北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

特集:平成27年度防衛予算概算要求概要③・・・重要施策、水陸機動防衛力整備Ⅱ

2014-08-31 19:18:36 | 防衛・安全保障

◆ティルトローター機・両用装甲車の取得予算を要求

 平成27年度防衛予算概算要求概要は重要施策である水陸機動防衛力整備へティルトローター機と両用装甲車の取得予算を要求しています。

Img_7857 水陸機動は、単に上陸用舟艇の大軍で浜辺に乗り付けて押し込む単純なものでは無く、陸海空の連携が非常に重要となり、例えば米海兵隊の場合は独自の航空戦力を保有し海軍の指揮系統に入って運用する、という方式でこの難題に対応、自衛隊にとり有効な水陸機動部隊を編成することは一概に想像されるほど簡単なことではあり得ません。

Img_931181  海上からの空中機動と同時に艦艇艦砲射撃や航空機近接航空支援を展開し、海岸線と海岸線への連絡経路を空中機動部隊より降着した部隊が確保する短時間で艦艇より複合高速艇と水陸両用装甲車両を展開させる。それまでの僅かな時間に沿岸部を隠密裏に掃海部隊水中処分隊を投入し揚陸艇進入への機雷掃海を行わなければならない。

Img_6222  軽装備の偵察部隊と両用装甲車により海岸一帯を確保、空中機動部隊と両用装甲車両部隊を迅速に合流させ、海岸線への連絡経路の制圧を強化するこの間に揚陸艇を用いて海岸線一体に戦車をはじめとした重装備上陸部隊の増援を展開させる海岸堡を構築、戦車や装甲車両と兵站部隊を上陸させ、戦果拡張の策源地を構築する、というもの。

Thimg_7584  新たにこの任務へ対応するべくティルトローター機を取得すると概算要求に盛り込まれています。なお、機種選定中であり、現在のところ実用ティルトローター機は米海兵隊が運用し在沖米軍にも装備されているMV-22、これ以外には米沿岸警備隊が採用に向け開発を進めている小型のAW-609以外にありません。

Vimg_9939  なお米海兵隊ではMV-22は中型機扱いで、加えて重輸送ヘリコプターCH-53を海兵隊は有しています。概算要求にもティルトローター機の位置づけを現用のCH-47JA輸送ヘリコプターを航続距離と巡航速度の面から補完する用途で導入するとしていて、機種が未定であるので概算要求には具体的な取得費用の要求は盛り込まれていませんが、導入へに情報収集費用ではなく、取得として予算を要求しています。

Img_1950  CH-47Jの勢力維持改修、こちらには3機分が140億円で要求されています。概算要求には総飛行時間を新造機と同程度に延伸すると共に航続距離を延伸すると示されていますので、CH-47JをCH-47JA相当に改修する、と考えられます。JとJAでは航続距離が倍近く強化され、全天候飛行能力の有無などの性能差も大きい。

Img_5876  新造した場合の取得費用は1機あたり55億円、勢力維持改修と新造では3機分で165億円か140億円か、25億円程度の差が生じ、これを大きいと考えるかは視点が異なってきますが、既にCH-47Jの初期調達分の用途廃止が始まっていますので、勢力を維持すると同時に予算を縮小するためには延命改修を行うという選択肢はあるのでしょう。

Mimg_6979_1  陸上自衛隊には現在55機のCH-47J/JAがあり、ここにティルトローター機を導入するのですから予算面から苦肉の策として挙げられたのでしょう。もっとも、近年、陸上自衛隊に留まらず海上自衛隊の航空機なども勢力維持へ向けた延命改修の度合いが増大しており、装備を大事に運用するという意味で本来これがあるべき姿であったのか、新造機取得の予算不足が顕著化したというべきなのか、何とも言えませんが、ね。

Img_1506  水陸両用車についても取得が行われます、ただ、取得に向けた調査費用では無く取得で調整されているのですけれども、車種検証中、と概算要求には記載されています。既に参考品としてアメリカよりAAV-7両用強襲車を試験調達していますのでこちらが有力視されるのですが。

Img_2231  単に浮くだけの装甲車に推進装置を付けただけでは波浪で転覆してしまい会場では使用できません。海上機動性及び防護性に優れた水陸両用車を整備、と記載されているのみで具体的な車種についてはもちろんのこと、。調達数と取得費用についての記載はありません。

Himg_2731  国産車両に関する開発も過去に防衛省は各社に打診しているのですが具体化せず、一応調達は、AAV-7であれば増強一個大隊が充分機動できる数量が中期防衛力整備計画で取得が盛り込まれていますので、概算要求を財務省がいかに査定するのか気になるところ。

Inimg_6599  強襲揚陸艦、水陸両用装甲車とともに来年度予算の概算要求において注目されている分野は、この調査研究に関する予算が計上されたことでしょう。強襲揚陸艦と現在の輸送艦の相違点は航空機運用能力をどの程度重視しているか、というもので区別することが出来ます。

Simg_1978  強襲揚陸艦、多目的輸送艦と防衛大臣は表現されていますが、この艦艇の在り方についての研究費用が来年度予算に盛り込まれています。研究費用が盛り込まれているのみですので来年度予算で強襲揚陸艦/多目的輸送艦の建造費が要求されているわけではありません。

Img_1427  概算要求に記された防衛省の構想では、ティルトローター機即ち可動翼機を含む固定翼機とヘリコプターを運用可能な全通飛行甲板構造、更にエアクッション揚陸艇と必要に応じ水陸両用車両を搭載可能なドックを後部に配置し、指揮統制機能、医療機能、航空機運用機能、人道支援災害救援機能、水陸両用機能、補給機能、大規模輸送機能を有する艦艇を想定している、とのこと。これについては次回に検証することとしましょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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特集:平成27年度防衛予算概算要求概要②・・・重要施策、水陸機動防衛力整備Ⅰ

2014-08-30 23:06:12 | 防衛・安全保障

◆水陸機動団と強襲揚陸艦は九州佐世保に集約

 来年度予算概算要求における重要施策として、筆頭に挙げられるのは近年重要度が高まる水陸機動防衛力の整備について。

Mimg_4137 重要施策として水陸機動能力の付与が近年進められてきましたが、来年度予算概算要求においても完成にはいたらないものの、その整備に関して必要な装備品と部隊運用に関する、そして施設や拠点整備など必要な予算措置を盛り込んでいます。今回から三回程度に分け、これらを紹介しましょう。

Adimg_2382  我が国南西諸島について、その領域を軍事力どぁがくにより奪取しようとする隣国の行動が顕在化し、島嶼部防衛を我が国として本腰を入れざるを得ない状況となりました。キーワードとなるのは水陸機動防衛力の根底にある統合機動防衛力、島嶼部防衛に関する基盤的防衛力から同的防衛力の転換の必要性についてです。

Ndbimg_0997 統合機動防衛力は陸上自衛隊の構想としまして、我が国への直接武力侵攻に際し、第一に機動部隊の緊急展開、第二に事態周辺地域の機械化部隊の拡大阻止への展開、第三に重装備の機甲部隊の北海道からの戦略機動、という三要目から陸上防衛は構想されています。

Img_5259 機動部隊の緊急展開は、空挺部隊の航空自衛隊輸送機による展開と新設される水陸機動団の展開、機械化部隊は機動戦闘車や軽装甲機動車に火力戦闘車などの部隊、重装備部隊は平時に訓練環境が恵まれた北海道に配置し民間チャーター船等を利用し展開する。

Iimg_0354  このなかで水陸機動任務は高度な専門性、特に自衛隊が従来構築した機械化部隊戦闘や空中機動部隊による戦闘といった運用体系の応用が利かない新しい作戦能力の構築であり、必要な連携だけでも陸上自衛隊の新設部隊と共に海上自衛隊の支援部隊や輸送艦艇、それに航空自衛隊との常続的連携の維持など。

Gimg_1723  これらをまとめる指揮統制能力の整備など、大袈裟な表現では1960年代のヘリボーン部隊創設着手、1980年代初頭の機甲師団新設を端緒とする1990年代初頭の内陸誘致から水際撃破への着上陸対処方式の転換以来久々の新しい作戦運用体系の構築となります。

Img_6658  我が国は6800の島々より構成されていますので、仮にこれら島嶼部全てに部隊を張り付けた場合一個小銃班を配置しただけでも6万8000名の要員が必要となります。陸上自衛隊の人員規模を考えますと6万8000名はどうにかなりそうに見えますしが、決して簡単ではありません。

Img_4611  万遍ない配置でも分散しすぎ、小銃班程度のみとなってしまっては、確かに小銃班には小銃に加えて軽機関銃や対戦車ミサイルもありますので心強く見えるかもしれませんが、張り付けでは相手が旅団規模で進行した際に一個小銃班ではどうにもなりません。そこで、部隊を張り付けるのではなく機動運用を展開する必要が出てくる、ということが理解できるでしょう。

Img_1730h  揚陸と上陸について。揚陸能力でしたら、協同転地演習における輸送艦からの部隊展開のように、自衛隊は既に一定水準の能力を整備していますが、自衛隊の用語では揚陸は後方など周辺に脅威状況が想定しない状況下での海上からの艦艇による陸上部隊の陸上への展開をしめします。

Fimg_5946  しかし、上陸は揚陸と異なり、反撃や妨害行動などの可能性を念頭に、この排除と連絡線の確保、海岸堡確保までの一連の行動を行うものですので、従来の揚陸は北海道などの着上陸事案に対し、増援部隊を後方に展開させる念頭のものですので上陸を想定する必要はありませんでした。

Kimg_2637  来年度予算には水陸両用作戦関連部隊等の整備として190億円が要求されています。この概要は、概算要求に明示されている内容としまして、ティルトローター機の拠点整備、水陸両用車部隊の拠点整備、水陸機動団関連施設の整備、として具体化されています。

Kimg_4943  これらの部隊は、主として長崎県の海上自衛隊佐世保基地及び水陸機動部隊の原型となる西部方面普通科連隊の駐屯する相浦駐屯地を軸に、ティルトローター機の配備基地とそこに隣接する水陸両用車両部隊の施設確保に、西部方面普通科連隊を原型とする水陸機動連隊を三個程度配置する念頭で部隊の新編が計画され、長崎県と佐賀県へ部隊を集中させる方針、とのこと。装備面の具体的施策の紹介は次回に詳解を示します。

北大路機関:はるな

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特集:平成27年度防衛予算概算要求概要①・・・本日発表、概算要求は5兆0545億円

2014-08-29 23:03:06 | 防衛・安全保障

◆新特集、来年度防衛予算と重要施策をみる

 本日、防衛省は平成27年度防衛予算概算要求“我が国の防衛と予算”を公表しました。

Iimg_4567 概算要求は5兆0545億円、これをもって統合機動防衛力整備への必要な新装備の取得と部隊運用体制を構築、更に各種事態へのアジア太平洋地域を中心とした世界規模での対処能力の整備へ警戒監視能力及び情報と輸送能力の整備、これらの施策を厳しさを増す財政状況に留意し効率化と合理化と共に行う、というもの。

Img_3870 統合機動防衛力は近年その整備へ大きく転換が志向される新しい防衛概念で、従来の全国への部隊配置による防衛基盤構築が脅威増大と財政難により困難となったことから、陸海空が共に機動展開し脅威正面へ防衛力を緊急展開させる運用体制を確立し、従来の防衛基盤に代える、とする考え方です。

Img_7080 各種事態へのアジア太平洋地域を中心とした世界規模での対処能力の整備、とは従来の専守防衛に固執することで脅威が本土上陸という武力攻撃事態に発展するまで防衛力を選択肢から除外する方式を改め、90年代からの周辺事態対処等の政策転換の発展形として、緊張状態が武力紛争に激化すること自体を抑止する体制の構築を目指す政策です。

Gimg_0048 厳しさを増す財政状況に留意し、という部分は統合機動防衛力整備とも関連するのですが機動運用体制の構築による精鋭部隊の展開を以て全国配置部隊の抑止力の効率化を行う事、陸海空の共通化による重複部分の効率化、更に装備調達面では一括発注や維持方式の見直しによる全体費用の抑制などがあげられるところ。

88img_1324 上記目的を達成するための施策として、統合幕僚監部への運用政策統括官と運用政策官の新設、部隊改編では、陸上自衛隊の包括指揮を行う陸上総隊新編準備、水陸機動団新編に向けた準備、南西諸島第303沿岸監視隊(仮称)の新編、海洋業務群の海洋業務対戦支援群(仮称)への改編、第83航空隊の第9航空団(仮称)への改編、などがおこなわれるもよう。

09thimg_1242_1 将来防衛力への研究分野では、将来戦闘機関連で412億円、更に島嶼部防衛や広域制圧に関する誘導弾用弾頭開発研究、艦載用レールガン開発基礎技術に関する研究、弾道ミサイル高高度迎撃に関する誘導弾技術の研究、陸上戦闘におけるパワードスーツに関する研究など、挙げられていました。

Img_0002a 装備調達では、新装備として機種選定が行われる装備にMV-22が有力視されると考えられるティルトローター機、E-2DかE-737AEW&Cが有力視される新早期警戒機、RQ-4が有力視されると考えられる滞空型無人機、AAV-7が有力と考えられる水陸両用車、などが示されています。

88img_8204 装備調達は継続分で、P-1哨戒機20機の一括発注、イージス艦建造1隻とともに来年度に見込まれるイージス艦を念頭にイージスシステム2式の一括発注、等が行われると共に、10式戦車や99式自走榴弾砲に96式装輪装甲車といった従来装備の継続発注なども行われるところが特色というべきでしょうか。

Himg_2986 平成27年度防衛予算概算要求は本日発表されたばかりのもので、とりあえず第一方的に紹介しましたが、具体的な政策や施策などについて、北大路機関では“特集:平成27年度防衛予算概算要求”、としまして今後数回に分け概算要求の概要などを俯瞰すると共に検証を行いたいと思います。

北大路機関:はるな

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平成二十六年度八月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2014.08.31・09.02)

2014-08-28 01:47:51 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 八月も終わり、七月の酷暑が過ぎ八月は平年の猛暑並でしたが、来月はどうなるのでしょうか。

Mimg_1508  今週末の自衛隊関連行事は31日日曜日に行われる函館駐屯地創設記念行事で、八月最後の行事として足を運ばれてみてはどうでしょうか。函館駐屯地には第11旅団の精鋭第28普通科連隊が駐屯、28連隊は1976年のMiG-25函館亡命事件に際して最前線に立った連隊です。

Mimg_2041  28連隊はMiG-25亡命事件発生後、本庁がソ連軍特殊部隊が奪取作戦を準備中との情報を海外経由で得たため待機態勢に入り、駐屯地祭準備中に展開していた第11戦車大隊の61式戦車を編制下に置き各隊員は火器携行で待機態勢に入るなど、様々な話があります。

Mimg_1807  当時の陸幕長三好秀男陸将は今年五月まで存命、再来年には事件発生後四十年を迎え、グレーゾーン事態対処等の近年の懸念への試金石として新事実の検証等が待たれるところですが、開示される公式記録には詳細は限られているものの駐屯地にて、当時の緊張に思いを馳せてみてはどうでしょうか。

Mimg_6658 このほか、来月2日に三重県の四日市港において多用途支援艦ひうち型の、えんしゅう一般公開が予定されています。何故か平日に行われる一般公開ですが、近傍の久居駐屯地や白山分屯基地から陸上自衛隊や航空自衛隊の装備品展示も予定されているとのことです。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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広島土砂災害発生一週間 自衛隊災害派遣の行方不明者救出と被災者支援任務続く

2014-08-27 23:50:20 | 防災・災害派遣

◆8.20広島県豪雨災害(平成26年8月豪雨)

 本日をもって8.20広島県豪雨災害(平成26年8月豪雨)は発生より一週間が経ちました。

Himg_0502 土砂災害の発生を受けての広島県知事から陸上自衛隊第13旅団長への災害派遣要請が出されたのが20日0630時、自衛隊災害派遣も一週間を経たことになります。現在、自衛隊、警察、消防の3400名が行方不明者捜索に当たっていますが確認された犠牲者は71名となったと報じられています。

Himg_0229 自衛隊の任務は行方不明者捜索と道路啓かいを最初の知事からの要請として開始しましたが、現在は被災者への避難所での入浴支援が野外入浴セットなどの装備品により実施されていまして、防疫任務も現在の広島市が被災地で車両などを展開できない場合、加わる可能性があるでしょう。

Himg_0593 派遣部隊は、陸上自衛隊で第46普通科連隊、中部方面航空隊、第47普通科連隊、第13施設隊、第13後方支援隊、第13飛行隊、第305施設隊、第304施設隊、第17普通科連隊、第8普通科連隊、第13特殊武器防護隊。 海上自衛隊で呉造修補給所から要員が派遣され、活動中です。

Himg_0692 26日2200時時点での自衛隊派遣規模は810名と車両185両に航空機5機で、延べ派遣人員5320名、延べ派遣車両1195両、延べ派遣航空機38機となり、不明者捜索は断続的な降雨によりたびたび中断を挟みつつも、昼夜兼行で実施中、とのこと。

Himg_0728 終息の見通しは立っていません。何故ならば、行方不明者が発見できない限り土砂を重機で押し出して処分する事は出来ませんので作業は人力に頼るほかないわけです。被災者支援については県営住宅や雇用促進住宅に一時受け入れを行うことで避難所生活の解消を目指していますが、今少し時間を要するでしょう。

Himg_0304 航空機による情報収集と二次災害対策ですが、常続的監視能力を考えますと中部方面情報隊の移動監視隊等が装備している広域用監視装置GOB-206、いわゆる千里眼のような装備を被災地を俯瞰可能な高地などに設置し、情報収集に役立てる、というような選択肢は採られるべきかもしれません。

Himg_0596 他方、東日本大震災などでは資材運搬車ががれきに閉鎖された狭隘道路での輸送に活躍しましたが、広島消防が運用するスパキャットのような全地形車両なども連隊本部管理中隊等に装備されていれば、災害派遣に加え山岳戦や空中機動任務にも応用できるやもしれないところです。

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舞鶴基地日常風景(2014.08.19)最新護衛艦ふゆづき、イージス艦みょうこう、あたご停泊

2014-08-26 23:42:43 | 海上自衛隊 催事

◆舞鶴へ行ってきたスナップ写真 

 本日は先週に所用にて足を運んだ際に立ち寄り撮影しました舞鶴基地の写真を。

Mkimg_9034 舞鶴基地北吸桟橋の様子を新日本海フェリーターミナルがある前島埠頭から撮影、強い日差しの中護衛艦三隻が並んでいるのが、正確にはイージス艦二隻の後ろにマストが見えるので四隻居るのですが、一望できました。背景に見えるのは五老岳と山頂の五老スカイタワー、夏のひとこま。

Mkimg_9035 最新鋭の護衛艦ふゆづき、あきづき型護衛艦の最新艦で、現在就役後の慣熟訓練中、ESSM艦対空ミサイルと管制する国産のFCS-3により超低空小型高速目標を含めた経空脅威への同時多目標対処能力を持ち、僚艦防空能力という従来の護衛艦よりも一歩進んだ防空能力を持つ。

Mkimg_9036 イージスシステムを搭載したミサイル護衛艦あたご、ミサイル護衛艦みょうこう、舞鶴基地を象徴する二隻の護衛艦で、満載排水量で10000tと9500tという巨大な艦に強力な広域防空能力と指揮統制能力を秘めています。このほか、二隻の背後にマストが見えますが護衛艦まつゆき、が停泊しています。

北大路機関:はるな

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第125次日米対潜特別訓練が沖縄周辺海域で実施、日米艦艇6隻と航空部隊が参加

2014-08-25 23:34:21 | 防衛・安全保障

◆対潜戦を主要訓練項目とし24日まで展開

 第125次日米対潜特別訓練、海上自衛隊は20日から昨日24日まで対潜特別訓練を実施したとのこと。 

Tcimg_6335_1  対潜戦闘は海上自衛隊が創設以来重視している要目であり、これは冷戦時代のソ連太平洋艦隊が水上戦闘艦部隊や航空部隊で米海軍に対し劣勢であり潜水艦を重視していたことと、第二次大戦中に米国潜水艦部隊により海上交通路を途絶され、飢餓線上まで追いつめられたことと無関係ではありません。

Timg_0788 第125次日米対潜特別訓練の実施海域は沖縄周辺海域、前回の対潜特別訓練は東海沖から四国沖に掛けての太平洋上で行われています。対潜特別訓練は海上自衛隊が米海軍と共に定期的に実施している対潜戦闘の技量向上を目的とした訓練で、第1回は1957年、今回で125回を迎える訓練です。

Timg_0748 海上自衛隊と米海軍の参加艦艇は、海上自衛隊からは護衛艦1隻と潜水艦1隻に航空機数機、米海軍からは駆逐艦2隻と原子力潜水艦1隻および補給艦1隻に航空機数機です。海上自衛隊報道発表では航空機は艦載機か陸上機かについてや、日米の訓練統裁官についての記載はありませんでした。

Tcimg_5948  対潜特別訓練の部隊参加規模についてですが、参考までに今年2月8日から16日にかけて行われた第124次日米対潜特別訓練訓練の参加部隊は潜水艦隊司令官鍛治雅和海将指揮下、海上自衛隊より護衛艦8隻と潜水艦5隻、米海軍から原子力潜水艦1隻、とありました。

Timg_0821  前回は米海軍よりも海上自衛隊からの参加規模が大きかったのですが今回は逆となっており、訓練内容などの面で一概に艦艇の参加規模だけで比較する事は出来ませんが、今年二月の訓練と八月の訓練、単純に比較しますと今回の方が規模が縮小されているといえるでしょう。

Timg_6303 なお、海上自衛隊はカカドゥ14豪州海軍主催多国間海上共同訓練にミサイル護衛艦はたかぜ、を派遣中、対潜特別訓練が開始された8月20日と8月21日にリムパック環太平洋合同訓練へ参加のミサイル護衛艦きりしま、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、が基地に帰港したばかりです。

北大路機関:はるな

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北部方面隊火力戦闘演習と富士総合火力演習、一般公開実弾演習の実施と支援体制

2014-08-24 23:20:41 | 北大路機関特別企画

◆15000名招待の展示訓練へ膨大な準備

 北部方面火力戦闘演習、北部方面隊創設30周年を記念し冷戦時代に実施された一般公開演習です。

Fsimg_0217 本日は富士総合火力演習が行われましたが、実はこの準備は非常に大きな準備と計画、演習の表に出てこない下準備とともにおこなわれているものでして、その比較として、北部方面隊火力戦闘演習と富士総合火力演習、一度きりの大演習と毎年恒例の行事という視点から見る事としましょう。

Fsimg_6782  このおはなし、富士総合火力演習の一般公開は本日実施され、多くの一般応募者とともに防衛政策の転換期にある昨今の自衛隊公開演習は海外からも注目を集めたとのことですが、一般公募の見学の競争率が十五倍に迫るものとなりました、そこで当方が話として聞くのは全国の方面隊でも同様の火力演習を一般公開できないか、というもの。

Fsimg_6776 即ち競争率の大きな演習一般公開は関心度の高さなので北部方面隊の矢臼別演習場、東北方面隊の王城寺原演習場、中部方面隊の饗庭野演習場、西部方面隊の日出生台演習場で連隊規模の火力展示演習を行えないか、つか見たい、会場が多くなれば見れるチャンスも増えるはずという本音だ、とのお話しでした。

Fsimg_0114 方面隊毎の展示訓練は可能なのでしょうか。北部方面隊火力戦闘演習、実は過去に一般公開の実弾演習として行われています。二十年ほど前に東北方面隊も王城寺原演習場において総合戦闘展示演習を行っています。特に三十年前におこなわれた北部方面隊火力戦闘演習は、聞くところによればそれは凄い規模の展示であった、とのこと。

Fsimg_6384 1982年10月14日、北海道大演習場北恵庭地区において北部方面隊火力戦闘演習は実施されました。一般の招待客を中心に15000名が見学、当時の富士総合火力演習、当時はまだ総合火力展示演習と呼ばれた時代ですが、1980年代の見学者の規模と比べますと北部方面隊火力戦闘演習のほうがやや多いという規模です。

Fsimg_0371 この北部方面隊火力戦闘演習は北部方面総監渡部陸将が統裁官となり、方面総監の傍らには総監部幕僚と共に北部方面隊の戦略予備第7師団長、道北第2師団長、道東第5師団長、道南第11師団長、と北部方面隊の精鋭四個師団師団長が一堂に会するという陣容で視閲しました。

Fsimg_0145  執行部隊の主力は第72戦車連隊、状況開始と同時に一列に車両部隊が進入、富士総合火力演習では一発二発と撃つものなのですが、対戦車誘導弾と無反動砲の一個対戦車隊16基/門同時射撃から始まり、奥に並ぶ16の標的が同時に命中し爆砕されるという幕開け。

Fsimg_6821_1  ヘリコプター8機による普通科中隊の空輸と緊急展開展示、同時にC-1輸送機10機からの空挺降下が中隊規模にて実施、ヘリボーン部隊とエアボーン部隊は地上で進出した装甲車両部隊と即座に合流、このあたりで規模として現在の富士総合火力演習よりも規模が大きい。

Fsimg_6807_1 73式装甲車も20両単位で展開し、75式自走榴弾砲8門とともに協同行動を展示、戦車も同時に18両が射撃展示を行った、とのこと。当時ですから戦車は74式戦車ですが、富士総合火力演習でも小隊射撃まで、中隊、それも当時の増強中隊の射撃展示は、ちょっと今の演習場環境では一般公開、想像できません。

Fsimg_6396 北部方面隊火力戦闘演習は、富士総合火力演習の現在の規模よりも大規模に実施された、ということですが、実はその後、今に至るまで実施されていません。仮に毎年実施していれば、富士総合火力演習以上に注目を集めたでしょうが、それではなぜ一回しか実施されなかったのでしょうか。

Fsimg_6645 北海道大演習場を舞台としたこの演習ですが、毎年実施に至らなかった最大の理由は負担の大きさです。北海道大演習場に幅2kmと奥行き3kmの特設射撃展示場を開設、ここに15000名が着席できる仮設席を渡河器材等を用いて応急設営しています。

Fsimg_6751 会場設営、この建設には第3施設団が三週間、年度訓練計画を変更し設営に専念しました。施設団は3000台分の駐車場を設営、演習場の奥で行われるため、新たに演習場と駐屯地の間に膨大な交通量に備え百間道路が建設、見学者は北恵庭駐屯地に入場門を設置し大型バス50台を借用しピストン輸送したとのこと。

Fsimg_7004  VIP輸送用にはUH-1が20機用意され、札幌市内の真駒内駐屯地と北海道大演習場をピストン輸送、報道関係者や市町村長に国会議員などVIPは恵庭からの輸送分を含め500名を輸送したとのことですので、この輸送だけでも一つの演習となってしまうほどと言って過言でないでしょう。

Fsimg_0212 演習冒頭に一個対戦車隊同時射撃という幕開けで始まったこの北部方面隊火力戦闘演習は使用した弾薬量も膨大なものとなりました。具体的には全弾必中を掲げたため、各師団より抽出した弾薬と訓練要員を集成し実施した、とされ、更に演習場を一定期間占有し、方面施設団がかかりきりの準備、これを毎年行うには師団毎の訓練管理体制に支障を来します。

Fsimg_0330 かくして、北部方面隊創設30周年として実施された北部方面隊火力戦闘演習は一度きりの展示となりました。さて、富士総合火力演習は、静岡県の御殿場という首都圏に近い立地であり、招待客は移動にそこまでの苦労はありませんし、富士急行バスなどの協力もあります。

Fsimg_6579  しかし、会場設営や抽選会と誘導など、演習は実弾射撃の展示と共に指揮系統と計画立案と準備及び遂行能力が試される瞬間ともいえるわけです。運営は民間に丸投げすれば、という声があるかもしれませんが、予算面からも統制面からも安全面からも、現実的な案とは言えません。

Fsimg_6513 富士総合火力演習は、見栄えの良い実弾射撃の迫力に単に圧倒されがちですが、戦車が発砲し命中したので凄ぇ、という水準にとどまらず、毎年数万が見学する行事を滞りなく独力で計画し実施している、という部分だけでも、自衛隊の能力を内外に示す機会となっているのかもしれませんが、一方で他の方面対にもこの規模の演習を行えるだけの支援を求める事、これは残念ながら無理というべきでしょう。

北大路機関:はるな

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総火演2014 平成26年度富士総合火力演習,日本最大の公開実弾演習は明日本番!

2014-08-23 23:43:11 | 北大路機関特別企画

◆富士総合火力演習の傾向と対策

 富士総合火力演習2014、明日本番が実施されます。そこでこの演習について本日は触れてみましょう。 

Fsimg_2590  鋼鉄の塊が高速で地皺の狭間を滑るように地形を無視し疾走、迷彩色と相まって間合いを詰められるまで気付かせず疾走は複雑な蛇行を繰り返しその軌道を予測させぬまま一閃、轟音、刹那風圧、叩きつけるように光閃一筋標的破砕、同時に他車が多目標同時破砕、そのまま地形の蔭へ、一瞬の出来事だ。

Fsimg_39_26  富士総合火力演習、富士学校が主催する公開実弾射撃演習です。富士学校とは富士駐屯地に本校を置き陸上自衛隊の各種装備や戦術などを近接戦闘や対機甲戦闘と長距離戦闘を主軸として研究し高等教育を行う教育機関で幹部自衛官等に対し教育を行っています。この一般公開演習がこれ。

Fsimg_5972  六月から七月にかけ、富士学校が一般見学者を募集しまして、警務隊立会いの抽選会を経て当選者に見学招待券が送られます。実弾射撃というものは一般では中々見る事が出来ませんので、この行事の人気と見学券の抽選倍率は物凄いこととなっています。

Fsimg_2752  万一、我が国が本土を侵略された際、日本国憲法では専守防衛を軸とした防衛が自衛権の行使手段と解釈されているため、自動的に本土決戦となります。そうした際、陸上自衛隊はどのような装備を以て、如何にして侵略を排除するのか、万一を考えるならば関心をもつところでしょう。

Fsimg_0719  そこで、旧軍では歩兵科といわれた近接戦闘を行う普通科職種、旧軍では機甲兵といわれた戦車による対戦車戦闘を行う機甲科職種、旧軍では砲兵科と呼ばれた長距離戦闘を行う特科職種が、各種装備を実弾射撃の展示を通じて威力を展示し、実際の行動を展示することが富士総合火力演習、ということです。

Fsimg_0781  富士総合火力演習は、前段演習、後段演習、夜間演習、の三部から構成されており、前段演習と後段演習については入場が公募制となって入り例年物凄い競争倍率を誇っています。しかし入場券が入手できなかった場合でもWeb中継を見る事が出来、今年はスカパー生中継も行われるとのこと。

Fsimg_0942  広報行事でして、見学に際しての注意点は幾つか。傘は使えません、豪雨でも使えませんので雨合羽の準備を。交通手段を確保し夜明け前に並ぶことが出来れば一般用スタンド席は用意されていますが、そののちはシート席となります。何より怖いのは熱中症、水分だけは充分に準備を。人口密度は凄いですが、声掛けと挨拶で相互の荷物番を。

Fsimg_6031  在って嬉しいポリ袋、シートに防滴に貴重品目印に。カメラは頭上も一瞬で、譲り合いが大切後ろにもひと。帰りのシャトルバスは数時間、脚力に余裕があれば徒歩一時間の板妻門バス停より路線バス利用も手段の一つ。迷ったときは隊員さんに聞こう、など。

Fsimg_2031  さて、広報は大事です。例えば、戦車は一見写真を見ただけではどのくらいの速度を発揮し移動目標を相手に戦闘を展開できるかは未知数ですし、何故高価な装甲車を多数揃えなければならないか、大砲の能力を単純な破壊力以上に把握するにはどうすればいいか、という命題は自衛官を経験するか実際に戦闘に巻き込まれなければ理解できません。

Fsimg_0831  しかし、必要性を手遅れになってから痛感しては意味が無い訳ですし、前述の通り我が国は専守防衛として本土決戦に追い込まれるまで外交交渉を続け、最後は国内で本土決戦を行うことが平和につながる、という憲法を支持しているのですから、さて我が国の自衛隊は万一の時にどのくらい頼れるのか、と理解することは主権者として大切な事です。

Fsimg_6280  自衛隊は予算により、予算は国民の血税より成り立っていますので、装備品はしっかりと整備され、高度な能力を維持し、万一の際の国民の負託に応えられるよう練度を保っているので、今後ともよろしくです、という手段として、広報が行われ国民と自衛隊をつないでいる、というもの。

Fsimg_4662  前段演習は、各種装備の展示、例えば10式戦車と90式戦車と74式戦車の射撃が高速走行を行いつつの射撃の能力を展示、装甲車は89式装甲戦闘車の火力や96式装輪装甲車の機動力に軽装甲機動車の汎用性等を展示します。

Fsimg_4646  火砲はFH-70の牽引砲運用特性や99式自走榴弾砲の迅速な射撃と203mm自走榴弾砲の威力を展示、各種ミサイルや迫撃砲も射撃を行い性能を展示します。砲兵火力は射撃能力よりも標定や陣地転換が重要なのですが、まあ、このあたりは、あくまで富士総合火力演習は興味を持つ取っ掛かり、という程度ですので、ね。

Fsimg_1677  実弾射撃は三段階を分けて標的が置かれています。3kmの距離を隔て二段三段山標的が火砲の標的となり展示、1kmから1.8kmの距離に数字の台標的が置かれ戦車砲や機関砲に対戦車誘導弾の展示、800mの色の台標的をミサイルや機関銃の標的とします。戦車砲の射撃の衝撃は、離れていても凄い。

Fsimg_5499  戦車ですが、どれも鉄筋コンクリート建造物に使用される鋼換算で1mを貫徹可能な主砲を搭載していますが、10式戦車と90式戦車と74式戦車、2km以内で相手に確実な砲弾を命中させる能力を74式戦車は有し、90式戦車は走行しながらこの射撃を連射し命中させる照準機能と自動装填装置を、10式戦車はジグザグに高速蛇行しつつ部隊毎に目標を自動分担し移動目標を同時撃破可能、このあたりが見どころ。

Fsimg_2398  装甲車ですが、普通科部隊を敵の砲弾や待ち伏せから防護しつつ戦車に随伴し、敵陣地の手前まで輸送する装備です。注目点は高いので数は少ないですが大口径機関砲と対戦車ミサイルを搭載し戦車や火砲の支援を独力で補いつつ展開できる89式装甲戦闘車、ミサイルも撃ちます。

Fsimg_5074  整地では100km/hという高速を発揮し進出できる96式装輪装甲車の速度降車戦闘による小銃射撃などの展示も行われます、ヘリコプターにも搭載でき兎に角小回りが利く軽装甲機動車など、高機動車による人員展開も展示され、やはり見るべきは各種装甲車や車両の特色の違い。

Fsimg_4710  火砲ですが、注目点は99式自走榴弾砲の自動装填による迅速な射撃と射撃後の離脱、FH-70の牽引式ながら短距離では自走可能で半自動装填装置により速い射撃、203mm自走榴弾砲は離れた標的でも弾着の威力が155mm砲弾とは違うことがよく分かる威力の展示など。

Fsimg_48850  ミサイルは、最新式の中距離多目的誘導弾が世界最新のミサイルでミリ波レーダーか光学映像により目標を捕捉し短時間で連射し離れた多数の戦車を短時間で撃破できる性能、87式対戦車誘導弾の射撃まで位置が暴露しにくい小型装備故の秘匿性もなかなか。

Fsimg_5068  軽装甲機動車から発射可能で発射した際の爆風が少ないため見つかりにくく周りにも安全な01式軽対戦車誘導弾も出てくる。携帯無反動砲は命中させるために射手の練度が重要ですがその精度とともに後方爆風という特性なども実際に見るとよく分かるでしょう。

Fsimg_6124  指向性散弾地雷による広範囲の目標制圧や携帯無反動砲による射撃、小銃擲弾の一斉射撃による小銃手による面制圧展示、小銃と機関銃の射撃、装甲車からの射撃、対人狙撃銃による指揮官への攻撃の展示、車両から火器にミサイルまで展示されるものはたくさん。

Fsimg_5359  高射学校が装備する87式自走高射機関砲の対地射撃展示や航空学校の装備するAH-64D戦闘ヘリコプターの30mm機関砲による射撃展示が近年加わっており、更に迫撃砲の展示に従来の81mm迫撃砲や120mm重迫撃砲のほかに北海道の一部にしか装備されていない96式自走迫撃砲の展示も近年加わりました。

Fsimg_5882  後段演習は、実際の防衛行動をストーリー仕立てにより展示します。ストーリー仕立てですので、航空自衛隊のF-2支援戦闘機による爆撃の展示が弾着展示により演出されますし、近年は島嶼部防衛を念頭に海上自衛隊のP-3C哨戒機の飛行展示も行われています。

Fsimg_5847  実任務を想定し、空中機動部隊による初動と空からの防衛行動、偵察部隊の陸路からの展開やヘリコプターによる空路進入により情報収集、装甲部隊による迅速な展開と防御戦闘、空中からの地雷散布や橋梁爆破による防御線構築、空中機動部隊によるヘリコプターからの増援部隊展開など。

Fsimg_2761  防衛行動は続いて戦車部隊による対戦車戦闘を行い、敵の前進を停止させ、逆に施設部隊により敵地雷の処理などを実施、長距離火力支援を受けつつ最後に指揮官の判断で部隊は攻撃前進に転換、戦果拡張に向け前進し状況は終了となります。夜間演習は一般公募での公開は行われていません。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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8.20広島県豪雨災害(平成26年8月豪雨)同時多発土砂崩れ、自衛隊災害派遣実施状況

2014-08-22 23:15:22 | 防災・災害派遣

◆第13旅団・中方混・第4施設団・中方空・呉地方隊 

 8月20日未明からの豪雨が広島県を襲い、土砂崩れにより死者行方不明者が80名に迫るものとなりました。 

Himg_0012_2  8月20日からの豪雨により広島県内では市内北部で同時多発的に多くの土砂災害が発生、特に北部地域は住宅地と山間部が隣接した地域にあるため、深夜の短時間豪雨により大きな被害が発生することとなりました。避難勧告の遅れが一部で指摘されていますが、時間雨量100mmが深夜の時間帯に発生し、未明に避難勧告が出されたものの間に合わなかったようです。このため、最初の避難勧告から約二時間ののち、広島県知事より人命救助に関する災害派遣要請が海田市駐屯地の第13旅団に対し出されることとなりました。長文の災害派遣に関する記事を作成していたのですが、本文がエラーにより喪失してしまったため短縮版にて。

Himg_0250_3  0630時に災害派遣要請が出され、即時受理したのち最初の災害派遣部隊として第46普通科連隊の初動部隊が0740時に人員30名、車両10両を以て海田市駐屯地を出発、被災地に到着後即座に加入しました。0903時に中部方面航空隊のUH-1が情報収集へ、0911時にも後続の航空機が展開しています。この時点で被災地の情報は消防と警察に市の災害対策本部とが独自の情報収集を行っている状況でどの程度の被害となっているかが不明確であったために情報収集が必要であったわけです。土砂災害は同時多発的に発生しており、どの地域が集中した被害となっているのかが不明確で、情報収集を行おうにも倒壊家屋や岩石と水分を置おく含んだ堆積物により前進できない地域も広く、これが初動を阻んだことは否めません。

Himg_7256_2  旅団の増援は1015に第46普通科連隊が人員60名を車両15両で、1030時に第46普通科連隊人員70名と車両10両、1210時に第13施設隊人員10名を以て、それぞれ海田市駐屯地を出発し現地到着と同時に災害派遣部隊へ合流、1217時には海上自衛隊の呉地方隊より呉造修補給所の部隊10名が呉基地を出発、中部方面隊からの増援も1224時に八尾駐屯地より中部方面航空隊のUH-1が2機海田市駐屯地へ前進展開し待機態勢に入っています。1400時、更に大津駐屯地の中部方面混成団より隷下の海田市に駐屯する第47普通科連隊の隷下部隊が人員110名を車両30両と共に出動、1410時、続いて第46普通科連隊からも人員60名が車両10両を以て出動、1430時にも第13施設隊隷下の10名がついか派遣へ海田市駐屯地を出発しました。

Simg_8036_2  旅団は現地前方指揮所を開設し関係各機関との情報調整を胃もとに現地指揮を行う事となります、現地前方指揮所要員10名が展開し、情報調整や関係各機関への情報共有拠点としても活用されました。また、消防や市役所と県警に県庁へ連絡調整要員が20名を以て展開し情報共有に努力すると共に災害派遣要員を支援する後方支援要員と指揮所活動支援要員として100名が派遣されました。情報収集も精力的に実施しており、海田市駐屯地には21日のうちに60名の航空部隊要員が中部方面隊より増援部隊として展開し、待機態勢に当たっています。

Himg_1210_2  京都の大久保駐屯地に司令部を置く第4施設団は中部方面総監部により第13旅団へ増援部隊を派遣することとなり、広島県近県の駐屯部隊を派遣します。岡山県岡山市の三軒屋駐屯地より第305施設隊が1830時に人員20名を車両10両により出動し海田市駐屯地へ、島根県出雲市の出雲駐屯地より第304施設隊1930時に人員20名を車両10両により出動し海田市駐屯地へ、それぞれ展開しました。旅団隷下部隊も1600時に第13後方支援隊が人員20名を車両10両により出動、1615時に第13施設隊より増援の部隊は人員20名を車両10両とともに出動することとなりました。こうして部隊は徹夜作業を含め行方不明者捜索に当たる事となります。

Himg_5829  21日、0300時に山口駐屯地より第17普通科連隊が災害派遣部隊に加入、人員10名が車両10両をもって現地へ向かい到着後災害派遣部隊に加入しました。0800時に第13飛行隊のUH-1が防府駐屯地より、0828時に中部方面航空隊のUH-1が2機、1000時に第13飛行隊のUH-1が、1200時に中部方面航空隊のUH-1が、1335時に第13飛行隊のOH-6が1機、それぞれ情報収集に当たっています。災害派遣任務は継続中で、二次災害を警戒しつつ行方不明者を捜索中とのこと。

Himg_7982_2  災害派遣部隊は第46普通科連隊が海田市駐屯地から、第47普通科連隊が海田市駐屯地から、第13後方支援隊が海田市駐屯地から、第13施設隊が海田市駐屯地から、中部方面航空隊が八尾駐屯地から、第13飛行隊が防府駐屯地から、第305施設隊が三軒屋駐屯地から、第304施設隊が出雲駐屯地から、第17普通科連隊が山口駐屯地から、出動しており、海上自衛隊からは呉造修補給所が呉基地から、出動、21日までに派遣規模は人員650名でのべ1270名、車両120両でのべ220両、航空機6機でのべ10機が当たっていると発表されました。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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