北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

北大路機関『自衛隊最新装備2016』最新機動砲から最新艦艇と国産ステルス機まで【年末特集】

2016-12-31 19:44:00 | 北大路機関特別企画
■大晦日の自衛隊最新装備2016
 大晦日となり今年もあと数時間、そこで本日は今年一年を振り返るべく、2016年に撮影し、Weblog北大路機関が紹介しました自衛隊の各種最新装備を紹介しましょう。

 ヘリコプター搭載護衛艦くらま、と並走する曳船58号型YT-02, 舞鶴警備隊隷下舞鶴港務隊に所属する一隻ですが、YT-02は曳船58号型の後期型に当たります、2013年に就役、この後期型は一目瞭然として起倒式マストを採用しており、これこそがヘリコプター搭載護衛艦の従来型から全通飛行甲板型への世代交代を象徴する構造といえるかもしれません。

 YT-02が起倒式マストを採用しました背景には、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦以降、上部構造物に加え全通飛行甲板の採用により曳船の入港支援作業に際しマストが護衛艦の張り出した飛行甲板へ接触しないよう配慮した構造です。くらま、は最後の従来型ヘリコプター搭載護衛艦、年度内に除籍予定で、この取り合わせこそ今年の象徴する一枚です。

 X-2実験機、技術研究本部が開発し防衛装備庁として研究が継続されています将来戦闘機開発への技術を総合した実証機です。防衛省では様々な将来戦闘機構成技術を個々に開発していますが、これを全体として航空機の形状とし、総合的な技術試験へ応用します。開発費がかなり抑えられていますが、その予算には部分研究の費用は当然含まれていません。

 ATD-X,先進技術実証機として高運動飛行制御システムの研究試作や実証エンジンの研究と高運動ステルス機技術のシステムインテグレーションの研究等々新技術が集成され、初飛行の時点でX-2実験機となっています。今後は更なる技術開発を経て実用航空機を新たに設計開発し、将来的に現在運用中のF-2支援戦闘機の後継機を国産開発する構想が進む。

 三菱重工にて製造され岐阜基地防衛装備庁施設での試験を実施するため、県営名古屋空港と岐阜基地周辺は多くの航空愛好家と報道関係者がカメラを並べていましたが、無事初飛行しその後の地上試験を経て飛行試験を今冬より開始しました。X-2は早速岐阜基地航空祭にて地上展示となり、最長実に三時間待ちの大行列が伸びた事でも話題となりましたね。

 16式機動戦闘車、統合機動防衛力整備の切り札として本年制式化となった陸上自衛隊の最新装備です。52口径105mm砲を搭載し路上最高速度100km/h以上、重量26tとして新開発のC-2輸送機による空輸展開も可能です。火器管制装置には10式戦車の技術が応用されており行進間射撃に加えスラローム射撃能力等も有し文字通り世界第一線級の性能を誇る。

 機動戦闘車として今年一月に第1空挺団降下訓練始めにて初公開されましたが、富士学校祭や富士総合火力演習、そして中央観閲式本番でも公開されました。量産は開始されており、全国の機動連隊機動戦闘車中隊と仮称される部隊へ配備される計画です。陸上自衛隊では戦車定数400両を300両へ改め、代えて機動戦闘車200両を調達する計画とのこと。

 統合機動防衛力整備に際し、機動戦闘車は本土戦車部隊を基本的に教育部隊以外全て置き換え、機動力を以て着上陸正面などに展開、事態拡大阻止に当たると同時に戦車部隊を集中する北海道より戦車部隊を海上自衛隊等の協力を受け緊急展開し、複合的な事態対処能力を整備する方針となっています、輸送手段確保は困難ですが、今後の展開を見守りたい。

 輸送防護車、豪州ペリーエンジアニング社が1996年に開発し現在はタレスオーストラリア社が販売を担当する耐爆車両です。防衛省はアルジェリアガスプラント邦人襲撃事件を受け、従来の在外邦人保護任務に際し、紛争地域でも政府指定空港や港湾へ邦人の自力退避を求めてきましたが、紛争地では常識的に難しいとの指摘があり自衛隊任務へ加えました。

 ブッシュマスターとして開発されている本車は、空港や港湾など退避拠点と邦人が退避する大使館領事館や宿泊施設等とを輸送する任務に充てられ、地雷など爆発物に対し横転しない等の設計を採っています。陸上自衛隊には96式装輪装甲車が配備されていますが、専守防衛下の野戦を想定し車高を抑えている為、紛争地での運用は最優先ではありません。

 中央即応集団へ集中配備されていますが、車内容積が大きく歩兵部隊輸送用に加え救急車両や通信中継車両等へ豪州軍では1000両以上が配備され運用幅を広めています。陸上自衛隊では大量配備の計画は無いとの事ですが、国際協力任務の増大や専守防衛下での段列や戦闘支援任務にも必要な装備であり、もう少し広い部隊への配備が求められる装備の一つ。

 新野外通信システム、自衛隊が従来の85式無線機などを基幹とする通信体系とその改良型からデータ通信などへ大きく一歩すすめたもの。新師団通信システム師団はサーバ計算機室装置と中央処理装置から構成され、周波数ホッピング機能と耐電子戦性能を向上させたほか、多種多様な装備体系とのデータリンク、戦術インターネット能力を付与しました。

 えのしま型掃海艇はつしま、FRP船体を採用した新世代の掃海艇えのしま型の三番艇で今年三月に竣工したばかりのもの、並ぶのは掃海艦やえやま型三隻の最後の一隻、掃海艦はちじょう、でこちらも二番艦つしま、一番艦やえやま、は既に除籍されており、新掃海艦あわじ竣工を待って本艦も除籍予定、機雷戦艦艇世代交代を象徴する一枚といえましょう。

 S-10 水中航走式機雷掃討具、ひらしま型掃海艇と、えのしま型掃海艇へ搭載されている最新の機雷処分具と自航式可変深度ソナーを同時運用する極めて汎用性が高い水中ロボットです。ただ、近年は高性能化と共に取得費用が増大する機雷掃討具を敢えて狙う新世代の機雷が開発されており、機雷との戦いは年々対抗手段に対抗手段を重ねる競争が続きます。

 最後になりましたが、本日は大晦日、今年一年、ありがとうございました。本年は行事特集再開等の原点回帰に合わせ連載記事の強化等を進めてまいりました。防衛への関心と理解や討議へ資する記事の毎日更新の維持を目指し今後も勧めてい参ります、Weblog北大路機関は多くの読者の方に支えられています、今後度もどうぞよろしく。それでは、皆様、良いお年を。

北大路機関:はるな くらま
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【年末特集】二〇一六年世界揺るがしたポピュリズム台頭と民主主義揺るがす兵器無き電子戦争

2016-12-30 22:43:05 | 北大路機関特別企画
■米大統領選と英EU離脱投票
 二〇一六年もあとわずかですが、本年は様々な変化の一年となりました。本年特に考えさせられたのは世界政治へのポピュリズムの影響です。しかし、この事象をもう一つ加え複合要素から考えてゆくべきなのかもしれません。

 ロイター通信にて“焦点:ロシアのデマ作戦に負けた米国、大統領選でリスク現実に”という興味深いコラムが掲載されました。サイバー戦争の脅威は、大量通信技術確立と共に常にありましたが、ネット工作員、と揶揄された意図的な偽情報を流す一種の荒らし行為を、国家単位で行い、世論形成へ大きな影響を及ぼす、非常に意外な事といえるでしょう。

 兵器無き電子戦争が展開している、こうした印象でしょうか。Webへの言論監視には各国ともに特に民主主義を長く標榜する国ほどその限界が大きく、一方、民主主義は国民の政治参加の度合いが薄まればポピュリズム即ち大衆迎合主義の台頭を醸成する事となりますが、IT革命と称された今世紀初頭以降情報流通量の増大がこれに拍車をかけたかたちです。

 報道機関の様式を模倣し、誇張報道や虚報を誤解に加える形で報じ第三者の引用を誘い、敵対勢力の対立を煽るという方式で、表現の自由は民主国家にとりその原点というべきものですが、まさか敵対国家が国家予算により大量のデマ拡散公務員を雇用し、攻勢を仕掛ける、というもの、古典的手段を最新技術で行う事は意外なものと云わざるを得ません。

 公的機関によるWebでの情報操作の懸念は今回の物が初めてではありません、公的機関によるWebでの世論形成は初期の代表的なものとして、2010年代前後に政府機関などがWeb百科事典などの政府関連情報や事業評価項目に関しての匿名編集を実施している事が明るみに出た際に問題視され、政治的な項目編集では様々なアクターが参加する一例でした。

 参加型Web百科事典への編集は、履歴などから確認されるものですが、この事件では日本でも公官庁からの履歴が発見され騒ぎになりはじめましたが、編集項目がアニメーション関連キャラクター紹介等に偏重しており、単に業務怠慢とPC私用など、批判は他国程大きくはなりませんでした。しかし、難しい問題が萌芽し始めた時期と今日的に解釈できます。

 今回問題視されているのは、単純な政治プロパガンダをWeb上において実施する、という単純な手法を用いるのではなく、自国に有利な競合国の内政情報や通商情報などを正確性を意識し広め、この中に伝統的な誇張表現を織り込むことで競合国の国内対立をあおるなどの措置をとっており、直接の脅威とはなりにくいものですが蓄積されれば顕在化する。

 この種の情報は大量に、また、当事国向け以外にその友好国への敵対勢力醸成へ利用されており、これを阻むには中傷合戦を繰り返すか、全ての言語情報を監視し、誇張情報や虚偽情報を確認するほか、選択肢はないでしょう。しかし、全ての情報を監視する事はそれだけ費用を要しますし、虚偽情報訂正を全て行う事は巨大な偏重情報公開を必要とします。

 ポピュリズムの台頭は、この潮流と不幸にも完全に波長を重ねてしまいました、プロパガンダ戦争により相手に対し必要な混乱や対立扇動を仕組む。ポピュリズムは支持者に合わせ現実性を必ずしも重視しない宣言的公約と討議排斥により形成されるのですが、例えばアメリカ大統領選やイギリス欧州連合離脱国民投票、この代表的な事例といえるでしょう。

 サイバー空間におけるプロパガンダ戦争は、こうして新しい様相を呈していますが、難しいのは民主国家にとり保守勢力と革新勢力の競合へ政府が介入せず、一方で意図的なデマ情報を織り交ぜた疑似報道を監視し取り締まる事は、単純な思想取締りとの境界が不明確となる点です。言論の自由には原点として思想の自由市場という原則があるとされます。

 思想の自由市場、危険情報であるのか否かは一旦思想の自由市場へ広めてから判断する事が基本です、その上で悪質なデマと判断する主題がどれだけ正統性と正当性を主権者から得ているか、難しい問題です。特に正統性と正当性が多文化共生やグローバル化による自由競争の拡大により確たる価値観の共有、一元論が変容しつつあり、難しくなりました。

 情報を精査する努力、自衛措置として最も簡単な手段に挙げられます、大勢と異なる論調を報じる事例に対し、最後まで一次情報の上流へ遡上する事で、誇大情報や情報源に不明瞭な媒体を経由していないか。一方、こうした簡単な解決策は簡単な問題に塞き止められます、即ち、全ての情報を個々人が精査し理解するには余りに時間が足りないということ。

 民主主義とは主権者の政治参加により醸成される正統性に依拠したものですから、主権者は政治参加の時間を捻出しなければなりません、同時にこの過程には討議と妥協を経ての合意形成が必要であり、この積層が民主主義を構築する訳ですが、諸問題への共通知と知識集約への参加が必要となります、が、現在の経済構造は、その為の余暇を許容しません。かつて国民国家形成と共に国民は自らの時間から国家へ軍事力を提供する事で国民を自らの物としましたが、今日では情報精査と政治参加という自らの時間を投じる必要を突き付けられているのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十八年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.12.31/01.01)

2016-12-29 20:20:12 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 糸魚川火災の記憶もまだ新しい年の瀬、深夜の茨城地震、緊急地震速報に驚かされましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 大晦日と元旦が土曜日と日曜日、今週末は航空祭や駐屯地祭に体験航海などは行われませんが、旗日ですので護衛艦は満艦飾、横須賀基地などカウントダウンイベントが行われます。また年末年始に当たりますので多くの自衛艦などが母港へ戻ってきます。本年の北大路機関広報は今回が最終回、本特集が土曜日曜に防衛を知り体験する一助となれば幸いです。

 今週末の自衛隊行事無し、という際にはまったりと庭木の手入れや書籍の整理や写真の現像等に時間を費やしたいところですが、海上自衛隊の基地周辺散策について。基地は防衛施設ですが、基地周辺の観光は海上自衛隊HPにも“基地のある風景”としてお勧めされている休日の過ごし方です。軍港めぐり遊覧船により基地の艦艇を間近に見る事が出来る。

 横須賀基地の遊覧船は毎日運航ですが、佐世保基地には季節運航で一日に二便程度運行されています。これは佐世保湾内の離島交通用連絡船運航会社が行っている湾内クルーズでして、佐世保基地の倉島桟橋沖を出航し、そのまま佐世保湾内の教育隊やLCAC整備施設と旧海軍通信所跡の沖合等を一周する事が出来、運が良ければ出入港艦艇も見られます。

 佐世保基地軍港めぐり遊覧船、離島を全て廻りますので、基地とは関係ない離島と桟橋の方が多いのですが、遊覧船と云いましても比較的浅海に余裕のある連絡船が使われていまして、佐世保駅前にある佐世保港からの出港です、佐世保駅には駅弁売り場がありますので名物ばってら寿司弁当やレモンステーキ弁当と舌鼓を打ちつつクルーズもよいでしょう。

 さて行事への話題。自衛隊関連行事には危険物は持ちこみ禁止です、最近持ち込み禁止物にドローンが加わりました。さて、個の持ち込み禁止物ですが、その一例が手荷物検査場に列挙されています、観てみますと、ナイフとバタフライナイフを両方とも禁止し、その上で包丁も禁止、一言で刃物を持ち込み禁止としないところにも禁止の熱意というものを考えさせられました。

 当たり前とはいえ、散弾銃猟銃持ち込み禁止、と書いているところもありますが、拳銃軍用銃持ち込み禁止、と明記しているところもありました。なるほど、もっともなのですが、そもそも拳銃と軍用銃は自衛隊施設持ち込み禁止ではなく、日本国持ち込み禁止、なのではないかな、と考えさせられました。確実に銃刀法で御用、でしょう。しかしわざわざ明記されていましたのが興味深い。

 自衛隊施設、危険につき立ち入り禁止です、という表示がいろいろあって成程ここは危ないよなあ、と思うところもあるのですが、しかし、何故か食堂に掲げられていたり、鉄棒に貼られていたり、何かあったのだろうか、とおもったりもしまし。ただ、実際に、御札が必要になりそうな、なにかある桜の木、何かある塔、というものは自衛隊施設にはあるようでして、あまりふれないほうがいいものもあるのかもしれません。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の自衛隊関連行事はなし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都発幕間旅情】北海道新幹線E5系はやぶさ&北陸新幹線E7/W7系かがやき,新幹線の旅路

2016-12-28 23:22:32 | コラム
■はやぶさ&かがやき
 北大路機関、北陸新幹線敦賀京都ルート決定に合わせ久々に鉄道特集を、今回は【京都発幕間旅情】として掲載しましょう、併せて旅路の僚友へ加えたい撮影機材の話題を。

 新幹線はやぶさ。一眼レフでなければ自衛隊関連行事を確実に撮影するにはまだまだ性能が追いついていないように思う今日この頃、サブカメラにはコンパクトデジタルカメラかミラーレス一眼カメラなのか、迷ってしまう事があります。サブカメラは自衛隊関連行事の撮影だけではなく、その道中に巨大な一眼レフをカメラバックから出さずにスナップ写真等を撮るもの。

 E5系電車、はやぶさ号は東京駅新函館北斗駅間を最短で4時間02分にて結ぶ。ミラーレス一眼は、その昔に店頭でためしに操作した際に余りにピントが合うまでに時間がかかり過ぎ、これでは全く用途が無いなあ、と残念に思った事はこのコラムと云いますが、行事紹介の際の撮影に関する記述で繰り返しているところですが、サブカメラとして使っている方、プロユースに対応できる高性能機種が徐々に出てきていて、どう接するか。

 E6系こまち、連結。プロユースですが、実際に居ましたのが魚眼レンズや超広角レンズを装着して地上展示航空機野地上展示車両などの撮影に特化している、若しくは人物ポートレートの写真用に重宝している、というものでした。確かにコンパクトデジカメでは不足を感じる場合でも一応は一眼カメラでレンズとセンサーによっては良い写真を撮影でき、ありかもしれません。

 E2系やまびこ発車。PowershotG7XシリーズとしてPowershotGシリーズに新しい風を吹き込んだ、つまりファインダーレス方式を採用し、レリーズなど必要な機材を装着できない、いわば一つ下の区分にあったPowershotシリーズの機種をGシリーズに加えた印象がある機種、このままPowershotGシリーズは最高峰のPowershotG-16で途絶えるのかと見ていましたが、当り。

 やまびこ運行に就くE5系。しかし、PowershotG7Xに続いて、PowershotG3Xとして超望遠性能を付与した大型機種が出まして、PowershotG5Xとして電子ビューファインダーを備えた上級機種が登場、同時にPowershotG9Xとしてコンパクトを強調した新型機種が並び、価格帯は高いですがPowershotGシリーズはPowershotGXシリーズに発展を果たしたといえるかもしれません。

 E5系新幹線の並び。ここで気づかされたのは、PowershotG-16の後継機種が出るころに発売されたのがEOS-M3等ミラーレス一眼で、CANONとしてはコンパクトデジタルカメラユーザーをミラーレス一眼と従来機種の小型版へ棲み分けさせる目的もあって、GシリーズをGXシリーズに置き換えたのかな、と思うところです、するとやはり後継機種選定は、迷いますね。

 320km/h営業運転を行うE5系の長大な先頭車。自衛隊関連行事でのサブカメラはコンパクトデジタルカメラとするべきかミラーレス一眼カメラとするべきか、当方愛用のCANON社製カメラの陣容では大きな動きがありまして、PowershotGシリーズがPowershotGXシリーズへ転換、PowershotGシリーズユーザーは新しく加わったEOS-Mシリーズへ進むかGXシリーズの方に活路を見出すか、となる。

 新幹線かがやき、東京駅金沢駅間を2時間28分で結ぶ。実はPowershotGシリーズは、PowershotG-9とPowershotG-12を愛用し、そのままPowershotG-16を導入しました、レリーズが閊えますしファインダーを覗いて撮影感覚を重視、操作性の良さが愛用の決め手でした。これがG-7Xから失われてしまい、そもそも用途とが限られる使い方を当方がしていた為ですが、カメラ難民となってしまいました。

 山形新幹線E3系2000番台こまち。この困難に応えるのは新機種PowershotG5Xでした、電子ビューファインダーを備えレリーズにも対応しているとのことで、した。価格帯は登場当時9万円前後と非常に高かったのですが調達を計画していましたが、実物を視まして、余りに大型出る事に驚かされました。大きさ、PowershotG-16は無論G-12よりも遥かに大きく、限度を超えていました。

 北陸新幹線E7系・W7系電車。コンパクトデジカメvsミラーレス一眼、PowershotG5Xは非常に高性能で、知人友人で愛用機種に揃えた方も多かったのですが、一眼レフを持ち歩く前提でサブ機種として持ち歩くには最低限カメラマンベストか上着のポケットに収まる規模を望んでいましたので、これは大きすぎるなあ、と脱線してEF24-105mmISレンズの方を調達しました、これいい。

 E7系がJR東日本所属でW7系がJR西日本所属の電車。EF24-105mmIS、流石は世界に誇るCANON人工蛍石レンズ、EOS-7Dmark2に装着しますとくっきり、風景写真を中心に広角はAPS-C故に限られるが素晴らしい描写力、これは次の調達を検討しているEOS-5Dmark3の調達を更に検討して行かなければなあ、と思うものなのですが、お気づきの通り、肝心のPowershotG-16後継選定は何も進んでいません。

 新幹線は順調に北方に延び、先日北陸新幹線敦賀京都間の路線も決定されました。PowershotG7Xmark2、真剣にサブカメラとして使用する場合、G7Xの改良型は、レリーズが使用出来ませんしファインダーも電子ビューファインダーもありませんが、素直な描写力と小型の本体ということで、理想的な機種です。他方で発売から半年を経ても価格が64000円と高止まりしていましてデジカメも高くなったなあ、という難点もありますがね。

 上越新幹線E4系Maxとき。ミラーレス一眼、CANONユーザーですのでCANONの機種しか比較していない故に恐縮ですがEOS-M5の登場で一説にはEOS-7Dに匹敵する性能を付与された、と自信を持って開発したCANONの販売員さんが強調します、しかし、EOS-M5を視ますと、まだ高いですね、これならばサブカメラにEOS-80Dあたりを考えた方が価格帯としてはよさそう。

 EOS-M5,高性能が売りですが発売時の価格は品薄が手伝ってか価格比較サイトを見ますとEOS-M5ボディの価格が97707円となっていまして、EOS-M5&EF18-150mmISレンズキットのお値段は139705円、凄い性能ではある事は理解するのですが、ちょっと手を出すには厳しいお値段となっています。特にミラーレス一眼は専用レンズ規格となっていますし。

 EOS-80Dカメラボディの価格は98480円、ミドルクラスのCANON一眼レフですが驚くことにEOS-M5はこの当たりの価格帯となっていまして、本気で撮影するにはEOS-M5とEOS-80Dを並べて考えてみた場合、どうなのかな、と。なお、EOS-6Dボディは129780円でこちらは35mmフルサイズのミドルクラス、並べるとEOS-M5の背の高さが際立ちますね。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第六〇回):航空機動旅団、戦車大隊を置き換える機動戦闘車部隊案

2016-12-27 21:19:33 | 防衛・安全保障
■戦車大隊代替の機動戦闘車
 機動戦闘車機動砲大隊編成試案について前回に引き続き。二個中隊27両編成、機動砲大隊、可能であれば本部車両を含め30両編成とする。

 現在の戦車を持たない第12旅団や第15旅団に、戦車中隊しか持たない第13旅団や第14旅団など自衛隊旅団における戦車中隊の規模と比べますと戦車と機動戦闘車の違いとは言えかなり大型の編成ではありますが、対戦車ヘリコプターや戦闘ヘリコプターを装備する場合でも直掩火力の有無は近接戦闘能力の冗長性を左右してしまいますし、拘束部隊や前衛部隊でもこの種の車両の有無が、旅団だけで独立して作戦を行えるのかが、左右されかねません。

 それでは本題に。大隊は、各中隊から3両編成の小隊を各三個普通科連隊へ派遣します。機動戦闘車は集中運用を行うという視点、戦車ではなく機動戦闘車であり、戦車戦闘、相手の戦車砲弾が砲塔に直撃するような戦闘に用いた場合は確実にその薄い装甲を貫徹される事となりますので、極力火力支援に重点を置き避けられない場合に対戦車戦闘を展開する、という方式を採ります。

 故に中隊戦闘群へ各3両の配属を受けられることを意味します。中隊戦闘群では、中隊長の手元に直接火力戦闘を展開する手段が付与されますので、正面突破を含め必要な打撃力を保持できると共に、保有する中距離多目的誘導弾や軽対戦車誘導弾に合わせ必要な対戦車火力網を構成する事も可能です。ただ、機動戦闘車の責任交戦距離は2000m程度まで、これ以上の距離となりますと留意点が生じるでしょう。

 機動戦闘車の主砲は低圧砲、この主砲の初速は富士総合火力演習に機動戦闘車が実弾射撃へ参加し、射撃から戦車標的へ命中までの時間を計測し計算するまで、低圧砲の初速は不明なのですが、APFSDS弾の高初速を維持できる限界を下回ってしまうのではないか、ということです。直接照準による戦闘を展開する機動戦闘車は、射程の面では8kmという射程を有する中距離多目的誘導弾を下回るものではありますが、対戦車誘導弾は戦車砲弾と比較し制約点が多い事を忘れてはなりません。

 対戦車ミサイルは使い方次第では強力ですが、森林地帯や市街地などの錯綜地形ではその誘導翼が梢や電線に接触破損し誘導を維持できない可能性や近接信管が目標以前で作動し必要な威力を目標に対し与える事が出来ない可能性があり、この為にどうしても運用上の制約が大きくなります。この点機動戦闘車は即座に105mm砲を射撃する事で戦闘を展開できます、瞬発戦闘能力はこちらの方が高い。

 瞬発交戦能力、併せて例えば01式軽対戦車誘導弾では目標の熱源を捕捉するまでの即座とはいえ一瞬の時間を必要とします、105mm砲は戦闘照準2000mで即座に発砲でき、機先を制する事も出来るでしょう。加えて、例えば装甲車両にでも搭載しない限り中距離多目的誘導弾は敵砲兵の曳火射撃などに対し発射装置の脆弱性があり掩砲所などに格納する必要がでてきます、戦車はミサイル攻撃などを考慮し、可能ならば掩砲所構築は望ましいですが、必須ではなく掩蔽陣地などでも代用できる。

 この掩砲所構築は施設科部隊の支援を必要としますが、そもそも航空機動旅団は機動力第一の編成であるわけですから、安易に掩砲所を多数構築する、という運用方式はとられるべきではありません、これが機動戦闘車は曳火射撃等に対して一定水準の生存性を、装甲車両であるがゆえに発揮出来ますし、何よりも直接照準戦闘を実施するという点は必然的に普通科部隊と共同行動をとります、長砲身の105mm砲を備えた機動戦闘車が中隊長の手元に3両揃うという状況は第一線要員の士気を高める事にもつながるでしょう。

 一方、機動戦闘車部隊は基本として機動戦闘車大隊となりますので、中隊単位で運用する状況、大隊単位で運用する状況、指揮官を養成する必要がでてきます。ここで、暫定的に2個中隊と大隊長と指揮官は3名いる訳ですので、三個普通科連隊へ分遣隊長を置き、9両を所管し、各普通科中隊長の指揮下へ小隊を置きつつ、必要な稼働率や整備ローテーションを組むという方式も考えられるでしょう。

 大隊長ですが、各連隊へ配置する車両を3両の小隊のみとして、これは現在の二個中隊基幹の戦車大隊を持つ師団普通科連隊の方式に近い水準ですが、21両を大隊長が所管し大隊戦闘群を構成、機動打撃に充てる、という方式も、例えば旅団が一体となって防御戦闘等を展開する場合には考えられるかもしれません。この当たり、戦車とは違いますが、機動戦闘車ならではの運用体系を模索されるべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第四五回):航空防衛力、長期的な防衛任務へC-2輸送機の戦域間輸送

2016-12-26 20:32:44 | 防衛・安全保障
■C-2輸送機の戦域間輸送
 C-2輸送機はその長大な航続距離から、従来の国内での戦術輸送の枠を超え、アメリカ本土から航空部隊が必要とする予備部品や弾薬などの消耗物資の緊急供与を受ける際の輸送手段に用いられる、こうした視点を示しました。

 中国海軍の空母遼寧が初の西太平洋地域での艦隊行動を実施、先週実施された初の空母からの艦載機による実弾演習の実施に続き、ミサイル駆逐艦三隻を随伴し西太平洋に進出、中国の中古空母ワリャーグ取得以来懸念された日本列島太平洋側からの空母艦載機による軍事示威という懸念が着々と顕在化しつつあります、今後この脅威が更に現実化するのであれば、更に多方面からの脅威への対処が必要となるでしょう。

 C-2,非常に長大な航続距離を有しますので、アメリカ本土までフェリー航続距離で一度に飛行でき、満載状態でもホノルルなど一カ所を経由するだけで飛行可能、弾薬などは容積の割には重量がありませんので満載でなければ西海岸からであれば無着陸で飛行できる能力があります。戦闘機が一回飛行する場合の莫大な物資消費ですが、燃料が占める部分は大きく、航空燃料であれば日本国内に膨大な部品があります、しかし弾薬備蓄と予備部品モジュールの備蓄が必ずしも十分ではありませんので、この空輸体制を確保する事には意義がある訳です。

 アメリカとの後方連絡線構築を考えますとC-2輸送機の必要数は確実におおきく、現状の装備計画について再考の必要、特に部隊数の増強という必要性が出てきます。一方、戦闘機を米空軍と同型としたものを装備する事で、例えば国内に最終組み立て施設を有するF-35戦闘機などは、有事の際に胴体部分などを分割しアメリカ本土から調達し日本国内で組み立てるなどの施策、アメリカ空軍の運用機体をそのまま転用する。

 単純に戦闘機を増勢するのではなく稼働率を高める、これには予備部品の充実や運用基盤の強化、運用基地の複合化や基地機能強化と予備発着施設の充実などが施策としてあることをこれまで本特集で提示しましたし、予備の操縦要員を充分確保する事が出来れば、これは航空教育体系の強化も必要とする措置ですが、単純に戦闘機を強化するよりも重厚な防衛力を構築可能です。

 この方法は1973年の第四次中東戦争においてソ連軍の物資支援を受け攻撃を加える中東諸国の前に劣勢となりつつあったイスラエル空軍へアメリカ空軍が運用しているF-4戦闘機をそのまま国籍表記のみ切り替えて供与した事例がありました。F-35のみであればそのまま搭乗員を展開させ本土へフェリーさせるという選択肢はありますが、その際に必要となる整備治具や機材などの空輸にはC-2輸送機の支援が必要となります。

 従来の日本本土防空を大陸方面の軍事圧力に対抗して実施する場合、日本国内の航空自衛隊弾薬備蓄、在日米軍との弾薬相互供与や教導防空作戦の展開によりかなりの部分を対処する事が出来ましたが2010年代に入り、日本本土を戦闘行動半径に含める戦闘機や戦闘爆撃機の増大は経空脅威の見積もりを根本から改める事を強いました、更に日本本土を射程に収める巡航ミサイル脅威が1000発単位で浮上しており、安全な後方が無い。

 日本国内の航空作戦物資では、例えば大陸内陸部の敵航空拠点無力化を含めた航空撃滅戦を展開させなければ、早々に我が方の防空作戦能力が払底する事を意味します。航空作戦を長期的に展開すれば、弾薬や予備部品も消耗しますが、航空機そのものも消耗します。現時点では戦闘機定数の厳格な上限の下で戦闘機定数を画定していますが、その上、本土へのミサイル攻撃や航空攻撃が展開される場合には基地施設そのものの消耗も意識しなければなりません。

 これを踏まえて初動において航空部隊を分散させる臨時分屯基地案を提示しているのですけれども、長期化すれば航空整備施設や整備補給施設、港湾設備や物資輸送の基点としての鉄道拠点や主要高速道路に橋梁等も標的となる事でしょう。安全係数を十分取る為に、東日本大震災や熊本地震ではこれら交通基点の復旧に多くの時間を必要としたことを忘れてはなりません。こうした国内施設の継戦能力の限界、相手の航空戦力に対する規模の格差によって事前備蓄だけでは限界がある為、同盟国からの物資供給をこうした空輸体制に依拠し、長期の航空作戦に対応させる、という方策も十分検討されるべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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【日曜特集】第2師団創設63周年旭川駐屯地祭【2】総合近代化師団の観閲行進(2013-06-09)

2016-12-25 20:09:52 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■北鎮第2師団が道北護る
 日曜特集、日ロ首脳会談が行われ平和条約へ一歩を歩みましたが北海道の北には大戦停戦後にソ連が不法奪取した千島列島等があり、第2師団は現在もロシア軍と対峙しています。

 山内克己連隊長先頭に留萌第26普通科連隊機械化部隊の観閲行進、現連隊長は西田健1佐。90式戦車、96式装輪装甲車、99式自走榴弾砲、第2師団は優秀装備を揃えています、その様子は記念行事前に駐屯地の一般開放区画を散策し、観閲行進に向け待機している車両群を観るだけでも痛感します、なんというか本土の師団とは装備の重厚さが桁違い、と。

 第2対舟艇対戦車隊の96式多目的誘導弾96MPMSの行進。北部方面隊は冷戦時代、ソ連軍の着上陸が真剣な脅威として、具体性を以て警戒されていた為、重装備を誇っています。90式戦車は勿論現在本土に広く配備されています74式戦車も北海道から配備されています。北海道から順次、近代化が進められた、という構図です。

 井山隆二連隊長が率いて第2後方支援連隊観閲行進。冷戦後に入りますと北海道からの近代化一辺倒というわけではありません、実際問題、装甲車両や戦車と火砲の近代化は北海道優先となっていましたが、対戦車ミサイルや軽装甲車両に迫撃砲などの軽装備の近代化は本土師団と本土旅団から順次進められてゆきました。

 現連隊長は鶴村和道1佐、第2後方支援連隊第1整備大隊の重装輪回収車。第2師団でも106mm無反動砲はかなり後まで残りましたし、高機動車を自衛隊で最初に充足した部隊がその後の装備配備が大きく遅れる、というものがありました。89mmロケットランチャー所謂有名なバズーカ砲も最後に配備されていたのは恵庭の第1戦車群でしたし、ね。

 第2後方支援連隊の戦車輸送車と75式自走榴弾砲。新世紀に入り自衛隊の脅威は西方へと移行しました、南西諸島への限定侵攻の蓋然性が高まり、新装備を西方に展開する、その一方で統合機動防衛力として、北海道の重装備を可能な範囲内で維持し、有事の際に西方へ展開させるという新しい防衛政策へ移行しました。

 第2後方支援連隊補給隊の3t半トラック燃料輸送車。ただ、この施策について疑問符が絶えないのは、有事の際にそこまで緊急展開を実施する事は出来るものなのかな、という素朴な疑問です。90式戦車は重く大きく日本の鉄道では輸送出来ません、火砲についても同様ですし装甲車両と支援車両については数が特に多い。

 90式戦車回収車。統合機動防衛力とはいっても、北方の脅威は減退しただけで日ロ間は平和条約未締結の状況、其処に新たに西方の脅威が顕在化した形で、むしろ本土並みの軽装備の旅団と北海道並の重装備の旅団を組み合せ、緊急展開も機動打撃も両立できる師団が必要なのかな、と。

 第2後方支援連隊衛生隊の1t半救急車と野外手術システム。高射特科大隊には87式自走高射機関砲、93式近距離地対空誘導弾、81式短距離地対空誘導弾が配備されています。大隊には本部管理中隊に対空レーダ装置及び低空レーダ装置が配備され、目標情報を戦術情報に置き換え高度な対空戦闘を展開可能としました。

 和田伸一大隊長先頭に第2高射特科大隊の観閲行進。特に87式自走高射機関砲はレーダー管制により二門の35mm機関砲を航空機に対し、対空警戒、目標識別と自動追尾及び射撃諸元計算の上で弾道計算し正確に迎撃する能力を付与され、戦車部隊に随伴し防空支援を展開可能です。第7師団と第2師団がのみ保有です。

 第2高射特科大隊の低空レーダ装置JTPS-P18、大隊は加えて対空レーダ装置JTPS-P14も持つ。96式多目的誘導弾システム、対舟艇対戦車中隊が誇る優秀装備で、ミサイルの光学センサーと光ファイバーによるTV画像誘導方式を採用した新世代の対戦車ミサイル、その利点は掩砲所等から見通し線外の目標を射撃できる点で、射程も大きく、もちろん威力も大きい。

 第2高射特科大隊の81式短距離地対空誘導弾C型。多目的誘導弾システムと呼称される所以は、一発当たり60kgと通常の対戦車ミサイルと比較し四倍程度の重量がある為、艦船に対しても有効な威力をもつためで、沿岸部から内陸部へ掩蔽陣地を構築し、そのまま揚陸艦の着上陸を直接撃破する事も可能となりました。

 第2高射特科大隊第3中隊の87式自走高射機関砲で戦車連隊の直掩防空にあたる。90式戦車、96式装輪装甲車、99式自走榴弾砲、96式多目的誘導弾システム、87式自走高射機関砲、これら優秀装備ですが、やはり取得費用が大きく、最も脅威を受ける地域へ重点的に装備されているのが実情です、そしてこれらを揃えるのが第2師団です。

 第2施設大隊の96式装輪装甲車で70式地雷原処理装置を積む。しかし、第2師団を支えているのは一人ひとりの隊員の使命感と努力が創り上げた団結の結晶であることを忘れてはなりません、いかに最新鋭の装備を揃えようとも、整備し運用するのは人間です、そして近接戦闘は確実に戦闘の犠牲者を伴う宿命が突き付けられます。

 第2施設大隊の07式機動支援橋。一人ひとりの隊員が使命感を持って所管する任務を完遂する努力の積み重ねが無ければ、装備を確実に稼働させ、火器がうけ持つ範囲では確実に責任を果たし、そして装備品の運用と戦術への絶え間ない努力と研鑽が体系化、装備と人員を一つの部隊としている訳で、この点を忘れてはなりません。

 第2施設大隊の92式地雷原処理車と91式戦車橋。これだけの部隊が所在する旭川、旭川市では自衛隊は市民の一員、旭川を代表して活躍する仲間たち、という応えが、実際に市内を散策し酒杯を交わした際の率直な反応でした、沖縄の米軍基地などを見ますと基地は反対、という印象がまあ強いものがありますが、ね。

 第2通信大隊が髙橋孝介大隊長中心に観閲行進。駐屯地も広い、式典前に待機車両の周りを散策しているだけですぐに式典開始の時間になってしまいそうなほどの広さでした、待機車両も車両一両一両が大型ですし、なによりも駐屯地が広い分、多くの車両を待機させる事が出来ますので、規模も大きくなってきます。

 第2通信大隊は連隊規模の4個中隊編成。広大な駐屯地の背景には、駐屯地に第2飛行隊が駐屯していますので、飛行場地区が用意されており此処が駐屯地の面積を大きくしている点も挙げられるのでしょう。なお、当方は勘違いしていまして、第2飛行隊は旭川空港のあたりに駐屯しているとばかり勘違い。

 第2通信大隊の電子戦中隊。飛行場地区は舗装されていない未舗装滑走路で、これはUH-1やOH-6等、舗装滑走路を必要としない回転翼航空機のみの運用を想定している為なのでしょうが、他方で、未舗装滑走路の奥に普通の空港のような管制塔が見えますと印象で野戦飛行場のようだなあ、と。

 師団司令部付隊の第2化学防護隊化学防護車と94式除染装置。旭川は明治時代から連綿と続く軍都となっています。駐屯地に隣接する護国神社からも当時が垣間見えるでしょう。明治時代に帝国陸軍は全国へ後の師団となる鎮台を配置、日本全土の防衛警備体制を確立させました、ここで北海道にも陸軍の部隊が置かれる事となる。

 師団司令部付隊の基幹連隊指揮統制システム構成車両。全国へは城址等を中心に鎮台が置かれたのですが、北海道は江戸時代での開拓が充分ではなく、城址も函館くらい、まず開拓を進めなければ師団を展開する必要な兵站などを確立する事が出来ません、そこで陸軍は鎮台に代え北海道には屯田兵本部を置いたわけです。

 師団司令部付隊の基幹連隊指揮統制システム構成車両。旧陸軍時代、まず、第7師団は札幌に屯田兵本部を設置、北海道北部の開拓と共に屯田兵本部は屯田兵司令部へ改編、1895年に屯田兵司令部が臨時師団へ改編され、その上で1901年に上川郡鷹栖村に師団本営を置く第7師団、即ち旭川第七師団へと改編されたわけです。

 特科の神様と呼ばれる南浩連隊長率いる第2特科連隊の観閲行進。北海道と云えば北海道庁は札幌に置かれていますが、陸軍第七師団が置かれた時代にはロシアの南下圧力が大きく、少しでも北方の旭川に師団を置かなければ、調査名目などで上陸され、部隊を駐留させ既成事実化されかねぬ、明治時代から防衛の最前線だった点を端的に示すもの。

 第2特科連隊の観閲行進、現連隊長は前田尚男1佐。旭川、北海道空の玄関、新千歳空港からは特急スーパーカムイにて直通していまして、一見千歳からは遠い印象がありますが実際足を運んでみますとスーパーカムイ運行本数が多く、便利です。近年は旭山動物園が全国的に有名となり道外からの観光客も増えています。

 第2特科連隊の観閲行進、乗車するのは82式指揮通信車。今日では第7師団といいますと東千歳なのですが、第7師団を旧陸軍時代まで遡れば元々は旭川でした。旭川市は747.66km2と広大な面積に人口34万5000名が生活する道北最大の、そして北海道内では札幌に続く都市です。ちなみに札幌の人口は170万名ですが、ね。

北大路機関:はるな くらま
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護衛艦FRAM近代化改修と艦隊維持【06】第二次防衛力整備計画と戦略転換,護衛艦顛末記

2016-12-24 18:00:03 | 先端軍事テクノロジー
■旧海軍出身自衛艦の奮闘迷走
 本日はクリスマスイヴということで護衛艦くらま電燈艦飾の写真と共に護衛艦FRAM近代化改修と艦隊維持、先進的近代化改修護衛艦わかば顛末を前回に引き続き視てみましょう。

 護衛艦わかば、1959年に第2護衛隊群へ編入され、その直後に漸くSPS-8B高角測定レーダーの搭載改修が完了しました。そこで半年後、SPS-8B高角測定レーダーと共に第1護衛隊群へ転籍します。アメリカ海軍最新鋭の装備を受領した極秘装備、画像送受信装置とレーダーリレー機能が搭載され期待されていたのですが、直後第3護衛隊群へ転籍されます。

 DERはレーダー搭載というだけ得なく、画像送受信機が搭載、レーダーリレー機能としまして、レーダーデータリンク能力も試験的に付与されていまして、わかば、は海上自衛隊の当時の最新鋭装備P-2V対潜哨戒機のレーダー映像をそのまま伝送し、P-2V対潜哨戒機のレーダー画像を分析し艦隊中心のレーダー警戒情報等を艦上で再生する事も可能でした。

 レーダーピケット艦、このDERがあれば艦隊防空から戦闘機部隊との連携まで幅広く対応可能ですが、実は護衛艦隊で殆ど運用されていません。SPS-8B高角測定レーダーとレーダー画像送受信機、この能力を駆使すれば海上自衛隊の能力は非常に広い任務へ対応させることができるのですが、艦隊訓練でレーダーピケット任務は付与されず、航空管制もなし。

 航空母艦を運用しない海上自衛隊では、航空管制を行う場合、戦闘機を管制する必要がありません。航空自衛隊の戦闘機を完成しようにもF-86戦闘機の航続距離は短く、一時海上自衛隊がRF-86偵察機運用を検討するも実現していません、航空自衛隊は先進的なF-104J戦闘機を運用しましたが、わかば、にはF-104のナザールF15管制能力はありません。

 海上自衛隊は第二次防衛力整備計画までかなり真剣に航空母艦の運用を検討していた為、アメリカ海軍のエセックス級航空母艦の中古取得や、S-2哨戒機を運用する護衛空母の配備を念頭に航空管制等を見込み、この為にレーダーピケット艦と機上電子計算能力の補完機能や航空管制能力が求められたのかもしれませんが、対潜戦闘能力整備が優先されました。

 SPS-8B高角測定レーダーを待っている間に海上自衛隊の作戦運用体系が対潜戦闘能力強化とその装備体系偏重へ転換してしまい、SPS-8B高角測定レーダーと共に導入されるべき装備が実現せず、結局、活躍する機会がなくなってしまった、いわば計画画定から実装備までの時間的欠缺が、SPS-8B高角測定レーダーを必要としなくなったともいえるでしょう。

 演習や艦隊訓練において活用される事が遂に一度もなかった、第3護衛隊群から一年と経ず今度は横須賀地方隊へ編入されました、横須賀地方隊では護衛艦わかば、は三宅島噴火災害派遣任務での島民救出任務や遭難漁船救助に活躍しましたが、二年後に同じ横須賀の開発実験隊、当時は実用実験隊に編入され様々な試験運用に従事、1971年に除籍されます。

 1944年に大日本帝国海軍駆逐艦梨として就役し、海上自衛隊護衛艦わかば除籍は1971年、考えてみれば沈没し海中に在った期間も相当長かったわけですが1944年から1971年まで奉公した訳です、こうした意味では幸運艦だったのかもしれませんが、改修と部品待ちに補修と修理期間が長く、護衛艦はかば、と揶揄されてしまった、近代化改修の難しさを端的に示した事例といえるやもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十八年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.12.24/12.25)

2016-12-23 20:21:01 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 本日は天皇誕生日の旗日です、退位意向表明経て初の誕生日、政治は議論に時を空費せず、退位へ早く現行憲法八条に続く新九条“上皇”を制定し、上皇陛下は京都へお戻り頂ければ幸い。

 今週末の自衛隊行事無し、という際にはまあ今週末はクリスマスですが、ゆったりと玄関の掃除やお庭の整理やPCのHD増設等に時間を費やしたいところですが、そんな日ならではの自衛隊施設探訪について。海上自衛隊基地の軍港めぐり遊覧船、というものをご存知でしょうか、横須賀基地では毎日運航、佐世保基地や舞鶴基地と呉基地では季節運航となりまして、意外な情景と出会える。

 横須賀軍港めぐり遊覧船は横須賀の観光船会社トライアングルにより毎日複数便が運行されていまして、映画鑑賞と同額の費用で一時間ほど、横須賀基地を一周する事が出来ます、米軍桟橋と自衛隊の吉倉桟橋に船越地区と逸見桟橋前を一通り航行しますので、護衛艦が停泊していれば観艦式並に近寄って撮影する事も可能、尚時間帯で逆光や満席もあります、クリスマスなんか特にね。

 京浜急行電鉄の特急停車駅逸見駅前、ショッパーズプラザという一昔はダイエーだったショッピングモールの海側に券売所があります。インターネット予約も可能ですが、其処で満席となった場合でも当日券が一定数確保されていますので、HPに満席と記されていた場合でも、諦めず当日の早い時間、券売所にて当日券の有無を聞いてみるのもいいでしょう、今年は米海軍クリスマスイルミネーションの模様など気になりますが。

 さて、撮影の話題。海上自衛隊では上陸ビール、面白い風習があるようです。決してビール型輸送艦からLCACが上陸してくるわけではありませんし、記念日などに直接艦長が乗れる特大ビールジョッキ形の交通船で沖留の護衛艦から横須賀基地や舞鶴基地へ上陸してくるわけではありません、呉基地や佐世保基地でもビール瓶が上陸してくるわけではないですし、いった事は無いですが大湊基地でもビールジョッキは上陸しないでしょう。

 上陸ビールとは、護衛艦など海上自衛隊の艦艇は禁酒です、ので、母港へ戻った際や寄港地では積極的に上陸したらビールを飲もう、という風潮のこと。OBの方に聞いたので確かです。何故か舞鶴も横須賀も佐世保も呉も昼間からビールが飲める場所がある。驚いたのは、退官して、展示訓練や体験航海から上陸した後も、ビールで乾杯する、という文化があるということ。もちろん、観艦式のあとなどは云うまでもありません。

 伝統は受け継ぐべき、という事で当方もお教えいただいた通り、上陸ビールを広めています。我が国では寺院などをのぞけばここまで禁酒が徹底される場所は海上自衛隊くらいの物でしょうから、上陸ビールには大きな意味があります。体験航海の後、もちろん軍港めぐり遊覧船のようなものでも大切なのは雰囲気ですから一杯やる、いいものですよ。そのためにも、飲酒運転防止に公共交通機関で移動する事をお勧めします。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・今週末の自衛隊関連行事はなし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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防衛省平成二九年度予算概算要求の検証【13】 巨大災害へ自衛隊統合能力と日米共同体制

2016-12-22 21:12:25 | 国際・政治
■山陰と奈良福井の防災強化
 防衛省平成二九年度予算概算要求では巨大災害への自衛隊統合対処能力と日米共同体制に加え南海トラフ地震が懸念される中部方面隊管内の山陰地区と奈良福井の防災体制強化について重視した事業となっています。

 災害時における機能維持強化のための耐震改修津波対策の促進、としまして89億円が要求されました。我が国は第二次世界大戦後、幸いにして周辺情勢が我が国土へ武力攻撃は回避する事は出来ましたが、大規模災害という国民生命財産を直接脅かす脅威は常に存在し、2011年には先進国で戦後唯一24時間で万単位の人命が失われる事態に直面しました。

 仮称中部方面ヘリコプター隊第3飛行隊の新編、防災対策における目玉事業です。これは“ 日本海側の沿岸地域等における大規模災害等への対処能力の向上を図るため、美保分屯地(仮称)に中部方面ヘリコプター隊第3飛行隊仮称を新編”としたもので、鳥取県島根県両県が念願として中央への要望、CH-47輸送ヘリコプターの初日本海側配備となります。

 美保分屯地は航空自衛隊美保基地内に新設されます。この地域は出雲駐屯地第13偵察隊と米子駐屯地第8普通科連隊の警備隊区ですが、元々山陰地方と山陽地方は中国山地により隔てられ、かつて第13旅団が第13師団であった時代には第13飛行隊に固定翼機L-19観測機が最後まで師団飛行隊として配備、L-19廃止と共に能力低下が懸念されていました。

 災害時における自衛隊の展開拠点確保事業、奈良・福井の二箇所に対し400万円を計上しまして“広域防災拠点となり得る自衛隊の展開基盤について、大規模震災への実効的な対処態勢を確立するために必要な経費を計上”、となっています。これは基盤的防衛力整備計画に基づく全国への部隊配備政策下での例外的部隊駐屯の空白地帯、欠缺解消が目的です。

 奈良県は岐阜県と並び全国で例外的に駐屯地がない都道府県の一つで、加えて奈良県には岐阜のような分屯地もなく航空自衛隊幹部候補生学校のみ、京都府宇治市の大久保駐屯地第4施設団が防災任務に当っています。また、福井県は鯖江駐屯地のみで施設中隊のみの駐屯となっており、原子力発電所並ぶ若狭地区の災害対処能力強化は、焦眉の課題でした。

 JXR自衛隊統合防災演習としまして国内の大規模災害発生時を想定した陸海空統合任務部隊の対処演習、TREX日米共同統合防災訓練としまして国内の大規模災害発生時における在日米軍等との連携要領の強化に関する日米共同演習、RIDEX離島統合防災訓練としまして島嶼部における突発的な台風災害等の災害への対応能力強化を期した演習が行われます。

 TREX日米共同統合防災訓練は阪神大震災を契機として必要性が高く認識され、東日本大震災における日米共同対処任務の重要性が改めて認識され、強化されています。RIDEX離島統合防災訓練は奄美大島豪雨災害での第8師団の展開能力不足と伊豆大島ラハール災害での展開能力の限界から水陸機動作戦能力の強化を含め非常に大きな課題となっています。

 災害対処に資する装備品の取得等としまして、V-22ティルトローター機とCH-47JA輸送ヘリコプターや機種選定中の艦載型多用途ヘリコプター及びC-2輸送機とAAV7水陸両用車加えて軽装甲機動車の取得が他の事業との協同事業として挙げられ、加えて野外手術システムの取を1式2億円、汚染物質からの防護へ個人用防護装備3000着6億円が要求されました。

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