵部隊である第1機械化大隊を滝ヶ原駐屯地におき、滝ヶ原駐屯地ではT-74戦車、74式戦車の仮設敵迷彩車両でお馴染みです。

 T-74戦車が、例年置かれていない戦車教導隊の待機車列に並んでいたため、式典会場ではちょっと話題になっていた。風雲たけし城、とは穏やかではありませんが、これは即ち地の利を知り尽くし、精鋭中の精鋭を選抜して編成された仮設敵部隊が置かれているため。

 仮設敵部隊の名は第1機械化大隊です。第1機械化大隊と全国の戦闘部隊が戦うと、レーザー飛び交う仮想戦場において風雲たけし城攻略を試みる谷隊長隷下の集った精鋭が完膚無きまでに全滅するような厳しい結果となるためで、ここから精強な部隊が育てられる。

 第1機械化大隊は戦車中隊と96式装輪装甲車、いやBTR-96装甲車装備の2個普通科、いや自動車化狙撃中隊の、もとい普通科中隊でいいのか、機械化大隊の名にふさわしい陣容です。火力戦闘部隊は省かれていますが、演習場ではこれらは訓練装置にて再現されます。

 富士教導団、改編が行われているようです。普通科教導連隊は改編により対戦車中隊が廃止されたもよう。その分、普通科教導連隊の各中隊に対戦車小隊が増設されていたもよう、これを示すように観閲行進の祭、射程8kmの中距離多目的誘導弾が配備されていました。

 連隊を改編するのであれば、どうせならばAAV-7水陸両用車を装備した普通科教導連隊第5中隊を創設すれば良いのに、水陸機動の重要性を考えれば富士学校へのAAV-7配備の必要性を考えるのですが、前日にここから最寄りの海岸、沼津での揚陸訓練をみた為の思い。

 考えてみれば自衛隊員定数がそのまま増員無しのまま佐世保の相浦に水陸機動団を新編したのです、富士学校からも少し、つまり実体としてはかなり、間引いたとしか考えられません。逆に数千人の部隊をほぼ増員無に創設できるほど、陸上自衛隊に余裕はありません。

 水陸機動団は重要ですが、第7師団の機甲師団改編のように師団改編で対応できなかったか。例えば、福岡の第4師団を水陸機動師団に改編し、戦車大隊を水陸装甲大隊に、普通科連隊を水陸機動連隊、そして飛行隊をヘリコプター隊へ改編すれば、対応できましょう。

 冷戦時代から言い続けられていた事ですが、慢性的な定員割れと装備定数不足に進まない機械化、この中で部隊再編で低充足部隊と高充足部隊に分化する事を容認し後者のみ脅威正面へ再配置するという綱渡りにて防衛力を抑止力として維持して来まして、今日に至る。

 行政機構という視点から見た場合、しかし実態に合わせて師団数を旅団に縮小改編しますと、公官庁として課長級幹部職員数を減らす事となり、人員を縮小した分の予算を縮小し、結果的に定員割れの現状の総合的防衛力よりも、完全充足の防衛力が下回りかねません。

 自衛隊を考える場合自衛隊も日本の公官庁の一つなのですから行政機構論から分析しなければならず、純軍事的に理想論を説いたとしても、これは単なる地を離れた理想論に過ぎません、太平洋戦争勝っていれば、論理に近く、公官庁では幹部職員数の階梯は重要です。

 閑話休題、しかし、富士教導団と同程度の装備が本土の師団へ配備されていたならば、例えば富士教導団型の機械化混成団と方面混成団型の即応予備自衛官主体の混成団を二つ合わせ、人員規模よりも有事の増員態勢に依拠した質的充実を目指すべきではないか、と。

 富士学校祭の装備を見ますと、全部隊の模範たれ、との機運を目指しつつ、しかし、北海道と九州の一部部隊を除く全国の部隊と装備の内容に現実とかい離した部分があるのではないかと危惧します。もっとも首都近郊部隊の前述した意義はあるのですけれども、ね。

 G7Xにて撮影、一眼レフEOS7Dを時々G7Xに持ち替えて撮影したため、やはり珠玉の一枚という瞬間はEOS7Dのほうに詰まっています、G7Xはコンパクト機種としてはもっとも使いやすい機種で、使いやすいとは、高性能でも世界最小でもなく、主観的なもの。

 G7Xを表現する際に用いる性能、使いやすいとは、各種性能の均衡がとれているという意味なのですが、いいカメラです。しかし、富士学校祭のような状況ですと、レンズを状況には最適なEF28-300mmISに切り替えたEOS-7D,つまり一眼レフの独壇場なのですね。

 そして富士学校祭は昨年から訓練展示の内容がよく練られている。しかしコンパクト機種では流石に撮影を追随するには限度を超えているようにも思いました、高性能ではありますが35mm換算で24mmから105mmという焦点距離、故に遠い被写体は撮れません。

 訓練展示は評価支援隊の第1機械化大隊が仮設敵を務めいきなり戦車教導隊第3中隊の90式戦車が第1機械化大隊の74式戦車に撃破されるという急展開でした、流石は仮設敵部隊、執拗に逆襲と遅滞行動に迂回機動を繰り返し、最後は我が特科陣地へ戦車が肉薄する勢い。

 戦闘偵察大隊、まもなく北海道を除く全国の師団旅団の戦車部隊が廃止され、代わって新編される部隊、富士学校祭の訓練展示模擬戦で登場しました。気になる編成は偵察中隊と機動戦闘車中隊が基幹部隊、との説明でした。即応機動連隊火力と機動力で三分の一、と。

 偵察隊を廃止した戦車大隊の要員で増強し、16式機動戦闘車と87式偵察警戒車を中隊ごとに配備する、ということでしょう。しかし、威力偵察をおこなうならば、偵察中隊と機動戦闘車中隊に加えて情報中隊と無人偵察機小隊が必要でしょう、これで大丈夫なのかな。

 戦闘偵察大隊、現行の提案では前衛を突破できない、普通科連隊本部管理中隊の情報小隊を増強したような軽装甲機動車中隊が戦闘偵察大隊には必須です。しかし、現在進められている戦車部隊の本土師団からの廃止を一時見送れば、また違ってくるのかもしれません。

 16式機動戦闘車は、訓練展示で大活躍しました。空包が74式戦車と同規模、同じ弾薬を使用しているとも聞きますが兎に角10式戦車や90式戦車の空包よりも発砲焔も炸裂音も遥かに大きい、そして縦横無尽神出鬼没の機動力を発揮、新装備の将来性を期待させました。

 105mmの機動力、戦闘偵察大隊ではなく機動戦闘車大隊として集中運用したらば、或いは、と考えたのですが、むしろ敵の前衛を突破し主陣地の陣容と戦闘能力を解明し主力の攻撃に資する運用、この任務には続々と改編される即応機動連隊の方が最適かもしれませんね。

 富士教導団の訓練展示、凄い迫力なのですが、前述の通りG7Xでは追随できません、刹那の瞬間を確実に撮影するにはEOS-7Dではければ無理だ。ですから、珠玉の瞬間がG7X撮影速報にでていないのはご愛敬、ということで、日曜特集等でお伝えできればと思います。

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平成三〇年度七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2018.07.28-07.30)

2018-07-27 20:06:36 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 台風12号が摩訶不思議な進路で本土へ迫る中、皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の行事を紹介しましょう。

 平成27年度護衛艦、新しいイージス艦が30日月曜日に横浜で進水式を迎えます。あたご型護衛艦あしがら以来の新造イージス艦、進水式は一般公開行事ではありませんがIHIマリンユナイテッド横浜工場において執り行われる進水式は対岸の横浜磯子海釣公園から望見する事が出来まして、磯子海釣公園へは京浜東北線磯子駅から路線バスが運行されています。

 まや型護衛艦まや、たかお、と続くのか、ひえい型護衛艦ひえい、はるな、と続くのか、あおば型護衛艦あおば、きぬがさ、と建造されるのか、ひゅうが建造の際に見送られた護衛艦あかぎ、あたご型建造の際に見送られた護衛艦ながと、気になりますが現在運用しているミサイル護衛艦はたかぜ型2隻の代艦に当り、はたかぜ型は練習艦に転籍予定という。

 館山航空基地ヘリコプターフェスティバル2018、千葉県南端の海上自衛隊館山航空基地の航空祭です。館山航空基地はSH-60J/K哨戒ヘリコプターを運用する東日本の哨戒ヘリコプター部隊総元締めである第21航空群と館山救難隊が展開していまして、首都圏の千葉県とはいえ南端となりますと東京駅から少々房総特急で時間を要しますが行く事が出来ます。

 SH-60J/K哨戒ヘリコプターの展示と共に航空基地に隣接して多用途支援艦えんしゅう一般公開も予定されているとのことですが、少々心配なのは台風12号の動向です、日本本土を直撃する経路は必至と見られ、場合によっては太平洋上から遠州灘と熊野灘方面より本土に上陸、大きく向きを変え山陽方面へ向かう経路を採る予報が示され、注意を要します。

 稚内分屯基地開庁64周年記念行事、宗谷海峡の対岸にロシアを睨む稚内は北方防衛の最前線です。航空自衛隊第18警戒隊のレーダーサイトが置かれる稚内分屯基地の開庁記念行事です。陸海空自衛隊が部隊置く三自衛隊共通施設として機能、分屯基地に隣接し陸上自衛隊第301沿岸監視隊や海上自衛隊稚内分遣隊が置かれ、日夜警戒監視任務を行っています。

 自衛隊夏祭り一般公開、海上自衛隊艦艇広報、全国で執り行われます。夏祭りや盆踊りは文字通り自衛隊施設を開放しての夏祭りで戦車や火砲は出てきませんが中々に楽しげな催し、ただ、長躯駆けつける行事というよりは地元向けの家族向け交歓行事です。艦艇広報は入港地での護衛艦一般公開、午前と午後に艦上を一般公開、予約は基本必要ありません。

 艦艇広報土曜日日曜日一般公開は以下の通り。ミサイル艇くまたか北海道稚内港中央埠頭一般公開、ミサイル艇わかたか北海道ウトロ漁港特定目的岸壁一般公開、補給艦ましゅう北海道釧路港耐震岸壁一般公開、ミサイル艇わかたか北海道網走港第3ふ頭2号岸壁一般公開、護衛艦すずなみ秋田県秋田港中島埠頭2・3号岸壁一般公開、詳細は各地本HPへ。

 艦艇広報土曜日日曜日一般公開このほか、多用途支援艦ひうち新潟県小木港北埠頭2号岸壁一般公開、護衛艦ひゅうが富山県伏木富山港伏木地区万葉3号岸壁一般公開、第13回自衛隊みなと祭り護衛艦さわぎり鹿児島本港区北埠頭一般公開、多用途支援艦あまくさ-輸送艇1号鹿児島県米ノ津港アルコール埠頭岸壁一般公開、日時は各地本HPご覧ください。

 火曜日31日の艦艇広報は、ミサイル艇わかたか北海道根室港本町岸壁一般公開、ミサイル艇はやぶさ福井県敦賀港 桜F岸壁一般公開、8月1日より護衛艦すずなみ函館港港町埠頭一般公開、2日木曜日にはミサイル艇わかたか北海道釧路港東港区耐震岸壁一般公開、3日金曜日にはミサイル艇わかたか十勝港 第4埠頭第1岸壁一般公開等が執り行われるとのこと。

 さて撮影の話題、自衛隊関連行事、猛暑の中でも執り行われますが、勿論部隊整列や観閲行進を行ういわゆる伝統的な駐屯地祭は気温40度近くまで登る最中では流石に行われませんが、艦艇広報等、かなり暑い季節の熱い時間帯に行われる行事はあります。このあたりの体温以上の気温となる中で温度管理を甘く見ていますと、冗談抜きで生命さえも、左右する状況となる。

 冷却グッズ、という要するに冷却材や冷感スプレー等は販売されていますが、自衛隊関連行事となりますと冷却材は長時間高熱の外で冷却性能を維持できるかはあ安く、冷感スプレーについては効果が一時的であると共に大量に持ち合歩き雑踏で使用する事は少々限度があります。そこでかなり役立つのは冷凍ペットボトル飲料と温くとも補給用飲料水です。

 直射日光に半袖は涼し気ですが確実に日焼けしますし、日焼けは度合の違うだけでやけどの一種ですのでこの危険性も無視できません、状況によっては暑くとも長袖の方が優れているかもしれません。そして帽子、必要性は充分理解していても曇天の朝や涼しい早朝の出発に忘れるという事はありますので、こうした場合は躊躇なく現地調達すべきでしょう。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・7月29日:稚内分屯基地開庁64周年記念行事…http://www.mod.go.jp/asdf/wakkanai/index.html
・7月29日:館山航空基地ヘリコプターフェスティバル2018…http://www.mod.go.jp/msdf/tateyama/
・7月30日:平成27年度護衛艦進水式-命名式…http://www.mod.go.jp/msdf/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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西日本豪雨(平成三〇年度七月豪雨),数十年一度の豪雨災害頻発へ全地形車両BV-206の必要性

2018-07-26 20:18:59 | 防災・災害派遣
■巨大水害は最早想定外ではない
 大災害の度に思うのですが個々人の努力や現場の頑張りでは対応に限度があります、必要な装備が充分な数で必要と思う、例えばBV-206のような装備が。

 西日本豪雨災害、改めて必要性を感じるのはBV-206のような全地形車両です。全地形車両とは普段の生活ではなじみがない車両ですが、要するにどこでも走れ、水上浮上航行性能があり、山間部などでの登坂能力が高く、履帯駆動方式により雪上を含めた不整地突破能力も十分あり、連接車輌構造を採用しており急傾斜地での横転可能性を抑えた車両です。

 水陸両用車輌、仮に西日本豪雨災害のような災害は数十年に一度であり2030年代や2050年代までは当面再来は無い、という根拠でもあれば別なのですが、数十年に一度の豪雨が、広島豪雨災害や九州北部豪雨災害と北関東豪雨鬼怒川水害のように毎年発生する災害という念頭で真剣に考えるならば、自衛隊は勿論、消防や警察にも多数が必要となりましょう。

 国内法ではしかし水陸両用車は非常に面倒な事情があります。自動車登録と船舶登録が二重に必要、自衛隊の94式水際地雷敷設車を見ればわかるように自動車ナンバーと船舶番号が両方記されているのはこのため。車検と船舶検査が定期的に必要ですし、操縦にも自動車免許に加えて船舶免許が必要となります、一両二両は兎も角、簡単に数は揃えられない。

 全地形車両はこの点、水には浮くのですが推進装置は履帯が水を掻いて前に進むだけですので船舶ではありません、その分水上での速度は低く、当然、スクリュープロペラで航行する水陸両用車程水上は得意ではありませんが、浸水地域や海岸線で起動するには十分な機動力がありますし、何より船舶ではありませんので、大型免許があれば運転可能です。

 総務省はレッドサラマンダーとしてシンガポール製ブロンコ全地形車両を一両保有していますし、国土交通省北海道開発局は湿地帯用に保有、航空自衛隊も輪島のレーダーサイト輸送用に保有しています。日本に少数配備されているのですが、一両や二両では数十カ所で同時進行する救助を求める状況に同時対応できない、今回西日本豪雨災害のような大災害ではこの種の車両が多数あれば孤立地域への派遣が容易となったのではないか。

 BV-206,履帯駆動ですので最高速度は55km/hと必ずしも高速ではない為に高速道路をそのまま走行する事は出来ません。しかし車幅は1.85mですので高機動車などと同じように道路運送車両法の枠内で運用が可能ですし、BV-206の路上航続距離は330kmありますのでガソリン車程ではないにしても市販電気自動車よりは航続距離が大きく十分に実用性は高い。

 大規模水害などで浸水した地域ではBV-206は道路上を自由に前進出来ます、渡河ボート以上に水没地域とそうでない地域とその向こうの水没地域を踏破でき、無論水没車輌に行方不明者がとの危惧は無いにも無いですが、連接車輌であるBV-206の輸送力は意外に大きく操縦者1名に加え17名の人員か2.2tまでの資材を輸送可能です。自衛隊に広く配備されている資材運搬車の輸送力が3tですので若干物足りないですが速度と浮航能力があります。

 土砂災害等で地域が孤立した場合でも土砂で塞がった山間部道路や斜度が浅い登山道を踏破する事も可能です。資材運搬車のように長距離機動では自走は難しいものの一旦被災地へ到達したらば、具体的には斜度30度以上の急傾斜地を登攀でき、48度という急傾斜地で転換しても横転しません、履帯構造上超堤能力は0.2mと戦車よりも低いのですが斜度があれば踏破可能、孤立地域から住民を救出、加えて道路復旧資材等を集積可能でしょう。

 自衛隊の任務は防衛であり災害派遣専用装備は不要、という反論もあるかもしれませんが、この登攀力は元々冬季戦の雪上機動や山岳戦を念頭としたもので、81mm迫撃砲や携帯地対空ミサイルを山間部の稜線に展開させる事は可能ですし、後部輸送能力は中距離多目的誘導弾を機動運用可能です。重量は4.5tですので屋根を取り外せばCH-47輸送ヘリコプターにそのまま搭載可能だ。

 全国の普通科連隊の本部管理中隊や施設大隊本部に各4両程度配備したならば用途は広い。国土の大半が山間部の我が国では山岳戦が必至となり、各種重装備を稜線に展開可能であると共に、池沼地帯や湿地帯をそのまま弾薬などの輸送経路に転用可能、通信大隊へ配備したらば通信中継点の設置が地形制約を大きく克服出来ますし、高射特科に装備し近距離地対空ミサイル等を機動しても良い。

 雪上車としての能力は充分あります、元々雪上車である為なのですが、陸上自衛隊には700両以上の78式雪上車と10式雪上車が配備されているものの、冬季以外全く活躍できていませんし、そもそも行事にも観閲行進にも参加しません。雪上車の任務に物資牽引がありますが、2.5tまで牽引も可能です。通年活躍する雪上車として運用する事も可能でしょう。

 高機動車のような高速道路網を韋駄天の如く緊急展開する性能はありませんが、一旦山間部や沿岸部に湿地帯に入ってしまえば高機動車とは比較にならない機動力を発揮できます、水陸機動作戦においてもAAV-7両用強襲車のような外洋航行は不可能ですが沿岸部では機動力が大きく、日本の国土の特性を考えれば普通科連隊に中隊規模で装備されていてもおかしくない装備と考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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【京都幕間旅情】祇園祭二〇一八,京都天災猛暑下の後祭宵山に大船鉾-北観音山-鯉山と巡る

2018-07-25 20:10:42 | 写真
■大船鉾と見上げる灼熱の青空
 祇園祭後祭山鉾巡行が昨日盛大に執り行われました、本日はその前の日の情景です。

 祇園祭後祭宵山、快晴の猛暑日に撮影して参りました。宵山といえば夜に浮かぶ山鉾の幻想な情景が広がるところですが、流石にこの猛暑日には夜に数十万の観衆を迎えての宵山を散策しては熱中症で大変な事になってしまいますので、青空の下での撮影へ短時間を。

 京都は猛暑です。短時間といいますのは長時間じっくりと散策していますと灼熱の太陽に焦がされてしまいます、NHK筆頭に熱波注意を警告していまして、美しい青空と日光に照らされた情景は京都の四季を思わせるものですが、下手をしたらば別のシキが来てしまう。

 南観音山と北観音山を筆頭に祇園祭後祭山鉾巡行が執り行われます、山鉾10基、前祭の23基とともに、しかしかつての当方が見上げた前祭と後祭に分かれる前の山鉾巡行の多数故の威容を少し懐かしく思う事もありますが、ここまで暑くなっては長時間の祭事は厳しい。

 花傘巡行が猛暑で中止となった報道はこの前日に在り、実は後祭山鉾巡行と同時刻に八坂神社を巡行する花傘、四条河原町で山鉾巡行を撮影し一路鴨川を渡り八坂神社に駆け付ければ両方撮影も可能なのですが、酷暑下で強行すれば渡るのは三途の川となりかねません。

 宵山は前祭よりも後祭の方が熱中症の心配はないのかもしれない、そんなことを考えました。こう言いますのも前祭では多数の出店屋台が軒を連ね的屋さんが威勢のいい声を掛けます、それだけ多数が訪れる、ということですので人口密度も凄い事となる、即ち熱い。

 熱中症との戦い、との状況ですが、重要なのは自販機で水分補給、それも塩分糖分が極力含まれていないものを摂取し、塩分をコンビニで補給するということ。政令指定都市の中心部で行われる祇園祭は熱波の中でも注意さえしておくならば確実に熱中症は避けられる。

 東京五輪は2年後のこの時期に挙行されるとの事ですが、正直なところ昨今の海外報道に挙げられるように、今からでも日程を変更できないものか。NHKが報じていました、1964年の東京大会は熱波を避けるために十月に行われています、十月ならばもう少し涼しい。

 2020年の気候は冷夏となる可能性も無いには無いのですが、21世紀の今日に神風頼りであってはなりません、日程を七月から十月に変更するならば早い方が良い、花傘巡行の様に前日に五輪中止、とはできないのですから、直前に変更を強いられるよりまだ余裕がある。

 新国立競技場の完成は2019年11月、つまり東京五輪は新国立競技場の内部が真夏に何度まで上昇するか検証できないまま、風を通す設計なので涼しいとか、机上の空論の上で高温を計算している訳で、同じ時期の祇園祭を散策しただけで五輪を心配してしまいました。

 山鉾巡行、平日に行われるものですので学生時代の様に撮影へは中々いけません、五年ほど前になんとか時間を捻出しましたが、珠玉の写真は京都幕間旅情ではなく日曜特集として何度かに分けて掲載したいほど良い写真が撮影できました。多くの友人もまた見たいと。

 長刀鉾だけでも、と早朝に山鉾巡行が始まる瞬間に四条通の長刀鉾と、四条烏丸に集う山鉾のみを大急ぎで雰囲気のみ撮影しまして0900時前に撮影完了、という厳しい日程を組んだりもしましたが、毎年行われる祇園祭、二十年後三十年後でも全て撮影してみたいもの。

 大船鉾、北観音山、南観音山、橋弁慶山、鯉山、浄妙山、黒主山、役行者山、鈴鹿山、後祭りの山鉾は数がそれ程多くは無く、しかし宵山でも交通規制は敷かれません、四条通の交通規制歩行者天国は長刀鉾や函谷鉾に月鉾が四条通に並ぶ前祭だけの実施となりました。

 ものの五年前十年前はここまで暑かったか、と問われますと、撮影機材を担いで走れただけの温度の余裕はありました。それでは今年だけの異常気象か、と問われますと今年宵山の夜を散策しなかったのは昨年の宵山が物凄く暑かった為、との記憶がある為なのですね。

 西日本豪雨ののちに一度も雨が降っていない、という七月初旬に一ヶ月分の雨が降ったという異常気象、しかし七月下旬の今日までその後一度も雨が降らないという異常気象に繋がっていまして、祇園祭の山鉾を散策しつつ、気候変動を真剣に考える機会となりました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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イージスアショア五〇〇〇億円へ建設費高騰,当初見積はイージスシステム単体費用の単純計算

2018-07-24 20:15:47 | 防衛・安全保障
■一基八〇〇億円概算が大幅超過
 秋田県と山口県に配備予定の弾道ミサイル防衛システム、建設費が相当増大するもよう。

 地上配備型イージス弾道ミサイル防衛システム所謂イージス-アショアについて、政府は北朝鮮弾道ミサイル脅威へ対応する観点から山口県と秋田県にイージス-アショアを建設し、射程1300kmのSM-3迎撃ミサイルを運用する事で山口県秋田県二箇所から日本全土への弾道ミサイル防衛体制を構築する事業を推進中ですが、予算面で不確定要素が生じました。

 2023年までに整備目指すイージス-アショア、この巨大防衛事業は当初イージス-アショアは一基当たり800億円程度で取得でき、二基の整備費用は1600億円程度に収まるとの見通しでしたが、新型レーダーの採用や地上支援施設の建設、イージス-アショア本体への防衛システム整備と諸費用が加わる事で、建設費が当初見積もりを大幅に上回る可能性が、と。

 ロッキードマーティン社製SSRレーダーシステムの採用を決定、これは今月4日付記事で紹介しましたが、元々は海上自衛隊のイージス艦が運用するレイセオン社製SPY-1系統のレーダーシステムが採用されるものと考えられていた機種が、富士通社製素子を採用しており長期的に安価としてSSRが選定、この新レーダーが費用増大の一要素とされています。

 5000億円を超える可能性、本日24日付TBS報道ではこうした数字がでており、22日付毎日新聞報道では2500億円、23日付産経新聞報道では6000億円以上、という数字が示されています。2500億円から6000億円とは随分な幅ではありますが、この点について本日、小野寺防衛大臣は防衛省記者会見室会見にて、6000億円という数字は否定しませんでした。

 800億円という当初の見積もりは、本日24日の防衛大臣定例記者会見において、8200t型護衛艦、今月30日に横浜で進水式を行う新型イージス艦の建造費が1700億円であり、護衛艦としての推進システムや機関装備とイージスシステム以外の装備品等の建造費用が900億円弱であることから、差し引800億円という当初見積もりを出した、としています。

 8200t型ミサイル護衛艦の建造費と比較し三倍以上の見積もりも報じられる中、それならばイージス艦を三隻増備した方が安価ではないか、と考えてしまいますが事業費用について大臣記者会見では、イージスア-ショアのシステム構成や配備場所も含め相当に変動する事から現時点で確たる事業費用は示せず、概算要求を待ってほしい、と回答を保留しました。

 THAAD終末高高度迎撃ミサイル、弾道ミサイル防衛においてアメリカ陸軍が運用する新装備ですが、1個射撃中隊当たり1250億円程度の費用を要するとしてイージス-アショアの方が安価である、いわば費用面がイージス-アショア選定の背景にありました。一方、イージス-アショアは終末段階迎撃能力が現段階で無く、中間段階にて迎撃する難点があります。

 終末段階とはミサイルが地上に落下する最終段階、即ち落下して来る為に極超音速に加速した状況で直撃する精度を有し、サッカーでいうゴールキーパーにあたります。対してイージス-アショアは中間段階、弾道ミサイルの弾道を描く放物線の中間段階で受け止め破壊、サッカーでいうミッドフィールダーの役割を担い、実は最適な迎撃装備ではありません。

 スタンダードSM-6-Dual-Iとしてイージス艦やイージス-アショア用の終末迎撃装備は開発中で、この原型であるRIM-174スタンダードERAMは390km圏内の航空機や巡航ミサイルを迎撃可能である為、同時に脅威が増している巡航ミサイル攻撃も対応でき、スタンダードSM-3Block IIAとして射程を2500kmに伸ばした改良型も開発中、将来発展性は高い。

 しかし6000億円は高い、という実情でしょう。ライフサイクルコストを混同した数字かもしれませんが、仮に建設費だけならば2023年度までに整備する事は即ち年間1200億円を要する訳であり、3900t型護衛艦二隻分以上、F-35A一個飛行隊分に迫る費用を毎年五年間捻出せねばならず、そもそも自衛隊は島嶼部防衛や南西諸島防衛を筆頭に各種新装備に巨大費用を捻出しており、必要な費用に対し現時点で全く防衛予算が不足している。

 イージスシステム導入費用を念頭に算出していたという防衛大臣の発言ですが、護衛艦であれば電力を機関部から供給されるに対して地上配備型であれば電力が必要です。電力会社任せでは高圧電線が切断されれば電力喪失万事休すですし、発電するならば発電装置が、しかも、イージス-アショアは動けませんので本体そのものの防衛システムも必要でしょう。

 イージス艦が担ってきましたミサイル防衛ですがイージス艦の主任務は艦隊防空であり、海上自衛隊としては限られたイージス艦を日本海に常時貼り付けるには現在の6隻では全く不十分、という厳しい実情がありました。だからこその地上配備型迎撃システムなのですが、イージスシステム単体費用から算出した見積、少々甘かったといわざるを得ません。

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ホルムズ海峡緊張,米トランプ大統領イラン核合意破棄と石油禁輸要求にイラン高官が封鎖示唆

2018-07-23 20:08:55 | 国際・政治
■ペルシャ湾タンカー遮断懸念
 イラン高官がトランプ大統領の核合意破棄と経済制裁再開、中でも各国へのイラン産原油全面禁輸要求に対しホルムズ海峡封鎖を示唆、7月12日付ロイター報道があり驚かされました。

 アメリカイラン制裁再開、トランプ大統領がイラン革命防衛隊によるイエメン内戦支援やシリア内戦介入への制裁に、イラン核合意に基づく経済制裁解除、オバマ政権時代に1979年イラン革命を契機としてアメリカ大使館をウィーン外交関係条約に違反しての占拠や大使館員拘束、人権問題やテロ容疑から始まる制裁解除を撤回し再開させようとしています。

 ホルムズ海峡封鎖、イランは核合意のアメリカによる一方的破棄の宣言に反発し、核開発再開示唆等を行うと共に、イラン南部のペルシャ湾とアラビア海を結ぶ重要海峡、ホルムズ海峡封鎖を示唆しています。地図を見れば一目瞭然です、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、イラクからの船舶はホルムズ海峡を航行せねば外洋に出れない。

 石油流通への重大な影響、ホルムズ海峡封鎖に伴う最大の問題はこの一点で、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、イラク、ペルシャ湾は世界有数の産油国が並び、勿論アラビア半島のサウジアラビアを縦断しパイプラインを建築したらば迂回は不可能ではありませんが、費用面維持技術でネフド砂漠を超えるパイプラインは非現実的だ。

 イラン海軍は現実問題としてホルムズ海峡封鎖を行う可能性はあるのか、こうした問いに対しては残念ながらある、と言わざるを得ません。実際、1980年のイランイラク戦争ではタンカーへの無差別攻撃を行っています。最近を振り返っても2016年の米船員拿捕事件、2015年のシンガポールタンカー砲撃事件、2007年イギリス船員拘束事件、事例はあります。

 タンカー戦争と呼ばれたイランイラク戦争は、イラクに侵攻したイラン軍に対しイラク空軍が海上封鎖を実施、対抗するイラン軍は1984年より戦闘機や哨戒機によるタンカー無差別攻撃で対抗しました。無差別攻撃の意図はイラクを支援する石油輸出国機構加盟国の経済基盤である石油輸出網を遮断するという凶行で、日本向けタンカーも攻撃を受けました。

 中国製地対艦ミサイルシルクワームを取得したイラン軍は、攻撃を繰り返すと共に機雷や武装高速艇を併用しての海峡封鎖を試み、実際1986年までにタンカーを中心に50隻が被害を受け、特に超大型タンカーが多数被害を受けた事で、被害船舶総トン数は第二次世界大戦中に潜水艦や航空機に撃沈された船舶総トン数と比し二割に匹敵するようになります。

 海上保安庁巡視船をタンカー護衛に派遣しようとの機運がイランイラク戦争当時の橋本龍太郎運輸大臣、後の総理が提案する程に被害は深刻で、もちろん電子妨害手段を持たない巡視船はミサイル攻撃に対し無力ですが、当時の自衛隊法では護衛艦をペルシャ湾に派遣しイラン軍から防衛する法整備は無く、苦肉の手段として決死の検討さえも行われたほど。

 楽観論にホルムズ海峡をイラン海軍が封鎖する事は無理ではないか、一部識者にはこうした意見もあるようです。根拠はホルムズ海峡はイラン領海であるとともに南部はオマーン領海であり、イラン海軍はタンカーなどが国際海峡部分のオマーン領海を航海した場合に攻撃できないだろう、というもの。確かに完全閉鎖を行う事は難しいかもしれません、しかしです。

 海峡封鎖は完全閉鎖を行わずとも、例えばタンカーが拿捕されるという状況一つでも自由航行を大きく阻害します。また、タンカーが撃沈された場合は例えそれが一隻でも船会社がその他のタンカーへも攻撃の危惧がある場合、そのリスクを敢えて採って航行を継続するかと問われれば非常に厳しく、船舶保険料の高騰や原油不足に伴う高騰は避けられない。

 ロシア製キロ級潜水艦をイラン海軍は装備しており、懸念されるのは機雷敷設です。イラン海軍はその戦力から水上戦闘艦部隊などによる正面を切っての打撃力は高くはありません。しかし、国籍不明の潜水艦がホルムズ海峡に機雷を敷設した場合、機雷は海の地雷ですが一発で大型艦船を航行不能に陥れますので、可能性だけでも航行を大きく阻害します。

 ソマリア沖海賊対処任務の延長として海上自衛隊に船団護衛任務を実施させられないか、こう簡単に考える方も居られるかもしれませんが実際は難しい、何故ならば小銃などで武装した私人である海賊に対し、今回はイランという国家主体が相手です、すると対水上戦闘や対潜戦闘、対航空戦闘となる可能性が高く、海上警備行動の想定を超える脅威となる。

 掃海艇などを派遣し、万一ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合には派遣する、という想定は安全保障関連法制国会討議に際し繰り返し議論されたものですが、最悪の場合には海上自衛隊が有志連合として多国間共同作戦を、集団的自衛権の行使として、実施しなければならない状況もありえます。イランとアメリカの対立は、こうして世界の耳目を集めています。

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【G7X撮影速報】富士学校-富士駐屯地創設64周年記念行事,16MCV初登場(2018-07-08)

2018-07-22 20:11:12 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■平成三〇年度富士学校祭
 先々週の挙行となりましたが16式機動戦闘車/16MCV初登場となった富士学校祭の様子を本日、コンパクトデジカメG7X写真にてお伝えしましょう。

 富士学校創設記念富士駐屯地祭、台風七号接近の報道とともに天候が絶望視されていました行事ですが、徐々に予報は好転となりまして週半ばには曇天予報に。ご承知の通り当方が舞鶴と沼津で撮影している間に、西日本豪雨災害はここを突かれた構図となりました。

 静岡県と隣県は幸い大きな被害もなく無事挙行となりました次第です。富士学校祭、平成三〇年度記念行事は同時に今上陛下の御退位と上皇猊下への御譲位にあたり、平成最後の行事となります。そして自衛隊改編における過渡期の行事、ともなっているわけですね。

 90式戦車、89式装甲戦闘車、99式自走榴弾砲、優秀装備を一手に集めた、との説明は数年前まで、軽装甲機動車と96式装輪装甲車が加わった過渡期経て、現在は更に10式戦車、16式機動戦闘車、12式地対艦誘導弾が加わり、新しい時代の新しい脅威へ備えています。

 戦車教導隊の戦車が中隊単位で多数行進する様子はなかなか一見の価値があるといいますか、日本の機械化部隊も富士教導団は北海道並の水準を維持しているのだなあ、と感慨深いものがあります。戦車の迫力を感じる事が出来る場所、日本にはなかなかありません。

 須走に今年も一泊しました。須走は富士浅間神社の門前町に多くの旅館がならんでいます、富士浅間神社は富士登山口として参拝の後に登山、江戸時代から門前町が広がっていたと言います。例年は御殿場駅付近に一泊し、ゆったりと御殿場の宵の口を満喫していました。

 御殿場の夜、美味しい天麩羅と大浴場を楽しんでいたのですが年々、富士学校祭の来場者が増大していまして、御殿場からの始発バスでは乗り切れないほどに多くの方々が集います。御殿場の天麩羅は蝦紫蘇に冥加や人参に丸十、そして遠州灘の海の幸を焼酎等と頂く。

 富士学校祭、しかし始発バスに乗り遅れる問大変ですが乗るには長蛇の列に挑むべくさらに早起きせねばならない。早起きは大変だ、しかし、須走、つまり富士学校の隣ですが、ここに一泊してしまいますと、ゆっくり朝食を頂いてから並ぶことができるというわけ。

 富士学校隣とあり、其処は兵隊横町広がり、お酒も楽しい。一泊した前夜はNHKにてドラマバカボンのパパよりバカなパパ、楽しみにしていたドラマを視聴していたところいきなりの緊急地震速報、千葉県沖で震度五の地震が発生し番組が中断の為、赤提灯へ転進した。

 富士教導団は首都防衛無言の鎮め、日本の平和主義が周辺国からの軍事恫喝に曝された際に2000万首都圏に重厚機械化部隊が威容を示すことで平和主義を鼓舞し、軍事恫喝に主権を揺るがす策謀を一蹴する重責があります。朝一番に朝湯で身を清め朝餉を経て駐屯地へ。

 平和主義とは無抵抗主義ではなく、即ち周辺国の軍事圧力に世論が怯み、平和主義の礎を軍事圧力に売り渡すことがあってはなりません、無抵抗主義ではなく盤石な平和創造への哲学を諸国民の繁栄に寄与させるための広場として平和主義は無ければそではどうなるか。

 平和主義は支える実力を兼ねなければ、文字通り風前の灯火に祈るだけの理想郷への偶像崇拝にすぎません、だからこそ無言の鎮めには意味がある。首都近郊の富士教導団はこの意味があるのですが、いやあ、今年も行列が凄い、駐車場にて東京の友人と合流しました。

 西日本豪雨、鴨川氾濫水位という状況が現在進行形とは思えないほどの穏やかな曇天でしたが、友人で12年間自衛隊行事に一緒にカメラを並べる、お天気運が、翔鶴さん並の友人がタブレットPCで油断無く雨雲動向を監視していますと、凄い雨雲が向かっているという。

 当方はHARUNAなので榛名さん並にお天気が良いのですが、翔鶴さんなみにお隣の状況が懸念されましたので、大丈夫天気は保つ、と当方は拳を高らか振り上げて力説しつつ、年には念のための雨具を着用する。ゴアテックス雨衣を上下着用し、準備は一応行います。

 ゴアテックス雨衣にこの日のためにモンベルで購入した靴用雨衣も装着、カメラバックは全部二重のポリ袋に密封し、カメラはビニールの完全防滴カメラカバーで覆う。千僧駐屯地で滝のような雨に打たれながら僥倖にも雨衣を分けていただき、地獄の仏と感謝でした。

 千僧駐屯地はあの日当然晴天の予想、予報ではなく予想しただけに雨に無防備、あとは伊丹市指定ポリ袋を両足に長靴代わりに押し込んで水深9cmの池のような水溜まりの中で撮影していた様子を知る皆様からは、おお、千僧の反省活きた防滴装備、と喝采されました。

 山の天候は変わりやすい、と護衛艦かが大阪港入港の際に、天保山で毎日登山しているという方に聞きましたが、富士学校は標高940m、つまりここは富士の裾野ではなく富士の斜面、ほぼ富士登山に近い場所なのですね。山なので、天候に用心するに越したことはない。

 しかし翔鶴並の友人、雨具を車両においてきてしまったといい、こちらは予備の雨具は、といいますか富士学校祭前のロシア艦隊舞鶴入港の際に全部濡れてしまったので、持ってきた雨具が雨衣以外全部予備、カメラバック収める大洗町指定ポリ袋も使い果たしている。

 京都市指定ポリ袋くらいしか予備はない。仕方なくポリ袋だけわたしますと、とりあえず雨衣を買ってくるという。保つかお天気くるか悪天候、戦々恐々と周囲のオッチャンたちと雨天の怖い思い出話で交流を深めていますと、雨衣を手にお友達帰ってきまして、で。

 雨衣買っているうちに雨雲どっか行った、と。うむ、あるある話、まえ、総火演や今津でもあったなあ。雨天でも航空祭ですと肝心の飛行展示がすべて中止となり、何も撮影できなく帰途に就く事となりますが、基本駐屯地祭は予定通り行われ準備次第で写真は撮れる。

 戦車教導隊は東部方面混成団隷下の第1機甲教育隊と統合され機甲教導連隊へ発展的に再編されることとなり、駐屯地も富士駐屯地から富士岡の駒門駐屯地へ移駐となります。駒門駐屯地は第1機甲教育隊本部がおかれる共に第1師団隷下の第1戦車大隊が駐屯です。

 富士地区唯一の戦車実戦部隊が駐屯、最新鋭10式戦車と74式戦車を混成運用している。駒門に移駐したならば来年度の富士学校祭では毎年のように多くの戦車を式典に参加させることはできないのではないか、思い出すのは真駒内の第11戦車大隊が移駐したおはなし。

 第11戦車大隊が旅団司令部置かれる札幌市内の真駒内駐屯地から遠く空港快速で千歳空港近くまで行く北恵庭駐屯地に移駐となり、真駒内での旅団行事に僅かな戦車のみ派遣する事が限界となった為です。来年はどれだけの戦車が参加できるのか、考えてしまいました。

 16式機動戦闘車、戦車教導隊第4中隊へ配備となりました。待機列から74式戦車は遂に第4中隊から用途廃止となったのかと思いましたが、観閲行進が開始されますと戦車教導隊の先頭に陣取り安心、聞けば第4中隊は16式機動戦闘車と74式戦車の混成編成という。

 しかし戦車教導隊の先頭を行進するということは、いよいよ74式戦車の戦車教導隊での有終の美も近いか、873両の多数が量産され冷戦時代のもっとも厳しい安全保障情勢を鋼の身を持って守った戦車と戦車教導隊最後の記念式典を飾る戦車乗りならではの戦車へ感謝かもしれませんね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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