北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

21世紀のSF世界と先端防衛技術 インデペンデンスデイ/宇宙戦争/ナイトライダー/ターミネーター

2016-02-29 23:44:56 | 北大路機関特別企画
■SF映画実現の先端防衛技術
 2月29日、閏年の229となりましたが本日は21世紀のSF世界と先端防衛技術について、少し考えてみる事としましょう、SF映画にまだ先と思われた先端技術が、追いついてきました。

 先端技術が応用された現代の最新装備を見ますと、一昔のSF映画に描かれた先端技術を同等もしくは凌駕する技術が意外と増えてきたのだなあ、と感心させられるところが多々あります。スターウォーズ最新作が興行成績を塗り替えた事は記憶に新しいですが、現代戦では航空戦と海上戦闘での部隊間データリンクが基本となり、無線で怒鳴りあう描写が必要としなくなり、富士総合火力演習でも通信の指揮が電子音に取って代わられたのは記憶に新しいところ。

 F-35戦闘機が将来的に空対空レーザー兵器を搭載するとの指針に基づき技術開発が進められているとの話、いよいよレーザーという言語が軍用技術として測距や精密誘導の世界から、空対空兵器の世界へ飛び出すのかという感慨と共に、1996年の映画「インデペンデンスデイID4」のアタッカーやスピルバーグの「宇宙戦争」に登場するトライポッドへ対抗し得る技術に達したものだ、と素朴に感動を覚えたものでした。

 インデペンデンスデイID4のアタッカー、宇宙戦争のトライポッド、共に舞台が現代のSF映画ながら相手は人類よりも遥かに文明が進んだ宇宙人であり、その強力な兵器群の最大の特色として透明なシールドを張っており、ミサイルや戦車砲弾を全く受け付けない、という代物でした。しかし、可視光線で視認できるのですから、実体弾以外の粒子をかなりの部分通しており、しかもAIM-120やAIM-9等が命中しているところを見ると、レーダーには写るし赤外線も出していることとなります。

 宇宙戦争に登場するトライポッドに至っては、夜間の索敵にサーチライトを使用しており野戦能力は赤外線サーチライトを使用する74式戦車以下、攻撃開始に合図ともいえる大音響で通信していたことから相互通信では第一次大戦中のマーク1戦車並み、もちろん強力な熱線砲を備えていましたが、防御はシールド依存、NBC防護装置も無く、技術的に進んでいても戦争経験が無ければその技術に反映した高度な兵器は造られない、という印象も。

 そして可視光線と電波と赤外線を通す以上、レーザーが通る事を意味し、トライポッドやアタッカーは、F-35がレーザー運用能力整備後に地球を侵略した場合、普通にF-35、そして同世代の第六世代戦闘機に撃墜される、ということになりかねません。水上戦闘艦用レーザーは現在の20mm機関砲を基本としたCIWSの後継に具体的な進展があり、対水上戦闘では見通し線を越えた超水平線戦闘には課題が残るものの、防空にはレーザーが活用される道筋がついてまいりました。

 ナイトライダー、レーザーに続き、SF世界では、他にも現在NHK-BSで再放送中の1982年アメリカドラマ“ナイトライダー”に登場するドリームカーナイト2000について、ミサイル並の加速性能はまだその加速性から人体を防護する技術が追いつきませんが、自動運転についてはトヨタ等の自動運転技術が追いつきつつあり、人工知能との会話なども目処が立っている為、米軍ア勿論、我が国でも防衛装備庁が自動運転車両を開発中、普通科部隊支援用無人車両の研究も進んでいるとのこと。

 ドリームカーナイト2000程ではありませんが、自衛隊が誇る10式戦車もナイトライダーのM-1戦車が漸く実用化された時代からすれば相当な怪物です。自動装填装置の採用で装填がロボット化され、自動追尾装置の採用は砲手に替わりロックオンした敵地上目標を追尾する、という技術が90式戦車の時点で完成していますが、ロボット装填手とロボット補助砲手の性能、いや熟練度は10式で更に高まり、蛇行運転中に蛇行運転する目標を連続射撃する事が可能となりました。将来的には操縦手の助手を務める副操縦手の役割を自動運転機能が担う事になるでしょう。

 T-800、ロボットと云えばSF映画“ターミネーター”の世界のシュワちゃんことアーノルドシュワルツェネッガー演じるターミネーターT-800を思い出させるものですが、あの水準の自動化歩兵の量産はまだ先の話、となるでしょうが、自衛隊の中距離多目的誘導弾は、ミリ波レーダーにより地上目標をロックオンし、多数をほぼ同時に小隊間データリンクにより交戦する事が出来、ターミネーター2でのT-800がサイバーダイン社研究所において警官隊と繰り広げたような戦闘がFCSの自動化水準では現実味を帯びてきました。

 そもそもネットワーク型の戦闘という概念そのものが、インターネット普及以前の作品では、原型に当たるアーパネットシステム完成の後の作品においてもそうしたネットワークの描写、掲示板による新しい社会的相互行為形態の出現とポピュリズムの創生、ここまで予想できたものはありませんでした。例外的にスタンリーキューブリックが描いた1968年の“2001年宇宙の旅”ではタブレット端末がでているのですが、ね。

 これは、スピルバーグ監督が1985年の世界から30年後の2015年を描いた“バックトゥザフューチャー2”でも自動車が空を飛ぶ現代よりも進んだ描写はありましたが、インターネットに当たるものは出ていません。もっとも、ネットワーク中心の戦いは、少々映画的な意味での派手さを欠くという妙なリアリティもあるのでしょうが、こうした現代の様子はあまり考えられなかったようです。エイリアン2の宇宙海兵隊の戦い方よりも、現代の方が発展したのではないか、とも。

 そもそもコンピューターネットワークが構築されればコンピューターが人類を管理するというディストピア的近未来になるという警戒が抱かれていた時代、ジョージオーウェルの“1984”や東せつなさんが可愛らしい“フレッシュプリキュア”の管理国家ラビリンスのような世界が警戒されていました、しかし、RQ-9等無人機は現実世界では反乱を起こす事も無く、逆に民会がサイバースペースに構築され、フランソワトリュフォー監督が1966年に問うた“華氏451”のような世界と真逆の時代になったのは、ある意味興味深いでしょう。

 2016年になってもF-4ファントムが当然のように飛行していますが、SF映画が予測できなかったのは、スタンリーキューブリックの“博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか”にて映画の大きな部分を担ったB-52戦略爆撃機が、初飛行1952年から後継機不足から少なくとも2040年代まで運用されることとなった事実がある。

 そしてF-4ファントムが未だに防空の一翼を担うというところ、SF映画は予測できませんでした。1977年に近未来を描いた福田純監督の“惑星大戦争”では米海軍がまだF-4ファントムを使用しているという設定でしたが。1991年の東宝映画“ゴジラvsキングギドラ”では地球連邦機関のタイムマシンをかっぱらった地球均等環境会議のテロリストが、F-15をとんでもない旧式戦闘機と云っていましたが、さて、F-15Eはいつまで飛ぶのでしょうか。

 これを云い始めますと、Weblogという個人の情報発信手段、このWeblog北大路機関のようなものも含め、一昔には考えられないものでしたし、今回の特集に掲載しているような高性能のデジタルカメラを個人単位で所持し撮影し編集し公開する、という一点をとっても、また、CANON EOS-7Dmark2の高性能も、ものの十年二十年前では充分SFの世界で、1995年の映画“007ゴールデンアイ”に登場したジェームズボンドの秘密武器コンパクト高倍率ズームデジタルカメラが実現した、といえるのかもしれません、ね。

 SFの世界は深く、蒼き鋼のアルペジオのような、戦闘から作戦立案に後方支援、艦隊戦にダメージコントロールから重整備まで自分でやってくれる水上戦闘艦、ガールズ&パンツァーのどんな攻撃からも車内の乗員を安全に防護し競技としての戦車戦闘を展開できる特殊なカーボン素材、というものは中々実現まで時間を要しそうではありますが、それでも一昔にはSFの世界にしか存在しなかった技術は、着実に実現されているようで、次の閏年にはどのような技術が完成しているのか、楽しみに待ちましょう。

北大路機関:はるな くらま
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南沙諸島問題緊迫!中国南シナ海行動の考察【2】 オバマ政権下米国とロシアを踏襲する中国

2016-02-28 21:44:37 | 国際・政治
■南シナ海での中国攻勢の背景
 南シナ海での中国軍の行動は、今後どのように展開するのかについて。

 中国はアメリカとの軍事衝突を避けようとするものの、アメリカの軍事力投射が非活性化している現政権の任期中に次の行動へ出る、つまりアメリカが軍事力を地域紛争予防に積極的に投入しない2017年1月20日のオバマ大統領任期終了までの期間、活性化する可能性があります、そしてこれまで活性化しなかった背景には中国政府の意思決定過程の複雑さにあるとしました。今回はこの視点を、小牧基地で撮影しました航空自衛隊航空機の写真と共にしめしてゆくこととしましょう。

 中国の意思決定過程は、中国共産党中央軍事委員会主席に非常に大きな権限が集約されているものの、支持母体が中国共産党と国家機関と行政機関に中国人民解放軍と複雑化している為、意見集約と調整に複雑な過程を経る必要があり、此処に時間を要する訳です。中国の指導者は国民からの指示を気にする必要はありませんが、人民解放軍や共産党からの支持を失えば選挙を経ず即座に失脚するため、調整を充分行わねばなりません。

 アメリカ軍の即応性が高くともアメリカ政府の決心の即応性は低い、この事象への自国安全保障のみを考慮した施策へは、ロシア政府は大統領が国民からの支持に依拠している為大きな権限を有していますが、中国は指導者の権限は大きいものの支持母体への責任が多極化している為、即座の決定と行動を行う事が可能ですが、中国の政治システムの際がこのアメリカの軍事力の対応能力の低さを見極めたうえでの行動の遅延に起因していると考えるべきでしょう。

 2017年1月20日のオバマ大統領任期終了は、中国政府にとりほぼ中期的に唯一の南シナ海周辺海域での軍事行動を実施する機会です。最も警戒すべきは、中国海軍がヴェトナム海軍を攻撃し島嶼部を占領した1988年の赤瓜礁海戦と同じような、示威行動を越えた武力紛争へ発展する可能性です。東南アジア諸国の海軍はタイ海軍のようにヘリコプター空母を保有する海軍はありますが、少数のフリゲイトとミサイル艇を主体とした海軍が多く、外洋海軍力が乏しいのが現状です。

 東南アジア諸国は中国の急激な海洋進出と南沙諸島での軍事行動増大を受け、現在急速に海軍力を強化中です。長らく第二次大戦中のアメリカ製護衛駆逐艦で海上自衛隊中古艦のみしか有さなかったフィリピン海軍が欧州中古大型フリゲイト導入に着手、ヴェトナム海軍とインドネシア海軍は新しくオランダよりステルスコルベット導入を開始し、マレーシア海軍はフランスより潜水艦導入計画を開始、中古潜水艦の導入の動きも2000年代から急速に広まっています。

 しかし、実能力面で現代的な海洋戦闘に対応できるかと問われた場合、未知数の部分が多いことも否めません。東南アジア諸国は冷戦期においては国内の治安作戦と隣国との国境紛争における衝突が基本であり、師団規模の機械化部隊が参加した事例も例外はアメリカとヴェトナムのヴェトナム戦争と中国がヴェトナムへ侵攻した中越戦争程度でしかありませんでした。海戦は魚雷艇や哨戒艇の機銃主体の交戦が主流でした。

 現代の海洋戦闘、このなかで対水上戦闘は、艦艇間のデータリンクと広域防空艦や哨戒機との連携により三次元的に対潜戦闘とミサイル戦を展開するものですが、東南アジアには広域防空艦にあたる艦艇を欠いており、個艦防空能力を持ち自艦のみを防護できる艦艇も、少数派となっています。故に現時点で中国海軍と東南アジア諸国海軍との間には大きな能力の開きがあり、またASEANにはNATO型の軍事同盟も存在しない事から各国間の連携などは望めないでしょう。

 2017年1月20日のオバマ大統領任期終了まで、南シナ海方面において大規模な海上戦闘を経ての南沙諸島での他国軍事力排除への決心を中国が行う可能性は、現状では高まると考えられ、西沙諸島配備の戦闘機と南沙諸島のレーダーサイトが稼働開始すると同時に防空識別権を設定し、東南アジア諸国空軍力を排除、その上で南沙諸島全域の島々を海軍歩兵部隊により強襲し奪取するという可能性が高くなります。

 アメリカ政府が南シナ海での武力紛争を回避するには、方法は非常に簡単で、東南アジア地域へヴェトナム戦争時代に挙げられるようなヤンキーステーションを再構築することです。ヤンキーステーションとはヴェトナム戦争時代にヴェトナムでの航空支援へ南沙諸島近海に常時数隻の空母機動部隊を遊弋させた海上配置を示します。勿論、ヴェトナム戦争期と比較すればアメリカ海軍の航空母艦は配備数が縮小していますが、一隻を常時遊弋させることは、不可能では、ありません。

 ペルシャ湾での空母配備状況に影響が出る可能性も考慮せねばならないのですが、イラク戦争前の時代と比較すれば、ペルシャ湾への空母常時遊弋の必然性は、イランへの牽制という意味合いと対ISIL上の必要性というものであり、フセイン政権時代のイラクと比較すれば、大規模な陸上戦闘を海軍航空戦力により阻止しなければならない切迫性は、南シナ海での情勢と比較すれば切迫度は下がってきており、アメリカ政府に意志さえあれば、紛争を抑止する事は可能でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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南沙諸島問題緊迫!中国南シナ海行動の考察【1】 東部ウクライナ紛争・クリミア問題に続く危機

2016-02-27 22:05:22 | 国際・政治
■南沙諸島問題緊迫!
 中国の南シナ海における一連の軍事進出について、様々な識者が楽観論と悲観論を提示されていますが、当方は過去の事例から極めて厳しい状況へ展開する可能性があるのではないかと考えます。

 南シナ海全域を中国防空識別圏へ含めるとの危惧がありますが、将来的には日本の防衛と直結する問題となるでしょう。中国の対外政策は、アメリカとの軍事衝突を最大限慎重に避ける政策決定を採っていますが、基本的な国家戦略が西太平洋の自国排他的勢力圏下への編入であり、アメリカとの摩擦は最終的に回避できないという矛盾を調整しつつ対応しています。この中で中国の施策は同様にアメリカとの関係を重視しつつ最終的に対立を強いられる政策を採る点からロシアとの共通点を見て取る事が出来るでしょう。

 アメリカのオバマ大統領は2013年9月10日、テレビ演説において、「アメリカは世界の警察官ではない」と発言し大きな話題となりましたが、ロシアの対応は比較的早く自国周辺地域の安定化へ乗り出しました。2014年2月13日に勃発したウクライナ東部紛争と2014年2月27日の親ロシア派武装民兵クリミア占領と2014年3月16日のクリミアロシア連邦併合、と続き、東欧における冷戦構造が急速に再形成された事案がありました。予てより極東地域でのロシア軍演習頻度の冷戦後における増大は日本の防衛へも影響を及ぼしていますが、この際に欧米と日本は連携して経済制裁を開始、明確な対立構造が成立し今に足ります。

 2017年1月20日にオバマ大統領の任期は終了し、現在進められている大統領選挙を通じ選ばれた新しい大統領へ交代する事となりますが、中国政府は現在のアメリカが示す軍事力の安全保障への関与の度合いを低める施策に遅まきながら乗じて、2016年2月17日の西沙諸島への長距離地対空ミサイル部隊展開、2月23日における南沙諸島長距離レーダー部隊展開、2月25日の西沙諸島戦闘機部隊展開、と続きました。

 現在の南シナ海情勢ですが、場合によっては日本の防衛へも影響を及ぼす範囲まで急展開する危惧があります。アメリカ政府の外交はオバマ政権以降大きく揺らいでおり、幾つかの事例を挙げますと、2010年のマクリスタル駐アフガニスタン司令官事実上更迭事件を経てNATOを巻き込む大統領軍掌握文民統制疑義事案が発生、2011年にはリビア内戦介入問題でのオデッセイの夜明け作戦発動までの紆余曲折と地上軍不介入指針、2011年からのシリア内戦不介入問題とシリア化学兵器サリン使用問題への介入姿勢誇示と唐突な撤回、など。

 オバマ政権は大統領選当時から前のブッシュ政権時代のイラク戦争を批判しイラクとアフガニスタンからの撤退を明示していました、民主化以降途上で武装勢力が存在する地域あら撤退時期を明言すれば持久戦の耐久期限を明示するだけとして批判されましたが、イラクアフガニスタンからの無理な米軍撤退姿勢誇示による武装勢力跳梁とアルカイダ及びISIL台頭など、安全保障へ過去の大統領とは少々異なる政策をとっています。

 ロシアの対外政策を中国は数年程度遅れて踏襲している、根拠は対テロ戦争時代に際し中国政府は自国内での少数民族抑圧政策を、ロシアよりかなり遅れて対テロ戦争に位置付け正当化しました。2007年にロシアがアメリカの弾道ミサイル防衛システム東欧配備へ大きな反対を明示しましたが、中国政府は同時期に日本周辺でのミサイル防衛体制が構築されながらTHAADミサイルシステムへの明確な反対意志を明示したのは2013年に入ってからでした。

 中ロ両国を見ますと、中国の意思決定過程がロシアよりも複雑である為、合意形成へ即断が出来ない事から数年程度後を追って踏襲する、という現状に繋がるのではないでしょうか。無論、理論を単純化し過ぎている為定義が曖昧との反論はありましょうが、アメリカの掲げる自由と民主主義を基調とする国際公序に対し、海洋自由原則よりは地政学要素を重視している、また、民主主義と自由主義の相関関係では対立する要素が多く、ここから外交関係と対外政策において影響が生まれる部分では共通です。

 中国政府の統治機構は非常に複雑で中国共産党・国家機関・行政機関・中国人民解放軍、以上が四権分立構造を採っており、共産党の下に国家機構が置かれるという歪な統治機構の構造を採っています。共産党も中央委員会総書記を頂点とする機構ですが、実際の権力機能は中国共産党中央軍事委員会主席として人民解放軍の最高司令官に集約されている為、憲法上の軍国主義体制となっています。しかし、外交と国内政策は国務院総理の管轄であるため、意見集約等の政治システムが時間を要する構造という点が見て取れるでしょう。

 ロシア連邦政府は統治機構が国民主権に基づく大統領への行政権と外交権の集約が為されています。ロシア連邦大統領は国民による直接選挙により選ばれるため、国民に対し全責を負うと共に直接の指示を受けるという正統性と正当性を持ちます。この為権限が非常に大きく、政府要職の指名任免権と国家会議下院解散権、大統領令発布権限、議会可決法案の拒否権、全軍の指揮権、戒厳令非常事態宣言の発令権限、国民投票の実施権をもつなど権限が非常に大きい一方、意思決定を迅速に行えるのです。この意思決定への時間差が、現状に反映していると考えられるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.02.27/28)

2016-02-26 23:05:12 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 梅花咲き始め未だ寒空の下冷たい風と共に優美な梅の香漂う今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今週末の自衛隊関連行事ですが、海上自衛隊呉音楽隊第46回定期演奏会や海上自衛隊横須賀音楽隊第50回定期演奏会などは行われますものの、事前応募制の演奏会となっており、所謂一般公開が為される行事などは今週末も予定されていません。明日まで大阪港へ米海軍指揮艦ブルーリッジが入港中ですが、一般公開はされません。

 小牧基地でのX-2/ATD-X先端技術実証機試験ですが、報道によれば初飛行は今月下旬から来月初旬に延期となり、小牧基地での地上滑走試験が行われています。県営名古屋空港展望台や複合商業施設名古屋エアフロントオアシスからその様子などを眺める事が出来ます、が、11日からまだ実施されたのは2回のみです。

 県営名古屋空港からは航空自衛隊小牧基地の航空機に加え、三菱重工へ定期整備として入る戦闘機なども見る事が出来ます。海上自衛隊週末基地一般公開と艦艇広報についてですが、舞鶴基地、佐世保基地、呉基地、天候次第で変更となる場合があり、週末艦艇広報一般公開については各基地HPにて足を運ばれる前に最新の情報をご確認ください。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

自衛隊関連行事はなし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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南沙諸島問題、中国東南アジア進出期する南シナ海の海洋安全保障上最大紛争要素を俯瞰する

2016-02-25 22:53:01 | 国際・政治
■検証:南沙諸島問題
 南沙諸島問題を知るには、そもそも南沙諸島とはどんなところなのかについて知るべきでしょう。X-2/ATD-X先端技術実証機の特集を予定していましたが、今回は南沙諸島と西沙諸島問題をX-2の写真を無関係にはりつつ東南アジアと日本を結ぶ重要海域の現状を以下に挙げてゆきます。

 中国が西沙諸島に戦闘機を配備したとしてさらに緊張度が高まっています、南沙諸島問題は東南アジア地域で永らく続く係争問題で、中国が海軍力により支配を広げようとしている現在進行中の事例です。ミュレーション小説の世界では散々扱われ、森詠氏の“日本中国戦争”に大石英司氏の“南沙諸島作戦発動”や砧大蔵氏の“新機動空母あかぎ3”とラリーボンド氏の“レッドドラゴン侵攻!”などシ東南アジア現代紛争モノでの中国軍かませ犬系ジャンルの一つの定番となっていますが、現実問題として海上での大規模武力紛争蓋然性が世界で三番目に高い海域です。ちなみに南沙諸島は三位ですが、CSIS資料などを観ますと、一番高いのは台湾海峡、続く二番目は我が国沖縄近海です。

 南沙諸島は東南アジアの中央、南シナ海の中央付近に位置する島嶼部で、太平島、パグアサ島、西月島、南威島、ノースイースト島、サウスウエスト島、景宏島など12の離島と15の岩礁から構成されています。元々、南沙諸島はその帰属を多くの国が主張していましたが、中国が介入するまでは武力紛争には至っていません。東南アジアの中央に位置する南シナ海の島嶼部ですのでフィリピン近くの離島をフィリピンが、ヴェトナムカムラン湾近くの離島をヴェトナムが、マレーシア近くの離島をマレーシアが領有、台湾は歴史的経緯から日本より戦後編入し領有化しています。この文字の通り、南沙諸島は北方の西沙諸島と異なり中国本土から距離を隔てている為、当初は話に出てきません。

 中華人民共和国は1970年代に海底資源埋蔵の可能性が指摘されると南シナ海は支那の海なので中国領だ、としてこの地域を紛争地へ変えてしまいました。中華人民共和国は赤瓜礁海戦によりヴェトナムから奪取した環礁とフィリピンから奪取した環礁を離島と位置づけ海南省に編入、防衛施設や空港建設を強行、今回レーダー施設を建設中となり、元々武力攻撃を以て奪取した地域である為、紛争激化の兆しがあります。こういうのも、中国は南沙諸島の環礁を島として主張し領有権を主張しているものの、島を一つも持っていない為、人工島を軍事施設化し、周辺国の離島侵略拠点となるのではないか、と危惧があるのです。

 フィリピンを筆頭に南沙諸島の島々について、各国の施政権と領有権を見てみましょう。フィリピンがパグアサ島とウエストヨーク島にノースイースト島とラワック島及びロアイタ島をパラワン州の一部として実効支配下に置き、一部に飛行場などを建設しているとともに、パタグ島等砂洲と環礁などもその排他的経済水域内として管理していますが1994年にミスチーフ礁が中国軍に不法占拠する事案が発生し、これはピナトゥボ火山噴火に伴う在比米軍の全面撤退から二年後の軍事力空白に乗じ発生したもので、日本の商船からフィリピン政府へ環礁が中国軍により占拠されている事が通報され発覚したもので、いまだに中国軍は撤退していません。

 ヴェトナムはカインホア省に滑走路を持つチュオンサ島、サウスウエスト島、シンカウ島、ソンカ島、ナムイエット島を福江実効支配している他、チュオンサドン島とファンビン島の砂洲が島として保持されています。過去にはジョンソン南礁を筆頭にファイアリークロス礁とクアテロン礁及びヒューズ礁にガベン礁とスビ礁を離島として領有していましたが1988年にこれら環礁は島として認められないとする中国軍が侵攻し赤瓜礁海戦が勃発、中国軍が全ての環礁を占領したのち自国の離島であるとして宣言し現在人工島を造成中で、ヴェトナム政府はこれらすべての環礁の返還と中国軍の撤退と補償を要求しています。

 中華民国は太平島を高雄市の一部として2003年に軍用飛行場を建設しました。太平島は南沙諸島最大の島で、1929年に日本が事実上の管轄下に置き1939年には海軍航空隊飛行場や艦艇基地を建設、第二次世界大戦の敗戦により中華民国政府は1945年に日本が同島の領有権を喪失した事で広東省に編入し、基地化を実施、気象台などを置くと共に大陸からの侵攻へ備えています。飛行場へはミラージュ2000戦闘機を暫定配備した事例があり、第二次大戦中に南シナ海唯一の洋上航空基地であった施設がそのまま運用されているというべきでしょう。

マレーシアはラヤンラヤン島をサバ州の一部として空港などを建設しています。また、満潮時にも離島としての定義を満たすマンタナニ礁を領有しており、ブルネイ政府はこの環礁に付属する環礁の一部がブルネイ領土に当たるとしてマレーシア政府との間で係争状態にあります。上記の実効支配が明確となっている島々も領有権主張が複数国により為されています。また、過去に中国軍がヴェトナム軍を攻撃し奪取した事例や、フィリピンの環礁を不法占拠し人工島を建設している事例がある為、各国は中国軍の侵攻への備えを余儀なくされました。

 中国が離島と主張しているのは、1988年にヴェトナム海軍を攻撃し武力奪取したスビ礁とクアテロン礁にファイアリークロス礁、1994年にフィリピンから奪取したミスチーフ環礁です。スビ礁はヴェトナム海軍を排除して後、沿岸監視レーダーを設置しましたが2014年より人工島造成を開始し3000m級滑走路を建設中です。クアテロン礁は要塞化を完了させました。ファイアリークロス礁はヴェトナムから奪取したのち監視部隊を置く程度でしたが2015年に入り人工島造成を開始し3000m級滑走路を完成させました。ミスチーフ環礁もフィリピンから奪取後、監視部隊を置いていましたが、現在、南沙諸島三本目の滑走路が建設中です。

 1988年にヴェトナム海軍を攻撃し武力奪取したスビ礁とクアテロン礁にファイアリークロス礁、1994年にフィリピンから奪取したミスチーフ環礁の占拠は、周辺の島々への侵攻の着手でしかなく、この四箇所の環礁への人工島建設と飛行場設備建設は侵略準備ではないか、この指摘へ中国政府は一貫して平和利用のためであるとしてきましたが、軍用機発着や防衛部隊駐屯と対空兵器搬入を実施してきました。中国の平和とは世界でいう戦争という意味にあたるようで、今回、レーダー施設が建設されている事案も、単なる始まりに過ぎないのかもしれません。

 ただ、中国の海空戦力は経済成長と共にここ20年間で大幅に強化され、1993年に24機のSu-27戦闘機を導入し1995年に初めて現代的な大型水上戦闘艦を整備した時代とは隔世という強力な陣容を揃え周辺国に示威行動を執る東南アジア諸国には、中国へのカウンターバランスとしてアメリカ軍の航行の自由を国際公序とする取組、尖閣諸島への侵攻圧力へ専守防衛という国是を守り通す日本、東南アジアへ大きな影響力を及ぼすオーストラリア、この三国の連携は大きな政策決定への影響力を有しています。

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国産ステルス機!X-2/ATD-X先端技術実証機、小牧基地にて地上滑走試験実施

2016-02-24 23:44:00 | 先端軍事テクノロジー
■X-2/ATD-X先端技術実証機
 本日小牧基地においてX-2/ATD-X先端技術実証機の地上滑走試験が実施されました。地上滑走試験は今回が第二回、幸いに当方も撮影する機会に恵まれましたので、本日はその様子を紹介すると共にこの新型機についての説明を、と思います。

 将来戦闘機として防衛省がF-2支援戦闘機の後継機として開発を推進する第五世代戦闘機F-Xへ、X-2/ATD-X先端技術実証機は防衛装備庁と旧称防衛省技術研究本部がその実開発へ必要とされ開発されてきました各種先端技術を航空機として実際に飛行させ、ステルス性や高機動性と航空戦闘能力を航空機の形状として完成させ、評価試験と更なる技術開発を通じ将来戦闘機へ繋げる航空機です。

 第五世代戦闘機は、ステルス能力を基本として航空戦闘を優位に進める基本に立ち、相手に近距離まで察知されない状況を用い、一方で先進的なレーダー及び各種索敵装置を統合し相手に対しては終始優位に先制対処できる態勢を設計に盛り込み、その上で戦闘機に求められる高機動性の実現や、将来戦闘機として第五世代と第六世代戦闘機の過渡期に求められる航空戦闘の共同交戦能力強化や、低燃費高出力エンジンの開発を通じての航続距離延伸と小型化の両立が志向されることでしょう。

 このステルス機ですが、レーダーに映らない事を第一としていますが、第二とされているのが航空力学で、元々航空機は航空力学に則り飛行に最適とする形状を設計に反映してきました、しかし、この部分を第二とするため、通常のワイヤ方式による操縦系統により操行した場合、瞬時に揚力を失う危険や失速や安定性欠如による操縦不能となる危険性が非常に高く、何よりもこれを補正するフライバイワイア方式と飛行制御プログラムの連動が欠かせません。

 我が国は、フライバイワイヤ方式の航空機への適用研究を1977年よりP-2哨戒機改造機により開始しており、T-2CCV等更に進んだ飛行制御プログラムの開発へ至り、この技術はF-2支援戦闘機の開発により実用面を有している事を証明しました、例え捻った姿勢や傾差する姿勢でも水平飛行や高機動飛行を可能としています、フライバイワイヤは、誤解されるのが電動式の単なる操行装置で操舵しているというものですが。

 これは多くの場合誤解で水平飛行するという操作を行う場合、不安定な状況であっても水平飛行を維持できます。この技術はステルス機が飛行し、航空戦闘に必要な高機動運動性を付与することに繋がり、非常に難しいフライバイワイヤ技術を長期間の研究により実現しました。このほか、小型高出力エンジンの開発やその三次元高機動を可能とするスラスト装置などを開発しており、この技術開発がX-2/ATD-X先端技術実証機の開発へと導きました。

 ステルス機は、相手レーダー波を避弾経始のように逸らすことで探知を逃れるものですが、機体形状に加え、前述の通り航空力学を無視した形状を採る為、開発時には各種機材を小型化しなければ、機体が大型化してしまい、せっかくレーダー反射面積RCSを縮小しても機体そのものが大型化してしまえば結果的にRCSがまた増大してしまいます、この点の技術も長く開発されています。

 しかし、ステルス性は、機体形状の工夫やミサイルなどの武装の機内搭載などにより、一定程度までは下げる事は容易なのですが、その分水嶺を越えてしまいますと、エンジン空気取り入れ口から内部のエンジンが、正面からコックピット内の操縦者が、映るなど更にRCSを低下させる上での難易度が一挙に高まりますし、ミサイルを内部へ搭載する場合発射するには兵装扉を開閉する必要があり、回避行動など高運動時での投射や開閉と発射を短時間化するなど、機体形状以外の必要とされる技術は多々挙げられます。

 さて、これら技術をX-2/ATD-X先端技術実証機はすべて盛り込まれて開発されました、機体そのものの設計と製造はこの種の新型機開発においては非常に低い費用により実現していますが、その背景には、先進技術は多数が各々の研究として完成されたものを集積し航空kとしての形状としたためであり、実際にはその開発費は防衛庁技術研究本部発足から今日の防衛省防衛装備庁までの研究の成果が大河の如く繋がる中、最先端の部分を導水し完成させたため、といえるでしょう。

 この開発は、計画ではもう少し早い時期に試験走行を実施し、今月中に初飛行すると先月には発表されていましたが、新技術であり新型機であることから慎重を期して開発されており、結果的に遅れています。ただ、現在のところ来月上旬に初飛行が予定されており初飛行後にはそのまま小牧基地から飛行開発実験団が置かれる岐阜基地へ展開、本格的技術試験に用いられることとなります。

北大路機関:はるな くらま
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中国軍、南沙諸島の人工島四箇所に長距離レーダー施設群を建設 米CSISが衛星写真を解析

2016-02-23 19:44:02 | 防衛・安全保障
■南沙諸島南シナ海危機
 中国が南沙諸島へ長距離レーダーを配備しました、西沙諸島への長距離地対空ミサイル配備に続く南シナ海の新しい武力紛争の火種です。

 アメリカのCSIS戦略国際問題研究所は、南沙諸島に中国が造成した人工島の最新衛星画像を解析し、4カ所の人工島で中国軍がレーダー施設を建設中であることを分析、西沙諸島へ建設されたレーダー施設とともに南沙諸島にもレーダー施設を建設し、既存の複数の飛行場設備と併せ、南シナ海全域を制圧する態勢を構築しようとしている具体的な動きであると指摘しています。レーダー施設建設が進むのは1988年にヴェトナム海軍を攻撃し武力奪取したスビ礁とクアテロン礁にファイアリークロス礁、1994年にフィリピンから奪取したミスチーフ環礁で、全て環礁ですが人工島を造成中で三箇所は滑走路が建設中です。

 報道によれば、レーダー設備と推測される2つの塔および高さ20m程度のポールが多数確認できるとのことで可搬式は過去に持ち込んだ実例があると報じられていますし、既に高射機関砲は南沙諸島にも配備されています、しかし、今回報じられているものは陸上設置型の恒久的なレーダーと見られ、既に南沙諸島にある飛行場設備と併せ、実質的に南沙諸島と西沙諸島を基点として南シナ海全域に防空識別圏を設定する方針の表れでしょう。

 この報道の中で特に注視すべきは、高さ20m程度のポールが多数設置という部分で、単なる通信用の設備であるのか、OTHレーダーのような極超長距離探知用二次元レーダーのアンテナ部分にあたるか、というところで、後者であった場合、OTHレーダーは出力次第で探知能力が異なるため、今後の発電施設搬入などから推測するか、電子偵察機を派遣し稼働後に測定する他知るすべはありませんが、フィリピン内陸部分やヴェトナム内陸部分、インドネシアやタイ国内を索敵可能となっている可能性があります。この場合、更に不測の事態が発生し、我が国もシーレーン防衛への何らかの措置を必要とする可能性が出てきます。

 中国は現在に至るまで南沙諸島全域の領有権を一方的に主張していますが、実は中国は南沙諸島に実効支配している島は一つもありません。しかし、低潮高地という干潮時にのみ姿を現し満潮時に全て海没する国際法上島に認められない環礁上にコンクリート建造物を建設し、島であると主張しました。これら環礁はヴェトナムから武力奪取した環礁とフィリピンが監視員を常駐させていなかった環礁を海軍が占拠し離島としており、これら環礁を根拠地として周辺国へ侵略を開始する懸念がある訳です。

 南沙諸島での環礁の人工島造成がそもそもの発端でしたが、人工島造成に要する所要期間の見積もりを、この地域の海洋秩序へ大きな影響力を有するアメリカが想定するよりも遥かに短期間で造成、完全に見誤った事で、事態端緒での予防外交の展開に決定的な後れを取る事となりました。もっとも、中国の建設能力は公共インフラ建設の速度の速さを考えれば、充分な土砂運搬船と浚渫船を使って上海や潮州の埋め立て工事をすすめている訳で、能力的には充分可能であることが指摘されていました。アメリカのオバマ政権が外交だけで解決すると決意を表明し、懸念を毎週のように様々な場において伝え続け、一年以上が経ちました。しかし、どれだけ強い口調でも“外交だけで解決すると決意を表明”は“軍事力使わない決意”表明に他なりません。人工島造成を急がせた背景には、現在のアメリカオバマ政権が軍事的な対抗手段を検討するまで時間がかかるという状況が無関係ではありません。

 航行の自由作戦として、オバマ政権は中国の南沙諸島および西沙諸島での人工島造成や軍事基地増設による南シナ海全域の領有化へ、オバマ政権が可能とする最大限の措置を採り、三か月間に二回程度の割合で、中国が領域化を宣言したが、国連海洋法条約および大陸棚条約に基づく領域基点とならない人工島や係争海域の近海へ海軍艦艇を、文字通り三か月間に二回、展開させています。これでは教授が講義で出欠採る回数と日程を宣言するようなもので、こんなことを繰り返してはどれだけ艦船と航空機を準備しても全面戦争まで緊張は高まり続けるだけで、現状では“航行の自由作戦”ではなく、“行動の自由作戦”として中国に行きつくところまで自然に行かせているかたち、意図して外線作戦に引きずり込み消耗戦に誘うならば、選択肢の一つとして合理的だけれども、単にアメリカだけが自分たちは強硬姿勢を執っているつもりで、それが利いていないだけ、という構図になっている印象です。

 現在アメリカでは大統領選の予備投票が展開されていますが、オバマ政権は二期目であり、三選禁止のアメリカ大統領制度を念頭に現在の対中融和政策が続く保証は無く、更にオバマ政権の外交における延長上としての軍事力の示唆を忌避した事が、ウクライナ問題や朝鮮半島問題と中東情勢に北アフリカ情勢をアメリカへ悪影響が生じるまで放置した現状へ繋がったとの指摘を踏まえれば、次の政権が保守化する可能性が高いことを示します。中国の視点からは、オバマ政権から次期大統領までの期間が一つの期限であり、オバマ政権在職中では米軍介入の口実となる過度な強硬政策を避け、一方で中国融和論がアメリカ大統領選において今後主流とならない限り文字通り“賽は投げられた”という視点から、アメリカが介入しない短期間で持てる資材をすべて投入し埋め立てるという中国指導者の選択肢、ある意味当然ではあるといえるでしょう。

 オバマ政権は中国の軍事力に勇ましい言論でのみ対抗する姿勢を今回も貫くようで、カリフォルニア州において、ASEAN諸国首脳を招く海洋安全保障に関する会議を開催、この中でアメリカ政府は中国の名指しを避けつつ、南シナ海での挑発的な行動を抑制し軍事化を避けるとともに航行および飛行の自由の確保に関与していくことなどを確認したサニーランズ宣言を先週採択しました。サニーランズ宣言から一週間たたずして、先週長距離ミサイルが設置された西沙諸島よりもさらに南で東南アジアの中央に位置する南沙諸島へ緊張が高まった現状となる訳ですが、オバマ政権は現職中どの程度までの軍事行動を許容するのか、勿論、一国の指導者はこうしたことを明かさないものですが、ここまでの行動を見ますと、宣言や話し合いの場所を模索するだけで実際の行動を執る余地はないのか、日米首脳の電話会談などで踏み込んだ討議が必要となるやもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第三一回):航空防衛力、航空防衛戦第一段階の統合防空作戦

2016-02-22 23:01:48 | 防衛・安全保障
■航空防衛戦第一段階
 専守防衛を国是とする我が国は有事の際、第一撃を受動的に対応し、爾後の航空防衛戦闘に臨まねばなりません、臨時分屯基地への分散はまさにその具体的施策として提示しました。

 NIFC-CA、海軍統合防空火器管制能力が航空自衛隊のE-2D導入と共に整備され第一線部隊へも自衛隊統合データリンク能力を強化する形で付与されることとなります。戦闘機だけ前進したとしても適切なデータリンクが無ければ、緊急発進さえもできませんが、NIFC-CAの能力整備は、イージス艦や護衛艦と早期警戒機情報を包括化し統合管理する事が可能となるでしょう。

 護衛艦との連携を繰り返し強調する背景には、通信ネットワークをシステムとしてモジュール化したものが護衛艦である為で、勿論最新鋭の一桁護衛隊、護衛隊群の所属艦でなくとも、二桁護衛隊、自衛艦隊直轄艦でも通信機能が十分確保されているならばその任務に対応可能です。勿論、臨時分屯基地へ通信隊分遣隊を派遣する必要性はありますが、作戦運用において現代戦を展開するのに通信は不可欠です。

 まず緊急発進をネットワーク化し複数の臨時分屯基地飛行中隊を管制する事が出来、更に巡航ミサイル攻撃などに対しては、護衛艦からの僚艦防空能力の支援により防空を展開する。もちろん、通信端末を合わせて展開させる手法が必要でして、これは可搬式コンテナと可搬式アンテナ装置により、第一線通信網を構築する必要がありますが、これまでよりも例えば輸送ヘリコプター一機分の輸送力で展開可能となる装備の機能が広くなるということ。

 臨時分屯基地を展開させる状況は緒戦ですので、まず分遣防空チームを展開させる状況を想定しますと、展開手段に用いる空輸手段は救難ヘリコプターによる空輸支援でしょう。分遣防空チームの機材は1個分遣班を携帯地対空誘導弾2セットと機関銃1丁として、携帯地対空誘導弾射手4名と機関銃射手及び弾薬手2名に射撃指揮官1名の計7名、救難ヘリコプターは15名を空輸可能なUH-60J系列で機上救難員の区画がありますが、防空装備コンテナと要員7名、なんとか1機に収容できるでしょう。

 もちろん、臨時分屯基地へはコマンドー攻撃などが想定されますし、又臨時分屯基地も航空攻撃の標的となります、地方空港は有事の際に優先攻撃目標となるのに合わせ、もう一つ、地方から疎開する非戦闘員の輸送拠点ともなり得ますので、必要な防衛措置をとす必要、また、周辺地域へ航空攻撃の付随被害が生じる場合に備え、陸上自衛隊との作戦協定に基づく展開も必要です。

 戦闘機の整備機材ですが、可搬式の器具として戦闘機を整備する上で必要な機材は、どの航空団で聞きましても、例えば軽トラックの荷台に搭載する事が可能な規模には収まらない、とのこと。戦闘機にはJAS-39のように元々整備機材を最小限に抑えて分散運用を念頭とした機種やMiG-29のように前線運用を第一として最低稼動率を最高稼動率以上に重視た機体は存在します。

 これはMiG-29が多少不具合があっても離陸し航空戦闘に対応するソ連空軍と防空軍の運用区分に合致した機種として設計されたものです、しかしF-15は設計時点でこのような配慮よりも装甲戦闘力を重視している事から、そうはいきません。そこで、一例としてC-130H輸送機に搭載可能というコンテナ容積と器材総量を念頭に2機から8機のF-15戦闘機が任務飛行を行う上でどの程度展開できるかの戦闘支援能力を数値化し、共有できるようすべきです。

 その上で展開する航空部隊がどの程度の航空作戦を展開可能な体制に維持されているかを統合防空任務司令部は常時把握できる状態とし、分散運用の対象となっている部隊が孤立しない状況を構築し、滑走路は離れているがデータリンクにより常時相互支援を受け得る体制下に維持する運用基盤構築が必要でしょう。統合防空作戦展開は、航空自衛隊の主管任務であると同時に陸海空自衛隊の協同を以て、通信と基地防空面で統合戦闘力を発揮すべき、という視点です。

 このように、臨時分屯基地へ有事の際一時航空団隷下の飛行隊を分散運用する事で、航空優勢を喪失する状態だけは避けられるでしょう、ただし、臨時分屯基地は如何なる場合でも戦闘を継続するという意思の表れであると共に防衛戦闘の一形態に過ぎません。長期的に展開する場合は航空消耗戦に追いやられ、消耗戦を勝ち抜く具体的施策を提示しなければ、最終的に磨り潰されてしまうでしょう。

 航空自衛隊の任務は航空優勢確保を以て、憲法が定めた国民の権利と国家の主権を維持することにあります、これは防衛戦闘を軸とした航空撃滅戦に勝ち抜く必要があり、この為に、臨時分屯基地への分散運用は重要な緒戦での奇襲を受動的に耐え抜き、航空防衛力基盤の再構築までの第一段階であるとの認識が必要です。ここで、航空自衛隊の航空団は、その総数を縮小してでも隷下戦闘機配備数を増勢し、一個当たりの継戦能力の強化を示しました、即ち、第二段階には分散運用以外の集中運用というものも同時に想定しなければなりません。

北大路機関:はるな くらま
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そうりゅう型潜水艦輸出交渉 自衛隊潜水艦豪州海軍次期潜水艦選定への優位性 結

2016-02-21 23:33:38 | 先端軍事テクノロジー
■日本とオランダの潜水艦
 オーストラリア次期潜水艦について、日本とオランダの潜水艦の関係性と共に見てみましょう。

 オランダ海軍もバーベル級潜水艦の技術提供を受け、ズヴァールトフィス級潜水艦を建造しました。バーベル級潜水艦は実用潜水艦として涙滴型船殻単軸推進方式を実現した潜水艦なのですがバーベルとは鯉の意味でバーベル級潜水艦は全艦魚類の艦名を冠しています、面白い事にズヴァールトフィス級潜水艦のズヴァールトフィスとはメカジキのオランダ語でして、姉妹艦というべき潜水艦うずしお型よりもバーベルの魚類という印象までも継承している印象を与えます、もっともオランダ潜水艦は前型のドルファイン級潜水艦は文字通りイルカを示し、海洋動物の名を潜水艦に冠する伝統があるのですが、ね。

 ズヴァールトフィス級潜水艦は水中排水量2400tという比較的大型の潜水艦で、オランダ海軍は続いてワルラス級潜水艦を建造しているのですが、この艦名にお気づきの方は多いでしょう、ワルラス級潜水艦はオランダが台湾へ輸出した潜水艦です。ワルラス級潜水艦は基準排水量1900t、水中排水量2650t、海上自衛隊の潜水艦ゆうしお型に相当する大型潜水艦です。

 オランダと日本、長崎の出島を思い出させる組み合わせではあるところの二つの国の海軍と海上自衛隊、バーベル級の技術が応用され発展した潜水艦という意味で海上自衛隊の潜水艦と共通性を持つワルラス級潜水艦は2010年にソマリア沖海賊対処任務へ派遣、沿岸部の海賊策源地監視や情報収集任務へ参加したものとみられます、この海域へはデンマーク海軍の小型潜水艦ゼーレンがイラク戦争支援任務へ派遣されていますが、ゼーレンは台船を利用し展開しており独力展開できませんでしたが、ワルラス級潜水艦は独力展開し航続距離の大きさを示しています。

 台湾海軍が採用したワルラス級潜水艦は、航続距離の大きさからAIP機関搭載など設計を最新とすることが出来たならば、オーストラリア海軍の潜水艦候補となり得るものですが、残念ながらワルラス級潜水艦四番艦ブルインヴィスの就役は1994年、これも1988年の起工から時間をかけ建造したものなのですけれども、その後の潜水艦発注は無くオランダの潜水艦建造技術は失われてしまい今に至ります、もっともワルラス級潜水艦は延命改修をうけ2025年まで現役に留まるとの事ですから、整備技術は残っているのでしょう。

 実際、ドイツがオーストラリアに提示する214型潜水艦拡大型は元々が基準排水量1450トン水中排水両1830tトンの212A型潜水艦を拡大したものでしかないのですから、ね。これらの命題は、技術提供を受けた場合でも実際に建造するまでには相当の時間がかかる事を意味していますし、一旦取得した技術であっても建造時の若干の不手際により簡単に水中騒音が増大してしまう、という潜水艦建造のむずかしさを端的に示しているといえるのかもしれません。それゆえに、日本製潜水艦の優位性を海外製潜水艦に対して提示できるのかもしれません。

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陸上防衛作戦部隊論(第四六回):装甲機動旅団編制案の概要 後方支援部隊整備部隊への重責

2016-02-20 21:00:00 | 防衛・安全保障
■整備に当たる武器科部隊
 需品部隊に続き今回は武器科部隊について、後方支援部隊整備部隊への重責は非常に大きくなります。

 整備部隊について、重整備と第一線整備に分かれる事となりますが、第一線整備については電子整備と機械整備が戦闘車両の重要な戦力回復任務となります、電子整備と機械整備は第一線においてはそのままモジュール化した部品を交換するか、後方へ搬送する他対応出来ませんが、装甲機動旅団は戦車定数300両を念頭とした少数の戦車を活用する無理な運用を突き通す方策であるため、可能ならば第一線において修理し戦力回復する事が望ましい。

 その上で、軽装甲機動車へ1/4tホイスト装置を後部に搭載し、電子機器やエンジン部分のエンジン以外の重量装備吊り上げを行い、換装する前線整備車両を導入する方式が望ましい。また、自衛隊戦車は自動装填装置を採用している為、弾庫への揚弾支援装置を付与した弾薬補給車両等を戦闘支援任務に用いる場合、攻撃衝力持続性の強化に直結するため、10式戦車90式戦車の特性に応じた支援車両を導入すべきです。

 後方支援部隊、重整備についての整備機材ですが、主力となる車両は戦車回収車乃至装軌車回収車となるでしょう、これは装軌車回収体制を確立し戦闘稼動率を高く維持する為の施策ですが、場合によっては障害除去や障害構築など、戦車部隊に随伴し直接支援するための装備として、戦闘支援を単なる後方支援任務の言い換えでは無く戦闘へ積極的に参加する体制の構築が必要でしょう、また、回収車以外の装備についてはより進んだ装備が必要となるやもしれません。

 戦車は250km機動毎にC整備として整備小隊による重点整備をうけ、これは乗員による整備よりも一段上の検査を受けるのですが、このC整備を迅速に行う必要があります、そこで資する一案として3t半トラックを原型に機動整備車として低姿勢化し乗員区画のみ軽装甲を施し、クレーン装置と自動化された検査機器、戦車単体の自己診断装置に加え各種画像データと音響データを用いて迅速に車体状況を判断し、必要な整備、戦闘継続に必要な状況を判断し支援する装備の開発が望まれます。

 正直なところここまで戦車の支援体制を構築するならば、戦車中隊の戦車定数に予備車を含め、戦闘時においても段列地域と第一線を交代できるよう余裕を持つことが望ましく、冷戦末期の第2戦車大隊始め北部方面隊師団の戦車大隊に上げられるような戦車小隊を5両体制とした方が、かえって全体としての装備を簡潔かつ実戦的に収める事が出来るのではないか、また、航空自衛隊にC-2輸送機に加え戦車を空輸可能な装備を配備し、縮小一個大隊程度を急速展開させる事は出来ないか、または戦車定数を上方修正する事は出来ないか、と考えますが、現実的なものは高射し合考えられません。

 機動整備車は、遠隔操作銃搭RWSを搭載する事で一定程度の自衛戦闘能力を有し、戦闘に主体的に参加する事はありませんが後方支援部隊の自衛戦闘能力を高める事により警備支援の負担を局限化できなければなりません。こうして列挙しますと、限られた戦車を最大限活用するには多くの支援車両が必要で、戦車支援の負担の増大についてですが、戦車には戦闘において最小限のものを搭載し、少ない戦車が長期的に連続した状況に対応できる戦闘支援の枠組が必要、との視点に基づくものです。

 現実的には大きな損傷を受けた戦車については、回収を戦闘事後に実施することとして、予備車を投入する、という方式が現実的なのですが、機甲戦力が限られる以上、迅速な戦力回復が求められます。予備人員を本部管理中隊から抽出し、例えば砲塔等の予備と車体の予備を補給処単位で蓄積すれば、損傷部分を迅速に換装し戦力回復させることが可能ですが、この場合、部品に分散して戦車を増勢配備する事に他なりません。

 例えば米陸軍の場合では、予備車について戦車を戦車の形のまま維持するのではなく、オハイオ州の陸軍デポに集積し部品単位に分散、必要に応じて組み立てる方式を採っています。手間はかかりますが老朽部品は組み立ての度に換装し、電装品などは旧式化すれば部品ごと廃棄し新型へ置き換える方式を採っている為、第一線部隊へは新品同様の戦車を供給できるほか、輸出に際しても中古車両を最新型に組み替えて、その分中古車両でも新造に近い費用を要するのですが、組み立てる事が出来ます、もちろん日本にはこの方式をそのまま適用できるとは規模の面で考えませんが、こうした方式もあるには、あるのです。

 後方支援部隊については以上の通りです、重要な部分は装甲機動旅団は常に前進という攻撃前進、限られた装備を最大限活用する手段としての防衛省が示した施策、統合機動防衛力を具現化するには部隊が常に動く必要がありますので、必要な支援はどうしても大型化し、戦車定数を最低限以下の水準に抑える事は予備車両を省く意味があるのですから稼動率を最大限高める為の施策が必要となるでしょう。

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