北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成25年度日米共同方面隊指揮所演習ヤマサクラYS65,北部方面隊管区において開始

2013-11-30 23:06:56 | 防衛・安全保障

◆日米6000名が参加、12月12日まで実施

 平成25年度日米共同方面隊指揮所演習ヤマサクラYS65が昨日金曜日より開始されました。

Img_481_5 日米共同方面隊指揮所演習とは、有事の際における日米の共同体制を迅速に確保し、第一線を担保する方面隊規模での日米両部隊の指揮統制体制を構築すると共に作戦計画の立案と戦闘部隊に戦闘支援部隊や後方支援の展開、部隊行動の態勢展開等の指揮幕僚活動想定した訓練を日米で協同するもの。

Fs_img_8966 自衛隊統合演習や協同転地演習、海上自衛隊演習等一連の演習に続き、開始されました。この訓練は指揮所演習であり、実動訓練を伴うものではありませんが、有事の際に協同運用体制を迅速にしかも限られた情報の下で立ち上げ運用するということは簡単なことではありません。

Dbimg_0367 今週月曜日にケネディ駐日アメリカ大使が陸上自衛隊東北方面総監部を訪問し、東北被災地視察の一環としての視察と共に田中東北方面総監と懇談を実施、更に仙台駐屯地に東日本大震災における米軍対日緊急災害救助支援任務トモダチ作戦を記念し命名されたトモダチ通りを視察しました。

Gimg_2345 東日本大震災においては全く情報の無い発災後9時間で20000名の動員を行った自衛隊の即応性の高さが印象深かったものと同時に、米軍との迅速な協同体制の立ち上げの印象も強いものでしたが、こうした実任務における円滑な日米共同の背景には、今回のような演習の積み重ねを見て取ることが出来るでしょう。

Gimg_2747 統裁官は日本側に北部方面総監田邉揮司良陸将が就き、アメリカ側の統裁官には太平洋陸軍司令官ヴィンセントブルックス大将が就き、陸上自衛隊からは北部方面隊より4500名、米陸軍からは第一軍団司令部、在日米陸軍司令部、海兵隊など1500名、合計6000名が参加しているとのことです。

Bimg_1034 通称ヤマサクラと呼称されるこの日米共同方面隊指揮所演習は1981年より開始され、毎年二回程度行われているもので、今回は北部方面隊管区の東千歳駐屯地を主たる訓練会場として昨日11月29日より12月12日までの期間に実施され、今回の演習にはオーストラリア軍よりオブザーバーが参加しているとのことでした。

Img_13081 オーストラリアとの防衛協力は年々高まっており、イラク復興院どう支援任務における相互協力や現在展開中のフィリピン国際緊急援助任務など、両国は同盟関係こそありませんが環太平洋諸国の一員としてのステイクホルダーであり、必然として広がる関係の深化、その一環と言えるところ。

Cimg_1294 演習では実際の着上陸や空挺強襲等の具居合的な状況を想定し、対応と協同関係を構築してゆくのですが、具体的な内容は公表されていません。しかし、過去の公表写真や広報写真等を視てゆきますと、かなり現実性のある有事の想定が行われている模様です。

Simg_9022 他方で近年、冷戦時代に想定されたような北方への師団規模の大規模着上陸や空挺浸透という状況よりも、南西方面及び我が国周辺国への大規模着上陸による周辺地域への緊張拡大や海洋交通途絶や国際航空航路遮断といった懸念が現実味を帯びるに至っている印象が非常に大きくなってきました。

Nimg_8988 もちろん、周辺国への情勢変化と周辺事態の我が国への影響がいかに大きくとも、現行憲法下での我が国が採れる選択肢は、仮に行動しないことが結果的に我が国の基本的生存権を大きく侵害する状況が予見できる場合でも、非常に限られている状況があります。

Img_0849 もちろん、これは防衛当局者の命題ではなく、政策決定者が取り扱うべき問題領域ですが、特に政策決定者においては、多分に禁忌という時代が続いてきましたものの、採り得る選択肢について、政治の命題として踏み込んだ討議を期待したいところです。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成二十五年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.12.01)

2013-11-29 22:57:20 | インポート

◆自衛隊関連行事

 秋の夜、毎夜の椛は飽きが来ぬ。紅葉の季節の夜景撮影へはどう足を運ぶか頭を悩ますところですが、皆様如何お過ごしでしょうか。

Img_0297 今週末からはいよいよ十二月に入りますが、師走の訪れとともに自衛隊関連行事はいよいよ少なくなってきました。こうしたなか、日曜日に長崎県佐世保市にて海上自衛隊護衛艦カレーの美味を競う第一回GCグランプリが佐世保市島瀬公園で行われ、護衛艦10隻が参加、ライスは有料200円ですがカレー各艦300食分合計3000食分が無料で提供されます。

Bimg_1326 GCグランプリのカレーは無料ですが、島瀬商店街の各店で配布されるカレー整理券が必要で、島瀬商店街結成60周年と佐世保地方隊創設60周年記念行事を兼ねており、海上自衛隊と言えばカレー、そのカレーの人気投票で佐世保一の護衛艦カレーを競うというかたちになります。

Nimg_7900 今週末の自衛隊行事ですが、最大の行事は新田原基地航空祭です。新田原基地、航空自衛隊南九州防空の要衝として整備され、特に自衛隊草創期には常に最大の課題であった朝鮮半島情勢への北九州築城基地とともに並び、我が国防空の最前線として部隊整備が行われました。

Nimg_8194_1 新田原基地は、現在、防空任務に当たる第五航空団、戦闘機戦闘訓練と機種転換課程にあたる第23飛行隊、そして全国の戦闘機部隊の技量向上を図るアグレッサー部隊として最強の練度を誇る飛行教導隊、以上の三部隊が展開しており、様々な飛行展示で知られる。

Bsimg_1855 特に今年は航空自衛隊初のファントム飛行隊として創設された第301飛行隊の創設40周年に当たる年で、記念塗装の機体が飛行展示を行います。創設されたのは百里基地ですが、移駐し新田原基地にて防空任務に当たっています。この派手な記念塗装だけでも一見の価値あり、と言えるやもしれません。

Nimg_9394 航空祭ということで混雑はしますが、岐阜航空祭や入間航空祭とは別物というほどのかなり余裕のある航空祭で、今年の新田原基地航空祭では国内自衛隊行事として初めてMV-22可動翼機の展示が予定されています。ただ、会場は逆光ですので、順光を求め基地に隣接する眺鷲台から撮影するのもいいでしょう。

88img_3524 行事ではありませんが、イギリス海軍45型駆逐艦デアリングが、1日日曜日1030時に東京港を親善訪問し、海上自衛隊は護衛艦てるづき、をホストシップとして派遣します。一般公開は行われませんが、最新鋭の大型防空艦の入港は注目でしょう。3日0830時に東京港を出港する予定です。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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榛名防衛備忘録:高等練習機再導入と教育戦闘機部隊再編、要撃飛行隊増勢の早期解決案

2013-11-28 23:18:26 | 防衛・安全保障

◆高等練習機配備で第21・第23飛行隊を第一線へ
 戦闘機部隊の不足にどう対応するのか。ビック自衛隊のマキシマム防衛計画についてエターナル語る! 。という、本日の話題は、まあ少々肩の力を抜いた形の話題ではありますが。
Img_9151a 航空自衛隊の戦闘機部隊は明らかに不足しつつあります。南西諸島の那覇基地では既に限界に近い規模での対領空侵犯措置任務を展開中で、更に太平洋上の小笠原諸島への航空脅威の現出元々“榛名防衛備忘録:T-4練習機には厳しい戦闘機操縦基礎過程(FTB)教育 ”、という話題を展開るべく備忘録記事を作成していたのですが、将来脅威への対応を念頭に、現在の航空自衛隊戦闘機部隊を如何に数的充実を図るか、という視点から命題を検証してみました。大元として亜音速機での戦闘機戦闘訓練は限界がある、という声も踏まえています。
Img_0355 戦闘機部隊を急ぎ増強するにはどうすればよいか、という視点ですが、次期戦闘機F-35は完成までに時間を要し、他の候補機を暫定戦闘機として導入しようにもコスト面の問題が大っく、そして戦闘機としての作戦運用可能な水準までの部隊練成など、運用基盤構築までの時間を考えると余裕等ありません。しかし、F-2支援戦闘機やF-15J戦闘機の生産ラインは既に閉鎖され、増強は出来ないというのが厳しい現状です。そこで提案として、航空自衛隊に廃止した高等練習機を再配備する、というものを考えてみました。

Nimg_9072 即ち、高等練習機を再度整備することにより、一種教育戦闘機部隊というようなかたちで教育訓練部隊所要となっている二個飛行隊の戦闘機部隊を第一線に戻すのです。海上自衛隊が護衛艦不足から、比較的新しい練習艦を護衛艦へ復帰させたものと考え方は同じです。高等練習機とは戦闘機に準じた超音速性能や火器管制装置を搭載するもので、機種候補としては米次期高等練習機選定を参考とし、特に米空軍のT-38練習機後継機はかなり喫緊の課題ですので遠からず決定されるでしょうが、JAS-39複座型、T-50練習機、他には再生機として状態の良いF-16Bがあれば、候補となるでしょう。
Img_8645_1 なお、冷戦時代には松島基地にT-2の第21飛行隊、第2飛行隊からなる第4航空団が、高等練習機部隊として要員養成に当たっていましたが、T-2練習機後期型は火器管制装置と20mm機関砲を搭載しており、短射程空対空ミサイルを運用することは可能でしたので、有事の際にはソ連空軍機の戦闘行動半径外にある松島基地は、北方から一時後退する飛行隊と共に二個飛行隊を以て補助戦闘機としての部隊運用を行う構想がありました。仮に高等練習機に一定以上の性能を有する機体を配備すれば、こうした変則的運用も可能となります。

Nimg_8560 高等練習機。昔ながらの超音速練習機で戦闘機戦闘訓練課程を実施、これは一見無駄な事ともみられるかもしれませんが、亜音速練習機による練習機教育体制を構築している国と航空自衛隊の事情は異なり、予算上の機数制限よりは防衛大綱に基づく飛行隊数の制限が大きく防衛政策に反映され、第一線部隊に配属される搭乗員の能力を最大限確保する必要がある自衛隊では、維持費などが大きくとも導入すべき意義があるものです。そして、そうした背景があるからこそ、第一線級戦闘機を二個飛行隊も教育所要に充てているわけなのですから。
Img_90_00 訓練はどうするのか、当然の疑問がわいてくるでしょう。現在、教育訓練部隊の戦闘機部隊は、F-2Bを運用する松島基地の第21飛行隊とF-15を運用する新田原基地の第23飛行隊で、第一線部隊へ配属された場合に即戦力として活躍できる技能をこの飛行隊において付与させるとともに、練習機から戦闘機へ機種転換を行うという任務を担ています。しかし、機種転換訓練は従来通り実戦部隊がマザースコードロンを兼ねる体制に、つまり教育訓練部隊に戦闘機が配備されておらず、高等練習機が配備されていた時代の方式に戻せば、問題は生じません。
Himg_2926 松島基地第四航空団第21飛行隊のF-2Bが浮く、航空教育集団飛行教育航空隊第23飛行隊F-15DJも浮く、航空総隊へ編入する。高等練習機による戦闘機戦闘訓練体制へ戻すことにより、都合二個飛行隊が教育訓練部隊から実戦部隊へ戻すことが出来ます。たかが二個飛行隊、と思われるかもしれませんが、二個飛行隊と言えば一個航空団を余裕を以て編成できる部隊規模ですし、要撃飛行隊は現在12個飛行隊ですので、これを14個飛行隊とすれば、多少は余裕が出てくるのではないでしょうか。
Bimg_2262 F-2飛行隊。築城基地第八航空団へF-2Bを運用する第21飛行隊を編入する。例えばの提案ですが、こうした改編が考えられます。そういいますのもF-15を運用する第304飛行隊は那覇基地へ移転予定となっており、第8飛行隊の一個編成となる予定でした。第8飛行隊はF-2を運用していますので、第21飛行隊を転用すれば、F-2二個飛行隊を集中運用する基地となり、対艦攻撃能力の高さを活かした、冷戦時代のF-1支援戦闘機二個飛行隊を有する三沢基地第3航空団のような重責を九州から担う事となります。
Bimg_3001 F-15飛行隊。父島空港の整備時における官民両用空港化や硫黄島飛行場を基地化し、第23飛行隊を移転する。第23飛行隊は新田原基地へ戻し、西部航空方面隊と南西方面航空混成団と統合運用し、那覇基地の支援に充て、沖縄北方から接近する国籍不明機への対処に新田原基地を充てる方策もありますが、今後、中国海軍の太平洋上での活動がこのままの規模で拡大した場合には、小笠原諸島周辺での行動活性化も予見できるため、新たに硫黄島基地か父島基地を基点として防空に充てる、という方策も考えられるところ。
Gimg_7807 全てが調和する。もちろん、机上の空論ではあります。戦闘機部隊が必要であるのは喫緊の課題なのですが、高等練習機の運用基盤を構築するまでに時間を要します。F-35の導入まで、時間を要するものではありますが、飛行隊規模で次期高等練習機を充足していったとしても、教育訓練部隊の戦闘機を第一線部隊へ転用するまでは、やはり大きな時間を要するでしょう。暫定案としては、現在の練習機体制のまま、ふたつの飛行隊を航空総隊に戻す方策ですが、航空教育集団のT-4練習機の老朽化も進んでいるため、これも難しい。
Img_7450 ただ、遠からずT-4練習機の後継機選定が必要となってきますので、その際に中等練習機と高等練習機を統合した現在の教育訓練体系は、高価な高等練習機を統合し廃止したものの更に高価な戦闘機を教育訓練に充当する必要性が生じる事となった、という事業評価を行い、機種統合は時期尚早であったとの認識の下で、新練習機に高等練習機の配備を行い、更に大陸側からの圧力の増大へ対応する、という選択肢はあるかもしれません。

北大路機関:はるな

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小笠原諸島へ防空識別圏設定と警戒管制網整備へ、対領空侵犯対処部隊配置も検討

2013-11-27 22:59:46 | 防衛・安全保障

◆太平洋上への周辺国航空母艦勢力整備へ対応

 将来想定される小笠原諸島への国籍不明機接近へ、警戒監視部隊等の配置の必要性は北大路機関でも繰り返し指摘してきましたが、いよいよ実現に向け検討が開始されました。

Oaimg_2791 小笠原諸島は、太平洋戦争中を除き戦後自衛隊が創設され今に至るまで、国籍不明機による領空侵犯の可能性は、北方の防空識別圏を通る必要があり、これにより北日本等の防空監視網により南下する航空機を未然に捕捉することができますので警戒監視部隊の配置は防空識別圏の設定は為されていませんでした。

Oaimg_1994 しかし、近年、中国海軍による航空母艦戦力の整備が本格化し、ソ連製廃棄空母ワリャーグを空母遼寧として再整備し、更に新造航空母艦の建造へ着手するなど、太平洋上への展開が本格化しつつあり、我が国としても空母艦載機による小笠原諸島への領空侵犯事案を考慮しなければならない現実を突き付けられたわけです。

Gimg_7252 基地を置く必要はあるのか、という問いはありそうですが、警戒監視網については暫定的に移動監視隊を展開させるとしても長期的には台風に耐える恒久設備が必要になりますし、小笠原諸島南端は最寄りの百里基地から距離が大きすぎ、空中給油機などの支援が無ければ即応性はもちろん、十分な戦闘空中哨戒も出来ません。

Img_6543 緊急発進件数の将来脅威予想についても、中国航空母艦の実任務へ対応可能な水準への整備はまだまだ先の話となるところでしょうが、水上戦闘艦部隊の太平洋における活動は活発化しており、回転翼機等による領空侵犯事案の可能性もあるため、実のところ回数として少ない水準での緊急発進で済むという楽観論は必ずしも妥当ではありません。

Oaimg_1233 防衛省によれば、東京都小笠原諸島へ、防空識別圏を設定するとともに、周辺の自衛隊基地へ緊急発進のための戦闘機部隊配置も検討しているとされ、これが実現すれば、レーダーサイト等の防空監視所配置や、飛行場設備を有する基地などへの戦闘機部隊展開が行われることでしょう。

Oaimg_1683 東京都の一部でありながら、防衛上の空白として懸念されていたこの海域ですが、海上航空自衛t来の訓練海域や訓練空域が設定されており、防衛力のポテンシャルとしては充分なものが整備されています。この海域は同時に我が国排他的経済水域の非常に広い部分を構成する部分でもあり、海洋開発の面からもポテンシャルに頼らない制度としてのプレゼンスを確保する必要は大きい。

Oaimg_0266 小笠原諸島における自衛隊基地は、海上自衛隊父島基地、滑走路を有する南鳥島航空派遣隊基地、海上自衛隊硫黄島航空基地があり、父島基地は艦艇や飛行艇の寄港拠点ではありますが島内には東京都が第三種民間空港への転用を検討している海軍飛行場跡地があります。

Oaimg_0154 レーダーによる警戒監視網整備は広大な小笠原諸島ではありますが、硫黄島の擂鉢山や父島のJAXA宇宙航空研究開発機構小笠原追跡基地、南鳥島ロランC局跡地など、自衛隊の施設やその周辺施設を活用することで防空識別圏と警戒監視網を整備することが可能と考えます。

Oaimg_1118 最も現実的な案は、既に飛行場設備を有する硫黄島への基地機能整備ですが、真水確保や接岸能力等で長期的に見た場合は問題があります。すると、将来的には父島が現実的かもしれません。父島への飛行場整備は、現在小笠原諸島への民間航路が数日を要する旅客船のみであることから住民の悲願とされているため、将来的に父島空港を官民両用空港として整備し、航空自衛隊父島基地として運用する選択肢もあるやもしれません。

Oaimg_1736 一方、小笠原諸島は非常に広大であり、警戒監視網を設定した場合の任務範囲は現在の中部航空方面隊管区全域に匹敵するものとなります。島嶼部ということで那覇基地の南西方面航空混成団へ統合し、南西方面航空混成団を太平洋航空団へ拡大改編し対応するのか、入間基地の中部航空方面隊管区へ含めるのか、新たに中部太平洋航空混成団を新編するのかについては議論の余地があると思います。

Oaimg_0063 ともあれ、防衛上の空白地帯が解消されると共に、冷戦時代でも想定されなかった太平洋上からの脅威の出現に対し、我が国としては防衛力全体をどのように取り組んでゆくのか、これは政治だけではなく防衛力の水準を如何に維持するかの負担についても、国民的議論として考えてゆく必要があるでしょう。

北大路機関:はるな

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中国政府一部撤回!中国新防空識別圏尖閣諸島日本領空包含問題、民間航空機を対象外へ

2013-11-26 23:35:34 | 国際・政治

◆熟慮足りぬ中国政府、各国反発に一部翌日撤回

 中国の防空識別圏が我が国領空の一部を含み、防空識別圏内での管轄権行使問題において国際社会からの反発を受け、開始から僅か一日、中国側が一部を撤回しました。

Osimg_6501 昨日、中国側は防空識別圏を一方的に拡大し、その圏内に日本の領空の一部を包含、防空識別圏内での管轄権行使を行い得るという中国側の独自解釈に基づき、当該空域では日本領空を飛行するすべての航空機に対し中国国防省の飛行許可を取るよう一方的に宣言を行いました。

Osimg_2401 しかし、この空域を飛行する民間航空機に対しても求める姿勢を採ったため、国際社会の大反発に遭い、僅か開始から一日で民間航空機を除くという、発言撤回を行ったもの。最終的に中国側は撤回せざるを得ないとは当初予見できましたが、僅か一日での撤回は意外であり、中国国防省と政府の稚拙な意見集約体制を露見したといえるやもしれません。

Osimg_1902 特に防空識別圏を中国は排他的空域として扱い、日本を含む世界各国のような識別線ではなく、一種の領空として扱う姿勢のもと、他国領空をその範囲に含むことは、日本領土の一部を中国が飛行制限空域とした訳であり、強行すれば当然、航空自衛隊との航空戦闘に展開する可能性があるもので、反発を受け翌日部分撤回するとは、事の重大性を認識していなかったのでしょうか。

Osimg_9871 中国の今回の行動は全てにおいて浅はかと言わざるを得ませんでした。結局、日本領空とその周辺空域を飛行する民間航空機は対象外としたことは、言い換えれば自衛隊機や米軍機等が日本領空を飛行する際に中国国防省へ飛行計画を提出するよう求めた、と修正したわけなのですが、通るわけがありません。

Img_2861 更に中国側が排他行動を採るとした尖閣諸島日本領空でも、海上保安庁航空機が警戒に当たっているのですが、排除行動はとられておらず、これは中国側が単に一方的な放言を行っただけ、というもので、対外的に見て余りにみっともない対応でした。やるといたことを一日で部分修正し、訂正した行動も実行に移さない、今回の中国の対応は思慮の浅さを対外的に示した、こうした残念なもの。

Osimg_5609 防空識別圏は我が国国内法、そして国際法上は、領空侵犯を防止するために接近航空機の識別を行う単なる空の彼我識別線ですが、中国の防空識別圏は領空の延長であるとの独自解釈に基づき、管轄権行使を行う姿勢を示したため、他国領域上空での管轄権行使を行うという非常識極まりない明白な国際法への不適合措置であり、我が国のような冷静な対応は僥倖、他国に対し強行すれば航空戦闘に発展しかねないものでした。

Osimg_2485 防空識別圏を領空扱いし排他的行動を採ったことで戦闘に展開した実例としては、1981年のシドラ湾事件が挙げられます。これはリビア政府が海岸線から200浬の線を結ぶ内側のシドラ湾を自国領空と一方主張したことで発生しました。国際社会は猛反発し、米海軍は空母ニミッツを派遣しシドラ湾公海上を航行させました。これに対しリビア空軍が航空攻撃を仕掛けたため、米海軍のF-14戦闘機により撃墜されています。

Osimg_0583 リビア側がさらに撤回しなかったため交渉を続けたところ、リビア側が実力行使に出たため1986年にアメリカ、サラトガ、コーラルシーの三隻を派遣し、NATO軍とともに報復を行っています。これに対してリビア政府は海外の旅客機や公共施設爆破などの無差別テロで報復したため、リビアに対する対外的な心象が悪化し、致命的な経済制裁に長期間苦しむこととなりました。

Osimg_2958 今回の中国側の行為は、一方的に宣言し、そして自国管轄権の行使空域と宣言した範囲に他国領空を含むというリビア以上に悪質な行動を採りましたが、実行に移さず翌日に一部撤回、その後の修正部分も現時点で実施せず宣言に終えているところには、ある意味、国際規範に従おうという姿勢を垣間見ることが出来るかもしれません。

Img_5315 他方、今回の一部撤回はあくまで修正であり、今後も日本の自衛隊機などに対して日本領空周辺を飛行する際に飛行計画の提出を求めてくる可能性があります。また、米軍機にも求める可能性がありますので、全撤回を行わなければ、日本領空を飛行している自衛隊機や米軍機へ中国軍機が退去を求め、強制措置を採った場合、航空戦闘に展開する可能性があり、これを防ぐためには我が国としては全撤回を求める必要があります。

Nimg_8163 ただ、今回の部分撤回を日本の外交勝利と見る事は出来ません、中国が自滅しただけで、それだけ非常識な主張を行ったため日本以外の各国から反発を受けただけです。我が国としては引き続き、中国の国際法上の通念を逸脱した領空認識の修正を求め、謝罪を求めてゆくことが必要でしょう。

北大路機関:はるな

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中国防空識別圏尖閣諸島我が国領空を一方的に包含、日中関係は戦後最大の緊張へ

2013-11-25 23:53:23 | 防衛・安全保障

◆政府は静観、中国が実行すれば日中開戦

 中国政府は新しい防空識別圏として、我が国南西諸島尖閣諸島の領空を含む境界線を一方的に通知しました。防空識別圏は日本では単なる識別線ですが中国の防空識別圏は管轄権行使を含む境界線です。

Osimg_3036 そもそも防空識別圏とはどういうものか、について。防空識別圏とは、我が国では国際法上の領空に対し、高速で接近し領空侵犯の可能性が生じる航空機に対し、緊急発進を行い領空に接近しないよう警告を行い、領空侵犯を未然に防ぐ対領空侵犯措置実施の判断線として行うもので、その目安としているものです。ただ、我が国では以上の通り緊急発進の目安とする基準線に過ぎませんが、中国国内法では通過航空機全てに飛行認可を行い、必要に応じて武力攻撃を行う、主権行使と管轄権を有する空域設定としています。

Osimg_1503 我が国の対応について。この問題について、政府は、他国領空を防空識別圏に加え管轄権行使の可能性を示すことは不測の事態を招きかねない非常に危険な行為であるとともに、撤回を求める、というもので、我が国としては領海領空の領土保全に万全の態勢で臨み、これまでと変わらない姿勢で対応する、という静観の姿勢を示しました。仮に中国側が防空識別圏内での中国国内法に基づく執行管轄権行使を強行すれば、日中の航空戦闘に展開しかねないものであるため、非常に憂慮する状況と言え、日中関係は戦後最大、中華人民共和国建国以来としては最悪の緊張となります。

Osimg_1025 防空識別圏の重複という問題ですが、重なっていることはあります。ただ、防空識別圏を、管轄権行使の領空に準じた扱いとし、他国領空を含む方向へ修正することは非常に異例です。単に重複することだけならば実例はあり、例えば2006年までの期間、日本と中華民国の防空識別圏設定が米空軍により実施されたため、南西諸島西端の与那国島の一部が台湾の防空識別圏に含まれている実情がありました。また、陸上国境を有する国ではこうした重複の問題は生じ得るわけですが、防空識別圏は識別を行う線ですので通常問題はありません。しかし、中国の亡く識別圏は単なる識別線ではなく、管轄権行使を行う境界線である、という事情が大きな問題となるでしょう。

Osimg_2085 尖閣諸島の我が国領空が、中国の防空識別圏に包含されることはどういう状況が発生するのか、という点ですが、以下の通りのことが考えられます。第一に尖閣諸島領海内において海上保安庁船艇等がヘリコプターを発進させた場合に中国軍機が接近する。第二に尖閣諸島周辺空域を飛行する旅客機に対し管轄権を行使するとした中国国内法に基づき日本領空において一方的な執行管轄権行使、つまり中国軍機が示威行動を行う可能性がある。第三に尖閣諸島南方空域での示威行動が活性化する可能性がある。以上の通り。

Osimg_2363 中国空軍は、仮に上記の行動を強行する場合、我が国としては自国領空での他国軍隊による管轄権行使を同意なく看過する事は出来ません。結果、例えば尖閣諸島を含む我が国領空付近において中国空軍機が旅客機等を排除行動に出た場合、重複する防空識別圏を中国軍機が侵犯した時点で航空自衛隊は対領空侵犯措置任務を発動し、緊急発進を行います。中国国内法では防空識別圏内での武力攻撃が認められているため、航空戦闘に展開する可能性が生じます。

Img_3405 特に日本領空において外国旅客機が中国軍機による妨害を受ける可能性が、この中国式の執行管轄権を伴う防空識別圏設定には生じる事での問題ですが、我が国防空識別圏では管轄権行使を想定していないものと対照的であり、特に日本領空を通過する旅客機については我が国は保護管轄権を有するわけですので、日本政府としては、保護をする義務を負うわけです。この点の問題が、両国の戦闘機が対峙する状況となりますので非常に懸念せざるをえないところ。

Osimg_1214 それでは中国空軍が一方的に宣言したのみで、行動に移さなかった場合はどうなのか、という事となりますが、これは日本側としては修正を要求するのみとなる半面、中国側としては対外的に、時刻が設定した防空識別圏を管理できていない、前近代的な空軍組織であることを行動で示すこととなるため、防空識別圏を拡大した一方で行使しない、という選択肢は対外的に無理が生じます。選択肢は、拡大を撤回、もしくは防空識別圏での管轄権行使を含む国内法の改正を行う事でしょうか。

Osimg_2919 日中開戦は明日にでも差し迫っているのでしょうか。この点ですが、ある程度の楽観論を考えることが出来ます。こういいますのも中国側としては尖閣諸島の併合を主張し、一方的に領有を宣言していますが、尖閣諸島領内へ侵犯した場合でも海上保安庁巡視船の監視を逸脱する行動は行っていません。従って、今回も一方的に宣言を行ったのみであり、中国が国内法に基づく管轄権行使を我が国領空内において強行すれば確実に航空戦闘に展開することから、危険な火遊びは、少なくとも当面、避ける可能性はあります。

Osimg_3276 懸念事項ですが、中国空軍の能力についてです。仮に強行した場合、執行管轄権を行使せずに緊急発進のみを行った場合でも、例えば長時間滞空可能な哨戒機等を日本が展開した場合、中国側は絶え間ない緊急発進を行う事となり、機材消耗が著しく速くなります。また、中国のレーダー監視網は2005年にようやく自国沿岸部を網羅したばかりの能力構築段階にあり、そもそも現時点では能力的に実施できません。これを無理に強行しようとした場合、中国側は自ら不利な消耗戦に落下することとなります。その意図は分かりません。

Osimg_6897 本記事には、実行すれば日中開戦の危機、と明示しましたが、非常に緊張する内容であると共に、冒頭に“実行すれば”、という部分を点けたのは、能力的に不可能であるという事、軍事的に日本側が有利な状況を構築し得る状況を中国側が設定している事、など、実のところ合理的ではなく、まさにそうした背景があるわけです。他方で、条件としては我が国領空において中国軍機が我が国の保護管轄権の下に或る旅客機等を排除する可能性が法律上生じたわけですので、警戒監視を怠る事は出来ません。

北大路機関:はるな

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岐阜基地航空祭2013/AirShow in GIFU AIR BASE(2013.11.23) PowerShotG-12撮影速報

2013-11-24 23:00:08 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆史上稀に見る多数来場者の岐阜航空祭

 本日、航空自衛隊岐阜基地にて岐阜基地航空祭が行われました。その様子を取り急ぎG-12の撮影写真にてお送りします。

Dgaimg_2399 岐阜基地航空祭は、本日、快晴の下で実施されました。航空自衛隊飛行開発実験団が展開する航空防衛技術開発の一大拠点として知られ、新装備の試験と実用研究へ対応するべく、航空自衛隊の保有する主要航空機の大半に当たる機種が装備されている基地として有名です。

Dgimg_2571 航空自衛隊には多数の基地と多彩な部隊が展開し、どの航空祭も見所が盛りだくさん、先月の築城航空祭で見上げた実戦部隊F-2の迫力は凄く、今夏に見上げた千歳基地航空祭のF-15飛行隊はお勧めしたいところですが、岐阜基地は飛行開発実験団が置かれており、その分色々な面で一味違う。

Dgaimg_2262 本年の航空祭は、勤労感謝の日の連休となり、ブルーインパルスの参加に加えテレビドラマ“空飛ぶ広報室”における航空自衛隊への関心の集まり、更に中止とはなりましたが米海兵隊MV-22可動翼機の展示展開という情報と共に広く周知され、結果、岐阜基地航空祭としては過去稀に見る規模の来場者を集めました。

Dgaimg_2338 当方一行は、名鉄三柿野駅へ開門一時間前に集合する計画で名古屋部隊との合流を企図し、展開したのですが、三柿野駅からの先行名古屋部隊からは既に開門一時間半前にて駅と基地との陸橋が完全通行不能となっており、急ぎ駅と門前に余裕のある六軒駅へ転進する必要あり、との一方を受けたしだい。

Dgaimg_2358 こうして、開門45分前に新北門前に並んだものの、かなり混雑は極度を極めており、更には今年、手荷物検査が実施されることから、早速ながら今年の混雑状況の重大さを察したもの。他方、早めの展開と事前情報に支えられ、何とか先行名古屋班が最前列確保にたどり着くことができ、列線を前に合流へ成功しました。

Dgaimg_2467 なお、開門30分前に三柿野駅へ前進した方の話では、手荷物検査と陸橋の混雑により、駅から門へ僅か250mの距離を移動するのに一時間以上を要したとのことで、開門後の時間帯に基地最寄駅へ展開したという方は、基地に入るにも非常な困難を要したとのこと。

Dgaimg_2398 今年度の岐阜基地航空祭は、ブルーインパルス飛行展示を例年の、そして全国の航空祭に多く採られている最後の時間帯に実施するのではなく、午前中にブルーインパルスが飛行展示、午後から岐阜基地名物異機種大編隊、という展示を実施し、来場者の入場ピークを調整する試みがなされています。

Dgaimg_2436 異機種大編隊の飛行時は、ブルーインパルス飛行展示時点と比較し、入場者はかなり減ってはいたので、この試みは大成功だったようですが、最寄りの名鉄三柿野駅はホームが満杯となり、改札からホームまで踏切を使わねば移動できない構造上の難点から、列車ダイヤに影響、運転切り上げなどの対応も実施されていたのだとか。

Dgaimg_2392 基地では、三柿野駅の混雑に対し、JR蘇原駅利用の案内を行っていましたが、非電化の高山線では輸送力に限界があり、併せて名鉄六軒駅や各務原市役所前駅の利用も案内していました。航空祭は絵に描いたような青空であったのですが、混雑はかなりのものといえたかもしれません。

Dg_img_2310 混雑は人だけの話ではなく、もちろん人ではないといっても幽霊はファントムだけですし会場は多くの犬猫で混雑していたわけではないのですが、もう一つ、携帯電話の回線も大混雑しており、圏外表示となったり、基地内での電話連絡がほとんど行えない時間帯がありました。

Dgaimg_2266 各務原市役所前駅に近い正門、蘇原駅と六軒駅に近い新北門、三柿野駅に近くメイン会場中心に隣接した北門、交通は便利なのですが、結果、どれくらい混雑していたの、と問われましたらば、説明するのは稚拙な文字の羅列による表現よりも写真の方が全てを物語ってくれているでしょう、午前中でこんな感じ。

Dg_img_2524 混雑はしていましたが、みんなでワイワイ、楽しい一日であったことは確かです。偶然、ああ、本日はこちらでしたか、と顔見知りが多数、先週の福知山以来、という方も多数、先月の築城でお会いして以来、という方も。話題も、混雑をあたかも夏の暑さの如く活き活きと語り、さて来月の新田原や那覇はどうされますか、などなど。

Dgaimg_2602 飛行展示は工夫が凝らされ、特にブルーインパルスの飛行展示を上手く配置したことから、かなりの頻度で飛行している、という印象でした。また、小牧基地からはフィリピン救援へ輸送機や空中給油機などが展開しており、果たして参加できるのか、と一瞬考えさせられたのですが、杞憂でした。

Dgaimg_2613 快晴でしたので、南側会場から仮に撮影していたならば、非常に良好な順光の写真が、とも当初考えたのですが、大気の状態が高高度を往く旅客機の飛行機雲を上手く形成するに適した状態であったこともあり、メイン会場から眺めた上空は幾筋もの飛行機雲がたなびき、ある意味貴重な構図でメイン会場から撮影できた、と言えるやもしれません。

Dgaimg_2609 南側会場からの情景は、当方今回情報が無いのですが、今年、南側会場は何処まで開放されていたのでしょうか、近年は穴場的存在であった誘導路付近も混雑するようになっています。参考までに航空宇宙博物館付近の基地山隣りより撮影した方の情報として、航空宇宙博物館周辺もかなり混雑を極めていたもよう。

Dgaimg_2574 実は、当初、かつて浜松基地航空祭と新田原基地航空祭で成功した、折り畳み式自転車による機動展開も考えていたのですが。しかし、岐阜基地航空祭で見逃せないのは、基地の地上展示、格納庫での展示でして、本年度岐阜基地航空祭ではAAM-4空対空ミサイル改良型と、パネルでBMD疑似弾道ミサイル標的の紹介等が行われていました。

Dgaimg_2581 無人機は昨年度まで、展示されていたものは紅白で視認性を高めた試験機塗装のものでしたが、本年度の岐阜基地航空祭では迷彩塗装のものが置かれており、開発と試験は順調に行われているのだなあ、と感心したりも。こういう展示があるので、岐阜航空祭は基地の地上展示散策が欠かせない。

Dg_img_2625 外来機ですが、百里基地のRF-4,小牧基地のKC-767,それにUH-60とU-125,入間基地のU-125,松島基地のブルーインパルス、美保基地のT-400,明野駐屯地のAH-1SにUH-60J,こんなところでした。海上自衛隊のP-3Cは来ておらず、米軍機も近年と同じく外来展示はされていませんでした。

Dg_img_2642_2 こうした一通りの撮影を終え、最後に電話回線が復活し合流できた方と共に岐阜基地を後にしました、会場と帰路に利用した六軒駅は、ともに混雑していましたが、行って良かった、充実した一日でした。最後になりましたが、本日ご一緒いただきました皆様、ありがとうございました。

北大路機関:はるな

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フィリピン国際緊急援助統合任務部隊海上拠点、レイテ湾及び周辺海域へ前方展開

2013-11-23 23:16:45 | 防災・災害派遣

◆九州・南西諸島では海上自衛隊演習を展開

 防衛省によればフィリピン国際緊急援助統合任務部隊海上拠点のレイテ湾及び周辺海域への前方展開が完了し、明日より活動開始するとのことです。

G_img_9038 フィリピン国際緊急援助統合任務部隊は、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、輸送艦おおすみ、補給艦とわだ、以上三隻で、レイテ湾とその周辺海域へ展開しました。更に、護衛艦や輸送艦により展開した陸上自衛隊ヘリコプター部隊も前進拠点へ展開、明日へ備えているもよう。

Img_0313 海上部隊の支援により展開したヘリコプター部隊は医療航空援助隊としてタクロバンとボロンガンの周辺を主として展開することとなっており、セブ島のマヤへ医療隊の展開も完了しています。今後陸上部隊と海上部隊は連携の元行動することとなるのでしょう。

Img_4612 更に現在既に航空自衛隊の空輸部隊がマニラとセブ、タクロバン、ロハスの地域の輸送に当たっています。既に7機のC-130輸送機が展開しており、これは航空自衛隊が保有するC-130輸送機の約半数に当たります。今後任務期間はどの程度かは不明ですが、活躍を期待したいところ。

Bimg_0819 対して現在、九州と沖縄周辺海域では海上自衛隊演習が展開中です。海上自衛隊演習は毎年この時期に実施されているもので、自衛艦隊司令官松下泰士海将指揮下のもと、先週の11月16日から来週の11月28日まで実施されています。

Img_1078 自衛隊統合演習の参加部隊は、艦艇15隻と航空機50機で、例年さらに大きい揖保の艦艇が参加し、米海軍なども参加しているのですが、海上自衛隊の参加規模と米海軍の参加はフィリピンにおける台風30号被害への救援任務、つまり実任務により参加規模が削減されることとなりました。

Bs_img_2819 海上自衛隊演習は1954年の海上自衛隊創設と共に実施されているもので1981年からは米海軍が参加するようになっています。海外での実任務と国内での大規模訓練の両立は少々厳しい面も考えられますが、指揮官の情勢判断と部隊運用を重点として展開中です。

北大路機関:はるな

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平成二十五年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.11.24)

2013-11-22 22:40:11 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 秋深まる、銀杏も急ぎ冬支度。急な気候変化で喉をやられやすい今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。

Gimg_7417 今年の自衛隊関連行事もいよいよ数える程となりつつありますが、今週末は航空自衛隊の航空祭と陸上自衛隊の駐屯地祭が行われます。岐阜基地航空祭、航空自衛隊飛行開発実験団の展開する技術開発の総本山という基地で最新装備から旧式装備まで、主要装備が勢ぞろいの基地で、航空自衛隊航空祭でも二位三位の来場者を誇ります。

Gimg_3013 名物は戦闘機に支援戦闘機と練習機に輸送機や試作機の異機種大編隊で、こればかりは岐阜でなければ見ることが出来ません。岐阜基地は名古屋市から名鉄とJR高山線で結ばれており、滑走路に平行して名鉄三柿野駅、六軒駅、市民公園前駅、JR高山線蘇原駅、那加駅と多くの駅からアクセスが可能です。

Gimg_2437 別府駐屯地祭、日曜日に九州では陸上自衛隊の駐屯地祭が行われます。参考写真は先週撮影した福知山駐屯地祭の写真なのですが、福知山は第7普通科連隊、対して別府駐屯地は第41普通科連隊が駐屯しています。普通科連隊駐屯地は、編成が同じであっても駐屯地ごとに個性があり、これが興味深い。

Gimg_3178 第41普通科連隊は第4師団隷下の普通科連隊で高機動車と軽装甲機動車により機械化されています。この第41普通科連隊は今月の自衛隊統合演習において南西諸島へ軍事的圧力がかけられたとの想定に基づき、沖縄本島へ展開した部隊の一つでもあります。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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防衛大綱改訂、戦車300両へ削減と北方・西方へ集中、本土へは機動戦闘車集中配備方針

2013-11-21 23:53:37 | 防衛・安全保障

◆海上自衛隊護衛艦定数は10隻増強方針

 NHKや時事通信の報道によれば、年末に閣議決定を目指す防衛計画の大綱改訂について、護衛艦10隻の増勢と本土配備戦車全廃100両削減という方針が示されました。

Cimg_3810 戦車の本土配備廃止という決定には驚きましたが、105mm砲を搭載する機動戦闘車が約200両配備され、90式戦車と10式戦車は北部方面隊と西部方面隊へ集中配備、本土の師団戦車大隊は1:1で74式戦車から機動戦闘車に置き換えられることとなるようですが、こちらについては後ほど。

Aimg_0634 戦車を100両削る半面、海上自衛隊は大幅に強化され、護衛艦は10隻の定数増強となります。現在の防衛大綱定数は48隻、ここに10隻が増強されることで58隻となり、90年代前半の護衛艦数最盛期の63隻に準じる規模となります。また、58隻の護衛艦を将来にわたり維持するには毎年2隻程度を建造する必要が出てくるのですが。

Img_8811 これについては、別稿に挙げようと思いますが、冷戦時代に大量建造され、活躍している護衛艦はつゆき型の後継として、護衛艦定数削減のたびに一隻当たりが大型化している護衛艦にたいし、3000t前後の米海軍沿海域戦闘艦のコンセプトにあるような艦艇を導入する構想とされます。沿海域戦闘艦は現時点で失敗と言わざるを得ない状態ですが、コンセプトをある程度入れ、新しい体系を構築する、というものなのでしょう。

Img_6275 ヘリコプター搭載護衛艦は、いずも型とともに全通飛行甲板型護衛艦が四隻揃い、潜水艦定数は前回の防衛大綱改訂により16隻から22隻へ増勢され、既存潜水艦の延命改修が開始されますので、当面は維持されるものと考えられ、護衛艦に加え潜水艦の規模と共に海上防衛力は非常に高い水準となります。

Img_8934 更に航空自衛隊へグローバルホーク無人偵察機の導入が方針として示される模様です。戦闘機定数については言及がないのですが、今後、仮に増勢という方針が検討されるならば、世界のF-35導入計画にも好ましい影響は出てくるやもしれません。

Yimg_8901 他方、グローバルホークの導入ということは即ち、無人機の運用基盤、通信と情報面で整備されるという事となりますので、戦闘機としての能力を有する無人機、MQ-9やX-45のような無人機を運用する基盤をも整備することとなります。これは大きな一歩でしょう。

Cimg_0333 さて、陸上自衛隊。陸上自衛隊へは、五個方面隊を統合指揮する陸上総隊の新編、陸上自衛隊の本土配備師団を機動師団として全国への緊急展開に対応する編成へ転換、島嶼部防衛戦に備える水陸両用部隊として水陸両用団の新編、更にMV-22可動翼機の導入などが盛り込まれると報じられました。

Gimg_0801 陸上総隊は、航空自衛隊の航空総隊にあたる新組織で、記事には併せて西部方面隊隷下の第8師団を筆頭に機動師団への転換を行う、という表現が為されていたため、一時期検討が報じられた方面隊制度の廃止に依拠した陸上総隊の創設ではなく、方面隊の上部組織として配置される模様で、これは陸上自衛隊の運用面からの悲願とされています。

Gimg_2663 方面隊は残る、という明示は為されていないのですが、仮に廃止されるのであれば、方面隊直轄の部隊、例えば方面航空隊などは包括運用するために70年代に言われていたような陸上自衛隊航空集団の話が出ていなければなりませんが、そうした話は聞きませんので、上部機構が出来る、という理解が合理的です。

Mimg_1791 戦車の本土配備終了についてですが、恐らく北部方面隊と西部方面隊へ戦車輸送車と戦車回収車を集中配備するということでしょう。逆に言えば戦車輸送車や戦車回収車を必要としない機動戦闘車は、防御力と不整地突破能力で戦車に対して不安が残るものの、この点が利点ということになります。

Dgimg_0237 演習は兎も角実任務で機動戦闘車が戦車の大隊を担えるかはまだ新開発の装備であり未知数ですが、機動戦闘車への完全置き換えで11式装軌車回収車と90式戦車回収車を北海道と九州に集約し、本土の後方支援連隊に編成されている戦車直接支援中隊や補給隊の負担を減らし、戦略機動能力を高めることが狙いでしょうね 。

Mimg_2584 戦車300両だけで国土を守れるのか、と問われるかもしれませんが機動戦闘車200両が明示されています、戦車300両と併せ機動打撃の根幹車両を500確保する、というかたち。これは機動戦闘車200両を本州の東北方面隊と東部方面隊に中部方面隊に集中配備する、という意味にもなる。

Gimg_9694 それでは200両の機動戦闘車はどう配備されるのか、と言いますとこれは本州の戦車所要で観た場合、戦車大隊が9戦、6戦、1戦、10戦、3戦が各二個中隊で十個中隊140両、それに旅団戦車中隊で13戦と14戦に二個中隊、12戦を再編成する話もあるので併せて三個中隊42両、併せて本土の戦車所要は182両だから、機動戦闘車が200両あれば数の上で置き換えは可能でしょう。

Gimg_4553 戦車300両の配分ですが、現在のところ機甲師団である第七師団の編成は維持されるようです。その上で北部方面隊と西部方面隊に集中配備される、ということでしたので、北部方面隊は第7師団の戦車連隊から連隊を構成する各一個中隊づつ削減した場合で戦車所要数160両、となります。

Cimg_4340 機甲師団で戦車160両は少々物足りませんが、戦車連隊は他の戦車大隊の二倍程度の編成ですので、総合的に機動打撃力としては問題ありません。他方、今回の“本土からの戦車全廃”方針は、当然戦車が維持される富士教導団戦車教導隊や東部方面混成団第一機甲教育隊の存在が省かれていることが分かり、大綱定数外に一定数の戦車が教育所要として維持されることが分かります。

Gimg_0048 こうしたうえで、2戦車を連隊編成から大隊に再編し、二個中隊編制に置き換え、5戦車と11戦車の大隊編制を旅団戦車中隊へ置き換えると所要四個中隊で、西部方面隊の戦車所要は4戦と8戦に四個中隊、機甲師団所要160両を除いた戦車定数の残り140両なので、丁度10個中隊所要となります。

Simg_5142 普通科部隊の戦闘団を編成した場合の、特に本土師団の打撃力は、戦車が機動戦闘車に置き換わるということで若干の不安は否めないのですが、普通科連隊は中距離多目的誘導弾が各普通科中隊の対戦車小隊へ配備され、これは従来の87式対戦車誘導弾よりも射程が数倍に延伸し、レーダーと熱画像映像により多目標同時射撃を可能としており、対戦車能力は強化されます。

Cimg_0870 01式軽対戦車誘導弾に加えて多用途ガンとして84mm無反動砲の新型の配備が開始されているため、普通科部隊の火力全般ではかなり強化されている部分があります。変な話ですが、戦車の縮小により失うものよりも、全般的に多数の装備が導入されている印象があります。

Himg_0855 来年度予算で開発開始予算が盛り込まれる新装輪装甲車が全国の普通科連隊へ配備が実現すれば全国の四個普通科中隊の普通科連隊は、軽装甲機動車中隊×1、新装輪装甲車中隊×1、高機動車中隊×2、重迫撃砲中隊×1、中距離多目的誘導弾16セット、ここに155mm火力戦闘車が4門、機動戦闘車が4両、こんなかたちになってゆくことに。

Cimg_8213 一つ気になるのは、防衛大綱改訂のたびに戦車と同数に縮小されている火砲の縮小という話が今回出ていないなあ、というところで、まあ、特科は対砲兵戦を火砲以外の大綱定数外装備、例えば長射程精密誘導弾等を装備すると余計高くつきますし、情報中隊の対砲レーダ装置など、火砲以外の装備の比重がかなり大きいので、安易に火砲を北海道と九州に集中させることはできないのですが。

Gimg_4001 しかし、戦車定数の話ばかりが出ていて、特科火砲の話が出ないというのはある意味不思議な気がしますね、まさか増える、ということは無いと思うのですが、仮に若干数縮小し、特科連隊が全て特科隊に縮小された場合でも、火力戦闘車の開発で全特科部隊の自走砲化が始まりますので、質的向上は凄いことになります。

Img_1432 他方、気になるのは陸上自衛隊の師団を機動師団へ転換する、という報道のみある事でして、逆に言えば旅団の立場はどうなるのでしょうか。警備管区を持つ以上、結果的に自衛隊草創期の管区隊と混成団、警備管区を持つ管区隊と機械化して機動運用する混成団、という方式を現在の旅団は継承していないわけだし、実質的なミニ師団とするよりは、扱いを考え直した方が、と思ったりもする。

Zimg_0122 ここからは、榛名案(ビック自衛隊のマキシマム防衛計画についてエターナル語る)、第5旅団(道東)・第11旅団(道南)を統合し第五師団再編、第1師団(首都)・中央即応集団を統合し大臣直轄第一師団へ再編と第1師団の静岡山梨警備管区を第12旅団へ統合増強し第十二師団再編、第13旅団(山陽山陰)・第14旅団(四国)を統合し第十三師団再編、第8師団島嶼部警備管区と第15旅団(沖縄)と統合し、第十一師団へ再編、旅団は全廃され、全てが調和する。

Kimg_8034 なにやら本稿締切となる零時も近くに急に収拾のつかない話題を始めてしまいましたが、細部は、10連隊を11旅団から2師団へ編入して甲師団化し、5師団は残る五個連隊のうち四個を残し甲師団化させ、浮いた一個連隊を西方へかつての24連隊ではないですが、転用する。

Gimg_9481 1師団は普通科連隊を中央即応連隊に準じた編成として、防衛管区を東京近郊に特化させつつ緊急時には機動運用を視野に含む。そして12旅団へ1師団から34連隊を編入させ甲師団化、13師団も山陽山陰から一個連隊を西方へ転用する、もしくは8連隊を3師団へ編入させ3師団を甲師団化する。

Fimg_6639 各旅団戦車中隊は二個中隊基幹の戦車大隊へ転換できる、施設隊や通信隊も二つ加われば大隊編制に戻ることが出来るとか、さっと考えてみた。旅団普通科連隊と師団普通科連隊の中隊数の違いや重迫撃砲中隊とかどうするのか、考えていませんでしたが。こうすれば、全て機動師団に改編できますし、師団と旅団の混在というアンバランスから脱却できるでしょう。

Nimg_0842 さて、最後の最後に大脱線しましたが、戦車定数と機動戦闘車の集中配備の構想は、後方支援の面からかなり評価できるものといえます。このほか、どのような防衛大綱となるかは未知数ですが、少なくとも限られた予算と厳しい財政状況を背景としても、核たる防衛力整備の覚悟と姿勢は見えてきました。

北大路機関:はるな

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